JP2001220507A - ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法

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JP2001220507A
JP2001220507A JP2000032211A JP2000032211A JP2001220507A JP 2001220507 A JP2001220507 A JP 2001220507A JP 2000032211 A JP2000032211 A JP 2000032211A JP 2000032211 A JP2000032211 A JP 2000032211A JP 2001220507 A JP2001220507 A JP 2001220507A
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Haruhisa Masuda
晴久 増田
Shigeru Sasaki
繁 佐々木
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温における耐衝撃性に優れ、また耐衝撃性
の成形品厚み依存性が改良され、かつ力学特性に優れる
ポリカーボネート系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 ポリカーボネート系樹脂(I)、特定の
付加重合系ブロック共重合体(II)および有機金属化合
物(III)を溶融混練することによりポリカーボネート
系反応生成物(IV)を得る第1工程、並びに該ポリカー
ボネート系反応生成物(IV)とポリカーボネート系樹脂
(V)とを溶融混練する第2工程とからなるポリカーボ
ネート系樹脂組成物の製造方法であり;ポリカーボネー
ト系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(II)と
の重量比が99/1〜1/99であり;かつ{ポリカー
ボネート系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(I
I)の合計重量}と{有機金属化合物(III)の重量}と
の比が99.999/0.001〜95/5である;こ
とを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物の製造方
法により上記の課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
系樹脂組成物の製造方法に関する。本発明のポリカーボ
ネート系樹脂組成物は、低温における耐衝撃性に優れ、
また耐衝撃性の成形品厚み依存性が改良され、かつ剛
性、強伸度等の力学特性に優れることから、電気/電子
部品、自動車部品、機械部品、その他の広範な用途に極
めて有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂は、耐衝撃性、
透明性、耐熱性、寸法安定性などに優れており、それら
の特性を活かして、電気/電子部品、自動車部品等の幅
広い分野で使用されている。しかし、ポリカーボネート
系樹脂は、室温では非常に高い耐衝撃性を示すが、低温
領域では著しく低下するという問題を有している。ま
た、ポリカーボネート系樹脂の室温における耐衝撃性は
成形品の厚み依存性を示し、成形品の厚みが大きくなる
と衝撃強度が低下するという欠点も有している。
【0003】これらの問題に対して、ポリカーボネート
系樹脂にポリオレフィン系エラストマーを配合すること
が提案されているが、一般にポリカーボネート系樹脂と
ポリオレフィン系エラストマーの相容性は極めて低く、
ポリカーボネート系樹脂にポリオレフィン系エラストマ
ーを配合した組成物において、多くの場合、相容性の悪
さに起因する不均一性、相関剥離等の問題が生じ、また
ポリカーボネート系樹脂の低温耐衝撃性が不十分で、か
つ耐衝撃性の成形品厚み依存性が改良されているとは言
い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、低温における耐衝撃性に優れ、また耐衝撃性の成
形品厚み依存性が改良され、かつ剛性、強伸度等の力学
特性に優れたポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリカー
ボネート系樹脂、特定の付加重合系ブロック共重合体お
よび有機金属化合物を溶融混練して得られる熱可塑性樹
脂組成物が、柔軟性、透明性、力学物性および耐熱性等
の特性に優れていることを見出し、先に出願した(特開
平11−49944号公報)。そして、本発明者らによ
る特開平11−49944号の発明による熱可塑性樹脂
組成物は、低温における耐衝撃性が良好で、かつ耐衝撃
性の成形品厚み依存性が改良されているものの、成形品
形状や使用環境によっては未だ不十分な点があった。そ
の後、本発明者らは、低温における耐衝撃性に優れ、ま
た耐衝撃性の成形品厚み依存性が改良され、かつ剛性、
強伸度等の力学特性に優れたポリカーボネート系樹脂組
成物を得るべく、上記の特開平11−49944号で得
られた知見を基に鋭意検討した結果、ポリカーボネート
系樹脂、付加重合系ブロック共重合体および有機金属化
合物を溶融混練することによりポリカーボネート系反応
生成物を得る第1工程、並びに該ポリカーボネート系反
応生成物とポリカーボネート系樹脂とを溶融混練する第
2工程とからなる製造方法によって、低温における耐衝
撃性に優れ、また耐衝撃性の成形品厚み依存性が改良さ
れ、かつ剛性、強伸度等の力学特性に優れたポリカーボ
ネート系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を
完成した。
【0006】すなわち、本発明は、 (1) ポリカーボネート系樹脂(I)、付加重合系ブ
ロック共重合体(II)および有機金属化合物(III)を
溶融混練することによりポリカーボネート系反応生成物
(IV)を得る第1工程、並びに該ポリカーボネート系反
応生成物(IV)とポリカーボネート系樹脂(V)とを溶
融混練する第2工程とからなるポリカーボネート系樹脂
組成物の製造方法であって; (2) 付加重合系ブロック共重合体(II)が、 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロッ
ク(a−1)および水素添加された1,2−結合量が3
0%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの
少なくとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素
