JP4184565B2 - 蒸気タービンノズルおよびその蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン - Google Patents
蒸気タービンノズルおよびその蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流れ方向に順次拡大する環状流路を構成するノズル外輪及びノズル内輪間に複数のノズル翼を周方向に配列した蒸気タービンノズルおよびそのような蒸気タービンノズルを有する蒸気タービンに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電プラントの運転経済性を改善し発電効率の改善を図るために、タービン性能の向上を図ることが重要な課題となっている。その中で、特にタービン低圧部の段落は段落当たりの出力が大きく、この低圧部の段落での性能向上はタービン全体の性能向上の為に大きな役割を果たす。
【0003】
また低圧部の段落のなかでも特に湿り域の段落では、蒸気通路部で発生し成長した比較的小さな水滴が羽根(動翼)の回転の遠心力によってノズル翼(静翼)のチップ部付近に吹き飛ばされ、大部分がノズル翼表面を伝わりノズル後縁から粗大水滴となって吹きちぎられる。この吹きちぎられた粗大水滴は、高速回転の羽根に衝突して羽根を侵食し、タービンの信頼性を低下させる。このため蒸気タービンの低圧段落に関しては、性能向上および信頼性向上への効果的な対策が強く求められるようになってきた。
【0004】
図16は、蒸気タービンの低圧部の一段落を示す断面図であり、ノズル外輪1およびノズル内輪2によって構成された環状の流路内に、多数のノズル翼3が周方向に配置されている。このうちノズル翼3のチップ部がノズル外輪1の内面すなわちノズル外周壁1aに固定され、ノズル翼3のルート部がノズル内輪2の外面すなわちノズル内周壁2aに固定され一つのタービンノズルが構成されている。
【0005】
一方、このタービンノズルの下流側には回転軸4に固定され放射方向に立設された多数の動翼5が配置され、ノズル翼3からなるタービンノズルと動翼5によって一段落が構成される。また、この段落が軸方向Xaに一段落または複数段落組み合わせることによりタービンが構成されている。
【0006】
ところで、蒸気タービンの低圧部では流体の急激な比容積の増加に対応して滑らかな膨脹を実現するため、少なくともノズル外周壁1aが軸方向下流に向かうに従って拡大され、これにより拡大流路が形成されている。
【0007】
図17は図16のA−A線に沿う断面図であり、ノズル翼3は、ルート部の後縁端の半径Rrの位置からチップ部の後縁端の半径Rtの位置に至るまで、その後縁3aがラジアル線Xrに沿うように直線状に形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように構成されたタービン段落において、タービンの信頼性向上、性能向上を図るためには、ノズル外周壁1aおよびノズル内周壁2aでの流れの剥離の防止、ノズルウェークによる損失の低減、動翼の侵食低減などの問題を解決する必要があるが、従来の蒸気タービンノズルでは、上述の問題点を全て解決しておらず、性能や信頼性の低下を招いていた。以下にその理由を説明する。
【0009】
まず第1に、ノズル外周壁1aおよびノズル内周壁2aでの流れの剥離について説明する。図18は、図16および図17に示す蒸気タービンの低圧部の蒸気流の流動状態を説明する図である。本図に示すように、ノズル外周壁1aが下流に向かうに従って円錐状に拡大しているため、作動流体の実際の流れは半径方向に偏ったものとなる。しかも、上記ノズル翼3の下流側には動翼5が配設されており、この回転している動翼5の流路内に流入した作動流体の流れはチップ部側に偏向される。この影響は動翼5の流路内にとどまらず、その上流にあるノズル翼3まで及ぶ。一方、ノズル翼後縁3aは図17に示すようにラジアル線Xrに沿っているため、チップ部側へ偏向した流れをルート側へ戻す作用は無い。従って、従来の軸流タービンの場合、流路内における作動流体の流動状況は、図18に示す流線Sのようになり、作動流体の流れがチップ部側に偏向し、ルート部へ向う流れは殆ど無くなり、流れの剥離が発生し易くなり、タービン性能を低下させる原因となる。
【0010】
また、ノズル出口のチップ部においては、ノズル翼の後縁3aがラジアル線Xrに沿っているため、流れが拡大するノズル外周壁1aに沿うことができず、流れの剥離が発生し易くなり、軸流タービンの性能を低下させる原因となる。
【0011】
第2にノズルウェークによる損失について説明する。このような損失にはノズルウェークによる動翼の翼型損失およびノズルウェークの混合損失が含まれるので、以下各々について説明する。
【0012】
図19は、軸流タービン運転中の静翼より下流の流れを示す図である。図19に示すように、タービン運転中、ノズル翼後縁3aには主流の速度C2より小さい速度C2′をもつウェークと呼ばれる速度領域が発生する。動翼5は、図中Drで示される方向に回転するので、ノズル翼3の下流にある動翼5はこのウェークを横切るように回転することになる。動翼5への流入角度は、通常、主流の速度C2に対して設計される。すなわち、動翼5への設計流入角度β2は、ノズル3からの流体の流出角度α2、主流の速度C2および動翼5の円周方向回転速度Uを用いて幾何学的な関係から求められる。同様に、ノズルのウェークW内における作動流体の流出速度C2′、ノズル3のウェーク内の流体の流出角α2′と動翼5の円周方向回転速度Uより、ウェーク内の流体の動翼5への流入角度β2′が決定されるが、これは主流部分での動翼5への流入角度β2とは大幅に相違する。すなわち、動翼5が静翼からのウェークを通過する際の作動流体の設計翼流入角度との差Δβは幾何学的な関係から
