JP2001205482A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Info

Publication number
JP2001205482A
JP2001205482A JP2000009909A JP2000009909A JP2001205482A JP 2001205482 A JP2001205482 A JP 2001205482A JP 2000009909 A JP2000009909 A JP 2000009909A JP 2000009909 A JP2000009909 A JP 2000009909A JP 2001205482 A JP2001205482 A JP 2001205482A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flux
wire
cored wire
welding
arc welding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000009909A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Kamata
政男 鎌田
Rikiya Takayama
力也 高山
Takeo Adachi
武夫 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd filed Critical Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Priority to JP2000009909A priority Critical patent/JP2001205482A/ja
Publication of JP2001205482A publication Critical patent/JP2001205482A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 CaF2に起因する溶接作業性劣化という基
本的な問題点を解決し、CaF2系あるいはCaF2を相
当量含むフラックス入りワイヤを、シールドガスにCO
2ガス及びAr−CO2混合ガスのいずれを用いて使用し
た場合でも、良好な溶接作業性の下に優れた衝撃靭性及
び耐プライマ性が得られるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤの提供。 【解決手段】 鋼製外皮内に、ワイヤ全質量に対して、
CaF2:1.0〜5.0%、アルカリ金属及び/又は
アルカリ土類金属とTiとの複合酸化物もしくはアルカ
リ金属及び/又はアルカリ土類金属とTi及びSiとの
複合酸化物の1種又は2種:0.3〜3.5%を含むフ
ラックスが充填されていることを特徴とするガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤ、また、上記フラ
ックス入りワイヤはCaF2/上記複合酸化物=1.0
〜5.0を満たすフラックスが充填されていること、さ
らには、ワイヤの全水素量が90ppm以下であり、ま
た炭酸塩を2%以下含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高張力鋼、低温用
鋼などの溶接鋼構造物の製造に使用して、溶接作業性が
良好で、優れた衝撃靭性の溶接金属が得られるガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤ及びプライマ塗
装鋼板のすみ肉溶接に使用して良好な溶接作業性と優れ
た耐プライマ性が得られるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤ(以下、フラックス入りワイヤとい
う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】造船、鉄骨、橋梁等の各種溶接鋼構造物
においては、溶接金属の衝撃靭性がきびしく管理され
る。また、すみ肉溶接の比率が高く、それら鋼材の多く
には無機ジンクプライマやウオッシュプライマが塗装さ
れているため、ピットやガス溝の発生が問題となる。こ
れらの製造に使用するフラックス入りワイヤについて種
々の提案がある。
【0003】まず、衝撃靭性の改善に対して、例えば特
公昭59−44159号公報では溶接金属の酸素量低減
とTi、B添加によるミクロ組織微細化により衝撃靭性
の向上を図ったTiO2系フラックス入りワイヤが、そ
して、特開平9−57488号公報、特許第25283
11号公報ではCaF2を主成分にして、さらに低温域
の衝撃靭性を改善したフラックス入りワイヤが提案され
ている。
【0004】上記TiO2系フラックス入りワイヤはル
チール鉱石を主成分とするもので、全姿勢溶接性、スパ
ッタ、ビード形状などの溶接作業性が良好であるが、T
