JP2001213807A - 動物の体細胞の粒子媒介形質転換 - Google Patents

動物の体細胞の粒子媒介形質転換

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JP2001213807A JP2000387953A JP2000387953A JP2001213807A JP 2001213807 A JP2001213807 A JP 2001213807A JP 2000387953 A JP2000387953 A JP 2000387953A JP 2000387953 A JP2000387953 A JP 2000387953A JP 2001213807 A JP2001213807 A JP 2001213807A
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ジェイ ブリル ウィンストン
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サン ヤン ニン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生きた動物の皮膚中の体細胞を遺伝的に形質
転換すること。 【解決手段】 生きた動物の皮膚中の体細胞を遺伝的に
形質転換するための薬剤。この薬剤は不活性な高密度の
担体粒子を含み、この担体粒子は、外来遺伝子構造物の
コピーを被覆されており、その細胞の寸法に対して小さ
な寸法であり、そしてこの外来遺伝子構造物は、蛋白を
コードするDNA配列及びその細胞内でその蛋白を発現
するのに有効な近接調節配列を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】(技術分野)本発明は、一般
的に言えば遺伝的形質転換技術に関し、より詳細には動
物の非生殖細胞系列の細胞の遺伝的形質転換計画に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】(発明の背景)動物のゲノムDNAに外
来または異種遺伝子を導入することを可能とする、動物
の遺伝子工学に係わる様々な技術が開発されている。従
来技術においては、典型的にはこのような動物の遺伝的
形質転換はマイクロインジェクションにより、あるいは
レトロウイルスを基本とする形質転換ベクタの使用によ
り行われ、その効果は発生における比較的初期の段階の
動物胚を遺伝的に形質転換することにある。この異種D
NAは該動物胚のゲノムに導入され、次いで該胚から生
ずる各娘細胞のゲノムに導入されることになる。このよ
うな遺伝的形質転換により、該挿入DNAは、全ての細
胞中におよび生殖細胞系列の即ち該生物の生殖細胞を包
含する、得られる全ての生物中に挿入される。このこと
は、この形質転換された動物の正常なメンデル様式によ
る子孫へのこの遺伝形質の移行を保証する。
【0003】動物細胞をその場で形質転換して、該動物
の生殖細胞系の遺伝子的構造に影響を与えずに、遺伝子
構造を持つ遺伝子生成物を与え得ることが望ましい場合
が往々にしてみられる。特に、ヒトヘの応用の際に、こ
のような体細胞形質転換の利用は、人類の生殖細胞系へ
のヒトの介入から起こる倫理上のかつ理性上の問題の大
部分を回避する。これらの遺伝子操作された体細胞は、
正常な生物学的機能発現に必要な酵素の不活化または欠
如からなる受け継がれた遺伝的疾患を遺伝子的に修正す
る能力を与える。このような体細胞、即ち非生殖細胞系
細胞の遺伝的形質転換はいくつかの治療上の応用におい
て望ましいものであり得る。例えば、患者に対して治療
上の有用性をもたらすいくつかの蛋白は厳密なタイムス
ケジュールにもとづいて定期的に注射しなければならな
い。しかしながら、この大量の蛋白の周期的注射をたと
え頻繁に行っても、注射の直後には該蛋白の供給過多と
なり、かつ次回の注射の直前には過少供給となり、これ
は該注射に伴う有害なショックおよび次回の注射の直前
の治療効率にとっては不十分な供給を結果する。もうひ
とつの方法は、該動物およびヒトの体細胞中に所定の蛋
白に対する遺伝子を組み込み、かくして得られる形質転
換細胞が生きながらにして一貫した濃度で該治療用の蛋
白を生成するようにすることである。所定のかつ確認し
得る平均余命を有する体細胞、例えば皮膚細胞などに該
形質転換細胞を導入することにより、治療すべき動物お
よびヒトヘの蛋白の投与においては時間的に限りのある
この種のインビボ治療生産系を生成することが可能であ
る。獣医学的応用において、動物の改良、治療または疾
病予防の目的で、該動物の体細胞部分に一時的ではなく
該動物と共にその平均余命にわたり留まるホルモンまた
は他の成長因子または蛋白を導入することが望ましい場
合がある。
【0004】培養による動物生体または動物細胞の形質
転換を意図する大多数の努力はマイクロインジェクショ
ン法またはレトロウイルス形質転換ベクターの使用に向
