JP2001208225A - 温調弁を備えた吐水器具 - Google Patents

温調弁を備えた吐水器具

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JP2001208225A
JP2001208225A JP2000019321A JP2000019321A JP2001208225A JP 2001208225 A JP2001208225 A JP 2001208225A JP 2000019321 A JP2000019321 A JP 2000019321A JP 2000019321 A JP2000019321 A JP 2000019321A JP 2001208225 A JP2001208225 A JP 2001208225A
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water
temperature
valve
temperature control
hot
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JP2000019321A
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Osamu Matsumoto
修 松本
Hiroshi Matsuda
宏 松田
Fumio Nishiguchi
文雄 西口
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Inax Corp
Nidec Corp
Nidec Powertrain Systems Corp
Original Assignee
Inax Corp
Nidec Corp
Nidec Tosok Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スプール弁体の軸方向移動により水側開口及び
湯側開口の開度を変化させて水と湯との混合量を変化さ
せ、混合水温度を調整する温調弁を備えた吐水器具にあ
って、安定した動作特性が得られるようにする。 【解決手段】吐水器具を、筒形のハウジング41と、
水,湯のそれぞれを混合室64に流入させる水側の開口
52及び湯側の開口54と、水側の弁部48及び湯側の
弁部50を一体的に有するスプール弁体46と、ハウジ
ング41内且つ水側の弁部48及び湯側の弁部50の後
側に形成される水側後室55及び湯側後室57とを備え
た温調弁36を有するものとなす。その温調弁36に
は、水側後室55と湯側後室57とを直接連絡してそれ
ら各室内の圧力をバランスさせる短絡流路61を設けて
おく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はキッチンや洗面
室,浴室,トイレ等に設置される水栓等の吐水器具に関
し、詳しくは混合水温度の調整を行う温調弁(温度調整
弁)を備えたものに関する。
【0002】
【発明の背景】従来より、水と湯とを混合し且つその混
合量を変化させることで混合水温度を調整し、以って吐
出口から所望の温度の混合水を吐水させるようになした
吐水器具が広く用いられている。ところでこの種従来一
般の吐水器具では、通常、温調弁における水側の開口と
湯側の開口とから混合室内に流入した水と湯との混合水
の温度を感温体にて感知し、その感知した温度に応じて
感温体を伸縮させて温調弁の弁体を補正動作させ、以っ
て混合水温度を設定された温度に合せるようになしてい
る。
【0003】これに対し、温調弁を別途の制御部で動作
制御するようになすとともに、温調弁からの混合水の温
度を温度センサにて検出し、そしてその検出結果を制御
部にフィードバックしてその制御部において、設定され
た温度と実際に検出された温度とを比較し、それらが一
致するまで制御部で温調弁の弁体を補正動作させるよう
にすることが考えられている。このようにすれば、吐出
口からの吐水の温度を従来に増して設定した温度、即ち
所望の温度に精度高く一致させることが可能となる。
【0004】この目的のためには、温調弁としてスプー
ル弁体を有するものを用いるのが好適である。即ちかか
る温調弁として、(イ)筒形のハウジングと、(ロ)ハウ
ジング内の滑り面で且つ軸方向の異なった位置で開口
し、水,湯のそれぞれをハウジング内の混合室に流入さ
