JP3124439B2 - 高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents

高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は造船や橋梁等の分野で多
用されているショッププライマ塗装鋼板の高速水平すみ
肉溶接において、ビード形状および耐プライマ性が良好
な高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、各種溶接構造物の製造において、
ガスシールドアーク溶接法は溶接能率の向上が図れるこ
とから各分野で広く適用されている。特に造船や橋梁の
分野では全溶接長に占める水平すみ肉溶接の比率が極め
て高く、溶接コスト低減のために高速化の要求が強い。
これに対し、例えば特開昭63−235077号公報、
特開平2−280968号公報等にフラックス入りワイ
ヤを用いた高速水平すみ肉溶接方法が提案されている。
フラックス入りワイヤを用いることは、その高溶着性に
より高速化にともなうビード脚長の確保ができること、
また充填フラックス組成として含有するTiO2 に代表
されるスラグ形成剤が高速化にともない発生しやすくな
るアンダーカットの防止に効果的であることによる。
【0003】ところで、実用現場における高速水平すみ
肉溶接においては、上記ビード形成性とともに従来に増
して耐プライマ性改善の要求が強い。これは造船や橋梁
分野では溶接構造物製作期間中の防錆および仕上がり後
の塗装性のために一般にショッププライマ塗装鋼板が使
用されており、ビード表面欠陥であるピットは高速化に
ともない発生しやすくなるためである。特に水素ポテン
シャルの比較的高い種類のプライマを使用したり、塗装
膜厚にむらのある鋼板に対してのピット発生は極めて敏
感であり、溶接部の品質を損なうばかりか手直し補修に
長時間を要する。しかし、施工現場においては種々のプ
ライマが使用され膜厚管理にも限界があるのが実状であ
る。
【0004】溶接方法や溶接材料面からのピット発生防
止対策として、例えば特開昭62−110873号公報
は多電極溶接においてプライマ燃焼電極を先行させるこ
とを提案したものである。しかし、プライマ燃焼電極の
設置は装置が複雑になるという問題がある。また前記特
開昭63−235077号公報は最終電極にチタニア系
(TiO2 系)のフラックス入りワイヤを用いる多電極
ガスシールドアーク溶接法を提案したものであるが、同
ワイヤには耐プライマ性改善のための考慮がなされてい
ない。特開平2−280968号公報においては、ピッ
ト発生防止のために金属弗化物および金属炭酸塩を含有
するルチル系フラックス入りワイヤを用いることを提案
しているが、ワイヤに付与した耐プライマ性が十分でな
くプライマの管理状態によってはピット発生が問題にな
る場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はショ
ッププライマ塗装鋼板の水平すみ肉溶接において、ビー
ド形状が良好で、かつ耐プライマ性を向上させピットが
発生しない高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法
の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、プライマ塗装鋼板の2電極水平すみ
肉ガスシールドアーク溶接方法において、先行電極と後
行電極との間に湯溜りを有する1プールを形成し、ワイ
ヤ全重量に対して重量%で(以下同じ)、TiO2
2.0〜3.5%、スラグ形成剤(TiO2 を含む):
3.0〜6.5%、脱酸剤(外皮成分を含む):1.5
〜5.0%、酸化鉄:0.3〜1.0%、F:0.10
〜0.50%、Ni:0.10〜0.40%を含有する
フラックス入りワイヤを、少なくとも後行電極に用いて
溶接することを特徴とする高速水平すみ肉ガスシールド
アーク溶接方法にある。
【0007】
【作用】本発明者らは、プライマ塗装鋼板の水平すみ肉
溶接を溶接速度1.5m/min以上の高速で行うこと
を目標とし、この場合のビード形成性および耐プライマ
性改善について種々実験により検討した。まず、溶接速
度1.5m/min以上の高速水平すみ肉溶接におい
て、アンダーカットがなく安定して良好なビード形状を
得るためには、脚長に見合った溶着金属量を確保するた
