JP2001221006A - 蒸気タービンノズルおよびその蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン - Google Patents

蒸気タービンノズルおよびその蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン

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JP2001221006A JP2000033906A JP2000033906A JP2001221006A JP 2001221006 A JP2001221006 A JP 2001221006A JP 2000033906 A JP2000033906 A JP 2000033906A JP 2000033906 A JP2000033906 A JP 2000033906A JP 2001221006 A JP2001221006 A JP 2001221006A
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島 嗣 久 田
Taro Sakamoto
本 太 郎 坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルウェークによる損失を十分低下させて
動翼の侵食量を低減することができる蒸気タービンノズ
ルおよび蒸気タービンを提供する。 【解決手段】 ノズル外輪1とノズル内輪2との間に、
ルート部11とチップ部12とを有する複数のノズル翼
3が配置されている。ノズル翼3の後縁3aは軸方向お
よび円周方向に湾曲している。ノズル翼3のノズルスロ
ット幅SとノズルピッチTとの比をS/Tとした場合、
S/Tはルート部11からチップ部12への高さ方向に
おいて60%〜80%の位置に少なくとも1つの極小値
を有している。またルート部11のS/TをS/T r
oot、チップ部12のS/TをS/T tip、S/
Tの最小値をS/T minとした場合、S/T ro
ot>S/T tip>S/T minとなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の流れ方向に
順次拡大する環状流路を構成するノズル外輪及びノズル
内輪間に複数のノズル翼を周方向に配列した蒸気タービ
ンノズルおよびそのような蒸気タービンノズルを有する
蒸気タービンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、発電プラントの運転経済性を改善
し発電効率の改善を図るために、タービン性能の向上を
図ることが重要な課題となっている。その中で、特にタ
ービン低圧部の段落は段落当たりの出力が大きく、この
低圧部の段落での性能向上はタービン全体の性能向上の
為に大きな役割を果たす。
【0003】また低圧部の段落のなかでも特に湿り域の
段落では、蒸気通路部で発生し成長した比較的小さな水
滴が羽根(動翼)の回転の遠心力によってノズル翼(静
翼)のチップ部付近に吹き飛ばされ、大部分がノズル翼
表面を伝わりノズル後縁から粗大水滴となって吹きちぎ
られる。この吹きちぎられた粗大水滴は、高速回転の羽
根に衝突して羽根を侵食し、タービンの信頼性を低下さ
せる。このため蒸気タービンの低圧段落に関しては、性
能向上および信頼性向上への効果的な対策が強く求めら
れるようになってきた。
【0004】図16は、蒸気タービンの低圧部の一段落
を示す断面図であり、ノズル外輪1およびノズル内輪2
によって構成された環状の流路内に、多数のノズル翼3
が周方向に配置されている。このうちノズル翼3のチッ
プ部がノズル外輪1の内面すなわちノズル外周壁1aに
固定され、ノズル翼3のルート部がノズル内輪2の外面
すなわちノズル内周壁2aに固定され一つのタービンノ
ズルが構成されている。
【0005】一方、このタービンノズルの下流側には回
転軸4に固定され放射方向に立設された多数の動翼5が
配置され、ノズル翼3からなるタービンノズルと動翼5
によって一段落が構成される。また、この段落が軸方向
Xaに一段落または複数段落組み合わせることによりタ
ービンが構成されている。
【0006】ところで、蒸気タービンの低圧部では流体
の急激な比容積の増加に対応して滑らかな膨脹を実現す
るため、少なくともノズル外周壁1aが軸方向下流に向
かうに従って拡大され、これにより拡大流路が形成され
ている。
【0007】図17は図16のA−A線に沿う断面図で
あり、ノズル翼3は、ルート部の後縁端の半径Rrの位
置からチップ部の後縁端の半径Rtの位置に至るまで、
その後縁3aがラジアル線Xrに沿うように直線状に形
成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように構成され
たタービン段落において、タービンの信頼性向上、性能
向上を図るためには、ノズル外周壁1aおよびノズル内
周壁2aでの流れの剥離の防止、ノズルウェークによる
損失の低減、動翼の侵食低減などの問題を解決する必要
があるが、従来の蒸気タービンノズルでは、上述の問題
点を全て解決しておらず、性能や信頼性の低下を招いて
いた。以下にその理由を説明する。
【0009】まず第1に、ノズル外周壁1aおよびノズ
ル内周壁2aでの流れの剥離について説明する。図18
は、図16および図17に示す蒸気タービンの低圧部の
蒸気流の流動状態を説明する図である。本図に示すよう
に、ノズル外周壁1aが下流に向かうに従って円錐状に
拡大しているため、作動流体の実際の流れは半径方向に
偏ったものとなる。しかも、上記ノズル翼3の下流側に
は動翼5が配設されており、この回転している動翼5の
流路内に流入した作動流体の流れはチップ部側に偏向さ
れる。この影響は動翼5の流路内にとどまらず、その上
流にあるノズル翼3まで及ぶ。一方、ノズル翼後縁3a
は図17に示すようにラジアル線Xrに沿っているた
め、チップ部側へ偏向した流れをルート側へ戻す作用は
