JP2001225549A - インクジェットプリント用積層フィルム及び該積層フィルムを用いたプリント品の製造方法 - Google Patents

インクジェットプリント用積層フィルム及び該積層フィルムを用いたプリント品の製造方法

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JP2001225549A
JP2001225549A JP2000041156A JP2000041156A JP2001225549A JP 2001225549 A JP2001225549 A JP 2001225549A JP 2000041156 A JP2000041156 A JP 2000041156A JP 2000041156 A JP2000041156 A JP 2000041156A JP 2001225549 A JP2001225549 A JP 2001225549A
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ink
laminated film
resin film
modulus
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JP2000041156A
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Hiroyoshi Sato
裕喜 佐藤
Nagaharu Arita
長治 有田
Hiroaki Miyamoto
浩昭 宮本
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プリント用フィルムの平坦性を得ながら、プリ
ント後の基材への施工性を良好なものにする。 【解決手段】低モジュラス樹脂フィルム2の表面にイン
ク吸収材層4を形成し、低モジュラス樹脂フィルム2の
裏面に高モジュラス樹脂フィルム3を剥離可能に重ね
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットプリ
ント用積層フィルム及び該積層フィルムを用いたプリン
ト品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンターによるプリン
トは、ノズルよりインクを噴射してフィルムその他の記
録媒体に付着ないしは定着させる方式である。このプリ
ント方式の場合、低沸点溶剤系のインクでは早期に乾燥
してノズルが詰まりやすくなるため、インクの溶媒とし
ては、水や高沸点の脂肪族炭化水素系溶剤、例えばエク
ソン社のアイソパー、フィリップス石油社のソルトー
ル、出光石油化学社のIPソルベントが使用され、石油
ナフサでは、シェル石油化学社のシェルS.B.R やシェル
ゾール、モービル石油社のペガゾール等が使用されてい
る。着色剤としては、顔料若しくは染料、又は該顔料と
染料との両者を用いた仕様が一般的であり、青色(シア
ン)、赤色(マゼンタ)、黄色(イエロー)、黒色(ブ
ラック)のインクをそれぞれ4個のヘッドから噴射させ
て、それらの色の重なりで目的の色が得られている。ま
た、最近では、ライトシアン、ライトマゼンタを加えた
6色のインクでプリントすることもなされている。
【0003】プリントされるフィルムないしはシートに
ついては、使用場所(屋外、屋内等),使用方法(基材
への貼り合わせ方法)等の用途別により、ポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂等の
熱可塑性樹脂フィルムや紙、合成紙、布、ターポリン等
から選択されている。また、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムの上にインク吸収材層を形成したものも知ら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の紙や合成紙の場
合、これにプリントを行なった後に例えば木枠に張って
看板等として使用することになるが、皺が寄らないよう
にまわりから張力をかけた状態で木枠に被せ、周縁部を
枠の裏側に折り曲げてホッチキス等で留めた際に、その
留めた部分が破れたり、そこから裂けたりすることがあ
る。
【0005】また、上述のポリエチレンテレフタレート
フィルムを用いたプリント用フィルムの場合、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムが柔軟でなくほとんど伸び
ないために、木枠に被せて周縁部を折り曲げることが難
しく、木枠のコーナー部の表面側でフィルムが盛り上が
ったり、フィルムに皺が寄ったりして、見栄えが悪くな
り易い。また、木枠に張った後においても、看板として
の使用中や看板の輸送中に角が尖った物に当たると、フ
ィルムに張力がかかっていることから、弱い衝撃であっ
ても簡単に破れ、あるいは裂けてしまうという問題があ
る。
【0006】これに対して、ポリ塩化ビニル、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン系の樹脂フィルムであれば、人の
力でも適度に伸びることから、木枠への張り付けが容易
であって、また、強い風が当たったり小石が当たっても
破れたり裂けたりすることは少ない。
【0007】しかし、このような低荷重で伸縮する熱可
塑性樹脂フィルムの上にインク吸収材層を形成したフィ
ルムは、温度や湿度の変化によって伸び縮みし易い。ま
た、このようなフィルムは、その幅方向における厚さの
公差が1〜2μmとなるように製作しても、これをロー
ル状に巻いて保管した場合、厚さの誤差の重なりによっ
て幅方向に波を打った部分がフィルムにできることがあ
る。その場合、フィルムの経時変化によってその波打ち
変形が元に戻らなくなり、インクジェットプリンターで
プリントするときに、プリンターのヘッドがフィルムの
波打ちによる凸部に接触してプリント不良を招き、さら
にはその凸部の突出量が大きい場合には当該ヘッドがフ
ィルムに引っ掛かってプリンターが停止するという問題
がある。
【0008】なお、インクジェットプリンターによるプ
リントにおいては、フィルムの送り方向と直交する方
向、つまりフィルム幅方向にヘッドが移動するから、フ
ィルムに上述の如き波打ちがあると、ヘッドがフィルム
の凸部に接触し、或いは引っ掛かるものである。
