JP3502373B2 - 使用済触媒からの有価物の分別回収方法 - Google Patents

使用済触媒からの有価物の分別回収方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油精製、ガス処
理業等の分野において、水素化脱硫用に用いられている
触媒が、その使用中に被毒し、本来の活性が低下した状
態になった、いわゆる使用済触媒の処理方法に関し、と
くにバナジウム含有使用済触媒から3種の有価物を分別
回収する方法について提案するものである。
【0002】
【従来の技術】水素化脱硫用として用いられる触媒は、
アルミナ(Al2O3)を主体とする触媒担体に、Ni、Mo、C
o等の活物質を担持させたものが主流である。この触媒
は、バインダーとしてリン酸ボンド系を使用しているた
め、Pが高いという特徴がある。一方、使用中に石油等
に含まれるVなどの重金属やタール分等で被毒されて触
媒活性が低下するため、6〜12ヵ月毎に交換しなけれ
ばならず、いわゆるそれが使用済触媒となるものであ
る。
【0003】被毒したこのような使用済触媒は、多量の
油分、S分、P分およびタール分の他、MoやNi、 Coなら
びにV等の高価で有用な金属や、アルミナなどの酸化物
等(以下、これらの金属、化合物を「有価物」とい
う。)を多量に含んでいる。従って、前記使用済触媒の
中から、上記の有価物を回収することは、資源再利用の
面からも望ましいことであり、以前から種々の回収方法
が提案されている。
【0004】例えば、前記バナジウム(V)は、鋼の結
晶粒を微細化し、靭性を与えて高温硬度を向上させるな
ど、鋼に種々の特性を付与するために該鋼中に添加され
る元素である。このようなV含有鋼板は、自動車用鋼板
としての分野などにおいて多く用いられており、近年、
その需要が高まっている。このような鋼へのV添加量と
しては、ほとんどが0.3wt%程度以下であるが、工具用鋼
などに対しては、添加量が2.5wt%にも達するものもあ
る。モリブデン(Mo)は、鋼の焼き入れ性を向上させ、
強度やクリープ強度を高め、さらには、焼き入れ時効硬
化や、高温硬さを高める特性を有することから、工具
鋼、高速度鋼および耐熱鋼・ステンレス鋼に、多い場合
には、3〜6wt%も添加される。ニッケル(Ni)は、耐熱
鋼やオーステナイト系ステンレス鋼などに多量に添加さ
れ、とくにSUS316ステンレス鋼では、Ni:13wt%、Mo:
2.5wt%程が添加されている。また、コバルト(Co)も、と
くに耐熱鋼や軸受鋼中に高温強さや、硬さを増加させる
ために添加されている。
【0005】ところで、こうした有価物の回収、とくに
既知提案技術として、バナジウム含有廃棄物から有用金
属を回収する従来技術として特開2000-204420号公報に
記載されたような方法がある。この方法は、バナジウム
含有廃棄物を450〜950℃に加熱した後、鉄源および還元
材を添加混合し、ついで1150〜1350℃に加熱して、有価
金属を固相還元した後、電気炉に装入して、加熱し、メ
タルとVリッチなフラックスを生成させると共に、生成
したそのメタルについては、脱P処理を施し、低P合金を
回収する一方、Vリッチなフラックスについては、還元
剤を添加するとともに攪拌してFe-V合金を回収する技術
である。
【0006】その他の既知提案技術としては、Mo系廃触
媒から有価金属を回収する、特開2001-214223号公報に
提案された方法がある。この方法は、Mo系廃触媒を酸化
焙焼し、これに還元剤を添加してMo-Ni系合金等とCaO-A
l2O3系スラグとを回収し、さらにCaO-Al2O3系スラグに
対しては、還元剤を添加して加熱還元することにより、
V系合金とCaO-Al2O3系スラグとを分別回収する技術であ
る。
【0007】しかし、前者の既知特許の場合には、Fe、
NiおよびMoを主成分とするメタルに対しては、上記のと
おり脱P処理が行なわれているが、Fe-V合金については
含有する不純物リン(P)の除去について何ら処理が行な
われていない。また、鉄鋼において含有が嫌われる硫黄
(S)については、いずれの回収合金に対しても処理が行
なわれていない。また、後者の既知特許の場合には、回
収したMo-Ni系合金、V-Si系合金またはV-Al系合金とCaO
-Al2O3系スラグのいずれに対しても含有する不純物Sお
よび特にPを低下させるような処理が一切行なわれてい