せる水側の開口及び湯側の開口と、(ハ)滑り面に摺接
する水側の弁部及び湯側の弁部を一体的に有し、軸方向
の移動によりそれら各弁部によって水側の開口と湯側の
開口のそれぞれの開度を変化させ、混合室への水,湯の
流入量を変化させるスプール弁体と、(ニ)ハウジング
内且つ水側の弁部及び湯側の弁部に対し混合室と反対側
の後側に形成される水側後室及び湯側後室とを備えた温
調弁を用いるのが好適である。
【0005】このようにすれば、例えば温調弁にスプー
ル弁体と一体移動するプランジャと、そのプランジャを
電磁吸引するソレノイドコイルとを具備させることで、
そのソレノイドコイルへの通電及び通電量変化によりス
プール弁体を容易に軸方向移動及び移動量制御し得て混
合水温度を容易に調整でき、且つ制御部においてそのス
プール弁体の動作を容易に制御することができる。
【0006】ところで温調弁をこのようなスプール弁式
のものとしたとき、以下のような不都合の生じることが
判明した。即ちこのスプール弁式の温調弁の場合、水側
後室と湯側後室に水及び湯が入り込んで各室に圧力が発
生するが、一般に水の供給圧と湯の供給圧とは異なって
いるため(通常は水の供給圧の方が高い)、それら水側
後室内の圧力と湯側後室内の圧力との間で圧力差が生じ
(圧力がアンバランスとなり)、これに起因して温調弁
の動作が不安定なものになるといった問題を生ずるので
ある。
【0007】例えば、混合水温度を低温側から高温側へ
と変化させる場合と、高温側から低温側に変化させる場
合とで動作が異なったものとなる。具体的には同じ通電
量でソレノイドコイルに通電を行っても、低温側から高
温側に温度を変化させる場合とその逆の場合とでは混合
水温度が異なってしまうといった問題を生ずるのであ
る。
【0008】以上温調弁がプランジャ及びソレノイドコ
イルを有するものを例として説明したが、この種の問題
は、スプール弁体を他の電気的駆動手段にて駆動する場
合或いは場合によって手動で操作する場合においても操
作抵抗が混合水温度を低温側から高温側に変化させる場
合と高温側から低温側に変化させる場合とで異なってし
まうなど、上記圧力のアンバランスに起因して共通の問
題を生じ得る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の温調弁を備えた
吐水器具はこのような課題を解決するために案出された
ものである。而して請求項1のものは、(イ)筒形のハ
ウジングと、(ロ)該ハウジング内の滑り面で且つ軸方
向の異なった位置で開口し、水,湯のそれぞれを該ハウ
ジング内の混合室に流入させる水側の開口及び湯側の開
口と、(ハ)該滑り面に摺接する水側の弁部及び湯側の
弁部を一体的に有し、軸方向の移動によりそれら各弁部
によって前記水側の開口と湯側の開口のそれぞれの開度
を変化させ、該混合室への水,湯の流入量を変化させる
スプール弁体と、(ニ)前記ハウジング内且つ前記水側
の弁部及び湯側の弁部に対し前記混合室と反対側の後側
に形成される水側後室及び湯側後室と、を備えた温調弁
を有し、該温調弁において水と湯とを混合し且つ混合量
を変化させて吐出口からの吐水の温度を調整する吐水器
具であって、前記温調弁には、前記滑り面の外側で前記
水側後室と湯側後室とを直接連絡して、それら水側後室
及び湯側後室の圧力をバランスさせる短絡流路を設けて
あることを特徴とする。
【0010】請求項2のものは、請求項1において、前
記温調弁が、前記スプール弁体と一体移動する状態で設
けられた磁性材から成るプランジャと、該プランジャを
電磁吸引するソレノイドコイルと、該スプール弁体を該
ソレノイドコイルによる該プランジャの吸引方向と逆方
向に戻すための戻しスプリングとを有し、且つ該ソレノ
イドコイルへの通電量の変化に応じて電磁吸引力を変化
させ、該スプール弁体の移動量を連続的に若しくは段階
的に変化させる電磁制御弁であることを特徴とする。
【0011】請求項3のものは、請求項1,2の何れか
において、前記温調弁の動作を制御する制御部と、温調
操作部とを設け、混合水温度が該温調操作部で設定され
た温度となるように該制御部において該温調弁の動作を
制御するようになしてあることを特徴とする。
【0012】請求項4のものは、請求項3において、混
合水の温度を検出する温度センサが設けてあり、該温度
センサにより検出した温度と前記設定された温度とが一
致するように前記制御部において前記温調弁の動作を制