iO 2及びその他の酸化物の影響で溶接金属の酸素量が
高くなり、低温域の衝撃靭性が制約される。一方、Ca
2系フラックス入りワイヤは、Ar−CO2混合ガスと
組合せて主に下向や横向の継手溶接及び水平すみ肉溶接
に使用され、塩基性スラグを生成し溶接金属の酸素量を
格段に低く出来るので低温域まで高い衝撃靭性が得られ
る。
【0005】他方、耐プライマの改善に対しては、例え
ば特開昭64−5699号公報では高水素TiO2系フ
ラックス入りワイヤが、特開平3−180298号公報
では弗化物や炭酸塩を含有させた低水素乃至中水素Ti
2系フラックス入りワイヤが提案されている。また特
開平9−239587号公報で提案されている低水素C
aF2系フラックス入りワイヤは、無機ジンクプライマ
塗装鋼板の高速化や特に耐プライマ性が問題になるウオ
ッシュプライマ塗装鋼板対応として提案されたものであ
る。
【0006】しかしながら、従来のCaF2系フラック
ス入りワイヤはシールドガスに安価なCO2ガスを用い
た場合のアーク状態、スパッタ、ビード形状などの溶接
作業性が悪く、このためシールドガスに高価なAr−C
2混合ガスを用いることが一般的であった。また、A
r−CO2混合ガスを用いた場合でも、衝撃靭性を確保
するために溶接電流を低くして溶接入熱制限下で行う開
先内の多層盛り溶接では、1パス溶接毎にグラインダー
研磨により開先内面や溶接ビード表面に付着したスパッ
タの除去やビード平滑化処理が行われている。TiO2
を主成分にしてCaF2を含有するフラックス入りワイ
ヤにおいても、溶接金属の衝撃靭性や耐プライマ性向上
のためにCaF2を増加させていくと同様に溶接作業性
の劣化が顕著となる。また、上記特開平9−23958
7号公報による低水素CaF2系フラックス入りワイヤ
についても、プライマ塗装膜厚のばらつきや溶融金属の
凝固が速くなりガス放出がきびしい条件となる厚板の場
合の耐プライマ性の向上が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、CaF2
あるいはCaF2を相当量含むフラックス入りワイヤ
を、シールドガスにCO2ガス及びAr−CO2混合ガス
のいずれを用いて使用した場合でも、良好な溶接作業性
の下に優れた衝撃靭性及び耐プライマ性が得られるガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく研究した結果、CaF2を含有するフラ
ックス入りワイヤの溶接作業性の改善には、アーク安定
剤及びスラグ形成剤として作用するアルカリ金属及び/
又はアルカリ土類金属とTiとの複合酸化物もしくはア
ルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とTi及びSi
との複合酸化物を含有させることが極めて効果的である
との知見を得て本発明を完成したものである。
【0009】本発明の要旨は、以下に示す通りである。
【0010】(1) ガスシールドアーク溶接用フラッ
クス入りワイヤにおいて、鋼製外皮内に、ワイヤ全質量
に対して、CaF2:1.0〜5.0%、アルカリ金属
及び/又はアルカリ土類金属とTiとの複合酸化物もし
くはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とTi及
びSiとの複合酸化物(以下、総称してアルカリTiO
2複合酸化物という)の1種又は2種:0.3〜3.5
%を含むフラックスが充填されていることを特徴とする
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0011】(2) CaF2/上記アルカリTiO2
合酸化物=1.0〜5.0を満たすフラックスが充填さ
れていることを特徴とする上記(1)に記載のガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0012】(3) ワイヤの全水素量が90ppm以
下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載
のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0013】(4) フラックス中に炭酸ソーダ、炭酸
カリ、炭酸リチウム、炭酸カルシウムから選択した少な
くとも1種の炭酸塩を合計で2%以下含有することを特
徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0014】(5) シームレスフラックス入りワイヤ
であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれ
か1つに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤ。
【0015】
【発明の実施の形態】CaF2を含有する従来のフラッ