無い。従って、従来の軸流タービンの場合、流路内にお
ける作動流体の流動状況は、図18に示す流線Sのよう
になり、作動流体の流れがチップ部側に偏向し、ルート
部へ向う流れは殆ど無くなり、流れの剥離が発生し易く
なり、タービン性能を低下させる原因となる。
【0010】また、ノズル出口のチップ部においては、
ノズル翼の後縁3aがラジアル線Xrに沿っているた
め、流れが拡大するノズル外周壁1aに沿うことができ
ず、流れの剥離が発生し易くなり、軸流タービンの性能
を低下させる原因となる。
【0011】第2にノズルウェークによる損失について
説明する。このような損失にはノズルウェークによる動
翼の翼型損失およびノズルウェークの混合損失が含まれ
るので、以下各々について説明する。
【0012】図19は、軸流タービン運転中の静翼より
下流の流れを示す図である。図19に示すように、ター
ビン運転中、ノズル翼後縁3aには主流の速度C2より
小さい速度C2′をもつウェークと呼ばれる速度領域が
発生する。動翼5は、図中Drで示される方向に回転す
るので、ノズル翼3の下流にある動翼5はこのウェーク
を横切るように回転することになる。動翼5への流入角
度は、通常、主流の速度C2に対して設計される。すな
わち、動翼5への設計流入角度β2は、ノズル3からの
流体の流出角度α2、主流の速度C2および動翼5の円
周方向回転速度Uを用いて幾何学的な関係から求められ
る。同様に、ノズルのウェークW内における作動流体の
流出速度C2′、ノズル3のウェーク内の流体の流出角
α2′と動翼5の円周方向回転速度Uより、ウェーク内
の流体の動翼5への流入角度β2′が決定されるが、こ
れは主流部分での動翼5への流入角度β2とは大幅に相
違する。すなわち、動翼5が静翼からのウェークを通過
する際の作動流体の設計翼流入角度との差Δβは幾何学
的な関係から Δβ=β2′−β2 …(1) となる。
【0013】この作動流体の設計流入角との差Δβは、
動翼における翼型損失に大きな影響を与える。設計され
た翼流入角度に対して、実際の作動流体の流入角度が相
違すると翼型損失が増大することは一般的に知られてい
る。すなわち動翼の翼型損失ξbは、Δβ=0のとき最
小値ξbminとなる。
【0014】ところで、ウェークの作動流体は、図20
に示すようにL1、L2、L3とノズル後縁3aから下
流に離れるに従って、主流部分の作動流体と混合され
る。すなわちウェークWの速度C2′はノズル後縁3a
から下流方向に離れるに従って主流の速度C2に近づい
てくる。このため、図20に示すように作動流体の設定
動翼流入角度との差Δβは、ノズル後縁3aから下流に
離れるに従って小さくなる。
【0015】以上より、ノズルの後縁から、動翼の前縁
までの軸流方向距離Lと動翼損失の1ピッチ平均値ξの
関係は、図21に示すようになる。すなわち、ノズル後
縁から動翼前縁までの軸流方向距離Laxが大きくなる
と、翼型損失の1ピッチ平均値ξbはξbminに近づ
く。
【0016】次にノズルからウェークの混合による混合
損失について説明する。上記のように、ノズルの後縁か
ら、動翼の前縁に至る間、ウェーク部の流体は主流部分
の作動流体と混合されるために、作動流体の粘性に基づ
く熱が発生し、流体のエネルギが失われ、混合損失が発
生する。図22に示すように、混合損失の1ピッチ平均
値ξmはノズル後縁から動翼前縁までの距離Lが大きく
なるに従って、ウェークの混合が促進され、混合損失の
1ピッチ平均値ξmも大きくなる。
【0017】以上説明した2つの損失から、タービンノ
ズル後縁から、タービン動翼前縁に至る軸方向距離が影
響するエネルギ損失を評価すると、図23の如くなる。
図23において、縦軸はノズル後縁から動翼前縁に至る
軸流距離が及ぼすエネルギ損失ξ(=ξb+ξm)を示
し、横軸はノズル後縁から、動翼前縁に至るまでの軸流
方向距離Lを示す。図23により、ノズルの後縁から、
動翼の前縁に至るまでの軸流方向距離Lには、エネルギ
損失が最小となる距離範囲が存在することがわかる。こ
の距離範囲を以下、最適アキシャルクリアランスLop
tと称する。
【0018】図24は、図16および図17に示す従来
の蒸気タービン低圧段落における反動度Rx(段落での
出力に対する動翼の出力の割合)を示す図である。図2
4に示すように、反動度Rxは翼高さが増加するにした
がって増加し、チップ部で最大となり、その値は60〜
75%にも達する。上述したようにノズルウェークによ
る損失にはノズルウェークによる動翼の翼型損失が含ま
れるために、半径方向での動翼の出力が最大さなる位
置、すなわち反動度Rxが最大となるチップ部でノズル
ウェークによる損失を低減することが重要となる。一般
に蒸気タービン段落では軸受スパンおよび軸系の固有振
動数の点からノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方
向距離Lをむやみに増大することは不可能であり、チッ
プ部でのノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方向距
離を調整するためにノズル翼後縁3aを軸方向に傾斜さ
せる手法が用いられる。
【0019】図25はノズルチップ部におけるノズル翼
後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度をαtとした
場合における、交差角度αtとノズルチップ部における
ノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方向距離Lとの
関係を示している。また図26および図27はそれぞれ
αt=90°、αt=160°の場合における蒸気ター
ビン段落の形状を示している。
【0020】図25、図26、図27からもわかるよう
に、ノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度
をαtが大きくなるほど、ノズル後縁から動翼前縁に至
