JP2001227593A - 伝動ベルト - Google Patents

伝動ベルト

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JP2001227593A
JP2001227593A JP2000036305A JP2000036305A JP2001227593A JP 2001227593 A JP2001227593 A JP 2001227593A JP 2000036305 A JP2000036305 A JP 2000036305A JP 2000036305 A JP2000036305 A JP 2000036305A JP 2001227593 A JP2001227593 A JP 2001227593A
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liquid crystal
transmission belt
power transmission
copolymer
rubber
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Application number
JP2000036305A
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English (en)
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Takazo Yamaguchi
登造 山口
Hiroaki Kumada
浩明 熊田
Akihiko Unno
晃彦 海野
Tatsuo Sasa
龍生 佐々
Junichi Koshiba
淳一 小柴
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】負荷が加えられた際の寸法安定性に優れ、機械
強度、耐水性に優れ、成形加工性が容易な伝動ベルトを
提供する。 【解決手段】〔1〕溶融時に光学的異方性を示す液晶ポ
リマーからなるフィルムが含まれてなる伝動ベルト。 〔2〕溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマーからな
るフィルムと、エラストマーからなる層とが、積層され
てなる構成を含むことを特徴とする伝動ベルト。 〔3〕溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマーからな
るフィルムと、接着層と、エラストマーからなる層と
が、この順に配置されてなる伝動ベルト。 〔4〕溶融時に光学異方性を示す液晶ポリマーからなる
フィルムが、インフレーション成膜法により得られたフ
ィルムである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の伝動ベ
ルト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ポリマーから
なるフィルムを含む伝動ベルトに関し、具体的には液晶
ポリマーからなるフィルムを抗張体とする伝動ベルトに
関する。
【0002】
【従来の技術】伝動ベルトは、一般にベルト抗張体とエ
ラストマーを一体化して構成されている。その場合、抗
張体は、ベルトに加えられる負荷を受け持ち、エラスト
マーが駆動部との接触性、ベルトの柔軟性などを受け持
つ。エラストマーとしては、従来より知られている、天
然ゴム、またはクロロプレンなどの合成ゴムの化学架橋
型エラストマーや、近年は、成形加工が容易な熱可塑性
エラストマーが用いられている。一方、抗張体として
は、優れた耐負荷性を有するアラミド繊維コード、金属
繊維コード、ガラス繊維コード、ポリエステル繊維コー
ド等が用いられてきた。しかし、これらの抗張体は、性
能的に必ずしも満足されるものではなく、たとえば、ア
ラミド繊維コードは、吸水による寸法変化が有り、吸水
−乾燥の繰り返しによりベルト寸法が変化してしまうこ
とがあった。また、金属繊維コードは、吸水によりサビ
が生じ、強度が低下することがあった。さらに、ガラス
繊維コードは、使用中に吸水すると急激に強度が低下す
ることがあった。従来の抗張体として優れているものと
して、たとえば、特開昭63−57941号公報、特開
平7−276525号公報などに開示されている、液晶
ポリマー(全芳香族ポリエステル)繊維コードが挙げら
れる。しかし、繊維コードとエラストマーとの接着性が
良好ではなく、また溶融紡糸によるヤーンの作成、撚り
糸の作成、撚り糸の表面処理、複合化・積層化等の非常
に複雑な作業工程が必要であり、さらに、断面が円に近
い繊維コードでは、曲げ弾性率が大きいため曲率の小さ
いベルトとして使用した場合に使用中に急激に強度低下
することがあった。さらに、液晶ポリマーを利用し、か
つ、加工性を改良しようとした試みとして、繊維状化さ
れた液晶ポリマーと熱可塑性エラストマーとの組成物に
よるベルトが特開平3−129145号公報、特開平3
−129147号公報に開示されている。しかし、組成
物中での液晶ポリマーの分散、配向の制御が難しく、結
果として得られたベルトの物性が安定しないなどの問題
があった。
【0003】従来、液晶ポリマーをフィルムに成形する
ことは、溶融時の液晶ポリマー分子の自己配向による非
常に特異な粘度挙動のため困難であった。従って、液晶
ポリマーフィルムを伝動ベルトに用いることは、試みよ
うともされなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、負荷
が加えられた際の寸法安定性に優れ、機械強度、耐水性
に優れ、成形加工性が容易な伝動ベルトを提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
の結果、溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマーから
なるフィルムを抗張体として配することにより、上記課
題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、〔1〕溶融時に光学的異方性
を示す液晶ポリマーからなるフィルムが含まれてなる伝
動ベルトに係るものである。さらに、本発明は、〔2〕
溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマーからなるフィ
ルムと、エラストマーからなる層とが、積層されてなる
構成を含むことを特徴とする伝動ベルトに係るものであ
る。また、本発明は、〔3〕溶融時に光学的異方性を示
す液晶ポリマーからなるフィルムと、接着層と、エラス
トマーからなる層とが、この順に配置されてなる伝動ベ
ルトに係るものである。
【0006】また、本発明は、〔4〕エラストマーから
なる層と、接着層と、溶融時に光学的異方性を示す液晶
ポリマーからなるフィルムと、接着層と、エラストマー
からなる層とが、内側から外側に向かって、この順に配
置されてなることを特徴とする伝動ベルトに係るもので
ある。さらに、本発明は、〔5〕内周および/または外
周に歯を有する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の伝動
ベルトに係るものである。さらに、本発明は、〔6〕溶
融時に光学的異方性を示す液晶ポリマーが、(A)液晶ポ
リエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応
性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする液晶
ポリエステル樹脂組成物である〔1〕〜〔5〕のいずれ
かに記載の伝動ベルトに係るものである。また、本発明
は、〔7〕溶融時に光学異方性を示す液晶ポリマーから
なるフィルムが、インフレーション成膜法により得られ
たフィルムである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の伝
動ベルトに係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明で用いる溶融時に光学的異方性を示す液晶
ポリマーとしては、例えば全芳香族系もしくは半芳香族
系の、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエステ
ルアミドなどや、それらを含有する樹脂組成物などが挙
げられる。本発明においては、このような液晶ポリマー
として、好ましくは液晶ポリエステルを一成分として用
いてなる組成物または液晶ポリエステルが用いられる
が、成形加工性、得られるフィルムの性能の点から、本
発明においては(A)液晶ポリエステルを連続相とし
(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
る共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物
を用いることがさらに好ましい。
【0008】ここでいう液晶ポリエステルは、サーモト
ロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
具体的には、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオー
ルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られ
るもの、(2)異種の芳香族ヒドロシカルボン酸の組み
合わせを反応させて得られるもの、(3)芳香族ジカル
ボン酸と核置換芳香族ジオールとを反応させて得られる
