JP2004100579A - 軸流タービンとその入口部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸流タービンの初段翼に作動流体を均一に衝突させ、高いタービン性能を引き出す。
【解決手段】軸流タービン1の初段静翼2の前面に、軸流タービン1の翼列と直列をなすように円環形のスクロール10を配置する。スクロール10には接線方向から作動流体が流入する入口部11と、初段静翼2に作動流体を均一に供給する円弧形出口部12とが設けられる。スクロール10は円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されている。出口部12はスクロール10の断面中心と軸流タービン1の軸線方向において整列する。スクロール10の内面と出口部12とは軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれる。
【選択図】 図1
【解決手段】軸流タービン1の初段静翼2の前面に、軸流タービン1の翼列と直列をなすように円環形のスクロール10を配置する。スクロール10には接線方向から作動流体が流入する入口部11と、初段静翼2に作動流体を均一に供給する円弧形出口部12とが設けられる。スクロール10は円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されている。出口部12はスクロール10の断面中心と軸流タービン1の軸線方向において整列する。スクロール10の内面と出口部12とは軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軸流タービンとその入口部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸線方向に複数の翼列を配置した軸流タービンにあっては、まずその初段翼に作動流体を吹き付ける必要がある。作動流体を誘導する仕組みとしては、1本から数本のノズルを使用するもの、また「スクロール」と称される円環形の誘導路を用いるものなどがある。スクロールの構造例は特許文献1や特許文献2に見ることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−66016号公報
【特許文献2】
特開平6−58103号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
初段翼に対する作動流体の流入速度や流入角度に不均一があると、軸流タービンの性能が低下する。本発明はこの問題を解決するためになされたものであり、軸流タービンの初段翼に作動流体を均一に衝突させ、高いタービン性能を引き出すことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、軸流タービンの入口部構造を次のようにした。
【0006】
(1)軸流タービンの初段翼の前面に、軸流タービンの翼列と直列をなすように円環形スクロールを配置し、このスクロールには接線方向から作動流体が流入する入口部と、前記初段翼に作動流体を均一に供給する円弧形出口部とを形成した。
【0007】
この構成によれば、スクロールに接線方向から流入した作動流体はスクロール内を旋回しつつ円弧形出口部から初段翼の各翼片にに均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられる。このため初段翼のどの翼片も均等に作動流体のエネルギーを受けることになり、タービンとしての性能が向上する。
【0008】
(2)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されていることとした。
【0009】
この構成によれば、作動流体はスクロールの内部をスムーズに通り抜ける。また、作動流体の速度はどの箇所でも等しく、初段翼のどの翼片にも均一なエネルギーを与えることができる。
【0010】
(3)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの出口部は軸流タービンの軸線方向においてスクロールの断面中心と整列する位置に設けられていることとした。
【0011】
この構成によれば、スクロール内部より作動流体を、初段翼の各翼片に対し均一角度で吹き付けることができる。
【0012】
(4)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの内面と前記出口部とが軸流タービンのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部で結ばれ、前記ハブ側の曲線部と前記チップ側の曲線部とは互いにほぼ対称形状であることとした。
【0013】
この構成によれば、境界層の成長を抑えつつ作動流体を出口部に誘導することができる。
【0014】
(5)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を1箇所に設けたものであることとした。
【0015】
この構成によれば、1箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0016】
(6)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を複数箇所に設けたものであることとした。
【0017】
この構成によれば、複数箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0018】
(7)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記入口部は作動流体を水平方向に流入させるものであることとした。
【0019】
この構成によれば、作動流体を運んでくるダクトと入口部との接続が容易で、スクロールの点検が容易になる。
【0020】
(8)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの正面形状が不完全円であることとした。
【0021】
この構成によれば、必要な角度領域の初段翼に対し作動流体を均一に供給できる。
【0022】
(9)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部の内部に軸流タービンの初段静翼を形成した。
【0023】
この構成によれば、入口部構造の簡素化及びスクロールの構造強化を図ることができる。
【0024】
(10)上記のような軸流タービンの入口部構造において、作動流体を静翼を介さずに軸流タービンの初段動翼に衝突させることとした。
【0025】
この構成によれば、動翼に多くのエネルギーを与えることができる。
【0026】
(11)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部に対し、通常の静翼構造より配置間隔が疎である静翼又は整流板若しくはストラットを設けた。
【0027】
この構成によれば、作動流体をガイドしつつ動翼に多くのエネルギーを与え、且つ製作コストを引き下げることができる。
【0028】
また本発明では、軸流タービンを次のように構成した。
【0029】
(12)請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を備えることとした。
【0030】
この構成によれば、初段翼の各翼片が均一速度、均一角度、均一流量の作動流体を受け、性能の向上した軸流タービンを得ることができる。
【0031】
(13)請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を、低圧タービンである軸流タービンに適用した。
【0032】
この構成によれば、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ初段翼の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、低圧タービンの効率を高めることができる。
【0033】
(14)請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を、ダブルフロータービンである軸流タービンに適用した。
【0034】
この構成によれば、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ両側の初段翼の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、ダブルフロータービンの効率を高めることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図16に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0036】
図1は第1実施形態に係るスクロールの正面図、図2はこのスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。