クス入りワイヤを使用してCO2ガスシールドアーク溶
接した場合、ワイヤ先端に溶滴粒が大きく成長し溶滴移
行性が悪く、アーク状態が不安定で大粒のスパッタが発
生する。Ar−CO2混合ガスを用いた場合でも溶接電
流を低くして溶接すると同様にアーク状態が不安定にな
り大粒のスパッタが発生する。
【0016】また、継手溶接金属の酸素量低減やすみ肉
溶接の耐プライマ性を確保するためには、CaF2に対
するTiO2、SiO2、Al23及びMgOなどの酸化
物の含有量を制限しなければならず、その溶融スラグは
粘性が小さく流動性が過剰で、特に不安定なアーク状態
下では溶接中に溶融スラグの先行や過度の後退などが不
連続的に起こり、溶融プールが安定せず、開先内溶接で
スラグ巻き込み欠陥が発生したり、水平すみ肉溶接でス
ラグ被包性が悪くなり良好なビード形状、外観が得られ
ない。
【0017】これに対し、本発明者らは、CaF2を含
有するフラックス入りワイヤの溶接作業性の改善には、
アーク安定剤及びスラグ形成剤として作用するアルカリ
TiO2複合酸化物を含有させることが極めて効果的で
あるとの知見を得て本発明を完成したものである。
【0018】すなわち、CaF2系フラックス入りワイ
ヤにNa2O−TiO2系(チタン酸ソーダ)、K2O−
TiO2系(チタン酸カリ)、Li2O−TiO2系(チ
タン酸リチウム)、Na2O−SiO2−TiO2系(チ
タン酸珪酸ソーダ)、K2O−SiO2−TiO2系(チ
タン酸珪酸カリ)、Li2O−SiO2−TiO2系(チ
タン酸珪酸リチウム)などのアルカリTiO2複合酸化
物を含有させることにより、ワイヤ先端の溶滴が細粒化
し安定したアーク状態となり、スパッタは小粒で顕著に
減少すること、また溶融プールも安定し良好なビード形
成が出来ることがわかった。
【0019】上記アルカリTiO2複合酸化物によるア
ーク状態の安定化効果は、従来からフラックス入りワイ
ヤのアーク安定剤として汎用されている氷晶石、カリ長
石、珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウム、NaF、K
Fなどの原料を含有させた場合、あるいは上記のような
従来のアーク安定剤原料とアーク安定化作用のあるTi
2をルチール鉱石やチタンスラグ原料から供給して含
有させた場合には得られない高い水準のものであること
を確認した。
【0020】溶融プールが安定しビード形成が良好にな
ったことは、上記アーク状態の安定化に加えて、アルカ
リTiO2複合酸化物がスラグ形成剤としても効果的に
作用し、溶融スラグの流動性及び凝固温度が調整された
ことによるもので、この結果、開先内溶接におけるスラ
グ巻き込み欠陥の防止やビードの平滑化、水平すみ肉溶
接におけるスラグ被包性が向上しビード形状、外観が良
好になった。なお、アルカリTiO2複合酸化物の含有
量が少なすぎた場合やTiO2をルチール鉱石やチタン
スラグのような原料だけから供給した場合には、溶融ス
ラグに凝固むらが生じ均一なスラグ被包状態とならず良
好なビード形状、外観が得られない。
【0021】アルカリTiO2複合酸化物の組成は、N
a、K、Liなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属
をそれぞれの酸化物(Na2O、K2O及びLi2Oな
ど)換算値で5質量%程度以上含むものが好ましく、ま
た、例えばNa2O−K2O−TiO2系あるいはNa2
−SiO2−Al23−TiO2系のようなアルカリTi
2複合酸化物についても上記効果が得られることを確
認した。
【0022】以下に本発明のフラックス入りワイヤの成
分限定理由を述べる。
【0023】CaF2をワイヤ全質量に対して1.0%
以上含有させることによって、溶接金属の酸素量の低減
効果が明瞭となり高い衝撃靭性が得られる。また、すみ
肉溶接においてはCaF2による強いアークの吹き付け
力で溶融プールを撹拌しプライマ燃焼ガスの浮上が促進
されるとともに、溶融スラグは粘性が小さく凝固温度が
低いので、溶融プールが後方に長く伸びて溶融スラグの
凝固開始位置が大きく後退するために溶融金属プールか
ら外部へのプライマ燃焼ガスの放出が進み、ピットやガ
ス溝が発生しにくくなる。一方、CaF2が5.0%を
超えるとシールドガスにCO2ガスを用いた場合のスパ
ッタ発生量が増加し、また溶融スラグの流動性も過剰と
なりビード形状が劣化する。
【0024】アルカリTiO2複合酸化物をワイヤ全質
量比で0.3%以上含有させることによって、アーク状
態が安定しスパッタ発生量の減少とともに溶融プールが
安定し、ビード形状、外観が良好となる。一方、アルカ
リTiO2複合酸化物が3.5%を超えると溶接金属の
酸素量が増加し衝撃靭性の低下、すみ肉溶接における耐
プライマ性及びスラグ剥離性の劣化やビード止端部のな
じみ性が不足するなどの悪影響が現れる。なお、アルカ
リTiO2複合酸化物によるアーク状態の安定化等の作
用を効果的に発揮させるためには、TiO2換算値で