Δβ=β2′−β2 …(1)
となる。
【0013】
この作動流体の設計流入角との差Δβは、動翼における翼型損失に大きな影響を与える。設計された翼流入角度に対して、実際の作動流体の流入角度が相違すると翼型損失が増大することは一般的に知られている。すなわち動翼の翼型損失ξbは、Δβ=0のとき最小値ξbminとなる。
【0014】
ところで、ウェークの作動流体は、図20に示すようにL1、L2、L3とノズル後縁3aから下流に離れるに従って、主流部分の作動流体と混合される。すなわちウェークWの速度C2′はノズル後縁3aから下流方向に離れるに従って主流の速度C2に近づいてくる。このため、図20に示すように作動流体の設定動翼流入角度との差Δβは、ノズル後縁3aから下流に離れるに従って小さくなる。
【0015】
以上より、ノズルの後縁から、動翼の前縁までの軸流方向距離Lと動翼損失の1ピッチ平均値ξの関係は、図21に示すようになる。すなわち、ノズル後縁から動翼前縁までの軸流方向距離Laxが大きくなると、翼型損失の1ピッチ平均値ξbはξbminに近づく。
【0016】
次にノズルからウェークの混合による混合損失について説明する。上記のように、ノズルの後縁から、動翼の前縁に至る間、ウェーク部の流体は主流部分の作動流体と混合されるために、作動流体の粘性に基づく熱が発生し、流体のエネルギが失われ、混合損失が発生する。図22に示すように、混合損失の1ピッチ平均値ξmはノズル後縁から動翼前縁までの距離Lが大きくなるに従って、ウェークの混合が促進され、混合損失の1ピッチ平均値ξmも大きくなる。
【0017】
以上説明した2つの損失から、タービンノズル後縁から、タービン動翼前縁に至る軸方向距離が影響するエネルギ損失を評価すると、図23の如くなる。図23において、縦軸はノズル後縁から動翼前縁に至る軸流距離が及ぼすエネルギ損失ξ(=ξb+ξm)を示し、横軸はノズル後縁から、動翼前縁に至るまでの軸流方向距離Lを示す。図23により、ノズルの後縁から、動翼の前縁に至るまでの軸流方向距離Lには、エネルギ損失が最小となる距離範囲が存在することがわかる。この距離範囲を以下、最適アキシャルクリアランスLoptと称する。
【0018】
図24は、図16および図17に示す従来の蒸気タービン低圧段落における反動度Rx(段落での出力に対する動翼の出力の割合)を示す図である。図24に示すように、反動度Rxは翼高さが増加するにしたがって増加し、チップ部で最大となり、その値は60〜75%にも達する。上述したようにノズルウェークによる損失にはノズルウェークによる動翼の翼型損失が含まれるために、半径方向での動翼の出力が最大さなる位置、すなわち反動度Rxが最大となるチップ部でノズルウェークによる損失を低減することが重要となる。一般に蒸気タービン段落では軸受スパンおよび軸系の固有振動数の点からノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方向距離Lをむやみに増大することは不可能であり、チップ部でのノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方向距離を調整するためにノズル翼後縁3aを軸方向に傾斜させる手法が用いられる。
【0019】
図25はノズルチップ部におけるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度をαtとした場合における、交差角度αtとノズルチップ部におけるノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方向距離Lとの関係を示している。また図26および図27はそれぞれαt=90°、αt=160°の場合における蒸気タービン段落の形状を示している。
【0020】
図25、図26、図27からもわかるように、ノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度をαtが大きくなるほど、ノズル後縁から動翼前縁に至るまでの軸方向距離Lは小さくなる。また、図25には、前述したノズルウェークによる損失を最小にする最適アキシャルクリアランスLoptが示されている。図25からわかるように、最適アキシャルクリアランスLoptとなるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度αtは外周壁の傾斜角度θによって変化し、例えば外周壁の傾斜角度θ=30°の場合、100°≦αt≦120°、また外周壁の傾斜角度θ=50°の場合、120°≦αt≦140°となる。
【0021】
図28は図23および図25からチップ部におけるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度をαtとノズルウェークによる損失ξの関係を示したものである。本図に示すように、ノズルウェークによる損失ξが小さいノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度をαtの範囲が存在することがわかる。