【0037】
図2には軸流タービン1の構成要素のうち、初段翼である初段静翼2とそれに続く初段動翼3が図示されている。軸流タービン1は低圧タービンである。初段静翼2の前面にスクロール10が配置される。
【0038】
スクロール10は次のような形状を有する。まず正面形状は円環形である。この円環形状の1箇所に入口部11が設けられる。入口部11はスクロール10に対し接線をなすように配置されており、このため作動流体はスクロール10に接線方向から流入し、スクロール10の中で旋回する。
【0039】
スクロール10の断面は図2に見られるように円形とし、スクロール10内の二次流れを抑制する。軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置に出口部12が設けられる。またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあり、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3は一直線に並ぶ。出口部12は正面形状が円弧状であり、初段静翼2の全周にわたり作動流体を供給するようになっている。
【0040】
出口部12の末端の幅は初段静翼2の高さにほぼ等しい。ここに至るまでの経路には次のような工夫がなされる。すなわちスクロール10の内面と出口部12とは軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれる。ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとは互いにほぼ対称形状である。
【0041】
上記のように曲線部13a、13bを設けることにより、スクロール10内の作動流体を境界層の成長を抑えつつ出口部12に誘導することができる。
【0042】
スクロール10はその内部に生じる作動流体の旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速になるように設計されている。すなわち図1に示すように、入口部11との接合部を角度0゜とした場合、角度が進む(図1の場合、反時計回りに角度が進んで行く)に従い、スクロール10の断面面積が小さくなって行く。360゜にさしかかるあたりでは、スクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0043】
上記構成により、出口部12の角度0゜のところから作動流体の流出が始まり、角度が進むにつれ作動流体の量が少なくなって行くにもかかわらず、それに合わせてスクロール10の断面面積が減少して行くので、スクロール10内の流速を最後まで一定にできる。
【0044】
軸流タービン1の動作は次のとおりである。入口部11に作動流体が送り込まれると、作動流体はスクロール10の内部を図1において反時計回りに旋回する。作動流体は旋回しつつ出口部12から噴出し、初段静翼2に当たる。作動流体は初段静翼2により流れを所定速度、所定圧力、及び所定方向に整えられ、初段動翼3の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられる。初段動翼3は作動流体から運動エネルギーを受け取り、それを軸流タービン1のロータ回転エネルギーに転換する。作動流体は初段の静翼と動翼を通り抜けた後、第2段以降の翼列を次々に通り抜け、その度に動翼に運動エネルギーを与える。このようにして軸流タービン1のロータには回転が生じ、それが継続される。
【0045】
図3は第2実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第1実施形態と共通する構成要素には前に使用した符号をそのまま付し、説明は省略する。同じ原則を第3実施形態以下の実施形態の説明にも適用し、既出の実施形態と共通する構成要素には支障のないかぎり前に使用した符号をそのまま付し、説明を省略する。
【0046】
第2実施形態はスクロール10の断面形状が第1実施形態と異なる。第2実施形態ではスクロール10の断面は円形ではなく楕円形である。この楕円形状も、スクロール10内の二次流れを抑制する働きをする。楕円の長径方向は軸流タービン1のラジアル方向に一致する。
【0047】
このように楕円の長径方向を軸流タービン1のラジアル方向に一致させれば、スクロール10の寸法が軸流タービン1の軸線方向において圧縮されることとなり、軸流タービン1の軸線方向の設置スペースが限られている場合でも無理なくスクロール10を配置することができる。
【0048】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1実施形態と変わらない。
【0049】
図4は第3実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第3実施形態のスクロール10も断面形状が楕円で、スクロール10内の二次流れを抑制する効果を奏するが、長径の配置方向が異なる。すなわち今度は楕円の長径方向が軸流タービン1の軸線方向に一致する。
【0050】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1、第2実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1、第2実施形態と変わらない。
【0051】
図5は第4実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。今度は、スクロール10の断面形状が円弧と直線を組み合わせた長円形になっている。この長円形状においてもスクロール10内の二次流れを抑制する効果を確保するため、長円の短径(すなわち円弧部分の直径)は長円の長径の1/4以上とする。
【0052】
長円の長径方向は軸流タービン1のラジアル方向に一致する。このように長円の長径方向を軸流タービン1のラジアル方向に一致させれば、スクロール10の寸法が軸流タービン1の軸線方向において圧縮されることとなり、軸流タービン1の軸線方向の設置スペースが限られている場合でも無理なくスクロール10を配置することができる。
【0053】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1、第2、第3実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1、第2、第3実施形態と変わらない。
【0054】
図6は第5実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第5実施形態のスクロール10も断面形状が長円形であり、スクロール10内の二次流れを抑制する効果を確保するため、長円の短径(すなわち円弧部分の直径)は長円の長径の1/4以上とされている。ただし今度は長径の配置方向が第4実施形態と異なる。すなわち長円の長径方向は軸流タービン1の軸線方向に一致する。
【0055】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1、第2、第3、第4実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1、第2、第3、第4実施形態と変わらない。
【0056】
図7は第6実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は円環形であり、180゜隔たった2箇所に入口部11を有する。入口部11は各々スクロール10に対し接線をなすように点対称的に配置されており、このため作動流体はスクロール10に接線方向から流入し、スクロール10の中で旋回する。
【0057】
スクロール10はその内部に生じる作動流体の旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速になるように設計されている。すなわち図7に示すように、スクロール10と入口部11との接合部は角度0゜の位置及び角度180゜の位置に存在するが、その接合部より反時計方向に角度が進むにつれ、スクロール10は断面面積が小さくなって行く。180゜又は0゜にさしかかるあたりではスクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0058】
この構成によれば、入口部11の数が多い分だけ多量の作動流体を軸流タービン1に送り込むことができ、軸流タービン1の出力を増大させることができる。
【0059】
図8は第7実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は円環形であり、90゜間隔で計4箇所に入口部11を有する。入口部11は各々スクロール10に対し接線をなすように配置されており、このため作動流体はスクロール10に接線方向から流入し、スクロール10の中で旋回する。
【0060】
