JP2006208028A - 温度センサー及び温度の測定方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】周波数信号同士の信号変換と演算を必要とせず、又新たな回路、複雑な演算等の必要がない、センサーの提供。
【解決手段】水晶振動子4の両側に設置されている電極金属2が、下地の金属2と相違する又は同一金属により構成固定され、温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知する温度センサー。前記温度センサーを測定対象とする気体または液体と接触させて温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知し、温度補償用温度センサーとして利用し、また前記温度補償用温度センサーを湿度センサーと共に利用し、絶対湿度や相対湿度を測定するために、湿度変化を水晶振動子の発振周波数の変化として測定する測定方法と、前記のいずれか記載の方法の逆の特性を利用して、温度変化の影響を受けないようにした水晶振動子の構造。
【選択図】 図2

Description

本発明は、温度センサー及び温度の測定方法に関するものである。
温度測定は、各種生産管理又は環境保全管理などでは、必要かつ不可欠な事柄である。工場や事業所の製造装置或いは機器を管理運用するうえで温度管理を行う必要がある。また各種精密機械や各種精密機器の運用管理に用いられる温度測定手段は正確であること、及び小型であることに対する要望が高い。
従来から、温度測定には、いろいろ測定手段が使用されてきた。周知の代表的な測定方法には、(1)水銀やアルコールが温度変化による熱膨張を計測して温度を計測する方法(いわゆる棒温度計)、(2)金属間の起電力による温度変化する現象を利用する方法、(3)有機物、半導体、セラミックス、金属酸化物、白金などの温度変化により電気抵抗の変化を求める方法、(4)赤外線を利用した温度変化を見知する方法、(5)水晶振動子の振動板(水晶)を、温度変化を受けやすい方向にカットして温度変化を水晶振動子の発振周波数変化に変換して測定する方法(特許文献1(特開平3−79112号)、特許文献2(特開平4−21110号)、特許文献3(特開平6−318820号)、特許文献4(特開平4−236336号))などがある。
例えば、レーザダイオードの温度をコントロールするため、温度センサーとしてサーミスタを用い、このサーミスタの出力値を所定の目標値と比較し、この比較結果に基づいてペルチエ素子を駆動し、熱の発生、吸収を行わせる温度制御装置が知られている。用いられているサーミスタセンサーでは温度ドリフトの経年変化が大きく、長時間に渡り高精度でないことなどから、信頼性のあるものが要求されるにいたった。そこで、サーミスタに変わり、経年温度ドリフトがサーミスタに比べて2桁程度小さく、その出力信号は周波数信号であり、レベル信号を出力信号とするサーミスタに比べてノイズに強く、得られる結果についてデジタル処理が容易であり、小型化し精度も高い水晶振動子を用いる事が行われた。このようにして以下のタイプの温度測定方法が開発された。
温度制御対象の温度を測定して、その測定温度に応じた周波数信号を出力する水晶振動子温度センサーと、この水晶温度温度センサーの出力信号の周波数を所定のタイミングでカウントするカウンタと、このカウンタからの出力に基づいて前記温度制御対象の現在温度を求め、この現在温度と目標温度との差に応じた信号を出力する演算手段と、この演算手段からの出力信号に基づき前記温度制御対象の温度が前記目標温度となるように当該温度制御対象を加熱又は冷却する加熱冷却手段からなる精密温度制御装置(特許文献2(特開平4―21110号))。
水晶振動子を利用した各種計測分野では、水晶振動子を利用した温度補償用センサーと共に用いられる。しかしながら、以下の理由により、温度補償用センサーは有効に利用されていない。
水晶振動子を利用した計測法では、測定対象物の変化を水晶振動子の発振周波数変化に変換して測定する。この水晶振動子を動作させるためには発振回路が必要である。使用する水晶振動子の基本発振周波数はその素子固有の任意の値である。そのため、この発振回路も一般的にはこの固有の任意の値が発振可能となる回路が必要である。このように基本発振周波数を扱う関係から、出力される電気信号は周波数として得られる。この得られた周波数値は、場合によっては測定対象物以外の環境の影響、特に温度変化に対して影響を受けた値を含んでいる場合がある。そこで、この温度変化に対して影響を含んだ値を除去するためには、(1)〜(4)のいずれの方法で測定した物量、つまり電圧または電流または抵抗の値と、測定した周波数変化を、同じ物量に変化して除去する手法をとらなければならない。または、ソフトウエアを利用した信号処理を行い、除去する手法もある。具体的な例として、温度の変化量としての電圧値と測定対象物の周波数を一度電圧値に変換するか、または、温度の変化量としての電圧値を一度周波数値に変換して測定対象物の周波数と演算を行うか等の作業や、同様にソフトウエアによって実験等に基づく検量線等を利用した信号処理を行い、除去する手法を行わなければならなくなる。このように、補正を行うにあたって、新たな回路、複雑な演算等が必要となり、煩雑な処理を必要とする問題点を有している。