ないという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上掲の各従来技術によ
り、確かに有価物の回収が可能になったが、回収したそ
の有価物中には、鉄鋼材料として含有が嫌われるPやS
が、多量に残存しており、効果的に脱Pおよび脱S処理が
施されているわけではない。とくに、前記の特開2000-2
04420号公報の提案については、回収したスラグを再利
用しようという技術ではない。
【0009】以上、説明したように、従来、種々の有価
物の回収技術が提案されてはいるものの、未だに満足す
べき回収技術が確立されていないのが実情である。
【0010】そこで、本発明の目的は、バナジウム含有
使用済触媒から、低Pおよび低S濃度の有用金属、および
鉄鋼精錬などへの利用が可能な高純度のCaO-Al2O3系ス
ラグ(SおよびPなどの不純物をほとんど含まない)など
の有価物を、回収する有利な方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上掲の目的の実現に向け
鋭意研究を続けた結果、発明者らは、下記要旨構成に係
る回収方法が、上記課題解決の方法として有効であると
の知見を得て、本発明を開発した。即ち、本発明は、N
i、Moおよび/またはCoとVを含有する使用済触媒から有
価物を分別回収する方法において、下記第1〜第3各工
程; 第1工程:Ni、Moおよび/またはCoとVとを含有する使
用済触媒を酸化焙焼し、該触媒中のS分およびC分を除去
した後、石灰および/または鉄源を添加混合し、次い
で、加熱炉に装入して加熱溶解後、還元剤を添加して粗
Ni、Moおよび/またはCo含有鉄合金と、スラグ中のFeO
が2wt%以下のVリッチなCaO-Al2O3系中間スラグとを生成
させ、 第2工程:前記鉄合金ならびにVリッチなCaO-Al2O3系中
間スラグを、それぞれ攪拌可能な容器または電気炉に装
入し、粗Ni、Moおよび/またはCo含有鉄合金について
は、脱Pおよび脱S処理を行なって、PおよびS分が0.1wt%
以下のNi、Moおよび/またはCo含有鉄合金を回収し、 第3工程:前記VリッチなCaO-Al2O3系中間スラグについ
ては、装入した容器または電気炉で、石灰および鉄源を
添加して溶解した後、還元剤を添加するとともに攪拌を
行なって、スラグ中のV酸化物を還元し、PおよびS分が
それぞれ、0.1wt%以下のFeV合金と、CaOを35〜60wt%含
むCaO-Al2O3系スラグ(カルシウムアルミネート)とを
生成させて、それぞれ分別回収する、の処理を経ること
を特徴とする、使用済触媒からの有価物の分別回収方法
である。
【0012】なお、本発明においては、第1工程におい
て、石灰および/または鉄源とともに、還元剤の一部と
して炭材を添加混合し、次いで、加熱炉に装入して加熱
溶解後、さらに還元剤としてAlを添加することが好まし
く、また、第1工程において、酸化焙焼後のバナジウム
含有使用済触媒に添加される石灰は、CaO-Al2O3系中間
スラグ中のCaO濃度が、25〜35wt%となるように配合する
ことが好ましい実施形態となる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の構成の詳細を、図
1の工程に従って詳しく説明する。 a. 第1工程(予備処理工程);本発明の使用済触媒
としては、Ni、Moおよび/またはCoとVを含有する使用
済触媒が用いられる。本発明においては、このNi、Moお
よび/またはCoとVを含有する使用済触媒の他に、発電
所の重油焚きボイラーからのEP媒、バナジウム原料(V2
O5、メタバナジン酸アンモニウムなど)およびニッケル
スラッジを混合して出発原料とすることができる。
【0014】使用済みの触媒は、一般に不純物として、
S、CおよびP分を多量に含んでいる。従って、不純物の
少ない有価物を回収するためには、まずこのSおよびC分
を、低下させることが必要である。そこで、出発原料
(使用済触媒)をまず、ロータリーキルンあるいは、回
転ドラムなどに装入して、予め酸化焙焼して除去する予
備処理を行う。この予備処理工程によって、出発原料中
のSは、0.1wt%以下、Cは、0.1wt%以下にまで低減され
る。
【0015】予備処理工程において、酸化焙焼の温度
は、使用済触媒中におけるS分が、主にMoと結合してお
り、この結合が520〜530℃の加熱により分解し始めるこ
と、また、SとMoの結合が分解した際に生成するMoO3