添加されたポリイソプレンブロック(b−1)、水素添
加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエ
ンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン
/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック
(B)とからなり、かつ末端に水酸基を有するブロック
共重合体(II−1)、並びに 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロッ
ク(C)とポリイソブチレンブロック(D)とからな
り、かつ末端に水酸基を有するブロック共重合体(II−
2)、のうちの少なくとも1種から誘導される付加重合
系ブロック共重合体であり; (3) 第1工程の溶融混練時におけるポリカーボネー
ト系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(II)と
の重量比が99/1〜1/99であり; (4) 第1工程の溶融混練時における{ポリカーボネ
ート系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(II)
の合計重量}と{有機金属化合物(III)の重量}との
比が99.999/0.001〜95/5である;こと
を特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明により得られるポリカーボネート系樹脂組成物に
おいて、ポリカーボネート系樹脂(I)は、2価フェノ
ールとカーボネート前駆体を溶液法または溶融法で反応
させて製造される芳香族ポリカーボネート系樹脂であ
る。2価フェノールの代表的な例として、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノール
A]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−クロロフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルフ
ァイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキサイド等が挙げ
られる。この中でも、2価フェノールとしてビス(4−
ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノ
ールA]が特に好ましい。これらの2価フェノールは、
単独で用いてもまたは2種類以上を併用して用いてもよ
い。
【0008】また、カーボネート前駆体としては、カル
ボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメー
ト等が挙げられ、例えばホスゲン、ジフェニルカーボネ
ート、2価フェノールのジハロホルメート等が例示され
る。この中でも、カーボネート前駆体としてホスゲンが
好ましい。
【0009】本発明で用いるポリカーボネート系樹脂
(I)の分子量は、粘度平均分子量で10000〜10
0000の範囲内にあるのが好ましく、15000〜6
0000の範囲内にあるのが特に好ましい。
【0010】ポリカーボネート系樹脂(I)としては、
必要に応じて分子量調節剤、分岐剤、触媒等を用いて製
造されたものを使用することができる。また、必要に応
じて添加剤、例えば亜リン酸エステル、リン酸エステ
ル、ホスホン酸エステル等の熱安定剤、トリアゾール
系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外
線吸収剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロ
モビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカ
ブロモジフェニルエーテル等の難燃剤、着色剤、蛍光増
白剤などを配合してもよい。
【0011】次に、本発明により得られるポリカーボネ
ート系樹脂組成物における付加重合系ブロック共重合体
(II)は、上記したように、末端に水酸基を有するブロ
ック共重合体(II−1)および末端に水酸基を有するブ
ロック共重合体(II−2)の少なくとも1種からなって
おり、したがって本発明のポリカーボネート系樹脂組成
物の製造方法において、付加重合系ブロック共重合体
(II)として、ブロック共重合体(II−1)およびブロ
ック共重合体(II−2)の一方のみを使用しても、また
は両方を使用してもよい。
【0012】ここで、ブロック共重合体(II−1)は、
上記したように、 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブ
ロック(a−1)[以下これを「芳香族ビニル重合体ブ
ロック(a−1)」という]および水素添加された1,
2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a
−2)[以下これを「水添ポリブタジエンブロック(a
−2)」という]のうちの少なくとも1種からなる重合
体ブロック(A);並びに、 水素添加されたポリイソプレンブロック(b−1)
[以下これを「水添ポリイソプレンブロック(b−
1)」という]、水素添加された1,2−結合量が30
〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)[以下こ
れを「水添ポリブタジエンブロック(b−2)」とい
う]および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重
合体ブロック(b−3)[以下これを「水添イソプレン
/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)」という]か
らなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体ブロック
(B);をその分子中に有していて、しかも末端に水酸
基を有するブロック共重合体であればいずれでもよく、
ブロック共重合体(II−1)はその一方の末端にのみ水
酸基を有していても、または両末端に水酸基を有してい
てもよい。
【0013】したがって、ブロック共重合体(II−1)
としては、(1) 芳香族ビニル重合体ブロック(a−
1)および水添ポリブタジエンブロック(a−2)の両
方を有する重合体ブロック(A)と、水添ポリイソプレ
ンブロック(b−1)、水添ポリブタジエンブロック
(b−2)および水添イソプレン/ブタジエン共重体ブ
ロック(b−3)のうちの1種のみを含有する重合体ブ
