JP2694034B2 - 高電流密度ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
高電流密度ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
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- JP2694034B2 JP2694034B2 JP1311732A JP31173289A JP2694034B2 JP 2694034 B2 JP2694034 B2 JP 2694034B2 JP 1311732 A JP1311732 A JP 1311732A JP 31173289 A JP31173289 A JP 31173289A JP 2694034 B2 JP2694034 B2 JP 2694034B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高電流密度ガスシールドアーク溶接におい
て高溶着で、溶接作業性に優れ、かつ良好な溶け込み形
状が得られるように溶接に供するフラックス入りワイヤ
に関するものである。
て高溶着で、溶接作業性に優れ、かつ良好な溶け込み形
状が得られるように溶接に供するフラックス入りワイヤ
に関するものである。
[従来の技術] 最近、溶接の自動化、高能率化に伴い、ガスシールド
アーク溶接はますます広く使用されている。効能率化の
手段として電流密度を高めてワイヤの溶融速度を増加さ
せることが一般的に採られている。しかし、高電流密度
溶接ではスパッタの多発、耐気孔性、耐割れ性、融合不
良性等多くの問題が生ずる。
アーク溶接はますます広く使用されている。効能率化の
手段として電流密度を高めてワイヤの溶融速度を増加さ
せることが一般的に採られている。しかし、高電流密度
溶接ではスパッタの多発、耐気孔性、耐割れ性、融合不
良性等多くの問題が生ずる。
即ち、鋼ワイヤをCO2ガスで使用して溶接する場合、
電流密度を高めると安定した溶滴移行性が得られず、ビ
ード表面は不均一となり、スパッタが急増し、母材表面
に付着し、またその除去作業を非常に困難となる。シー
ルドガスにスパッタ発生の少ないAr−CO2混合ガスを使
用して溶接すると、ピンチ力によって中央部に巾の狭い
過大な溶込み、いわゆる“フィンガー状”の溶込みを呈
する。また積層溶接や突合せ継手溶接では、溶込み巾が
小さいためしばしば融合不良などの形状欠陥が発生する
などの問題点があった。このフィンガー状溶込み形状を
円形状の溶込みに改善する手段としてシールドガスにHe
を添加した。例えば特開昭59−45084号公報のAr−He−C
O2−O2の4種混合ガスによる溶接方法が提案されてい
る。しかしこの方法は、溶融状態にあるワイヤ先端が回
転するため微小な溶滴がビード両端に飛散し付着してし
まい、その除去が難かしいことと、特殊なシールドガス
を使用するためガスコストが高くなることから、実用上
に課題を残すものである。
電流密度を高めると安定した溶滴移行性が得られず、ビ
ード表面は不均一となり、スパッタが急増し、母材表面
に付着し、またその除去作業を非常に困難となる。シー
ルドガスにスパッタ発生の少ないAr−CO2混合ガスを使
用して溶接すると、ピンチ力によって中央部に巾の狭い
過大な溶込み、いわゆる“フィンガー状”の溶込みを呈
する。また積層溶接や突合せ継手溶接では、溶込み巾が
小さいためしばしば融合不良などの形状欠陥が発生する
などの問題点があった。このフィンガー状溶込み形状を
円形状の溶込みに改善する手段としてシールドガスにHe
を添加した。例えば特開昭59−45084号公報のAr−He−C
O2−O2の4種混合ガスによる溶接方法が提案されてい
る。しかしこの方法は、溶融状態にあるワイヤ先端が回