御するようになしてあることを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】上記のように請求項1のもの
は、温調弁における筒形ハウジング内の滑り面の外側
で、上記水側後室と湯側後室とを直接連絡してそれら水
側後室及び湯側後室の圧力をバランスさせる短絡流路を
設けたもので、この吐水器具にあっては、その短絡流路
によって常時水側後室と湯側後室の圧力がバランスした
状態に保たれるため、それら水側後室及び湯側後室の圧
力のアンバランスに起因してスプール弁式の温調弁の動
作が不安定化するといった問題を解消することができ
る。
【0014】本発明は、温調弁をスプール弁体,プラン
ジャ,ソレノイドコイル,戻しスプリングを備えた電磁
制御弁となした場合に適用して特に効果の大なるもので
あり(請求項2)、この場合、温調弁をその入力信号
(通電量)に応じて適性に動作させることが可能とな
る。
【0015】更に本発明は、吐水器具が制御部と温調操
作部とを備え、混合水温度がその温調操作部で設定され
た温度となるように制御部において温調弁を制御するよ
うになした吐水器具に適用して好適なものである(請求
項3)。
【0016】この場合において吐水器具には更に、混合
水の温度を検出する温度センサを設けておき、その温度
センサにより検出した温度と設定された温度とが一致す
るように制御部において温調弁を制御するようになして
おくことができる(請求項4)。このようにすることで
吐水の温度をより正確に設定温度、即ち所望温度に一致
させることができるようになる。
【0017】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図1は本例の吐水器具の概略全体構成を示し
たもので、図中10は吐水部、12は吐水部10から離
隔して配設された本体機能部である。
【0018】吐水部10は取付面14から起立してお
り、大径の基部16と延出管18とを有している。延出
管18は概略直角に湾屈曲しており、その先端に吐出口
20を有している。吐水部10はこの吐出口20から外
部に吐水を行う。
【0019】吐水部10の先端部には吐止水操作部22
が設けられており、更にその近傍において流調操作部2
4が、更に基部16に温調操作部26が設けられてい
る。ここで吐止水操作部22はオン・オフスイッチ操作
式のものとされており、この吐止水操作部22のオン操
作とオフ操作とによって、吐出口20からの吐水と止水
とが行われる。
【0020】流調操作部24はダイヤル操作部とされて
おり、その回転操作によって吐出口20からの吐水の流
量調整が行われるようになっている。一方基部16に設
けた温調操作部26はスライド操作部とされており、こ
れを図中上向きにスライド移動させることで吐出口20
からの吐水の温度が高温側に調整され、また下向きのス
ライド移動によって吐水の温度が低温側に調整される。
尚温調操作部26はスリット28に沿って上下方向にス
ライド可能とされている。
【0021】本体機能部12には水と湯の管路30,3
2が接続されており、それらを通じて本体機能部12に
水と湯が供給される。それら供給された水と湯とは本体
機能部12にて混合され、管路34を通じて吐水部10
へと送られる。
【0022】本体機能部12は、図2に示しているよう
に温調弁(温度調整弁)36,流調弁(流量調整弁)3
8及び吐止水弁40を有しており、それらが一体に組み
付けられている。ここで温調弁36は、入力信号の連続
的な変化によって弁体の動作量を連続的に変化させる電
磁比例制御弁とされており、また流調弁38も同様に入
力信号の連続的な変化に応じて弁体の動作量を連続的に
変化させる電磁比例制御弁とされている。一方吐止水弁
40は、入力信号の有無に応じて弁体を開閉動作させる
電磁開閉弁とされている。
【0023】温調弁36は、筒形のハウジング41と、
水側,湯側の流入口42,44と、ハウジング41内の
円筒形滑り面で且つ軸方向の異なった位置で開口し、
水,湯のそれぞれをハウジング41内の後述の混合室6
4内に流入させる水側の開口52及び湯側の開口54
と、流入口42,44及び開口52,54を通じて流入
する水と湯との混合比率を変化させるスプール弁体46
とを有している。スプール弁体46は、水側の弁部48
と湯側の弁部50とを有しており、それら弁部48,5
0が円筒形滑り面に内接しつつ図中左右方向に摺動可能
