JP2001219779A - 車両用前部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】車両ボンネットの前端延長線に沿うような外表
面をもった透明なヘッドランプカバーを設け、このカバ
ーの後方に所定スペースを隔ててランプユニットを支持
し、上記ヘッドランプカバーを所定荷重にて後退可能と
成すことで、車両が障害物と衝突した時、ヘッドランプ
カバーを後退させて、障害物に対する衝撃を少なくする
ことができ、しかもランプユニットには変形が及ばない
ので、ランプユニットの破損がなく、該ランプユニット
の保護を図ることができる車両用前部構造の提供を目的
とする。 【解決手段】車両前部に車両灯具８が支持された車両用
前部構造であって、車両ボンネット１の前端延長線に沿
うような外表面をもった透明なヘッドランプカバー４
と、上記ヘッドランプカバー４の後方に該ヘッドランプ
カバー４の後退を許容する所定スペース７を隔ててレン
ズ１０とハウジング１３とを備えたランプユニット８を
支持し、上記ヘッドランプカバー４を前方からの所定荷
重にて後退可能に構成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、車両前部にヘッ
ドランプのような車両灯具が支持された車両用前部構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、バンパおよび車両灯具としてのヘ
ッドランプを備えた車両において、車両が障害物に衝突
した時、バンパを変形させて衝撃力を吸収すると共に、
ヘッドランプを後方に変位させて衝撃力を吸収すべく構
成した車両用前部構造がある。

【０００３】すなわち、図９に示すように、車体固定部
材９１にピン９１ａを介して傾動ステー９２を枢着し、
ヘッドランプ９３に一体的に形成されたブラケット９４
に段付ボルト９５をねじ止め固定し、この段付ボルト９
５と傾動ステー９２のスリット９２ａとを係合させると
共に、上述のブラケット９４に設けた係合突部９６を上
記スリット９２ａに係合させ、また傾動ステー９２に設
けた爪９２ｂを車体固定部材９１に当接させて、車両衝
突時の外力によりヘッドランプ９３が後方に変位した
時、所定荷重以上の入力で係合突部９６とスリット９２
ａとの係合を解除し、爪９２ｂが折曲して、傾動ステー
９２を傾動させ、ヘッドランプ９３に作用する衝撃力を
吸収し、さらに上記スリット９２ａから段付ボルト９５
を離脱させて、傾動ステー９２の傾動動作によりヘッド
ランプ９３を図９に仮想線で示す如く下方後方に移動さ
せて、障害物９７の衝撃を少なくしたものである(特開
平９−３０３２１号公報参照)。

【０００４】この従来構造においてはヘッドランプ９３
の変位により障害物９７に対する衝撃を小さくすること
ができる利点がある反面、車両衝突時に障害物９７がヘ
ッドランプ９３に直接衝合するので、ヘッドランプ９３
に変形が及び、ヘッドランプ９３の脱落により該ヘッド
ランプ９３が破損する問題点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、車両ボン
ネットの前端延長線に沿うような外表面をもった透明な
ヘッドランプカバーを設け、このカバーの後方に所定ス
ペースを隔ててランプユニットを支持し、上記ヘッドラ
ンプカバーを所定荷重にて後退可能と成すことで、車両
が障害物と衝突した時、ヘッドランプカバーを後退させ
て、障害物に対する衝撃を少なくすることができ、しか
もランプユニットには変形が及ばないので、ランプユニ
ットの破損がなく、該ランプユニットの保護を図ること
ができる車両用前部構造の提供を目的とする。

【０００６】この発明はまた、ヘッドランプカバーの下
部をバンパ後部上方に支持し、該カバーが前方から所定
荷重でその上側が後退変形するように構成することによ
り、ヘッドランプカバーがその下部を支点として上側が
後退変形し、障害物に対する衝撃を小さくすることがで
きる車両用前部構造の提供を目的とする。

【０００７】この発明はさらに、上述のランプユニット
を後方位置で支持するシュラウドパネルを設けること
で、ヘッドランプカバーとランプユニットとの間に確実
に所定スペースを形成することができ、衝突時における
ヘッドランプカバーの後退をより一層確実にすることが
できる車両用前部構造の提供を目的とする。

【０００８】この発明はさらに、ヘッドランプカバーと
ランプユニットとの間に、これら両者間を囲繞するカバ
ー部材を設けることで、光が外部にもれることがなく、
また両者間の空間部に対する泥水等の異物侵入や塵埃等
の侵入、付着を防止することができる車両用前部構造の
提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明による車両用前
部構造は、車両前部に車両灯具が支持された車両用前部
構造であって、車両ボンネットの前端延長線に沿うよう
な外表面をもった透明なヘッドランプカバーと、上記ヘ
ッドランプカバーの後方に該ヘッドランプカバーの後退
を許容する所定スペースを隔ててレンズとハウジングと
を備えたランプユニットを支持し、上記ヘッドランプカ
バーを前方からの所定荷重にて後退可能に構成したもの
である。

