JP2001221696A - 感温感歪複合センサ - Google Patents

感温感歪複合センサ

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JP2001221696A JP2000074937A JP2000074937A JP2001221696A JP 2001221696 A JP2001221696 A JP 2001221696A JP 2000074937 A JP2000074937 A JP 2000074937A JP 2000074937 A JP2000074937 A JP 2000074937A JP 2001221696 A JP2001221696 A JP 2001221696A
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秀夫 金子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の歪及び温度を同時に検知するセンサは、
感度が悪い、誤差が大きい、補償回路を必要とするなど
の問題があった。本発明は、高感度で誤差が少なく、補
償回路を必要とせずに歪及び温度を同時に検知可能とす
るセンサを提供するにある。 【解決手段】本発明は、温度感度が大きく歪感度(又は
圧力感度)が小さい温度検知用薄膜、及び歪感度(又は
圧力感度)が大きく温度感度が小さい歪検知用薄膜とい
う、大きく異なる特徴を持つ二つの薄膜抵抗体を、並列
構造あるいは積層構造をなして構成することにより、補
償回路を用いずに温度及び歪(又は圧力)を同時に検出
することが可能な複合型センサを提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度及び歪(又は圧
力)を同時に検出可能なセンサに関する。特に、温度感
度が大きく歪感度(又は圧力感度)が小さい温度セン
サ、及び歪感度(又は圧力感度)が大きく温度感度が小
さい歪(又は圧力)センサが、並列構造あるいは積層構
造をなして構成される、温度及び歪(又は圧力)を同時
に検出することが可能な複合型センサを提供することに
ある。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、50〜473
Kにおける平均の温度感度(抵抗温度係数)が2000
ppm/K以上であり、かつ歪感度(ゲージ率)が5以
下である材料からなる温度センサ、及び歪感度2以上を
有し、かつ50〜473Kにおける平均の温度感度が±
2000ppm/K以内、さらに好ましくは173〜3
73Kにおける平均の温度感度が±1000ppm/K
以内である歪センサから構成されることを特徴とする感
温感歪複合センサ、並びに該複合センサからなり、歪に
よる温度測定誤差が0.5K以内で、かつ温度による歪
量測定誤差百分率が50%以内、さらに好ましくは、歪
による温度測定誤差が0.2K以内で、かつ温度による
歪量測定誤差百分率が20%以内の精度で温度と歪、圧
力、加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に検出す
る、または、電気信号に変換することを特徴とする検知
器または変換器を提供することにある。
【0003】
【従来の技術】印加された外力の検出方法の一つとし
て、印加される物体表面に歪ゲージを貼り付け、外力印
加によって発生する表面歪を歪ゲージの抵抗変化で検出
し、その変化量を印加された外力に換算する方法があ
る。しかし、歪ゲージの抵抗値は歪量に比例して変化す
るだけでなく、周囲温度の変化によっても変化する。そ
こで一般に、外力が印加される物体表面に4枚の歪ゲー
ジを貼り、これらからなるホイートストンブリッジ回路
を構成することにより温度補償を行う方策がとられる。
【0004】歪の検知に加えて、温度も同時に測定可能
とする歪・温度センサとして、歪検出用ホイートストン
ブリッジ回路の他に温度検出用感温抵抗素子を用いるも
の(特開昭58−134394号)およびホイートスト
ンブリッジ回路を構成する歪ゲージの中で、歪検出を行
うもの以外の歪ゲージの一つを温度検出用として用いる
もの(特開平1−206113号)がある。
【0005】前者は、電源を2つ必要とすること、並び
に従来の、例えば熱電対や抵抗測温体のような形状のし
っかりしたものを付属させる場合には、それらの存在に
よって、印加された外力による表面歪の発生が阻害され
てしまうことなどの問題がある。また後者は、本来歪ゲ
ージは温度による変動を抑えるために、温度感度の小さ
なものが用いられているため、それを温度センサとして
用いるには温度感度が悪いという欠点がある。さらに両
者に共通の問題として、温度検出素子が歪測定の場合の
ように、ホイートストンブリッジ回路を構成していない
ため、歪やその他雑音等の影響を受けやすいこと、並び
に個別の歪ゲージをまとめて狭い場所に貼ることができ
ないことなどがあげられる。
【0006】これらの問題を克服するために、薄膜抵抗
体を用いた歪・温度センサが提案されている(特開平5
−34182号)。これは、一つの絶縁基板上に、同一
の薄膜抵抗を用いた歪検出用と温度検出用2つのホイー