もの、(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得ら
れるもの、などが挙げられ、400℃以下の温度で異方
性溶融体を形成するものが好ましい。なお、これらの芳
香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロ
キシカルボン酸の代わりに、それらのエステル誘導体が
使用されることもある。
【0009】該液晶ポリエステルの繰返し構造単位とし
ては、下記の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し構
造単位、芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位、
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0010】芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し
構造単位:
【0011】
【0012】芳香族ジオールに由来する繰返し構造単
位:
【0013】
【0014】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する
繰返し構造単位:
【0015】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは、 なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好まし
くはこのような繰り返し構造単位を少なくとも全体の3
0モル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造
単位の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのも
のが好ましい。また、防湿性の観点からは(IV)以外
の、全芳香族ポリエステルタイプがさらに好ましい。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法
については、例えば特公昭47−47870号公報、特
公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公
報、特公昭56−18016号公報、特開平2−515
23号公報などに記載されている。これらの中で好まし
くは(I)、(II)または(IV)の組合せが挙げられ、
さらに好ましくは(I)または(II)の組み合せが挙げ
られる。
【0023】本発明において、高い耐熱性が要求される
分野には、成分(A)の液晶ポリエステルとして、下記
の繰り返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し
単位(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)
が10〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜3
5モル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用され
る。
【0024】 (式中、Arは2価の芳香族基である。)
【0025】本発明の伝動ベルトにおいて、環境問題等
の見地から使用後の焼却などの廃棄の容易さが求められ
る分野には、ここまで挙げたそれぞれに要求される分野
の好ましい組み合わせの中で特に炭素、水素、酸素のみ
の元素からなる組み合わせによる液晶ポリエステルが特
に好ましく使用される。
【0026】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物に用い
られる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有す
る官能基を有する共重合体が好ましい。このような液晶
ポリエステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポ
リエステルと反応性を有すれば何でもよく、具体的に
は、オキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げら
れ、好ましくはエポキシ基である。該エポキシ基等は、
他の官能基の一部として存在していてもよく、そのよう
な例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0027】該共重合体(B)において、このような官
能基を共重合体中に導入する方法としては特に限定され
るものではなく、周知の方法で行うことができる。例え
ば共重合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共
重合により導入することも可能であるし、共重合体に該
官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能
である。
【0028】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する単量体、中でもグリシジル基を含有する単量体
としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられ
る。
【0029】具体的には、不飽和カルボン酸グリシジル
エステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエス
テル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、
p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル等が例示さ
れる。不飽和グリシジルエーテルとしては、例えばビニ
ルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2
−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシ
ジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が
例示される。
【0030】不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、
好ましくは一般式 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の
炭化水素基である。)で表される化合物であり、また不
飽和グリシジルエーテルは、好ましくは一般式 (R’はエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜18
の炭化水素基であり、Xは−CH2−O−または である。)で表される化合物である。
【0031】上記の液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)は、好ましくは、不飽和
カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽
和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有す
る共重合体である。
【0032】また、上記の液晶ポリエステルと反応性を
有する官能基を有する共重合体(B)は、熱可塑性樹脂
であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴム
の混合物であってもよい。該液晶ポリエステル樹脂組成
物を用いて得られるフィルムまたはシート等の成形体の
熱安定性や柔軟性が優れるゴムがより好ましい。
【0033】さらに好ましくは、上記の液晶ポリエステ
ルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、
結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体である。ま
た、共重合体(B)としては、ムーニー粘度が3〜70
のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、
4〜25のものが特に好ましい。ここでいうムーニー粘
度は、JIS K6300に準じて100℃ラージロー
ターを用いて測定した値をいう。これらの範囲外である
と、組成物の熱安定性や柔軟性が低下する場合があり好
ましくない。
【0034】ここでいうゴムとは、新版高分子辞典(高
分子学会編、1988年出版、朝倉書店)による室温に
てゴム弾性を有する高分子物質に該当するものであり、
その具体例としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブ
タジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロ
ック共重合体(SEBSゴムまたはSBSゴム等を含
む)、グラフト共重合体などを含む)またはその水素添
加物、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合体、ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン重
合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソブ
チレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−エ
チレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体
ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロ
ピレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン
共重合体ゴム、スチレン−ブチレン共重合体、スチレン
−エチレン−プロピレン共重合体ゴム、パーフルオロゴ
ム、ふっ素ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリ
コーンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重
合体ゴム、チオールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴ
ム、ポリエーテルゴム(例えばポリプロピレンオキシド
等)、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステルエラスト
マー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。中で
も、アクリル酸エステル−エチレン系共重合体が好まし
く用いられ、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン系
共重合体ゴムがさらに好ましい。これらのゴム様物質
は、いかなる製造法(例えば乳化重合法、溶液重合法
等)、いかなる触媒(例えば過酸化物、トリアルキルア
ルミニウム、ハロゲン化リチウム、ニッケル系触媒等)
でつくられたものでもよい。
【0035】そして、共重合体(B)としてのゴムは、
上記のようなゴムにおいて、液晶ポリエステルと反応性
を有する官能基を有するゴムである。液晶ポリエステル
と反応性を有する官能基をゴム中に導入する方法として
は、特に限定されるものではなく、周知の方法で行うこ
とができる。例えばゴムの合成段階で、該官能基を有す
る単量体を共重合により導入することも可能であるし、
ゴムに該官能基を有する単量体をグラフト共重合するこ
とも可能である。
【0036】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する共重合体(B)の具体例として、エポキシ基を
有するゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙
げることができる。
【0037】ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、
アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られ
るエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1
〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、tert−ブチルアクリレート、ter
t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げ
ることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルと
しては、その一種を単独で使用してもよく、または二種
以上を併用してもよい。
【0038】本発明における共重合体ゴムにおいて、
(メタ)アクリル酸エステル単位が好ましくは40〜9
6.9重量%、さらに好ましくは45〜70重量%、エ
チレン単位が好ましくは3〜50重量%、さらに好まし
くは10〜49重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエ
ーテル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単
位が好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは
0.5〜20重量%である。上記の範囲外であると、得
られるフィルムまたはシート等の成形体の熱安定性や機
械的性質が不十分となる場合がある。
【0039】該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフ
リーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重
合などによって製造することができる。なお、代表的な
重合方法は、特公昭46−45085号公報、特公昭6
1−127709号公報などに記載された方法であり、
フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力5
00kg/cm2以上、温度40〜300℃の条件によ
り製造することができる。
【0040】このような共重合体(B)に使用できるゴ
ムとして他には、液晶ポリエステルと反応性を有する官
能基を有するアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応
性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物
−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示するこ
とができる。
【0041】ここでいうアクリルゴムとして好ましく
は、一般式(1) (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基または
シアノアルキル基を示す。)、一般式(2) (式中、R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基、R3
は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。)、および
一般式(3) (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5炭素原子数
3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20の
アルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示
す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の
単量体を主成分とするものである。
【0042】上記一般式(1)で表されるアクリル酸ア
ルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシル
アクリレート、アクチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレ
ートなどを挙げることができる。
【0043】また、上記一般式(2)で表されるアクリ
ル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメト
キシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルア
クリレートなどを挙げることができる。これらの一種ま
たは二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いるこ
とができる。
【0044】このようなアクリルゴムの構成成分とし
て、必要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表され
る化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合
可能な不飽和単量体を用いることができる。このような
不飽和単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタク
リロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビ
ニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸
ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリ
レート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイ
ン酸などが挙げられる。
【0045】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有するアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の
一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少
なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽
和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和
グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一
般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少な
くとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0
〜30.0重量%である。該アクリルゴムの構成成分比
が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、
