JP2001209923A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JP2001209923A
JP2001209923A JP2000016278A JP2000016278A JP2001209923A JP 2001209923 A JP2001209923 A JP 2001209923A JP 2000016278 A JP2000016278 A JP 2000016278A JP 2000016278 A JP2000016278 A JP 2000016278A JP 2001209923 A JP2001209923 A JP 2001209923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
recording medium
binder
cellulose derivative
cyclic ester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000016278A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuteru Kajikawa
泰照 梶川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2000016278A priority Critical patent/JP2001209923A/ja
Publication of JP2001209923A publication Critical patent/JP2001209923A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性粉末の分散性に優れた結合剤を開発し、
良好な磁気特性、電磁変換特性や耐久性を確保すること
ができる磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを
主成分とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体にお
いて、上記結合剤が環状エステル変性セルロース誘導体
である磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
磁性粉末と特定の結合剤を主成分とする磁性層が形成さ
れてなる磁気記録媒体に関するものであり、特に磁性層
における磁性粉末の分散性に優れた結合剤の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野、特にVTR(ビデオレ
コーダ)等においては、高画質化を図るために、より一
層の高密度記録化、記録波長の短波長化が要求されてい
る。これに伴い、ビデオテープやオーディオテープ等の
磁気記録媒体においては、その特性改善を目的として、
磁性層を構成する主成分の磁性粉末の微粒子化の他、い
わゆる塗布型の磁気記録媒体を製造する場合における磁
性塗料内での磁性粉末の高分散化の研究、開発が進めら
れている。一方、上記磁性粉末を結合剤の他、必要に応
じて使用される研磨剤、その他の添加剤等とともに所定
の有機溶媒中に混合分散して得られる磁性塗料を非磁性
支持体上に塗布して磁性層を形成せしめる、上記塗布型
の磁気記録媒体では、使用する結合剤の種類により、得
られる磁気記録媒体の特性が大きく影響を受けることが
知られている。従って、高性能の磁気記録媒体を開発す
るためには、磁性粉末及び結合剤の両面からの研究が必
要であるが、特に結合剤に注目した場合、必要な磁気特
性、電磁変換特性並びに機械的特性を付与せしめるよう
な結合剤、そのような結合剤の組み合わせに係る改良さ
れた結合剤、或いは製造方法等を検討することが重要な
課題となる。
【0003】上記磁気記録媒体における結合剤、特に塗
布型の磁気記録媒体における結合剤の検討の対象課題を
磁気特性、電磁変換特性及び機械的特性(耐久性等)の
向上に絞って考察する。前者の磁気特性及び電磁変換特
性を向上させるためには、磁性層中の磁性粉末の充填率
を上げるとともに、得られる磁性層の表面を平滑にする
ことが必要とされている。特に、磁性層中の磁性粉末の
充填率を上げるためには、磁性塗料の分散性の向上が有
効である。
【0004】従来、磁性塗料中における磁性粉末の分散
性の向上を図る技術としては、磁性塗料を調製する際に
使用される混合機及びその使用方法に係る種々の開発技
術が利用でき、例えばニーダーやエクストルーダー等の
混合機にて磁性粉末を結合剤とともに予め混練して前処
理を行う方法が提案されている。また、この分散性の向
上のために、上記結合剤として種々の極性基が導入され
た樹脂も提案されている。
【0005】一方、後者の磁気記録媒体の機械的特性と
しては、ヘッドとの摺動面の耐久性が問題視されてお
り、例えば結合剤としてガラス転移点(Tg)の高い樹
脂を使用したり、ポリイソシアネート等の硬化剤を添加
することにより、上記耐久性の向上が図られることもあ
るが、種々の要請から一般には、上記結合剤として、比
較的低分子量でガラス転移点(Tg)の低いポリウレタ
ン樹脂等の結合剤と、架橋性に優れた塩化ビニル系共重
合体と、耐久性に優れたニトロセルロース等の結合剤と
を組み合わせて使用する方法が提案されている。
【0006】しかしながら、機械的特性向上を図った上
述の公知の結合剤組成では、結合剤の種類によっては混
練後の分散性が満足できないことがある。即ち、結合剤
として上記のごとくニトロセルロースを用いる場合に
は、安全性上の問題から磁性粉末と混練する前処理を行
うことができない場合があるために、磁性塗料の分散性
や残留磁束密度Brが低下するといった問題が生じてし
まう。更に、良好な耐久性を確保するために、ガラス転
移点Tgの比較的高いフェノキシ樹脂やエポキシ樹脂、