【００１０】上記構成により、車両が障害物と衝突した
時、上述のヘッドランプカバーは後方に後退するので、
障害物に対する衝撃を少なくすることができ、しかもヘ
ッドランプカバーは上記所定スペース内において変位す
るので、レンズとハウジングとを備えたランプユニット
には何等変形が及ぶことなく、ランプユニットの破損が
なく、該ランプユニットの保護を図ることができる。

【００１１】この発明の一実施態様においては、上記ヘ
ッドランプカバーはその下部がバンパ後部上方に支持さ
れ、上記ヘッドランプカバーは前方からの所定荷重にて
その上側を後退変形すべく構成したものである。

【００１２】上記構成により、衝突荷重入力時において
ヘッドランプカバーはその下部を支点として上側が後退
するように変形し、これにより障害物に対する衝撃、特
に斜め前方からの障害物に対する衝撃を小さくすること
ができる。

【００１３】この発明の一実施態様においては、上記ラ
ンプユニットを後方位置で支持するシュラウドパネルが
設けられたものである。上記構成により、後方位置のシ
ュラウドパネルに支持されたランプユニットと、車両ボ
ンネットの前端延長線に沿うヘッドランプカバーとの間
に確実に所定スペース(カバーの後退を許容するスペー
ス)を形成することができ、衝突時におけるヘッドラン
プカバーの後退をより一層確実と成すことができる。

【００１４】この発明の一実施態様においては、上記ヘ
ッドランプカバーとランプユニットとの間には、これら
両者間を囲繞するカバー部材が設けられたものである。
上記構成により、照明時の光が外部にもれるのをカバー
部材で防止することができ、またヘッドランプカバーと
ランプユニットとの間の空間部に泥水等の異物が侵入し
たり、或は塵埃等の侵入、付着を上記カバー部材にて防
止することができる。

【００１５】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は車両用前部構造を示し、図１のＡ−Ａ線
矢視図としての図２において、エンジンルームの上部開
口部を覆うボンネット１を設け、このボンネット１の下
面にはボンネットレインフォースメント２を接合してい
る。

【００１６】上述のボンネット１とフロントバンパ３と
の間には、ボンネット１の前端延長線に沿うような外表
面を持った透明なヘッドランプカバー４を設けている。
この実施例では上述のヘッドランプカバー４を透明アク
リル樹脂等の透光性部材によりボンネット１の前端と連
続的になるように形成し、このヘッドランプカバー４の
下部において後方に一体的に突設形成された下部フラン
ジ部４ａを、ボルト５、ナット６等の複数の取付け部材
を用いて、フロントバンパ３の後部上方に支持させてい
る。

【００１７】上述のヘッドランプカバー４は前方からの
所定荷重、特に斜め上側前方からの所定荷重により該カ
バー４の上側を後退変形可能に構成したものである。上
述のヘッドランプカバー４の後方には該ヘッドランプカ
バー４の後退を許容する所定スペース７(いわゆるクラ
ッシャブルゾーン)を隔ててヘッドランプユニット８を
設け、このヘッドランプユニット８をシュラウドパネル
９で支持している。

【００１８】上述のヘッドランプユニット８は前部に位
置するランプレンズとしてのアウタレンズ１０と、車体
側に対する複数の取付け部１１，１２を有し、後部に位
置するランプハウジング１３とを備えている。

【００１９】上述のランプハウジング１３の略中央部に
はゴムカバー１４を用いて、バルブ１５とソケット１６
とから成るヘッドランプ１７(前照灯)を取付け、このヘ
ッドランプ１７を、上述のアウタレンズ１０とランプハ
ウジング１３とで囲繞された灯室内へ臨設している。

【００２０】上述のヘッドランプ１７の光を車両前方へ
照射する反射鏡としてのリフレクタ１８を設け、このリ
フレクタ１８のランプ配設孔１９に上述のヘッドランプ
１７を配設すると共に、このランプ配設孔１９の口縁下
部に設けられた取付け部２０には、必要に応じてビス２
１(取付け部材)を用いてシェード２２を取付け得るよう
に構成している。