めにワイヤ溶融速度の速いフラックス入りワイヤを用い
た場合でも2電極以上の多電極化が必要であり、さらに
溶融プールが1プールになるように各電極を配置した場
合に平滑でアンダーカットのない良好なすみ肉ビードが
得られることがわかった。
【0008】図1は2電極1プール溶接の場合の溶接状
況を模式的に示す側面図である。1プール溶接法におい
て高速すみ肉溶接性を得るためには、先行電極1と後行
電極2との間に安定した湯留り3を形成させることが必
要である。即ち、後退角をもたせた先行電極により生じ
た溶融金属は先行電極のアーク4により後方に吹かれる
が、前進角をもたせて配置した後行電極のアーク5によ
り前向きの力を作用させて、電極間に湯留りを形成させ
後行電極後方の溶融プールの後退を抑制し、これにより
アンダーカットのないすみ肉ビードが得られる。3電極
以上の多電極溶接においても良好なビード形状を得るた
めには、同様に1プール溶接とし最終電極は前進角をも
たせ溶融プールの後退を抑制して行う。
【0009】このような1プール溶接法において、ピッ
トは水素ポテンシャルの高い種類のプライマを用いたり
塗装膜厚が厚い場合に発生しやすくなる。またプライマ
の種類を同じにしほぼ一定の膜厚の場合、先行電極によ
る立板と下板のコーナー部の溶込みが大きい程発生しや
すくなる傾向を示した。また、溶接中の走行振動や立板
と下板間のギャップの変動によりワイヤ狙い位置がずれ
アークが不安定になった場合にも発生しやすくなること
がわかった。しかし、立板と下板とのギャップを大きく
した場合にはピットはほとんど発生しない。
【0010】図2、図3は従来のルチル系フラックス入
りワイヤを用いた高速水平すみ肉溶接方法におけるピッ
トの発生状況を観察したものである。図2のビード表面
の概念図に示すように溶接後、スラグの被包むら11が
生じスラグがやや厚くなっている部分のビードにはピッ
ト12が発生しやすい。図3にピットが発生した部分を
含むすみ肉ビードの連続断面観察結果の概況を示す。ピ
ット12はある間隔をおいて発生し、ピットが発生した
部分に近くなると下部に小さい丸状の気孔(ブローホー
ル核)13は目立つようになる。この気孔が次第に明ら
かなブローホール14に成長し、ついにはビード表面に
開口したピットとなる。その溶接進行後方の断面にはし
ばらくブローホール、ピットともほとんど見られない。
【0011】本発明者らはこれらの実験結果より、高速
水平すみ肉溶接におけるピット発生機構および防止対策
について以下のように考察した。先行電極の溶込みによ
りプライマが燃焼あるいはアーク熱により分解し生成し
たガスは、一部は溶融金属に侵入するが立板と下板間の
ギャップに閉じこめられたガスは溶接の進行にともない
ガス圧力を増し、あるガス圧力になると鋼板との境界に
生成している気孔に侵入し、ブローホールを成長させ、
ピットに到らしめる。ピット発生後はガス圧力が低くな
るので、またしばらくの間ピットは発生しなくなる。ま
たアーク状態が不安定になった場合のピット発生は、こ
のガス圧力の均衡が破れることと湯留りの安定性が崩
れ、図2に示すように溶融スラグが不規則に後方に流れ
てスラグの被包むらが生じ、スラグの厚めの部分で外部
へのガス放出が阻害されたことによる。
【0012】従って、ピット発生防止対策としてはブロ
ーホール核となる気孔生成を少なくし、これによりブロ
ーホールの数を減少させ、成長するブローホールについ
てはギャップからのガスの侵入を激しく行わせその成長
速度を速くして、溶融金属が凝固する前に外部にガスを
放出させ空洞を収縮させてしまうこと、さらにガスの外
部への放出を妨げるスラグの被包むらが生じないように
することが有効であるとの結論に達した。
【0013】本発明者らはこのような観点からプライマ
塗装鋼板の高速水平すみ肉溶接方法について種々検討し
た結果、特定する成分系のフラックス入りワイヤを少な
くとも後行電極に用いるという、前記本発明の構成を得
て初期の目的を達成したものである。以下に本発明に用
いるフラックス入りワイヤの成分限定理由を述べる。
【0014】TiO2 を2.0〜3.5%含有させるの
はアークの安定化とスラグ被包性を良好にするためであ
る。TiO2 が2.0%未満ではアーク安定化効果が期
待できず、スパッタが多発したりスラグ被包性が劣化し
て平滑ビードを形成する効果が得られない。一方、3.