(5)の水晶振動子を温度補償用センサーとして用いる場合では、水晶振動子の同じ周波数を扱うため容易に演算は可能となる。しかしながら、使用する水晶振動子の基本発振周波数はその素子固有の任意の値であるため、温度補償用センサーに温度依存特性を持った水晶振動子を用いると、測定対象物の変化を測定するための水晶振動子の基本発振周波数と同じ周波数帯とは限らないため、そのような場合には、(1)〜(4)の場合と同様に、周波数信号同士の変換を行い、またはソフトウエアを利用して、その後に演算を行うなどの工夫が必要となり、新たな回路、複雑な演算等が必要である。
このようなことから、「周波数信号同士の変換を行い、その後に演算を行うなどの工夫が必要となる新たな回路、複雑な演算等を行う」ことの必要がない、従来の温度センサーとは相違する新しい形式のセンサーが切望されていた。
特開平3−79112号 特開平4−21110号 特開平6−318820号 特開平4−236336号
本発明が解決しようとする課題は、「周波数信号同士の変換を行い、その後に演算を行うなどの工夫が必要となるような構成」、または、「新たな回路、複雑な演算等」の必要がない、従来の温度センサーとは相違する新しい構造のセンサーを提供することである。
本発明者ら、前記課題について研究し、以下の事柄を見出して、本発明を完成させた。
ATカットタイプの水晶振動子は、温度の影響が少ないと言われているものの、この水晶振動子といえども多少は温度の影響を受けるとされている。そこで、この特性を良く調べてみると、基本的には3次式で表現されること、常温域(0〜40℃程度)の環境下にあっては、温度変化による周波数変化の影響は小さいことがわかる。この内容を示すデータの一例を図1として示す。なお、このような基本特性は、「水晶振動子のカットの要因が主で、異なる電極金属でその基本特性が大きく異なる」との特長は知られていなかった。
この水晶振動子の両側に設置されている2層構造または同一層の電極金属が、2層構造の場合は電極金属下地の金属と相違する電極金属上地により構成され、この電極の物理的特性としての電極金属の抵抗値と弾性定数等の複合要因により、一定の周波数で共振している水晶振動子の発振周波数が、基本特性よりも大きく温度変化によって変化する現象が起ることを見いだした。また、このことは、温度変化による周波数変化の影響を小さい条件下の構造にして共振周波数変化による水晶振動子の発振周波数を測定する場合、その温度変化による周波数変化の影響は小さい結果となり、電極金属の抵抗値と弾性定数等の複合要因により、一定の周波数で共振している水晶振動子の発振周波数が温度変化に強い安定した水晶振動子としても得られる。
以上の知見を整理すると、この特長を生かして補正用の温度センサーとして利用した場合は、「周波数信号同士の変換を行い、その後に演算を行うなどの工夫の必要がない」回路で利用することが可能であり、複雑な演算等の必要もない温度補償用センサー及び温度センサーを得ることができる。
温度補償用センサーとして水晶振動子による温度センサーを利用した測定では、その温度センサーが湿度による環境の影響を受けることがある。この場合には、湿度による影響分を除去することが必要となる。このような場合には、湿度による影響を、補償(キャンセル)するセンサーとして、水晶振動子からなる湿度センサーを併せて用いることができる。水晶振動子からなる湿度センサーについては、本発明者等による発明(特願2003-012852)の湿度センサーを用いることができる。
この湿度センサーは、水晶振動子を挟んで両側に設置されている電極から構成され、又は電極が金属酸化物により構成されている湿度センサーである。このセンサーに水蒸気を含む気体と接触させると、水蒸気の含量に応じて金属酸化物表面で物理的な水分子(水分)の吸脱着反応が起る。水晶振動子の電極により形成される振動部分では、この水蒸気の吸着量に応じた重量変化が起り、一定の周波数で共振している水晶振動子の発振周周波数下がる現象が起り、この周波数変化として捉えることができる。このようにして共振周波数変化により、水蒸気の含有量、すなわち、湿度の変化を測定することができる。
ここで、電極表面が金属酸化物又は電極が酸化クロム、酸化銅、ニッケル、コバルト、マンガンから選ばれる単一金属で構成されているもの、又はこれらの中から選ばれる金属の混合物からなる酸化物半導体、さらに錫の酸化物により複合化して用いるものである。
