JP2001214223A - Mo系廃触媒からの有価金属の回収方法 - Google Patents

Mo系廃触媒からの有価金属の回収方法

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JP2001214223A JP2000022818A JP2000022818A JP2001214223A JP 2001214223 A JP2001214223 A JP 2001214223A JP 2000022818 A JP2000022818 A JP 2000022818A JP 2000022818 A JP2000022818 A JP 2000022818A JP 2001214223 A JP2001214223 A JP 2001214223A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単に投棄することも保管することもできな
いMo系廃触媒を、その中に含まれる有価金属を単に回収
することができるだけでなく、触媒担体であるAl O
をも有効に活用できるようにする、Mo系廃触媒から有価
金属を回収する新規な方法を提供する。 【解決手段】 Mo系廃触媒を酸化焙焼し、Moの他に少な
くともNi, CoおよびVを含む酸化焙焼物を得る第1工
程;上記酸化焙焼物に対し、Mo、NiおよびCoの酸化物を
金属にまで還元するのに必要な化学的当量の50〜120 %
相当の金属Siまたは/および金属Alを、添加して加熱還
元することにより、Mo−Ni系合金等とCaO−AlO
スラグとを回収する第2工程;前記CaO−AlO系ス
ラグに対し、このスラグ中に含まれるVの酸化物を金属
にまで還元するのに必要な化学的当量以上の金属Siまた
は/および金属Alを、添加して加熱還元することによ
り、V−Si系合金またはV−Al系合金とCaO−AlO
系スラグとを回収する第3工程;を経る有価金属の回収
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油精製, ガス処
理工業等の分野において、水素化脱硫用に用いられてい
る触媒がその使用中に被毒し、本来の活性が低下した状
態になった、いわゆる廃触媒の処理方法に関し、とくに
Mo廃触媒から有価金属を回収する方法についての提案で
ある。
【0002】
【従来の技術】通常、この分野で用いられている廃触媒
としては、アルミナ (AlO) を主体とする触媒担体
にMo−NiあるいはMo−Co等の活物質を担持させたものが
主流である。この触媒の特徴は、その使用中に、石油等
に含まれるVなどの重金属やタール分等で被毒されて触
媒活性が低下するため、6〜12ヵ月毎に交換しなけれ
ばならず、いわゆるそれが廃触媒として発生するという
点にある。被毒したこのような廃触媒というのは、発生
時は油分やタール分が多量に付着しており、そのままの
状態では廃棄処分をすることができないばかりか、仮に
保管するとしても火災等の安全対策の面、ならびに水質
汚染や異臭等の公害対策の面で多大な労力や経費がかか
るという問題点があった。そこで従来、かかる廃触媒に
ついては、これを灯油等の有機溶剤で脱油したり、簡単
な焼却設備で自燃させることにより、該廃触媒に付着し
た油分やタール分をある程度取り除いてから保管するこ
とも検討されてきた。しかし、いずれにしても多大な費
用がかかり、実用的でないという問題があった。
【0003】一方、この種の廃触媒は、MoやNi, Coなら
びにV等の高価な有用金属を多量に含んでおり、その中
からこれらの有価金属を回収することは省資源および資
源再利用の面からも望ましいことであり、以前から種々
の回収方法が提案され、その一部は既に実施されている
技術もある。
【0004】こうした既知提案技術の1つに、廃触媒に
炭酸ソーダを添加し、800 〜1000℃の温度で焙焼したの
ち粉砕し、その後、種々の薬剤等を添加して有価金属を
溶解、沈殿、濾過、析出、乾燥等の湿式処理工程を経て
順次回収する方法がある (米国特許第4,087,510 号明細
書、特開昭47−31892 号公報) 。しかし、これらの方法
は、工程が非常に多くかつ複雑なため、設備費が嵩むの