けられているが、本発明による形質転換法で使用する装
置は、全く異なる異種DNAを形質転換すべき体細胞の
ゲノムに形質転換する方法論にもとづいている。従来技
術の装置においては、本発明の装置の現在の使用を特に
適したものとする特徴の幾つかを含む一つの示唆があ
る。クライン(Klein)等(Nature,198
7,327,pp.70−73)が述べているように、
DNAを担持する極めて小さな金属粒子の加速装置が、
培養中の植物細胞の形質転換に有効であることが立証さ
れた。この形質転換DNAは物理的に加速された極めて
小さな粒子上に被覆されて、実際に弾道状発射体として
形質転換すべき組織内に打ち込まれる。この装置が、培
養中の植物細胞の形質転換において有用であることが立
証されてはいるが、該粒子の衝撃力の調節可能性に欠
け、このことは、形質転換すべき組織に該粒子を挿入す
るための広範囲のエネルギーに渡る該装置の生物の形質
転換への使用を困難にするという欠点を構成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生き
た動物の皮膚中の体細胞を遺伝的に形質転換する方法お
よび薬剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、動物の
体細胞を遺伝的に形質転換する方法であって、該動物の
細胞内で遺伝子生成物を表現し得るように構築された外
来遺伝子構造のコピーを、該動物の細胞の寸法に比して
極めて小さな寸法の高密度物質の担体粒子に被覆する工
程と、平坦なキャリヤシート上に該被覆担体粒子を層状
に展開する工程と、該キャリヤシートを火花放電室に設
置する工程と、隔置された一対の電極の端部間に、該電
極間のギャップを橋絡するように水滴を配置する工程
と、該動物細胞を該キャリヤシートの移動する方向に設
置する工程と、電弧が該電極間のギャップを橋絡するよ
うに、高電位電源の放電を開始し、該水滴を蒸発させ、
かつ該キャリヤシートを該動物細胞の方向に加速して、
該キャリヤシートが該動物細胞を打撃するのを回避する
が、該担体粒子を該動物細胞内に侵入せしめ、該担体粒
子が該動物細胞を打撃する力は、該電極に印加される該
高電位電源の電圧を調節することにより、該外来遺伝子
構造が該動物細胞中に導入され、一方で該細胞の損傷が
最小限度となるように、調節可能であることを特徴とす
る遺伝的形質転換法が提供される。
【0007】1つの実施態様では、該外来遺伝子構造
は、蛋白をコードするDNA配列および該動物細胞内で
該蛋白を表現するのに有効な近接調節配列を含む。
【0008】別の実施態様では、該外来遺伝子構造は、
該動物細胞内で負のRNAストランドを表現し、在来の
遺伝子の表現を阻止し、あるいは疾病の進行を阻止する
のに有効なDNA配列である。
【0009】別の実施態様では、該動物細胞は、該動物
の体外で培養されたものである。
【0010】別の実施態様では、該動物細胞は生きた動
物中でインビボ状態にあり、かつ該生きた動物全体は該
キャリヤシートの移動方向に配置されている。
【0011】好ましい実施態様では、形質転換される該
動物細胞は該動物の皮膚にある。
【0012】別の実施態様では、保持スクリーンは該火
花放電室と該動物細胞との間に配置されていて、該キャ
リヤシートは該動物細胞に向けて加速された後に該シー
トを保持する。
【0013】別の実施態様では、更に、該放電を開始す
る工程に先立って、該火花放電室と該動物細胞との間の
領域にヘリウムガスを導入する工程を含む。
【0014】別の実施態様では、該担体粒子は1〜3μ
の金粒子である。
【0015】本発明によれば、上記の方法により形質転
換されたヒト以外の動物の体細胞が提供される。
【0016】本発明によれば、上記の方法により、幾分
かの体細胞が形質転換されたヒト以外の動物が提供され
る。
【0017】本発明によれば、外来生物物質を生きた動
物の体細胞内に導入する方法であって、該外来生物物質
のコピーを、該動物の細胞の寸法に比して極めて小さな
寸法の高密度物質の担体粒子に被覆する工程と、水滴を
介して印加される電位の放電により蒸発される該水滴の
膨張力により該粒子を加速することのできる装置に該被
覆粒子を設置する工程と、該装置を介して該放電を開始
して、該被覆担体粒子を該動物の細胞に向けてまたは該
細胞内に加速する工程を含むことを特徴とする方法が提
供される。
【0018】1つの実施態様では、該生物物質は遺伝構
造である。
【0019】好ましい実施態様では、該遺伝構造はDN
Aである。
【0020】別の好ましい実施態様では、該遺伝構造は
RNAである。
【0021】本発明によれば、細胞の寸法に比して小さ
な金の粒子を含有する該細胞と、該細胞内で遺伝子生成
物を表現するのに有効なキメラ遺伝子表現構造とを含む
ヒト以外の動物が提供される。
【0022】本発明によれば、動物の内部器官の体細胞
を遺伝的に形質転換する方法であって、外来遺伝子構造
のコピーを、形質転換すべき細胞に比して小さな寸法の