【0009】そこで、本発明は、プリント用フィルムを
ロール状に巻いて保管してもその平坦性が損なわれない
ものにすること、プリント後に木枠その他の基材に張る
際の施工が容易なものにすること、基材に張った状態で
プリント品に皺や盛り上がりを生じ難いものにするこ
と、また、簡単に破れたり裂けたりしないものにするこ
と、さらには電飾看板にも適したものにすること等を目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題に対して、低モジュラスのフィルムと高モジュラスの
フィルムとを積層し、低モジュラスのフィルムの上にイ
ンク吸収材層を形成するようにしたものである。
【0011】すなわち、本発明は、インクジェットプリ
ンターにより水性インクによってフルカラーのプリント
がなされるインクジェットプリント用積層フィルムであ
って、相対的にモジュラスが低い樹脂フィルムの層とモ
ジュラスが高い樹脂フィルムの層と上記プリントがなさ
れるインク吸収材層とを備え、上記インク吸収材層が上
記低モジュラスの樹脂フィルムの表面に形成され、上記
高モジュラスの樹脂フィルムが上記低モジュラスの樹脂
フィルムの裏面に剥離可能に重ねられていることを特徴
とする。
【0012】このような積層フィルムであれば、フィル
ム幅方向において厚さに多少の誤差があっても、ロール
状に巻いて保管した場合に低モジュラスの樹脂フィルム
の変形、特に波打ち変形を招くことが高モジュラスの樹
脂フィルムによって阻止されることになる。また、プリ
ント後に高モジュラスの樹脂フィルムを剥離して除去す
れば、インク吸収材層を支持する樹脂フィルムが低モジ
ュラスであって比較的伸び易いことから、基材に張り付
けたときにプリント品の周縁部に盛り上がりや皺を生ず
ることが少なくなり、また、フィルムに弾力性があるか
ら、ステップル、釘等の鋭利な留め具で基材に固定した
ときや風や物が当たったときでも簡単に破れたり裂けた
りすることがなくなる。
【0013】上記高モジュラスの樹脂フィルムのモジュ
ラスとしては、JIS C 2318に準ずる試験方法
(幅15mm、長さ200mmの試験片,試験温度23
±2℃,引張速度200mm/分)において、5%モジ
ュラスが800×9.8N〜1400×9.8Nのもの
が好ましく、さらに好ましいのは950×9.8N〜1
250×9.8Nのものである。そのような高モジュラ
スの樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート(以下、PETという。)がある。
【0014】また、上記低モジュラスの樹脂フィルムの
モジュラスとしては、上述のJISC 2318に準ず
る試験方法又はJIS K 6734に準ずる試験方法に
おいて、5%モジュラスが100×9.8N〜300×
9.8Nのものが好ましい。そのような低モジュラスの
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂フィルムが
ある。
【0015】すなわち、PETフィルムは熱収縮率が小
さく且つフラット性(平坦性)が非常に良い。このた
め、低モジュラスの樹脂フィルムが温度や湿度の変化に
よって伸び縮みすることが当該高モジュラスの硬いPE
Tフィルムによって抑えられ、積層フィルムの変形防止
に有利になる。上記低モジュラスの樹脂フィルムの、1
00℃のギヤオーブンに5分間放置したときの収縮率
{[(加熱前の寸法−加熱後の寸法)÷加熱前の寸法]×
100}が5〜10%であるとき、上記高モジュラスの
樹脂フィルムは、同じ条件での収縮率が1%以下、さら
には0.2%以下であることが好ましい。
【0016】上記インク吸収材としては、ポリエチレン
オキサイドを含有するポリエーテルポリオールにより形
成されたウレタン樹脂100重量部に、吸水剤としてシ
リカ、炭酸カルシウム、コラーゲン又は架橋アクリル酸
塩が30〜500重量部配合されたものが好ましい。
【0017】このようなウレタン樹脂であれば、ポリエ
チレンオキサイドの存在によって、水性インクと接触し
たときに該インク中の水分を吸収すると同時に膨潤す
る。単なる吸収機能ではなく、そこに膨潤があることに
重要な特徴がある。
【0018】この点を具体的に説明すると、仮にインク
吸収材が水性インク中の水分を浸透させる機能だけしか
有しない場合、該インク吸収材層に水性インクが接触す
ると、インク中の顔料ないしは染料が水分と共に該イン
ク吸収材層の表面に沿って浸透して水平に広がっていく
とともに、該表面から内部に垂直に浸透していく。この
ような機能が強すぎる場合には、顔料等の水平方向及び
垂直方向のにじみによってインク濃度が薄くなり、鮮や
かさに欠ける印刷になる。
【0019】一方、上記水分を浸透させる機能が弱い
と、上記にじみの問題は避けられるが、水性インクの水
分の吸収が不充分になるためその乾燥が遅くなる。この
ため、印刷後の経過時間が短い場合には、未乾燥のイン
クが流れたり、手についたり、印刷面に他の物を重ねた
ときにインクが当該他の物に転写され易くなり、作業性
が悪く、良好な仕上がりを得ることが難しくなる。ま
た、多色印刷の場合は、1色目のインクと2色目のイン
クとが混ざり合ってにじみ易く、仕上がりが悪くなる。
【0020】これに対して、当該発明では、上記ポリエ
チレンオキサイドがインク吸収材に対して、水性インク
中の水分を吸って膨潤する機能を与える。このため、水
性インクは、インク吸収材に接触したときに該インク吸
収材に水分を吸収されて比較的速やかに乾燥するもの
の、インク吸収材は膨潤することによって水分を当該イ
ンク接触部位に保持しようとするから、該水分が該接触
部位から周囲に大きく広がっていくことはなく、従っ
て、顔料等のにじみが少なくなってインク濃度の低下が
防止される。
【0021】また、インク吸収材中の吸水剤、すなわ
ち、シリカ、炭酸カルシウム、コラーゲン、架橋アクリ
ル酸塩は、上記ポリエチレンオキサイドによる吸水を補
助又は促進し、インクの乾燥性及びインクの定着性を向
上させる。以下、具体的に説明する。
【0022】シリカ(二酸化ケイ素)としては、その種
類は問わないが、含水無晶形で粒径20〜30nm程度
の球形の1次粒子が2次、3次に凝集して1つの粒子を
つくっている比表面積、細孔容積の大きなものが、イン
ク吸収材の吸水性向上の観点から好適である。