約800℃で昇華することから、500〜800℃程度とするこ
とが好ましい。しかし、MoO3は、800℃を超えても、昇
華し始めるまでに時間を要するため、より高温(800℃
以上)で酸化焙焼を行い、焙焼時間を短縮させてもよ
い。また、MoO3が昇華した場合には、集塵機にてこれを
回収・加工し、次工程の加熱炉に装入して還元すること
もできる。
【0016】次に、予備処理(酸化焙焼)した1種以上
の使用済触媒、および、EP媒やV成分調整用のバナジウ
ム原料(V2O5やメタバナジウム酸アンモニウムなど)、
あるいはニッケルスラッジと、石灰およびポンチ屑やウ
エスカなどの鉄源を混合し、これらを溶湯の攪拌ができ
る電気炉等の加熱炉に装入し、加熱し、溶解する。
【0017】その際、攪拌しながら、溶湯中に還元剤を
添加し、使用済触媒中に含まれるNi、Moおよび/または
Co分を還元して、粗Ni、Moおよび/またはCo含有鉄合金
とスラグ中のFeOが2wt%以下のVリッチなCaO−Al2O3系中
間スラグとを生成させ、それぞれを分別回収する。
【0018】なお、本発明では、不純物、特にP含有量の
低い回収物を得ることを目的の1つとしており、そのた
め、この段階にて原料中に含まれるPを、メタル側に移
行させ、P濃度の高いメタルと、P濃度の極めて低いスラ
グとを生成させる。そこで、還元剤の添加方法について
種々の実験研究を行った。その結果、Vを殆ど還元せず
にNi、Moおよび/またはCoの還元と同時に、スラグ中のF
eOを2wt%以下にまで還元すれば、スラグのP濃度を充分
低減できることを見出した。
【0019】還元剤としては、すべてAlを使用すること
もできるが、コークスや微粉炭などの炭材を併用して使
用することが好ましい。炭材を還元剤として使用し、前
記の酸化焙焼した使用済触媒、石灰および鉄源と混合し
て、加熱炉に装入すると、溶解時に酸化性雰囲気になる
ことを防止し、酸化モリブデンの揮散を防ぐことができ
るなどの利点があると共に、高価なAlの添加量を減らす
ことができるため、経済的なメリットもある。しかし、必
要な還元剤のすべてを炭材(コークス等)とすると、原
料溶解時にCOガス生成によるフォーミングやスロッピン
グが激しくなり、溶解が困難となるため、還元剤の一部
として炭材を使用し、残分をAlとすることが好ましい。
なお、このAlは、溶湯を攪拌しながら添加することが望
ましい。それは、攪拌なしで添加した場合には、還元反
応が極めて遅くなるためである。また、非酸化性ガスに
よる攪拌を行なうと、Alが酸化し、ロスが少なくなると
いう利点もある。
【0020】また、発明者らは、本発明に係る実験研究
を通じて、スラグ中のFeO濃度とP濃度に、相関関係があ
ることを見出し、上述したように、スラグのP濃度を低
減するためには、スラグ中のFeOを2wt%以下にする必
要があることに想到した。これは、FeOが2wt%以上で
は、Al等の還元剤によるスラグ中のP2O5の還元が不充分
となり、スラグ中のP濃度を低減させることができず、
スラグ中のPをメタル側へ十分に移行させることができ
ないためである。
【0021】また、石灰は、上記CaO-Al2O3系中間スラ
グのCaO濃度が、25〜35wt%になるように配合することが
望ましい。これは、CaO濃度が35wt%以上になると、Pが
スラグ中で安定となって、スラグから除去されず、メタ
ル側へ移行しなくなるためである。ただし、CaO濃度が2
5wt%以下では、スラグの融点が高くなり、溶解がし難く
なる。
【0022】b. 第2工程(鉄合金の処理) 次に、第1工程で生成したNi、Moおよび/またはCo含有
鉄合金および、VリッチなCaO-Al2O3系中間スラグを、取
鍋または電気炉に移す。その後、粗Ni、Moおよび/また
はCo含有鉄合金については、まず、CaO、CaC2およびMg
+CaOのようなフラックスを添加して脱S処理を行い、次
いで、酸化鉄、スケールおよび酸素ガスなどの酸化剤を
添加して脱P処理を施す。なお、この脱S処理と脱P処理
は、脱S処理を先に行なってもよいし、同時に行なって
もよい。この脱Sおよび脱P処理後、生成した溶湯を鋳型
に鋳造し、P分およびS分がそれぞれ0.1wt%以下のNi、Mo
および/またはCo含有鉄合金を製造する。この低Pおよび
低S含有鉄合金は、鉄鋼、とくに耐熱鋼への添加原料と
して有効に利用できる。
【0023】なお、上記脱S処理は、CaO-Al2O3系スラグ