スクロール10はその内部に生じる作動流体の旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速になるように設計されている。すなわち図8に示すように、スクロール10と入口部11との接合部は角度0゜、90゜、180゜、270゜の位置に存在するが、各々の接合部より反時計方向に角度が進むにつれ、スクロール10は断面面積が小さくなって行く。角度が90゜進んだあたりではスクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0061】
第7実施形態では入口部11の数が第6実施形態の2倍となっており、それだけ多量の作動流体を軸流タービン1に送り込むことができる。
【0062】
図9は第8実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は円環形であり、第6実施形態と同じく180゜隔たった2箇所に点対称的に入口部11を有する。ただし今回は入口部11は90゜の位置と270゜の位置に設けられている。すなわち入口部11は作動流体を水平方向よりスクロール10に流入させる。
【0063】
この構成によれば、作動流体を運んでくるダクトと入口部11との接続が容易になる。というのは、ダクトを垂直に配置すると建物の天井高さを高くしたり床を掘り下げたりする必要が生じるので、ダクトは水平に引き回されるケースが多いからである。接続が容易であるということは分離も容易であるということであり、容易にダクトとの接続を切り離してスクロール10のメンテナンスを行うことできる。
【0064】
図10は第9実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は完全な円環形ではなく不完全円で、ここでは0゜から180゜までの半円区間を占めている。スクロール10は入口部11から反時計方向に角度が進むにつれ断面積が小さくなって行き、180゜のあたりではスクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0065】
この構成によれば、半円領域の初段翼の各翼片に対し作動流体を均一速度、均一角度で供給できる。言うまでもないが「半円」というのは一つの角度例であり、スクロール10にいかなる角度領域を占めさせるかは任意である。つまり作動流体の供給が必要な初段翼の角度領域に合わせてスクロール10を設計すれば、必要な角度領域の初段翼に対し作動流体を均一速度、均一角度で供給できる。
【0066】
第6実施形態から第9実施形態までのスクロール10については、第1実施形態から第5実施形態までに示した円、楕円、長円といった形状、又はこれらの中間的な形状を断面形状として採用することができる。
【0067】
図11は第10実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第10実施形態においては、初段静翼2がスクロール10の出口部12の内部に形成されている。その他の点は第1実施形態と同じである。
【0068】
スクロール10を鋳物とし、出口部12に初段静翼2を一体鋳造することとすれば、初段静翼2を能率良く形成できる。
【0069】
この構成によれば、入口部構造の簡素化を図ることができるうえ、出口部12の強度が向上する。また作動流体の全量が初段静翼2の間をくぐり抜け、初段静翼2により流れを所定速度、所定圧力、及び所定方向に整えられて初段動翼3の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けるので、タービンの効率が向上する。
【0070】
図12は第11実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第11実施形態は、スクロール10の出口部12を大きく絞り、作動流体を静翼を介さずに軸流タービン1の初段動翼3に衝突させるようにした点が特徴となっている。
【0071】
この構成によれば、作動流体が旋回流のベクトルを維持したまま初段動翼3に衝突する。静翼により流れの方向を転向させないので旋回流のエネルギーをストレートに初段動翼3に伝えることができる。低アスペクト比の初段動翼3の場合、出口部12の絞り込みが大きくなるので作動流体の噴出速度が増し、一層効果的にエネルギーが伝達される。
【0072】
図13〜図15に第12実施形態を示す。図13はスクロールの構成を示す正面図、図14はスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図、図15はスクロールの出口部に設ける静翼又は整流板若しくはストラットの構成を示す説明図である。
【0073】
第12実施形態はスクロール10の出口部12に通常の静翼構造より配置間隔を大幅に疎とした静翼又は整流板若しくはストラットを配置したことを特徴とする。図13の中で上方に描かれた図形は第1実施形態に対応するものであり、仮想線で描かれたスクロール10の向こう側に初段静翼2が配置されている状態を示す。その下方に描かれた図形が第12実施形態に対応するものであり、仮想線で描かれたスクロール10に静翼14又は整流板(若しくはストラット)15を設けた構成を示す。
【0074】
第12実施形態のスクロール10は、図14に見られるように、第11実施形態と同様初段動翼3に向け絞り込んだ出口部12を有する。この出口部12の内部に静翼14又は整流板(若しくはストラット)15を形成する。形成はスクロール10との一体鋳造により行うことができる。
【0075】
図15において、上段に描かれた図形は第1実施形態に対応するものであり、初段静翼2に初段動翼3が続いている状態を示す。図15の中段ないし下段に描かれた図形が第12実施形態に対応するものであり、初段動翼3の上流側に初段静翼2に替えて静翼14又は整流板(若しくはストラット)15が配置されている状態を示す。静翼14は初段静翼2と同様の翼形断面を有する。整流板(若しくはストラット)15は楕円形断面を有する。
【0076】
静翼14又は整流板(若しくはストラット)15の配置間隔は初段静翼2のそれより疎である。「疎」の程度であるが、通常の静翼構造(この場合には初段静翼2)の翼片の配置間隔の1/3程度の配置間隔となっている。このように疎らな配置としたことにより、製作がそれだけ容易になり、製作コストも低下する。
【0077】
この構成によれば、作動流体が静翼14又は整流板(若しくはストラット)15によりガイドされつつもその旋回成分が増大し、高い旋回エネルギーを持った作動流体が初段動翼3に衝突する。通常の静翼構造のように流れの方向が転向しないので旋回流のエネルギーがストレートに初段動翼3に伝えられ、軸流タービン1のロータの受け取るエネルギーが大きくなる。低アスペクト比の初段動翼3の場合、出口部12の絞り込みが大きくなるので作動流体の噴出速度が増し、一層効果的にエネルギーが伝達される。
【0078】
整流板15が、単なる整流板でなく強度部材であるストラットであることとすれば、出口部12の強度が一層向上する。
【0079】
第10実施形態〜第12実施形態において、スクロール10の断面形状は円となっているが、第2実施形態〜第5実施形態の構成を適用し、円ばかりでなく、楕円、長円、又はこれらの中間的な断面形状を採用することができる。またスクロール10の正面形状については第1実施形態だけでなく第6実施形態〜第9実施形態のいずれかの構成を適用することが可能である。
【0080】
第1実施形態〜第12実施形態の軸流タービンの入口部構造は、それぞれ軸流タービンに組み合わせて用いることができる。また軸流タービンの中でも低圧タービンのカテゴリーに属するものに組み合わせて用いることができる。さらに、ダブルフロータービンに組み合わせて用いることができる。
【0081】
図16に第13実施形態を示す。図16は上記のようなスクロールをダブルフロータービンに組み合わせて用いた状況を示す概略部分断面図である。
【0082】
第13実施形態のスクロール10は両側に出口部12を有する。その出口部12がそれぞれ軸流タービン1aの初段静翼2及び軸流タービン1bの初段静翼2に向き合う。
【0083】
両側の出口部12はそれぞれ軸流タービン1a、1bの軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1a、1bのラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3は一直線に並ぶ。スクロール10の内面と出口部12とは軸流タービン1a、1bのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれており、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとは互いにほぼ対称形状である。
【0084】
図16において、スクロール10の断面形状は円となっているが、第2実施形態〜第5実施形態の構成を適用し、円ばかりでなく、楕円、長円、又はこれらの中間的な形状を採用することができる。またスクロール10の正面形状については第1実施形態だけでなく第6実施形態〜第9実施形態のいずれかの構成を適用することが可能である。出口部12の構成については第10実施形態〜第12実施形態のいずれかの構成を適用することができる。