【0023】すなわち、上記ポリエチレンオキサイドを
含有するポリエーテルポリオールにより変性されたポリ
ウレタン樹脂(以下では単に吸水性ウレタン樹脂という
場合がある。)にシリカを添加してなるインク吸収材の
場合、これに水性インクで印刷を行なうと、上記吸水性
ウレタン樹脂の吸水・膨潤作用に加えて、シリカの有す
る比表面積及び細孔容積が大きいという構造上の特性に
よって、水性インク中の水分を吸収する能力が高まり、
インクの乾燥性向上に有利になる。しかも、シリカの細
孔内に水性インク中の着色剤(顔料,染料)が捕捉され
るため、該着色剤がまわりに必要以上に浸透していくこ
とが防止され、印刷が鮮やかなものになる。
【0024】上記シリカの配合量は、上記吸水性ウレタ
ン樹脂100重量部(溶剤を含まない固形の樹脂量が1
00重量部の意味である。以下、特に断りがない限り同
じ。)に対して、30〜500重量部が好適である。そ
れは、30重量部未満では、上述の作用効果を得るには
不充分であり、一方、500重量部を越えると、当該イ
ンク吸収材をベースに接着する場合の接着性が損なわれ
るためである。このシリカの大きさについては平均粒径
1〜15μm程度のものが好適であり、1〜10μm程
度のものがさらに好適である。
【0025】炭酸カルシウムは、一般に水圏に溶解して
いるCaCO3 が生物を通して、あるいは化学的な原因
によって沈殿し、堆積したものであり、水中で一定の溶
解度をもっている。この性質のために、上記吸水性ウレ
タン樹脂に炭酸カルシウムを添加すると、得られたイン
ク吸収材では、炭酸カルシウムが、水性インク中の水分
を吸収し該水性インクの乾燥を促進する成分として働
く。
【0026】また、炭酸カルシウムは、一般に樹脂溶液
と混和性がよく、その混合液をバーコーター、グラビア
コーター等によってコーティングした場合の塗膜(イン
ク吸収材層)の平滑性を損なわない。しかも、炭酸カル
シウム、その平均粒径が0.1〜3μmと小さいため均
一に分散し易く、得られるインク吸収材は水性インクの
吸収むらが実質的にないものになり、一定のインク濃度
を有する印刷を行なう上で有利になる。
【0027】なお、炭酸カルシウムと樹脂との混和性を
良くするために、炭酸カルシウムの粒子表面を脂肪酸、
カチオン種等でコーティングすることもできるが、当該
発明では炭酸カルシウムを吸水剤として使用するもので
あるから、そのようなコーティング処理はない方が好ま
しい。
【0028】上記炭酸カルシウムの配合量は、30重量
部未満では、上述の作用効果を得るには不充分であり、
500重量部を超えると炭酸カルシウムの分散不良を招
き易くなり、塗工面の状態が悪くなる。
【0029】コラーゲンは、動物の皮膚、腱等の結合組
織や、骨、象牙質等の硬組織に存在する繊維状の蛋白質
であり、吸湿・吸水の作用を有する。
【0030】上記吸水性ウレタン樹脂にコラーゲンを添
加してなるインク吸収材の場合、これに水性インクで印
刷を行なうと、上記吸水性ウレタン樹脂の吸水・膨潤作
用に加えて、コラーゲンの吸水作用によって水性インク
中の水分を吸収する能力が高まり、インクの乾燥性が向
上する。しかも、コラーゲンの添加によってインク吸収
材の表面に微細な凹凸ができ、該微細凹凸によって水性
インク中の着色剤が捕捉され、該着色剤がまわりに必要
以上に浸透していくことが防止され、印刷が鮮やかなも
のになる。また、このコラーゲンはプリント面のべとつ
きを防止する。
【0031】上記コラーゲンの配合量は、30重量部未
満では、上述の作用効果を得るには不充分であり、一
方、500重量部を越えると、当該インク吸収材におけ
るコラーゲンの分散不良を生じ易くなり、これをベース
に塗工した場合のインク吸収材層の表面状態が悪くな
る。コラーゲンの大きさとしては、平均粒径が6〜15
μm程度のものが好適であり、さらに好適な粒径6〜1
0μmである。
【0032】架橋アクリル酸塩は、ポリマーの長い鎖同
士がところどころ結合して三次元構造を形成したもので
あり、吸水作用を有する。すなわち、この架橋アクリル
酸塩は、水を含んでいないときは収縮して全体が密に固
まっているが、上記鎖は多くの親水基(カルボキシル
基)を有するため、水中に入れると水に溶けようとして
広がりはじめる。上記親水基はその電荷がマイナス側に
片寄っているため、この親水基同士の反発があり、それ
によって広がりがさらに助長される。しかし、この塩
は、三次元網目構造になっているため、ある程度広がる
とそれ以上は広がらず、網目構造中に水を閉じ込めた膨
潤状態になる。
【0033】このような架橋アクリル酸塩を上記吸水性
ウレタン樹脂に添加してなるインク吸収材の場合、これ
に水性インクで印刷を行なうと、上記吸水性ウレタン樹
脂の吸水・膨潤作用に加えて、架橋アクリル酸塩の吸水
・膨潤作用によって水性インク中の水分を吸収する能力
が高まり、インクの乾燥性が向上する。しかも、架橋ア
クリル酸塩の添加によってインク吸収材の表面に微細な
凹凸ができ、該微細凹凸によって水性インク中の着色剤
が捕捉され、該着色剤がまわりに必要以上に浸透してい
くことが防止され、印刷が鮮やかなものになる。
【0034】上記架橋アクリル酸塩の配合量は、30重
量部未満では、上述の作用効果を得るには不充分であ
り、一方、500重量部を越えると、当該インク吸収材
における分散不良を生じ易くなり、これをベースに塗工
した際の表面状態が悪くなる。この架橋アクリル酸塩の
配合量の上限は300重量部とすることがより好まし
い。それは、架橋アクリル酸塩は、シリカや炭酸カルシ
ウム、あるいはコラーゲンに比べて粒径が大きく、塗工
面の凹凸を招き易いためである。すなわち、架橋アクリ
ル酸塩は、10〜50μm程度の粒径をもつのが普通で
あるためである。
【0035】また、上記吸水剤については、上記ウレタ
ン樹脂100重量部に対して、シリカ、炭酸カルシウ
ム、コラーゲン及び架橋アクリル酸塩のうちから選択さ
れた2種以上を合計で30〜500重量部配合すること
が好ましい。
【0036】すなわち、上述の如く、上記吸水剤は各々
を単独で上記ウレタン樹脂に配合することができるが、
2種以上を組み合わせて配合すると、組合せの効果が得
られ、印刷を鮮明なものにする上で有利になる。また、
このように2種以上の吸水剤を適宜組み合わせて使用す
る場合も、その合計の配合量は、所期の効果を得て且つ
塗工性を確保する上から、上記吸水性ウレタン樹脂10