0.2〜3.0%とすること、さらに、CaF2/Ti
2の比を1.0〜5.0とすることが好ましい。
【0025】さらに、CaF2含有量に見合ってアルカ
リTiO2複合酸化物の含有量を限定することは、上記
限定した成分範囲における溶接作業性、衝撃靭性及び耐
プライマ性の改善効果を一層高めるものである。すなわ
ち、CaF2とアルカリTiO2複合酸化物の比を1.0
以上にすることは、CaF2含有量の比率を高くし溶接
金属の酸素量の増加を抑制し、また、プライマ塗装膜厚
のばらつきや厚板に対する耐プライマ性を向上させる。
一方、この比を5.0以下にすることにより、特にシー
ルドガスにCO2ガスを用いた場合の溶滴の細粒化が促
進されアーク状態の安定化、スパッタ低減、溶融プール
安定化による良好なビード形成など溶接作業性の改善効
果が大きくなる。
【0026】ワイヤ自体が持つ水素及び水分は充填フラ
ックス、鋼製外皮、外皮表面の潤滑性物質にも含有され
ており、あまり高くなるとアーク状態が粗くなりスパッ
タが増加する。またプライマの熱分解ガスによる水素と
ともにアーク雰囲気中の水素分圧を上げて溶接金属中に
侵入し、ピット、ガス溝及び低温割れが発生しやすくな
る。本発明のフラックス入りワイヤはCaF2を含有し
ていることにより、TiO2フラックス入りワイヤより
も水素に関する悪影響は軽減されるが、ワイヤの全水素
量を90ppm以下(融解熱伝導法)にすることにより
スパッタの増加はほとんど目立たなくなり、耐プライマ
性及び耐割れ性が向上し適用板厚を拡大できる。
【0027】本発明のフラックス入りワイヤは上記限定
した成分以外に、TiO2、SiO2、ZrO2、Al2
3、MgO、FeO、Fe23などのスラグ形成剤、
C、Si、Mn、Ti、Al、Mg、Zr、Ni、M
o、Cr、Cu、Bなどの脱酸剤や合金剤、BiやS等
のスラグ剥離剤、炭酸ソーダ、炭酸カリ、炭酸リチウ
ム、炭酸カルシウムのガス発生剤、溶着量を増加して高
速化を図るために有効な鉄粉などを本発明の効果を損な
わない範囲で、フラックス入りワイヤの用途に応じて適
宜含有させることが出来る。
【0028】特に、炭酸ソーダを含有させることは、発
生するCO2ガスがアーク雰囲気中の水素分圧を低めて
耐プライマ性及び耐割れ性を向上させるとともに、ワイ
ヤ先端の溶滴の離脱促進効果も認められ、アーク状態の
改善と溶着速度が向上する。しかし、炭酸ソーダがあま
り多くなるとスパッタ発生量の増加とともに溶融スラグ
の流動性が過剰となりビード形状の劣化やスラグ剥離性
が悪くなる。また、その他の炭酸カリ、炭酸リチウム、
炭酸カルシウムの炭酸塩もガス発生剤として耐プライマ
性及び耐割れ性の向上に有効である。しかし、溶接作業
性への悪影響を考慮して炭酸塩は合計でワイヤ全質量に
対して2%以下に抑えることが好ましい。なお、これら
のガス発生剤としての炭酸塩は、1種又は2種以上を複
合して用いることができる。
【0029】ワイヤ径は電流密度を高くし高溶着性を得
るために細径の0.9〜2.0mmが好ましい。フラッ
クス充填率は溶接能率及びワイヤの生産性面から5〜3
0質量%の範囲が好ましい。本発明のワイヤ断面形状は
図1(a)〜(c)に示すような鋼製外皮1中にフラッ
クス2を充填した一般的な形状のものでよい。しかし、
本発明のフラックス入りワイヤは吸湿性のあるアルカリ
TiO2複合酸化物を必須成分として含有するものであ
るから、図1(a)に示すように鋼製外皮1に開口部が
ないシームレスタイプのフラックス入りワイヤが、特に
使用中に充填フラックスの吸湿がなくワイヤの全水素量
がほとんど増加しないので溶接作業性、耐割れ性及び耐
プライマ性に優れていて好ましい。
【0030】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳
細に説明する。
【0031】
【実施例】軟鋼パイプ(C:0.04%、Si:0.0
1%、Mn:0.28%、P:0.008%、S:0.
004%、Al:0.010%、N:0.0012%)
に表1に示す成分のフラックスを充填後、圧延及びダイ
ス伸線(軟化及び脱水素処理として中間焼鈍実施)を行
い、図1(a)に示したシームレスタイプのフラックス
入りワイヤを試作した。試作ワイヤのフラックス充填率
は15〜17%、ワイヤ径は1.2mmである。なお、
フラックスはいずれも水ガラスを添加して造粒した(水
ガラスの固質量はワイヤ全質量に対して0.2〜0.3
%)。ワイヤの全水素量は中間焼鈍条件を変化させて、
その影響を調査した。
【0032】表1においてワイヤ記号W1〜W3及びW
7〜W10が本発明のフラックス入りワイヤ、W4〜W
6及びW11〜W14が比較例である。これらワイヤの
試験結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】(実施例1)板厚20mmの低温用鋼板
(JISG3126 SLA325A)を図2に示すル