【0022】
例えば外周壁の傾斜角度θ=30°の場合、100°≦αt≦120°、また外周壁の傾斜角度θ=50°の場合、120°≦αt≦140°となる。図16および図17に示す従来の蒸気タービン低圧段落では、ノズルチップ部におけるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度αtは、(1)式のθの範囲で140°≦αt≦160°の範囲であり、図28からノズルウェークによる損失については十分低減できていないことがわかる。
【0023】
第3に動翼の侵食について説明する。図29は一般の事業用火力発電所における蒸気タービンの膨張曲線を示している。図中、点Dは最終段前段落(以下L−1と称する)のタービンノズル入口の蒸気状態を示し、同様に点EはL−1のタービンノズル出口の蒸気状態を示し、点FはL−1の動翼出口の蒸気状態を示し、点Gは最終段段落(以下、L−0と称する)のタービンノズル出口の蒸気状態を示している。
【0024】
図29からわかるように、L−1のノズル内では蒸気は乾き蒸気から湿り蒸気となり、L−0の動翼出口では湿り度が10%近くに達する。しかしながら、蒸気はその膨張により理論上の湿り域に達しても、直ぐには凝縮を開始せずに湿り度が3〜5%程度になるまで非平衡状態で膨張し、その後に始めて水滴が発生する。この場合、発生する水滴の直径は0.1〜1μm程度であり、蒸気の膨張に伴って水滴は少しずつ成長する。その際、一部の水滴はノズルや動翼の表面に衝突して付着するが、粒径が小さいため、この段階では動翼の侵食はほとんど生じない。
【0025】
ところが、L−1の動翼内では、遠心力、コリオリカ、および蒸気力による外周方向への運動が支配的となり、水滴はL−0のノズル外輪内面、およびノズル翼面の外周部近傍に付着することになる。図30には、破線KでL−0段落Jにおける蒸気流線を、実線Vで同水滴流線を示すが、この図からわかるように、L−0(図中、Jで示す)のノズル外周壁1aやノズル1の外周部近傍に付着して水膜Mを形成する。水膜Mは発達しながらL−0のノズル後縁3aに達した後、蒸気力により吹きちぎられて蒸気中に混入し、さらに水滴状に噴霧される。
【0026】
このとき生成される水滴径は、100〜500μmにも達し、自然発生した水滴と比べて遥かに巨大なものとなる。そして、この巨大な水滴は蒸気力によって十分加速されないまま、L−0の動翼に衝突し、動翼5の侵食を引き起こし、タービンの信頼性を低下させる原因となっている。
【0027】
図31は図30のC−C断面図である。ノズルを流出する蒸気は環状の流路に沿って図31中にKで示す方向に流出するが、ノズル翼後縁3aから吹きちぎられた巨大な水滴は蒸気に比べて密度が大きいために、慣性力によって蒸気のように環状の流路に沿って回込むことができずに、ノズル後縁3aで吹きちぎられた方向に直線的に飛来する。その結果、巨大な水滴の軌跡を子午面から見ると、図30にVで示す如く動翼前縁5aに衝突するまでに軸方向だけではなく軸方向と半径方向に向う軌跡となる。その結果、図31に示すように、巨大な水滴は図中Vで示すように軸方向下流へ向うと共に半径方向にも飛来する。図32は動翼翼高さと動翼の侵食量を示したものである。
【0028】
図32からもわかるように、動翼の侵食は羽根チップ部で最大となるが、羽根チップ部に到達する巨大な水滴は図30の記号Vに示すようにノズル翼高さの60%から80%部分から吹きちぎられたものとなる。動翼の侵食には衝突する巨大な水滴の流量が大きく関係する。図33は図16および図17に示す従来の蒸気タービンノズルのノズル出口における蒸気流量の分布を示している。本図からもわかるように、ルート部からチップ部に向うに従って蒸気流量は増加している。これは、従来のノズル出口での流れを自由渦理論による設計を行っているためである。
【0029】
以下、このことについて説明する。図34はノズル翼の任意の高さにおける円周方向断面を平面に展開した図でタービン静翼の蒸気通路形状を示している。Sはスロートであり、背側から隣りの腹側で形成される翼間蒸気通路において最も狭い部分の幅を表す。Tはピッチであり各翼の周方向間隔を表す。スロート・ピッチ比(S/T)は蒸気タービンの大きさによらない空力パラメータであり、蒸気タービンノズルの流出角と対応する。すなわち、スロート・ピッチ比(S/T)を大きくすると、周方向をゼロとして定義した蒸気タービンノズルの流出角α2は大きくなり、翼流出速度を一定とすれば、軸流速度成分が大きくなり、この断面を通過する流量は増加する。逆に、スロート・ピッチ比(S/T)を小さくすると、タービンノズルの流出角は小さくなり、この断面を通過する流量は減少する。
【0030】
図35は従来タービンノズルのスロート・ピッチ比(S/T)分布を示している。ノズルの入口全圧はほぼ一定であるが、ノズル出口静圧の分布はルート部からチップ部にかけて増加する分布を持つ。これに対して、半径方向の流量分布を一定とすることを前提とした自由渦理論を採用した従来のノズル設計法では、図35に示すように翼ルート部からチップ部にかけて単調に増加するS/T分布が採用されている。このため、ノズル出口の流量の分布は図33に示す如く、ルートからチップにかけて単調に増加する分布となる。このため、図36に示すようにノズル出口における水滴量の分布は、ルート部からチップ部へ向うに従い増加する。従って、上述のように動翼の先端に衝突する巨大な水滴の発生源であるノズル翼高さ60%から80%位置の蒸気流量は最大値に近く、動翼の侵食を十分に低減できていないという問題が生じている。