5%を超えるとスラグの粘性が増しスラグの被包むらが
生じやすくなり耐プライマ性が低下する。
【0015】スラグ形成剤としてTiO2 、SiO2
ZrO2 、Al23 、MgO、MnO、K2 O、Na
2 O等の酸化物を合計で3.0%以上含有させる。3.
0%未満ではスラグ生成量が不足してスラグがビード全
体を被包せず外観の悪い露出ビードとなり、スラグ剥離
性も不良となる。このときビードは凸状となりアンダー
カットが発生しやすくなる。一方、6.5%を超えると
スラグ生成量が過剰となって、プライマから発生したガ
スの外部への放出を妨げてピットが発生しやすくなる。
【0016】脱酸剤は溶接金属の機械的性質の確保およ
び脱酸不足によるピット防止のためにC(0.03〜
0.10%)、Si(0.2〜1.0%)、Mn(0.
5〜3.5%)、Ti(0.5%以下)、Al(0.5
%以下)、Mg(1.0%以下)等を外皮成分を含む合
計で1.5%以上含有させる。しかし、5.0%を超え
ると強度が高くなりすぎて耐ビード割れ性が低下する。
なお、脱酸剤は溶接金属中に歩留まり合金剤として働く
以外にスラグ化しスラグ組成および生成量にも影響する
ので、上記各成分は( )内の範囲に抑えることが好ま
しい。
【0017】酸化鉄は溶融スラグの粘性を低くし、凝固
温度も低下させるのでスラグの流動性を高める作用をも
つ。これにより生成スラグを後退させて溶融プールの露
出面が大きくなりガスの外部への放出を容易にし、かつ
スラグの被包むらも生じにくくなるので耐ピット性が向
上する。また溶融スラグがビード止端部もよく被包する
ようになり高速化にともない発生しやすくなるアンダー
カットを防止できる。この効果を得るためにFeO、F
23 等の酸化鉄を0.3〜1.0%含有させる。酸
化鉄の含有量が0.3%未満では上記効果を得られず、
ピットが発生しやすくビード形状も劣化する。一方、
1.0%を超えるとスラグの流動性が過剰となる結果、
ビードの立板側のスラグ被包性が損なわれ凝固スラグが
薄く残りこれの除去が困難となり、また溶融スラグの後
退距離が大きくなりすぎてビードが凸状になる。
【0018】Fは0.10〜0.50%含有させる。F
も溶融スラグの粘性を低くし、凝固温度を低下させるの
でスラグの流動性を高める作用をもち、酸化鉄と同様に
ピットを発生しにくくするとともにビード形状を良好に
する。特にピット発生防止への効果は大きく、これはス
ラグ粘性低下によりスラグ被包むらがなくなる以外に、
プライマ塗装鋼板の溶接において多量に発生する水素に
対しても、アーク雰囲気中の水素分圧を下げ溶融プール
へのアーク側からの水素の侵入量を少なくし、かつ溶融
金属を攪拌し侵入したガスの外部への放出および成長過
程のブローホールの離脱、浮上を促進させる作用をもつ
ことによると考えれらる。このようなFの効果は0.1
0%未満では発揮し得ず、一方、0.50%を超えると
アークの広がりが小さくなり安定した湯溜りの形成がで
きなくなりビード形状が劣化するとともに溶融スラグの
流動性が過剰となってビード立板側のスラグ被包性が不
十分となりスラグ剥離、外観が不良となる。なお、Fを
含有させる原料としてLi、K、Na、Mg、Ca、A
l等の金属弗化物を用いることができる。
【0019】Niは0.10〜0.40%含有させる。
Niを0.10%以上含有させることにより、前記図3
に示すすみ肉ビードの連続断面観察で見られる小さい丸
状の気孔の生成数を格段に少なくすることができる。こ
の機構は不明であるが、Niを含有させることにより鋼
板との境界部における溶融金属のなじみ性を良好にし、
またFe−Ni合金は水素溶解度が高めになることにな
ることなどから初期の微小な気孔を生じにくくする作用
をもつものと考えられる。このブローホールの生成核と
なる気孔が激減した結果、ギャップからのガスは成長を
開始したブローホールに集中し、その成長速度が速くな
り溶融金属の凝固前にブローホール中のガスが外部に放
出されピットとして残らなくなる。Ni量の上限につい
ては、高速で行う水平すみ肉溶接におけるビードの耐割
れ性を考慮して0.40%とした。
【0020】なお、本発明で用いるフラックス入りワイ
ヤのその他の成分として、必要に応じ溶着速度を高める
ために鉄粉(20%以下)、溶接金属の機械的性質や耐
候性を向上させるためにMo(0.5%以下)、Cr
(0.5%以下)、Cu(0.5%以下)、B(0.0
10%以下)などの各種合金元素、溶融プールを攪拌し
耐プライマ性を向上させるCaCO3 などの炭酸塩
(0.5%以下)を( )内に示す範囲で添加してもよ
い。
【0021】フラックス入りワイヤの外皮金属について
はワイヤの生産性の面から軟鋼(C:0.07%以下、
Si:0.3%以下、Mn:0.5%以下、P:0.0
20%以下、S:0.020%以下)が好ましいが、高
溶着が得られる合金鋼(C:0.07%以下、Si:
0.3〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.