ロック(B)とからなり、末端に水酸基を有するブロッ
ク共重合体; (2) 芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)および
水添ポリブタジエンブロック(a−2)の両方を有する
重合体ブロック(A)と、水添ポリイソプレンブロック
(b−1)、水添ポリブタジエンブロック(b−2)お
よび水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b
−3)のうちの2種を含有する重合体ブロック(B)と
からなり、末端に水酸基を有するブロック共重合体; (3) 芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)および
水添ポリブタジエンブロック(a−2)の両方を有する
重合体ブロック(A)と、水添ポリイソプレンブロック
(b−1)、水添ポリブタジエンブロック(b−2)お
よび水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b
−3)のすべてを含有する重合体ブロック(B)とから
なり、末端に水酸基を有するブロック共重合体; (4) 芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)および
水添ポリブタジエンブロック(a−2)のうちの1種の
みを有する重合体ブロック(A)と、水添ポリイソプレ
ンブロック(b−1)、水添ポリブタジエンブロック
(b−2)および水添イソプレン/ブタジエン共重合体
ブロック(b−3)のうちの1種のみを含有する重合体
ブロック(B)とからなり、末端に水酸基を有するブロ
ック共重合体; (5) 芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)および
水添ポリブタジエンブロック(a−2)のうちの1種の
みを有する重合体ブロック(A)と、水添ポリイソプレ
ンブロック(b−1)、水添ポリブタジエンブロック
(b−2)および水添イソプレン/ブタジエン共重合体
ブロック(b−3)のうちの2種を含有する重合体ブロ
ック(B)とからなり、末端に水酸基を有するブロック
共重合体;などを挙げることができるが、好ましいブロ
ック共重合体(II−1)としては、例えば下記の式〜
で表されるブロック共重合体を挙げることができる。
【0014】(A−B)k−OH (B−A)l−OH A−(B−A’)m−OH B−(A−B’)n−OH [式中、AおよびA’はそれぞれ独立して芳香族ビニル
重合体ブロック(a−1)および水添ポリブタジエンブ
ロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合
体ブロック(A)を表し、BおよびB’はそれぞれ独立
して水添ポリイソプレンブロック(b−1)、水添ポリ
ブタジエンブロック(b−2)および水添イソプレン/
ブタジエン共重合体ブロック(b−3)の少なくとも1
種からなる重合体ブロック(B)を表し、そして、k、
l、mおよびnはそれぞれ独立して1以上の整数を表
し、OHは水酸基を表す。] そして、上記の式〜で表されるブロック共重合体に
おいては、k、l、mおよびnが1〜5の範囲内の整数
であるのが好ましい。
【0015】ブロック共重合体(II−1)としては、上
記したブロック共重合体のうちでも、 上記した重合体
ブロック(A)を2個以上有するものが、本発明のポリ
カーボネート系樹脂組成物の剛性、強伸度等の力学特性
や耐熱性などが一層良好になる点から好ましく、特に、
下記の式:
【0016】A−B−A’−OH [式中、A、A’、BおよびOHは前記定義の通りであ
る。]で表されるトリブロック共重合体がより好まし
い。
【0017】上記したブロック共重合体(II−1)にお
ける重合体ブロック(A)の構成ブロックとなり得る芳
香族ビニル重合体ブロック(a−1)は、芳香族ビニル
化合物に由来する単位から主としてなる重合体ブロック
であり、その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチ
ルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンな
どを挙げることができ、そのうちでも、スチレン、α−
メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)は、1種の芳香
族ビニル化合物の単位から構成されていても、または2
種以上の芳香族ビニル化合物の単位から構成されていて
もよい。また、芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)
は、その数平均分子量が2500〜50000の 範囲
にあるのが、ポリカーボネート系樹脂組成物の剛性、強
伸度等の力学特性が優れたものになる点から好ましい。
【0018】ブロック共重合体(II−1)における重合
体ブロック(A)の構成ブロックとなり得る水添ポリブ
タジエンブロック(a−2)は、そのポリブタジエンブ
ロックにおける1,2−結合量が30%未満、好ましく
は25%以下であり、しかも不飽和結合の一部または全
部が水素添加によって飽和結合にされているポリブタジ
エンブロックである。水添ポリブタジエンブロック(a
−2)を構成するポリブタジエンでは、水素添加前には
その30モル%未満、好ましくは25モル%以下がビニ
ルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH−;
1,2−結合のブタジエン単位]であり、残りが2−ブ
テン−1,4−ジイル基(−CH−CH=CH−CH
−;1,4−結合ブタジエン単位)である。水添ポリ
ブタジエンブロック(a−2)における1,2−結合量
が30%以上であると、ポリカーボネート系樹脂組成物
の耐熱性が不良となる。そして、水添ポリブタジエンブ
ロック(a−2)は、その数平均分子量が2500 〜
50000の範囲にあるのが、ポリカーボネート系樹脂
組成物の剛性、強伸度等の力学特性が優れたものになる
点から好ましい。
【0019】ブロック共重合体(II−1)における重合
体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添ポリイ
ソプレンブロック(b−1)は、イソプレンに由来する
単位から主としてなるポリイソプレンの不飽和結合の一
部または全部が水素添加されて飽和結合になっている重
合体ブロックである。水添ポリイソプレンブロック(b
−1)では、その水素添加前には、イソプレンに由来す
る単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基