【0031】
以上説明したように、蒸気タービン低圧段落の性能および信頼性を向上させるためには、急拡大する外周壁部において流れの剥離による損失を低減すること、ノズルウェークによる損失を低減すること、水滴による動翼の侵食を低減することが必要であるが、従来の蒸気タービン段落ではいずれも不充分であるという問題が生じている。
【0032】
これらの問題のうち急拡大する外周部において流れの剥離による損失を低減するために図37に示すように、ノズル翼3の後縁3aをその全高さにわたってラジアル線に対して円周方向に曲線状に湾曲させることも提案されている(特開平4−124406号公報参照)。図38は図37に示された軸流タービンの流路内における作動流体の流動分布を示す図である。図38を図18と比較すると、ノズル翼3のルート部には従来のノズル翼に比べて流れが存在するが、ノズル翼3のチップ部に流れが大きく偏っており、流路中央部では流れが殆ど無く、良好な流れではない。
【0033】
図39は、ノズル翼3の後縁3aが曲線状に湾曲している場合の、ノズル翼3の後縁3aのラジアル線Xrからの傾斜角度βを説明する模式図である。図39において、ノズル翼3の後縁3aのルート部における傾斜角度をβr、チップ部における傾斜角度をβtとし、ルート部およびチップ部における湾曲している後縁3aを接線をそれぞれLr、Ltとし、さらにその接線Lr、Ltの交点をPとし、交点Pの半径をRcとすると、図39からも判るように、この半径RがRr≦R≦Rcの範囲ではノズル翼3の後縁3aの傾斜角度βはβ≧0であり、この範囲の半径位置ではノズル翼3の後縁3aの傾斜はルート方向を向いている。
【0034】
一方、半径RがRc<R≦Rtの範囲ではノズル出口の流れはチップ方向を向いている。従って、Rc<R≦Rtの範囲ではノズル出口の流れはチップ方向のベクトルをもつこととなる。
【0035】
このようなことから、ノズル出口の流れはノズル翼3の後縁3aのルート部における傾斜の接線Lrとチップ部における接線Ltとの交点Pの半径Rcよりチップ側ではチップ方向のベクトルをもち、半径Rcよりルート側ではルート方向のベクトルをもっている。
【0036】
図40は、前記交点Pの位置の半径Rcの関数(Rc−Rr)/(Rt−Rr)とノズル内周壁1aおよびノズル外周壁2aにおける損失の関係を示している。(Rc−Rr)/(Rt−Rr)が0、すなわちRcがルートに近づくに従いノズル内周壁2aでの剥離が大きくなるために損失が増加し、また(Rc−Rr)/(Rt−Rr)が1.0、すなわちチップに近づくに従いノズル外周壁1aでの剥離が大きくなるために損失が増加する。図37に示す従来のタービンノズルでは前記交点Pの位置の半径Rcが
0.4<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.6 …(2)
であるため、図40からも判るように剥離による損失が大きく、図38に示すようにノズル翼3のチップ部に流れが大きく偏っており、ルート部および流路中央部では流れが殆ど無く、良好な流れではない。
【0037】
図41は図37に示す従来の発明のタービンノズルの子午面断面図を示している。本図からも判るように、ノズル外周壁1aの傾斜角度θ=40°のとき、ノズルチップ部におけるノズル翼後縁3aとノズル外周壁1aとの交差角度αtaは、約150°であり、図28に当てはめるとノズルウェークによる損失最小の範囲から外れており、ノズルウェークによる損失を低減できていない。
【0038】
図42は図37および図41に示す従来の発明のタービンノズルにおけるノズル出口の流量分布を示している。図37および図41に示す従来の発明のタービンノズルにおいては、スロート・ピッチ比(S/T)については言及していないため、図35に示すように従来設計のスロート・ピッチ比(S/T)分布と考えられる。そのため、ノズル出口の流量の分布は図42に示すように、ルートからチップにかけて単調に増加する分布となる。このため、ノズル出口における水滴量の分布は図36と同様であり、動翼の先端に衝突する巨大な水滴の発生源であるノズル翼高さ60%から80%位置の蒸気流量は最大値に近く、動翼の侵食を十分に低減できていない。
【0039】
以上説明したように、従来の発明のタービンノズルでは、ノズルウェークによる損失を低減すること、急拡大する外周壁部において流れの剥離による損失を低減すること、および水滴による動翼の侵食を低減することが達成されていない。