【0085】
以上本発明の各実施形態につき説明したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0086】
【発明の効果】
本発明は次のような効果を奏するものである。
【0087】
(1)軸流タービンの初段翼の前面に、軸流タービンの翼列と直列をなすように円環形スクロールを配置し、このスクロールには接線方向から作動流体が流入する入口部と、前記初段翼に作動流体を均一に供給する円弧形出口部とを形成したから、スクロールに接線方向から流入した作動流体はスクロール内を旋回しつつ円弧形出口部から初段翼の各翼片にに均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられる。このため初段翼のどの翼片も均等に作動流体のエネルギーを受けることになり、作動流体の流入速度や流入角度の不均一によるタービン性能の低下といったマイナス要素が排除され、タービン性能が向上する。
【0088】
(2)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されていることとしたから、スクロール内の二次流れが抑制され、作動流体はスクロールの内部をスムーズに通り抜ける。また、作動流体の速度はどの箇所でも等しく、初段翼のどの翼片にも均一なエネルギーを与えることができ、タービン性能が向上する。
【0089】
(3)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの出口部は軸流タービンの軸線方向においてスクロールの断面中心と整列する位置に設けられていることとしたから、スクロール内部より作動流体を、初段翼の各翼片に対し均一角度で吹き付けることができ、タービン性能が向上する。
【0090】
(4)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの内面と前記出口部とが軸流タービンのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部で結ばれ、前記ハブ側の曲線部と前記チップ側の曲線部とは互いにほぼ対称形状であることとしたから、境界層の成長を抑えつつ作動流体を出口部に誘導することができ、タービン性能が向上する。
【0091】
(5)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を1箇所に設けたものであることとしたから、1箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0092】
(6)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を複数箇所に設けたものであることとしたから、複数箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0093】
(7)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記入口部は作動流体を水平方向に流入させるものであることとしたから、作動流体を運んでくるダクトと入口部との接続が容易で、スクロールの点検やメンテナンスが容易になる。
【0094】
(8)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの正面形状が不完全円であることとしたから、必要な角度領域の初段翼に対し作動流体を均一に供給できる。
【0095】
(9)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部の内部に軸流タービンの初段静翼を形成したから、入口部構造の簡素化及びスクロールの構造強化を図ることができる。
【0096】
(10)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部を絞り、作動流体を静翼を介さずに軸流タービンの初段動翼に衝突させることとしたから、作動流体が静翼により転向させられることなく初段動翼に衝突し、旋回流のエネルギーをストレートに初段動翼に伝えることができる。初段動翼のアスペクト比が低ければ出口部の絞り込みが大きくなるので作動流体の噴出速度が増し、一層効果的にエネルギーが伝達される。
【0097】
(11)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部に対し、通常の静翼構造より配置間隔が疎である静翼又は整流板若しくはストラットを設けたから、作動流体をガイドしつつ動翼に多くのエネルギーを与え、且つ製作コストを引き下げることができる。出口部の強度向上を図ることもできる。
【0098】
(12)軸流タービンが上記(1)〜(11)のいずれかに記載の入口部構造を備えることとしたから、初段翼が均一速度、均一角度、均一流量の作動流体を受け、性能の向上した軸流タービンを得ることができる。
【0099】
(13)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の入口部構造を、低圧タービンである軸流タービンに適用したから、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ初段翼に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、低圧タービンの効率を高めることができる。
【0100】
(14)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の入口部構造を、ダブルフロータービンである軸流タービンに適用したから、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ両側の初段翼に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、ダブルフロータービンの効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスクロールの正面図
【図2】第1実施形態のスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図3】第2実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図4】第3実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図5】第4実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図6】第5実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図7】第6実施形態に係るスクロールの正面図
【図8】第7実施形態に係るスクロールの正面図
【図9】第8実施形態に係るスクロールの正面図
【図10】第9実施形態に係るスクロールの正面図
【図11】第10実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図12】第11実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図13】第12実施形態に係るスクロールの構成を示す正面図
【図14】第12実施形態のスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図15】第12実施形態のスクロールの出口部に設ける静翼又は整流板若しくはストラットの構成を示す説明図
【図16】スクロールをダブルフロータービンに組み合わせて用いた状況を示す概略部分断面図
【符号の説明】
1、1a、1b 軸流タービン
2 初段静翼
3 初段動翼
10 スクロール
11 入口部
12 出口部
13a、13b 曲線部
14 静翼
15 整流板
【発明の属する技術分野】
本発明は軸流タービンとその入口部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸線方向に複数の翼列を配置した軸流タービンにあっては、まずその初段翼に作動流体を吹き付ける必要がある。作動流体を誘導する仕組みとしては、1本から数本のノズルを使用するもの、また「スクロール」と称される円環形の誘導路を用いるものなどがある。スクロールの構造例は特許文献1や特許文献2に見ることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−66016号公報
【特許文献2】
特開平6−58103号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