020%以下、S、0.020%以下)を使用すること
ができる。フラックス充填率は10〜30重量%の範囲
が溶着速度およびワイヤ生産性の面から好ましい。
【0022】ワイヤの断面形状については特に制限はな
く、図4の(a)ないし(c)に示すような従来一般的
な形状のものでよいが、外皮部15に開口部がないシー
ムレスタイプ(a)はフラックス16の吸湿がなく耐ピ
ット性を損なわず、またワイヤ送給性、直進性にも優れ
ているので高速化用ワイヤとして最適である。
【0023】次に、本発明では上記成分を限定したフラ
ックス入りワイヤを必ずしも先行、後行の両電極に用い
る必要はなく、少なくとも後行電極に用いればよい。こ
れは1プールを形成して行う2電極溶接においては、後
行電極が平滑なビードを形成する役割をもち、またブロ
ーホールの成長やガスの外部への放出も後行電極の後方
において多く行われることによる。このことは上記成分
を限定したフラックス入りワイヤを先行電極に用い、後
行電極に従来のルチル系フラックス入りワイヤを用いた
場合は耐プライマ性において本発明の効果を十分に発揮
できないこと、またスラグ生成量の極めて少ない鉄粉主
体のフラックス入りワイヤを後行電極に用いた場合はビ
ード形状、耐プライマ性ともに劣化することからも明ら
かである。したがって、本発明の効果は3電極以上の多
電極溶接においても、上記フラックス入りワイヤを最終
電極に用いて1プール溶接をすることにより同様に得ら
れる。
【0024】本発明の溶接条件としては、後記の実施例
に標準的な例を示すが、おおむね以下のとおりである。
2電極の合計電流は溶接速度1.5m/min以上の溶
接速度(脚長4mm以上)を得るために650A以上、
しかし約1100Aを超えるとアークが強くなりすぎて
湯溜りが不安定になりビード形状が劣化する。したがっ
て、溶着量から溶接速度の上限は2.5m/min(脚
長5mm)で、この場合もピット発生は防止できる。溶
接時のワイヤの狙い位置は先に示した図1および図6の
溶接線方向から見た溶接方法の概念図において、d=2
0〜40mm、θ1 =5〜15°、θ2 =5〜15°、
θ3 =35〜55°、θ4 =35〜55°、O1 =0〜
2mm、O2 =2〜5mmの範囲にあることが好まし
い。シールドガスはCO2 ガスが一般的であるが、Ar
−CO2 系ガスを使用した場合においても上記効果は得
られる。なお、本発明が主に対象とするプライマの種類
は無機ジンクプライマ(塗装膜厚は一般的な15〜30
μm)であるが、低速であればウオッシュプライマ塗装
鋼板の水平すみ肉溶接にも適用し効果が得られる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の効果を実施例により具体的
に説明する。軟鋼パイプ(C:0.05%、Si:0.