【0040】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、蒸気タービン低圧部において、急拡大する外周壁部において流れの剥離による損失を低減することができ、ノズルウェークによる損失を低減するとともに、水滴による動翼の侵食を低減し、これによって蒸気タービン低圧部の性能および信頼性を向上させることができる蒸気タービンノズルおよびこの蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービンを提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明は、流体の流れ方向に拡大する環状流路を形成するノズル外輪およびノズル内輪と、 ノズル外輪とノズル内輪との間に円周方向に配置されるとともにルート部とチップ部を有する複数のノズル翼とを備え、各ノズル翼の後縁および前縁が、各々軸方向および円周方向に湾曲し、ノズル翼のノズルスロート幅SとノズルピッチTとの比をS/Tとした場合、S/Tはルート部からチップ部への高さ方向において60%〜80%の位置に少なくとも1つの極小値を有し、ルート部のS/TをS/T root、チップ部のS/TをS/T tip、S/Tの最小値をS/T minとした場合、S/T root>S/T tip>S/Tminとし、ノズル外周壁の傾斜角度をθ、ノズル外周壁におけるノズル後縁とノズル外周壁との交差角をαtとしたとき、θ+70°≦αt≦θ+90°となり、軸方向から観察されるノズル翼の後縁は、半径方向に沿う直線に対しノズル翼中央部で側方に突出した湾曲形状を有し、この後縁の湾曲形状のルート部における接線とチップ部における接線との交点の半径をRcとし、ノズル翼の後縁のルート部半径をRr、ノズル翼の後縁のチップ部半径をRtとした場合、0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9となることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0042】
本発明は、上記記載の蒸気タービンノズルを有し、この蒸気タービンノスルは最終タービン段落およびその上流のタービン段落の少なくとも1つ以上に適用されることを特徴とする蒸気タービンである。
【0043】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0044】
図1乃至図9は本発明の第1の実施の形態を示す図であり、このうち図1は蒸気タービンノズルを示す断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1に示すノズル翼の後縁のラジアル線に対する傾斜形状を示す図、図4はノズル翼のスロート幅SとノズルピッチTとの比(S/T)を示す図である。
【0045】
図1に示すように、蒸気タービンノズル10は流体の流れ方向に拡大する環状流路10aを形成するノズル外輪1およびノズル内輪2と、ノズル外輪1とノズル内輪2との間の環状流路10内に円周方向に配置されるとともにルート部11とチップ部12とを有する複数のノズル翼3とを備えている。
【0046】
また各ノズル翼3は後縁3aと前縁3bとを有し、後縁3aと前縁3bは各々軸方向および円周方向に湾曲している。
【0047】
またノズル翼3のチップ部12は、ノズル外輪1の内面すなわちノズル外周壁1aに固定され、ノズル翼3のルート部11は、ノズル内輪2の外面すなわちノズル内周壁2aに固定されている。
【0048】
またタービンノズル10の下流側には、回転軸4に固定され放射方向に立設された多数の動翼5が配置され、タービンノズル10と動翼5とによって一段落が構成される。この段落が軸方向Xaに一段落または複数段落配置されてタービンが構成される。
【0049】
本発明によるタービンノズル10は、少なくともタービンの最終段落に配置されている。また最終段落近傍のタービンノズル10は、流体の急速な比容積の増加に対応して滑らかな膨張を実現する必要があるため、ノズル外周壁1aが軸方向Xaの下流側に向って拡大している。このため環状流路10aも軸方向Xaの下流側に向って拡大する。
【0050】
また図3に示すように、軸方向から観察されるノズル翼3の後縁3aは、半径方向に沿う直線に対しノズル翼中央部で側方に突出した湾曲形状を有し、この後縁3aの湾曲形状のルート部11における接線とチップ部12における接線の交点の半径をRcとし、後縁3aのルート部11の半径をRr、後縁3aのチップ部12のの半径をRtとした場合、
0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9
を満足する。
【0051】
また、図1に示すように、半径方向Xrと軸方向Xaで構成される2次元平面(Xr−Xa平面)に投影したノズル翼3の後縁3aは軸方向に湾曲しており、ノズル外周壁1aの傾斜角度θと後縁線3aとの交差角度αtは
θ+70°≦αt≦θ+90°
を満足するように設定される。
【0052】
さらに、図4に示すように、ノズル翼3のノズルスロート幅SとノズルピッチTとの比をS/Tとした場合(図34参照)、S/Tはルート部11からピッチ部12へのノズル翼3の高さ方向において60%〜80%の位置に少なくとも1つの極小値S/T minを有している。
【0053】
またS/Tは次の式を満足する。
【0054】
S/T root>S/T tip>S/T min
S/T root……ルート部のS/T
S/T tip ……チップ部のS/T
S/T min ……S/Tの極小値
S/Tの分布を、図4に示すように設定したのは、次の理由による。すなわち最も動翼5の侵食が大きい動翼チップ部に衝突する水滴は、ノズル翼3の高さ方向において60%〜80%の部分から発生する(図30乃至図33)。
【0055】
本発明によれば、ノズル翼3の高さ方向において60%〜80%の位置にS/T minがくるので、図5に示すようにノズル翼3の後縁3aにおける60%から80%高さ位置における水滴量が減少し、動翼チップ部の侵食量を低下することが可能となる。
【0056】