などのフラックスを用いる。この処理によって粗Ni、Mo
および/またはCo含有鉄合金中に含まれるSを、CaSの形
態にてしてスラグ中に移行させ、除去する。この処理に
おいて用いるフラックスとしては、石灰や本発明の処理
で生成する、前記CaO-Al2O3スラグの一部、あるいは、
カーバイドなどを使用することができる。なお、本発明
で使用されるフラックスとして、CaO-Al2O3系スラグを
使用する場合には、スラグ塩基度を上げ、CaO濃度を高
くしてSと反応するCa分を多くする必要があるため、石
灰を50wt%以上含有するものを用いることが望ましい。
【0024】本処理の上記脱P処理においては、Pは酸化
剤によりP2O5の形でフラックス中に移行することにより
除去される。フラックスとしては、脱Sに用いたフラック
スを兼用することができ、石灰や本発明で得られる前記
CaO-Al2O3スラグの一部などを利用することができる。ま
た、酸化剤としては、酸化鉄、スケールおよび酸素など
を使用することができる。なお、本発明で使用されるフ
ラックスとしては、P2O5がCaO・P2O5化合物として除去
されやすくするため、CaOリッチであることが望まし
い。
【0025】ここで、この上記鉄合金および以下で述べ
るFeV合金中のPおよびS濃度を、0.1wt%以下に規定した
のは、例えば、FeVのJIS規格においては、Vが50wt%およ
び80wt%の2種類のものに対し、いずれもPおよびS濃度を
0.1wt%以下と規定しているためであり、鉄鋼添加剤とし
ての価値を高めることを目的としたのである。
【0026】C. 第3工程(スラグの処理) 上述した第1工程の処理により回収したVリッチなCaO-Al
2O3系中間スラグを、取鍋または電気炉に移し、生石灰
および鉄源を添加して溶解後、攪拌しながら還元剤とし
てAlを添加した上で、Vリッチな中間スラグ中のV酸化物
を還元することにより、PおよびS濃度がそれぞれ0.1wt%
以下のFeV合金と、CaO濃度が35〜60wt%のCaO-Al2O3系ス
ラグとに分別して回収する。なお、前記中間スラグ中に
存在するV酸化物は、X線回折結果から、V2O3あるいはV2O
4の形で存在していることがわかった。
【0027】この工程の処理において、還元剤Alは、次
式の化学当量以上を添加する。この処理は、Alの添加量
が、化学当量以下では、スラグ中のVが完全に還元され
ず、一部がスラグ中に残留してしまうためである。 V2O3+2Al → 2V+Al2O3 3V2O4+8Al→ 6V+4Al2O3
【0028】上述した第1工程の処理により回収したCa
O-Al2O3系中間スラグは、石灰が25〜35wt%含むように配
合調整されているが、この中間スラグを、溶けやすく融
点の低い鉄鋼・精錬用フラックスとして使用するために
は、該中間スラグ中の石灰濃度を35〜60wt%となるよう
に、さらに石灰を添加する必要がある。そのためには、
多量の石灰を溶解するために熱を必要とし、また、Alに
よる還元を効率よく行うために、還元炉として電気炉を
用い、非酸化性雰囲気下で攪拌することが望ましい。
【0029】なお、生成したスラグは、12CaO・7Al2O3
主成分とし、CaO濃度が48.5wt%付近のときに、融点が最
も低くなる。このCaO濃度を35〜60wt%に規定したのは、
融点が低く、スラグの製造が容易であり、また、鉄鋼精
錬で脱硫剤などに使用するときに扱い易いからである。
【0030】なお、還元剤として、前記既知技術(特開
2001-214223)では、Alの他にSiを用いていた。しかし
ながら、本発明において、Siを還元剤として用ると、生
成スラグ中に還元生成物のSiO2が多量に含まれることに
なり、脱硫剤として使用するには、塩基度(CaO/SiO2
が高いことが必要であることから好ましくない。そのた
め、本発明では、還元剤としてAlのみを使用する。
【0031】かくして得られた3種の回収有価物 Pお
よびS濃度がそれぞれ0.1wt%以下のNi、Moおよび/また
はCo含有鉄合金、PおよびS濃度がそれぞれ0.1wt%以下
のFeV合金、およびCaO濃度が35〜60wt%のCaO-Al2O3
スラグは、いずれも鉄鋼、耐熱鋼およびステンレス鋼な
どへの添加材、および鉄鋼精錬での脱硫剤等のフラック
スとして有効に利用することができる。
【0032】
【実施例1】石油精製工場から発生するNi-Mo系使用済触
媒を、ロータリーキルンで850℃に加熱して酸化焙焼し