メラミン樹脂、フェノール樹脂等の結合剤を用いた場合
では、やはり分散性が悪く、上述のような混合機を用い
ても分散性の向上を図ることができない。
【0007】一方、例えば特開平1−94532号、同
2−249121号、同7−176035号等の各公報
にその記載が見られるように、セルロースアセテートや
セルロースアセテートブチレート等の樹脂を結合剤とし
て使用する方法等が提案されている。しかし、上記セル
ロースアセテート等に、その耐久性向上のためにポリウ
レタン樹脂を組み合わせて使用した場合、ポリイソシア
ネートを硬化剤として添加すると架橋性が悪く、ヘッド
への粉落ちやヘッドクロッグ(目詰まり)が発生しやす
くなる。又、セルロース系樹脂は一般に、分散性が悪
く、またポリウレタン樹脂との相溶性が比較的悪いこと
から、磁性塗料の粘度が増大してしまう傾向がある。こ
のように、種々のセルロース系樹脂は単独使用の提案は
あるが磁性粉末の分散性が悪く、又他の結合剤との組み
合わせの検討が必要であり、従来のセルロース系樹脂は
あまり実用的であるとはいえないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実
情に鑑み、磁性粉末の分散性に優れた結合剤を開発し、
良好な磁気特性、電磁変換特性や耐久性を確保すること
ができる磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成するため鋭意研究した結果、結合剤として環状
エステル変性セルロース誘導体を用いることにより、磁
性粉末の分散性の他、必要により使用される他の結合剤
との相溶性、分散性が改善され、良好な結果が得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要
旨を以下に説明する。第1の発明は、非磁性支持体上に
磁性粉末と結合剤とを主成分とする磁性層が形成されて
なる磁気記録媒体において、該結合剤が環状エステル変
性セルロース誘導体及び必要に応じて用いられる他の結
合剤である磁気記録媒体に関する。第2の発明は、環状
エステル変性セルロース誘導体が、水酸基含有セルロー
ス誘導体に環状エステルが開環グラフト重合してなる環
状エステル変性セルロース誘導体である上記第1の発明
の磁気記録媒体に関する。第3の発明は、セルロース誘
導体が酢酸セルロースである上記第1又は第2の発明の
磁気記録媒体に関する。第4の発明は、環状エステルが
ε−カプロラクトンである上記第1〜第3の発明のいず
れかの磁気記録媒体に関する。第5の発明は、磁性層
が、環状エステル変性セルロース誘導体と磁性粉末との
混練物と他の結合剤との分散混合物である磁性塗料の塗
布により得られた層である本発明の第1〜4のいずれか
の磁気記録媒体に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る磁気記録媒体の磁性
層の主成分の一つである、結合剤としての環状エステル
変性セルロース誘導体は、セルロース誘導体に環状エス
テルをグラフト重合させて変性したセルロース誘導体で
ある。ここにセルロース誘導体とは、特に限定されるも
のではないが、代表的にはセルロースの水酸基との反応
に係るエステル結合の他、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アラルキルオキシ基等が属するエーテル結合等が
導入されたセルロースの誘導体を挙げることができる。
【0011】しかし、本発明に係るセルロース誘導体
は、環状エステルによる変性を行うことのできるセルロ
ース誘導体である必要があり、セルロース自体の水酸基
が残存するセルロース誘導体、ポリオールがその水酸基
を残存してセルロースとエーテル結合しているセルロー
ス誘導体、エステル交換反応のできるエステル結合を有
するセルロース誘導体、加水分解により水酸基を生じや
すいセルロース誘導体等が好ましく、特にセルロース自
体の水酸基が残存するセルロース誘導体が、その変性反
応上好ましく使用される。
【0012】本発明における好ましい態様として挙げた
上記セルロース自体の水酸基が残存する水酸基含有セル
ロース誘導体は、セルロースの多くの水酸基がそのまま
遊離の状態で存在しているものに限定されることなく、
一部がエステル化変性、エーテル化変性、その他の変性
を受けている誘導体をも含み、水酸基としての機能を発
揮できる基があれば充分であり、後記の環状エステル変
性に供することができる。
【0013】水酸基含有セルロース誘導体としては、例
えばセルロース自体の水酸基が残存するセルロースアセ
テート、同セルロースアセテートブチレート、同セルロ
ースアセテートプロピオネート、同セルロースアセテー
トフタレート、同硝酸セルロース等の水酸基含有セルロ
ースエステル類の他、上記同様にセルロース自体の水酸
基が残存するエチルセルロース、同メチルセルロース、
同ヒドロキシプロピルセルロース、同ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等の水酸基含有セルロースエーテル
類が挙げられる。
【0014】これらのうち、水酸基含有セルロース脂肪
酸エステル類は、本発明に係る環状エステル変性に使用
される環状エステル類への溶解性が良く、比較的安価
で、しかも工業的に入手しやすいことから、本発明に係
る原料として好ましく、更に取り扱い易い点から、水酸
基を含有するセルロースアセテート、セルロースアセテ
ートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート
がより好ましい。特にアセチル基置換度1.5〜2.8
(酢化度39〜60wt%)のセルロースアセテート;
プロピオニル基置換度0.5〜2.8(プロピオニル化
度12〜63wt%)、アセチル基置換度0.5〜2.