成形加工性が良好であり好ましい。
【0046】該アクリルゴムの製法は特に限定するもの
ではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特
開昭62−64809号公報、特開平3−160008
号公報、あるいはWO95/04764などに記載され
ているような周知の重合法を用いることができ、ラジカ
ル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合ある
いはバルク重合で製造することができる。
【0047】前記液晶ポリエステルと反応性を有する官
能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体ゴムとして、好ましくは、
(a)ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケ
ンスと(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンス
からなるブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴ
ム、または該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化し
て得られるゴムである。
【0048】ビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体またはその水添物は、周知の方
法で製造することができ、例えば、特公昭40−237
98号公報、特開昭59−133203号公報等に記載
されている。
【0049】芳香族炭化水素化合物としては、例えば、
スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン
などを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソ
プレン、ピレリレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチ
ル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブ
タジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0050】共重合体(B)として用いるゴムとして好
ましくは、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが用いられ
る。
【0051】共重合体(B)として用いるゴムは、必要
に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができ
る。上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多
官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化
合物などを用いることで達成されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0052】また、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)の具体例として、エポキ
シ基を有する熱可塑性樹脂としては、(a)エチレン単
位が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシ
ジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエー
テル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜2
0重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位
が0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重
合体を挙げることができる。
【0053】エチレン系不飽和エステル化合物(c)と
しては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カル
ボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0054】該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体
例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタク
リレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシ
ジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位か
らなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレ
ート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合
体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およ
び酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0055】該エポキシ基含有エチレン共重合体のメル
トインデックス(以下、MFRということがある。JI
S K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好
ましくは0.5〜100g/10分、さらに好ましくは
2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの
範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100
g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点
で好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)
の液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0056】また、該エポキシ基含有エチレン共重合体
は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲の
ものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものが
さらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成
物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があ
る。
【0057】該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通
常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の
存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適
当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合
させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポ
リエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生
剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方
法によっても作られる。
【0058】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物は、
(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリ
エステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分
散相とする樹脂組成物であることが好ましい。液晶ポリ
エステルが連続相でない場合には、液晶ポリエステル樹
脂組成物からなるフィルムのガスバリア性、耐熱性など
が著しく低下する場合がある。
【0059】このような官能基を有する共重合体と液晶
ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は
不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)と
の間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成すると
ともに成分(B)が微細分散し、そのために該組成物の
成形性が向上するものと考えられる。
【0060】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物の一実
施態様は、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.9
重量%、好ましくは65.0〜99.9重量%、さらに
好ましくは70〜98重量%、および(B)液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基を有する共重合体44.