初段翼に対する作動流体の流入速度や流入角度に不均一があると、軸流タービンの性能が低下する。本発明はこの問題を解決するためになされたものであり、軸流タービンの初段翼に作動流体を均一に衝突させ、高いタービン性能を引き出すことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、軸流タービンの入口部構造を次のようにした。
【0006】
(1)軸流タービンの初段翼の前面に、軸流タービンの翼列と直列をなすように円環形スクロールを配置し、このスクロールには接線方向から作動流体が流入する入口部と、前記初段翼に作動流体を均一に供給する円弧形出口部とを形成した。
【0007】
この構成によれば、スクロールに接線方向から流入した作動流体はスクロール内を旋回しつつ円弧形出口部から初段翼の各翼片にに均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられる。このため初段翼のどの翼片も均等に作動流体のエネルギーを受けることになり、タービンとしての性能が向上する。
【0008】
(2)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されていることとした。
【0009】
この構成によれば、作動流体はスクロールの内部をスムーズに通り抜ける。また、作動流体の速度はどの箇所でも等しく、初段翼のどの翼片にも均一なエネルギーを与えることができる。
【0010】
(3)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの出口部は軸流タービンの軸線方向においてスクロールの断面中心と整列する位置に設けられていることとした。
【0011】
この構成によれば、スクロール内部より作動流体を、初段翼の各翼片に対し均一角度で吹き付けることができる。
【0012】
(4)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの内面と前記出口部とが軸流タービンのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部で結ばれ、前記ハブ側の曲線部と前記チップ側の曲線部とは互いにほぼ対称形状であることとした。
【0013】
この構成によれば、境界層の成長を抑えつつ作動流体を出口部に誘導することができる。
【0014】
(5)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を1箇所に設けたものであることとした。
【0015】
この構成によれば、1箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0016】
(6)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を複数箇所に設けたものであることとした。
【0017】
この構成によれば、複数箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0018】
(7)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記入口部は作動流体を水平方向に流入させるものであることとした。
【0019】
この構成によれば、作動流体を運んでくるダクトと入口部との接続が容易で、スクロールの点検が容易になる。
【0020】
(8)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの正面形状が不完全円であることとした。
【0021】
この構成によれば、必要な角度領域の初段翼に対し作動流体を均一に供給できる。
【0022】
(9)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部の内部に軸流タービンの初段静翼を形成した。
【0023】
この構成によれば、入口部構造の簡素化及びスクロールの構造強化を図ることができる。
【0024】
(10)上記のような軸流タービンの入口部構造において、作動流体を静翼を介さずに軸流タービンの初段動翼に衝突させることとした。
【0025】
この構成によれば、動翼に多くのエネルギーを与えることができる。
【0026】
(11)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部に対し、通常の静翼構造より配置間隔が疎である静翼又は整流板若しくはストラットを設けた。
【0027】
この構成によれば、作動流体をガイドしつつ動翼に多くのエネルギーを与え、且つ製作コストを引き下げることができる。
【0028】
また本発明では、軸流タービンを次のように構成した。
【0029】
(12)請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を備えることとした。
【0030】
この構成によれば、初段翼の各翼片が均一速度、均一角度、均一流量の作動流体を受け、性能の向上した軸流タービンを得ることができる。
【0031】
(13)請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を、低圧タービンである軸流タービンに適用した。
【0032】
この構成によれば、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ初段翼の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、低圧タービンの効率を高めることができる。
【0033】
(14)請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を、ダブルフロータービンである軸流タービンに適用した。
【0034】
この構成によれば、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ両側の初段翼の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、ダブルフロータービンの効率を高めることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図16に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0036】
図1は第1実施形態に係るスクロールの正面図、図2はこのスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。
【0037】
図2には軸流タービン1の構成要素のうち、初段翼である初段静翼2とそれに続く初段動翼3が図示されている。軸流タービン1は低圧タービンである。初段静翼2の前面にスクロール10が配置される。
【0038】
スクロール10は次のような形状を有する。まず正面形状は円環形である。この円環形状の1箇所に入口部11が設けられる。入口部11はスクロール10に対し接線をなすように配置されており、このため作動流体はスクロール10に接線方向から流入し、スクロール10の中で旋回する。
【0039】
スクロール10の断面は図2に見られるように円形とし、スクロール10内の二次流れを抑制する。軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置に出口部12が設けられる。またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあり、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3は一直線に並ぶ。出口部12は正面形状が円弧状であり、初段静翼2の全周にわたり作動流体を供給するようになっている。
【0040】
出口部12の末端の幅は初段静翼2の高さにほぼ等しい。ここに至るまでの経路には次のような工夫がなされる。すなわちスクロール10の内面と出口部12とは軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれる。ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとは互いにほぼ対称形状である。
【0041】
上記のように曲線部13a、13bを設けることにより、スクロール10内の作動流体を境界層の成長を抑えつつ出口部12に誘導することができる。
【0042】
スクロール10はその内部に生じる作動流体の旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速になるように設計されている。すなわち図1に示すように、入口部11との接合部を角度0゜とした場合、角度が進む(図1の場合、反時計回りに角度が進んで行く)に従い、スクロール10の断面面積が小さくなって行く。360゜にさしかかるあたりでは、スクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0043】
上記構成により、出口部12の角度0゜のところから作動流体の流出が始まり、角度が進むにつれ作動流体の量が少なくなって行くにもかかわらず、それに合わせてスクロール10の断面面積が減少して行くので、スクロール10内の流速を最後まで一定にできる。