8(酢化度16〜60wt%)のセルロースアセチルプ
ロピオネート;又はブチリル基置換度0.5〜2.5
(ブチリル化度14〜67wt%)、アセチル基置換度
0.5〜2.8(酢化度16〜60wt%)のセルロー
スアセテートブチレートである。混合エステルの場合の
合計置換度の上限は、グラフトすべき水酸基を残してお
く点で、2.8であることが好ましい。
【0015】次に、本発明に係る環状エステル、即ち水
酸基含有セルロース誘導体の水酸基にグラフト重合させ
るために使用される環状エステルとしては、開環重合し
得るものであればよく、例えば、β−プロピオラクト
ン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、α,α
−ジメチル−β−プロピオラクトン、β−エチル−δ−
バレロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β
−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプ
ロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラク
トン、エナントラクトン等のラクトン類;グリコリド、
ラクチド等のヒドロキシカルボン酸の環状二量体を挙げ
ることができる。又、これらを複数組み合わせて用いて
もよい。これら例示の環状エステルのうち、とりわけ工
業的に入手し易く、しかも比較的安価で、セルロースア
セテート等のセルロース誘導体との相溶性の優れたε−
カプロラクトンが、セルロース誘導体の変性反応には好
適である。
【0016】本発明に係る環状エステル変性セルロース
誘導体を製造する場合において、水酸基含有セルロース
誘導体と環状エステルの比率には特に制限はないが、一
般に環状エステル変性を行うには、水酸基含有セルロー
ス誘導体1〜85wt%と環状エステル15〜99wt
%の比率(合計100wt%)が望ましい。水酸基含有
セルロース誘導体の仕込み比率が85wt%を超える
と、反応系の粘度が著しく高くなり、取り扱い難くな
る。又、水酸基含有セルロース誘導体の仕込み比率が1
wt%未満では、生産性が低下する。
【0017】なお、上記変性反応系の粘度が特に高い場
合には、必要に応じて二軸エクストルーダー等を用いる
リアクティングプロセッシング装置を、モノマーの真空
留去回収装置とともに用いてもよい。この他、上記反応
系に必要に応じて第三成分を加える方法も採用できる。
ここにいう第三成分としては、セルロースアセテート等
の誘導体及び環状エステルとの相溶性のよい、活性水素
を持たない有機溶剤、これら原料との反応性を有しない
多価アルコール等が挙げられ、これらを添加することに
よって、系の粘度を取り扱いやすい範囲に下げることも
可能である。
【0018】水酸基含有セルロース誘導体への環状エス
テル類のグラフト重合用触媒としては、通常、環状エス
テルの開環反応に用いられる触媒、例えばナトリウムや
カリウム等のアルカリ金属及びそのアルコキシド等の誘
導体、チタン酸テトラブチルで代表されるアルコキシド
チタン化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズラウリレ
ート等の有機金属化合物;塩化スズなどの金属ハロゲン
化物が挙げられ、これらは、一般論として、広く文献に
記載されている。しかし本発明に用いられる好ましい触
媒は上記オクチル酸スズである。
【0019】環状エステル変性セルロース誘導体を得る
ための反応温度は、通常、環状エステルの開環重合に適
用されている温度であり、好ましくは100〜210℃
の温度である。
【0020】又、反応時間は、水酸基含有セルロース誘
導体等のセルロース誘導体と環状エステルの各種類、仕
込み比率、触媒の種類と量、反応温度、更には反応装置
により異なり、特に制限はないが好ましくは1〜8時間
である。特に、二軸エクストルーダー等のリアクティブ
プロセッシング装置を未反応モノマーの真空留去回収装
置と共に用いる場合には、反応時間を10分以下など極
端に短くして、目的を達成することも可能である。
【0021】又、本発明に係る環状エステル変性セルロ
ース誘導体(グラフト重合体)を得るに際して、用いら
れる原料、反応機パージ用窒素、反応機等については、
十分に乾燥しておくことが好ましい。これら反応系の水
分は0.1wt%以下が好ましいが、0.001wt%
以下が特に好ましい。
【0022】このようにして得られる反応生成物は、原
料のセルロース誘導体(例えば水酸基含有セルロース誘
導体)と環状エステル(例えばε−カプロラクトン)の
使用割合で重合した平均的なグラフト重合体について言
えば、グルコース単位当たりε−カプロラクトンが2〜
50モル付加重合してなる構造を有するが、3〜30モ
ル付加重合のものが好ましく、5〜20モル付加重合の
ものがより好ましい。
【0023】本発明に係る上記の環状エステル変性セル
ロース誘導体の添加量は、磁性粉末に対して2〜10重
量%であることが好ましいが、より好ましくは4〜8重
量%である。該添加量が2重量%未満では、耐久性が低
くて劣化し易く、逆に10重量%を超えると、電磁変換
特性が低下し易い。
【0024】上記環状エステル変性セルロース誘導体
は、1種のみの使用でもよいが2種以上の混合系として
の使用でもよい。なお、後者の2種以上の混合系には、
異なる種類の環状エステルによりそれぞれ変性されたセ
ルロース誘導体の混合系の他、例えば分子量が異なる環
状エステル変性セルロース誘導体の組み合わせ等に係る
混合系でもよく、目的の磁気記録媒体の特性に応じて適
宜選択して使用されることが好ましい。
【0025】本発明に係る結合剤としては、上述の環状
エステル変性セルロース誘導体に加えて他の結合剤、例
えば塩化ビニル系共重合体等が併用可能であり、この併
用により柔軟性付与の効果が見られる。ここに塩化ビニ
ル系共重合体としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。又、上記塩
化ビニル系共重合体には他の極性基が導入されていても
よい。ここに言う他の極性基としては、−SO3Na、
−SO3K、−COOH、2級OH基、リン酸エステル
含有基、1、2又は3級アミノ基、4級アンモニウム塩
含有基等が挙げられるが特に限定されるものではない。
なお、上記塩化ビニル系共重合体の数平均分子量は、好