トストンブリッジ回路を形成して、補償することによ
り、高精度に歪と温度の検出を行おうとするものであ
る。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】しかしながら、上記の薄膜抵抗体を用いた
歪・温度センサは、歪検出および温度検出の両方に同一
の薄膜抵抗体を用いており、このため、この薄膜抵抗体
は、歪感度と温度感度がいずれも大きくなければならな
い。すなわち、このことは歪測定における温度による変
動並びに温度測定における歪による変動が大きいことを
意味する。従って、ホイートストンブリッジ回路及び歪
センサ以外の薄膜抵抗体を歪印加方向と直交させて配置
することが必要不可欠となる。
【0008】また、先願(特開平5−34182号)の
薄膜抵抗体を用いた歪・温度センサにおいては、検出精
度を上げるため、二つのホイートストンブリッジ回路を
組み込む構造になるので、小型化が制限されるという問
題がある。すなわち、もし当該ブリッジ回路を組み込む
必要がなければ配線も単純化できるので、センサ素子の
面積を著しく小さくすることが可能となる。さらに、歪
測定用以外の抵抗体については、歪を受けないようにす
るために歪印加方向に直交させて配置しているが、ねじ
れなどに起因する横歪が生じた場合、それらをむしろ高
感度に受けてしまい、検出精度を損なうという問題があ
る。この横歪をキャンセルするためには、さらに補償回
路が必要となり、結果的にはセンサ素子の面積及び作業
工程を増やすことになるなどの致命的な欠陥を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】先願(特開平5−34182号)の歪・温
度センサにおいて、補償回路としてホイートストンブリ
ッジ回路が必要であるのは、歪検出用及び温度検出用と
して歪感度及び温度感度がともに高い薄膜抵抗体を用い
たことに起因している。
【0010】本発明は、歪検出には歪感度が高く温度感
度が小さい薄膜抵抗体を用い、温度検出には温度感度が
高く歪感度が小さい薄膜抵抗体を用いるというように、
大きく異なる特徴を持つ二つの薄膜抵抗体をそれぞれに
用いることにより、上記課題を解決しようとするもので
ある。すなわち、本発明の感温感歪複合センサは、従来
補償しなければならなかった物理量による影響を受けな
いため、十分に高い歪感度及び温度感度を高精度に得る
ことができ、先願の歪・温度センサのように、センサ素
子内でホイートストンブリッジ回路による補償をする必
要がなく、構造が単純であるため小型化も十分達成でき
る。
【0011】図1に、主要な温度センサ及び歪センサ材
料の特性を示す。SiやGeなどの半導体は、温度感度
及び歪感度が共に高く、本発明には適さない。これに対
しCuNi及びNiCrは、感度があまり大きくはない
ものの温度感度が小さいので補償回路なしに歪検出素子
として使用できる。また、標準抵抗測温体であるpt
は、歪感度が若干高いが、それと比べて十分大きな温度
感度を持つことから、温度検出素子として使うことがで
きる。故に、これらの薄膜を組み合わせることにより、
本発明の感温感歪複合センサを成すことができ、補償回
路なしに温度及び歪の同時検知を可能とする。
【0012】ここでさらに、図1に示されているよう
に、Fe−Pd合金薄膜はptよりも温度感度が高く
(特開平11−195504号)、かつ歪感度はptよ
りも小さい。またCr−N合金薄膜は、Cu−Ni合金
より数倍も歪感度が大きい上に温度感度は非常に小さい
(特開平10−270201号)。そこで、これらFe
−Pd合金(又はFe−Pd基合金)及びCr−N合金
(又はCr−N基合金)薄膜をそれぞれ温度検出用抵抗
体及び歪検出用抵抗体として用いることが、より効果的
である。すなわち、Cr−N合金の温度感度はほぼゼロ
であることから、ホイートストンブリッジ等による温度
補償を必要とせずに感度良く歪測定を行うことができ
る。また、Fe−Pd合金は非常に高い温度感度をも
ち、それに比較して歪感度は小さいことから、歪は変動
要因としてあまり重大ではなく、また、互いに測定して
得た情報を用いて補正を加えることも可能で、その場
合、さらに正確で安定な温度及び歪の検知が可能とな
る。
【0013】本発明の特徴とするところは、下記の点に
ある。第1発明は、導電性基板上に絶縁体膜を形成した
上に、又は絶縁性基板上に、温度センサ材料及び歪セン
サ材料を成膜し、歪による温度測定誤差が0.5K以
内、かつ、温度による歪量測定誤差百分率が50%以内
の精度で温度及び歪を同時に検出することを特徴とする
感温感歪複合センサに関する。
【0014】第2発明は、温度センサ材料の温度感度お
よび歪感度が、それぞれ2000ppm/K以上及び5
以下であり、歪センサ材料の歪感度および温度感度が、
それぞれ2以上及び±2000ppm/K以内であるこ
とを特徴とする第1発明に記載の感温感歪複合センサに
関する。
【0015】第3発明は、温度センサ材料が、原子量比
にて鉄10〜70%及び残部パラジウムと少量の不純物
からなり、歪センサ材料が、原子量比にて窒素0〜40
%及び残部クロムと少量の不純物からなるとともにbc