【００２１】また上述のアウタレンズ１０とリフレクタ
１８との間には灯具内部の必要以上の透視を防止し、か
つ装飾効果を得る略筒状のベゼル２３を設けている。一
方、前述のシュラウドパネル９は図２、図３、図４に示
す如くシュラウドアッパメンバ２４と左右のシュラウド
サイドパネル２５，２５とを有し、このシュラウドサイ
ドパネル２５にはランプ配設部２６が開口形成されてい
る。

【００２２】而して、上述のランプ配設部２６にヘッド
ランプユニット８のランプハウジング１３を挿入した状
態下において上側の取付け部１１をボルト２７、ナット
２８にてシュラウドアッパメンバ２４に固定し、下側の
取付け部１２をボルト２９、ナット３０にてシュラウド
サイドパネル２５に固定している。

【００２３】さらに上述のヘッドランプカバー４の後部
外周とヘッドランプユニット８におけるアウタレンズ１
０の外周部との間には、これら両者間(ヘッドランプカ
バー４とアウタレンズ１０間)を囲繞するゴム製、布
製、樹脂フィルム製あるいは、これらの複合材料からな
る可撓性かつ蛇腹形状のカバー部材３１(遮光カバー機
能と防塵カバー機能とを備えたカバー部材)で囲繞して
いる。ここで、上述のカバー部材３１は略筒状に形成さ
れている。また該カバー部材３１による囲繞構造は両者
間にカバー部材３１が気密状に設けられることが望まし
い。なお、図３において３２はフロントフェンダであ
り、矢印Ｆは車両前方を示すものである。

【００２４】図示実施例は上記の如く構成するものにし
て、以下作用を説明する。上記構造の車両用前部構造を
備えた車両において上述のヘッドランプカバー４に障害
物が例えば斜め上側前方から衝突し、この衝突荷重が所
定荷重の場合には、該ヘッドランプカバー４はフロンバ
ンパ３に支持された下側部を支点として、その上側が図
５に示す如く後方に後退するように変形して、衝突荷重
を吸収する。

【００２５】このため、障害物に対する衝撃を小さくす
ることができると共に、上述のヘッドランプカバー４の
後退変形は所定スペース７いわゆるクラッシャブルゾー
ンにおいて行なわれるので、ヘッドランプユニット８に
何等変形が及ぶことはなく、該ヘッドランプユニット８
の保護を図ることができる。

【００２６】このように、上記実施例の車両用前部構造
は、ボンネット１の前端延長線に沿うような外表面をも
った透明なヘッドランプカバー４と、このヘッドランプ
カバー４の後方に該ヘッドランプカバー４の後退を許容
する所定スペース７を隔ててレンズ(アウタレンズ１０
参照)とハウジング(ランプハウジング１３参照)とを備
えたヘッドランプユニット８を支持し、上述のヘッドラ
ンプカバー４を前方からの所定荷重にて後退可能に構成
したものである。

【００２７】このため、車両が障害物と衝突した時、上
述のヘッドランプカバー４は図５に示すように後方に後
退するので、障害物に対する衝撃を少なくすることがで
き、しかもヘッドランプカバー４は上述の所定スペース
７内において変位するので、レンズ(アウタレンズ１０
参照)とハウジング(ランプハウジング１３参照)とを備
えたヘッドランプユニット８には何等変形が及ぶことな
く、ヘッドランプユニット８の破損がなく、該ヘッドラ
ンプユニット８の保護を図ることができる。

【００２８】また、上述のヘッドランプカバー４はその
下部がフロントバンパ３後部上方に支持され、ヘッドラ
ンプカバー４は前方からの所定荷重にてその上側を後退
変形すべく構成したものである。

【００２９】このため、所定の衝突荷重の入力時におい
てヘッドランプカバー４はその下部を支点として上側が
後退するように変形し、これにより障害物に対する衝
撃、特に斜め前方からの障害物に対する衝撃を小さくす
ることができる。

【００３０】さらに、上述のヘッドランプユニット８を
後方位置で支持するシュラウドパネル９が設けられたも
のであるから、後方位置のシュラウドパネル９に支持さ
れたヘッドランプユニット８と、ボンネット１の前端延
長線に沿うヘッドランプカバー４との間に確実に所定ス
ペース７(カバー４の後退を許容するスペース)を形成す
ることができ、衝突時におけるヘッドランプカバー４の
後退をより一層確実と成すことができる。

【００３１】加えて、上述のヘッドランプカバー４とヘ
ッドランプユニット８との間には、これら両者４，８間
を囲繞するカバー部材３１が設けられたものであるか
ら、通常時(非衝突時)においては照明時の光が外部にも
れるのをカバー部材３１で防止することができ、またヘ
ッドランプカバー４とヘッドランプユニット８との間の
空間部に泥水等の異物が侵入したり、或は塵埃等の侵
入、付着を上述のカバー部材３１にて確実に防止するこ
とができる。