みならず、有価金属の回収コストが高価なものになり、
多量の廃触媒を処理する方法としては不適当であった。
【0005】他方、上述した湿式処理法に対して、廃触
媒に鉄分と生石灰ならびにコークス等の炭素系の還元剤
を加えて加熱溶解し、廃触媒中の有価金属を還元回収す
る乾式処理法も提案されている (特開昭54−10215 号公
報) 。しかし、この方法については、廃触媒中に油分が
含まれているため、それが加熱溶解炉内で燃焼してしま
い、還元に充分な高温に達する前に廃触媒中のMoO
昇華が起こること、さらには炭素系の還元剤ではVの還
元は余程の高温にならない限り、充分に進行しないこと
等、結果的に有価金属の回収率が低くなってしまうとい
う大きな問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来、種々の有価金属の回収技術が提案されてはいるも
のの、未だに満足すべき状態の回収技術が確立されてい
ないのが現状である。そこで本発明の目的は、簡単に投
棄することも保管することもできないMo系廃触媒を、そ
の中に含まれる有価金属を単に回収することができるだ
けでなく、触媒担体であるAlOをも有効に活用でき
るようにする、Mo系廃触媒から有価金属を回収する新規
な方法を提供する。即ち、本発明は、石油精製等の分野
において水素化脱硫用として用いられるMo系触媒、例え
ば、Mo−Ni−AlO系、Mo−Co−AlO系の触媒が、
その使用中にV等の重金属で被毒して交換を余儀なくさ
れる際に、これらのMo系廃触媒を、油分やタールが付着
したままの状態で処理をする方法を提案することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上掲の目的の実現に向け
鋭意研究を続けた結果、発明者らは、下記要旨構成に係
る回収方法が、上記課題解決の方法として有効であると
の知見を得て、本発明を開発した。即ち、本発明は、Al
Oを担体とするMo系廃触媒から該触媒中に含まれる
有価金属を分離回収する方法において、下記第1〜第3
各工程:Mo系廃触媒を酸化焙焼し、Moの他に少なくとも
Ni, CoおよびVを含む酸化焙焼物を得る第1工程;上記
酸化焙焼物に対し、Mo、NiおよびCoの酸化物を金属にま
で還元するのに必要な化学的当量の50〜120 %相当の金
属Siまたは/および金属Alを添加し、加熱還元して溶解
することにより、Mo−Ni系合金もしくはMo−Co系合金ま
たはMo−Ni−Co系合金とCaO−AlO系スラグとを分
離してそれぞれを回収する第2工程;前記CaO−AlO
系スラグに対し、このスラグ中に含まれるVの酸化物
を金属にまで還元するのに必要な化学的当量以上の金属
Siまたは/および金属Alを添加し、加熱還元して溶解す
ることにより、V−Si系合金またはV−Al系合金とCaO
−AlO系スラグとを分離してそれぞれを回収する第
3工程;を経る処理を行うことを特徴とするMo系廃触媒
からの有価金属の回収方法である。
【0008】なお、本発明においては、第2工程の処理
において、または/および第3工程の処理において、Ca
O−AlO系スラグに対して、該スラグのCaO/AlO
比が 0.6〜1.5 となる量のCaO源を添加して加熱溶解
することが好ましく、また、Mo系廃触媒に、さらに酸化
鉄または/および金属鉄をも含む原料を加えて上記第1
〜第3の各工程の処理を行うことが好ましい実施形態と
なる。
【0009】さらに、第2工程において、Mo−Ni系合金
またはMo−Co系合金あるいはMo−Ni−Co系合金とCaO−
AlO系スラグを分離する直前に、該合金溶湯中へ酸
素または炭酸ガスの少なくとも1種以上を含むガスを吹
き込むこと、および、Mo−Ni系合金またはMo−Co系合金
あるいはMo−Ni−Co系合金とCaO−AlO系スラグを
分離する直前に、該合金溶湯と酸化鉄とを接触せしめる
ことが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の構成の詳細を、各
工程毎にその処理の内容について詳しく説明する。 a.第1工程;上記Mo系廃触媒は、処理上のハンドリン
グの問題の他に、不純物成分として、CやSを多量に含