るまでの軸方向距離Lは小さくなる。また、図25に
は、前述したノズルウェークによる損失を最小にする最
適アキシャルクリアランスLoptが示されている。図
25からわかるように、最適アキシャルクリアランスL
optとなるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの
交差角度αtは外周壁の傾斜角度θによって変化し、例
えば外周壁の傾斜角度θ=30°の場合、100°≦α
t≦120°、また外周壁の傾斜角度θ=50°の場
合、120°≦αt≦140°となる。
【0021】図28は図23および図25からチップ部
におけるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差
角度をαtとノズルウェークによる損失ξの関係を示し
たものである。本図に示すように、ノズルウェークによ
る損失ξが小さいノズル翼後縁3aとノズル外周壁1a
との交差角度をαtの範囲が存在することがわかる。
【0022】例えば外周壁の傾斜角度θ=30°の場
合、100°≦αt≦120°、また外周壁の傾斜角度
θ=50°の場合、120°≦αt≦140°となる。
図16および図17に示す従来の蒸気タービン低圧段落
では、ノズルチップ部におけるノズル翼後縁3aとノズ
ル外周壁1aとの交差角度αtは、(1)式のθの範囲
で140°≦αt≦160°の範囲であり、図28から
ノズルウェークによる損失については十分低減できてい
ないことがわかる。
【0023】第3に動翼の侵食について説明する。図2
9は一般の事業用火力発電所における蒸気タービンの膨
張曲線を示している。図中、点Dは最終段前段落(以下
L−1と称する)のタービンノズル入口の蒸気状態を示
し、同様に点EはL−1のタービンノズル出口の蒸気状
態を示し、点FはL−1の動翼出口の蒸気状態を示し、
点Gは最終段段落(以下、L−0と称する)のタービン
ノズル出口の蒸気状態を示している。
【0024】図29からわかるように、L−1のノズル
内では蒸気は乾き蒸気から湿り蒸気となり、L−0の動
翼出口では湿り度が10%近くに達する。しかしなが
ら、蒸気はその膨張により理論上の湿り域に達しても、
直ぐには凝縮を開始せずに湿り度が3〜5%程度になる
まで非平衡状態で膨張し、その後に始めて水滴が発生す
る。この場合、発生する水滴の直径は0.1〜1μm程
度であり、蒸気の膨張に伴って水滴は少しずつ成長す
る。その際、一部の水滴はノズルや動翼の表面に衝突し
て付着するが、粒径が小さいため、この段階では動翼の
侵食はほとんど生じない。
【0025】ところが、L−1の動翼内では、遠心力、
コリオリカ、および蒸気力による外周方向への運動が支
配的となり、水滴はL−0のノズル外輪内面、およびノ
ズル翼面の外周部近傍に付着することになる。図30に
は、破線KでL−0段落Jにおける蒸気流線を、実線V
で同水滴流線を示すが、この図からわかるように、L−
0(図中、Jで示す)のノズル外周壁1aやノズル1の
外周部近傍に付着して水膜Mを形成する。水膜Mは発達
しながらL−0のノズル後縁3aに達した後、蒸気力に
より吹きちぎられて蒸気中に混入し、さらに水滴状に噴
霧される。
【0026】このとき生成される水滴径は、100〜5
00μmにも達し、自然発生した水滴と比べて遥かに巨
大なものとなる。そして、この巨大な水滴は蒸気力によ
って十分加速されないまま、L−0の動翼に衝突し、動
翼5の侵食を引き起こし、タービンの信頼性を低下させ
る原因となっている。
【0027】図31は図30のC−C断面図である。ノ
ズルを流出する蒸気は環状の流路に沿って図31中にK
で示す方向に流出するが、ノズル翼後縁3aから吹きち
ぎられた巨大な水滴は蒸気に比べて密度が大きいため
に、慣性力によって蒸気のように環状の流路に沿って回
込むことができずに、ノズル後縁3aで吹きちぎられた
方向に直線的に飛来する。その結果、巨大な水滴の軌跡
を子午面から見ると、図30にVで示す如く動翼前縁5
aに衝突するまでに軸方向だけではなく軸方向と半径方
向に向う軌跡となる。その結果、図31に示すように、
巨大な水滴は図中Vで示すように軸方向下流へ向うと共
に半径方向にも飛来する。図32は動翼翼高さと動翼の
侵食量を示したものである。
【0028】図32からもわかるように、動翼の侵食は
羽根チップ部で最大となるが、羽根チップ部に到達する
巨大な水滴は図30の記号Vに示すようにノズル翼高さ
の60%から80%部分から吹きちぎられたものとな
る。動翼の侵食には衝突する巨大な水滴の流量が大きく
関係する。図33は図16および図17に示す従来の蒸
気タービンノズルのノズル出口における蒸気流量の分布
を示している。本図からもわかるように、ルート部から
チップ部に向うに従って蒸気流量は増加している。これ
は、従来のノズル出口での流れを自由渦理論による設計
を行っているためである。
【0029】以下、このことについて説明する。図34
はノズル翼の任意の高さにおける円周方向断面を平面に
展開した図でタービン静翼の蒸気通路形状を示してい
る。Sはスロートであり、背側から隣りの腹側で形成さ
れる翼間蒸気通路において最も狭い部分の幅を表す。T
はピッチであり各翼の周方向間隔を表す。スロート・ピ
ッチ比(S/T)は蒸気タービンの大きさによらない空
力パラメータであり、蒸気タービンノズルの流出角と対
応する。すなわち、スロート・ピッチ比(S/T)を大
きくすると、周方向をゼロとして定義した蒸気タービン
ノズルの流出角α2は大きくなり、翼流出速度を一定と
すれば、軸流速度成分が大きくなり、この断面を通過す
る流量は増加する。逆に、スロート・ピッチ比(S/
T)を小さくすると、タービンノズルの流出角は小さく
なり、この断面を通過する流量は減少する。
【0030】図35は従来タービンノズルのスロート・
ピッチ比(S/T)分布を示している。ノズルの入口全
圧はほぼ一定であるが、ノズル出口静圧の分布はルート
部からチップ部にかけて増加する分布を持つ。これに対