担体粒子上に被覆する工程と、但し該外来遺伝子構造は
該動物の細胞内で遺伝子生成物を表現し得るように構成
されており、該動物の内部器官を外科的に露出する工程
と、該被覆担体粒子を該動物の露出された器官内に物理
的に加速する工程と、該器官を所定の位置において、該
動物を外科的に閉じる工程と、を含む方法が提供され
る。
【0023】1つの実施態様では、該担体粒子を加速す
る力は火花ギャップを横切る高電位電源の放電により供
給される。
【0024】別の実施態様では、該内部器官は肝臓であ
る。
【0025】別の実施態様では、該内部器官は筋肉であ
る。
【0026】本発明によれば、培養中の類器官の形質転
換法であって、異種遺伝子構造のコピーを、該形質転換
すべき細胞よりも小さな寸法の担体粒子上に被覆する工
程と、但し該異種遺伝子構造は該類器官の細胞中で遺伝
子生成物を表現し得るように構成されており、該被覆粒
子を、ターゲットサイトに物理的に加速し得る装置上に
該被覆粒子を配置する工程と、該類器官を該装置のター
ゲットサイトに配置する工程と、該担体粒子を、該装置
を使用して該類器官内に加速する工程と、を含む方法が
提供される。
【0027】1つの実施態様では、該類器官は哺乳動物
の類器官である。
【0028】好ましい実施態様では、該類器官はヒトの
類器官である。
【0029】別の実施態様では、該類器官由来の初代培
養物または該類器官に再構成されたものをターゲット細
胞として使用する。
【0030】本発明によれば、動物の体内に異種遺伝物
質を導入する方法であって、該動物から組織サンプルを
取り出し、該組織サンプルを類器官にまで培養し、請求
の範囲第21項記載の方法に従って該類器官を遺伝的に
形質転換し、次いで該形質転換された類器官を該動物の
体内に戻すことを特徴とする方法が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】(発明の概要)本発明は、インビ
ボで動物の体細胞を形質転換する方法を提供することを
目的とし、該方法では、該動物の体細胞中で表現しよう
とする蛋白をコードする外来DNAを、該動物細胞中に
その生物学的機能を破壊せずに導入するのに十分小さな
寸法を有する小さな微粒子上に被覆し、動物をターゲッ
ト位置に置き、該粒子を調節可能な放電により加速し
て、該粒子を該ターゲットに向けて加速し、かつ該ター
ゲット動物の細胞に該粒子を打ち込み、かくしてこのよ
うに処理した該細胞の一部を遺伝的に形質転換し、イン
ビボで該動物中の多数の細胞を形質転換して、該外来遺
伝子でコードされた蛋白を生成する。
【0032】本発明のもうひとつの目的は、動物を外来
遺伝子で処理して、表現外来遺伝子構造と該遺伝子構造
を該動物細胞中に持ち込むための極めて小さな金属物質
の粒子とを該動物の体細胞中に含ましめた該動物を提供
することにある。
【0033】更に別の本発明の目的は、動物体の表皮細
胞を形質転換して、該表皮細胞が通常の生物学的様式で
脱落するまでの限られた時間に渡り該動物中で蛋白を生
成する方法を提供することにある。
【0034】本発明の他の目的、利点および特徴は、添
付図面を参照して記載される以下の明細書の記述から明
らかとなろう。
【0035】(好ましい態様の説明)本発明は動物また
は人類の体細胞の形質転換を目的とする。ここで使用す
る「体細胞」なる用語は、形質転換された場合に、該生
物の全ての生殖細胞が遺伝的特性または構成に変化を受
けず、従って該動物またはヒトの正常な生物学的生殖の
様式に従って生殖を行った場合に、該導入された外来遺
伝子物質が該生物の生物学的子孫には移行されないよう
な、動物または人類のこの種の細胞を意味する。
【0036】形質転換された動物の体細胞は該ターゲッ
ト動物の任意の型の適当な組織であり得る。好ましいタ
ーゲット組織は皮膚、筋肉組織および内部器官の組織を
包含し、その全てがインビボで形質転換し得る。該動物
中で通常露出していない組織の体細胞、即ち内部器官は
簡単な形質転換手続きのために一時的に外科手術により
露出させることが可能である。体細胞形質転換に適した
ターゲット器官は肝臓、脾臓、膵臓、心臓、腎臓、脳、
骨髄、乳腺、生殖器官、胸腺および胃腸管などをも包含
する。他の組の適当な動物体細胞は以下のものを包含す
る。
【0037】(1)ヒトまたは動物から新たに単離した
細胞、(2)(1)に記載の細胞であって、後に短時間
にわたり(数分から4週間)培地中で培養または処理し
たもの(これらは、特に初代培養物と呼ばれる)、およ
び(3)長期間(一箇月乃至数年)培養により育成した
細胞。
【0038】このような細胞は形質転換後該動物中に再
導入できる。このようなインビボでの動物細胞培養の有
利な形式は類器官培養と言われる。類器官とは、インビ
トロ培養で生成でき、かつ生きた動物中に再度外科的に
導入できる、細胞クラスタの器官状の構造または組織で
ある。このような類器官培養は哺乳類において有効に利