【0044】
軸流タービン1の動作は次のとおりである。入口部11に作動流体が送り込まれると、作動流体はスクロール10の内部を図1において反時計回りに旋回する。作動流体は旋回しつつ出口部12から噴出し、初段静翼2に当たる。作動流体は初段静翼2により流れを所定速度、所定圧力、及び所定方向に整えられ、初段動翼3の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられる。初段動翼3は作動流体から運動エネルギーを受け取り、それを軸流タービン1のロータ回転エネルギーに転換する。作動流体は初段の静翼と動翼を通り抜けた後、第2段以降の翼列を次々に通り抜け、その度に動翼に運動エネルギーを与える。このようにして軸流タービン1のロータには回転が生じ、それが継続される。
【0045】
図3は第2実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第1実施形態と共通する構成要素には前に使用した符号をそのまま付し、説明は省略する。同じ原則を第3実施形態以下の実施形態の説明にも適用し、既出の実施形態と共通する構成要素には支障のないかぎり前に使用した符号をそのまま付し、説明を省略する。
【0046】
第2実施形態はスクロール10の断面形状が第1実施形態と異なる。第2実施形態ではスクロール10の断面は円形ではなく楕円形である。この楕円形状も、スクロール10内の二次流れを抑制する働きをする。楕円の長径方向は軸流タービン1のラジアル方向に一致する。
【0047】
このように楕円の長径方向を軸流タービン1のラジアル方向に一致させれば、スクロール10の寸法が軸流タービン1の軸線方向において圧縮されることとなり、軸流タービン1の軸線方向の設置スペースが限られている場合でも無理なくスクロール10を配置することができる。
【0048】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1実施形態と変わらない。
【0049】
図4は第3実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第3実施形態のスクロール10も断面形状が楕円で、スクロール10内の二次流れを抑制する効果を奏するが、長径の配置方向が異なる。すなわち今度は楕円の長径方向が軸流タービン1の軸線方向に一致する。
【0050】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1、第2実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1、第2実施形態と変わらない。
【0051】
図5は第4実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。今度は、スクロール10の断面形状が円弧と直線を組み合わせた長円形になっている。この長円形状においてもスクロール10内の二次流れを抑制する効果を確保するため、長円の短径(すなわち円弧部分の直径)は長円の長径の1/4以上とする。
【0052】
長円の長径方向は軸流タービン1のラジアル方向に一致する。このように長円の長径方向を軸流タービン1のラジアル方向に一致させれば、スクロール10の寸法が軸流タービン1の軸線方向において圧縮されることとなり、軸流タービン1の軸線方向の設置スペースが限られている場合でも無理なくスクロール10を配置することができる。
【0053】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1、第2、第3実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1、第2、第3実施形態と変わらない。
【0054】
図6は第5実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第5実施形態のスクロール10も断面形状が長円形であり、スクロール10内の二次流れを抑制する効果を確保するため、長円の短径(すなわち円弧部分の直径)は長円の長径の1/4以上とされている。ただし今度は長径の配置方向が第4実施形態と異なる。すなわち長円の長径方向は軸流タービン1の軸線方向に一致する。
【0055】
出口部12が軸流タービン1の軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1のラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3が一直線に並ぶ点は第1、第2、第3、第4実施形態と同じである。またスクロール10の内面と出口部12とが軸流タービン1のハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれ、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとが互いにほぼ対称形状である点も第1、第2、第3、第4実施形態と変わらない。
【0056】
図7は第6実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は円環形であり、180゜隔たった2箇所に入口部11を有する。入口部11は各々スクロール10に対し接線をなすように点対称的に配置されており、このため作動流体はスクロール10に接線方向から流入し、スクロール10の中で旋回する。
【0057】
スクロール10はその内部に生じる作動流体の旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速になるように設計されている。すなわち図7に示すように、スクロール10と入口部11との接合部は角度0゜の位置及び角度180゜の位置に存在するが、その接合部より反時計方向に角度が進むにつれ、スクロール10は断面面積が小さくなって行く。180゜又は0゜にさしかかるあたりではスクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0058】
この構成によれば、入口部11の数が多い分だけ多量の作動流体を軸流タービン1に送り込むことができ、軸流タービン1の出力を増大させることができる。
【0059】
図8は第7実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は円環形であり、90゜間隔で計4箇所に入口部11を有する。入口部11は各々スクロール10に対し接線をなすように配置されており、このため作動流体はスクロール10に接線方向から流入し、スクロール10の中で旋回する。
【0060】
スクロール10はその内部に生じる作動流体の旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速になるように設計されている。すなわち図8に示すように、スクロール10と入口部11との接合部は角度0゜、90゜、180゜、270゜の位置に存在するが、各々の接合部より反時計方向に角度が進むにつれ、スクロール10は断面面積が小さくなって行く。角度が90゜進んだあたりではスクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0061】
第7実施形態では入口部11の数が第6実施形態の2倍となっており、それだけ多量の作動流体を軸流タービン1に送り込むことができる。
【0062】
図9は第8実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は円環形であり、第6実施形態と同じく180゜隔たった2箇所に点対称的に入口部11を有する。ただし今回は入口部11は90゜の位置と270゜の位置に設けられている。すなわち入口部11は作動流体を水平方向よりスクロール10に流入させる。
【0063】
この構成によれば、作動流体を運んでくるダクトと入口部11との接続が容易になる。というのは、ダクトを垂直に配置すると建物の天井高さを高くしたり床を掘り下げたりする必要が生じるので、ダクトは水平に引き回されるケースが多いからである。接続が容易であるということは分離も容易であるということであり、容易にダクトとの接続を切り離してスクロール10のメンテナンスを行うことできる。
【0064】
図10は第9実施形態に係るスクロールの正面図である。スクロール10は完全な円環形ではなく不完全円で、ここでは0゜から180゜までの半円区間を占めている。スクロール10は入口部11から反時計方向に角度が進むにつれ断面積が小さくなって行き、180゜のあたりではスクロール10の断面直径は出口部12の幅とほぼ等しくなる。
【0065】
この構成によれば、半円領域の初段翼の各翼片に対し作動流体を均一速度、均一角度で供給できる。言うまでもないが「半円」というのは一つの角度例であり、スクロール10にいかなる角度領域を占めさせるかは任意である。つまり作動流体の供給が必要な初段翼の角度領域に合わせてスクロール10を設計すれば、必要な角度領域の初段翼に対し作動流体を均一速度、均一角度で供給できる。