ましくは10,000〜50,000であり、より好ま
しくは10,000〜25,000である。
【0026】本発明に係る結合剤は、上記環状エステル
変性セルロース誘導体又はこれと他の結合剤である塩化
ビニル系共重合体を併用したものに加え、更に他の結合
剤であるポリウレタン樹脂を組み合わせて使用すること
が好ましい場合がある。この併用により、得られる磁気
記録媒体の柔軟性が向上する効果がある。ここに使用さ
れるポリウレタン樹脂としては、使用されるポリオール
に応じてアジペート系、ポリカプロラクトン系等のポリ
エステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン
樹脂、その他ポリカーボネート系、アクリル系、ブタジ
エン系等のポリウレタン樹脂があり、いずれも使用可能
であり、特に限定されるものではない。
【0027】このようなポリウレタン樹脂には、他の極
性基が導入されていてもよい。ここに言う他の極性基と
しては、−SO3Na、−SO3K、−COOH、2級O
H基、リン酸エステル含有基、1、2又は3級アミノ
基、4級アンモニウム塩含有基等が挙げられ、その添加
量は特に限定されるものではない。
【0028】更に、上記ポリウレタン樹脂の数平均分子
量は、20,000〜50,000の範囲のものが好ま
しい。又、ガラス転移点Tgの比較的低いポリウレタン
樹脂は接着性が良好であり、逆に比較的高いポリウレタ
ン樹脂は耐久性に優れていることから、ガラス転移点T
gは−30〜60℃の範囲であることが好ましい。な
お、これら各種ポリウレタン樹脂は、分子量やガラス転
移点Tgの違いによって分散性、剛性、耐久性等に差が
あるため、目的とする磁気記録媒体の特性に応じて適宜
その種類を選定することが望ましい。
【0029】本発明に係る結合剤には、上記各種の結合
剤のうちの少なくとも1を架橋硬化させる硬化剤を添
加、併用することができる。ここに言う硬化剤として
は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネ
ート等が挙げられ、更にこれらと活性水素化合物との付
加体も好適である。上記芳香族ポリイソシアネートとし
ては、トルエンジイソシアネート(TDI)、1,3−
キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシ
アネート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネー
ト、p−フェニルジイソシアネート、m−フェニルジイ
ソシアネート、1,5−ナフチルジイソシアネート等が
挙げられ、上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘ
キサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルメタン
ジイソシアネート等が挙げられる。又、これらと付加体
を形成する活性水素化合物としては、エチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
この活性水素化合物の数平均分子量は、100〜5,0
00の範囲であることが好ましい。
【0030】更に、本発明に係る結合剤としては、上述
の環状エステル変性セルロース誘導体に、或いは塩化ビ
ニル系共重合体及び/又はポリウレタン樹脂を併用した
混合系の結合剤に、更に公知の他の樹脂材料がいずれも
使用可能であり、ここに他の樹脂材料を具体的に例示す
ると、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メ
タクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステル−スチレン共重合体、フェノキシ樹脂、
ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アルリロニトリル
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、
ポリビニルブチラール、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、尿素−
ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂又は
これらの混合系等が挙げられる。
【0031】本発明に係る磁気記録媒体の磁性層の他の
主成分である磁性粉末は、従来公知のものがいずれも使
用可能で、例えば塗布型の磁気記録媒体において磁性塗
膜の構成に使用される磁性粉末がそのまま使用でき、何
等限定されるものではない。磁性粉末について例示すれ
ば、γ−FeOX(X=1.33〜1.5)を主成分と
する磁性粉末、Co変成γ−FeOX(X=1.33〜
1.5)を主成分とする磁性粉末、Fe又はCoを主成
分(75%以上)とする強磁性合金粉末、バリウムフェ
ライト系磁性粉末、ストロンチウムフェライト系磁性粉
末等が挙げられる。又、これらの磁性粉末には、所定の
原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、C
u、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、
Ba、Ni、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、B
i、La、Ce、P、Mn、Zn、Co、Sr、B等の
原子が適当量含有されたとしても、本発明の効果を妨げ
るものではない。
【0032】本発明に係る磁性層には上記磁性粉末及び
結合剤が主成分として含まれるが、必要に応じて更に潤
滑剤、分散剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等が含有さ
れていてもよく、磁性層が磁性塗料の塗布により形成さ
れる場合は、磁性粉末と結合剤の混練処理の際、又はそ
の後の分散混合時に添加してもよい。これらの添加剤及
び、上記磁性塗料の調製の際に使用される有機溶剤等と
しては、この種の磁気記録媒体の製造において通常使用
されるものであればいずれも使用可能であり、何等限定
されるものではない。
【0033】上記潤滑剤としてはシリコーンオイル、脂
肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン又はその他