また、測定条件によっては、温度センサーとしての水晶振動子の素子部分の外側を密封キャップするような構造にすることによって、容易に湿度の影響を遮断し、湿度の影響を受けないようにすることも可能である。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)水晶振動子の両側に設置されている2層構造の電極金属が、電極金属下地の金属と相違する電極金属上地により構成され、この電極金属の物理的特性を利用して、温度変化に対して周波数変化量が大きい水晶振動子により温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度センサー。
(2)前記水晶振動子がATカットされていることを特徴とする(1)記載の温度センサー。
(3)前記電極金属上地が金又は白金、下地の金属がチタンであることを特徴とする(1)又は(2)記載の温度センサー。
(4)水晶振動子の両側に設置されている同一構造で1層構造の電極金属により構成され、この電極金属の物理的特性を利用して温度変化に対して周波数変化量が大きい水晶振動子により温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度センサー。
(5)前記水晶振動子がATカットされていることを特徴とする(4)記載の温度センサー。
(6)前記電極金属がクロム又はチタンであることを特徴とする(4)又は(5)記載の温度センサー。
(7)(1)乃至(6)のいずれか記載の温度センサーを、測定対象とする気体または液体と接触させて温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度の測定方法。
(8)温度補償用温度センサーとして、(1)から(6)のいずれか記載の温度センサーを利用し、温度を共振周波数の変化として測定することを特徴とする温度の測定方法。
(9)前記温度補償用温度センサーとして、前記請求項1から6のいずれか記載の温度センサーを利用し、別の素子で湿度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知する湿度センサーと共に、絶対湿度や相対湿度を測定するために、湿度変化を水晶振動子の発振周波数の変化として測定することを特徴とする湿度の測定方法。
(10)水晶振動子の両側に設置されている2層構造の電極金属が、電極金属下地の金属と相違する電極金属上地により構成され、この電極金属の物理的特性を利用して、温度変化に対して周波数変化量が小さい水晶振動子により温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度センサー。
(11)前記水晶振動子がATカットされていることを特徴とする(10)記載の温度センサー。
(12)前記電極金属上地が金又は銀、下地の金属がクロムであることを特徴とする(10)又は(11)記載の温度センサー。
本発明で得られる温度センサーは、水晶振動子の両側に設置されている2層構造または同一層の電極金属が、2層構造の場合は電極金属下地の金属と相違する電極金属上地により構成され、この電極金属の物理的特性としての電極金属の抵抗値と弾性定数等の複合要因をうみ出すために、例えば、電極金属の抵抗値が大きく変化するように下地の金属、または上地の電極金属を選択すること、又は金属板厚を変化させることによって、温度の影響を大きく受けるような温度センサーが得られる。又逆に下地の金属及び上地の電極金属を選択することにより、温度の影響を受けない水晶振動子も得ることができる。ここで、温度の影響を大きく受けるような水晶振動子の温度センサーを温度補償用温度センサーとして利用することが可能である。この場合、「周波数信号同士の変換を行い、その後に演算を行う」などの工夫の必要がないため、新たな回路、複雑な演算等の必要がない温度補償用温度センサー及び温度センサーとしての温度測定方法が得られる。また、この温度補償用温度センサーを湿度測定に結び付け、この補償用温度センサーとして利用することにより、前記の単独のセンサーとして利用するのではなく、更に湿度の条件を考慮した温度測定が可能となる。
本発明は、水晶振動子による環境測定(以下、QCM法とも言う)用の温度補償用温度センサー及び必ずしも補償用としてのみ用いるセンサーではなく、他の温度センサーと同様に、通常の温度測定にも使用することができる。
本発明では、従来から一般的に多く使用されている熱電対等の温度センサーを水晶振動子による環境測定補償用温度センサーとして使用することなく、水晶振動子による温度センサーとして容易に用いることができる。このQCM測定法においては、測定対象物の発振周波数の周波数変化を測定している。そのため、その電気回路としては発振回路が必要である。従来の温度センサーでは、電圧または電気抵抗値の変化を測定しているため、得られる信号形式が異なる。この異なる信号をどちらかの信号(環境測定用の周波数信号または温度センサーの電圧信号等)に変換して取り扱う必要があるため、新たな電気回路が必要となり、複雑化しコストがかかる。そこで、本発明を温度補償用温度センサー及び温度センサーとして組み合わせて用いると、温度補償用センサー及び温度測定用センサーは、QCM測定法と同じ発振周波数変化を扱う水晶振動子を用いるので、すべて発振周波数信号として取り扱うことが可能となるため、補正が容易となる。