c構造のみの結晶構造又は該構造とA15構造両者共存
の結晶構造を有することを特徴とする第1発明又は第2
発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサに関する。
【0016】第4発明は、温度センサ材料及び歪センサ
材料を同一基板上に並べて成膜し、温度及び歪を同時に
検出することを特徴とする第1発明ないし第3発明のい
ずれかに記載の感温感歪複合センサに関する。
【0017】第5発明は、温度センサ材料又は歪センサ
材料のいずれか一方を成膜した表面に絶縁皮膜を形成し
た後に、さらに温度センサ材料又は歪センサ材料の残り
の一方を重ねて成膜し、温度及び歪を同時に検出するこ
とを特徴とする第1発明ないし第3発明のいずれかに記
載の感温感歪複合センサに関する。
【0018】第6発明は、第1発明ないし第5発明のい
ずれかに記載の感温感歪複合センサを二個以上同一基板
上に形成し、一次元又は二次元の温度分布及び歪分布を
同時に検出することを特徴とする感温感歪複合センサに
関する。
【0019】第7発明は、第1発明ないし第6発明のい
ずれかに記載の感温感歪複合センサからなり、温度と
歪、圧力、加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に
検出することを特徴とする検知器に関する。
【0020】第8発明は、第1発明ないし第6発明のい
ずれかに記載の感温感歪複合センサからなり、温度と
歪、圧力、加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に
電気信号に変換することを特徴とする変換器に関する。
【0021】
【作用】半導体材料は、ピエゾ効果により大きな歪(圧
力)感度を有するが、他方温度感度も大きいことから、
本発明の感温感歪複合センサに用いる材料としては、不
適当である。これに対し金属材料は、一般に半導体と比
較して強度が高いこと、使用可能な温度範囲が広いこ
と、温度や歪に対する電気抵抗の変化が直線的であるこ
となどの特長を併せ持っている。また、一般には歪感度
の大きな金属材料は温度感度も大きいという傾向があ
り、これらの感度が互いに反比例する材料は数少ないの
が実状である。このような金属材料としては、一例とし
て上記のFe−Pd及びCr−N合金薄膜があり、本発
明の感温感歪複合センサは、これらの金属材料の特長を
有効に発揮して達成されたものである。すなわち本発明
では、Fe−Pd合金のように大きな温度感度を有し、
かつ小さな歪感度を有する薄膜材料を温度センサに用
い、またCr−N合金薄膜のように大きな歪感度を有
し、かつ小さな温度感度を有する薄膜材料を歪センサに
用いることにより、補償回路が不要な感温感歪複合セン
サを実現することができたのである。
【0022】図2に、そのような材料を用いた場合の温
度及び歪に対する抵抗値の変化を模式的に示す。図中、
Rは抵抗値を表す変数であり、抵抗の高い側に描かれて
いるのが温度センサの特性(変数の添え字をTで表
す)、並びに低い方に描かれているのが歪センサの特性
(変数の添え字をSで表す)を示す。273Kおよび3
73Kにおいて、縦軸上に置かれた矢印により示されて
いる変化は、正及び負の500μεの歪印加による抵抗
値の変化を表している。ここで、歪量は長さの変化分を
元の長さで割った無次元数であるが、歪量であることを
明確にするためにεの記号を付記する。また、金属材料
における歪量はおよそ10−6の桁を基準として表すと
都合が良く、したがって本明細書では1×10−6の歪
量を1μεと表記することとする。各点(白丸)におけ
る温度センサ及び歪センサの示す抵抗値R及びR
添えられた括弧内の数字は、左側が温度、右側が歪量を
示す。例えばR(373,500)は、373K、5
00μεにおける温度センサが示す抵抗値を表してい
る。本発明に要する材料特性として、図2に示されるよ
うに、温度センサはR(273,0)からR(37
3,0)のように温度変化に対して大きな抵抗変化を示
し、かつ、R(273,0)からR(273,50
0)のように歪に対する抵抗変化が小さく、一方、歪セ
ンサはR(273,0)からR(373,0)のよ
うに温度変化に対してほとんど抵抗値が変化しないが、
(273,0)からR(273,500)のよう
に歪による変化が大きいことが望まれる。このような2
つのセンサを用いて、温度と歪量を測定するのである。
【0023】273Kの温度で、歪印加なしの状態にお
ける抵抗値を初期状態とし、そこからある温度及び歪量
が加えられた状態における抵抗値を測定し、温度センサ
及び歪センサにおけるそれぞれの変化量から温度及び歪
量を見積もる。例えば、373Kの温度で500μεの
歪が印加された場合、温度センサ及び歪センサの抵抗値
は、それぞれR(273,0)及びR(273,
0)からR(373,500)及びR(373,5
00)へと変化する。従って温度センサにおいてはR
(373,500)とR(273,0)から温度を、
歪センサにおいてはR(373,500)とR(2
73,0)から歪量を算出する。しかし、温度センサに
おける温度と抵抗値の関係はR(373,0)とR
(273,0)を結ぶ曲線の関係から導かれるものであ