[−CH−C(CH)=CH−CH−;1,4−
結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基
[−CH{−C(CH)=CH}−CH−;3,
4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビ
ニルエチレン基[−C(CH)(CH=CH)−C
−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種からなっており、各単位の割
合は特に限定されないが、2−メチル−2−ブテン−
1,4−ジイル基の割合が80%以上であるのが好まし
い。そして、水添ポリイソプレンブロック(b−1)
は、その数平均分子量が10000〜100000であ
るのが、ポリカーボネート系樹脂組成物の低温耐衝撃性
が優れたものになり、かつ耐衝撃性の厚み依存性が大き
く改良される点から好ましい。
【0020】また、ブロック共重合体(II−1)におけ
る重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添
ポリブタジエンブロック(b−2)は、そのポリブタジ
エンブロックにおける1,2−結合量が30〜80%、
好ましくは35〜60%であり、しかも不飽和結合の一
部または全部が水素添加によって飽和結合になっている
ポリブタジエンブロックである。水添ポリブタジエンブ
ロック(b−2)を構成するポリブタジエンでは、水素
添加前にはその30〜80モル%、好ましくは35〜6
0モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH
−CH−;1,2−結合のブタジエン単位]であり、
70〜20モル%、好ましくは65〜40モル%が2−
ブテン−1,4−ジイル基(−CH−CH=CH−C
−;1,4−結合ブタジエン単位)である。そし
て、水添ポリブタジエンブロック(b−2)は、その数
平均分子量が10000〜100000であるのが、ポ
リカーボネート系樹脂組成物の低温耐衝撃性が優れたも
のになり、かつ耐衝撃性の厚み依存性が大きく改良され
る点から好ましい。
【0021】また、ブロック共重合体(II−1)におけ
る重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添
イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)
は、イソプレンに由来する単位およびブタジエンに由来
する単位から主としてなっているイソプレン/ブタジエ
ン共重合体であって、且つその不飽和結合の一部または
全部が水素添加によって飽和結合になっている共重合体
ブロックである。水添イソプレン/ブタジエン共重合体
ブロック(b−3)においては、その水素添加前には、
イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン
−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および
1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群より選ば
れる少なくとも1種の基であり、またブタジエンに由来
する単位はビニルエチレン基および/または2−ブテン
−1,4−ジイル基である。そして、水素添加前におけ
るイソプレン/ブタジエン共重合体ブロックにおけるそ
れらの基の割合は特に制限されない。また、水添イソプ
レン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)では、
(イソプレンに由来する単位):(ブタジエンに由来す
る単位)のモル比が1:9〜9:1の範囲内であるのが
好ましく、3:7〜7:3の範囲であるのがより好まし
い。更に、水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロッ
ク(b−3)において、ブタジエンに由来する単位とイ
ソプレンに由来する単位とは、ランダム状、ブロック
状、テーパーブロック状のいずれの配置形態になってい
てもよい。そして、水添イソプレン/ブタジエン共重合
体ブロック(b−3)は、その数平均分子量が1000
0〜100000であるのが、ポリカーボネート系樹脂
組成物の低温耐衝撃性が優れたものになり、かつ耐衝撃
性の厚み依存性が大きく改良される点から好ましい。
【0022】また、重合体ブロック(A)の構成ブロッ
クとなり得る水添ポリブタジエンブロック(a−2)、
並びに重合体ブロック(B)における構成ブロックとな
り得る水添ポリイソプレンブロック(b−1)、水添ポ
リブタジエンブロック(b−2)および水添イソプレン
/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)では、上記し
たように、その炭素−炭素二重結合の一部が水素添加さ
れていても、または全部が完全に水素添加されていても
よい。しかしながら、ポリカーボネート系樹脂組成物の
耐熱劣化性および耐候性を良好なものにし、且つ粘着性
の発現を防止する観点から、ブロック共重合体(II−
1)に含まれるブタジエン由来の単位およびイソプレン
由来の単位の全量に基づいて、その不飽和結合の50モ
ル%以上、特に80モル%以上が水素添加されていて、
ブロック共重合体(II−1)の不飽和度 が50モル%
未満、好ましくは20モル%未満になるように、水添ポ
リブタジエンブロック(a−2)、水添ポリイソプレン
ブロック(b−1)、水添ポリブタジエンブロ ック
(b−2)および水添イソプレン/ブタジエン共重合体
ブロック(b−3)における水素添加率を調整しておく
のが望ましい。
【0023】そして、ブロック共重合体(II−1)で
は、その末端水酸基は、重合体ブロック (A)および
重合体ブロック(B)のいずれか一方の重合体ブロック
の末端に存在していても、両方の末端に存在していても
よいが、ブロック共重合体(II−1)中でハードブロッ
クを形成している重合体ブロック(A)の末端に存在す
るのが好ましい。ブロック共重合体(II−1)における
末端の水酸基の含有量は、1分子当たり平均0.5個以
上であるのが好ましく、0.7〜2個の範囲であるのが
より好ましい。
【0024】また、ブロック共重合体(II−1)におけ
る重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の割合
は、重量比で1:9〜9:1であるのが、ポリカーボネ
ート系樹脂組成物の耐熱性が良好なものになる点から好
ましく、2:8〜7:3であるのがより好ましい。
【0025】更に、ブロック共重合体(II−1)におけ