0〜0.1重量%、好ましくは35.0〜0.1重量
%、さらに好ましくは30〜2重量%を含有する樹脂組
成物である。成分(A)が56.0重量%未満であると
該組成物から得られるフィルムの水蒸気バリア性、耐熱
性が低下する場合がある。また、成分(A)が99.9
重量%を超えると該組成物の成形加工性が低下する場合
があり、また価格的にも高価なものとなる。
【0061】このような液晶ポリエステル樹脂組成物を
製造する方法としては周知の方法を用いることができ
る。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発
させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業
的見地からみると溶融状態で上記組成の各成分を混練す
る方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている
一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置
を用いることができる。特に二軸の高混練機が好まし
い。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温
度は、200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ま
しくは230〜350℃である。
【0062】混練に際しては、各成分は、予めタンブラ
ーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を
均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、
混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いるこ
とができる。
【0063】本発明に使用する液晶ポリマーに、必要に
応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、
光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機
系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑
剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤など
の各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程
において添加することができる。
【0064】本発明における液晶ポリマーからなるフィ
ルムは、同時に二軸延伸可能なインフレーション成膜に
よるものが好ましい。すなわち、上記の方法により得ら
れた液晶ポリエステル樹脂組成物は、環状スリットのダ
イを備えた溶融混練押出機に供給され、シリンダー設定
温度好ましくは200〜360℃、さらに好ましくは2
30〜350℃で溶融混練される。次に、押出機の環状
スリットから上方または下方へ溶融樹脂が押出され、筒
状フィルムとなる(この方向がMD方向である)。環状
スリット間隔は、通常0.1〜5mm、好ましくは0.
5〜2mm、環状スリットの直径は、通常20〜100
0mm、好ましくは50〜300mmである。
【0065】インフレーション成形(成膜)において、
好ましいブロー比は、1.5〜10、好ましいMD延伸
倍率は、1.5〜40である。インフレーション成膜時
の設定条件が上記の範囲外であると、厚さが均一でしわ
の無い高強度のフィルムを得るのが困難となる場合があ
る。
【0066】膨張させたフィルムは、その円周を空冷あ
るいは水冷させた後、ニップロールを通過させて引き取
る。
【0067】インフレーション成膜に際しては、組成物
の性質に応じて、筒状の溶融体フィルムが均一な厚みで
表面平滑な状態に膨張するような条件を選択することが
できる。
【0068】インフレーション成膜以外の方法である
と、フィルムが二軸延伸されず必要最小限の強度が得ら
れなかったり、別の方法で逐次二軸延伸しても製法にコ
ストがかかりすぎることがある。
【0069】本発明における溶融時に光学的異方性を示
す液晶ポリマーからなるフィルムの表面自由エネルギー
は、35dyne/cm以上であることが好ましい。そ
れ未満であると、エラストマーと液晶ポリマーとの接着
性が不十分なことがある。得られた液晶ポリマーフィル
ムの表面自由エネルギーが35dyne/cm未満であ
った場合には、コロナ処理などの表面処理をしてもよ
い。
【0070】本発明の伝動ベルトは、抗張体として溶融
時に光学的異方性を示す液晶ポリマーからなるフィルム
が含まれてなるものであり、溶融時に光学的異方性を示
す液晶ポリマーからなるフィルムとエラストマーからな
る層とを積層されてなるものが好ましい。また、本発明
の伝動ベルトとしては、溶融時に光学的異方性を示す液
晶ポリマーからなるフィルムと、接着層と、エラストマ
ーからなる層とがこの順に配置されてなる伝動ベルトが
挙げられる。また、本発明の伝動ベルトは、エラストマ
ーからなる層と、接着層と、溶融時に光学的異方性を示
す液晶ポリマーからなるフィルムと、接着層と、エラス
トマーからなる層とが内側から外側に向かって、この順
に配置されてなるものが挙げられる。さらに、本発明の
伝動ベルトは、内周および/または外周に歯を有するこ
とを特徴とするものである。
【0071】本発明において、抗張体と積層されるエラ
ストマーは、一般的には先に述べたゴムの一部が使用さ
れる。つまり、新版高分子辞典(高分子学会編、198
8年出版、朝倉書店)による室温にてゴム弾性を有する
高分子物質に該当するものであり、その具体例として
は、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体(S
EBSゴムまたはSBSゴム等を含む)、グラフト共重
合体などを含む)またはその水素添加物、イソプレン重
合体、クロロブタジエン重合体、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体、イソブチレン重合体、イソブチレン