転するため微小な溶滴がビード両端に飛散し付着してし
まい、その除去が難かしいことと、特殊なシールドガス
を使用するためガスコストが高くなることから、実用上
に課題を残すものである。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、このような従来の鋼ワイヤによる高電流密
度溶接の諸問題を解決したもので、安定した溶滴移行性
が得られ、良好なビード外観並びに円形状溶込みでかつ
溶接作業性に優れた高電流密度シールドアーク溶接用の
フラックス入りワイヤを提供するものである。
度溶接の諸問題を解決したもので、安定した溶滴移行性
が得られ、良好なビード外観並びに円形状溶込みでかつ
溶接作業性に優れた高電流密度シールドアーク溶接用の
フラックス入りワイヤを提供するものである。
[課題を解決するための手段] 本発明の要旨は、(1)炭酸ガスをシールドガスとし
てフラックス入りワイヤを用い、300(A/mm2)以上の高
電流密度溶接するフラックス入りワイヤにおいて、ワイ
ヤ重量比でフラックスに下記成分を含有することを特徴
とする高電流密度ガスシールドアーク溶接用フラックス
入りワイヤ。TiO2:1.5〜7.5wt%,SiO2:0.3〜1.5wt%,
脱酸剤:1.5〜6.0wt%,酸化物((TiO2,SiO2を含め
て):10.0wt%以下。
てフラックス入りワイヤを用い、300(A/mm2)以上の高
電流密度溶接するフラックス入りワイヤにおいて、ワイ
ヤ重量比でフラックスに下記成分を含有することを特徴
とする高電流密度ガスシールドアーク溶接用フラックス
入りワイヤ。TiO2:1.5〜7.5wt%,SiO2:0.3〜1.5wt%,
脱酸剤:1.5〜6.0wt%,酸化物((TiO2,SiO2を含め
て):10.0wt%以下。
[作用] 本発明者等はフラックス入りワイヤによる高電流密度
ガスシールドアーク溶接のビード形成について種々実験
を重ねた結果、次のように知見を得て本発明を完成した
ものである。
ガスシールドアーク溶接のビード形成について種々実験
を重ねた結果、次のように知見を得て本発明を完成した
ものである。
(1)第1図に示すようにビード形状は、シールドガス
が純Ar{第1図(イ)}、Ar−CO2{同(ロ)},Ar−O2
{同(ハ)},Ar−CO2−O2{同(ホ)},Ar−He−CO2−
O2{同(ニ)}等各種混合ガスのいずれを用いても溶込
み形状はフィンガー状を呈し、場合によっては溶接金属
に融合不良を発生するが、第1図(ヘ)に示すCO2ガス
を用いた場合のみ電流密度300A/mm2以上で安定した円形
状の溶込みが得られる。
が純Ar{第1図(イ)}、Ar−CO2{同(ロ)},Ar−O2
{同(ハ)},Ar−CO2−O2{同(ホ)},Ar−He−CO2−
O2{同(ニ)}等各種混合ガスのいずれを用いても溶込
み形状はフィンガー状を呈し、場合によっては溶接金属
に融合不良を発生するが、第1図(ヘ)に示すCO2ガス
を用いた場合のみ電流密度300A/mm2以上で安定した円形
状の溶込みが得られる。
(2)ビード外観、形状及びスパッタア発生の観点か
ら、フラックス入りワイヤの適用が最も好ましい。
ら、フラックス入りワイヤの適用が最も好ましい。
(3)フラックス入りワイヤのフラックス成分を特定の
範囲に限定することにより、高電流において溶滴移行性
が安定し、良好な溶込み形状が得られる。
範囲に限定することにより、高電流において溶滴移行性
が安定し、良好な溶込み形状が得られる。
本発明は上記知見に基づいて完成したものであり、以
下に本発明について詳細に説明する。
下に本発明について詳細に説明する。
シールドガスとしては、CO2ガスを使用するが、使用
するワイヤが鋼ワイヤの場合、安定した溶滴移行性が得
られず、良好なビード外観、ビード形状にならない。