る重合体ブロック(A)の数平均分子量は2500〜5
0000の範囲内であるのが好ましく、また重合体ブロ
ック(B)の数平均分子量は10000〜100000
の範囲内であるのが好ましい。そして、ブロック共重合
体(II−1)の数平均分子量は、15000〜1500
00の範囲内であるのが好ましい。
【0026】そして、付加重合系ブロック共重合体(I
I)として、単独で、またはブロック共重合体(II−
1)と共に用いるブロック共重合体(II−2)は、芳香
族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(C)
[以下これを「芳香族ビニル重合体ブロック(c)」と
いう]とポリイソブチレンブロック(D)[以下これを
「ポリイソブチレンブロック(d)」という]をその分
子中に有していて、しかも末端に水酸基を有するブロッ
ク共重合体であればいずれでもよく特に制限されない。
ブロック共重合体(II−2)はその一方の末端にのみ水
酸基を有していても、または両末端に水酸基を有してい
てもよいが、本発明で好ましく用いられるブロック共重
合体(II−2)の例としては、下記の式およびで表
されるブロック共重合体を挙げることができる。
【0027】 HO−C−(D−C’)p−OH HO−D−(C−D’)q−OH [式中、CおよびC’はそれぞれ独立して芳香族ビニル
重合体ブロック(c)を表し、DおよびD’はそれぞれ
独立してポリイソブチレンブロック(d)を表し、pお
よびqはそれぞれ独立して1以上の整数を表し、OHは
水酸基を表す。] 上記の式およびで表されるブロック共重合体におい
ては、pおよびqが1〜5の範囲内の整数であるのが好
ましく、特に、芳香族ビニル重合体ブロック(c)を2
個以上有しているブロック共重合体(II−2)が好まし
い。
【0028】ブロック共重合体(II−2)を構成する芳
香族ビニル重合体ブロック(c)は、芳香族ビニル化合
物に由来する単位から主としてなる重合体ブロックであ
って、その場合の芳香族ビニル化合物としては、ブロッ
ク共重合体(II−1)中の芳香族ビニル重合体ブロック
(a−1)に関して上記で説明したのと同様の種々の芳
香族ビニル化合物を用いることができるが、そのうちで
も、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレ
ンが特に好ましい。芳香族ビニル重合体ブロック(c)
は、1種の芳香族ビニル化合物に由来する単位から構成
されていても、または2種以上の芳香族ビニル化合物に
由来する単位から構成されていてもよい。また、ブロッ
ク共重合体(II−2)を構成するポリイソブチレンブロ
ック(d)は 、イソブチレンに由来する単位[−C
(CH−CH−]から主としてなる重合体ブロ
ックである。
【0029】ブロック共重合体(II−2)における芳香
族ビニル重合体ブロック(c)とポリイソブチレンブロ
ック(d)の割合は、重量比で1:9〜9:1であるの
が、ポリカーボネート系樹脂組成物の耐熱性が良好なも
のになる点から好ましく、2:8〜7:3であるのがよ
り好ましい。
【0030】また、ブロック共重合体(II−2)におけ
る芳香族ビニル重合体ブロック(c)の数平均分子量
は、2500〜50000の範囲内であるのが好まし
く、ポリイソブチレンブロック(d)の数平均分子量
は、10000〜100000の範囲内であるのが好ま
しく、ブロック共重合体(II−2)の数平均分子量は、
15000〜150000の範囲内であるのが好まし
い。
【0031】そして、ブロック共重合体(II−2)で
は、その末端水酸基は、芳香族ビニル重合体ブロック
(c)およびポリイソブチレンブロック(d)のいずれ
か一方の重合体ブロックの末端に存在していても、両方
の末端に存在していてもよいが、ハードブロックを形成
する芳香族ビニル重合体ブロック(c)の末端に存在す
るのが好ましい。ブロック共重合体(II−2)における
末端の水酸基の含有量は、ブロック共重合体(II−1)
の場合と同様に、1分子当たり平均0.5個以上である
のが好ましく、0.7〜2個の範囲であるのがより好ま
しい。
【0032】次に、本発明により得られるポリカーボネ
ート系樹脂組成物において、有機金属化合物(III)と
しては、例えば、有機チタン化合物、有機アンチモン化
合物、有機ゲルマニウム化合物、有機マンガン化合物、
有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機カルシウム化合
物、有機鉛化合物、有機サマリウム化合物、有機ランタ
ン化合物、有機イッテルビウム化合物、有機コバルト化
合物、有機カドミウム化合物、または有機マグネシウム
化合物等の有機金属化合物が挙げられる。この中でも、
有機チタン化合物、有機スズ化合物、および有機サマリ
ウム化合物が好ましい。本発明の有機金属化合物(II
I)は上記の1種のみを用いても、または2種以上を併
用してもよい。
【0033】本発明における有機金属化合物(III)と
して使用することのできる有機チタン化合物は特に制限
はなく、例えば、テトライソプロピルチタネート、テト
ラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタ
ネート、エチレングリコールチタネート、ブチレングリ
コールチタネート、蓚酸チタンカリウム、酒石酸チタン
カリウム、チタニウムアセチルアセトナート、ジブトキ
シビス(トリエタノールアミネート)チタン、およびヘ
キサフルオロチタンカリウムなどが挙げられ、その中で
もテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネ
ート等のチタンアルコラートが特に好ましい。有機チタ
ン化合物は、上記の1種のみを用いても、または2種以
上を併用してもよい。
【0034】本発明における有機金属化合物(III)と
して使用することのできる有機スズ化合物は特に制限は
なく、例えば、モノメチルスズオキサイド、モノエチル
スズオキサイド、モノプロピルスズオキサイド、モノブ
チルスズオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルスズオキ
サイド、ジブチルスズオキサイド、フェニルメチルスズ
オキサイド、モノブチルスズトリクロライド、ジブチル
スズジクロライド、ジメチルスズジブロマイド、モノブ
チルスズモノアセテート、モノブチルスズモノブチレー
ト、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズスルフィ
ド、ジフェニルスズスルフィドなどが挙げられ、その中
でもモノメチルスズオキサイド、モノエチルスズオキサ