【００３２】図６、図７は車両用前部構造の他の実施例
を示し、上述のヘッドランプカバー４の下部コーナ部４
ｂの内側に前方からの所定荷重にて該ヘッドランプカバ
ー４を確実にかつ容易に後退変形すべくスリット状の凹
部４ｃを形成したものである。

【００３３】このように構成すると、車両が障害物と衝
突した時、ヘッドランプカバー４に対して斜め上側前方
からの所定荷重が入力すると、下部コーナ部４ｂの肉厚
が凹部４ｃの形成により薄肉化されているので、この下
部コーナ部４ｂを支点とするヘッドランプカバー４の後
退変形がさらに確実となる。

【００３４】なお、図６、図７に示すこの実施例におい
いても、その他の構成、作用、効果については先の実施
例と同様であるから、図６、図７において前図と同一の
部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略す
る。

【００３５】図８は車両用前部構造のさらに他の実施例
を示し、シュラウドパネル９の平面から見た形状を、該
シュラウドパネル９のヘッドランプユニット８が取付け
られる左右両側部９ｂ，９ｂを、シュラウドパネル中央
部９ａに対して車両前後方向の後方位置に設定し、上述
の左右両側部９ｂ，９ｂにヘッドランプユニット８，８
を取付けたものである。

【００３６】このように構成すると、エンジンルーム内
のエンジンおよびエンジン補機類のレイアウトや車両寸
法を何等変更することなく、ヘッドランプカバー４およ
びヘッドランプユニット８の取付け構造を実現すること
ができる。

【００３７】なお、図８に示すこの実施例においても、
その他の構成、作用、効果については先の実施例と同様
であるから、図８において前図と同一の部分には同一符
号を付して、その詳しい説明を省略する。

【００３８】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明の車両灯具は、実施例のヘッドラン
プユニット８に対応し、以下同様に、レンズは、アウタ
レンズ１０に対応し、ハウジングは、ランプハウジング
１３に対応し、ランプユニットは、ヘッドランプユニッ
ト８に対応し、バンパは、フロントバンパ３に対応する
ものであるが、この発明は、上述の実施例の構成のみに
限定されるものではない。

【発明の効果】上記構成により、車両が障害物と衝突し
た時、上述のヘッドランプカバーは後方に後退するの
で、障害物に対する衝撃を少なくすることができ、しか
もヘッドランプカバーは上記所定スペース内において変
位するので、レンズとハウジングとを備えたランプユニ
ットには何等変形が及ぶことなく、ランプユニットの破
損がなく、該ランプユニットの保護を図ることができる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の車両用前部構造を備えた車両の斜視
図。

【図２】 図１のＡ−Ａ線矢視断面図。

【図３】 ヘッドランプカバーおよびランプユニットの
取付け構造を示す概略平面図。

【図４】 シュラウドパネルの斜視図。

【図５】 ヘッドランプカバーの後退変形を示す説明
図。

【図６】 車両用前部構造の他の実施例を示す断面図。

【図７】 図６の要部の拡大断面図。

【図８】 車両用前部構造のさらに他の実施例を示す概
略平面図。

【図９】 従来のヘッドランプ取付け構造を示す側面
図。

【符号の説明】

１…ボンネット ３…フロントバンパ(バンパ) ４…ヘッドランプカバー ７…所定スペース ８…ヘッドランプユニット(ランプユニット) ９…シュラウドパネル １０…アウタレンズ(レンズ) １３…ランプハウジング(ハウジング) ３１…カバー部材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両前部に車両灯具が支持された車両用前
   部構造であって、車両ボンネットの前端延長線に沿うよ
   うな外表面をもった透明なヘッドランプカバーと、上記
   ヘッドランプカバーの後方に該ヘッドランプカバーの後
   退を許容する所定スペースを隔ててレンズとハウジング
   とを備えたランプユニットを支持し、上記ヘッドランプ
   カバーを前方からの所定荷重にて後退可能に構成した車
   両用前部構造。
2. 【請求項２】上記ヘッドランプカバーはその下部がバン
   パ後部上方に支持され、上記ヘッドランプカバーは前方
   からの所定荷重にてその上側を後退変形すべく構成した
   請求項１記載の車両用前部構造。
3. 【請求項３】上記ランプユニットを後方位置で支持する
   シュラウドパネルが設けられた請求項１記載の車両用前
   部構造。
4. 【請求項４】上記ヘッドランプカバーとランプユニット
   との間には、これら両者間を囲繞するカバー部材が設け
   られた請求項１記載の車両用前部構造。