するワイヤが鋼ワイヤの場合、安定した溶滴移行性が得
られず、良好なビード外観、ビード形状にならない。
そこで、フラックス入りワイヤを使用すれば、スラグ
によるビード平滑化効果が得られ、ビード外観、ビード
形状及びアークの安定な良好な溶接作業性が得られる。
によるビード平滑化効果が得られ、ビード外観、ビード
形状及びアークの安定な良好な溶接作業性が得られる。
なお、フラックス入りワイヤでもワイヤ中にスラグ量
を殆ど含まない例えばメタル形ワイヤでは鋼ワイヤの場
合と同様な結果となり好ましくない。また電流密度につ
いては、300(A/mm2)未満では所定の結果、特に巾広の
円形状溶込みが得られず300(A/mm2)以上と限定した。
を殆ど含まない例えばメタル形ワイヤでは鋼ワイヤの場
合と同様な結果となり好ましくない。また電流密度につ
いては、300(A/mm2)未満では所定の結果、特に巾広の
円形状溶込みが得られず300(A/mm2)以上と限定した。
なお、電流密度の算出は次式で行う。
電流÷ワイヤの鋼部断面積=電流密度 ところで、鋼ワイヤのワイヤ断面積は単に{π×(ワ
イヤ直径)2}}/4で算出できるが、フラックス入りワ
イヤの場合は、電流を流す鋼製外皮部と見掛上電流を流
さないフラックス部に区別されるため、同一ワイヤ径で
あってもフラックスの充填率及び充填フラックスの比重
の大小によって、電流を流す鋼製外皮の面積は変化す
る。そのため、フラックス入りワイヤのワイヤ断面積は
鋼ワイヤに比べ実質的に小さくなり、電流密度も高くな
る。そこで本願発明の溶接方法で規定する電流密度算出
のためのワイヤ断面積は、第2図に示す鋼製外皮の断面
積を使用する。
イヤ直径)2}}/4で算出できるが、フラックス入りワ
イヤの場合は、電流を流す鋼製外皮部と見掛上電流を流
さないフラックス部に区別されるため、同一ワイヤ径で
あってもフラックスの充填率及び充填フラックスの比重
の大小によって、電流を流す鋼製外皮の面積は変化す
る。そのため、フラックス入りワイヤのワイヤ断面積は
鋼ワイヤに比べ実質的に小さくなり、電流密度も高くな
る。そこで本願発明の溶接方法で規定する電流密度算出
のためのワイヤ断面積は、第2図に示す鋼製外皮の断面
積を使用する。
高電流密度ガスシールドアーク溶接方法で溶滴移行の
安定性、良好なビード形状並びに優れた溶接作業性を得
るためには、フラックス入りワイヤの構成成分を規定す
る必要がある。
安定性、良好なビード形状並びに優れた溶接作業性を得
るためには、フラックス入りワイヤの構成成分を規定す
る必要がある。
以下にフラックス入りワイヤのフラックスの成分限定
理由を述べる。
理由を述べる。
TiO2をワイヤ重量比で1.5〜7.5wt%添加するのはアー
クの安定化とスラグ被包性を良好になるためである。1.
5wt%未満ではアーク安定化効果が期待できずスパッタ
が多発したり、スラグ被包性が劣化してビード形状が凸
形状となる。一方7.5wt%を超えるとスラグ過多になっ
てスラグ巻き込みが発生し易くなるので、TiO2はワイヤ
重量比で1.5〜7.5wt%に限定した。
クの安定化とスラグ被包性を良好になるためである。1.
5wt%未満ではアーク安定化効果が期待できずスパッタ
が多発したり、スラグ被包性が劣化してビード形状が凸
形状となる。一方7.5wt%を超えるとスラグ過多になっ
てスラグ巻き込みが発生し易くなるので、TiO2はワイヤ
重量比で1.5〜7.5wt%に限定した。
次にSiO2は0.3wt%未満ではスラグの粘性が低下し、
スラグの被りが不安定でビード形状が劣化する。一方1.
5wt%を超えるとスラグ粘性が高くなりすぎ、ビード表
面にガス溝等の溶接欠陥が発生する。従ってSiO2はワイ
ヤ重量比で0.3〜1.5wt%に限定した。
スラグの被りが不安定でビード形状が劣化する。一方1.