0重量部に対して30〜500重量部とすることが好ま
しい。
【0037】上記インク吸収材層の厚さは5〜200μ
mであることが好ましい。すなわち、インク吸収材に水
性インクを確実に吸収させて乾燥・定着させるためには
その厚さを5μm以上とすることが好適であり、10μ
m以上とすることがさらに好ましい。また、その上限は
特に問わず、ベースに塗工することによってインク吸収
材層を形成する場合は当該厚みを50μm程度までにす
る方が塗工作業性の面から有利であるが、その厚みは1
00μmであっても、200μmであっても水性インク
の定着という面では何の問題もない。
【0038】上記低モジュラスの熱可塑性樹脂フィルム
としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロ
ピレンのフィルムを採用し、その厚さを60〜1000
μmとし、温度23±2℃、引張速度50mm/分にお
ける10%モジュラスを50〜400kg/cm2とす
ることが好ましい。
【0039】すなわち、10%モジュラスが50kg/
cm2未満であれば、高モジュラス樹脂フィルムを剥離
除去してから、当該低モジュラスの樹脂フィルムを基材
に張り付けるときに、張力をかけるべく手で引っ張る
と、この樹脂フィルムが小さな力でも部分的に伸びてし
まい、そのために皺が寄り易くなり、また、基材に張り
付けた後も小さな力で変形し易くなる。一方、10%モ
ジュラスが400kg/cm2を越えるような大きな値
になると、フィルムが硬すぎて張力をかけても平坦にな
り難く、また、ホッチキス等で基材に留めたときに、そ
の留めた部分からプリント品が破れたり裂けたりし易く
なる。
【0040】例えば、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて当該
低モジュラスフィルムを得る場合、重合度800〜13
00のポリ塩化ビニル100重量部に可塑剤を15〜4
0重量部配合した組成物を用いればよい。ポリエチレン
の場合はJIS-K-7210によるメルトフローレートが0.0
3〜5g/10分の高密度ポリエチレンを用いればよ
く、ポリプロピレンの場合は、メルトフローレートが1
〜20g/10分のランダムポリプロピレン、ホモポリ
プロピレンを用いればよい。
【0041】上記PETフィルムとしては、2軸延伸さ
れたものであって、その厚さが10〜300μmである
ものが好ましい。すなわち、10μm未満であれば、低
モジュラス樹脂フィルムを伸び縮みしないように確実に
拘束することが難しくなり、低モジュラス樹脂フィルム
の伸び力又は縮み力に負けて積層フィルム全体の反りを
招き易くなる。当該厚さが300μmを越えることは品
質上の問題にはならないが、コスト面で不利になる。
【0042】上記積層フィルムは、全光線透過率が10
〜50%として、背面から蛍光灯によって光が当てられ
て使用される電飾看板にすることができる。全光線透過
率が10%未満であれば、背面から当てられる蛍光灯の
光の透過量が少なすぎるためプリントされたインクの発
色性が悪くなり、電飾看板としての期待する機能を発揮
させることができない。一方、全光線透過率が50%を
越える場合には背面の蛍光灯の存在が表側からわかり、
見栄えが悪くなる。
【0043】全光線透過率を10〜50%にするために
は、低モジュラス樹脂フィルムを形成する樹脂に配合す
る酸化チタンの量を調節することが好ましい。PET樹
脂フィルムの場合、その厚さを例えば100μmとする
ときは樹脂100重量部あたり酸化チタンを0.5〜2
0重量部配合すればよく、フィルム厚さが200μmに
なると、全光線透過率は厚さ100μmの場合の半分に
なるから、酸化チタンの配合量は樹脂100重量部あた
り0.25〜10重量部とすればよい。
【0044】また、本発明は、上述の如きインクジェッ
トプリント用積層フィルムを用いたプリント品の製造方
法であって、上記積層フィルムにインクジェットプリン
ターにより水性インクによってフルカラーのプリントを
行なった後に上記高モジュラスの樹脂フィルムを剥離し
て除去することを特徴とする。
【0045】従って、得られたプリント品はそのまま垂
れ幕、ロールスクリーン等に使用することができる。
【0046】また、本発明は、上述の如きインクジェッ
トプリント用積層フィルムを用いたプリント品の製造方
法であって、上記積層フィルムにインクジェットプリン
ターにより水性インクによってフルカラーのプリントを
行なった後に上記高モジュラスの樹脂フィルムを剥離し
て除去し、接着剤又は粘着剤が塗布された基材に上記低
モジュラスの樹脂フィルム面を接着面として貼ることを
特徴とする。
【0047】基材としては、アルミニウム板、アクリル
樹脂板、ステンレス板、ベニヤ板、塗装された板、布等
を採用することができ、接着剤又は粘着剤はスプレーや
刷毛で塗布すればよい。得られたプリント品は看板、垂
れ幕、ロールスクリーン等に使用することができる。
【0048】また、本発明は、上述の如きインクジェッ
トプリント用積層フィルムを用いたプリント品の製造方
法であって、上記積層フィルムにインクジェットプリン
ターにより水性インクによってフルカラーのプリントを
行なった後に上記高モジュラスの樹脂フィルムを剥離し
て除去し、得られたプリントフィルムを基材に被せ、周
縁部を基材の裏側に折り曲げて留めることを特徴とす
る。
【0049】上記基材として、例えば木枠、アルミニウ
ム板、アクリル樹脂板、ステンレス板、ベニヤ板、塗装
された板等を採用することができ、当該プリントフィル
ム(低モジュラス樹脂フィルム上のインク吸収材層にプ
リントがなされたもの)の基材裏側への留めには、例え
ばホッチキスによるステップ打ちや粘着テープを採用す
ることができる。従って、得られたプリント品は看板と
して使用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低モジ
ュラスの樹脂フィルム層と、高モジュラスの樹脂フィル
ム層と、インクジェットプリンターにより水性インクに
よってフルカラーのプリントがなされるインク吸収材層
とを備え、インク吸収材層が低モジュラスの樹脂フィル
ムの表面に形成され、高モジュラスの樹脂フィルムが低
モジュラスの樹脂フィルムの裏面に剥離可能に重ねられ
ているから、ロール状に巻いて保管してもその平坦性が