た。焼成後の使用済触媒の組成を表1に示す。なお、スラ
グ中V酸化物は、上述のようにV2O3あるいはV2O4である
が、以下実施例ではVの酸化物は全てV2O5として表した。
また原料およびスラグ中のFe分は、FeOとして表した。
【0033】
【表1】
【0034】酸化焙焼した使用済触媒100重量部に対
し、炭材であるコークスを3重量部、生石灰を41重量部
および鉄源としてポンチ屑を5重量部混合し、これをア
ーク溶解炉にてNiおよびMoを還元しながら加熱溶解し
た。この溶湯に、1650℃でArガスを吹き込み、強攪拌し
ながら還元剤として、キャラメル状のAlを3.5重量部投
入した。Alの添加量は、サンプリングしたスラグおよび
メタルの蛍光X線回折分析値により、とくにスラグのFeO
およびP濃度、およびメタルのAl濃度を見ながら決定し
た。中間スラグ中のFeO濃度が、本発明の要件(2wt%以
下)を満足するように調整し、0.56wt%の低い濃度に調
整することができた。表2に粗NiおよびMo含有鉄合金
を、表3に中間スラグの組成を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】次に、中間スラグを別の攪拌ができる電気
炉に移した後、1650℃に加熱しながら、粗NiおよびMo含
有メタル100重量部に対し、生石灰を10重量部と次工程
で生成するCaO-Al2O3系スラグのフラックスを6重量部添
加し、脱S処理を行った。この後、スケール(酸化鉄)を6
重量部添加し、脱P処理を行った。
【0038】P濃度の低下した中間スラグは、Arガス雰
囲気下にて強攪拌しながら、重量比でスラグ100重量部
に対し、生石灰を30重量部および鉄源のポンチ屑を6重量
部溶解し、1650℃に加熱して、キャラメル状の還元剤Al
を8重量部投入し、Vを還元してFeV合金とCaO-Al2O3系ス
ラグとを分別回収した。これらの3種の有価回収物の組成
を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】還元剤としては、市販の純Alを使用した
が、アルミ溶解時に発生するアルミドロスなどもP、Sお
よびC含有量が低いものは、還元剤として使用することが
できる。なお、スラグ中にMgOが含まれているが、これは
主に電気炉の耐火物によるものであり、この程度であれ
ば、鉄鋼精錬時のフラックスとして問題はない。また、F
eV中に、NiやMoが若干含まれているが、これは主にスラ
グ中のNiおよびMo含有鉄合金のパールメタルに起因する
と考察されるが、これらの元素は、鉄鋼に悪影響を及ぼ
さないので問題はない。
【0041】
【実施例2】実施例1で処理した酸化焙焼物を用いて、実
施例1と同様に、酸化焙焼した使用済触媒100重量部に対
して、生石灰を41重量部、鉄源としてポンチ屑9重量部
および炭材コークス3重量部と共に電気炉で加熱・溶解し
た後、1650℃で、Arを吹き込みながら強攪拌し、還元剤と
してキャラメル状のAlを3重量部添加してFeOを5.32wt%
程度含むスラグを得た。なお、得られた粗Ni、Mo含有鉄
合金および中間スラグの組成を表5に示した。
【0042】
【表5】
【0043】次に、中間スラグを、攪拌ができる別の電
気炉に移した後、1650℃に加熱しながら、このNiおよび
Mo含有粗メタル100重量部に対し、生石灰を10重量部と
次工程で生成するCaO-Al2O3系スラグのフラックスを6重
量部添加し、脱S処理を行った。次いで、スケール(酸化
鉄)を6重量部添加して脱P処理を行った。
【0044】中間スラグは、Arガスを吹き込みながら強
攪拌し、スラグ100重量部に対し、生石灰30重量部、お
よび鉄源のポンチ屑4重量部を溶解し、1650℃に加熱して
から、還元剤としてキャラメル状のAlを8.5重量部投入
し、Vを還元してFeV合金とCaO-Al2O3系スラグを得た。こ
れらの3種の回収有価物の組成を表6に示す。
【0045】
【表6】
【0046】実施例1の表3に示したように、本発明によ
れば、得られた3種の回収有価物のPおよびSなどの不純物
を0.1wt%以下にまで低下させることができた。しかも、
一連の工程により、使用済みの触媒中の有価物を同時に
回収することができた。なお、予備処理工程における酸
化焙焼条件(900℃、3時間)によっては、焙焼済み触媒
中のSが、0.004wt%になることも確認され、このよう