5wt%を超えるとスラグ粘性が高くなりすぎ、ビード表
面にガス溝等の溶接欠陥が発生する。従ってSiO2はワイ
ヤ重量比で0.3〜1.5wt%に限定した。
脱酸剤としてはSi,Mn,Al,Ti,Mg等を1種または2種以
上添加できるが、その添加量は合計で1.5〜6.0wt%が適
当である。1.5wt%未満では脱酸不足となるためブロー
ホールやピット等の溶接欠陥が発生し、X線性能が劣化
する。一方6.0wt%を超えて添加すると脱酸性元素が溶
接金属に多量に歩留り、溶接金属が硬くなり、衝撃靭性
と耐割れ性の低下をきたす。このため脱酸剤は1.5〜6.0
wt%に限定する。これら脱酸剤は単体で添加しても、合
金形態で添加してもよい。
上添加できるが、その添加量は合計で1.5〜6.0wt%が適
当である。1.5wt%未満では脱酸不足となるためブロー
ホールやピット等の溶接欠陥が発生し、X線性能が劣化
する。一方6.0wt%を超えて添加すると脱酸性元素が溶
接金属に多量に歩留り、溶接金属が硬くなり、衝撃靭性
と耐割れ性の低下をきたす。このため脱酸剤は1.5〜6.0
wt%に限定する。これら脱酸剤は単体で添加しても、合
金形態で添加してもよい。
酸化物としては主成分であるTiO2,SiO2以外にAl2O2,M
gO2,ZrO,CaO,FeO,Fe2O3,Na2O,K2Oなどスラグ剤、アーク
安定剤として添加できるがTiO2,SiO2を含めた酸化物が1
0.0wt%を超えるとスラグ過多になってスラグ巻き込み
を生じたり、スラグ剥離性が劣化すると共にビード表面
にガス圧痕が生じ易くなる。従ってTiO2,SiO2を含めた
酸化物は10.0wt%以下とする。
gO2,ZrO,CaO,FeO,Fe2O3,Na2O,K2Oなどスラグ剤、アーク
安定剤として添加できるがTiO2,SiO2を含めた酸化物が1
0.0wt%を超えるとスラグ過多になってスラグ巻き込み
を生じたり、スラグ剥離性が劣化すると共にビード表面
にガス圧痕が生じ易くなる。従ってTiO2,SiO2を含めた
酸化物は10.0wt%以下とする。
以上がフラックス入りワイヤの主要構成であるが、そ
の他溶接金属の機械的性質を向上させるためNi,Cr,Mo,B
などの合金元素が添加でき、溶着速度を高める目的で鉄
粉をも添加できる。またワイヤの断面形状は特に制限は
なく第2図に示したいずれの形状も採用できるが、(2
は鋼製外皮、3はフラックスを示す)アークの安定性ワ
イヤの送給性及び直進性に優れたシームレスタイプ(第
2図、d)が高電流密度溶接には最適である。なお、本
発明の鋼製外皮は軟鋼剤や合金鋼剤が使用できる。
の他溶接金属の機械的性質を向上させるためNi,Cr,Mo,B
などの合金元素が添加でき、溶着速度を高める目的で鉄
粉をも添加できる。またワイヤの断面形状は特に制限は
なく第2図に示したいずれの形状も採用できるが、(2
は鋼製外皮、3はフラックスを示す)アークの安定性ワ
イヤの送給性及び直進性に優れたシームレスタイプ(第
2図、d)が高電流密度溶接には最適である。なお、本
発明の鋼製外皮は軟鋼剤や合金鋼剤が使用できる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。
[実施例1] ワイヤ径1.2mmφの鋼ワイヤ及び各種系統のフラック
ス入りワイヤを用い、シールドガスにAr−He−CO2−O2
混合ガス(以下4種混合ガスと略す)と炭酸ガスの2種
類を使用し、第1表に示す高電流密度条件で溶接を行っ
た。その結果を第2表に示す。アークの安定性は溶接中
にアークがシャープで乱れることなく安定して溶滴が移
行するものを非常に良好◎とし、アークが乱れることは
ないが溶滴が若干大きな形で移行するものを良好○と
し、アークがバタツキ溶滴もその分不規則に移行するも
のを不良×とした。また、溶込み形状は第4図に示すよ
うに、最大溶込み深さ(P)の1/2位置(P/2)における
溶込み巾(W1)が最大溶込み巾(W)の50%以上を良好
と判定した。
ス入りワイヤを用い、シールドガスにAr−He−CO2−O2