とされている。
【0024】而してこのスプール弁体46は、それら弁
部48,50の軸方向移動によって、水側の流入口42
に連通した水側の開口52と、湯側の流入口44に連通
した湯側の開口54との開度を変化させ、その開度変化
に応じて混合室64への水と湯の流入量を制御し、以っ
て混合水の温度を調整する。
【0025】筒形のハウジング41内には、水側の弁部
48,湯側の弁部50に対し混合室64とは反対側の後
側に水側後室55及び湯側後室57がそれぞれ形成され
ている。また水側の弁部48,湯側の弁部50のそれぞ
れには、図3(B)にも示しているようにこれを軸方向
に貫通する小孔径の連通孔59が形成されている。図3
(B)に示しているように、本例においては円筒形滑り
面の外側で上記水側後室55と湯側後室57とを直接連
絡して、それら水側後室55及び湯側後室57の圧力を
バランスさせる短絡流路61が設けられている。
【0026】この温調弁36は、スプール弁体46と軸
方向に一体移動する状態で設けられた磁性材から成るプ
ランジャ56と、そのプランジャ56を軸方向に電磁吸
引するソレノイドコイル58とを有している。而してこ
の温調弁36の場合、ソレノイドコイル58への通電量
の大小変化に応じてプランジャ56に対する電磁吸引力
を連続的に変化させ、以ってスプール弁体46の図中右
方向への移動量(動作量)を連続的に変化させる。
【0027】尚、プランジャ56にはスプリング(戻し
スプリング)60の一端が当接させてあるとともに、水
側の弁部48にもスプリング63の一端が当接させてあ
り、スプール弁体46及びプランジャ56は、それら一
対のスプリング60,63によって互いに逆向きに付勢
されている。ここで一方のスプリング60は、プランジ
ャ56に対するソレノイドコイル58の電磁吸引力とは
反対向きにスプール弁体46を付勢し、これを押し戻す
ためのものである。
【0028】尚この温調弁36において、スプール弁体
46は通常時には湯側の弁部50が湯側の開口54を完
全閉鎖し、水側の弁部48が水側の開口52を開放した
状態にある。この状態でソレノイドコイル58に通電が
行われることで、電磁吸引力によりスプール弁体46が
図中右向きに移動させられる。またその移動量はソレノ
イドコイル58への通電量の大小に応じて決定される。
【0029】温調弁36において混合室64で混合され
た混合水は、図2に示しているように内部流路62を通
じて流調弁38へと送られる。流調弁38は、内部流路
62に連通した開口66と、弁体(スプール弁体)68
と、弁体68と軸方向に一体移動する状態で設けられた
磁性材から成るプランジャ70と、そのプランジャ70
を電磁吸引力により軸方向に吸引するソレノイドコイル
72とを有しており、そのソレノイドコイル72による
プランジャ70に対する電磁吸引力の大小に応じて弁体
68を軸方向に移動させ、その移動量に応じて開口66
の開度を連続的に変化させるものとされている。そして
その開口66の開度の連続的な変化に応じて、吐出口2
0からの吐水の流量を連続的に調整する。
【0030】尚、この流調弁38においてもプランジャ
70に対しスプリング74の一端が当接させてあり、弁
体68が常時図中左向きに付勢されている。その移動端
はプランジャ70に対するストッパ76の当接によって
規定される。
【0031】この流調弁38においては、通常時には弁
体68が開口66を閉鎖した状態にあり、この状態でソ
レノイドコイル72に通電が行われることによって電磁
吸引力により弁体68が図中右向きに移動し、開口66
をその移動量に応じた開度で開放する。
【0032】この流調弁38を通過した混合水は、内部
流路78を通じて吐止水弁40へと送られる。吐止水弁
40は、ダイヤフラム式の主弁体80を有しており、そ
の主弁体80の弁座82への当接及び離間により水路を
遮断し又は開放する。
【0033】この主弁体80の上流側には、主弁体80
を貫通する小孔径の導入孔84を通じて内部流路78に
連通した背圧室86が形成されており、通常時において
主弁体80はこの背圧室86内部の圧力によって弁座8
2に当接した状態、即ち水路を遮断した状態にある。
【0034】この例において、吐止水弁40は主弁体8
0を貫通して設けられた小孔径の排出孔88を開閉する
パイロット弁体90と、そのパイロット弁体90と一体
的に軸方向に移動する状態で設けられた磁性材から成る