本発明の温度センサーとして用いられる水晶振動子4の全体は、図2の左側に示すとおりである。そのうちで、キャップが付いた状態を示すもの5及び右側キャップを外した状態もの6を示している。
本発明の温度補償用センサーでは、水晶振動子(水晶板)1の両側に設置されている2層構造の電極金属2が、電極金属2の下地金属2と相違する電極金属上地、又は同一の金属により構成される温度センサーとして形成されている(図2 右側)。この温度センサーは、温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知するものである。
水晶振動子については、以下のとおりである。
通常の温度補償用センサーは、水晶が温度変化に対して影響を受けやすくカット(例えばYカットやNLカット)した水晶板を用いて温度センサーを作製しており、このカットを利用した温度補償用センサーも市販されている。
原理上は、水晶振動子はどのような発振周波数の素子も作成可能であるが、実際には製作上の問題(高価であり、作成に手間を要すること)から、特定の基本発振周波数に対してのみの素子が多く、必ずしも任意の希望する発振周波数の素子を容易に入手できる状況ではない。このようなことから従来から温度特性が良好と言われている(温度変化の影響が少ない)ATカットタイプ水晶振動子を、あえて簡易的に温度センサーとして利用する。
ATカットタイプの水晶振動子は、温度の影響が少ないと言われているものの、この水晶振動子といえども多少は温度の影響を受けるとされている。そこで、この特性を良く調べてみると、基本的には3次式で表現されること、常温域(0〜40℃程度)の環境下にあっては、温度変化による周波数変化の影響は小さいことがわかる。測定データの一例を図1に示す。
本発明の温度センサーでは、水晶振動子の両側に設置されている電極金属が、異なる材質の下地の金属と上地の電極金属から構成され、または同一の材質の金属から構成される。
ATカットタイプの水晶振動子であっても水晶振動子の電極材料を変えると、測定対象の温度により受ける影響には大小があることが分かった。
この点について水晶振動子の構造にさかのぼって、説明を行う。
水晶振動子の電極材料は、水晶振動子板(水晶板)の両面に電極金属を成膜することによって行われる。この水晶板の下地として、薄く金属を水晶板に成膜する。次に、下地の上にその上地として、電極としての金属を成膜する。
下地及び上地電極金属の成膜方法については,一般的な公知の成膜方法、例えば、スパッター法,蒸着方法,イオンプレーティング法等の水晶板の上に金属薄膜を成膜できる方法であればよい。
ここで、水晶板において、水晶板と金属間で、時間経過と共にすべり振動による電極金属による剥離現象が生じることがある。この剥離現象が生じないようにするために、下地の金属は水晶板と上地の電極金属を「接着」させる効果をもっている。
下地の金属としては、水晶板と「なじみやすい」クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等が、温度センサーではなく、水晶振動子として利用する場合には、一般的に広く利用されている。この下地の厚さは、一般的には5〜50nm程度の厚さとしている。下地が成膜された後に、上地として金や銀、白金などが電極金属として成膜して設ける。その上地の電極の厚さは、一般的には300〜500nm程度の厚さとする。図2右側に、その構造を示す。
このような構造の水晶振動子は、発振回路と組み合わせることによって、電気信号としての基本発振周波数を取り出すことが可能となる。この場合、この発振回路も外部などの温度の影響を受けて、発振回路基板上の抵抗(R)やコンデンサ(C)、コイル(L)等の固定値が僅かに変化する。その影響で水晶振動子の基本発振周波数が変化することもある。
理想的な発振回路(等価回路)においては、これらの値は一定となることを仮定すると、水晶振動子の発振周波数や抵抗値のみが温度変化によって変化する場合が考えられる。
表1に測定データの一例を示す。例えば、温度変化に対して周波数変化量が小さい水晶振動子では(表1 (Au/Cr))、Rの値があまり変化していない(表2 (Au/Cr))。一方、温度変化に対して周波数変化量が大きい水晶振動子では(表1 (Au/Ti))、Rの値が大きく変化する結果となっている(表2 (Au/Ti))。
Figure 2006208028
基本発振周波数はいずれも9MHzの素子である。また、「周波数の変化」は、0℃の時の基本発振周波数を基準として、各温度測定時の発振周波数との差分(変化量。絶対値)として表している。
Figure 2006208028
R、つまり「水晶振動子の下地と上地から構成された電極金属」の抵抗値が大きく変化するように下地の金属、上地の電極金属を選択すること、又は金属板厚を変化させることによって、温度の影響を大きく受けるような温度センサーを作成することができる。