んでいる。従って先ず、これら不純物成分を第1工程と
して事前処理して分離させる必要がある。一般に、有機
質のCは、300 ℃程度以下の比較的低温で酸化するが、
無機質のCは500 ℃程度以上でないと充分に酸化が進ま
ない。また、Sは、主としてMoと結合しており、この分
解は520 〜530 ℃で起こり、その際に生成するMoO
約800℃で昇華する性質を示す。このことから、この第
1工程における酸化焙焼温度は、500 〜800 ℃程度が好
ましいと言える。このように酸化焙焼して得られたMo系
廃触媒の酸化焙焼物は、CやSの含有量が極めて低い、
流動性に富む粉ないし粒状となり、次工程である第2工
程に移す際には非常にハンドリングがし易いものとな
る。
【0011】b.第2工程;この工程は、上記第1工程
で得られたMo系廃触媒の酸化焙焼物を、電気炉等の加熱
炉で加熱し、廃触媒中に含まれるMoおよびNiまたはCoの
酸化物を、金属Siまたは/および金属Alで還元し溶解す
ることにより、Mo−Ni系合金またはMo−Co系合金あるい
はMo−Ni−Co系合金を生成させる工程である。
【0012】上記加熱還元に際し、還元剤として用いる
金属Siまたは/および金属Alの添加量は、便宜上、次式
を満足する化学的当量に対し、50〜120 wt%の範囲内が
好ましい。 MoO+3/2 Si → Mo+3/2 SiO MoO+ 2 Al → Mo+AlO NiO+1/2 Si → Ni+1/2 SiO NiO+2/3 Al → Ni+1/3 AlO CoO+1/2 Si → Co+1/2 SiO CoO+2/3 Al → Co+1/3 AlO
【0013】かかる還元剤の添加量を、上記のように限
定する理由は、50wt%未満ではMoおよびNiまたはCoの還
元量が少ないため、スラグ中にMoおよびNiまたはCoの酸
化物が多量に残存してしまい、結果的に次工程の第3工
程でVを還元回収する際にスラグ中に残存したMoおよび
NiまたはCoも同時に還元回収されてしまい、これらがV
−Si系合金中またはV−Al系合金中に混入する量が多く
なるからである。逆に、120 wt%を超えると、Mo, Ni,
Coの還元の他にVの還元も起こってしまい、Mo- Ni系合
金中またはMo−Co系合金中に混入するVの量が多くな
り、回収する合金の市場価値を損なうことになる。
【0014】なお、この段階で得られるMo−Ni系合金、
Mo−Co系合金あるいはMo−Ni−Co系合金については、こ
の合金へのVの混入をより少なくし、もって該合金の市
場での価値を高めることは望ましい。そのためには、M
o, Ni, CoおよびVの酸素親和力の差を利用することに
より、該合金溶湯中に酸素または炭酸ガスの少なくとも
1種以上を含む酸化性ガスを吹き込むか、あるいは該合
金溶湯と酸化鉄とを接触させることにより、Vを優先的
に酸化させて、第2工程のCaO−AlO系スラグ中に
V酸化物として戻すことが、有効である。
【0015】なお、この工程の処理によって生成するス
ラグは、造滓剤を用いない場合にはAlOが主体とな
って、その他に還元されなかったV酸化物およびSiO
が含まれる。このようなスラグは、融点が2000℃程度と
なって連続的な操業が困難になる場合がある。そこで、
本発明では、造滓剤としてCaO源を前記生成スラグのCa
O/AlO比が 0.6〜1.5 となる量を添加してから溶
解することが好ましい。かかる造滓剤としてのCaO源
は、生石灰をはじめ石灰石や消石灰あるいはこれらを含
むものであれば何れでもよい。そして、CaO/AlO
比を 0.6〜1.5 に限定した理由は、前記生成スラグの融
点をおよそ1350〜1550℃程度にし、操業を円滑に行なえ
るようにするためと、後述するように、最終スラグを有
効な副生物として利用できるような組成にするためであ
る。
【0016】以上説明したように、この第2工程では、
廃触媒の酸化焙焼物に上記還元剤と必要に応じて造滓剤
を添加し、加熱還元し、そして溶解させることにより、
その中に含まれる有価金属のうち、主としてMo, Ni, Co
を還元回収し、そしてVは酸化物のままの状態でスラグ
中に残す (回収しない) 処理を行うのである。