損なわれず、プリント後に木枠その他の基材に張る際の
施工が容易になって、基材に張った状態でプリントフィ
ルムに皺や盛り上がりを生じ難くなり、しかも、得られ
た製品は簡単に破れたり裂けたりしないようになる、と
いう効果が得られる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0052】図1に示すように本発明に係るインクジェ
ットプリント用積層フィルム1は、低モジュラスの樹脂
フィルム2の層と、高モジュラスの樹脂フィルム3の
層、インクジェットプリンターによってフルカラーのプ
リントがなされるインク吸収材層4とを備えてなる。イ
ンク吸収材層4は低モジュラス樹脂フィルム2の表面に
形成され、高モジュラス樹脂フィルム3は低モジュラス
樹脂フィルム2の裏面に剥離可能に重ねられている。従
って、低モジュラス樹脂フィルム2はインク吸収材層を
支持する支持体層を構成している。
【0053】<積層フィルムの各例の説明>以下、上記
積層フィルム1に関する各実施例を説明する。
【0054】−例1− 重合度1300のPVC(ポリ塩化ビニル)100.0
重量部に対して、可塑剤としてDOP(フタル酸ジオク
チル)を28.0重量部、チタン顔料(酸化チタン)を
20.0重量部、安定剤を適量配合し、カレンダー加工
によって厚さ150μmのPVCフィルムを得た。この
PVCフィルムは上述の低モジュラス樹脂フィルム(支
持体層)2を構成するものである。
【0055】次に上記PVCフィルムと二軸延伸された
厚さ25μmのPETフィルムとを熱ラミネーター機に
よりドラム温度160℃でラミネートすることによって
二層フィルムを形成し、これを冷却して巻き取った。こ
のPETフィルムは上述の高モジュラス樹脂フィルム3
を構成するものである。1121.6×9.8Nの 上記二層フィルムのPVCフィルム面にインク吸収材溶
液をバーコーターにより塗工し、溶剤成分を乾燥炉で揮
発させることによって、乾燥後の厚さが40μmのイン
ク吸収材層を形成した。インク吸収材溶液の配合は次の
通りである。
【0056】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 (三洋化成工業(株)製HMP−17A,樹脂固形分30%) シリカ 36.0重量部 (塩野義製薬(株)製カープレックスBS304N) 炭酸カルシウム 9.0重量部 (白石中央研究所(株)製カルライトKT) 溶剤(DMF(ジメチルホルムアミド)) 100.0重量部 得られた積層フィルムのインク吸収材層の面にインクジ
ェットプリンター((株)ミマキエンジニアリング製J
V−1300)によって所定のカラーパターンをプリン
トして、裏面側のPETフィルムを剥離した。そうし
て、図2に示すように得られたプリントフィルム5を木
枠6に張り付けた。
【0057】すなわち、木枠6は幅60cm、長さ90
cmの矩形状のものであり、中央に補強材7が設けられ
ている。この木枠6に上記プリントフィルム5を被せ、
このプリントフィルム5に両手で張力をかけながら周縁
部を木枠6の裏側に折曲げ、木枠6のコーナー及び中間
部にプリントフィルム5の折曲げ部をホッチキスによっ
て留めることによって、看板を製作した。
【0058】また、平板状のアルミニウム板(幅60c
m、長さ90cmの矩形)の表面に粘着剤をスプレーに
よって塗布し、溶剤を揮発させた後、スキージを使用し
て同様のプリントフィルム5を当該アルミニウム板に貼
ることにより、看板を製作した。
【0059】−例2− 重合度800のPVC100.0重量部に対して、DO
Pを15.0重量部、チタン顔料を20.0重量部、安
定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ300
μmのPVCフィルムを得た。このPVCフィルムと二
軸延伸された厚さ100μmのPETフィルムとを熱ラ
ミネーター機によりドラム温度170℃でラミネートす
ることによって二層フィルムを形成し、これを冷却して
巻き取った。
【0060】上記二層フィルムのPVCフィルム面にイ
ンク吸収材溶液をバーコーターにより塗工し、溶剤成分
を乾燥炉で揮発させることによって、乾燥後の厚さが3
0μmのインク吸収材層を形成した。インク吸収材溶液
の配合は次の通りである。
【0061】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 シリカ 30.0重量部 コラーゲン 6.0重量部 (昭和電工(株)製トリアゼットCX285−1) 溶剤 100.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、シリカ及び溶剤は例1と同じ
ものである。
【0062】得られた積層フィルムを用い、例1と同様
にして2種類の看板を製作した。
【0063】−例3− 重合度1300のPVC100.0重量部に対して、D
OPを40.0重量部、チタン顔料を20.0重量部、
安定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ60
μmのPVCフィルムを得た。このPVCフィルムと二
軸延伸された厚さ200μmのPETフィルムとを熱ラ
ミネーター機によりドラム温度170℃でラミネートす
ることによって二層フィルムを形成し、これを冷却して
巻き取った。
【0064】上記二層フィルムのPVCフィルム面にイ
ンク吸収材溶液をバーコーターにより塗工し、溶剤成分
を乾燥炉で揮発させることによって、乾燥後の厚さが5
0μmのインク吸収材層を形成した。インク吸収材溶液
の配合は次の通りである。
【0065】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 炭酸カルシウム 45.0重量部 架橋アクリル酸塩 3.0重量部 (三洋化成工業(株)製サンフレッシュST−100SP) 溶剤 100.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、炭酸カルシウム及び溶剤は例
1と同じものである。
【0066】得られた積層フィルムを用い、例1と同様
にして2種類の看板を製作した。
【0067】−例4− 高密度ポリエチレン(三井化学(株)製ハイゼックス6
300M)100.0重量部に対して、チタン顔料を2
0.0重量部、フェノール系酸化防止剤及び光安定剤を