また、図1に示すように、半径方向Xrと軸方向Xaで構成される2次元平面(子午面)(Xr−Xa平面)に投影したノズル翼3の後縁3aが軸方向に向って、ルート部11およびチップ部12では直線状に傾斜し、ルート部11およびチップ部12の中間部では、ルート部11近傍およびチップ部12近傍の直線と連結する曲線に沿った湾曲形状となっており、ノズル外周壁1aの傾斜角度θと後縁線3aとの交差角度αtは
θ+70°≦αt≦θ+90°
を満足するように設定される。
【0057】
図6は、ノズル外周壁1aの傾斜角度θと、後縁線3aとの交差角度αtと、ノズルウェークによる損失ζの関係を示している。θとαtの関係を上述の如く設定することで、図6に示すように、30°≦αt≦50°の範囲でノズルウェークによる損失を最小にすることができる。
【0058】
すなわち、交差角度αtを、30°≦αt≦50°と定めることにより、ノズルウェークによる損失を最小とする最適アキシャルクリアランスLoptを得ることができ、このためノズルウェークによる損失の軽減を図ることができる(図25乃至図28)。
【0059】
また図2及び図3に示すように、ノズル翼3の後縁3aは円周方向に、そのルート部11側ではラジアル線Xrに対して直線状に傾斜しており、チップ部12側が曲線状に湾曲されている。
【0060】
次に図7により、(Rc−Rr)/(Rt−Rr)と剥離による損失ζの関係を示す。上述のように、ノズル翼3におけるルート部11の後縁3aに接する接線Lrと、チップ部12の後縁3aに接する接線Ltの交点の半径位置Rcは、
0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9
を満足するような位置に選定されているので、図7に示すように剥離による損失を最小にすることができ、図8に示すようにタービン段落の流動状態は、ノズル外周壁1aとノズル内周壁2aにおいて剥離のない良好な流れ場が実現可能となる。
【0061】
すなわち(Rc−Rr)/(Rt−Rr)が上述の範囲からはずれると、剥離による損失が増大してしまうが(図39および図40)、本発明によれば剥離による損失を確実に防止することができる。
【0062】
上述の作用を総合すると、本発明の蒸気タービンノズル翼を適用した場合、タービン段落損失は図9に示すように、内周壁2aおよび外周壁1a近傍の流れの剥離が低減され、かつ、ノズルウェークによる損失が低減されて、従来の段落に比べて損失は大幅に低減され、タービン性能を向上することができる。また、図5に示すようにノズル翼3の後縁3aの外周壁1a近傍における水滴量が減少するため、効率の低下を招くことなく動翼の侵食量は低減され、タービンの信頼性が向上する。
【0063】
第2の実施の形態
図10は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、ノズル翼3の全長にわたって、その後縁3aがラジアル線Xrに対して円周方向に湾曲した曲線状となっている。図10において、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0064】
図10において、ノズル翼3の後縁3aを周方向に向って湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の実施の形態と同様、ノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0065】
第3の実施の形態
図11は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、ノズル翼3の後縁3aがルート部11およびチップ部12では円周方向に向って直線状に傾斜し、ルート部11及びチップ部12の中間部ではルート部11近傍およびチップ部12近傍の直線状の傾斜に連続された曲線に沿って形成されている。
【0066】
図11において、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0067】
図11において、上述のようにノズル翼3の後縁3aを円周方向に向って湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の実施の形態と同様、ノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0068】
第4の実施の形態
図12は、本発明の第4の実施の形態を示す図であり、ノズル翼3の後縁3aが、チップ部11では円周方向に曲線状に傾斜され、ルート部12では円周方向に直線状に湾曲している。
【0069】
図11において、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0070】
図12において、上述のようにノズル3の後縁3aを円周方向に向って湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の実施の形態と同様ノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0071】
第5の実施の形態
図13は、本発明の第5の実施の形態を示す図であり、子午面(Xr−Xa平面)から観察したノズル翼3の後縁3aが、ルート部11では軸方向に向って直線状に傾斜し、チップ部12では軸方向に曲線状に湾曲している。
【0072】