【0066】
第6実施形態から第9実施形態までのスクロール10については、第1実施形態から第5実施形態までに示した円、楕円、長円といった形状、又はこれらの中間的な形状を断面形状として採用することができる。
【0067】
図11は第10実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第10実施形態においては、初段静翼2がスクロール10の出口部12の内部に形成されている。その他の点は第1実施形態と同じである。
【0068】
スクロール10を鋳物とし、出口部12に初段静翼2を一体鋳造することとすれば、初段静翼2を能率良く形成できる。
【0069】
この構成によれば、入口部構造の簡素化を図ることができるうえ、出口部12の強度が向上する。また作動流体の全量が初段静翼2の間をくぐり抜け、初段静翼2により流れを所定速度、所定圧力、及び所定方向に整えられて初段動翼3の各翼片に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けるので、タービンの効率が向上する。
【0070】
図12は第11実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図である。第11実施形態は、スクロール10の出口部12を大きく絞り、作動流体を静翼を介さずに軸流タービン1の初段動翼3に衝突させるようにした点が特徴となっている。
【0071】
この構成によれば、作動流体が旋回流のベクトルを維持したまま初段動翼3に衝突する。静翼により流れの方向を転向させないので旋回流のエネルギーをストレートに初段動翼3に伝えることができる。低アスペクト比の初段動翼3の場合、出口部12の絞り込みが大きくなるので作動流体の噴出速度が増し、一層効果的にエネルギーが伝達される。
【0072】
図13〜図15に第12実施形態を示す。図13はスクロールの構成を示す正面図、図14はスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図、図15はスクロールの出口部に設ける静翼又は整流板若しくはストラットの構成を示す説明図である。
【0073】
第12実施形態はスクロール10の出口部12に通常の静翼構造より配置間隔を大幅に疎とした静翼又は整流板若しくはストラットを配置したことを特徴とする。図13の中で上方に描かれた図形は第1実施形態に対応するものであり、仮想線で描かれたスクロール10の向こう側に初段静翼2が配置されている状態を示す。その下方に描かれた図形が第12実施形態に対応するものであり、仮想線で描かれたスクロール10に静翼14又は整流板(若しくはストラット)15を設けた構成を示す。
【0074】
第12実施形態のスクロール10は、図14に見られるように、第11実施形態と同様初段動翼3に向け絞り込んだ出口部12を有する。この出口部12の内部に静翼14又は整流板(若しくはストラット)15を形成する。形成はスクロール10との一体鋳造により行うことができる。
【0075】
図15において、上段に描かれた図形は第1実施形態に対応するものであり、初段静翼2に初段動翼3が続いている状態を示す。図15の中段ないし下段に描かれた図形が第12実施形態に対応するものであり、初段動翼3の上流側に初段静翼2に替えて静翼14又は整流板(若しくはストラット)15が配置されている状態を示す。静翼14は初段静翼2と同様の翼形断面を有する。整流板(若しくはストラット)15は楕円形断面を有する。
【0076】
静翼14又は整流板(若しくはストラット)15の配置間隔は初段静翼2のそれより疎である。「疎」の程度であるが、通常の静翼構造(この場合には初段静翼2)の翼片の配置間隔の1/3程度の配置間隔となっている。このように疎らな配置としたことにより、製作がそれだけ容易になり、製作コストも低下する。
【0077】
この構成によれば、作動流体が静翼14又は整流板(若しくはストラット)15によりガイドされつつもその旋回成分が増大し、高い旋回エネルギーを持った作動流体が初段動翼3に衝突する。通常の静翼構造のように流れの方向が転向しないので旋回流のエネルギーがストレートに初段動翼3に伝えられ、軸流タービン1のロータの受け取るエネルギーが大きくなる。低アスペクト比の初段動翼3の場合、出口部12の絞り込みが大きくなるので作動流体の噴出速度が増し、一層効果的にエネルギーが伝達される。
【0078】
整流板15が、単なる整流板でなく強度部材であるストラットであることとすれば、出口部12の強度が一層向上する。
【0079】
第10実施形態〜第12実施形態において、スクロール10の断面形状は円となっているが、第2実施形態〜第5実施形態の構成を適用し、円ばかりでなく、楕円、長円、又はこれらの中間的な断面形状を採用することができる。またスクロール10の正面形状については第1実施形態だけでなく第6実施形態〜第9実施形態のいずれかの構成を適用することが可能である。
【0080】
第1実施形態〜第12実施形態の軸流タービンの入口部構造は、それぞれ軸流タービンに組み合わせて用いることができる。また軸流タービンの中でも低圧タービンのカテゴリーに属するものに組み合わせて用いることができる。さらに、ダブルフロータービンに組み合わせて用いることができる。
【0081】
図16に第13実施形態を示す。図16は上記のようなスクロールをダブルフロータービンに組み合わせて用いた状況を示す概略部分断面図である。
【0082】
第13実施形態のスクロール10は両側に出口部12を有する。その出口部12がそれぞれ軸流タービン1aの初段静翼2及び軸流タービン1bの初段静翼2に向き合う。
【0083】
両側の出口部12はそれぞれ軸流タービン1a、1bの軸線方向においてスクロール10の断面中心と整列する位置にあり、またスクロール10の断面中心と初段静翼2及び初段動翼3の高さ方向の中心とは軸流タービン1a、1bのラジアル方向に関し同一レベルにあって、出口部12、初段静翼2、及び初段動翼3は一直線に並ぶ。スクロール10の内面と出口部12とは軸流タービン1a、1bのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部13a、13bで結ばれており、ハブ側の曲線部13aとチップ側の曲線部13bとは互いにほぼ対称形状である。
【0084】
図16において、スクロール10の断面形状は円となっているが、第2実施形態〜第5実施形態の構成を適用し、円ばかりでなく、楕円、長円、又はこれらの中間的な形状を採用することができる。またスクロール10の正面形状については第1実施形態だけでなく第6実施形態〜第9実施形態のいずれかの構成を適用することが可能である。出口部12の構成については第10実施形態〜第12実施形態のいずれかの構成を適用することができる。
【0085】
以上本発明の各実施形態につき説明したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0086】
【発明の効果】
本発明は次のような効果を奏するものである。
【0087】
(1)軸流タービンの初段翼の前面に、軸流タービンの翼列と直列をなすように円環形スクロールを配置し、このスクロールには接線方向から作動流体が流入する入口部と、前記初段翼に作動流体を均一に供給する円弧形出口部とを形成したから、スクロールに接線方向から流入した作動流体はスクロール内を旋回しつつ円弧形出口部から初段翼の各翼片にに均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられる。このため初段翼のどの翼片も均等に作動流体のエネルギーを受けることになり、作動流体の流入速度や流入角度の不均一によるタービン性能の低下といったマイナス要素が排除され、タービン性能が向上する。
【0088】
(2)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されていることとしたから、スクロール内の二次流れが抑制され、作動流体はスクロールの内部をスムーズに通り抜ける。また、作動流体の速度はどの箇所でも等しく、初段翼のどの翼片にも均一なエネルギーを与えることができ、タービン性能が向上する。
【0089】
(3)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの出口部は軸流タービンの軸線方向においてスクロールの断面中心と整列する位置に設けられていることとしたから、スクロール内部より作動流体を、初段翼の各翼片に対し均一角度で吹き付けることができ、タービン性能が向上する。
【0090】
(4)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの内面と前記出口部とが軸流タービンのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部で結ばれ、前記ハブ側の曲線部と前記チップ側の曲線部とは互いにほぼ対称形状であることとしたから、境界層の成長を抑えつつ作動流体を出口部に誘導することができ、タービン性能が向上する。