のフッ素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポリグリコール、
アルキル燐酸エステル又は金属塩、ポリフェニルエーテ
ル、フッ化アルキルエーテル、炭素数12〜24のアル
コール類(不飽和基を含有していても、又分岐基を有し
ていてもよい)、炭素数12〜24の高級脂肪酸又はそ
のエステル類(不飽和基を含有していても、又分岐基を
有していてもよい)の他、アルキルカルボン酸アミン
塩、フッ化アルキルカルボン酸アミン塩等のアミン系潤
滑剤等が挙げられる。
【0034】上記潤滑剤に例示した炭素数12〜24の
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、
アラキン酸、オレイン酸、エイコ酸、エライジン酸、ベ
ヘン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられ、又そ
のエステル類としては、ステアリン酸オクチル、ステア
リン酸イソオクチル、ミリスチン酸イソオクチル、ステ
アリン酸ブトキシエチル、ステアリン酸ブチル、ステア
リン酸ヘプチル等が挙げられる。なお、これら潤滑剤
は、その他の潤滑剤と複数混合して使用してもよい。
【0035】上記分散剤としては、炭素数5〜25の脂
肪酸又は、そのアルカリ金属塩又ははアルカリ土類金属
塩からなる金属石鹸、該脂肪酸のエステル類、脂肪酸ア
ミド、アミン、4級アンモニウム塩、燐酸エステル、ホ
ウ酸エステル等がいずれも使用可能である。
【0036】上記研磨剤としては、例えばα−アルミ
ナ、β−アルミナ、溶融アルミナ、炭化ケイ素、酸化ク
ロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、ダイヤ
モンド、ケイ石、ザクロ石、ガーネット、窒化ケイ素、
窒化ホウ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タング
ステン、酸化チタン等を主成分とする、モース硬度6以
上の公知材料が単独で、又は併用で使用可能である。こ
れら研磨剤の平均粒径は、0.01〜2μmが好ましい
が、必要に応じて複数種でしかも粒子サイズの異なる研
磨剤を組み合わせたり、単一種の研磨剤でしかも粒度分
布を広げたりしたものも適宜用いることが可能である。
【0037】上記帯電防止剤としては、カーボンブラッ
クが代表的であり、しかも磁性層のみでなく非磁性層
(非磁性支持体や下塗り塗料)にも用いられる。カーボ
ンブラックとしては、従来公知のものがいずれも使用可
能であり、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラ
ック、カラー用ブラック等が挙げられ、これらを任意に
使用することが可能である。また、カーボンブラックは
磁性層、特に磁性塗料の製造工程中のハンドリングを良
好にするために、顆粒状のものの使用が好ましく、その
粒子径は10〜1000nmの範囲のものが好ましい。
帯電防止剤としては、上述のカーボンブラックの他に天
然界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面
活性剤等の公知の界面滑性剤がいずれも使用可能であ
る。
【0038】本発明に係る磁気記録媒体は、上述の環状
エステル変性セルロース誘導体と磁性粉末とを主成分と
する、すなわち両者の合計が50重量%を越える磁性層
が非磁性支持体上に形成されてなるものであり、ここに
言う非磁性支持体の材質としては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロ
ゲン含有ビニル系樹脂、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、ポリアミドイミド等のプラスティックの他、アルミ
ニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等
の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられ
る。
【0039】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に磁性粉末と結合剤とを主成分とする磁性層が形成
されてなるものであり、該磁性層の形成方法は特に限定
されるものではないが、磁性粉末と結合剤とを主成分と
して含む磁性塗料を非磁性支持体表面に塗布して形成す
る、いわゆる塗布型の磁気記録媒体の製造方法が好まし
い方法として例示できる。
【0040】上記のごとく非磁性支持体上に磁性層を形
成するには、前記磁性層形成材料を塗料として、即ち磁
性塗料として使用し、塗布乾燥して形成する塗布型の製
造方法が好ましいが、上記塗料化に用いられる溶剤とし
ては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸エチ
ルモノエチルエーテル等のエステル系溶剤、グリコー
ル、モノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエ
ーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素系溶剤、メチレンクロリド、エチレンクロリ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリ
ン、ジクロロベンゼン等の塩素含有系溶剤等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0041】なお、上記非磁性支持体上への磁性塗料の
塗布を行う前に、磁性層と支持体との接着性向上のため
に、非磁性支持体表面に接着剤層等の下塗り層を設けた
り、コロナ放電処理や電子線照射処理等の前処理が施さ
れてもよい。
【0042】上記磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する
には、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押し出しコート、エアナイフコート、スクイズコ
ート、含浸コート、リバースロールコート、グラビアコ
ート、トランスファーロールコート、キャストコート等
の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではな
く、更に上記押し出しコートによる同時重層塗布を行う
ことも可能である。
【0043】一方、上記非磁性支持体の磁性層形成面と
反対面に非磁性のバックコート層が設けられてもよい。
この場合、バックコート剤としては従来公知のバックコ
ート剤が使用可能である。又、該バックコート層厚は、
0.1〜2.0μmであることが好ましく、より好まし
くは0.3〜1.0μmである。
【0044】上記磁性粉末と結合剤を主成分として含有
する磁性塗料を調製する際、図1に示すフローチャート
に従って、前記環状エステル変性セルロース誘導体を予
め磁性粉末と共に、又必要に応じて所望の添加剤をも加
えて混練機にて混練した後、ボールミル、サンドミル、
トロンミル、高速ストーンミル、バスケットミル、ディ
スパー、ホモミキサー、ホモジナシザー或いは超音波分
散機等により、必要に応じて他の結合剤及び所望の添加
剤と共に、所定の有機溶媒中に分散させて調製すること
が磁性粉末の分散性を高めかつ作業時間を短縮する観点
から望ましい。
【0045】磁性層を構成する結合剤として環状エステ
ル変性セルロース誘導体を用いることにより、磁性層中
の磁性粉末の分散性が向上するが、この効果は塗布型の
磁気記録媒体において特に顕著である。
【0046】
【実施例】次に本発明に係る磁気記録媒体の結合剤であ
る環状エステル変性セルロース誘導体の製造例を示し、
得られた環状エステル変性セルロース誘導体を使用した
実施例を示す。 (製造例1)攪拌機、温度計、還流冷却器を備え、十分
に乾燥した反応器に、乾燥した窒素雰囲気下で、ε−カ
プロラクトン50重量部を入れ、攪拌下に180℃に加
熱し、この中に、予め十分に乾燥した酢酸セルロース
(ダイセル化学工業社製、酢化度55.2%、置換度
2.43)100重量部を添加して均一に溶解させた
後、オクチル酸スズ0.12重量部を仕込み、3時間反
応を続けた。その結果、わずかに黄色の透明なグラフト
重合体が得られた。該グラフト重合体をアセトンを用い
て50℃の極限粘度を求めたところ、〔η〕=0.75
リットル/gであった。ここに得られたグラフト重合体
を樹脂Aとする。
【0047】(製造例2)攪拌機、温度計、還流冷却器
を備え、十分に乾燥した反応器に、乾燥した窒素雰囲気
下で、ε−カプロラクトン70重量部を入れ、攪拌下に
180℃に加熱し、この中に、予め十分に乾燥した酢酸
セルロース(ダイセル化学工業社製、酢化度55.2
%、置換度2.43)100重量部を添加して均一に溶
解させた後、オクチル酸スズ0.12重量部を仕込み、
3時間反応を続けた。その結果、わずかに黄色の透明な
グラフト重合体が得られた。該グラフト重合体をアセト
ンを用いて50℃の極限粘度を求めたところ、〔η〕=
0.50リットル/gであった。ここに得られたグラフ
ト重合体を樹脂Bとする。
【0048】以下、本発明に係る磁気記録媒体の実施例
を、塗布型の磁気記録媒体の製造例を用いて説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではないこと
はいうまでもない。 (実施例1)先ず、下記組成比の磁性塗料用材料を使用
し、磁性塗料を調製した。 〔磁性塗料用材料と組成比〕 Co変性γ−Fe23粉(BET法による比表面積45
2/g):100重量部 樹脂A:2重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製,N−230
4):10重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(UCC社製,ビニラ
イトVAGH):8重量部 カーボンブラック(CABOT社製,BP−L):5重
量部 α−Al23(住友化学工業社製,商品名AKP−3
0):3重量部 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名コ
ロネートL):4重量部 ミリスチン酸:1重量部 ステアリン酸ブチル:1重量部 メチルエチルケトン:80重量部 メチルイソブチルケトン:80重量部 トルエン:80重量部 〔磁性塗料の調製〕上記塗料組成比にて、予め表1の混
練樹脂の欄に示す樹脂A及び塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体を同欄に示す量部用い、Co変性γ−Fe23
と連続ニーダーで混練した後、残りの塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体(表中では「塩酢ビ」とも略す。)、ポ
リウレタン樹脂、カーボンブラック、α−Al23、ポ
リイソシアネート、ミリスチン酸、ステアリン酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
トルエンを加え、サンドミルを用いて溶剤中に分散し、
1μmの平均口径を有するフィルターで濾過して磁性塗
料を調製した。
【0049】次に、下記の組成材料、組成比にてバック
コート用塗料を調製し、バックコートを実施した。 〔バックコート用塗料材料と組成比〕 バックコート用塗料組成カーボンブラック(関東化学社
試薬01085−2,平均粒子径20μm):100重
量部 カーボンブラック(平均粒子径350nm):5重量部 ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製,N−503
3):25重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(積水化学工業社製,
エスレックA):25重量部 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名コ
ロネートL):5重量部 メチルエチルケトン:180重量部 メチルイソブチルケトン:180重量部 トルエン:180重量部 〔バックコート用塗料の調製〕上記組成比にて、バック
コート用塗料組成カーボンブラック、カーボンブラッ
ク、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及び
トルエンをディスパーで混合した後、サンドミルを用い
て分散し、次にポリイソシアネートを加え、1μmの平
均口径を有するフィルターで濾過してバックコート用塗
料を得た。
【0050】〔磁気記録媒体の作製〕続いて、上記磁性
