JP2001226681A - 蒸留済み炭化水素留分中の水銀およびヒ素の捕集方法 - Google Patents

蒸留済み炭化水素留分中の水銀およびヒ素の捕集方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸留済み炭化水素留分中の水銀およびヒ素の
捕集方法を提供する。 【解決手段】(1)少なくとも1つの軽質留分および少
なくとも1つの重質留分を得るように炭化水素仕込原料
を蒸留することと、(2)少なくとも1つの前記重質留
分を、次の2工程:すなわち・重質留分を水素および触
媒と接触させる第1工程、並びに・第1工程からの流出
物を、水銀および場合によってはヒ素の捕集物質上に通
過させることからなる第2工程を含む処理に付すこと
と、場合によっては、水銀および場合によってはヒ素の
捕集物質上に、上記蒸留から来る少なくとも1つの軽質
留分を通過させることと、を含む炭化水素仕込原料中の
水銀および場合によってはヒ素の除去方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方では仕込原料
の蒸留工程、並びに他方では(a)蒸留留分のうちの少
なくとも1つの留分について2工程(接触分解工程およ
び水銀の吸着工程)で行われる少なくとも1つの2工程
水銀捕集段階と、(b)複数留分のうちの少なくとも1
つの留分について行われるガス相または液相での少なく
とも1つの脱水銀段階とを含む、炭化水素仕込原料から
の水銀および場合によってはヒ素の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体凝縮物(ガス製造の副産物)および
いくつかの原油が、多くの場合有機金属錯体形態で痕跡
状態の多数の金属化合物を含み得ることは公知である。
これら金属化合物は、多くの場合、これら留分の市販物
質への変換の際に使用される触媒毒である。水銀は、貴
金属の活性について特に有毒であり、さらにアルミニウ
ム部品、パッキング(ガスケット)および溶接継手に対
して強力な腐食性物質である。
【0003】従って、水銀および場合によってはヒ素の
エントレインメントを回避するために、凝縮物または原
油の変換工程へ送る目的で仕込原料を排除することが有
利である。処理工程の上流において仕込原料を精製する
ことにより、設備全体を保護することが可能になる。
【0004】本出願人は、種々の処理方法のための仕込
原料として役立つ炭化水素中の水銀除去方法を既に提案
している。従って、本出願人の米国特許US−4911
825には、2工程からなる方法において水銀および場
合によってはヒ素の捕集を行う利点が記述されている。
第1工程は、水素の存在下に仕込原料を、ニッケル、コ
バルト、鉄およびパラジウムからなる群から選ばれる少
なくとも1つの金属を含む触媒と接触させることからな
る。水銀は、該触媒によって捕集されない(あるいは非
常に僅かに捕集される)が、該水銀は、第2工程におい
て、硫黄または硫黄含有化合物を含む物質によって捕集
されるように、該触媒上で活性化される。
【0005】さらに、例えば本出願人のフランス特許F
R−9214224には、先に記載されたように2工程
での方法が記載されているが、この方法は、第1工程の
後に仕込原料の蒸留工程を含む。従って、第1工程によ
り生じた金属水銀は、種々の留分に分配され、軽質留分
を富ませる。次いでこれら軽質留分は、上述されたよう
に、金属水銀の吸着物質によって処理される。
【0006】例えば、特公平7−103377には、仕
込原料中に存在するあらゆる水銀種を金属水銀に分解す
るように、200℃を越える温度で仕込原料を加熱する
第1熱処理工程を含む方法が記載されている。ついで金
属水銀は、金属硫化物上で吸着されてよい。
【0007】本出願人の米国特許US−4094777
には、金属硫化物からなる吸着物質を用いて、ガス相ま
たは液相での金属形態の水銀を捕集する方法が記載され
ている。
【0008】
【発明の構成】本発明により先行技術を組み合わせて使
用することが可能になる。上述された方法のうちの一方
または他方の方法によって仕込原料を直接処理する代わ
りに、種々の留分を得るために仕込原料を予め蒸留する
ことにより、水銀(および場合によってはヒ素)が、こ
れらの留分中に異なって分布することが見出された。一
般に、金属水銀は、最も軽質な単数または複数留分中に