ート間隙12mm、開先角度45度(同鋼板の裏当金4
付き)の試験体3(溶接長約50cm)とし、270A
−31〜32V−30cm/min、CO2ガス流量2
5L/min、チップ−母材間距離25mm、1層2パ
ス盛りで溶着金属試験を行った。このときの溶接作業性
観察でX線透過試験によりスラグ巻込みと欠陥及び割れ
の有無を調査した。別途下向ビード試験(SM490
鋼、板厚16mm、表面研磨、溶接条件は上記に同じ)
でスパッタ発生量を測定した。なお、溶着金属の窒素量
は20〜50ppmの範囲にあった。
【0036】試験No.1〜3は本発明のフラックス入
りワイヤ(記号W1〜W3)を使用した場合で、アーク
状態が良好でスパッタが少なく、スラグ剥離性、ビード
形状も良好で、溶着金属試験結果も高い衝撃値が得られ
ている。なお、No.1は炭酸ソーダを含有した例であ
る。
【0037】これに対し、試験No.4〜6(ワイヤ記
号W4〜W6)は比較例である。
【0038】No.4はワイヤ記号W4のCaF2が少
なすぎるために、溶着金属の酸素量が増加し低衝撃値と
なった。
【0039】No.5はワイヤ記号W5のCaF2が多
すぎるために、アーク不安定でスパッタ発生量が多く、
スラグ巻き込み欠陥が発生した。
【0040】No.6はワイヤ記号W6のアルカリTi
2複合酸化物が少なすぎるために、アーク不安定でス
パッタ発生量が多く、ビード表面に凹凸が見られ、スラ
グ巻き込み欠陥も発生した。
【0041】(実施例2)板厚20mmのウオッシュプ
ライマ塗装鋼板(JISG3106 SM490A、プ
ライマ塗装膜厚25〜30μm)を図3に示す耐割れ性
試験を兼ねた拘束T字すみ肉試験体(溶接長約50c
m)とし、片側ずつ両側の水平すみ肉溶接試験を行っ
た。図3(a)は、水平すみ肉溶接試験の斜視図で、図
3(b)は断面図である。水平すみ肉溶接試験は、プラ
イマ塗装をした立板5及び下板6を拘束板8で拘束でき
るように拘束板溶接ビード9に示すように溶接した。そ
して、水平すみ肉ビード10を形成する水平すみ肉溶接
を行った。この水平すみ肉溶接試験において発生したス
パッタを全量捕集した。耐割れ性は十分に拘束し、溶接
後72hr経過後のビード表面を観察し、割れの有無を
調査した。溶接条件は290A−32V−45cm/m
in、CO2ガス流量25L/min、チップ−母材間
距離25mm、目標脚長5mmである。
【0042】試験No.7〜10は本発明のフラックス
入りワイヤ(記号W7〜W10)を使用した場合で、ピ
ット、ガス溝の発生がなく、アーク状態が良好でスパッ
タが少ない。またスラグ被包性、スラグ剥離性、ビード
形状、耐割れ性も良好であった。なお、No.9及び1
0は炭酸ソーダを含有した例であり、耐プライマ性が良
好であった。
【0043】これに対し、試験No.11〜14(ワイ
ヤ記号W11〜W14)は比較例である。
【0044】No.11はワイヤ記号W11のCaF2
が少なすぎるために、ピット、ガス溝が発生した。
【0045】No.12はワイヤ記号W12がアルカリ
TiO2複合酸化物を含有しないでアーク安定剤として
主にカリ長石及び氷晶石を用いたために、大粒のスパッ
タ、スラグ剥離不良、ビード形状不良など溶接作業性が
著しく劣った。
【0046】No.13はワイヤ記号W13のアルカリ
TiO2複合酸化物が多すぎるために、ピット、ガス溝
が発生し、スラグ剥離性及びビード止端部のなじみ性が
不良となった。
【0047】No.14はワイヤ記号W14の全水素量
が高すぎるために、スパッタが多くなり、ピット、ガス
溝が発生し、耐割れ性も不良であった。
【0048】(実施例3)試験No.15は実施例1、
試験No.16、17は実施例2に同じ試験方法で、シ
ールドガスにAr−20%CO2混合ガスを用いた(溶
接電圧を3V低くし、チップ−母材間距離を20mmに
設定し直し、他は同条件)。いずれも本発明のフラック
ス入りワイヤ(記号W2、W8、W10)を使用した場
合で、溶接作業性、衝撃靭性、耐プライマ性、耐割れ性
が良好であった。なお、No.17は炭酸ソーダを含有
した例である。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤによればシール
ドガスに安価なCO2ガスを用いた場合でも溶接作業性
が良好で、低温域で高い衝撃靭性の溶接金属が得られ
る。また、ウオッシュプライマ塗装鋼板などの水平すみ
肉溶接に使用して、適用板厚が厚くなった場合にも耐プ
ライマ性、耐割れ性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラックス入りワイヤの断面形状を示す図であ
る。
【図2】実施例における溶着金属試験体を示す図であ
る。
【図3】実施例における拘束水平すみ肉溶接試験体を示
す図である。
【符号の説明】