適量配合し、カレンダー加工によって厚さ200μmの
ポリエチレン(以下、PEという。)フィルムを得た。
このフィルムと二軸延伸された厚さ300μmのPET
フィルムとを熱ラミネーター機によりドラム温度170
℃でラミネートすることによって二層フィルムを形成
し、これを冷却して巻き取った。
【0068】上記二層フィルムのPEフィルム面にコロ
ナ処理を施し、インク吸収材溶液をバーコーターにより
塗工し、溶剤成分を乾燥炉で揮発させることによって、
乾燥後の厚さが50μmのインク吸収材層を形成した。
インク吸収材溶液の配合は次の通りである。
【0069】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 コラーゲン 60.0重量部 架橋アクリル酸塩 3.0重量部 溶剤 150.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、コラーゲン、架橋アクリル酸
塩及び溶剤は先の例と同じものである。
【0070】得られた積層フィルムを用い、例1と同様
にして2種類の看板を製作した。
【0071】−例5− ランダムポリプロピレン(チッソ(株)製HF108
0)100.0重量部に対して、チタン顔料を20.0
重量部、フェノール系酸化防止剤及び光安定剤を適量配
合し、カレンダー加工によって厚さ150μmのポリプ
ロピレン(以下、PPという。)フィルムを得た。この
フィルムと二軸延伸された厚さ12μmのPETフィル
ムとを熱ラミネーター機によりドラム温度150℃でラ
ミネートすることによって二層フィルムを形成し、これ
を冷却して巻き取った。
【0072】上記二層フィルムのPPフィルム面にコロ
ナ処理を施し、インク吸収材溶液をバーコーターにより
塗工し、溶剤成分を乾燥炉で揮発させることによって、
乾燥後の厚さが40μmのインク吸収材層を形成した。
インク吸収材溶液の配合は次の通りである。
【0073】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 シリカ 60.0重量部 炭酸カルシウム 60.0重量部 溶剤 150.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、シリカ、炭酸カルシウム及び
溶剤は先の例と同じものである。
【0074】得られた積層フィルムを用い、例1と同様
にして2種類の看板を製作した。
【0075】−例6− 重合度1300のPVC100.0重量部に対して、D
OPを20.0重量部、チタン顔料を8.0重量部、安
定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ150
μmのPVCフィルムを得た。このPVCフィルムと二
軸延伸された厚さ25μmのPETフィルムとを熱ラミ
ネーター機によりドラム温度160℃でラミネートする
ことによって二層フィルムを形成し、これを冷却して巻
き取った。
【0076】上記二層フィルムのPVCフィルム面にイ
ンク吸収材溶液をバーコーターにより塗工し、溶剤成分
を乾燥炉で揮発させることによって、乾燥後の厚さが5
0μmのインク吸収材層を形成した。インク吸収材溶液
の配合は次の通りである。
【0077】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 シリカ 36.0重量部 炭酸カルシウム 6.0重量部 溶剤 100.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、シリカ、炭酸カルシウム及び
溶剤は先の例と同じものである。
【0078】得られた積層フィルムに例1と同様にして
プリントし、裏面側のPETフィルムを剥離することに
よってプリントフィルムを得た。次に粘着剤をスプレー
塗工し乾燥させた透明アクリル板の粘着剤面に当該プリ
ントフィルムをスキージによって貼り付けることによっ
てプリント板を得た。次に背面に蛍光灯が取付けられて
いる箱形ケースの前面にそのプリント板を設置すること
によって電飾看板を得た。
【0079】−例7− チタン顔料の配合量を0.5重量部とする他は例6と同
様にして電飾看板を製作した。
【0080】−例8− インク吸収材溶液の配合を次のようにし且つインク吸収
材層の乾燥厚さを50μmとする他は例1と同様にして
例1と同様の看板を製作した。
【0081】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 シリカ 3.0重量部 炭酸カルシウム 3.0重量部 溶剤 100.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、シリカ、炭酸カルシウム及び
溶剤は先の例と同じものである。
【0082】−例9− インク吸収材溶液の配合を次のようにし且つインク吸収
材層の乾燥厚さを50μmとする他は例1と同様にして
例1と同様の看板を製作した。
【0083】 吸水性ウレタン樹脂 100.0重量部 シリカ 60.0重量部 炭酸カルシウム 75.0重量部 溶剤 150.0重量部 上記吸水性ウレタン樹脂、シリカ、炭酸カルシウム及び
溶剤は先の例と同じものである。
【0084】−例10− インク吸収材層の厚さを2μmとする他は例1と同様に
して例1と同様の看板を製作した。
【0085】−例11− 重合度800のPVC100.0重量部に対して、DO
Pを10.0重量部、チタン顔料を20.0重量部、安
定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ60μ
mのPVCフィルムを得る他は例1と同様にして例1と
同様の看板を製作した。
【0086】−例12− 重合度1300のPVC100.0重量部に対して、D
OPを45.0重量部、チタン顔料を20.0重量部、
安定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ70
μmのPVCフィルムを得る他は例1と同様にして例1
と同様の看板を製作した。
【0087】−例13− PETフィルムの厚さを8μmとする他は例1と同様に
して例1と同様の看板を製作した。
【0088】−例14− 重合度1300のPVC100.0重量部に対して、D
OPを28.0重量部、チタン顔料を40.0重量部、