用され、ヒトでは遺伝療法および他の治療上の用途にお
いて、形質転換された体細胞を患者に戻すのに有効であ
る。
【0039】本発明は外来遺伝子構造、しばしばキメラ
遺伝子構造を動物の体細胞に導入することを目的とす
る。このような外来遺伝子構造は種が同一もしくは異な
っている、他の生物のDNAからなり、これは人為的処
置を介して形質転換すべき生物中に、該形質転換すべき
生物の細胞中に人工的に導入するなどにより導入され
る。この外来遺伝子構造は、通常転写生成物または対象
とする蛋白のコード配列を、近接調節配列と共に含む。
後者は生物の該形質転換細胞の該コード配列によりコー
ドされた該蛋白または転写生成物の表現を生ずるのに有
効である。近接調節配列は、例えば転写を開始するのに
十分なプロモータ配列および転写または翻訳の終止のい
ずれであれ、該遺伝子によりコードされた該遺伝子生成
物を終止するのに十分なターミネータ配列である。翻訳
欠損の適当な転写エンハンサを該外来遺伝子構造に誘発
して、全体としての転写過程の効率を更に助長すること
ができ、かつ該蛋白の表現は形質転換された細胞を与え
る。蛋白以外の遺伝子生成物も該挿入された遺伝子構成
により表現することもできる。例えば、この挿入された
構造は、元の遺伝子の表現を抑え、もしくは病理的疾患
を阻害するのに有効な負のRNAストランドを表現でき
る。この挿入された構造は、該遺伝生成物の一過性の表
現のみが所望である場合には、それ自体DNAに代わる
ものとしてのRNAである。
【0040】本発明では、特別に小さな粒子に被覆した
DNAを物理的に加速して、動物体細胞中に挿入するた
めの調節可能な放電を利用する装置を使用する。本発明
で使用するのに適した装置は第1図に示されている。こ
の装置は火花放電室12からなり、該火花放電室には2
つの電極14が挿入されており、該電極は約1−2mm
の間隔で隔置されている。この火花放電室は上方端部に
おける2つの開口16と18とを有する水平に伸びた矩
形のものである。開口18はアクセス板20により閉じ
られている。電極14の反対側に位置する他の開口はキ
ャリヤシート22により閉じられるようになっている。
電極14は適当な放電電位の調節可能な電源に接続され
ている。このような放電電位の電源は、好ましくは1〜
2μFのキャパシタに接続された適当な電気スイッチを
含んでおり、該キャパシタに導入される電荷の電位の量
は、例えば単巻変圧器の使用により、例えば1〜50,
000Vの範囲内で調節可能である。適当なスイッチ
は、該キャパシタが使用者により安全かつ有利に電極1
4を介して放電し得るように与えられる。
【0041】該キャリヤシート22は火花放電室12の
開口18上配置されるようになっており、好ましくはア
ルミ鍍金したサラン被覆マイラーのシートである。該火
花放電室の開口の上方には、保持スクリーン24がその
上方約5〜10mmの位置に配置されている。該保持ス
クリーンの上方約5〜25mmにはターゲット表面26
が配置されている。その使用に際して、動物の体細胞内
に形質転換しようとする外来異質遺伝子構造を、当業者
には周知の適当なDNA調製法により調製し、金などの
耐性材料の小さな粒子上で乾燥する。この粒子は典型的
には1〜3μの寸法を有している。上部に乾燥されたD
NAを有するこの担体粒子は次いで該キャリヤシート2
2上に置かれ、該シートは該火花放電室12の頂部に挿
入される。ターゲット組織、例えば生きたまたは麻酔さ
れた動物を次に該ターゲット表面26に近接して配置す
る。次いで、水の小滴(寸法約2〜4μl)を該電極1
4の両端を橋絡するように配置する。アクセス板カバー
20を、次いで該火花放電室12の頂部上に置く。この
時点で、該キャリヤシート22と該ターゲットとの間の
雰囲気は、該装置および該ターゲットを包囲し、かつ該
雰囲気ガスの大部分を置き換えるのに十分な量のヘリウ
ムを該囲い内に導入することにより、その大部分をヘリ
ウムで置換する。
【0042】この時点で、該電極間での火花放電を、適
当な電気スイッチの使用により開始し得る。この電気放
電の力は該電極間の該火花放電を橋絡し、これらの間に
置かれた水の小滴は瞬間的に蒸発する。この水の蒸発力
は該火花放電室12内に衝撃波を生じ、外側のあらゆる
方向に放射される。この衝撃波の該キャリヤシート22
に与える衝撃は、該キャリヤシート22を大きな速度で
上方に推進する。この上方に移動するキャリヤシート2
2は保持スクリーン24と接触するまで上方に加速され
る。ヘリウムの存在は該キャリヤシートから逃散する薬
剤を少なくし、同様にターゲットまで伝播する衝撃波の
力を小さくする。保持スクリーン24の位置において、
キャリヤシート22は保持され、かつ予めDNAで被覆
された粒子は該キャリヤシートから飛び出して該ターゲ
ット表面を自由に移動する。かくして、該粒子は該ター
ゲット表面を突き抜けて該ターゲット細胞内に侵入す
る。該粒子が該ターゲット生物または組織の表面に衝撃
を与えた際の、該粒子の運動量は電極14に印加された