1 鋼製外皮 2 フラックス 3 試験体 4 裏当て金 5 立板 6 下板 7 プライマ 8 拘束板 9 拘束板溶接ビード 10 水平すみ肉ビード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 武夫 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社研究所内 Fターム(参考) 4E084 AA02 AA15 AA20 CA03 CA11 CA24 CA25 CA38 DA10 GA04 HA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスシールドアーク溶接用フラックス入
    りワイヤにおいて、鋼製外皮内に、ワイヤ全質量に対し
    て、CaF2:1.0〜5.0%、アルカリ金属及び/
    又はアルカリ土類金属とTiとの複合酸化物もしくはア
    ルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とTi及びSi
    との複合酸化物の1種又は2種:0.3〜3.5%を含
    むフラックスが充填されていることを特徴とするガスシ
    ールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 CaF2/上記複合酸化物=1.0〜
    5.0を満たすフラックスが充填されていることを特徴
    とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接用フラ
    ックス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 ワイヤの全水素量が90ppm以下であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスシール
    ドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 【請求項4】 フラックス中に炭酸ソーダ、炭酸カリ、
    炭酸リチウム、炭酸カルシウムから選択した少なくとも
    1種の炭酸塩を合計で2%以下含有することを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれか1つに記載のガスシールド
    アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  5. 【請求項5】 シームレスフラックス入りワイヤである
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載
    のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
JP2000009909A 2000-01-19 2000-01-19 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Pending JP2001205482A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000009909A JP2001205482A (ja) 2000-01-19 2000-01-19 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000009909A JP2001205482A (ja) 2000-01-19 2000-01-19 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001205482A true JP2001205482A (ja) 2001-07-31

Family

ID=18537993

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000009909A Pending JP2001205482A (ja) 2000-01-19 2000-01-19 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001205482A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100988461B1 (ko) 2008-10-29 2010-10-20 현대종합금속 주식회사 셀프 쉴디드 아크 용접용 플럭스 충전와이어
JP2015006693A (ja) * 2013-05-31 2015-01-15 新日鐵住金株式会社 溶接継手部の疲労強度と耐低温割れ性に優れるフラックス入りワイヤ
JP2015027700A (ja) * 2013-06-25 2015-02-12 新日鐵住金株式会社 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