−ブタジエン共重合体ゴム、イソブチレン−イソプレン
共重合体、アクリル酸エステル−エチレン系共重合体ゴ
ム、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(例えばエ
チレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共
重合体ゴム等)、エチレン−プロピレン−スチレン共重
合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレ
ン−ブチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレ
ン共重合体ゴム、パーフルオロゴム、ふっ素ゴム、クロ
ロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム(例えば
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム
等)、チオールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、
ポリエーテルゴム(例えばポリプロピレンオキシド
等)、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステルエラスト
マー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。中で
も、天然ゴム、クロロプレンゴム等の化学架橋型エラス
トマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の水素
添加物、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体
ゴムが好ましく用いられる。これらのゴム様物質は、い
かなる製造法(例えば乳化重合法、溶液重合法等)、い
かなる触媒(例えば過酸化物、トリアルキルアルミニウ
ム、ハロゲン化リチウム、ニッケル系触媒、チタン系触
媒、バナジウム系触媒、メタロセン系触媒等)でつくら
れたものでもよい。
【0072】本発明の伝動ベルトは、好ましくはエラス
トマーと抗張体とを積層して貼りあわせて得られるが、
貼り合わせの方法に限定されず、接着層を用いることが
できる。
【0073】接着層は、特に限定されないが、ウレタン
系接着剤、エポキシ系接着剤、熱可塑性エラストマー系
接着剤が好ましく用いられ、特に、熱可塑性エラストマ
ー系接着剤、エポキシ基含有エチレン系共重合体の水性
エマルジョンによる接着剤などがより好ましく用いられ
る。
【0074】熱可塑性エラストマー系接着剤としては、
エポキシ基を有する、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体、さら
に、ビニルアルコール−エチレン−(不飽和カルボン酸
グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエ
ーテル)共重合体を挙げることができる。
【0075】さらに、エポキシ基含有エチレン共重合体
として、エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエス
テルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合
体が挙げられる。
【0076】伝動ベルトの製法については特に限定を受
けないが、上記接着剤を塗布した溶融時に光学的異方性
を有する液晶ポリマーのフィルムに接着剤を塗布し、フ
ィルムの長手方向を、筒状に成形したエラストマーの円
周に沿って巻き付け、接着剤が十分性能を得られる所定
の処理をした後に、円筒状積層体を輪切りにする方法な
どが好ましく用いられる。
【0077】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれら
に限定されることはない。 (1)成分(A)の液晶ポリエステル (i)p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モ
ル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフ
タル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセ
トキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を、櫛
型撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹
拌しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間
に副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しなが
ら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷
却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマ
ーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを
更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃
で3時間処理することによって、流動開始温度が324
℃の粒子状の下記繰り返し構造単位からなる全芳香族ポ
リエステルを得た。
【0078】ここで流動開始温度とは、島津製作所製島
津フローテスターCFT−500型を用いて、4℃/分
の昇温速度で加熱溶融された樹脂を、荷重100kgf
/cm2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズル
から押し出したときに、溶融粘度が48000ポイズを
示す温度(℃)をいう。以下、該液晶ポリエステルをA
−1と略記する。このポリマーは、加圧下で340℃以