【0017】c.第3工程;この工程は、第2工程で得
たV酸化物を含むスラグに対し、再び金属Siまたは/お
よび金属Alを還元剤として添加し、加熱還元して溶解す
ることにより、残るVをV−Si系合金またはV−Al系合
金として還元回収するのである。この場合の金属Siまた
は/および金属Alの添加量は、便宜上、次式を満足する
化学的当量に対し、100 %以上とする。 1/2 VO+3/4 Si → V+3/4 SiO 1/2 VO+ Al → V+1/2 AlO
【0018】上記式において、Vの酸化物の形態をVO
と仮定した理由は、VOが第2工程で金属Siまたは
/および金属AlによってVOの中間酸化物に還元され
てしまうからである。また、還元剤の添加量を100 %以
上とした理由は、第2工程で生成したスラグ中のVを効
果的に還元回収するのに必要だからである。なお、その
最適添加量は、V合金中に許容されるSiまたはAlの割合
に応じて決定することができる。
【0019】なお、この工程での生成スラグ組成につい
ては、上述したように、スラグの融点ならびに製品価値
の観点から、必要に応じてスラグのCaO/AlO比が
0.6〜1.5 となるように、前記CaO源を添加調整するこ
とが好ましい。
【0020】以上説明したように、第3工程では、第2
工程で回収しなかったVを、V−Si系合金またはV−Al
系合金として還元回収すると共に、CaO−AlO系の
スラグも同時に回収する工程である。この場合、第2工
程で生成したスラグを、溶湯状態を維持したままで使用
することが、より効率的かつ経済的な還元回収ができる
ので望ましい。
【0021】なお、本発明方法における処理対象は、主
としてMo−Ni系およびMo−Co系のMo系廃触媒であるが、
各工程で得られる合金が商材として価値を損なわない限
り、Mo, Ni, CoおよびVのうち少なくとも1種の成分を
含む原料であれば、該Mo系廃触媒以外にその他の金属含
有原料を上記第1工程, 第2工程または第3工程のいず
れか任意の工程において、前記Mo系廃触媒に加えて (添
加) 使用することができる。
【0022】また、本発明の実施において、該合金の主
成分がMoやNi, Co, Vであるために、第2工程ならびに
第3工程で得られる各合金の融点が経済的な溶融温度以
上になり、そのことが円滑な操業を阻害する場合があ
る。このような場合には、これらの合金にFeを添加して
溶解し、合金を鉄系合金として調整し、融点を下げるよ
うにすることがより好ましい実施形態である。即ち、本
発明の実施に当たっては、こうした成分調整用の鉄源、
即ち酸化鉄または/および金属鉄を含む原料を上記の第
1工程、第2工程または第3工程で併用して使用するこ
とができる。
【0023】かくして得られたMo−Ni系合金またはMo−
Co系合金あるいはMo−Ni−Co系合金は、いずれも鋼の耐
熱性、耐食性、耐低温衝撃性の改善に優れており、耐熱
鋼やステンレスの添加剤として有効に利用することがで
きる。また、V−Si系合金またはV−Al系合金について
は、鋼の硬度ならびに靱性の改善に優れ、特殊鋼管や特
殊厚板の添加剤として利用することができる。
【0024】一方、CaO−AlO系のスラグについて
は、アルミナセメントの原料として使用することができ
る。なお、このスラグはCaO/AlO比が 0.6〜1.5
に調整されていることから、その組成は12CaO−7 Al
Oが主成分となり、その融点も1350〜1550℃程度と低
いものになる。従って、このCaO−AlO系スラグ
は、溶鉄, 溶鋼あるいはフェロクロム溶湯等の脱硫剤な
いし脱硫補助剤として使用すれば容易に溶融するので、
脱硫効率が非常に高くなり、鉄鋼業における精錬補助剤
として有用である。
【0025】
【実施例】 (第1工程) バッチタイプの回転ドラム
キルン内に、Mo−Ni系の廃触媒10.0kgを装入し、通風し
ながら 600〜650 ℃の温度下で3時間焙焼した。この際
の温度コントロールは、プロパンバーナーにて燃焼制御
した。この時得られた廃触媒の酸化焙焼物は 5.69 kg
で、その化学成分組成を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】 (第2工程) 上記酸化焙焼物に還元剤