して、半径方向の流量分布を一定とすることを前提とし
た自由渦理論を採用した従来のノズル設計法では、図3
5に示すように翼ルート部からチップ部にかけて単調に
増加するS/T分布が採用されている。このため、ノズ
ル出口の流量の分布は図33に示す如く、ルートからチ
ップにかけて単調に増加する分布となる。このため、図
36に示すようにノズル出口における水滴量の分布は、
ルート部からチップ部へ向うに従い増加する。従って、
上述のように動翼の先端に衝突する巨大な水滴の発生源
であるノズル翼高さ60%から80%位置の蒸気流量は
最大値に近く、動翼の侵食を十分に低減できていないと
いう問題が生じている。
【0031】以上説明したように、蒸気タービン低圧段
落の性能および信頼性を向上させるためには、急拡大す
る外周壁部において流れの剥離による損失を低減するこ
と、ノズルウェークによる損失を低減すること、水滴に
よる動翼の侵食を低減することが必要であるが、従来の
蒸気タービン段落ではいずれも不充分であるという問題
が生じている。
【0032】これらの問題のうち急拡大する外周部にお
いて流れの剥離による損失を低減するために図37に示
すように、ノズル翼3の後縁3aをその全高さにわたっ
てラジアル線に対して円周方向に曲線状に湾曲させるこ
とも提案されている(特開平4−124406号公報参
照)。図38は図37に示された軸流タービンの流路内
における作動流体の流動分布を示す図である。図38を
図18と比較すると、ノズル翼3のルート部には従来の
ノズル翼に比べて流れが存在するが、ノズル翼3のチッ
プ部に流れが大きく偏っており、流路中央部では流れが
殆ど無く、良好な流れではない。
【0033】図39は、ノズル翼3の後縁3aが曲線状
に湾曲している場合の、ノズル翼3の後縁3aのラジア
ル線Xrからの傾斜角度βを説明する模式図である。図
39において、ノズル翼3の後縁3aのルート部におけ
る傾斜角度をβr、チップ部における傾斜角度をβtと
し、ルート部およびチップ部における湾曲している後縁
3aを接線をそれぞれLr、Ltとし、さらにその接線
Lr、Ltの交点をPとし、交点Pの半径をRcとする
と、図39からも判るように、この半径RがRr≦R≦
Rcの範囲ではノズル翼3の後縁3aの傾斜角度βはβ
≧0であり、この範囲の半径位置ではノズル翼3の後縁
3aの傾斜はルート方向を向いている。
【0034】一方、半径RがRc<R≦Rtの範囲では
ノズル出口の流れはチップ方向を向いている。従って、
Rc<R≦Rtの範囲ではノズル出口の流れはチップ方
向のベクトルをもつこととなる。
【0035】このようなことから、ノズル出口の流れは
ノズル翼3の後縁3aのルート部における傾斜の接線L
rとチップ部における接線Ltとの交点Pの半径Rcよ
りチップ側ではチップ方向のベクトルをもち、半径Rc
よりルート側ではルート方向のベクトルをもっている。
【0036】図40は、前記交点Pの位置の半径Rcの
関数(Rc−Rr)/(Rt−Rr)とノズル内周壁1
aおよびノズル外周壁2aにおける損失の関係を示して
いる。(Rc−Rr)/(Rt−Rr)が0、すなわち
Rcがルートに近づくに従いノズル内周壁2aでの剥離
が大きくなるために損失が増加し、また(Rc−Rr)
/(Rt−Rr)が1.0、すなわちチップに近づくに
従いノズル外周壁1aでの剥離が大きくなるために損失
が増加する。図37に示す従来のタービンノズルでは前
記交点Pの位置の半径Rcが 0.4<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.6 …(2) であるため、図40からも判るように剥離による損失が
大きく、図38に示すようにノズル翼3のチップ部に流
れが大きく偏っており、ルート部および流路中央部では
流れが殆ど無く、良好な流れではない。
【0037】図41は図37に示す従来の発明のタービ
ンノズルの子午面断面図を示している。本図からも判る
ように、ノズル外周壁1aの傾斜角度θ=40°のと
き、ノズルチップ部におけるノズル翼後縁3aとノズル
外周壁1aとの交差角度αtaは、約150°であり、
図28に当てはめるとノズルウェークによる損失最小の
範囲から外れており、ノズルウェークによる損失を低減
できていない。
【0038】図42は図37および図41に示す従来の
発明のタービンノズルにおけるノズル出口の流量分布を
示している。図37および図41に示す従来の発明のタ
ービンノズルにおいては、スロート・ピッチ比(S/
T)については言及していないため、図35に示すよう
に従来設計のスロート・ピッチ比(S/T)分布と考え
られる。そのため、ノズル出口の流量の分布は図42に
示すように、ルートからチップにかけて単調に増加する
分布となる。このため、ノズル出口における水滴量の分
布は図36と同様であり、動翼の先端に衝突する巨大な
水滴の発生源であるノズル翼高さ60%から80%位置
の蒸気流量は最大値に近く、動翼の侵食を十分に低減で
きていない。
【0039】以上説明したように、従来の発明のタービ
ンノズルでは、ノズルウェークによる損失を低減するこ
と、急拡大する外周壁部において流れの剥離による損失
を低減すること、および水滴による動翼の侵食を低減す
ることが達成されていない。
【0040】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、蒸気タービン低圧部において、急拡大す
る外周壁部において流れの剥離による損失を低減するこ
とができ、ノズルウェークによる損失を低減するととも
に、水滴による動翼の侵食を低減し、これによって蒸気
タービン低圧部の性能および信頼性を向上させることが
できる蒸気タービンノズルおよびこの蒸気タービンノズ
ルを用いた蒸気タービンを提供することを目的とする。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、流体の流れ
方向に拡大する環状流路を形成するノズル外輪およびノ
ズル内輪と、ノズル外輪とノズル内輪との間に円周方向