り、歪センサにおける歪量は、R(273,500)
とR(273,0)を結ぶ関係から導かれる。従って
(373,500)とR(373,0)との差が
大きい場合、すなわち温度センサが大きな歪感度を持つ
場合には、温度測定における誤差は大きくなり、R
(373,0)とR(273,0)の差が大きい場
合、すなわち歪センサが大きな温度感度を持つ場合に
は、歪量測定における誤差は大きくなってしまう。故
に、温度及び歪を同時に検知するセンサにおいては、温
度センサの歪感度及び歪センサの温度感度は共に小さい
ことが必要であると理解できる。
【0024】表1に、種々の材料を組み合わせて構築し
た感温感歪センサとして、本発明試料(No.1〜7)
及び参考試料(No.8〜13)において測定した個々
のセンサ特性を、また表2に該感温感歪センサに対して
温度及び歪を同時に印加した場合におけるそれらの実測
結果を示す。センサ材料欄の各々における上側が歪セン
サ材料を、下側が温度センサ材料を示す。pは273
Kの温度で歪印加なしの状態における比電気抵抗、TC
Rは273Kと373Kの間における温度感度(抵抗温
度係数)、並びにGfは室温(約293K)における歪
感度(抵抗歪係数、いわゆるゲージ率)を示す。また、
右側の2つの欄に、273K及び無歪の状態に対し温度
及び圧力として1K及び500μεを加えた場合、並び
に100Kおよび500μεを加えた場合に測定された
電気抵抗値から見積もった温度と歪量を示す。ただし、
No.8のpoly−Siについての373K、500
μεにおける値は他と比べて直線性が悪く、ここで説明
しようとする内容から外れるので、直線性が良いと仮定
した場合に特性から見込まれる数値を算出し、記載し
た。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表から、これまで述べてきた通り、温度と
歪が同時に加わった場合、No.8に記したSiは両物
理量の影響を大きく受けてしまうため正確な測定ができ
ないことがわかる。また、No.9〜13に記した金属
バルク及び薄膜の場合には、温度センサ及び歪センサ共
に歪感度が小さく温度感度が大きいため、温度センサに
よって測定した温度は実際の温度と極端に異なることは
ないが、歪センサによって測定した歪量は温度変化によ
る大きな抵抗値の増分により全く異なる値となっている
ことがわかる。これに対し、No.1〜7に示したCr
−N基合金及びFe−Pd基合金薄膜の組み合わせは、
温度センサにおける温度感度が大きく、かつ歪感度が小
さく、歪センサにおいては歪感度が大きく温度感度が小
さいことから、温度及び歪量共に、No.8〜13と比
較してその誤差は非常に小さくなり、歪による温度測定
誤差が0.5K以内、かつ温度による歪量測定誤差百分
率が50%以内となることがわかる。以上の実施結果
は、本発明の有効性を明確に表している。
【0028】さらに、上記の結果にデータ処理による補
正を加えることも可能である。補正には種々の方法が考
えられるが、表3に最も単純な方法を用いて行った補正
結果を示す。その方法を以下に示す。ここで既知のデー
タは、表1に示した各センサの特性(273K、歪印加
なしの状態における比電気抵抗R(273,0)、27
3Kと373Kの間におけるTCR、並びに室温におけ
るGf)と表2に示した見積もった温度及び歪量、並び
にそれらの測定結果を見積もる元となった生データ、す
なわち、各センサの274K及び500με並びに37
3Kおよび500μεにおける抵抗値R(274,50
0)並びにR(373,500)である。まず、誤差が
少なかったことから、見積もった温度T’(274)及
びT’(373)をとりあえず正しい温度と仮定し、そ
れらの温度における歪センサの無歪状態における抵抗値
(T’(274),0)及びR(T’(37
3),0)を算出した後、実測値R(274,50
0)及びR(373,500)とそのR(T’(2
74),0)及びR(T’(373),0)との差か
らその温度(実際には274K及び373K)における
歪量をそれぞれ計算し、これを「補正した歪量」として
表に記載した。次に、274K及び373Kについての
補正した歪量をE’(274,500)及びE’(37
3,500)とし、これらの値から273K及び373
Kにおけるこれらの歪量に相当する温度センサの抵抗変
化分R(273,E’(274,500))及びR(2
73,E’(373,500))を算出した後、実測値
(274,500)及びR(373,500)とそ
のR(273,E’(274,500))及びR(27
3,E’(373,500))との差からその歪量(実
際には500με)における温度をそれぞれ計算し、こ
れを「補正した温度」とした。
【0029】
【表3】
【0030】表3には、上記の補正した温度及び補正し
た歪量、ならびに実際の条件である274K、500μ
εと373K、500μεからの誤差を示した。表2と
表3との比較から、この簡単な補正が有効に作用し、誤
差を小さくしていることがわかる。特にNo.3〜7に
おいては誤差がほとんどなく、高精度の測定が可能であ
ることを示している。またNo.1,2及び9〜13の