02%、Mn:0.30%、P:0.012%、S:
0.004%、Al:0.01%)にフラックスを充填
後、常法により表1および表2に示す成分のワイヤを試
作した。試作ワイヤはフラックス充填率15%、ワイヤ
径1.2mm〜1.6mmである。これら試作ワイヤを
用いて、図5に示す形状のT型すみ肉試験体(SM49
0B、板厚12mm×100mm×2000mm、無機
ジンクプライマ塗装、膜厚25〜30μm)を両側同時
水平すみ肉溶接試験(シフト200mm、目標脚長5m
m)を行った。図5において19はギャップ、20はプ
ライマを示す。表3および表4に溶接試験結果を示す。
なお、これらの表において耐プライマ性はピット等の発
生しやすい溶接後行側ビードについて評価した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】表3および表4に示した以外の溶接条件
は、極間距離(d):28mm、先行電極の後退角(θ
1 ):10°、後行電極の後退角(θ2 ):5°、先行
電極のトーチ角度(θ3 ):45°、後行電極のトーチ
角度(θ4 ):45°、先行電極のワイヤ狙い位置(O
1 ):1mm、後行電極のワイヤ狙い位置(O2 ):3
〜4mm、先行電極のワイヤ突出し長さ(E1 ):25
mm、先行電極のワイヤ突出し長さ(E2 ):25mm
である(長さ、角度の各符号は図1および図6参照)。
また、シールドガスはCO2 で流量は1電極当り25リ
ットル/minであり、試験板のギャップ19(図5)
は0〜0.3mmである。また、表3および表4におけ
る耐プライマ性はそれぞれ溶接長約4mについて調査を
行い、ガス膨れおよびガス溝の数値は発生長さの溶接長
に対する割合を示している。なお、表3および表4にお
いて各評価の記号○は良好、△は不良を示す。
【0031】表3において、本発明による試験No.1
〜7はプライマの膜厚を25〜30μmと厚くし、立板
と下板間のギャップも0.3mm以下、溶接速度1.6
〜2.0m/minという厳しい試験条件にもかかわら
ず、溶接作業性、ビード形状、外観および耐プライマ性
とも良好であった。なお、すみ肉ビードの断面観察の結
果、前記ブローホールの減少傾向は十分に確認すること
ができた。
【0032】これに対し、表4の試験No.8〜14は
比較例であり、No.8は従来タイプのルチル系フラッ
クス入りワイヤを用いた場合で、ビード形状は良好であ
るがピットが多発した。また、No.9は後行電極に本
発明で規定するフラックス入りワイヤを用いなかった場
合で、ピット、ガス膨れ、ガス溝が発生した。
【0033】No.10はTiO2 およびスラグ形成剤
の含有量が少なすぎるフラックス入りワイヤを用いた場
合で、安定した湯溜りが形成されずビード形状が不良
で、ピットも発生した。また、No.11は後行電極に
スラグ形成剤およびF含有量の多すぎるフラックス入り
ワイヤを用いた場合で、ピットが発生し、溶接作業性、
ビード形状が不良となった。
【0034】No.12はNi含有量が少なすぎるフラ
ックス入りワイヤを用いた場合で、耐プライマ性の改善
が十分でない。また、No.13は脱酸剤の含有量が少
なすぎるフラックス入りワイヤを用いた場合で、スラグ
組成の変化が大きくビード形状が不良となり、また脱酸
不足のためピットが多発した。また、No.14は脱酸
剤およびNiの含有量が多すぎるフラックス入りワイヤ
を用いた場合で、ビード形状の劣化とともに強度が上が
りビード割れが発生した。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明はショップ
プライマ塗装鋼板の高速水平すみ肉溶接において、問題
となるビード形成性とともに耐プライマ性を強化した高
速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法を提供するも
のであり、溶接の高能率化、低コスト化に大きく貢献で
きるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2電極1プール溶接における溶接状況を示す模
式図
【図2】ピットの発生状況を示すビード表面の概念図
【図3】すみ肉ビードの断面観察結果の概況を示す図
【図4】(a)〜(c)はそれぞれフラックス入りワイ
ヤの断面形状の例を示す図
【図5】実施例における試験板の形状を示す図
【図6】溶接線方向から見た溶接方法の概念図
【符号の説明】
1 先行電極 2 後行電極 3 湯溜り 4 先行電極のアーク 5 後行電極のアーク 6 溶融金属 7 溶接金属 8 溶融スラグ 9 凝固したスラグ 10 鋼板 11 スラグ被包むら 12 ピット 13 丸状の気孔 14 ブローホール 15 外皮 16 フラックス 17 立板 18 下板 19 ギャップ 20 プライマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−161497(JP,A) 特開 昭56−66376(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/368 B23K 9/00 B23K 9/02 B23K 9/16 B23K 9/23

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プライマ塗装鋼板の2電極水平すみ肉ガ
    スシールドアーク溶接方法において、先行電極と後行電
    極との間に湯溜りを有する1プールを形成し、ワイヤ全
    重量に対して重量%で、TiO2 :2.0〜3.5%、
    スラグ形成剤(TiO2 を含む):3.0〜6.5%、
    脱酸剤(外皮成分を含む):1.5〜5.0%、酸化
    鉄:0.3〜1.0%、F:0.10〜0.50%、N
    i:0.10〜0.40%を含有するフラックス入りワ
    イヤを、少なくとも後行電極に用いて溶接することを特
    徴とする高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法。
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