混合ガス(以下4種混合ガスと略す)と炭酸ガスの2種
類を使用し、第1表に示す高電流密度条件で溶接を行っ
た。その結果を第2表に示す。アークの安定性は溶接中
にアークがシャープで乱れることなく安定して溶滴が移
行するものを非常に良好◎とし、アークが乱れることは
ないが溶滴が若干大きな形で移行するものを良好○と
し、アークがバタツキ溶滴もその分不規則に移行するも
のを不良×とした。また、溶込み形状は第4図に示すよ
うに、最大溶込み深さ(P)の1/2位置(P/2)における
溶込み巾(W1)が最大溶込み巾(W)の50%以上を良好
と判定した。
No.1の鋼ワイヤを4種混合ガスで使用する場合はアー
クの安定性、及びビード形状とも良好であるものの、ガ
スコストが高く、スパッタ発生自体少ないもののビード
両端に微小な溶滴が付着し、除去が困難である。No.2の
組合せではアーク状態が劣化し、スパッタの多発を起こ
しビード外観も不均一なものとなる。No.3,4,5の各種系
統のフラックス入りワイヤを4種混合ガスで使用する
と、アーク安定性、スパッタ発生も少なく溶接作業性は
良好なものの、ビード外観が不均一となり、溶込み形状
はフィンガー状を呈し、ガスコストも高い。No.6,7,8に
示す本発明例によればアーク安定性及びビード形状並び
にガスコストも安く、いずれの項目とも良好で特にルチ
ールを主成分とするフラックス入りワイヤを使用すると
安 定した高電流密度ガスシールドアーク溶接が可能とな
る。
クの安定性、及びビード形状とも良好であるものの、ガ
スコストが高く、スパッタ発生自体少ないもののビード
両端に微小な溶滴が付着し、除去が困難である。No.2の
組合せではアーク状態が劣化し、スパッタの多発を起こ
しビード外観も不均一なものとなる。No.3,4,5の各種系
統のフラックス入りワイヤを4種混合ガスで使用する
と、アーク安定性、スパッタ発生も少なく溶接作業性は
良好なものの、ビード外観が不均一となり、溶込み形状
はフィンガー状を呈し、ガスコストも高い。No.6,7,8に
示す本発明例によればアーク安定性及びビード形状並び
にガスコストも安く、いずれの項目とも良好で特にルチ
ールを主成分とするフラックス入りワイヤを使用すると
安 定した高電流密度ガスシールドアーク溶接が可能とな
る。
[実施例2] 外皮材として極軟鋼(C:0.05%,Si:0.01%,Mn:0.28
%,P:0.014%,S:0.009%)を用い、第2図(d)の断面
を有する第3表のワイヤ径1.2mmφのフラックス入りワ
イヤを使用し、第3図に示す鋼板(鋼種SM−50B,t=30m
m,w=150mm,d=15mm,θ=90゜,長さ750mm)を第4表に
示す溶接条件で溶接を実施した。その結果を第5表に示
す。なおアーク安定性及び溶込み形状については実施例
1と同様の評価を行った。第5表において、ワイヤ番号
7は脱酸剤の合計が本発明の限定範囲を超えているた
め、アーク安定性やスパッタ発生、スラグはくり性は良
好なるも、溶接金属に割れが発生しており、採用出来な
い。
%,P:0.014%,S:0.009%)を用い、第2図(d)の断面
を有する第3表のワイヤ径1.2mmφのフラックス入りワ
イヤを使用し、第3図に示す鋼板(鋼種SM−50B,t=30m
m,w=150mm,d=15mm,θ=90゜,長さ750mm)を第4表に
示す溶接条件で溶接を実施した。その結果を第5表に示
す。なおアーク安定性及び溶込み形状については実施例
1と同様の評価を行った。第5表において、ワイヤ番号
7は脱酸剤の合計が本発明の限定範囲を超えているた
め、アーク安定性やスパッタ発生、スラグはくり性は良
好なるも、溶接金属に割れが発生しており、採用出来な
い。
ワイヤ番号8はSiO2及びTiO2,SiO2を含む酸化物の合計
が本発明の限定範囲を超えているため、スラグ粘性が高
くなりすぎ、ビード表面欠陥及びスラグ過多でアークが
スラグの上に発生し、溶接 金属にスラグ巻き込みが発生している。
が本発明の限定範囲を超えているため、スラグ粘性が高
くなりすぎ、ビード表面欠陥及びスラグ過多でアークが