図13において、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0073】
図13において、ノズル翼3の後縁3aを軸方向に向って湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の実施の形態と同様ノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0074】
第6の実施の形態
図14は、本発明の第6の実施の形態を示す図であり、子午面から観察したノズル翼3の後縁3aが、軸方向に向って曲線状に湾曲して形成されている。図14において、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0075】
図14において、ノズル翼3の後縁3aを軸方向に湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができる。また第1の実施の形態と同様、ノズルウェークによる損失を十分低減させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0076】
第7の実施の形態
図15は、本発明の第7の実施の形態を示す図であり、子午面から観察したノズル翼3の後縁3aが、チップ部11では軸方向に直線状に傾斜し、ルート部12では軸方向に曲線状に湾曲している。
【0077】
図15において、その他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0078】
図15において、ノズル翼3の後縁3aを軸方向に湾曲させることにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れ場を実現することができる。またノズルウェークによる損失が十分低い範囲で、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
他の実施の形態
なお、上記各実施例において、図2、10、11、12に示すノズル翼3の後縁3aの周方向湾曲形状のいずれかと、図3、13、14、15に示すノズル翼3の後縁3aの軸方向湾曲形状のいずれを互いに組み合わせても、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れを実現することができ、ノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0079】
また上述したタービンノズル10を最終タービン段落およびその上流のタービン段落の少なくとも1つ以上に適用することにより、ノズル内周壁2a近傍およびノズル外周壁1a近傍の流れの剥離を低減し、良好な流れを実現することができる。またノズルウェークによる損失を十分低下させ、動翼の侵食量を低減し、タービン効率・信頼性を向上させることができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、ノズルスロート幅とノズルピッチとの比をS/Tとした場合、S/Tは翼高さ60%から80%の位置に少なくとも1つの極小値(S/T)minを有し、かつ
S/T root>S/T tip>S/T min
を満足するように定めるので、ノズルウェークによる損失を十分低下させて動翼の侵食量を低減することができる。
【0081】
このため、ノズルウェークによる損失を低減し、動翼の侵食量を低減し、ノズル内周壁およびノズル外周壁における流れの剥離を抑えて、良好な流れ場を実現することが可能となる。このためタービン性能およびタービンの信頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すタービンノズルの図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明のタービンノズルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図4】本発明のタービンノズルのスロート幅とノズルピッチの比を説明する図。
【図5】ノズル翼の出口の水滴量を説明する図。
【図6】ノズルウェークによる損失を説明する図。
【図7】ノズル内周壁とノズル外周壁の剥離による損失を説明する図。
【図8】タービン段落の流動状況を説明する図。
【図9】タービン段落の損失を説明する図。
【図10】本発明の第2の実施形態を示すタービンノズルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図11】本発明の第3の実施形態を示すタービンノズルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図12】本発明の第4の実施形態を示すタービンノズルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図13】本発明の第5の実施形態を示すタービンノズルの図。
【図14】本発明の第6の実施形態を示すタービンノズルの図。
【図15】本発明の第7の実施形態を示すタービンノズルの図。
【図16】従来のタービンノズルを示す図。
【図17】図16のA−A断面図。
【図18】従来のタービン段落の流動状況を説明する図。
【図19】ノズルウェークを説明する図。
【図20】ノズルウェーク混合を説明する図。