プランジャ92及びそのプランジャ92を電磁吸引する
ソレノイドコイル93とを有している。
【0035】この吐止水弁40の場合、ソレノイドコイ
ル93に通電が行われるとプランジャ92が軸方向且つ
図中下向きに吸引され、パイロット弁体90が開弁運動
する。すると背圧室86内部の混合水が排出孔88を通
じて主弁体80の下流側に流出し、ここにおいて主弁体
80に対する背圧室86の圧力が低下する。これにより
主弁体80が内部流路78の給水圧により開弁運動し、
内部流路78からの混合水を主弁体80の下流側の内部
流路94を通じて流出口96から流出させる。
【0036】尚、流調弁38の下流部には混合水温度を
検出するための温度センサ98が配設されており、その
検出信号が後述の制御部100(図4)へと入力され
る。制御部100はこれを受けて、実際の検出温度と設
定された温度との比較を行い、そしてそれらを一致させ
るように温調弁36を調整動作させる。
【0037】図4に上記本体機能部12の概略全体構成
が示してある。同図に示しているようにこの本体機能部
12は制御部100を有している。上記の吐止水操作部
22,流調操作部24及び温調操作部26からの操作信
号はこの制御部100に入力され、これを受けて制御部
100は温調弁36,流調弁38及び吐止水弁40に制
御信号を入力する。これに基づいて温調弁36,流調弁
38及び吐止水弁40が動作し且つその動作が制御部1
00からの入力信号の変化に応じて制御される。
【0038】詳しくは、温調操作部26の操作量に応じ
て温調弁36への入力信号が連続的に変化させられ、具
体的にはその温調弁36におけるソレノイドコイル58
への通電量が連続的に変化させられ、これに応じてその
温調弁36におけるスプール弁体46の移動量が連続的
に変化させられる。つまり温調弁36による温度調整が
無段階で連続的に行われる。
【0039】また流調操作部24の操作量に応じて流調
弁38への入力信号が連続的に変化させられる。具体的
には流調弁38におけるソレノイドコイル72への通電
量が連続的に変化させられ、これに応じて弁体68の移
動量が連続的に変化させられて流量調整が無段階で連続
的に行われる。
【0040】一方吐止水弁40については、制御部10
0からの入力信号の有無により吐止水弁40が開閉動作
させられる。尚、前述したように制御部100には温度
センサ98からの検出信号が入力され、これによって温
調弁36のフィードバック制御が行われる。
【0041】上記吐止水操作部22の具体的構造が図5
に示してある。同図に示しているように、この吐止水操
作部22は作用部102を有しており、図中二点鎖線で
示しているように吐止水操作部22が上向きに押上操作
されると、その作用部102が下向きに押し下げられて
スイッチ104を押し、これをオン動作させる。そして
その信号が上記本体機能部12における制御部100に
入力される。また一方吐止水操作部22を図中下向きに
押下操作すると、これとは反対に作用部102が上向き
に回動してスイッチ104をオフ動作させる。
【0042】一方流調操作部24は、図1及び図5に示
しているようにダイヤル式の小さな回転摘みとして構成
されており、これを回転操作すると図7(B)に示して
いるように可動片108が点線で示すように軸112回
りに回転運動し、抵抗体110における電気抵抗を変化
させる。そしてその抵抗値の変化に応じて流調弁38へ
の入力値を連続的に変化させる。
【0043】図6にスライド操作部である温調操作部2
6及びその周辺部の構造が詳しく示してある。同図に示
しているように温調操作部26からは軸114が延び出
しており、この軸114が温調操作部26と一体に上下
方向にスライド移動する。
【0044】軸114には可撓性を有するスライドシー
ト116が連結されており、軸114が温調操作部26
とともにスライド移動すると、このスライドシート11
6がハウジング118に形成されたスリット28を閉鎖
状態に保ちつつ、ガイドレール122に沿ってスライド
移動する。尚、124は防水シートであり、126は吐
水部10を貫通して延びる混合水流通用のチューブであ
る。
【0045】ハウジング118の内部には抵抗器128
が配設されている。そして軸114が温調操作部26と
一体に上下方向にスライド移動すると、図7(A)に示
しているように可動片130が点線で示すように図中左
右方向(実際には上下方向)にスライド移動し、抵抗体