イド、モノプロピルスズオキサイド、ジブチルスズオキ
サイド等のスズオキサイド、およびモノブチルスズモノ
アセテート、モノブチルスズモノブチレート、ジブチル
スズジアセテート等のスズカルボキシレートが特に好ま
しい。有機スズ化合物は、上記の1種のみを用いても、
または2種以上を併用してもよい。
【0035】本発明における有機金属化合物(III)と
して使用することのできる有機サマリウム化合物は特に
制限はなく、例えば、サマリウムアセテート、サマリウ
ムオキザレート、サマリウムアセチルアセトナート、サ
マリウムオキサイド、サマリウムクロライド、サマリウ
ムブロマイドなどが挙げられ、その中でもサマリウムア
セチルアセトナートが特に好ましい。有機サマリウム化
合物は、上記の1種のみを用いても、または2種以上を
併用してもよい。
【0036】本発明により得られるポリカーボネート系
樹脂組成物において、ポリカーボネート系樹脂(V)
は、ポリカーボネート系樹脂(I)に関して上記で挙げ
たのと同様の種々のポリカーボネート系樹脂を使用する
ことができる。
【0037】本発明では、上記したポリカーボネート系
樹脂(I)、付加重合系ブロック共重合体(II)および
有機金属化合物(III)を溶融混練することによりポリ
カーボネート系反応生成物(IV)を得る第1工程、並び
に該ポリカーボネート系反応生成物(IV)とポリカーボ
ネート系樹脂(V)とを溶融混練する第2工程の2つの
工程からなることが必要である。本発明における第1工
程では、有機金属化合物(III)が触媒として作用する
ことにより、ポリカーボネート系樹脂(I)と付加重合
系ブロック共重合体(II)とのブロック化反応を促進
し、ポリカーボネート系樹脂(I)から誘導されるポリ
カーボネートブロック、および付加重合系ブロック共重
合体(II)から誘導される付加重合体ブロックからなる
ブロック共重合体が生成する。そして、本発明における
第2工程では、第1工程で生成した該ブロック共重合体
が未反応の付加重合系ブロック共重合体(II)と共に、
ポリカーボネート系樹脂(I)およびポリカーボネート
系樹脂(V)からなるマトリックス樹脂中に微分散し、
その結果、低温における耐衝撃性に優れ、また耐衝撃性
の成形品厚み依存性が改良され、かつ剛性、強伸度等の
力学特性に優れたポリカーボネート系樹脂組成物が得ら
れる。
【0038】本発明における第1工程では、溶融混練時
におけるポリカーボネート系樹脂(I)と付加重合系ブ
ロック共重合体(II)との重量比は、99/1〜1/9
9となっている。付加重合系ブロック共重合体(II)の
重量割合が上記の範囲よりも多いまたは少ないと、ポリ
カーボネート系樹脂組成物の低温耐衝撃性が向上せず、
耐衝撃性の成形品厚み依存性も改良されない。ポリカー
ボネート系樹脂組成物の低温耐衝撃性が優れたものな
り、かつ耐衝撃性の成形品厚み依存性の改良効果が大き
くなる点から、第1工程における溶融混練時のポリカー
ボネート系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(I
I)との重量比は、80/20〜2/98の範囲内にあ
るのが好ましく、40/60〜5/95の範囲内にある
のがより好ましい。
【0039】また、第1工程における溶融混練時の{ポ
リカーボネート系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重
合体(II)の合計重量}と{有機金属化合物(III)の
重量}との比は、99.999/0.001〜95/5
となっている。有機金属化合物(IV)の重量割合が上記
の範囲よりも多いと、ポリカーボネート系樹脂組成物の
耐候性が低下する。一方、付加重合系ブロック共重合体
(II)の重量割合が上記の範囲よりも少ないと、ポリカ
ーボネート系樹脂組成物の低温耐衝撃性が向上せず、耐
衝撃性の成形品厚み依存性も改良されない。ポリカーボ
ネート系樹脂組成物の耐候性や低温耐衝撃性が優れたも
のなり、かつ耐衝撃性の成形品厚み依存性の改良効果が
大きくなる点から、第1工程における溶融混練時の{ポ
リカーボネート系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重
合体(II)の合計重量}と{有機金属化合物(III)の
重量}との比は、99.99/0.01〜97/3の範
囲内にあるのが好ましい。
【0040】また、本発明の第2工程では、溶融混練時
におけるポリカーボネート系反応生成物(IV)とポリカ
ーボネート系樹脂(V)との重量比は、0.1/99.
9〜50/50であるのが、ポリカーボネート系樹脂組
成物の低温における耐衝撃性に優れ、また耐衝撃性の成
形品厚み依存性が改良され、かつ剛性、強伸度等の力学
特性に優れる点から好ましく、1/99〜30/70で
あるのがより好ましく、2/98〜20/80であるの
が更に好ましい。
【0041】本発明の第1工程におけるポリカーボネー
ト系樹脂(I)、付加重合系ブロック共重合体(II)お
よび有機金属化合物(III)の溶融混練、並びに第2工
程におけるポリカーボネート系反応生成物(IV)とポリ
カーボネート系樹脂(V)の溶融混練は、単軸押出機、
二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機
により、通常180℃〜330℃で3〜15分溶融混練
することにより得ることができる。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応
じて、酸化防止剤、熱分解防止剤、紫外線吸収剤、タル
クなどの結晶化核剤、結晶化促進剤、着色剤、難燃剤、
ガラス繊維などの補強剤およびその表面処理剤、充填
剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、接
着助剤、粘着剤、上記以外のポリマー(例えばポリスチ
レン;ポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン系樹脂;ポリジメチルシロキサン等の
有機ポリシロキサンなど)などの1種または2種以上を
含有していてもよい。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形
品を製造するに当たっては、目的とする成形品の種類、
用途、形状などに応じて、熱可塑性重合体に対して一般
に用いられている種々の成形方法や成形装置が使用でき
る。何ら限定されるものではないが、本発明の熱可塑性
樹脂組成物を用いて、例えば、射出成形、押出成形、プ
レス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形など
の任意の成形法によって成形品を製造することができ、