初期放電電位にもとづいて調節することができる。かく
して、該電極14を通しての電気エネルギーの放出量の
変動により、該粒子が該ターゲットに衝撃を与える速度
は調節でき、即ちターゲットの組織内への該粒子の侵入
深度は、該電極14全体にわたる放電の調節範囲に渡り
連続的に調節できる。
【0043】第1図の装置は、培養中の細胞塊および全
成長生物を含む様々な形態の分化または未分化の組織の
形質転換に有用であることが既に立証されている。ここ
で議論する研究を通して、該装置は同様に培養中の動物
細胞の形質転換または動物の体組織の形質転換のいずれ
に対しても適していることがわかった。細胞を形質転換
しようとする場合、逆転させることができ、かつ第1図
の装置における該ターゲット表面26として利用し得る
ペトリ皿または他の手段に、該細胞を配置することがで
きる。また、動物の種および型に応じて該動物を麻酔
し、次いでターゲット表面として機能することになる平
坦な表面に設けた穴に該麻酔した動物を配置することに
より、該動物の一部分のみを形質転換することも可能で
ある。ターゲット表面26中の穴を介して露出した該動
物の部分がこの形質転換法により形質転換されるターゲ
ット組織となる。
【0044】
【実施例】a)使用するベクター 以下の例では動物内に酵素、クロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ、を表現するように構築された
一対のキメラ表現ベクターを使用し、該酵素は該抗生物
質クロラムフェニコール耐性を付与する。これらいずれ
のキメラ遺伝子表現プラスミドも動物の形質転換におい
て有効であることが既に記載され、かつ立証されてい
る。プラスミドpSV2catはゴーマン(Gorma
n)等の論文(Mol.Cell Boil.,198
2,2,pp.1044−1051)に記載されてお
り、表現ベクターpRSVcatはウォーカー(Wal
ker)等の論文(Nature,1983,306,
pp.557−561)に記載されている。このプラス
ミドpSV2catはシミアンウイルス40(SV 4
0)初期プロモータ、プラスミドpBR322−Tn9
からの該クロラムフェニコールアセチルトランスフェラ
ーゼコード領域、SV40t−抗原イントロンおよびp
BR322ベクターの担持するSV 40初期ポリアデ
ニル化領域を含むキメラcat遺伝子構造にある。この
プラスミドは完全なSV 40ウイルスゲノムを含んで
おらず、かつ感染性ではない。該プラスミドpRSVc
atはpBR322の基本プラスミドでもあり、該プラ
スミドはキメララウス肉腫ウイルス(RSV)の長い末
端繰り返しおよびプロモータフラグメント、Tn9から
のcatコード領域、マウスβ−グロブリン遺伝子およ
びSV40初期転写単位のポリアデニル化領域を含む。
このプラスミドもウイルスゲノムを含んでおらず、かつ
感染性ではない。同様に使用される関連プラスミドはp
RSVNPTIIと記述され、ラウス肉腫ウイルスプロ
モータ、ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ−
II遺伝子のコード領域、抗生物質カナマイシンおよび
G418をコードする領域、およびSV40からのポリ
アデニル化領域を含む。このプラスミドもウイルスゲノ
ムを含んでおらず、かつ感染性ではない。
【0045】b)培養中の哺乳類(ヒト)の細胞 ヒト乳腺の上皮細胞由来のMCF−7と呼ばれるセルラ
インを得た。このセルラインを、10%の子牛血清を補
充したRPMI成長培地によりインビトロで増殖させ
た。次いで、このセルラインの細胞を35mmの培養物
となるようにカバーグラス(2×2cm2)上に塗布
し、80%の密集率となるまで育成して、カバーグラス
当たり約5×104個の細胞を得た。
【0046】次いで、カバープレート上の細胞の単層を
プラスミドpRSVNPTIIおよび第1図および第2
図に示した形質転換装置を使用した放電粒子−媒介形質
転換により形質転換した。このDNAは、金結晶ビーズ
上に、金結晶ビーズ1mg当たりDNA0.5μgなる
密度で被覆した。この装置は0(コントロール:加速粒
子なし)、6および8KVなる火花放電レベルで操作し
た。
【0047】この形質転換操作後、該細胞を培地に戻
し、標準的条件下、即ち選択することなしに、2日間育
成した。この期間中、細胞の成長を顕微鏡で観察したと
ころ、正常であることが分かった。
【0048】2日後、トリプシンを該細胞培養物に適用
して、該カバープレートから該細胞を分離し、かつ該細
胞をT 25培養フラスコに塗布した。この培地に、選
択剤としてG418を250μg/mlの濃度で添加し
た。該トリプシン処理した細胞の50%〜70%が該フ
ラスコのプラスチック培養基板に付着し、1時間以内に
該表面に広がり、これらの細胞が依然として生きている
ことを示した。この細胞を選択条件下で3週間生育させ