132における電気抵抗を変化させる。そしてその抵抗
値の変化に応じて、温調弁36への入力値が連続的に変
化する。
【0046】尚、スライド操作部としての温調操作部2
6は、図1に示しているように吐水部10の側面に設け
られており、そして温度表示部134がその前面に設け
られている。詳しくは、吐水部10の側面に突出状態で
設けられたハウジング118の前面に設けられている。
【0047】次に本例の吐水器具の作用を図8〜図13
を参照しつつ説明する。本例の吐水器具にあっては、図
8(I)及び図11(I)に示しているように、温調弁
36は通常は湯側の開口54を閉、水側の開口52を開
とする位置にスプール弁体46が位置しており、水のみ
が流通可能とされている。
【0048】この状態で(厳密には吐止水操作部22が
オン操作された状態の下で)温調操作部26がスライド
操作されると、ソレノイドコイル58への通電が行われ
てプランジャ56が軸方向に吸引され、これとともにス
プール弁体46が図中右方向に移動する。その移動量は
温調操作部26の操作量、即ちソレノイドコイル58へ
の通電量の大小によって決定され、そしてその移動量に
応じて湯側の開口54及び水側の開口52の開度をそれ
ぞれ変化させ、混合水温度を設定された温度に調整す
る。
【0049】具体的には、温調操作部26の操作量が少
なく、従ってソレノイドコイル58への通電量が少ない
ときには、スプール弁体46は図8(I)及び図11
(I)に示す状態から僅かに図中右方向に移動し、これ
によって水側の開口52と湯側の開口54とをそれぞれ
ともに所定開度で開放する(図8(II),図11(II)参
照)。ここにおいて水と湯とが混合室64で混合され、
内部流路62を通じて流調弁38の側へと送られる。
【0050】また温調操作部26を更に大きくスライド
操作すると、ソレノイドコイル58への通電量が増し
て、スプール弁体46が更に図中右方向に大きく移動
し、図8(III)及び図11(III)に示しているように
水側の開口52を閉鎖するとともに湯側の開口54を開
放し、湯のみを流通させる。
【0051】一方流調弁38は、通常は開口66を閉鎖
した位置に弁体68が位置しており、ダイヤル操作式の
流調操作部24を回転操作すると(但し吐止水操作部2
2がオン操作されているとき)、ここにおいて図9及び
図12に示しているように流調弁38におけるソレノイ
ドコイル72への通電が行われてプランジャ70がソレ
ノイドコイル72により軸方向に吸引され、これととも
に弁体68が軸方向に移動して、開口66をその移動量
に応じた開度で開放する。これにより内部流路62から
内部流路78へと混合水が流れ出し、吐止水弁40へと
送られる。
【0052】この流調弁38を通過する混合水の流量
は、流調操作部24の操作量に応じて変化するソレノイ
ドコイル72への通電量の増大変化に応じて変化し、こ
れにより図9(I)〜(III)及び図12(I)〜(III)に示す
ように流量の連続的な調整が行われる。
【0053】一方吐止水弁40については、吐止水操作
部22をオン操作したところでソレノイドコイル93へ
の通電が行われてパイロット弁体90が開弁運動し、続
いて主弁体80が開弁運動して水路が開き、吐出口20
に対して混合水が送られた後、その吐出口20から外部
に所定温度の混合水が吐水される(図10(II),図13
(II)参照)。
【0054】また一方吐止水操作部22をオフ操作する
と、ソレノイドコイル93への通電が停止し、ここにお
いてパイロット弁体90が閉弁運動し、引き続いて主弁
体80が閉弁運動して水路が遮断され、吐出口20から
の吐水が停止する(図10(I),図13(I)参照)。
【0055】以上のように本例によれば、水側後室55
及び湯側後室57の圧力をバランスさせる短絡流路61
を設けることで、常時水側後室55と湯側後室57の圧
力をバランスした状態に保つことができ、従ってそれら
水側後室55及び湯側後室57の圧力のアンバランスに
起因してスプール弁式の温調弁36の動作が不安定化す
るといった問題を解消することができる。
【0056】因みに図14は、温調弁36において水側
後室55と湯側後室57とを直接連絡する短絡流路61
を設けた場合の効果の確認試験をしたときの結果を表し
ている。ここで横軸はソレノイドコイル58への通電時
の電流値を、また縦軸は混合室64への水,湯の流入量
を表している。