上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰
り返し構造単位は、次の通りである。
【0079】
【0080】(ii)p−ヒドロキシ安息香酸16.6k
g(12.1モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
8.4kg(4.5モル)および無水酢酸18.6kg
(18.2モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、320℃で1
時間、そしてさらに2.0torrの減圧下に320℃
で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ
留出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で
得られたポリマーを系外へ取出した。この得られたポリ
マーを前記の(A−1)と同様に粉砕したあと、ロータ
リーキルン中で窒素ガス雰囲気下に240℃で5時間処
理することによって、流動開始温度が270℃の粒子状
の下記繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得
た。以下該液晶ポリエステルをA−2と略記する。この
ポリマーは加圧下で280℃以上で光学異方性を示し
た。液晶ポリエステルA−2の繰り返し構造単位の比率
は次の通りである。
【0081】
【0082】(2)成分(B)のゴム (i)特開昭61−127709号公報の実施例5に記
載の方法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリ
シジルメタクリレート=59.0/38.7/2.3
(重量比)、ムーニー粘度=15のゴムを得た。以下該
ゴムをB−1と略称することがある。ここでムーニー粘
度は、JIS K6300に準じて100℃、ラージロ
ーターを用いて測定した値である。
【0083】(3)液晶ポリマーフィルム A−1を80重量部、およびB−1を20重量部の配合
比で、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用
い、シリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数2
50rpmで溶融混練を行って組成物を得た。この組成
物ペレットは、加圧下で340℃以上で光学的異方性を
示した。得られた組成物をD−1と呼ぶことがある。D
−1を、円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機を用
いてシリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数6
0rpmで溶融押出して、直径50mm、リップ間隔
1.0mm、ダイ設定温度348℃の円筒ダイから上方
へ溶融樹脂を押出し、得られた筒状フィルムの中空部へ
乾燥空気を圧入し、膨張させ、次に冷却させたのちニッ
プロールに通してフィルムを得た。ブロー比2.0、ド
ローダウン比5であり、フィルムの実測平均厚みは10
0μmであった。引張物性はJIS C2318に準拠
して測定し、長手方向で、38kg/mm2、破断伸び
1.6%、弾性率 2200kg/mm2であった。該フ
ィルムの水蒸気透過度は0.2(g/m2・24h・1
atm)であり、良好であった。このフィルムをF−1
と呼ぶことがある。
【0084】(4)接着剤 特開昭61−127709号公報記載の方法に準じて、
ビニルアルコール/エチレン/グリシジルメタクリレー
ト=5.0/83.0/12.0(重量比)、MFR
(190℃)7gの共重合体を得た。この共重合体を1
80℃で熱プレスし、60μm程度のシート状成形体と
した。以下、このシートをS−1と呼ぶことがある。
【0085】(5)エラストマー(加硫可能なゴム組成
物の製造) エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボル
ネン共重合体ゴム(住友化学工業社製、商品名「エスプ
レンE−582F」、エチレン/プロピレンのモル比=
90/10、ヨウ素価=14)50重量部、エチレン−
プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合
体ゴム(住友化学工業社製、商品名「エスプレンE−5
12F」、エチレン/プロピレンのモル比=78/2
2、ヨウ素価=12)50重量部、ステアリン酸1重量
部、亜鉛華(#1)5重量部、カーボンブラック(東海
カーボン社製、商品名「シースト116」)70重量
部、ケイ酸マグネシウム(竹原化学社製、商品名「ハイ
トロン」)70重量部、プロセスオイル(出光興産社
製、商品名「ダイアナPW380」)45重量部、酸化
カルシウム(井上石灰社製、商品名「ベスタPP」)5
重量部及び脂肪族炭化水素樹脂(エクソン化学社製、商
品名「エスコレッツ1102B」)5重量部を、バンバ
リーミキサーを用いて混練することによりコンパウンド
とした。次に、該コンパウンドに硫黄1.0重量部、加
硫促進TT1.5重量部及び加硫促進M0.5重量部を
添加し、オープンロールを用いて混練することにより加
硫可能なゴム組成物を得た。該加硫可能なゴム組成物を
E−1と呼ぶことがある。
【0086】実施例1 上記で得たエラストマー(加硫可能なゴム組成物)を用
い、二枚のシート(15cm×15cm×1mm(厚
さ))を作成した。該シートの間に、それらと同じ大き
さにS−1/F−1/S−1となるよう、接着層(S―
1)、液晶ポリマーフィルム(F−1)をはさみ、2.
2mmのスペーサーを用いて160℃で30分間、ハン
ドプレスを用い加硫及び接着を行い、積層体を得た。そ
の試験片につき、15mm幅×15cmとなるよう、長
手方向が液晶ポリマーフィルムの長手方向に一致するよ
うに試験片を切断し、その積層体に付いて、引張速度:
50mm/min.で長手方向へ引張試験を行った。そ
の際の伸びと応力の関係を示す。
【0087】
【表1】 したがって、得られた積層体は、5%伸びるのに32.