いっそう集中される。水銀の化合物(特に有機金属化合
物)は、むしろ最も重質な単数または複数留分中に集中
するのに、スラッジは主として最も重質な留分中に見出
される。
【0009】従って、本発明の対象は、当該仕込原料の
初留点〜終留点の範囲内の温度で、処理された仕込原料
を蒸留する第1蒸留工程に関する。従って、これらの温
度は、20〜600℃である。本明細書の目的は、特公
平7−103377におけるように有機水銀化合物を金
属水銀に分解することではなく、同化合物をいくつかの
留分に分布する蒸留を行うことである。このことにより
該留分から良好な部分を分解することが可能になる。
【0010】故に、脱水銀すべき上述の仕込原料を予め
分別することにより、最も軽質な留分中に金属水銀の大
きな部分を集中させることが可能になる。従って、分別
工程後に得られる軽質留分中に水銀の濃度の増加が認め
られる。水銀は、特に水銀の有機金属化合物の分解によ
って、あるいは水銀が存在するスラッジの熱分解によっ
て得られる。従って、水銀に富む最も軽質な留分に因
り、最も重質な留分中の水銀濃度の低下が認められる。
【0011】より正確には、蒸留流出物中において特異
な水銀分布が見出された。蒸留工程による種々の水銀化
合物の元素状水銀への変換により、軽質留分中の水銀濃
度の大幅な増加と、重質留分中の金属水銀の濃度の低下
とが生じる。金属水銀の沸騰温度は356℃であるの
で、この水銀分布の変化は、全く予期しないものであ
る。水銀は、重質フラクション中に集中するものであ
る。しかし、蒸留によって、あらゆる水銀種を金属水銀
に分解できるわけではない。従って、非金属性水銀種
は、中間留分中に集中してたまる。
【0012】さらに、この蒸留工程は、硬質無機化合物
(シリカ等)および/または凝縮形態での重質炭化水素
から形成されるスラッジと呼ばれる懸濁液形態の粒子
を、留分の最も重質な部分に集中させる利点を有する。
該凝縮物中において、金属形態または有機金属形態で存
在していた水銀は、温度効果の下に分解される。
【0013】従って、本発明は、炭化水素仕込原料中の
水銀、および場合によってはヒ素の除去方法に関し、該
方法は、下記を含む: (1)種々の留分を生じる、前記炭化水素仕込原料の前
蒸留(または分別)。この蒸留は、前記仕込原料の種類
および特性に応じて温度一般に120〜500℃の範囲
において行われる。
【0014】(2)最も重質な留分のうちの少なくとも
1つの留分について行われる脱水銀(および場合によっ
ては脱ヒ素)。この脱水銀は、次の2工程で行われる: (a)水素の存在下に重質留分を触媒と接触させること
を含む第1工程。この工程は、特に水銀の有機金属化合
物を変換すること、換言すれば水銀(場合によってはヒ
素)を活性化させることを目的とする。有利には、例え
ば米国特許US−4911825に記載されている本出
願人の方法に応じて操作がなされてよい。この米国特許
方法は、水素の存在下に仕込原料を、ニッケル、コバル
ト、鉄およびパラジウムからなる群の少なくとも1つの
金属を含む触媒と接触させることからなる。水銀は、触
媒によって捕集されない(または非常にわずかに捕集さ
れる)が、該水銀は、下記に記載される第2工程におい
て、例えば硫黄または硫黄含有化合物を含む物質によっ
て捕集されるように、該触媒上で活性化される。
【0015】(b)第1工程の流出物の少なくとも一部
を、例えば硫黄および/または少なくとも1つの硫黄含
有化合物を含む水銀捕集物質上に通過させる、すなわち
第1工程からの前記流出物を、例えば、担体上に担持さ
れる金属硫化物をベースとする少なくとも1つの吸着剤
上に通過させることからなる第2工程。
【0016】(3)場合によっては、最も軽質な留分の
うちの少なくとも1つの留分中に含まれる水銀の吸着。
この吸収は、吸着剤または例えば硫黄および/または少
なくとも1つの硫黄含有化合物を含む捕集物質、さらに
は例えば担体上に担持される金属硫化物をベースとする
他の吸着剤上で、上記蒸留から来る少なくとも1つの軽
質留分を通過させることによって行われる。さらに、そ
こでは、有利には本出願人の米国特許US−A−409
4777に記載されている方法が使用される。
【0017】
【発明の実施の形態】[実施例1]蒸留される仕込原料
は、水銀およびヒ素の含有量各々500ppbおよび2
00ppbと、(水銀1〜5重量%を含む)スラッジの
含有量2000ppmとを含む凝縮物であった。仕込原