に配置されるとともにルート部とチップ部を有する複数
のノズル翼とを備え、各ノズル翼の後縁および前縁が、
各々軸方向および円周方向に湾曲し、ノズル翼のノズル
スロート幅SとノズルピッチTとの比をS/Tとした場
合、S/Tはルート部からチップ部への高さ方向におい
て60%〜80%の位置に少なくとも1つの極小値を有
し、ルート部のS/TをS/T root、チップ部の
S/TをS/T tip、S/Tの最小値をS/T m
inとした場合、S/T root>S/T tip>
S/Tminとすることを特徴とする蒸気タービンノズ
ルである。
【0042】本発明は、上記記載の蒸気タービンノズル
を有し、この蒸気タービンノスルは最終タービン段落お
よびその上流のタービン段落の少なくとも1つ以上に適
用されることを特徴とする蒸気タービンである。
【0043】
【発明の実施の形態】第1の実施の形態 以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明
する。
【0044】図1乃至図9は本発明の第1の実施の形態
を示す図であり、このうち図1は蒸気タービンノズルを
示す断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1
に示すノズル翼の後縁のラジアル線に対する傾斜形状を
示す図、図4はノズル翼のスロート幅Sとノズルピッチ
Tとの比(S/T)を示す図である。
【0045】図1に示すように、蒸気タービンノズル1
0は流体の流れ方向に拡大する環状流路10aを形成す
るノズル外輪1およびノズル内輪2と、ノズル外輪1と
ノズル内輪2との間の環状流路10内に円周方向に配置
されるとともにルート部11とチップ部12とを有する
複数のノズル翼3とを備えている。
【0046】また各ノズル翼3は後縁3aと前縁3bと
を有し、後縁3aと前縁3bは各々軸方向および円周方
向に湾曲している。
【0047】またノズル翼3のチップ部12は、ノズル
外輪1の内面すなわちノズル外周壁1aに固定され、ノ
ズル翼3のルート部11は、ノズル内輪2の外面すなわ
ちノズル内周壁2aに固定されている。
【0048】またタービンノズル10の下流側には、回
転軸4に固定され放射方向に立設された多数の動翼5が
配置され、タービンノズル10と動翼5とによって一段
落が構成される。この段落が軸方向Xaに一段落または
複数段落配置されてタービンが構成される。
【0049】本発明によるタービンノズル10は、少な
くともタービンの最終段落に配置されている。また最終
段落近傍のタービンノズル10は、流体の急速な比容積
の増加に対応して滑らかな膨張を実現する必要があるた
め、ノズル外周壁1aが軸方向Xaの下流側に向って拡
大している。このため環状流路10aも軸方向Xaの下
流側に向って拡大する。
【0050】また図3に示すように、軸方向から観察さ
れるノズル翼3の後縁3aは、半径方向に沿う直線に対
しノズル翼中央部で側方に突出した湾曲形状を有し、こ
の後縁3aの湾曲形状のルート部11における接線とチ
ップ部12における接線の交点の半径をRcとし、後縁
3aのルート部11の半径をRr、後縁3aのチップ部
12のの半径をRtとした場合、 0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9 を満足する。
【0051】また、図1に示すように、半径方向Xrと
軸方向Xaで構成される2次元平面(Xr−Xa平面)
に投影したノズル翼3の後縁3aは軸方向に湾曲してお
り、ノズル外周壁1aの傾斜角度θと後縁線3aとの交
差角度αtは θ+70°≦αt≦θ+90° を満足するように設定される。
【0052】さらに、図4に示すように、ノズル翼3の
ノズルスロート幅SとノズルピッチTとの比をS/Tと
した場合(図34参照)、S/Tはルート部11からピ
ッチ部12へのノズル翼3の高さ方向において60%〜
80%の位置に少なくとも1つの極小値S/T min
を有している。
【0053】またS/Tは次の式を満足する。
【0054】 S/T root>S/T tip>S/T min S/T root……ルート部のS/T S/T tip ……チップ部のS/T S/T min ……S/Tの極小値 S/Tの分布を、図4に示すように設定したのは、次の
理由による。すなわち最も動翼5の侵食が大きい動翼チ
ップ部に衝突する水滴は、ノズル翼3の高さ方向におい
て60%〜80%の部分から発生する(図30乃至図3
3)。
【0055】本発明によれば、ノズル翼3の高さ方向に
おいて60%〜80%の位置にS/T minがくるの
で、図5に示すようにノズル翼3の後縁3aにおける6
0%から80%高さ位置における水滴量が減少し、動翼
チップ部の侵食量を低下することが可能となる。
【0056】また、図1に示すように、半径方向Xrと
軸方向Xaで構成される2次元平面(子午面)(Xr−
Xa平面)に投影したノズル翼3の後縁3aが軸方向に
向って、ルート部11およびチップ部12では直線状に
傾斜し、ルート部11およびチップ部12の中間部で
は、ルート部11近傍およびチップ部12近傍の直線と
連結する曲線に沿った湾曲形状となっており、ノズル外
周壁1aの傾斜角度θと後縁線3aとの交差角度αtは θ+70°≦αt≦θ+90° を満足するように設定される。
【0057】図6は、ノズル外周壁1aの傾斜角度θ
と、後縁線3aとの交差角度αtと、ノズルウェークに
よる損失ζの関係を示している。θとαtの関係を上述
の如く設定することで、図6に示すように、30°≦α
t≦50°の範囲でノズルウェークによる損失を最小に
することができる。
【0058】すなわち、交差角度αtを、30°≦αt
≦50°と定めることにより、ノズルウェークによる損
失を最小とする最適アキシャルクリアランスLoptを
得ることができ、このためノズルウェークによる損失の
軽減を図ることができる(図25乃至図28)。
【0059】また図2及び図3に示すように、ノズル翼