【図21】ノズルウェークによる動翼損失を説明する図。
【図22】ノズルウェークの混合損失を説明する図。
【図23】ノズルウェークによる損失を説明する図。
【図24】反動度分布を説明する図。
【図25】ノズル外周壁における後縁傾斜角と、ノズル・羽根間距離の関係を示す相関図。
【図26】従来のタービンノズルを示す図。
【図27】従来のタービンノズルを示す図。
【図28】ノズル外周壁における後縁傾斜角とノズルウェークによる損失の関係を示す相関図。
【図29】従来の蒸気タービンの膨張線を説明する図。
【図30】従来の蒸気タービンの水滴流動状況を説明する図。
【図31】図30のC−C断面図。
【図32】従来の蒸気タービンの動翼侵食量を説明する図。
【図33】従来の蒸気タービンノズル出口流量を説明する図。
【図34】タービンノズルのスロート・ピッチの比を説明する図。
【図35】従来の蒸気タービンのスロート幅とピッチの比を示す分布図。
【図36】従来の蒸気タービンのノズル出口の水滴量の分布図。
【図37】従来の蒸気タービンノズルの説明図。
【図38】従来の蒸気タービン段落の流動状況を説明する図。
【図39】従来の蒸気タービンノズルの円周方向の傾斜を説明する図。
【図40】従来のノズル内周壁とノズル外周壁の剥離による損失を説明する図。
【図41】従来の蒸気タービン段落を説明する図。
【図42】従来の蒸気タービンノズル出口蒸気流量を説明する図。
【符号の説明】
1 ノズル外輪
1a ノズル外周壁
2 ノズル内輪
2a ノズル内周壁
3 ノズル翼
3a ノズル後縁
4 回転軸
5 動翼
5a 動翼前縁
10 タービンノズル
10a 環状流路
11 ルート部
12 チップ部
Claims (10)
- 流体の流れ方向に拡大する環状流路を形成するノズル外輪およびノズル内輪と、 ノズル外輪とノズル内輪との間に円周方向に配置されるとともにルート部とチップ部を有する複数のノズル翼とを備え、
各ノズル翼の後縁および前縁が、各々軸方向および円周方向に湾曲し、
ノズル翼のノズルスロート幅SとノズルピッチTとの比をS/Tとした場合、S/Tはルート部からチップ部への高さ方向において60%〜80%の位置に少なくとも1つの極小値を有し、
ルート部のS/TをS/T root、チップ部のS/TをS/T tip、S/Tの最小値をS/T minとした場合、
S/T root>S/T tip>S/Tminとし、
ノズル外周壁の傾斜角度をθ、ノズル外周壁におけるノズル後縁とノズル外周壁との交差角をαtとしたとき、
θ+70°≦αt≦θ+90°となり、
軸方向から観察されるノズル翼の後縁は、半径方向に沿う直線に対しノズル翼中央部で側方に突出した湾曲形状を有し、この後縁の湾曲形状のルート部における接線とチップ部における接線との交点の半径をRcとし、ノズル翼の後縁のルート部半径をRr、ノズル翼の後縁のチップ部半径をRtとした場合、
0.7<(Rc−Rr)/(Rt−Rr)<0.9となることを特徴とする蒸気タービンノズル。 - 各ノズル翼の後縁は円周方向に、ルート部からチップ部まで曲線状に湾曲されていることを特徴とする、請求項1記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は円周方向に、ルート部では直線状に傾斜し、チップでは曲線状に湾曲することを特徴とする、請求項1記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は円周方向に、ルート部およびチップ部では直線状に傾斜し、ルート部とチップ部との間の中間部ではルート部近傍およびチップ近傍の直線と連続する曲線に沿って湾曲して形成されていることを特徴とする、請求項1記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は円周方向に、チップ部では直線状に傾斜し、ルート部では曲線状に湾曲することを特徴とする、請求項1記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は軸方向に、ルート部では直線状に傾斜し、チップ部では曲線状に湾曲することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は軸方向に、ルート部からチップ部まで曲線状に湾曲されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は軸方向に、ルート部およびチップ部では直線状に傾斜し、ルート部とチップ部との間の中間部ではルート部近傍およびチップ部近傍の直線と連続する曲線に沿って湾曲して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の蒸気タービンノズル。
- ノズル翼の後縁は軸方向に、チップ部では直線状に傾斜し、ルート部では曲線状に湾曲することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の蒸気タービンノズル。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の蒸気タービンノズルを有し、この蒸気タービンノズルは最終タービン段落およびその上流のタービン段落の少なくとも1つ以上に適用されることを特徴とする蒸気タービン。
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