な場合には、第2工程の脱S処理を省略することができ
る。
【0047】実施例2では、中間スラグのFeO濃度が、本
発明の要件の2wt%以下ではないため、中間スラグ中のP
分を充分に粗NiおよびMo含有鉄合金に移行させることが
できなかった。そのため、次工程でFeVのPを、0.1wt%以
下にまで低下させることができなかったのである。 ただし、本発明の粗合金の脱Pおよび脱S処理によってNi
およびMo含有鉄合金のPおよびS濃度は、0.1wt%以下を達
成することができた。
【0048】なお、本実施例では、NiおよびMo含有使用
済触媒からの有価物回収について示したが、Coの冶金学
的な還元挙動は、Niと極めて類似しており、Co含有使用
済触媒中のCoは、以上と同様な処理により回収できるこ
とが確認されている。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
使用済み触媒中のNi、Moおよび/またはCoなどの有用金
属および触媒担体のA12O3を分別回収でき、しかも各回収
物中の不純物PおよびS分が、極めて少なく、鉄鋼用材料
として使用されるのに問題ない品位とすることができ、
本発明を採用することの社会的意義は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の使用済触媒からの有価物回収工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22B 7/04 C22B 9/10 101 9/10 101 23/02 23/02 34/22 34/22 34/34 34/34 B09B 3/00 303B 304L (56)参考文献 特開2000−204420(JP,A) 特開2001−214223(JP,A) 特開2001−316732(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22B 1/00 - 61/00 B09B 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni、Moおよび/またはCoとVを含有する
    使用済触媒から有価物を分別回収する方法において、下
    記第1〜第3各工程; 第1工程:Ni、Moおよび/またはCoとVとを含有する使
    用済触媒を酸化焙焼し、該触媒中のS分およびC分を除去
    した後、石灰および/または鉄源を添加混合し、次い
    で、加熱炉に装入して加熱溶解後、還元剤を添加して粗
    Ni、Moおよび/またはCo含有鉄合金と、スラグ中のFeO
    が2wt%以下のVリッチなCaO-Al2O3系中間スラグとを生成
    させ、 第2工程:前記鉄合金ならびにVリッチなCaO-Al2O3系中
    間スラグを、それぞれ攪拌可能な容器または電気炉に装
    入し、粗Ni、Moおよび/またはCo含有鉄合金について
    は、脱Pおよび脱S処理を行なって、PおよびS分が0.1wt%
    以下のNi、Moおよび/またはCo含有鉄合金を回収し、 第3工程:前記VリッチなCaO-Al2O3系中間スラグについ
    ては、装入した容器または電気炉で、石灰および鉄源を
    添加して溶解した後、還元剤を添加するとともに攪拌を
    行なって、スラグ中のV酸化物を還元し、PおよびS分が
    それぞれ、0.1wt%以下のFeV合金と、CaOを35〜60wt%含
    むCaO-Al2O3系スラグ(カルシウムアルミネート)とを
    生成させて、それぞれ分別回収する、の処理を経ること
    を特徴とする、使用済触媒からの有価物の分別回収方
    法。
  2. 【請求項2】 第1工程において、石灰および/または
    鉄源とともに、還元剤の一部として炭材を添加混合し、
    次いで、加熱炉に装入して加熱溶解後、さらに還元剤と
    してAlを添加することを特徴とする請求項1に記載の有
    価物の分別回収方法。
  3. 【請求項3】 第1工程において、酸化焙焼後のバナジ
    ウム含有使用済触媒に添加される石灰は、CaO-Al2O3
    中間スラグ中のCaO濃度が、25〜35wt%となるように配合
    することを特徴とする請求項1または2に記載の有価物
    の分別回収方法。
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