としてフェロシリコン (75wt%Si) および生石灰 (96wt
%CaO) を、表2の配合比率で添加、混合した後、高周
波溶解炉で1550〜1600℃で加熱溶解し、さらにるつぼ底
部に酸素ガスを適宜吹き込み、表3に示すMo−Ni系合金
とCaO−AlO系スラグを還元回収した。なお、表中
のスラグ中にMgOが含まれるのは、るつぼ材であるマグ
ネシア分が溶解したためと考えられる。
【0028】
【表2】
【表3】
【0029】 (第3工程) 上記第2工程でMo−Ni系
合金から分離回収したCaO−AlO系スラグに、還元
剤として金属アルミニウム (99.9wt%Al) および合金成
分調整用の金属鉄 (99.7%Fe) を、表4の配合比率で添
加し、混合した後、高周波溶解炉で1520〜1580℃で加熱
溶解して表5に示すV−Al系合金とCaO−AlO系ス
ラグを還元回収した。
【0030】
【表4】
【表5】
【0031】この実施例における有価金属の回収率をま
とめると、表6に示すようになった。
【表6】
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
最も今日的な問題となっている廃触媒中のMo, Ni, Co等
の有価金属をほぼ90wt%以上の回収率で回収すること
ができ、しかも、担体であるAlOもVとともに有効
に活用できる程度にまで処理して回収することができ、
本発明を採用することの社会的意義は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を説明するための模式図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月3日(2000.2.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月7日(2000.2.7)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油精製, ガス処
理工業等の分野において、水素化脱硫用に用いられてい
る触媒がその使用中に被毒し、本来の活性が低下した状
態になった、いわゆる廃触媒の処理方法に関し、とくに
Mo廃触媒から有価金属を回収する方法についての提案
である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】さらに、第2工程において、Mo−Ni系合金
またはMo−Co系合金あるいはMo−Ni−Co系合金とCaO−
AlO系スラグを分離する直前に、該合金溶湯中へ酸
素または炭酸ガスの少なくとも1種以上を含むガスを吹
き込むこと、あるいは、Mo−Ni系合金またはMo−Co系合
金あるいはMo−Ni−Co系合金とCaO−AlO系スラグ
を分離する直前に、該合金溶湯と酸化鉄とを接触せしめ
ることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】なお、この工程の処理によって生成するス
ラグは、造滓剤を用いない場合にはAlOが主体とな
って、その他に還元されなかったV酸化物および若干の
SiOが含まれる。このようなスラグは、融点が2000℃
程度となって連続的な操業が困難になる場合がある。そ
こで、本発明では、造滓剤としてCaO源を前記生成スラ
グのCaO/AlO比が 0.6〜1.5 となる量を添加して
から溶解することが好ましい。かかる造滓剤としてのCa
O源は、生石灰をはじめ石灰石や消石灰あるいはこれら
を含むものであれば何れでもよい。そして、CaO/Al
O比を 0.6〜1.5 に限定した理由は、前記生成スラグ
の融点をおよそ1350〜1550℃程度にし、操業を円滑に行
なえるようにするためと、後述するように、最終スラグ
を有効な副生物として利用できるような組成にするため
である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】なお、この工程での生成スラグ組成につい
、上述したように、スラグの融点ならびに製品価値
の観点から、必要に応じてスラグのCaO/AlO比が
0.6〜1.5 となるように、前記CaO源を添加調整するこ