また、一般的に水晶振動子の温度に対する影響は、水晶板の弾性定数も影響していると言われていることから、同様に温度に対する水晶板、電極金属(下地の金属、上地の電極金属)の弾性定数等の複合的な影響も加味されて変化していることが考えられる。
以上の温度センサーは「任意の種類、量の金属材料や金属板厚を利用して温度の影響を大きく受けるようにしたQCM温度センサー」である。
反対に温度の影響を極力少なくした素子も製作可能である。このことから、従来、温度の影響を受けにくくするために、水晶振動子素子を恒温槽やそれらに類する容器に入れ、周波数変化を小さくした構造のものを、このような容器や構造を無くしても、同等以上に温度の影響を少なくした水晶振動子素子の作成も可能となる。この場合には、時計やその他一定の周波数信号を扱う機器で有効に用いる事ができる。
このように、ATカットを行い、上地、下地を任意の量(厚さ)や任意の材料を使用して素子を作製することは、水晶振動子のYカット等を行い、その素子を温度センサーとして製作するよりも、簡便でかつ容易な温度補償用センサーとして得ることができる。しかし、絶対的な変化量としては、Yカット等素子よりも温度に対する影響(変化量)が小さいので、これらの素子よりも優位であるとはいえない。
これから、QCM環境測定時における、環境計測用水晶振動子素子と、前記本発明者らによる出願済の水晶振動子湿度センサーと本発明の温度センサーを補正用素子として利用することによって、それぞれ同一の任意の基本発振周波数の素子を利用することが容易なため、その補正回路についても、同一の周波数であることから発振回路を共用することも可能となる。その結果、信号処理も簡便でかつ容易となる。以下に、本発明の大きな特長である式1として、補正用の基本式を示す。
Figure 2006208028
つまり、温度、湿度の影響を除いた測定対象物のみの測定値を得ることが可能となる。
ATカット水晶振動子の温度に対する影響の一例を示す図 水晶振動子の構造を示す図
符号の説明
1:水晶板
2:電極金属
3:下地金属
4:水晶振動子全体
5:キャップ付の状態
6:キャップを外した状態

Claims (12)

  1. 水晶振動子の両側に設置されている2層構造の電極金属が、電極金属下地の金属と相違する電極金属上地により構成され、この電極金属の物理的特性を利用して、温度変化に対して周波数変化量が大きい水晶振動子により温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度センサー。
  2. 前記水晶振動子がATカットされていることを特徴とする請求項1記載の温度センサー。
  3. 前記電極金属上地が金又は白金、下地の金属がチタンであることを特徴とする請求項1又は2記載の温度センサー。
  4. 水晶振動子の両側に設置されている同一構造で1層構造の電極金属により構成され、この電極金属の物理的特性を利用して温度変化に対して周波数変化量が大きい水晶振動子により温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度センサー。
  5. 前記水晶振動子がATカットされていることを特徴とする請求項4記載の温度センサー。
  6. 前記電極金属がクロム又はチタンであることを特徴とする請求項4又は5記載の温度センサー。
  7. 請求項1乃至6のいずれか記載の温度センサーを、測定対象とする気体または液体と接触させて温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度の測定方法。
  8. 温度補償用温度センサーとして、前記請求項1から6のいずれか記載の温度センサーを利用し、温度を共振周波数の変化として測定することを特徴とする温度の測定方法。
  9. 前記温度補償用温度センサーとして、前記請求項1から6のいずれか記載の温度センサーを利用し、別の素子で湿度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知する湿度センサーと共に、絶対湿度や相対湿度を測定するために、湿度変化を水晶振動子の発振周波数の変化として測定することを特徴とする湿度の測定方法。
  10. 水晶振動子の両側に設置されている2層構造の電極金属が、電極金属下地の金属と相違する電極金属上地により構成され、この電極金属の物理的特性を利用して、温度変化に対して周波数変化量が小さい水晶振動子により温度変化を水晶振動子の発振周波数変化として検知することを特徴とする温度センサー。
  11. 前記水晶振動子がATカットされていることを特徴とする請求項10記載の温度センサー。
  12. 前記電極金属上地が金又は銀、下地の金属がクロムであることを特徴とする請求項10又は11記載の温度センサー。
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