中では、No.1、No.2、No.9及びNo.10
において1Kの温度増加に対する温度測定誤差10%以
内、100Kの温度増加に対する温度測定誤差1%以
内、及び歪量測定誤差20%以内の高精度測定を可能と
する条件を満足する結果を示した。これらはいずれも、
温度感度が大きく歪感度が小さい温度センサと歪感度が
大きく温度感度が小さい歪センサとの組み合わせになっ
ている。これらはさらに、請求項2において限定されて
いるように、温度感度2000ppm/K以上及び歪感
度5以下の特性を有する温度センサ材料と歪感度2以上
及び温度感度±2000ppm/K以内の特性を有する
歪センサ材料との組み合わせにもなっている。一方、こ
れら以外のNo.11〜13においては誤差が大きく、
これは本発明の条件に合致しないためである。特に、温
度センサおよび歪センサの特性値があまり異なっていな
い場合には、補正の効果はむしろマイナスに作用する場
合があり、No.8のpoly−Siにおいてはそれが
顕著に表れている。以上の結果から、本発明にかかるセ
ンサであるNo.1〜7は優れた測定能力を有すること
が明らかになり、本発明の有効性を実証することができ
た。
【0031】本発明の感温感歪複合センサは、薄膜材料
を用いていることから、超小型化を図る上で有利であ
り、そのため構造的に温度感度及び歪感度を阻害するこ
とのないのも特長である。例えば、棒状の抵抗測温体を
起歪体に固定すると歪が印加されにくくなり、測定がで
きなくなってしまう。それ故、歪検出においては温度検
出素子が歪の印加やその量の変化を妨げたり乱したりし
ないことが必要であるが、薄膜であれば歪の媒体、すな
わち膜を支えている基板が膜よりも大きいため、温度検
出用の膜が悪影響を及ぼすことはない。また、温度測定
において、歪検出用素子が大きいと熱容量が増大し、正
確さや応答性に影響を与えるが、薄膜は体積も小さいた
め、基板を考慮した場合ほとんど無視することができ、
その影響もない。したがって、複合化においては薄膜を
用いることによって互いの特性を損なうことがなく、そ
れぞれの特性を十分発揮することができる。
【0032】温度検出素子と歪検出素子を並べて形成す
る並列型複合素子だけでなく、一方の素子の上に絶縁体
膜を介して他方の素子を重ねた構造を持つ積層型複合素
子の場合、さらに必要面積を小さくすることが可能とな
る。そのような積層型の場合、下部(基板側)に歪素
子、上部に温度素子を配置ことによって、それぞれ基板
からの歪情報および接触する相手からの温度情報を、よ
り確実に得ることが可能となる。このように、複合の構
造を用途に応じて種々適した形に選択することができ
る。
【0033】さらに、これらの素子を平面上に多数並べ
ることにより、二次元の(又は一次元の)温度と歪の分
布を測定することが可能である。この場合には、素子の
大きさがそのまま距離分解能となるので、その分解能を
高めるためには素子の超小型化が必要であり、さらに、
より単純化された配線構造が要求される。これに対し本
発明は、これまで述べてきたように素子の超小型化が可
能であり、かつ薄膜パターン形成技術を用いて簡素化し
たセンサパターンが形成可能であるので、非常に有効で
ある。このような二次元センサは、微小又は複雑な形状
を認識したり、そのような物体表面の温度むら等を検知
することを可能とする。
【0034】つぎに、本発明における数値の限定理由に
ついて以下に説明する。該センサの特性について、歪に
よる温度測定誤差を0.5K以内とした理由は、それ以
外では精度が悪くなり、正確な測定ができなくなるから
である。一方、温度による歪量測定誤差の百分率を50
%以内とした理由は、それ以外では精度が悪くなり、正
確な測定ができなくなるからである。また該センサにお
いて、温度センサ材料の温度感度および歪感度をそれぞ
れ2000ppm/K以上及び5以下と限定した理由
は、2000ppm/K未満では温度感度の温度分解能
が小さくなってしまうため、感度の良い温度センサが得
られず、一方、5よりも大きな歪感度の場合、歪による
電気抵抗の変動が大きくなることによる。さらに、歪セ
ンサ材料の歪感度および温度感度をそれぞれ2以上及び
±2000ppm/K以内と限定した理由は、2未満の
歪感度ではその分解能が小さくなり、感度の良い歪セン
サが得られず、一方、±2000ppm/Kよりも大き
な温度感度の場合は、温度による電気抵抗の変動が大き
くなり、本発明の目的から外れてしまうことによる。
【0035】該センサにおける温度センサ材料の主成分
およびその組成を、原子量比にて鉄10〜70%及び残
部パラジウムと限定した理由は、この組成範囲外におい
ては2000ppm/K以上の大きな温度感度および5
以下という小さな歪感度が得られず、本発明の目的から
外れてしまうからである。同様に、該センサにおける歪
センサ材料の主成分およびその組成を、原子量比にて窒
素0〜40%及び残部クロムと限定するとともに、その
材料がbcc構造か又はA15構造、もしくは両者の混
在する結晶構造を有すると限定した理由は、この組成範
囲外、又はこれらの結晶構造を有する材料以外において
は、2以上という歪感度及び±2000ppm/K以内