た。大多数の細胞が始めの一週間以内に死滅することが
観測された。
【0049】3週間経過時点で、クラスタ状の50〜
5,000細胞からなる各細胞コロニーがこの形質転換
された細胞培養物中に観測された。形質転換処理には掛
けられていないが、G418選択操作には掛けられたコ
ントロール細胞培養物中には何等生きたコロニーは観察
されなかった。次いで、この形質転換された培養物を更
に3週間選択条件下に維持した後、コロニー数を計数し
た。
【0050】選択培地中で6週間培養した後に、該形質
転換コロニーをトリプシン処理し、プールし、かつT
25培地に塗布した。細胞はこの選択培地中で生育し続
けた。形質転換後10週間目に約2千万の細胞が各形質
転換培養物から生成し、かくして安定に該形質転換され
たMCF−7細胞が原培養物として連続的に生育でき
た。
【0051】6週間目のコロニー計数の結果を、テスト
した該形質転換条件下での形質転換頻度の評価のために
利用した。結果は以下の通りであった。
【0052】
【表1】 この結果は、該形質転換工程に掛けた細胞に対して、約
5.2〜6.4×10 -4細胞の範囲内の形質転換頻度が
達成されたことを示している。
【0053】c)インビボでの哺乳類体細胞 マウスをクロロホルムで麻酔した。各マウスの毛を剃っ
て、その側部に約1cm2の領域を形成した。次に、こ
のマウスを、窓を設けたペトリ皿上に、その毛を剃った
部分が該窓にくるようにして配置した。
【0054】次いで、pRSVcatのDNAを1〜3
μの金粒子に、該金粒子1mg当たりDNA0.1μg
なる割合で被覆した。該DNAは6%ポリエチレングリ
コール(m.w.=3,000)を含み、かつ最終濃度
が0.6MとなるようにCaCl2を添加した25mM
のスペルミジンで沈澱させることにより該金粒子上に被
覆した。このDNA被覆金ビーズを次に100%エタノ
ール中で洗浄し、エタノール懸濁液としてキャリヤシー
ト1cm2当たり乾燥金ビーズ0.05mgなる濃度で
該キャリヤシートに適用した。
【0055】該マウスを配置した該ペトリ皿を、ターゲ
ット表面として、第1図および第2図に示した装置に設
置した。電気火花放電に先立って、該キャリヤシ−トと
該ターゲットとの間の領域を15秒間ベリウムでフラッ
シングして該キャリヤシート上の大気起原の薬物および
起こり得るあらゆる該動物に対する衝撃波損傷を減じ
た。
【0056】この形質転換処理後、該動物は全て害を受
けておらず、かつ完全に回復したように見えた。いかな
る種類の傷も出血も見られなかった。24時間後、該マ
ウスを屠殺し、該皮膚部分を取り出し、cat活性につ
き検定した。この検定は、アセチル化活性をテストする
ことにより実施し、その際C14による放射性標識を利用
した。かくして、このアセチル化生成物の放射性崩壊を
形質転換された酵素の尺度として利用することができ
る。
【0057】種々の放電レベルで行ったテストおよび使
用したコントロールのテスト結果は以下に記載の通りで
ある。
【0058】
【表2】 これらの結果はcat活性がバックグラウンドレベルの
少なくとも100倍であることを示している。かくし
て、該動物に何等害および損傷を与えることなしにその
体細胞内に異種遺伝子が導入され、表現された。
【0059】d)インビボでの両棲類の体細胞 蛙(ツメガエル)を4℃まで冷却することにより麻酔
し、この冷却蛙を、ペトリ皿に形成した窓の部分に配置
し、これを第1図および第2図に示した形質転換装置内
に、マウスの場合と同じ様式で入れた。
【0060】マウスに対して使用した条件および手順
を、以下の点を除いて、繰り返した。使用したDNAは
pSV2catであった。このDNAで被覆した金ビー
ズを0.1mg/cm2なる密度でキャリヤシートに載
せた。
【0061】この場合にも、形質転換工程の後、該動物
は全く害されることはなかった。また、該動物には傷も
出血も見られなかった。24時間後、この蛙を殺し、形
質転換した1cm2の部分を取り出し、cat活性につ
き検定した。この結果を以下の表に纏めた。
【0062】
【表3】 かくして、本例ではcat活性のレベルがバックグラウ
ンドレベルの少なくとも50倍を越えることが観測され
た。かくして、異種遺伝子の導入および表現が、該動物
に認識し得る程の損傷または傷害を与えることなく、体
細胞内で起こった。
【0063】e)インビボでの両棲類の体細胞−全身処
理した生成物 ツメガエルに関する第2の実験では、上記と同様な条件
下で、但し同一の蛙に2回(背部に電圧16KVでおよ
び腹部に12KVで)形質転換を行った。この場合、
0.1mg/cm2なる密度の代わりに僅かに0.05
mg/cm2の密度のDNA被覆金ビーズを使用した。
この蛙を20時間後に殺し、形質転換された皮膚の部分
を採取した。更に、形質転換されていない皮膚の部分
(噴射の際に遮蔽した)をもcat活性検定のために採
取した。得られた結果を以下の表に纏めた。
【0064】
【表4】 該形質転換した皮膚部分の全活性は低いビーズの担持密