3の後縁3aは円周方向に、そのルート部11側ではラ
ジアル線Xrに対して直線状に傾斜しており、チップ部
12側が曲線状に湾曲されている。
【0060】次に図7により、(Rc−Rr)/(Rt
−Rr)と剥離による損失ζの関係を示す。上述のよう
に、ノズル翼3におけるルート部11の後縁3aに接す
る接線Lrと、チップ部12の後縁3aに接する接線L
tの交点の半径位置Rcは、 0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9 を満足するような位置に選定されているので、図7に示
すように剥離による損失を最小にすることができ、図8
に示すようにタービン段落の流動状態は、ノズル外周壁
1aとノズル内周壁2aにおいて剥離のない良好な流れ
場が実現可能となる。
【0061】すなわち(Rc−Rr)/(Rt−Rr)
が上述の範囲からはずれると、剥離による損失が増大し
てしまうが(図39および図40)、本発明によれば剥
離による損失を確実に防止することができる。
【0062】上述の作用を総合すると、本発明の蒸気タ
ービンノズル翼を適用した場合、タービン段落損失は図
9に示すように、内周壁2aおよび外周壁1a近傍の流
れの剥離が低減され、かつ、ノズルウェークによる損失
が低減されて、従来の段落に比べて損失は大幅に低減さ
れ、タービン性能を向上することができる。また、図5
に示すようにノズル翼3の後縁3aの外周壁1a近傍に
おける水滴量が減少するため、効率の低下を招くことな
く動翼の侵食量は低減され、タービンの信頼性が向上す
る。
【0063】第2の実施の形態 図10は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、
ノズル翼3の全長にわたって、その後縁3aがラジアル
線Xrに対して円周方向に湾曲した曲線状となってい
る。図10において、その他の構成は図1乃至図9に示
す第1の実施の形態と略同一である。
【0064】図10において、ノズル翼3の後縁3aを
周方向に向って湾曲させることにより、ノズル内周壁2
a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減
し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の
実施の形態と同様、ノズルウェークによる損失を十分低
下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性
を向上させることができる。
【0065】第3の実施の形態 図11は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、
ノズル翼3の後縁3aがルート部11およびチップ部1
2では円周方向に向って直線状に傾斜し、ルート部11
及びチップ部12の中間部ではルート部11近傍および
チップ部12近傍の直線状の傾斜に連続された曲線に沿
って形成されている。
【0066】図11において、その他の構成は図1乃至
図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0067】図11において、上述のようにノズル翼3
の後縁3aを円周方向に向って湾曲させることにより、
ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流
れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができ
る。また第1の実施の形態と同様、ノズルウェークによ
る損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービ
ン効率・信頼性を向上させることができる。
【0068】第4の実施の形態 図12は、本発明の第4の実施の形態を示す図であり、
ノズル翼3の後縁3aが、チップ部11では円周方向に
曲線状に傾斜され、ルート部12では円周方向に直線状
に湾曲している。
【0069】図11において、その他の構成は図1乃至
図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0070】図12において、上述のようにノズル3の
後縁3aを円周方向に向って湾曲させることにより、ノ
ズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れ
の剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができ
る。また第1の実施の形態と同様ノズルウェークによる
損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン
効率・信頼性を向上させることができる。
【0071】第5の実施の形態 図13は、本発明の第5の実施の形態を示す図であり、
子午面(Xr−Xa平面)から観察したノズル翼3の後
縁3aが、ルート部11では軸方向に向って直線状に傾
斜し、チップ部12では軸方向に曲線状に湾曲してい
る。
【0072】図13において、その他の構成は図1乃至
図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0073】図13において、ノズル翼3の後縁3aを
軸方向に向って湾曲させることにより、ノズル内周壁2
a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減
し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の
実施の形態と同様ノズルウェークによる損失を十分低下
させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を
向上させることができる。
【0074】第6の実施の形態 図14は、本発明の第6の実施の形態を示す図であり、
子午面から観察したノズル翼3の後縁3aが、軸方向に