塗料を厚さが14μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に塗膜厚みが4.0μmとなるように塗布し、
乾燥、カレンダー処理した後、硬化して磁性層を形成し
た。次いで、上記バックコート用塗料を上記磁性層を形
成した面と反対側の面に、塗膜厚みが0.5μmとなる
ように塗布、乾燥し、得られた幅広の磁気テープを1/
2インチ幅に裁断してサンプルテープを作製した。
【0051】〔磁気記録材料の評価〕上記のようにして
得られた磁気テープについて、静磁気特性、ビデオ電磁
変換特性、走行耐久性及び粉落ちをそれぞれ評価した。
なお、評価方法を以下に示す。また、評価結果を表2に
示す。
【0052】(静磁気特性)静磁気特性の評価として残
留磁束密度Brと角形比Rsを測定した。測定に際し、
室温専用超高度形振動試料型磁力計(VSM−P10−
15auto)を使用し、温度20℃、湿度50%RH
の条件下にて行った。
【0053】(ビデオ電磁変換特性)ビデオ電磁変換特
性を評価するために、RF−OUT(ビデオ出力)、Y
−S/N(ビデオS/N)、C−OUT(クロマ出力)
及びC−S/N(クロマS/N)を測定した。RF−O
UT(ビデオ出力)は、松下電気産業社製のVTR(ビ
デオテープレコーダ)AG−7300を用いてビデオ信
号を記録し、その再生レベルを基準テープ(JVC社
製,SRT−1)を0dBとした時の相対値で表した。
Y−S/N(ビデオS/N)は、ビデオ信号のSN比を
上記基準テープ0dBとした時の相対値で表した。C−
OUT(クロマ出力)は、松下電気産業社製のVTR
(ビデオテープレコーダ)AG−7300を用いてクロ
マ信号を記録、再生し、その再生出力レベルを上記基準
テープを0dBとした時の相対値で表した。C−S/N
(クロマS/N)は、クロマ信号のSN比を上記基準テ
ープ0dBとした時の相対値で表した。
【0054】(走行耐久性)温度40℃、湿度80%R
Hの条件下にて、T−120(120分長)のビデオテ
ープを上記VTRにかけ、全長走行の繰り返しテストを
行い、予め記録された信号がヘッド目づまりのためにモ
ニターに現れなくなるまでの走行回数を測定した。
【0055】(粉落ち)上記ビデオテープを上記VTR
にて120分長の100回繰り返し連続再生した後、ヘ
ッドチップ付近における摩耗粉の付着状態を観察し、
○、△、×の3段階で評価した。ここで、○:摩耗粉の
付着がない状態、△:ヘッドチップに多少の摩耗粉が見
られる状態、×:摩耗粉がヘッドチップに付着して、ヘ
ッドクロッグが発生している状態、をそれぞれ表す。
【0056】(実施例2,3,4,5,6)実施例1で
用いた磁性塗料の組成における環状エステル変性セルロ
ース誘導体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びポリ
ウレタン樹脂の添加量を表1に示すように変化させ、環
状エステル変性セルロース誘導体をCo変性γ−Fe2
3粉と混練して前処理を施した後、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体は他の成分とともに溶剤に混合、分散さ
せた以外、実施例1と同様にしてサンプルテープを作製
した。評価結果は表2に示した。
【0057】(比較例1,2)実施例1で用いた磁性塗
料の組成における環状エステル変性セルロース誘導体及
びその添加量に代え、表1に示した他のセルロース誘導
体の結合剤とその添加量に従い、その他は実施例2と同
様にしてサンプルテープを作製した。なお、磁性塗料の
調製に当たっては、表1の比較例1においては磁性粉末
と結合剤(ニトロセルロース)との混練は行わず、比較
例2においては、セルロース誘導体とCo変性γ−Fe
23粉とを予め混練する前処理を施した。評価結果は表
2に示した。
【0058】(比較例3)実施例1で用いた磁性塗料の
組成における環状エステル変性セルロース誘導体を使用
せず、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びポリウレタ
ン樹脂を表1に示すような添加量で使用し、予め塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体をCo変性γ−Fe23粉と
混練して前処理を施した以外、実施例1と同様にしてサ
ンプルテープを作製した。評価結果は表2に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】表2の比較例1〜3から明らかなように、
磁性塗料中の結合剤として環状エステル変性セルロース
誘導体を使用しない場合は、磁性塗料の各成分の低分散
性のためと考えられるが、良好な静磁気特性、電磁変換
特性を確保することが出来ないことがわかる。また、比
較例1のように、結合剤としてニトロセルロースを用い
た場合には、十分な耐久性を確保することができるもの
の、安全性上の点からニトロセルロースを混練工程で投
入することができないために残留磁束密度Brが低くな
り、電磁変換特性が悪化した。更に、比較例3のように
セルロース誘導体系樹脂を用いない場合では、ヘッドへ
の粉落ちや走行耐久性が低下した。又、各実施例及び各
比較例の結果からわかるように、磁性塗料中の結合剤と
して環状エステル変性セルロース誘導体を使用し、しか
もこれを予め磁性粉末と混練する前処理をした場合は、
このような結合剤を使用せず、従って前記のような前処
理を施さなかった場合に比べて磁性表面がより平滑にな
り、電磁変換特性、なかでもビデオS/N及びクロマS
/Nが著しく向上することが判かる。
【0062】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、磁性層を構成する結合剤として環状エス
テル変性セルロース誘導体を使用しており、塗布型の磁
気記録材料の場合は磁性塗料の調製時における粘度の増
大を抑えつつ、従来環状エステル変性セルロース誘導体
が抱えていた分散性の悪さを改善することができる。こ
のため、分散性の良好な磁性層、又は磁性塗料を作製す
ることが可能となる。また、本発明に係る塗布型の磁気
記録材料の場合では、上記環状エステル変性セルロース
誘導体を予め磁性粉末とともに混練しているので、他の
結合剤との相溶性が良好となり、結合剤の組み合わせが
種々に選択できるようになる。従って、本発明によれ
ば、得られる磁気記録媒体において残留磁束密度Brや