安定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ70
μmのPVCフィルムを得ること、並びにインク吸収材
層の厚さを40μmとすることの他は例6と同様にして
例6と同様の電飾看板を製作した。
【0089】−例15− 重合度1300のPVC100.0重量部に対して、D
OPを28.0重量部、チタン顔料を0.3重量部、安
定剤を適量配合し、カレンダー加工によって厚さ150
μmのPVCフィルムを得ること、並びにインク吸収材
層の厚さを40μmとすることの他は例6と同様にして
例6と同様の電飾看板を製作した。
【0090】<各例の評価>上記例1〜15について、
以下の項目の評価を行なった。
【0091】−インクジェットプリント適性− インクジェットプリンターとしては、青、黄、赤及び黒
の4つのインクヘッドを有する(株)ミマキエンジニア
リング製JV−1300を用い、インクには水性顔料タ
イプのものを使用して評価した。
【0092】プリントは、各例のプリント用フィルム
(PETフィルムを剥離したもの)に対して、20mm
×20mmの正方形の図形を、青100%、黄100
%、赤100%、黒100%、青100%+黄100%
(計200%)、青100%+赤100%(計200
%)、並びに黄100%+青100%(計200%)の
7色で描く、というものである。この数値100%とは
1つのインクヘッドから噴射することができる最大イン
ク量を噴射させて印刷したという意味であり、計200
%は例えば青100%+黄100%の場合は、青100
%の印刷を行なった後に黄100%の印刷を行なったと
いう意味である。
【0093】(インク吸収力)プリントされた図形の縦
と横の長さをノギスで測定し、にじみ量が1mm以内の
ものを「○」、1mmを越えるものを「×」とした。
【0094】(乾燥性)プリントから10分経過した時
点でそのプリント面を手で触って、手にインクがつかな
いものを「○」、手につくものを「×」とした。
【0095】(発色性)プリント部分のインクの濃さを
目視にて評価した。すなわち、インクが濃い(鮮明な)
ものを「○」、薄いものを「×」とした。
【0096】−プリンター搬送性− 幅1mのプリント用フィルムにプリントしたときに、プ
リンターのヘッドにプリント用フィルムが触れる(又は
引っ掛かる)か否かを目視にて評価した。すなわち、触
れる(又は引っ掛かる)ものを「×」とし、触れないも
のを「○」とした。
【0097】−フィルムのフラット性− 各例のロールに巻いた幅1m、長さ20mの二層フィル
ムをロールから1.5m繰り出し、幅方向に張力をかけ
た状態にして、その表面(インク吸収材層を形成する
面)に長さ1mの直線定規を当て、この直線定規とフィ
ルムとが接触していない部分の間隔(隙間の大きさ)を
測定し、その間隔が10mm以内のものを「○」、10
mmを越えるものを「×」とした。
【0098】−木枠基材への施工性− プリントフィルム5を木枠6に張り付け、その状態で2
4時間室内に放置し、プリント面の平滑性と裏面のステ
ップルで留めた部分の状態を目視で評価した。すなわ
ち、プリント面が平滑で且つ留め部分に変化がないもの
を「○」、フィルムにたるみがあるもの、留め部に破
れ、裂け等の異常があるもの、張り付け時にフィルムが
破れ又は裂けたものを「×」とした。
【0099】−板状基材への施工性− 上記アルミニウム板にプリントフィルム5を貼り付けた
ときに、プリントフィルム5に皺の発生やエアのかみ込
み等の不具合がでないものを「○」、そのような不具合
を生じたものを「×」とした。
【0100】−フィルムの引張特性(10%モジュラ
ス)− 各例のプリントフィルム5についてJIS-K-6734に基づく
引張試験により、フィルム縦方向(長さ方向)及び幅方
向の伸び率10%での応力を測定した。試験温度は23
±2℃とし、引張速度は50mm/分とした。
【0101】−全光線透過率− JIS-Z-7105に準じて全光線透過率を測定した。全光線透
過率が10〜50%のものを「○」とし、10%未満又
は50%を越えるものを「×」とした。
【0102】−結果− 評価(試験)結果は表1及び表2に示されている。な
お、インク吸収材層の配合については乾燥状態で表して
いる。すなわち、例えば例1の場合、インク吸収材溶液
を形成するときのシリカの配合量はウレタン樹脂100
重量部に対して36.0重量部であるが、吸水性ウレタ
ン樹脂は樹脂固形分が30%であるから、乾燥状態での
シリカ配合量はウレタン樹脂100重量部に対して12
0重量部(36.0÷0.3=120)となる。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】表によれば、例1〜7は全ての評価項目に
ついて期待する結果が得られたが、例8〜15について
は問題があった。
【0106】すなわち、例8は、吸水剤(シリカ及び炭
酸カルシウム)の配合量が少ない例であるが、そのため
にインクジェットプリント適性が良くない、という結果
になった。
【0107】例9は、吸水剤(シリカ及び炭酸カルシウ
ム)の配合量が多すぎる例であるが、そのために木枠基
材への施工時において、プリントフィルムを木枠の裏側
に折り曲げたときに、インク吸収材層に割れを発生する
という問題があった。また、インク吸収材のPVCフィ
ルムに対する密着性も良くないという問題があった。
【0108】例10は、インク吸収材層が薄すぎる例で
あるが、そのためにインクジェットプリント適性が良く
ない、という結果になった。
【0109】例11は、PVCフィルムの可塑剤が少な
い例であるが、そのために10%モジュラスが高いもの
になり、そのフィルム厚さがあまりないこともあって、
木枠基材に施工したときにプリントフィルムが破れると
いう問題があった。
【0110】例12は、PVCフィルムの可塑剤が多す
ぎる例であるが、そのために10%モジュラスが低いも
のになり、そのフィルム厚さがあまりないこともあっ
て、木枠基材や板状基材に施工したときにプリントフィ
ルムが伸びてしまい、施工し難いという問題があった。
【0111】例13は、PETフィルムの厚さが薄い例
であるが、そのためにPVCフィルムの伸び縮みを充分
に抑えることができず、プリント用フィルムの平坦性が
損なわれ、プリンター搬送性が悪いという結果になって
いる。
【0112】例14は、PVCフィルムのチタン顔料の