向って曲線状に湾曲して形成されている。図14におい
て、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形
態と略同一である。
【0075】図14において、ノズル翼3の後縁3aを
軸方向に湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍
およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良
好な流れ場を実現することができる。また第1の実施の
形態と同様、ノズルウェークによる損失を十分低減さ
せ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向
上させることができる。
【0076】第7の実施の形態 図15は、本発明の第7の実施の形態を示す図であり、
子午面から観察したノズル翼3の後縁3aが、チップ部
11では軸方向に直線状に傾斜し、ルート部12では軸
方向に曲線状に湾曲している。
【0077】図15において、その他の構成は図1乃至
図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0078】図15において、ノズル翼3の後縁3aを
軸方向に湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍
およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良
好な流れ場を実現することができる。またノズルウェー
クによる損失が十分低い範囲で、動翼の侵食量を低減
し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。他の実施の形態 なお、上記各実施例において、図2、10、11、12
に示すノズル翼3の後縁3aの周方向湾曲形状のいずれ
かと、図3、13、14、15に示すノズル翼3の後縁
3aの軸方向湾曲形状のいずれを互いに組み合わせて
も、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍
の流れの剥離を低減し、良好な流れを実現することがで
き、ノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の
侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させるこ
とができる。
【0079】また上述したタービンノズル10を最終タ
ービン段落およびその上流のタービン段落の少なくとも
1つ以上に適用することにより、ノズル内周壁2a近傍
およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良
好な流れを実現することができる。またノズルウェーク
による損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タ
ービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、ノズルスロート幅とノ
ズルピッチとの比をS/Tとした場合、S/Tは翼高さ
60%から80%の位置に少なくとも1つの極小値(S
/T)minを有し、かつ S/T root>S/T tip>S/T min を満足するように定めるので、ノズルウェークによる損
失を十分低下させて動翼の侵食量を低減することができ
る。
【0081】このため、ノズルウェークによる損失を低
減し、動翼の侵食量を低減し、ノズル内周壁およびノズ
ル外周壁における流れの剥離を抑えて、良好な流れ場を
実現することが可能となる。このためタービン性能およ
びタービンの信頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すタービンノズル
の図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明のタービンノズルの円周方向の傾斜を説
明する図。
【図4】本発明のタービンノズルのスロート幅とノズル
ピッチの比を説明する図。
【図5】ノズル翼の出口の水滴量を説明する図。
【図6】ノズルウェークによる損失を説明する図。
【図7】ノズル内周壁とノズル外周壁の剥離による損失
を説明する図。
【図8】タービン段落の流動状況を説明する図。
【図9】タービン段落の損失を説明する図。
【図10】本発明の第2の実施形態を示すタービンノズ
ルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図11】本発明の第3の実施形態を示すタービンノズ
ルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図12】本発明の第4の実施形態を示すタービンノズ
ルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図13】本発明の第5の実施形態を示すタービンノズ
ルの図。
【図14】本発明の第6の実施形態を示すタービンノズ
ルの図。
【図15】本発明の第7の実施形態を示すタービンノズ
ルの図。
【図16】従来のタービンノズルを示す図。
【図17】図16のA−A断面図。
【図18】従来のタービン段落の流動状況を説明する
図。
【図19】ノズルウェークを説明する図。
【図20】ノズルウェーク混合を説明する図。
【図21】ノズルウェークによる動翼損失を説明する
図。
【図22】ノズルウェークの混合損失を説明する図。
【図23】ノズルウェークによる損失を説明する図。
【図24】反動度分布を説明する図。
【図25】ノズル外周壁における後縁傾斜角と、ノズル
・羽根間距離の関係を示す相関図。
【図26】従来のタービンノズルを示す図。
【図27】従来のタービンノズルを示す図。
【図28】ノズル外周壁における後縁傾斜角とノズルウ
ェークによる損失の関係を示す相関図。
【図29】従来の蒸気タービンの膨張線を説明する図。