ビデオS/N、クロマS/N等の特性が向上し、優れた
磁気特性、電磁変換特性、耐久性を確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る磁気記録媒体を磁性塗料の塗布
で作製する際の該磁性塗料の調製手順を示すフローチャ
ートである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを
    主成分とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体にお
    いて、該結合剤が環状エステル変性セルロース誘導体及
    び必要に応じて用いられる他の結合剤であることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 環状エステル変性セルロース誘導体が、
    水酸基含有セルロース誘導体に環状エステルが開環グラ
    フト重合してなる環状エステル変性セルロース誘導体で
    ある請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 セルロース誘導体が酢酸セルロースであ
    る請求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 環状エステルがε−カプロラクトンであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁性層が、環状エステル変性セルロース
    誘導体と磁性粉末との混練物と他の結合剤との分散混合
    物である磁性塗料の塗布により得られた層である請求項
    1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
JP2000016278A 2000-01-25 2000-01-25 磁気記録媒体 Pending JP2001209923A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000016278A JP2001209923A (ja) 2000-01-25 2000-01-25 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000016278A JP2001209923A (ja) 2000-01-25 2000-01-25 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001209923A true JP2001209923A (ja) 2001-08-03

Family

ID=18543441

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000016278A Pending JP2001209923A (ja) 2000-01-25 2000-01-25 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001209923A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022168445A1 (ja) * 2021-02-02 2022-08-11 株式会社村田製作所 複合構造体、積層セラミック電子部品前駆体、積層セラミック電子部品前駆体の製造方法、及び積層セラミック電子部品の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022168445A1 (ja) * 2021-02-02 2022-08-11 株式会社村田製作所 複合構造体、積層セラミック電子部品前駆体、積層セラミック電子部品前駆体の製造方法、及び積層セラミック電子部品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3339662B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2001209923A (ja) 磁気記録媒体
US5030481A (en) Process of producing magnetic recording medium
JPH02105322A (ja) 磁気記録媒体
JPH0766517B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0997429A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP3562591B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH07176035A (ja) 磁気記録媒体
JPH07192251A (ja) 磁気記録媒体
JP3385499B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH03141018A (ja) 磁気記録媒体
JPH09115132A (ja) 磁気記録媒体
JPH11279443A (ja) 非磁性塗料および非磁性塗料の製造方法ならびにこれを用いた磁気記録媒体
JPH10112020A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2003006840A (ja) 磁気記録媒体
JPH1055523A (ja) 磁気記録媒体
JPH11110742A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10149529A (ja) 磁気記録媒体
JPH01143012A (ja) 磁気記録媒体
JPH07176032A (ja) 磁気記録媒体
JP2005129144A (ja) 磁気記録媒体
JPH10172136A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH06215356A (ja) 磁気記録媒体
JPH10172137A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH10172138A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050822