US9211613B2 (en) 2009-12-16 2015-12-15 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Flux-cored wire for gas shield arc welding use enabling all-position welding

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100988461B1 (ko) 2008-10-29 2010-10-20 현대종합금속 주식회사 셀프 쉴디드 아크 용접용 플럭스 충전와이어
US9211613B2 (en) 2009-12-16 2015-12-15 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Flux-cored wire for gas shield arc welding use enabling all-position welding
JP2015006693A (ja) * 2013-05-31 2015-01-15 新日鐵住金株式会社 溶接継手部の疲労強度と耐低温割れ性に優れるフラックス入りワイヤ
JP2015027700A (ja) * 2013-06-25 2015-02-12 新日鐵住金株式会社 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1846928B (zh) 药芯焊条和形成气体痕迹减少的焊缝的方法
JP5014189B2 (ja) 2電極すみ肉ガスシールドアーク溶接方法
JP2500020B2 (ja) ガスシ―ルドア―ク溶接用塩基性フラックス入りワイヤ
JPH09239587A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP4425756B2 (ja) 水平すみ肉溶接用フラックス入りワイヤ
JP2614969B2 (ja) ガスシールドアーク溶接チタニヤ系フラックス入りワイヤ
JP4531586B2 (ja) ガスシールドアークすみ肉溶接用フラックス入りワイヤ
JP2015139784A (ja) 2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法
JP2001205483A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2001205482A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH0899192A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2003025088A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH05228691A (ja) セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2000071096A (ja) 水平すみ肉ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP3124439B2 (ja) 高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法
JP3523010B2 (ja) 耐プライマ性ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH09262693A (ja) アーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH09206945A (ja) 多電極ガスシールド片面溶接方法
JP3464334B2 (ja) プライマ塗装鋼板のすみ肉溶接に用いるガスシ−ルドア−ク溶接用フラックス入りワイヤ
JP3505429B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2001205484A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP3828088B2 (ja) すみ肉溶接用フラックス入りワイヤ
JP5669684B2 (ja) 水平すみ肉ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH11239880A (ja) 亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法
JPH07276078A (ja) ガスシールドアーク溶接メタル系フラックス入りワイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050419

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050906