またそれらの成形技術の複合によっても成形を行うこと
ができる。さらに、他のポリマーとの複合成形によって
も成形することができる。また、それらの成形によっ
て、自動車部品、工業部品、機械部品、電気電子部品、
事務機用部品、日用品、雑貨、パイプ、シート、フイル
ム、繊維、その他の任意の形状および用途の各種成形品
を製造することができる。
【0044】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施例
および比較例において、ポリカーボネート系樹脂組成物
の試験片の作製、引張降伏強さ、引張破断伸び、曲げ弾
性率、ノッチ付きIZOD衝撃値(耐衝撃性)の評価は
次のようにして行った。
【0045】試験片の作製:実施例または比較例で得ら
れた熱可塑性樹脂組成物のペレット、並びにポリカーボ
ネート樹脂単独のペレットを成形材料として用いて、日
精樹脂工業株式会社製の80トン射出成形機を使用し
て、シリンダー温度275℃および金型温度80℃の条
件下で、耐衝撃性試験用の試験片(寸法:長さ×厚さ×
幅=64mm×12.7mm×3.2mm、長さ×厚さ
×幅=128mm×6.2mm×12.7mm)、曲げ
弾性率測定用の試験片(寸法:長さ×厚さ×幅=128
mm×6.2mm×12.7mm)、および引張降伏強
さおよび引張破断伸びの測定用のダンベル形試験片(寸
法:長さ×厚さ×幅=JIS 1号形、厚み3.2m
m)をそれぞれ作製した。
【0046】引張降伏強さおよび引張破断伸びの測定
上記で作製した試験片を用いて、JIS K7113に
準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用
して引張降伏強さおよび引張降伏伸びを測定した。
【0047】曲げ弾性率の測定:上記で作製した試験片
を用いて、JIS K7203に準じて、オートグラフ
(株式会社島津製作所製)を使用して曲げ弾性率を測定
した。
【0048】ノッチ付アイゾット衝撃値(耐衝撃性)の
測定:上記で作製した試験片(寸法:長さ×厚さ×幅=
64mm×12.7mm×3.2mm)を用いて、JI
S K7110に準じて、アイゾット衝撃試験器(株式
会社東洋精機製作所製)を使用して、薄肉成形品(厚み
3.2mm)の室温および−30℃におけるノッチ付ア
イゾット衝撃値を測定した。また、上記で作製した試験
片(寸法:長さ×厚さ×幅=128mm×6.2mm×
12.7mm)を用いて、JIS K7110に準じ
て、アイゾット衝撃試験器(株式会社東洋精機製作所
製)を使用して、厚肉成形品(厚み6.4mm)の室温
におけるノッチ付アイゾット衝撃値を測定した。
【0049】以下の実施例および/または比較例では、
ポリカーボネート系樹脂(I)、付加重合系ブロック共
重合体(II)、有機金属化合物(III)およびポリカー
ボネート系樹脂(IV)として下記のものを使用した。
【0050】○ポリカーボネート系樹脂(I) ポリカーボネート樹脂:帝人化成株式会社製「パンライ
ト L1250」
【0051】○付加重合系ブロック共重合体(II) SEEPS−OH:末端に水酸基を有する水素添加され
たポリスチレンブロック/1,3−ブタジエンとイソプ
レン共重合体ブロック/ポリスチレンブロックからなる
トリブロック共重合体; [内容;2つのポリスチレンブロックの数平均分子量=
6000、1,3−ブタジエンとイソプレン共重合体ブ
ロックの数平均分子量=28000、トリブロック共重
合体の数平均分子量=40000、一方のポリスチレン
ブロックの末端に水酸基が結合、トリブロック共重合体
における水酸基含量=0.8個/分子、1,3−ブタジ
エンとイソプレン共重合体ブロックにおける1,3−ブ
タジエン単位とイソプレン単位のモル比=1/1、1,
3−ブタジエンとイソプレン共重合体ブロックにおける
不飽和度=5%;水素添加前のトリブロック共重合体に
おけるスチレン単位含量=30重量%]
【0052】○有機金属化合物(III) BuSnO:ジブチルスズオキサイド
【0053】○ポリカーボネート系樹脂(V) ポリカーボネート樹脂:帝人化成株式会社製「パンライ
ト L1225」
【0054】<実施例1> (1) 予め乾燥しておいたポリカーボネート系樹脂
(L1250)2重量部、SEEPS−OH3重量部、
およびジブチルスズオキサイド0.0025重量部を予
備混合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX
44C)を用いてシリンダー温度275℃の条件下で溶
融混練し、ポリカーボネート系反応生成物のペレットを
得た。次に、予め乾燥しておいた該ポリカーボネート系
反応生成物5.0025重量部、およびポリカーボネー
ト系樹脂(L1225)95重量部を予備混合し、二軸
押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX44C)を用い
てシリンダー温度275℃の条件下で溶融混練し、ポリ
カーボネート系樹脂組成物を得た。 (2) 上記で得たポリカーボネート系樹脂組成物のペ
レットを用いて、試験片を上記に従って作製し、それを
用いて引張破断強度、引張破断伸度、曲げ弾性率および
耐衝撃性を上記した方法で測定したところ、下記の表1
に示すとおりの結果であった。
【0055】<実施例2〜6>ポリカーボネート系樹脂
(I)、付加重合系ブロック共重合体(II)、有機金属
化合物(III)およびポリカーボネート系樹脂(V)をそ
れぞれ表1に記載した重量割合で用いて、実施例1と同
様に溶融混練を行い、ポリカーボネート系樹脂組成物を
得た。このポリカーボネート系樹脂組成物のペレットを
用いて、試験片を上記に従って作製し、それを用いて引
張破断強度、引張破断伸度、曲げ弾性率および耐衝撃性
を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すと
おりの結果であった。
【0056】<比較例1>ポリカーボネート系樹脂
(I)を単独で用いて、上記した方法で試験片を作製
し、それを用いて引張破断強度、引張破断伸度、曲げ弾
性率および耐衝撃性を上記した方法で測定したところ、
下記の表1に示すとおりの結果であった。
【0057】<参考例1> (1) 予め乾燥しておいたポリカーボネート系樹脂
(L1250)2重量部、SEEPS−OH3重量部、
およびジブチルスズオキサイド0.0025重量部、お
よびポリカーボネート系樹脂(L1225)95重量部
を予備混合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、T
EX44C)を用いてシリンダー温度275℃の条件下