の温度感度が得られず、本発明の目的から外れてしまう
からである。
【0036】
【実施例】本発明の実施例について説明する。 実施例1 試料番号3の並列型感温感歪複合センサの製造と評価 センサ材料 温度センサ:Fe−60at%Pd薄膜 歪センサ :Cr−10at%N薄膜 幅15mm、長さ50mmのガラス基板(Cornin
g社製#0211)上にFe−60at%Pd合金ター
ゲットを用いた高周波スパッタリング法により同成分、
同組成の温度検出用抵抗薄膜を作製後、773Kで熱処
理を施した後、同一基板上に該温度検出用抵抗薄膜と並
べてCrターゲットを使用すると同時に窒素ガスを導入
して行う反応性スパッタリング法によりCr−10%N
の組成を持つ歪検出用抵抗薄膜を作製後、623Kで熱
処理を施し、さらに4端子法による抵抗測定を可能とす
るCu電極を、Cuターゲットを用いた高周波マグネト
ロンスパッタリング法により作製し、並列型感温感歪複
合センサを作製した。
【0037】図3に、作製した薄膜センサのパターンを
示す。電圧測定電極間距離を100μm、センサ薄膜の
幅を10μm、並びに膜厚を約0.5μmとした。基板
の長手方向に対して両薄膜センサの長手方向が平行にな
るように薄膜を形成した。パターン形成にはフォトレジ
ストを使用して行うリフトオフ法を用いた。
【0038】複合センサが形成された基板の一端を万力
に挟んで固定し、他端に力を加えることによって基板に
片持ち梁の要領で歪を印加できるようにした。印加され
る歪の量はセンサ薄膜と並べて貼った市販の歪ゲージに
より測定した。この装置を温度制御可能な恒温槽内に設
置し、所望の温度の下で歪を印加できるようにした。
【0039】半田を用いてCu電極にリード線を溶接
し、それに直流電源を接続して定電流を流すとともに、
デジタルマルチメーターを用いてセンサからの出力電圧
値を読み取った。0.1mAの電流を流し、種々異なる
温度において歪印加を行い、その時測定される電圧値か
ら抵抗の変化を見積もった。図4に歪センサ薄膜および
温度センサ薄膜各々についての273Kから373Kま
での異なる温度で測定した相対抵抗値(273Kの抵抗
値で規格化した値)を示す。この結果は、両者の抵抗温
度係数がそれぞれ−60ppm/K及び4400ppm
/Kであることを示した。また、図5に、両センサ薄膜
各々について273K及び373Kの温度のもとで測定
した−500μεから+500μεの歪印加に対する抵
抗値の変化分(歪が0のときの抵抗値との差分)を示
す。この結果は、273K及び373Kにおける両者の
歪感度が、歪センサにおいてそれぞれ約6.2及び5.
9であり、温度センサにおいてそれぞれ1.9及び2.
1であることを示した。
【0040】これらの結果から、Cr−N歪センサにお
ける歪感度は約6と大きく、かつ温度感度は約−60p
pm/Kと小さいことがわかった。また、Fe−Pd温
度センサにおける温度感度は約4400ppm/Kと大
きく、歪感度は2.0と小さいこともわかった。これら
の値はいずれも本発明において限定された数値の範囲内
に含まれると共に、各薄膜個々の場合の特性とほとんど
変化がないことから、複合化による特性の劣化がなく、
感温感歪センサとして使用可能であることを示した。
【0041】100Kの温度及び500μεの歪を印加
した状態における温度センサの抵抗値R(273,5
00)は1.15315×10−6Ω・mであった。該
センサの使用に際して実際に得られるデータは、このよ
うな温度と歪が同時に加わったときの抵抗値のみであ
る。この値から、基準となる抵抗値、例えば273Kで
無歪の状態における抵抗値R(273,0)及び温度
センサの温度感度(抵抗温度係数)を用いて見積もった
温度は373.3Kであり、誤差を含むもののほぼ実際
の条件通りの温度を示した。同様に、同条件における歪
センサの抵抗値R(373,500)=1.2964
6×10−6Ω・mからR(273,0)及び歪感度
(ゲージ率)を用いて見積もった歪量は412μεと、
やや大きな誤差を含むものの、こちらもほぼ実際の条件
に近い歪量を示した。
【0042】誤差を補正するために、簡単な計算を行っ
た。誤差が小さかった測定温度を正しい温度と仮定し
て、歪センサにおける温度による抵抗値の変化分を計算
し、R(373.3,0)を求める。この値を用い
て、実際に測定して得られたR(373,500)を
補正して求めた歪量は503μεと、ほぼ実際の条件と
一致した。次に、この補正した歪量を正しい値と仮定し
て、温度センサにおける歪による抵抗値の変化分を計算
し、実測値であるR(373,500)から差し引く
ことによって、373Kにおける無歪状態の抵抗値R
(373,0)を求めた。この値を用いて見積もった補
正温度は373.0Kと、実際の条件と誤差なく一致し
た。以上の結果から、本試料が歪と温度を同時に検知す
るのに有効であることがわかった。
【0043】 実施例2 試料番号4の並列型感温感歪複合センサの製造と評価 センサ材料 温度センサ:Fe−50at%Pd薄膜 歪センサ :Cr−15at%N薄膜 幅15mm、長さ50mmの合成石英基板上にFe−5
0at%Pd合金ターゲットを用いた高周波マグネトロ