度の故に減少したが、非形質転換皮膚サンプルは明らか
に前の実験と同様に非形質転換動物の皮膚の少なくとも
2倍の評価を与えた。このことは、該形質転換された皮
膚部分における生産された酵素の全身的蓄積を示してい
る。
【0065】f)インビボ形質転換 ホルツマン(Holtzman)ラットを麻酔にかけ
た。この麻酔にかけたラットの腹腔を外科的に開いて、
該動物の肝臓を露出させた。かくして露出した肝臓をも
つこの生きた動物を次に粒子−媒介形質転換工程にかけ
た。ここで、該動物はその露出した肝臓がターゲット表
面26となるように、第1図および第2図に示した装置
に設置した。
【0066】このラット肝臓の形質転換工程において使
用したDNAは、金粒子に1μg/mgの割合で被覆し
たpRSVcatであった。この被覆は20μgのDN
Aを100μlの緩衝液(150mMのNaCl;10
mMのTris;pH8.0)、50μlのCaCl2
(2.5M)および20mgの寸法1μの金粒子を併合
することにより行った。次に、この混合物を遠心分離
し、乾燥し、キャリヤシートに担持する前にエタノール
中に再度懸濁させた。該キャリヤシート上での担持率は
乾燥金粒子基準で0.05mg/cm2であった。該キ
ャリヤシートを所定の場所に配置した後、かつ該ラット
をその器官を露出した状態で所定の位置に配置した後、
該粒子の移動する領域に大気圧下で2l/minのヘリ
ウムを流した。真空封止は何等行わなかった。該ラット
の肝臓を10および14KVの火花放電電位にて形質転
換操作にかけた。
【0067】付着している肝臓は摘出せず、露出させた
だけである。次に、このラットの腹腔を縫合により閉じ
た。該動物を該外科手術および形質転換手続きから回収
した。術後の動物の肝臓からの出血は全く見られなかっ
た。
【0068】2日後、この動物を殺し、かつ該肝臓を摘
出した。この摘出した肝臓組織をcat活性につき分析
した。該金粒子は該肝臓組織の深さ300μまで侵入し
ていることがわかった。
【0069】触媒作用を受けた基質の割合およびcat
活性の規定された標準単位の割合として示したcat活
性のレベルにより、上記の手続きの結果を以下に纏め
た。
【0070】
【表5】 肝臓以外に、マウスの腹筋組織をも肝臓につき上記した
のと同様に遺伝子転移のために処理した。結果は以下に
示す通りである。
【0071】
【表6】 かくして、これらの実施例は、本発明の形質転換技術に
より、インビボおよびその場での内部器官の一部として
存在する体細胞の形質転換を実施し得ることを立証して
いる。この形質転換遺伝子の一時的活性は少なくとも1
〜4週間に及ぶことが期待され、かつ数箇月に及ぶより
低いレベルでの安定な表現も達成し得る。
【0072】g)類器官の形質転換 類器官はインビトロで培養された器官一状の細胞のクラ
スタまたは組織であり、これは動物器官から単離し、次
いで組織培養処理することにより、あるいは予めインビ
トロで培養した哺乳類細胞の初代培養により得られる。
類器官は体細胞形質転換用の興味ある対象である。と言
うのは、これらが生きた哺乳動物に再度移植した際に、
生存性および血管形成能を維持していることが以前に立
証されているからである。
【0073】類器官を生成するために、組織サンプルを
雌ラットの乳腺組織から、0.2〜0.4cm3のクラ
ンプ(clump)として外科的に摘出した。この組織
をビーカー内の哺乳動物組織用培地(RPMI;10%
子牛血清;および成長因子(例えば、インシュリン)を
含む)に添加した。この培地に、更に「支質」組織を消
化して、管状構造としての乳腺を除去するために、コラ
ーゲナーゼおよびヒアルロニダーゼ酵素を添加した。得
られた培養物を遠心分離し、次いでナイロンメッシュを
通して篩分けして、0.1〜1.0mmの乳腺類器官
を、より小さな(5〜30μ)繊維芽細胞および他の型
の細胞から分離した。
【0074】新たに単離したラットの乳腺からの約10
0の類器官をピペットで35mmの皿に分取した。過剰
の培地を除去した。該皿内の該類器官を、β−ガラクト
シダーゼ遺伝子(クローンテック(Clontec
h))に接合したマウス組織特異的プロモータであるp
RSVcatまたはMMTVLTR−B−Galのいず
れかを使用して、15KVにて形質転換処理に付した。
【0075】次いで、培地を該類器官と共に該皿に戻し
た。更に、該類器官を2日間培養したが、その間いくら
かの類器官は利用し得る基質に付着したが、残りの類器
官は自由に浮遊していた。次に、この類器官を収穫し、
適当にCATまたはB−Gal活性を検定した。
【0076】これらの付着したおよび浮遊していた両方
の型の類器官は明らかにCAT活性を示した。同様な結
果はB−Gal活性の検定からも観察された。
【0077】この手続きをラット乳腺(類器官)の上皮
細胞の5日−齢の初代培養物についても実施した。該細
胞は電圧3KV、6KV、12KVおよび15KVに