で溶融混練し、ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。 (2) 上記で得たポリカーボネート系樹脂組成物のペ
レットを用いて、試験片を上記に従って作製し、それを
用いて引張破断強度、引張破断伸度、曲げ弾性率および
耐衝撃性を上記した方法で測定したところ、下記の表1
に示すとおりの結果であった。
【0058】
【表1】
【0059】上記の表1の結果から、ポリカーボネート
系樹脂(I)、付加重合系ブロック共重合体(II)およ
び有機金属化合物(III)の3者から得たポリカーボネ
ート系反応生成物をポリカーボネート系樹脂(IV)に配
合することで製造した実施例1〜6のポリカーボネート
系樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂(I)単独の
比較例1と比較して、室温のみならず低温における耐衝
撃性が向上していること、並びに厚肉成形品における耐
衝撃性が向上していることが判る。また、本発明の製造
法で得た実施例1〜6のポリカーボネート系樹脂組成物
は、ポリカーボネート系樹脂(I)、付加重合系ブロッ
ク共重合体(II)、有機金属化合物(III)およびポリ
カーボネート系樹脂(IV)を同時に溶融混練して得た参
考例1のポリカーボネート系樹脂組成物と比較して、低
温における耐衝撃性が向上していること、並びに厚肉成
形品における耐衝撃性が向上していることが判る。
【0060】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、低温に
おける耐衝撃性に優れ、また耐衝撃性の成形品厚み依存
性が改良され、かつ剛性、強伸度等の力学特性に優れる
ことから、それらの特性を活かして、電気/電子部品、
自動車部品、工業部品、機械部品、事務機器部品、日用
品、パイプ、シート、フイルム、その他の任意の形状お
よび用途の各種成形品の製造やその他のに有効に用いる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BP01X BP01Y BP03X BP03Y CG01 CG01X EZ006 EZ016 EZ036 EZ046 EZ056 GM00 GN00 GQ00 4J029 AA09 AB04 AB07 AC01 AC03 AD10 AE01 BB13A HA01 HC01 JC751 JE112 JF131 JF141 JF181 JF271 JF321 JF351 JF361 JF371 JF381 JF471 JF541 JF571 KH01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) ポリカーボネート系樹脂
    (I)、付加重合系ブロック共重合体(II)および有機
    金属化合物(III)を溶融混練することによりポリカー
    ボネート系反応生成物(IV)を得る第1工程、並びに該
    ポリカーボネート系反応生成物(IV)とポリカーボネー
    ト系樹脂(V)とを溶融混練する第2工程とからなるポ
    リカーボネート系樹脂組成物の製造方法であって; (2) 付加重合系ブロック共重合体(II)が、 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロッ
    ク(a−1)および水素添加された1,2−結合量が3
    0%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの
    少なくとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素
    添加されたポリイソプレンブロック(b−1)、水素添
    加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエ
    ンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン
    /ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック
    (B)とからなり、かつ末端に水酸基を有するブロック
    共重合体(II−1)、並びに 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロッ
    ク(C)とポリイソブチレンブロック(D)とからな
    り、かつ末端に水酸基を有するブロック共重合体(II−
    2)、のうちの少なくとも1種から誘導される付加重合
    系ブロック共重合体であり; (3) 第1工程の溶融混練時におけるポリカーボネー
    ト系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(II)と
    の重量比が99/1〜1/99であり; (4) 第1工程の溶融混練時における{ポリカーボネ
    ート系樹脂(I)と付加重合系ブロック共重合体(II)
    の合計重量}と{有機金属化合物(III)の重量}との
    比が99.999/0.001〜95/5である;こと
    を特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 第2工程の溶融混練時における{ポリカ
    ーボネート系反応生成物(IV)の重量}と{ポリカーボ
    ネート系樹脂(V)の重量}との比が0.1/99.9
    〜50/50である請求項1に記載のポリカーボネート
    系樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機金属化合物(III)が、有機チタン
    化合物、有機スズ化合物および有機サマリウム化合物か
    らなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ま
    たは2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネート系樹脂(I)および/
    またはポリカーボネート系樹脂(V)が、ビスフェノー
    ルAとホスゲンを原料とするポリカーボネート系樹脂で
    ある請求項1〜3に記載のポリカーボネート系樹脂組成
    物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003055531A (ja) * 2001-08-15 2003-02-26 Japan Elastomer Co Ltd 樹脂組成物、及び樹脂改質用ブロック共重合体

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