【0057】但し図中曲線A−1は混合水温度を低温側
から高温側に変化させたときの水の流入量の変化を、ま
たA−2は逆に高温側から低温側に混合水温度を変化さ
せたときの水の流入量を表しており、またB−1は混合
水温度を低温側から高温側に変化させたときの湯の流入
量を、更にB−2は逆に高温側から低温側に混合水温度
を変化させたときの湯の流入量をそれぞれ表している。
【0058】他方図15は、上記のような短絡流路61
を設けない場合の試験結果を表したもので、図中a−
1,a−2,b−1,b−2がそれぞれ図14における
A−1,A−2,B−1,B−2にそれぞれ対応してい
る。
【0059】これらの結果に示されているように、短絡
流路61を設けない場合には、混合水温度を低温側から
高温側に変化させる場合と高温側から低温側に変化させ
る場合とで、同じ電流値の下においても水,湯の流入量
がそれぞれ異なった量となり、温調弁36の動作が不安
定であるのに対し、本実施例に従って短絡流路61を設
けた場合、図14の結果に表れているように混合水温度
を低温側から高温側に変化させる場合にも、また逆に高
温側から低温側に変化させる場合にも、水,湯の流入量
は同一の電流値の下でほぼ同一になり、温調弁36の動
作が安定したものになることが分かる。
【0060】本例ではまた、吐水器具に混合水の温度を
検出する温度センサ98を設け、その温度センサ98に
より検出した温度と設定された温度とが一致するように
制御部100において温調弁36を制御するようにして
おり、これにより吐水の温度をより正確に設定温度、即
ち所望温度に一致させることができる。
【0061】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示である。例えば本発明は本体機能部が吐水
部の内部に組み込まれたものに対しても適用可能である
し、またシャワーヘッドその他ホースとともに移動可能
な他の形態の吐水部を備えた吐水器具に対して適用する
ことも可能ある。
【0062】また本発明においては、温調弁36におけ
るスプール弁体46をプランジャ56に対する電磁吸引
力により段階的に移動させ、以って混合水温度を段階的
に変化させるようになすことも可能であるし、或いはま
た上例では温調弁36,流調弁38及び吐止水弁40を
それぞれ電磁弁にて構成しているが、場合によって電気
的に駆動される他の形態の弁とすることも可能であるな
ど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変
更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である吐水器具の概略全体構
成を示す図である。
【図2】同じ実施例の本体機能部の各弁の構成を示す図
である。
【図3】図2の要部を拡大して示す図である。
【図4】同じ実施例の本体機能部の概略構成を示すブロ
ック図である。
【図5】同じ実施例の吐止水操作部及び流調操作部の構
造を示す図である。
【図6】同じ実施例の温調操作部とその周辺部の構造を
示す図である。
【図7】同じ実施例の温調操作部及び流調操作部の作用
説明図である。
【図8】同じ実施例の吐水器具の作用を模式的に示す図
である。
【図9】図8に続く図である。
【図10】図9に続く図である。
【図11】同じ実施例の温調弁の作用説明図である。
【図12】同じ実施例の流調弁の作用説明図である。
【図13】同じ実施例の吐止水弁の作用説明図である。
【図14】同じ実施例の効果の確認試験の結果を表した
図である。
【図15】同じ実施例において短絡流路を設けない場合
の図14に相当する比較例図である。
【符号の説明】
20 吐出口 26 温調操作部 36 温調弁 41 ハウジング 46 スプール弁体 48,50 弁部 52,54 開口 55 水側後室 56 プランジャ 57 湯側後室 58 ソレノイドコイル 60 スプリング(戻しスプリング) 61 短絡流路 64 混合室 98 温度センサ 100 制御部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16K 31/46 F16K 31/46 B (72)発明者 松本 修 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 松田 宏 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 