配合量が多い例であるが、そのために全光線透過率が低
くなり、電飾看板としては不適という結果になった。
【0113】例15は、PVCフィルムのチタン顔料の
配合量が少ない例であるが、そのために全光線透過率が
高くなり過ぎ、電飾看板としては不適という結果になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層フィルムの断面図。
【図2】木枠へのプリントフィルムの張り付け態様を示
す斜視図。
【符号の説明】
1 積層フィルム 2 低モジュラスの樹脂フィルム 3 高モジュラスの樹脂フィルム 4 インク吸収材層 5 プリントフィルム 6 木枠
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 浩昭 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FB02 FC06 2H086 BA02 BA15 BA19 BA33

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェットプリンターにより水性イ
    ンクによってフルカラーのプリントがなされるインクジ
    ェットプリント用積層フィルムであって、 相対的にモジュラスが低い樹脂フィルムの層とモジュラ
    スが高い樹脂フィルムの層と上記プリントがなされるイ
    ンク吸収材層とを備え、 上記インク吸収材層が上記低モジュラスの樹脂フィルム
    の表面に形成され、 上記高モジュラスの樹脂フィルムが上記低モジュラスの
    樹脂フィルムの裏面に剥離可能に重ねられていることを
    特徴とするインクジェットプリント用積層フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムにおいて、 上記高モジュラスの樹脂フィルムがポリエチレンテレフ
    タレートフィルムであり、 上記低モジュラスの樹脂フィルムが熱可塑性樹脂フィル
    ムであることを特徴とするインクジェットプリント用積
    層フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムにおいて、 上記インク吸収材は、ポリエチレンオキサイドを含有す
    るポリエーテルポリオールにより形成されたウレタン樹
    脂100重量部に、シリカ、炭酸カルシウム、コラーゲ
    ン及び架橋アクリル酸塩のうちから選択された2種以上
    が合計で30〜500重量部配合されたものであること
    を特徴とするインクジェットプリント用積層フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムにおいて、 上記インク吸収材層の厚さが5〜200μmであること
    を特徴とするインクジェットプリント用積層フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムにおいて、 上記低モジュラスの熱可塑性樹脂フィルムは、ポリ塩化
    ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレンのフィルムで
    あり、その厚さが60〜1000μmであり、且つ温度
    23±2℃、引張速度50mm/分における10%モジ
    ュラスが50〜400kg/cm2であることを特徴と
    するインクジェットプリント用積層フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムにおいて、 上記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、2軸延伸
    されたものであり、その厚さが10〜300μmである
    ことを特徴とするインクジェットプリント用積層フィル
    ム。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムにおいて、 用途が背面から蛍光灯によって光が当てられて使用され
    る電飾看板であり、全光線透過率が10〜50%である
    ことを特徴とするインクジェットプリント用積層フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムを用いたプリント品の製造方
    法であって、 上記積層フィルムにインクジェットプリンターにより水
    性インクによってフルカラーのプリントを行なった後に
    上記高モジュラスの樹脂フィルムを剥離して除去するこ
    とを特徴とするプリント品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載されているインクジェッ
    トプリント用積層フィルムを用いたプリント品の製造方
    法であって、 上記積層フィルムにインクジェットプリンターにより水
    性インクによってフルカラーのプリントを行なった後に
    上記高モジュラスの樹脂フィルムを剥離して除去し、 接着剤又は粘着剤が塗布された基材に上記低モジュラス
    の樹脂フィルム面を接着面として貼ることを特徴とする
    プリント品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載されているインクジェ
    ットプリント用積層フィルムを用いたプリント品の製造
    方法であって、 上記積層フィルムにインクジェットプリンターにより水
    性インクによってフルカラーのプリントを行なった後に
    上記高モジュラスの樹脂フィルムを剥離して除去し、 得られたプリントフィルムを基材に被せ、周縁部を基材
    の裏側に折り曲げて留めることを特徴とするプリント品
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004216654A (ja) * 2003-01-14 2004-08-05 Toyo Ink Mfg Co Ltd インクジェット受容シートおよびそれを用いた電飾看板
JP2018045723A (ja) * 2017-12-21 2018-03-22 新コスモス電機株式会社 ガス漏れ警報器

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