ンスパッタリング法により同成分、同組成の温度検出用
抵抗薄膜を作製後、973Kで熱処理を施した後、同一
基板上に該温度検出用抵抗薄膜と並べて99.9%純度
のCrを蒸発源として使用すると同時に窒素ガスを導入
して行う反応性の真空蒸着法によりCr−10%Nの組
成を持つ歪検出用抵抗薄膜を作製後、653Kで熱処理
を施し、さらに4端子法による抵抗測定を可能とする電
極を、Cuターゲットを用いた高周波スパッタリング法
により作製し、並列型感温感歪複合センサを作製した。
【0044】作製した薄膜センサのパターンは実施例1
と同様、図3に示したパターンを用い、電圧測定用電極
間距離を100μm、薄膜の幅を10μm、並びに膜厚
を約0.5μmとした。基板の長手方向に対して両薄膜
センサの長手方向が平行になるように薄膜を形成した。
パターン形成にはフォトレジスト及びプラズマエッチン
グ装置を使用して行うドライエッチング法を用いた。
【0045】温度及び歪量に対する抵抗値の変化を、実
施例1と同様の方法で測定した。歪センサ薄膜および温
度センサ薄膜各々についての273Kから373Kまで
の異なる温度で測定した相対抵抗値の変化は、両者の抵
抗温度係数がそれぞれ5ppm/K及び6050ppm
/Kであることを示した。また、両センサ薄膜各々につ
いて273K及び373Kの温度のもとで測定した−5
00μεから+500μεの歪印加に対する相対抵抗値
の変化は、273K及び373Kにおける両者の歪感度
が、歪センサにおいてそれぞれ約6.2及び6.0であ
り、温度センサにおいてそれぞれ1.9及び2.0であ
ることを示した。
【0046】これらの結果から、Cr−15%N歪セン
サにおける歪感度は約6と大きく、かつ温度感度は約5
ppm/Kと小さいことがわかった。また、Fe−50
%Pd温度センサにおける温度感度は約6050ppm
/Kと大きく、歪感度は約2と小さいこともわかった。
これらの値はいずれも本発明において限定された数値の
範囲内に含まれると共に、各薄膜個々の場合の特性とほ
とんど変化がないことから、複合化による特性の劣化が
なく、感温感歪圧センサとして使用可能であることを示
した。
【0047】100Kの温度及び500μεの歪を印加
した状態における温度センサの抵抗値R(373,5
00)は1.44587×10−6Ω・mであった。こ
の値から見積もった温度は373.3℃であり、誤差を
含むもののほぼ実際の条件通りの温度を示した。同様
に、同条件における歪センサの抵抗値R(373,5
00)=1.50540×10−6Ω・mから見積もっ
た歪量は581μεと、やや大きな誤差を含むものの、
こちらもほぼ実際の条件に近い歪量を示した。
【0048】誤差の補正も実施例1と同様の方法で行っ
た。その結果、補正した歪量は500μεと、実際の条
件と一致し、この補正した歪量から見積もった補正温度
は373.0Kと、実際の条件と誤差なく一致した。以
上の結果から、本試料が歪と温度を同時に検知するのに
有効であることがわかった。
【0049】 実施例3 試料番号7の並列型感温感歪複合センサの製造と評価 センサ材料 温度センサ:Fe−60%Pd−3%Ni薄膜 歪センサ :Cr−10%N−3%Al薄膜 幅15mm、長さ50mmのステンレス(SUS30
4)基板上にSiOターゲットを使用すると同時に酸
素ガスを導入して行う反応性スパッタリング法によりS
iO絶縁層を形成後、該絶縁層の上にFe−60at
%Pd−3%Ni合金を蒸発源として用いた真空蒸着法
により同成分、同組成の温度検出用抵抗薄膜を作製し、
これを973Kで熱処理を施した後、さらに同一基板上
のSiO絶縁層の上に、該温度検出用抵抗薄膜と並べ
てCr−4%Al合金ターゲットを備えたイオンビーム
スパッタリング装置を使用すると同時にスパッタリング
ガスであるArとともに微量の窒素ガスを導入して行う
反応性スパッタリング法によりCr−10%N−3%A
lの組成を持つ歪検出用抵抗薄膜を作製後、633Kで
熱処理を施し、さらに4端子法による抵抗測定を可能と
する電極を、Cuターゲットを用いた高周波マグネトロ
ンスパッタリング法により作製し、並列型感温感歪複合
センサを作製した。
【0050】作製した薄膜センサのパターンは図2と同
様の形式のパターンを用い、電圧測定用電極間距離を2
00μm、薄膜の幅を20μm、並びに膜厚を約0.5
μmとした。基板の長手方向に対して両薄膜センサの長
手方向が平行になるように薄膜を形成した。パターン形
成には放電加工及び化学エッチングにより作製した金属
マスクを使用して行うマスク法を用いた。
【0051】温度及び歪量に対する抵抗値の変化は、実
施例1と同様の方法によって測定した。歪センサ薄膜お
よび温度センサ薄膜各々についての273Kから373
Kまでの異なる温度で測定した相対抵抗値の変化は、両
者の抵抗温度係数がそれぞれ7ppm/K及び6300
ppm/Kであることを示した。また、両センサ薄膜各
々について273K及び373Kの温度のもとで測定し
た−500μεから+500μεの歪印加に対する相対
抵抗値の変化は、273K及び373Kにおける両者の
歪感度が、歪センサにおいてそれぞれ約7.2及び7.
0であり、温度センサにおいてそれぞれ2.0及び1.