7kgf/cm2をも要するので、30kgf/cm2
までは非常に寸法安定性が良いことを示した。さらに、
100%の伸びまで、優れた耐負荷性を示した。
【0088】実施例2 F−1を23℃、相対湿度90%の恒温恒湿器に一晩放
置し、表面に付着した水を拭き取った後実施例1と同様
の成形、測定を行ったが、伸びと応力の関係はほとんど
変化しなかった。
【0089】実施例3 実施例1と同様にして得た試験片を引張速度:1mm/
min.で引張試験をおこなった。伸びと応力の関係を
示す。
【0090】
【表2】 したがって、得られた積層体は、応力が大きくなっても
寸法変化が小さかった。
【0091】実施例4 上記で得たエラストマー(加硫可能なゴム組成物)を用
い、二枚のシート(15cm×15cm×1mm(厚
さ))を作成した。該シートの間に、液晶ポリマーフィ
ルム(F−1)をはさみ、2.1mmのスペーサーを用
いて160℃で30分間、ハンドプレスを用い加硫及び
接着を行い、積層体を得た。その試験片につき、15m
m幅×15cmとなるよう、長手方向が液晶ポリマーフ
ィルムの長手方向に一致するように試験片を切断し、そ
の積層体に付いて、引張速度:1mm/min.で長手
方向へ引張試験を行った。その際の伸びと応力の関係を
示す。
【0092】
【表3】 したがって、得られた積層体は、応力が大きくなっても
寸法変化が小さかった。
【0093】比較例1 上記で得たエラストマー(加硫可能なゴム組成物)を用
い、シート(15cm×15cm×2.2mm(厚
さ))を作成し、接着層と液晶ポリマー層を積層するこ
とを除いて、実施例1と同様の条件で該シート一枚に加
硫を行い、引っ張り試験を行った。その際の伸びと応力
の関係を以下に示す。
【0094】
【表4】 したがって、得られた試料は、伸びと負荷とがほぼ比例
し、耐負荷は十分ではなかった。
【0095】
【発明の効果】本発明により、負荷が加えられた際の応
力下での寸法安定性に優れ、機械強度、耐水性に優れ、
成形加工性が容易な伝動ベルトを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海野 晃彦 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 佐々 龍生 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 小柴 淳一 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    からなるフィルムが含まれてなることを特徴とする伝動
    ベルト。
  2. 【請求項2】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    からなるフィルムと、エラストマーからなる層とが、積
    層されてなる構成を含むことを特徴とする請求項1に記
    載の伝動ベルト。
  3. 【請求項3】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    からなるフィルムと、接着層と、エラストマーからなる
    層とが、この順に配置されてなることを特徴とする請求
    項1または2に記載の伝動ベルト。
  4. 【請求項4】エラストマーからなる層と、接着層と、溶
    融時に光学的異方性を示す液晶ポリマーからなるフィル
    ムと、接着層と、エラストマーからなる層とが、内側か
    ら外側に向かって、この順に配置されてなることを特徴
    とする請求項1または2に記載の伝動ベルト。
  5. 【請求項5】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    からなるフィルムの配向方向が伝動ベルトの長手方向と
    一致することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の伝動ベルト。
  6. 【請求項6】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    からなるフィルムの表面自由エネルギーが35dyne
    /cm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の伝動ベルト。
  7. 【請求項7】内周および/または外周に歯を有すること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の伝動ベル
    ト。
  8. 【請求項8】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    が、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリ
    エステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分
    散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物であることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の伝動ベルト。
  9. 【請求項9】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    が、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.9重量
    %、および(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官
    能基を有する共重合体44.0〜0.1重量%を溶融混
    錬して得られる組成物であることを特徴とする請求項1
    〜7のいずれかに記載の伝動ベルト。
  10. 【請求項10】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基が、エポキシ基、オキサゾリル基またはアミノ基であ
    ることを特徴とする請求項8または9記載の伝動ベル
    ト。
  11. 【請求項11】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシ
    ジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエー
    テル単位を0.1〜30重量%含有する共重合体である
    ことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の伝
    動ベルト。
  12. 【請求項12】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、エポキシ基を有するゴム
    であることを特徴とする請求項8または9記載の伝動ベ
    ルト。
  13. 【請求項13】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、エポキシ基を有する熱可
    塑性樹脂であることを特徴とする請求項8または記載の
    伝動ベルト。
  14. 【請求項14】エラストマーが熱可塑性を有することを
    特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の伝動ベル
    ト。
  15. 【請求項15】エラストマーが架橋した天然ゴムである
    ことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の伝動
    ベルト。
  16. 【請求項16】エラストマーが架橋した合成ゴムである
    ことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の伝動
    ベルト。
  17. 【請求項17】溶融時に光学異方性を示す液晶ポリマー
    からなるフィルムが、インフレーション成膜法により得
    られたフィルムであることを特徴とする請求項1〜16
    のいずれかに記載の伝動ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010169266A (ja) * 2010-03-16 2010-08-05 Ntn Corp 流体軸受装置

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JP2010169266A (ja) * 2010-03-16 2010-08-05 Ntn Corp 流体軸受装置

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