【0091】
(5)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を1箇所に設けたものであることとしたから、1箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0092】
(6)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールは前記入口部を複数箇所に設けたものであることとしたから、複数箇所の入口部から流入した作動流体を初段翼に均一に供給することが可能となる。
【0093】
(7)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記入口部は作動流体を水平方向に流入させるものであることとしたから、作動流体を運んでくるダクトと入口部との接続が容易で、スクロールの点検やメンテナンスが容易になる。
【0094】
(8)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記スクロールの正面形状が不完全円であることとしたから、必要な角度領域の初段翼に対し作動流体を均一に供給できる。
【0095】
(9)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部の内部に軸流タービンの初段静翼を形成したから、入口部構造の簡素化及びスクロールの構造強化を図ることができる。
【0096】
(10)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部を絞り、作動流体を静翼を介さずに軸流タービンの初段動翼に衝突させることとしたから、作動流体が静翼により転向させられることなく初段動翼に衝突し、旋回流のエネルギーをストレートに初段動翼に伝えることができる。初段動翼のアスペクト比が低ければ出口部の絞り込みが大きくなるので作動流体の噴出速度が増し、一層効果的にエネルギーが伝達される。
【0097】
(11)上記のような軸流タービンの入口部構造において、前記出口部に対し、通常の静翼構造より配置間隔が疎である静翼又は整流板若しくはストラットを設けたから、作動流体をガイドしつつ動翼に多くのエネルギーを与え、且つ製作コストを引き下げることができる。出口部の強度向上を図ることもできる。
【0098】
(12)軸流タービンが上記(1)〜(11)のいずれかに記載の入口部構造を備えることとしたから、初段翼が均一速度、均一角度、均一流量の作動流体を受け、性能の向上した軸流タービンを得ることができる。
【0099】
(13)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の入口部構造を、低圧タービンである軸流タービンに適用したから、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ初段翼に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、低圧タービンの効率を高めることができる。
【0100】
(14)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の入口部構造を、ダブルフロータービンである軸流タービンに適用したから、作動流体がスクロールで速度を維持しつつ両側の初段翼に均一速度、均一角度、均一流量で吹き付けられ、ダブルフロータービンの効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスクロールの正面図
【図2】第1実施形態のスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図3】第2実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図4】第3実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図5】第4実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図6】第5実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図7】第6実施形態に係るスクロールの正面図
【図8】第7実施形態に係るスクロールの正面図
【図9】第8実施形態に係るスクロールの正面図
【図10】第9実施形態に係るスクロールの正面図
【図11】第10実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図12】第11実施形態に係るスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図13】第12実施形態に係るスクロールの構成を示す正面図
【図14】第12実施形態のスクロールを軸流タービンの初段翼に組み合わせた状況を示す概略部分断面図
【図15】第12実施形態のスクロールの出口部に設ける静翼又は整流板若しくはストラットの構成を示す説明図
【図16】スクロールをダブルフロータービンに組み合わせて用いた状況を示す概略部分断面図
【符号の説明】
1、1a、1b 軸流タービン
2 初段静翼
3 初段動翼
10 スクロール
11 入口部
12 出口部
13a、13b 曲線部
14 静翼
15 整流板
Claims (14)
- 軸流タービンの初段翼の前面に、軸流タービンの翼列と直列をなすようにスクロールを配置し、このスクロールには接線方向から作動流体が流入する入口部と、前記初段翼に作動流体を均一に供給する円弧形出口部とを形成したことを特徴とする軸流タービンの入口部構造。
- 前記スクロールは円、楕円、長円又はこれらの中間的な断面形状を有し、その内部に生じる旋回流の速度が旋回流進行方向全域で等速となるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記スクロールの出口部は軸流タービンの軸線方向においてスクロールの断面中心と整列する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記スクロールの内面と前記出口部とが軸流タービンのハブ側とチップ側とにおいてそれぞれスクロール内部に向かって凸となる曲線部で結ばれ、前記ハブ側の曲線部と前記チップ側の曲線部とは互いにほぼ対称形状であることを特徴とする請求項3に記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記スクロールは前記入口部を1箇所に設けたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記スクロールは前記入口部を複数箇所に設けたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記入口部は作動流体を水平方向に流入させるものであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記スクロールの正面形状が不完全円であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記出口部の内部に軸流タービンの初段静翼を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の軸流タービンの入口部構造。
- 作動流体を静翼を介さずに軸流タービンの初段動翼に衝突させることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の軸流タービンの入口部構造。
- 前記出口部に対し、通常の静翼構造より配置間隔が疎である静翼又は整流板若しくはストラットを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の軸流タービンの入口部構造。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の入口部構造を備えた軸流タービン。
- 軸流タービンが低圧タービンであることを特徴とする請求項12に記載の軸流タービン。
- 軸流タービンがダブルフロータービンであることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の軸流タービン。
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Cited By (3)
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-
2002
- 2002-09-10 JP JP2002263558A patent/JP2004100579A/ja not_active Withdrawn
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