【図30】従来の蒸気タービンの水滴流動状況を説明す
る図。
【図31】図30のC−C断面図。
【図32】従来の蒸気タービンの動翼侵食量を説明する
図。
【図33】従来の蒸気タービンノズル出口流量を説明す
る図。
【図34】タービンノズルのスロート・ピッチの比を説
明する図。
【図35】従来の蒸気タービンのスロート幅とピッチの
比を示す分布図。
【図36】従来の蒸気タービンのノズル出口の水滴量の
分布図。
【図37】従来の蒸気タービンノズルの説明図。
【図38】従来の蒸気タービン段落の流動状況を説明す
る図。
【図39】従来の蒸気タービンノズルの円周方向の傾斜
を説明する図。
【図40】従来のノズル内周壁とノズル外周壁の剥離に
よる損失を説明する図。
【図41】従来の蒸気タービン段落を説明する図。
【図42】従来の蒸気タービンノズル出口蒸気流量を説
明する図。
【符号の説明】
1 ノズル外輪 1a ノズル外周壁 2 ノズル内輪 2a ノズル内周壁 3 ノズル翼 3a ノズル後縁 4 回転軸 5 動翼 5a 動翼前縁 10 タービンノズル 10a 環状流路 11 ルート部 12 チップ部

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体の流れ方向に拡大する環状流路を形成
    するノズル外輪およびノズル内輪と、 ノズル外輪とノ
    ズル内輪との間に円周方向に配置されるとともにルート
    部とチップ部を有する複数のノズル翼とを備え、 各ノズル翼の後縁および前縁が、各々軸方向および円周
    方向に湾曲し、 ノズル翼のノズルスロート幅SとノズルピッチTとの比
    をS/Tとした場合、S/Tはルート部からチップ部へ
    の高さ方向において60%〜80%の位置に少なくとも
    1つの極小値を有し、 ルート部のS/TをS/T root、チップ部のS/
    TをS/T tip、S/Tの最小値をS/T min
    とした場合、 S/T root>S/T tip>S/Tminとす
    ることを特徴とする蒸気タービンノズル。
  2. 【請求項2】ノズル外周壁の傾斜角度をθ、ノズル外周
    壁におけるノズル後縁とノズル外周壁との交差角をαt
    としたとき、 θ+70°≦αt≦θ+90° となることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンノ
    ズル。
  3. 【請求項3】軸方向から観察されるノズル翼の後縁は、
    半径方向に沿う直線に対しノズル翼中央部で側方に突出
    した湾曲形状を有し、この後縁の湾曲形状のルート部に
    おける接線とチップ部における接線との交点の半径をR
    cとし、ノズル翼の後縁のルート部半径をRr、ノズル
    翼の後縁のチップ部半径をRtとした場合、 0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9 となることを特徴とする請求項1または2のいずれか記
    載の蒸気タービンノズル。
  4. 【請求項4】各ノズル翼の後縁は円周方向に、ルート部
    からチップ部まで曲線状に湾曲されていることを特徴と
    する、請求項1乃至3のいずれか記載の蒸気タービンノ
    ズル。
  5. 【請求項5】ノズル翼の後縁は円周方向に、ルート部で
    は直線状に傾斜し、チップでは曲線状に湾曲することを
    特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の蒸気ター
    ビンノズル。
  6. 【請求項6】ノズル翼の後縁は円周方向に、ルート部お
    よびチップ部では直線状に傾斜し、ルート部とチップ部
    との間の中間部ではルート部近傍およびチップ近傍の直
    線と連続する曲線に沿って湾曲して形成されていること
    を特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の蒸気タ
    ービンノズル。
  7. 【請求項7】ノズル翼の後縁は円周方向に、チップ部で
    は直線状に傾斜し、ルート部では曲線状に湾曲すること
    を特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の蒸気タ
    ービンノズル。
  8. 【請求項8】ノズル翼の後縁は軸方向に、ルート部では
    直線状に傾斜し、チップ部では曲線状に湾曲することを
    特徴とする、請求項1乃至7のいずれか記載の蒸気ター
    ビンノズル。
  9. 【請求項9】ノズル翼の後縁は軸方向に、ルート部から
    チップ部まで曲線状に湾曲されていることを特徴とす
    る、請求項1乃至7のいずれか記載の蒸気タービンノズ
    ル。
  10. 【請求項10】ノズル翼の後縁は軸方向に、ルート部お
    よびチップ部では直線状に傾斜し、ルート部とチップ部
    との間の中間部ではルート部近傍およびチップ部近傍の
    直線と連続する曲線に沿って湾曲して形成されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の蒸気タ
    ービンノズル。
  11. 【請求項11】ノズル翼の後縁は軸方向に、チップ部で
    は直線状に傾斜し、ルート部では曲線状に湾曲すること
    を特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の蒸気ター
    ビンノズル。
  12. 【請求項12】請求項1乃至11のいずれかに記載の蒸
    気タービンノズルを有し、この蒸気タービンノスルは最
    終タービン段落およびその上流のタービン段落の少なく
    とも1つ以上に適用されることを特徴とする蒸気タービ
    ン。
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