9であることを示した。
【0052】これらの結果から、Cr−10%N−3%
Al合金薄膜歪センサにおける歪感度は約7と大きく、
かつ温度感度は約7ppm/Kと小さいことがわかっ
た。また、Fe−60%Pd−3%Ni合金薄膜温度セ
ンサにおける温度感度は約6300ppm/Kと大き
く、歪感度は約2と小さいこともわかった。これらの値
はいずれも本発明において限定された数値の範囲内に含
まれると共に、各薄膜個々の場合の特性とほとんど変化
がないことから、複合化による特性の劣化がなく、感温
感歪センサとして使用可能であることを示した。
【0053】100Kの温度及び500μεの歪を印加
した状態における温度センサの抵抗値R(373,5
00)は1.65718×10−6Ω・mであった。こ
の値から見積もった温度は373.3Kであり、誤差を
含むもののほぼ実際の条件通りの温度を示した。同様
に、同条件における歪センサの抵抗値R(373,5
00)=2.15375×10−6Ω・mから見積もっ
た歪量は596μεと、やや大きな誤差を含むものの、
こちらもほぼ実際の条件に近い歪量を示した。
【0054】誤差の補正も実施例1と同様の方法で行っ
た。その結果、補正した歪量は500μεと、実際の条
件とよく一致し、この補正した歪量から見積もった補正
温度は373.0Kと、これも実際の条件と誤差なく一
致した。以上の結果から、本試料が歪と温度を同時に検
知するのに有効であることがわかった。
【0055】
【発明の効果】本発明の感温感歪複合センサは、従来の
技術では補償回路なしには実現できなかった高感度・高
安定な温度及び歪の同時検出を、補償回路なしで可能と
する効果がある。このため該センサおよび該センサを用
いた検知機及び変換機などは小型化が可能であり、また
高分解能2次元温度・歪分布測定も可能であることか
ら、従来行われていない新たな温度・歪計測及びその用
途を開拓することが期待でき、該センサ及び該センサを
用いた計測手段のさらなる応用分野の拡大並びにこれら
を用いることによる諸産業の発展と社会生活の向上が期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、主要な温度センサ及び歪センサ材料に
おける温度感度と歪感度を示す図である。
【図2】図2は、温度センサ及び歪センサにおける温度
及び歪に対する電気抵抗値の変化を説明するための概念
図である。
【図3】図3は、作製したセンサパターンを示す図であ
る。
【図4】図4は、Fe−60at%Pd合金薄膜及びC
r−10at%N合金薄膜について無歪状態で測定し
た、273Kから373Kまでの温度と電気抵抗値との
関係を示した特性図である。
【図5】図5は、Fe−60at%Pd合金薄膜及びC
r−10at%N合金薄膜について273K及び373
Kにおいて測定した、歪量と電気抵抗値との関係を示し
た特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F055 AA40 BB20 CC01 DD20 EE11 FF02 GG01 GG32 2F063 AA28 AA50 CA34 CB01 CC09 DA02 DD05 EC03 EC05 EC06 EC14 EC15 EC20 EC27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基板上に絶縁性膜を形成し、さらに
    当該絶縁性膜上に又は絶縁性基板上に温度センサ材料及
    び歪センサ材料を成膜してなり、歪による温度測定誤差
    が0.5K以内で、かつ温度による歪量測定誤差百分率
    が50%以内の精度で温度及び歪を同時に検出すること
    を特徴とする感温感歪複合センサ。
  2. 【請求項2】温度センサ材料が、温度感度2000pp
    m/K以上及び歪感度5以下の特性を有し、歪センサ材
    料が、歪感度2以上及び温度感度±2000ppm/K
    以内の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の
    感温感歪複合センサ。
  3. 【請求項3】温度センサ材料が、原子量比にて鉄10〜
    70%及び残部パラジウムと少量の不純物からなり、歪
    センサ材料が、原子量比にて窒素0〜40%及び残部ク
    ロムと少量の不純物からなり、当該歪センサ材料の結晶
    構造が、bcc構造のみからなるか、又はbcc構造と
    A15型構造の両者からなることを特徴とする請求項1
    又は請求項2のいずれか1項に記載の感温感歪複合セン
    サ。
  4. 【請求項4】温度センサ材料及び歪センサ材料を同一基
    板上に並べて成膜し、温度及び歪を同時に検出すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    記載の感温感歪複合センサ。
  5. 【請求項5】温度センサ材料又は歪センサ材料のいずれ
    か一方を成膜した表面に絶縁性膜を形成した後に、さら
    にその上に温度センサ材料又は歪センサ材料のうち他の
    一方を重ねて成膜し、温度及び歪を同時に検出すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    記載の感温感歪複合センサ。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれか1項に
    記載の感温感歪複合センサを二個以上同一基板上に形成
    し、一次元又は二次元の温度分布及び歪分布を同時に検
    出することを特徴とする感温感歪複合センサ。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれか1項に
    記載の感温感歪複合センサからなり、温度と歪、圧力、
    加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に検出するこ
    とを特徴とする検知器。
  8. 【請求項8】請求項1ないし請求項6のいずれか1項に
    記載の感温感歪複合センサからなり、温度と歪、圧力、
    加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に電気信号に
    変換することを特徴とする変換器。
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