西口 文雄 神奈川県座間市相武台2丁目215番地 日 本電産トーソク株式会社内 Fターム(参考) 3H052 BA13 CA02 CA12 DA03 DA04 EA02 3H053 AA13 BA12 BC03 CA03 CA04 DA02 3H063 AA09 BB07 BB10 BB24 CC03 DA05 DA14 DA17 FF02 FF06 GG06 3H067 AA17 AA32 AA38 BB02 BB12 CC05 CC08 DD03 DD05 DD13 DD23 DD24 DD32 DD35 DD37 DD49 EA14 EC04 EC08 FF02 FF12 GG13 3H106 DA02 DA12 DA22 DA32 DA34 DB02 DB22 DB32 DC09 EE08 HH03 HH05 KK07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)筒形のハウジングと、(ロ)該ハウ
    ジング内の滑り面で且つ軸方向の異なった位置で開口
    し、水,湯のそれぞれを該ハウジング内の混合室に流入
    させる水側の開口及び湯側の開口と、(ハ)該滑り面に
    摺接する水側の弁部及び湯側の弁部を一体的に有し、軸
    方向の移動によりそれら各弁部によって前記水側の開口
    と湯側の開口のそれぞれの開度を変化させ、該混合室へ
    の水,湯の流入量を変化させるスプール弁体と、(ニ)
    前記ハウジング内且つ前記水側の弁部及び湯側の弁部に
    対し前記混合室と反対側の後側に形成される水側後室及
    び湯側後室と、を備えた温調弁を有し、該温調弁におい
    て水と湯とを混合し且つ混合量を変化させて吐出口から
    の吐水の温度を調整する吐水器具であって、 前記温調弁には、前記滑り面の外側で前記水側後室と湯
    側後室とを直接連絡して、それら水側後室及び湯側後室
    の圧力をバランスさせる短絡流路を設けてあることを特
    徴とする温調弁を備えた吐水器具。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記温調弁が、前記
    スプール弁体と一体移動する状態で設けられた磁性材か
    ら成るプランジャと、該プランジャを電磁吸引するソレ
    ノイドコイルと、該スプール弁体を該ソレノイドコイル
    による該プランジャの吸引方向と逆方向に戻すための戻
    しスプリングとを有し、且つ該ソレノイドコイルへの通
    電量の変化に応じて電磁吸引力を変化させ、該スプール
    弁体の移動量を連続的に若しくは段階的に変化させる電
    磁制御弁であることを特徴とする温調弁を備えた吐水器
    具。
  3. 【請求項3】 請求項1,2の何れかにおいて、前記温
    調弁の動作を制御する制御部と、温調操作部とを設け、
    混合水温度が該温調操作部で設定された温度となるよう
    に該制御部において該温調弁の動作を制御するようにな
    してあることを特徴とする温調弁を備えた吐水器具。
  4. 【請求項4】 請求項3において、混合水の温度を検出
    する温度センサが設けてあり、該温度センサにより検出
    した温度と前記設定された温度とが一致するように前記
    制御部において前記温調弁の動作を制御するようになし
    てあることを特徴とする温調弁を備えた吐水器具。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002138541A (ja) * 2000-11-06 2002-05-14 Toto Ltd 自動水栓装置
CN100458245C (zh) * 2007-04-29 2009-02-04 苏州市中新动力设备辅机有限公司 系统平衡稳流阀
JP2011506861A (ja) * 2007-12-06 2011-03-03 リヴリン,エイタン 低電力の電動サーモスタット式混合弁
CN104019254A (zh) * 2014-06-19 2014-09-03 泉州安科卫浴有限公司 一种按键式淋浴器
CN108662182A (zh) * 2017-03-29 2018-10-16 何永 智能淋浴阀

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