料を、5つの留分に蒸留した。水銀およびヒ素の分布
を、図1および図2の2つのグラフに示す。図中、P
I:初留点。
【0018】これら種々の留分中に存在する水銀種の正
確な分析により、次の分布が証明された:
【表1】 表中、Pi:初留点
【0019】従って、これら留分の脱水銀は、本発明に
おいて記載されたように、金属水銀を含む留分について
の金属水銀の簡単な吸着塔の設置を必要とする。従っ
て、他方、水銀だけでなくヒ素(図2を参照)の有機金
属化合物も含む最も重質な(>100℃)留分は、本発
明において記載されているように、2工程での精製装置
の設置によって汚染を除去されることになる。
【0020】さらに仕込原料中に存在しかつ水銀を含む
スラッジは、蒸留後に最も重質な留分(実施例による>
170℃)中に存在し、かつそのうえに完全に脱水銀さ
れる。
【0021】[実施例2]次の実施例では、実施例1の
方法に従って、水銀のみを含み、その含有量1500p
pbを有する別の凝縮物を蒸留した。種々の留分中の水
銀分布を図3に示す。
【0022】種々の留分中の水銀化合物の分析によっ
て、金属水銀の独占的な存在が証明された。これら留分
の各々に関する水銀の簡単な吸着塔の設置によって、9
9%以上の脱水銀効果が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸留温度と水銀濃度の関係を示すグラフであ
る。
【図2】蒸留温度とヒ素濃度の関係を示すグラフであ
る。
【図3】蒸留温度とヒ素濃度の関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10G 45/06 C10G 45/06 Z 45/10 45/10 Z (72)発明者 ブレーズ ディディヨン フランス国 フラーンシュヴィル アーン パース デ グリシン 11 (72)発明者 カリーヌ プチ クレール フランス国 モンテソン リュ フェリシ ェン ルサージュ 28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)少なくとも1つの軽質留分および少
    なくとも1つの重質留分を得るように炭化水素仕込原料
    を蒸留することと、 (2)少なくとも1つの前記重質留分を、次の2工程:
    すなわち ・重質留分を水素および触媒と接触させる第1工程、並
    びに ・第1工程からの流出物を、水銀および場合によっては
    ヒ素の捕集物質上に通過させることからなる第2工程を
    含む処理に付すことと、 場合によっては、水銀および場合によってはヒ素の捕集
    物質上に、上記蒸留から来る少なくとも1つの軽質留分
    を通過させることと、を含む炭化水素仕込原料中の水銀
    および場合によってはヒ素の除去方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程において、触媒が、ニッケ
    ル、コバルト、鉄およびパラジウムからなる群から選ば
    れる少なくとも1つの金属を含む、請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第2工程において、捕集物質または
    吸着物質が、硫黄および/または少なくとも1つの硫黄
    含有化合物を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記捕集物質が、担体に担持された少な
    くとも1つの金属硫化物を含む、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも1つの軽質留分がその上を通
    過させられる捕集物質が、硫黄および/または少なくと
    も1つの硫黄含有化合物を含む、請求項1〜3のうちの
    いずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記捕集物質が、担体に担持された少な
    くとも1つの金属硫化物を含む、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 蒸留が、120〜500℃で行われる、
    請求項1〜6のうちのいずれか1項記載の方法。
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