て、pRSVCATを使用して形質転換した。形質転換
後の培養の3日目に該類器官を検定した。全ての電位レ
ベルにおいて、形質転換活性が見られたが、3KVでは
明らかに量的に劣っていた。
【0078】ヒト乳腺上皮細胞初代培養物を使用した同
様な複製を8KVおよび10KVにて、pRSVCAT
を使用して実施した。同様に培養の2日後に検定を実施
したところ、CAT活性がみられた。
【0079】同様な類器官のMMTV−B−Galを使
用した同様な形質転換から、一時的に形質転換された細
胞の割合の近似を求めることができた。該ラットの乳腺
上皮細胞は約5%がB−Ga1を表現した。初代培養物
中のヒト乳腺上皮細胞は約3%が正のB−Gal活性を
示すことが検定により分かった。ヒト乳腺癌のセルライ
ン(MCF−7)を使用した場合には、約5%の該細胞
が形質転換されていた。B−Galを表現するのにより
強力なプロモータ(サイトメガロウイルス:CMV)を
使用した場合には、20〜35%の細胞がB−Gal活
性を示すことが分かった。
【0080】このことは、類器官がこの粒子−媒介形質
転換法に極めて敏感であることを立証している。この証
拠を基にして、他の型の組織または器官(例えば、肝
臓)からのオルガノイドが同様に形質転換可能であるも
のと予想することは論理的に妥当である。該形質転換さ
れた類器官は生存性を維持しており、かつ動物内に再度
移植して、形質転換遺伝子の利点を得ることが可能であ
る。同様な手順は他の再移植可能な組織に対しても利用
できる。
【0081】h)初代細胞培養 ラットの乳腺類器官を、子牛血清、インシュリンおよび
上皮成長因子を含むRPMI培地に塗布した。3〜10
日後、該類器官の上皮および筋上皮細胞を、単層培地で
生育中の該基質上に展開した。これらの初代培養物を、
トリプシンで処理し、かつ新たな皿に再付着させること
により、3〜4回継代培養した。
【0082】初代培養で増殖させたラットの乳腺上皮細
胞をpRSVCATを用いて3、6、8、12および1
5KVにて、およびMMTV−B−GalDNAを使用
して8および10KVにて形質転換処理した。該形質転
換の前に該培地を取り出し、その後置換した。この処理
した細胞を2〜3日間不変の条件下で培養し、次いで検
定した。8〜15KVの放電電位の下で形質転換した細
胞は高レベルのCAT活性を示し、またB−Gal検定
は、集団中の3〜5%の単一細胞がB−Galを表現す
ることを示した。
【0083】このことは、哺乳動物細胞の初代細胞培養
がこれらの手続きにより容易に形質転換し得ることを示
している。このような初代細胞培養が様々な臨床的応用
として提案されているので、このような応用において
は、所定の異種蛋白のトランスジェニックな表現をも含
めることが今や可能である。
【0084】本発明は上記の特定の態様または実施例に
より何等制限されず、上記の請求の範囲に含まれるこれ
らの態様または実施例のあらゆる改良をも包含する。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、生きた動物の皮膚中の
体細胞を遺伝的に形質転換することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明の方法を実施するために使用す
る装置の分解斜視図である。
【図2】第2図は第1図の装置の放電室の平面図であ
る。
【符号の説明】
12 火花放電室 14 電極 16 開口 18 開口 20 アクセス板 22 キャリヤシート 24 保持スクリーン 26 ターゲット表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 デニス イー マッケイブ アメリカ合衆国 ウイスコンシン州 53562 ミドルトン エアポート ロード 8777 (72)発明者 ニン サン ヤン アメリカ合衆国 ウイスコンシン州 53593 ヴェローナ オックス トレイル ウェイ 7802

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生きた動物の皮膚中の体細胞を遺伝的に
    形質転換するための薬剤であって、該薬剤は不活性な高
    密度の担体粒子を含み、該担体粒子は、外来遺伝子構造
    物のコピーを被覆されており、該細胞の寸法に対して小
    さな寸法であり、そして該外来遺伝子構造物は、蛋白を
    コードするDNA配列及び該細胞内で該蛋白を発現する
    のに有効な近接調節配列を含む、薬剤。
  2. 【請求項2】 前記担体粒子が金粒子である、請求の範
    囲第1項記載の薬剤。
  3. 【請求項3】 前記粒子が1〜3μの寸法である、請求
    の範囲第1項または第2項記載の薬剤。
  4. 【請求項4】 前記動物がヒトである、請求の範囲第1
    〜3項のいずれか1項に記載の薬剤。
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