とが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】一方、CaO−AlO系のスラグについて
は、アルミナセメントの原料として使用することができ
る。なお、このスラグはCaO/AlO比が 0.6〜1.5
に調整されていることから、その組成は12CaO−7 Al
Oが主成分となり、その融点も1350〜1550℃程度と低
いものになる。従って、このCaO−AlO系スラグ
は、溶, 溶鋼あるいはフェロクロム溶湯等の脱硫剤な
いし脱硫補助剤として使用すれば容易に溶融するので、
脱硫効率が非常に高くなり、鉄鋼業における精錬補助剤
として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 7/04 C22B 9/05 9/05 23/02 23/02 34/34 34/34 9/10 101 // C22B 9/10 101 B09B 3/00 303B 304L (72)発明者 川原 剛志 富山県高岡市吉久1−1−1 日本重化学 工業株式会社高岡事業所内 Fターム(参考) 4D004 AA47 AB03 AC05 BA05 CA30 CA36 CA37 CC11 DA03 DA20 4K001 AA02 AA07 AA17 AA19 AA23 AA28 BA22 CA15 DA05 EA03 EA04 HA02 HA03 JA01 JA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlOを担体とするMo系廃触媒から該
    触媒中に含まれる有価金属を分離回収する方法におい
    て、下記第1〜第3各工程:Mo系廃触媒を酸化焙焼し、
    Moの他に少なくともNi, CoおよびVを含む酸化焙焼物を
    得る第1工程;上記酸化焙焼物に対し、Mo、NiおよびCo
    の酸化物を金属にまで還元するのに必要な化学的当量の
    50〜120 %相当の金属Siまたは/および金属Alを添加
    し、加熱還元して溶解することにより、Mo−Ni系合金も
    しくはMo−Co系合金またはMo−Ni−Co系合金とCaO−Al
    O系スラグとを分離してそれぞれを回収する第2工
    程;前記CaO−AlO系スラグに対し、このスラグ中
    に含まれるVの酸化物を金属にまで還元するのに必要な
    化学的当量以上の金属Siまたは/および金属Alを添加
    し、加熱還元して溶解することにより、V−Si系合金ま
    たはV−Al系合金とCaO−AlO系スラグとを分離し
    てそれぞれを回収する第3工程;を経る処理を行うこと
    を特徴とするMo系廃触媒からの有価金属の回収方法。
  2. 【請求項2】 第2または/および第3工程の処理にお
    いて、CaO−AlO 系スラグに対するCaO源を、該ス
    ラグのCaO/AlO比が 0.6〜1.5 となるように添加
    することを特徴とする請求項1に記載の有価金属の回収
    方法。
  3. 【請求項3】 Mo系廃触媒に、さらに酸化鉄または/お
    よび金属鉄を含む原料を加えて上記第1〜第3の各工程
    の処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載
    の有価金属の回収方法。
  4. 【請求項4】 第2工程において、Mo−Ni系合金または
    Mo−Co系合金あるいはMo−Ni−Co系合金とCaO−AlO
    系スラグを分離する直前に、該合金溶湯中へ酸素また
    は炭酸ガスの少なくとも1種以上を含むガスを吹き込む
    ことを特徴とする請求項1、2または3項に記載の有価
    金属の回収方法。
  5. 【請求項5】 第2工程において、Mo−Ni系合金または
    Mo−Co系合金あるいはMo−Ni−Co系合金とCaO−AlO
    系スラグを分離する直前に、該合金溶湯と酸化鉄とを
    接触せしめることを特徴とする請求項1、2または3項
    に記載の有価金属の回収方法。
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