スラグの上に発生し、溶接 金属にスラグ巻き込みが発生している。
ワイヤ番号9は、ワイヤ番号7と逆の脱酸剤の合計が
本発明範囲未満であるため、脱酸不足となり、アーク安
定性、スパッタ発生及びスラグはくり性がやや劣化する
とともに溶接金属にブローホールの溶接欠陥が発生す
る。
本発明範囲未満であるため、脱酸不足となり、アーク安
定性、スパッタ発生及びスラグはくり性がやや劣化する
とともに溶接金属にブローホールの溶接欠陥が発生す
る。
ワイヤ番号10は、TiO2が本発明範囲を超えているた
め、スラグ過多となりアークがスラグ上で発生し、スラ
グ巻き込みが起こり、X線試験も3級と不良になってい
る。
め、スラグ過多となりアークがスラグ上で発生し、スラ
グ巻き込みが起こり、X線試験も3級と不良になってい
る。
ワイヤ番号11,12は、スラグ剤を殆ど含有しないフラ
ックス入りワイヤでTiO2,SiO2も本発明範囲未満である
ため、溶込み形状は良いもののアーク安定性が悪く、ス
ラグの被りが少なく、ビード表面も不均一でスパッタ発
生もあり、採用出来ない。一方ワイヤ番号1〜6ではア
ーク安定性をはじめ、いずれの項目とも良好で安定した
高電流密度溶接が行われる。
ックス入りワイヤでTiO2,SiO2も本発明範囲未満である
ため、溶込み形状は良いもののアーク安定性が悪く、ス
ラグの被りが少なく、ビード表面も不均一でスパッタ発
生もあり、採用出来ない。一方ワイヤ番号1〜6ではア
ーク安定性をはじめ、いずれの項目とも良好で安定した
高電流密度溶接が行われる。
[実施例3] 第3表のワイヤの内、ワイヤ番号1,5,10,12のワイヤ
を用い第5図に示す鋼板(鋼種SM50B,t=25mm,w=100m
m,H=100mm,長さ500mm)を第6表に示す溶接条件で水平
すみ肉溶接を実施した。なお鋼板表面は機械加工で切削
し、使用した。アーク安定性及び溶込み形状は実施例1
と同様に評価した。その結果を第7表に示す。第7表に
おいてワイヤ番号10のTiO2が本発明範囲を超えるもの及
びワイヤ番号12のようにTiO2,SiO2が本発明範囲未満の
ワイヤではアークがやや不安定で、スラグの被包性に大
きな差があり、下板側でのオーバラップやビード外観劣
化を引き起こしていて到底採用出来ない。一方本発明例
のワイヤ番号1及び5ではアーク状態、スラグ被包性、
スラグ発生状況やビード形状も優れている。なお、鋼板
表面に無機ジンクプライマーを塗装した鋼板(膜厚20μ
mに塗装、鋼種及びサイズは第5図と同じ)を使用した
場合も上記同様の結果となり、本発明例ワイヤはさらに
鋼板への溶接金属のなじみが優れまた溶接欠陥も発生し
ない優れたワイヤであることが明らかになった。
を用い第5図に示す鋼板(鋼種SM50B,t=25mm,w=100m
m,H=100mm,長さ500mm)を第6表に示す溶接条件で水平
すみ肉溶接を実施した。なお鋼板表面は機械加工で切削
し、使用した。アーク安定性及び溶込み形状は実施例1
と同様に評価した。その結果を第7表に示す。第7表に
おいてワイヤ番号10のTiO2が本発明範囲を超えるもの及
びワイヤ番号12のようにTiO2,SiO2が本発明範囲未満の
ワイヤではアークがやや不安定で、スラグの被包性に大
きな差があり、下板側でのオーバラップやビード外観劣
化を引き起こしていて到底採用出来ない。一方本発明例
のワイヤ番号1及び5ではアーク状態、スラグ被包性、
スラグ発生状況やビード形状も優れている。なお、鋼板
表面に無機ジンクプライマーを塗装した鋼板(膜厚20μ
mに塗装、鋼種及びサイズは第5図と同じ)を使用した
場合も上記同様の結果となり、本発明例ワイヤはさらに
鋼板への溶接金属のなじみが優れまた溶接欠陥も発生し
ない優れたワイヤであることが明らかになった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の高電流密度ガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、高溶着
でアーク安定性や溶接作業性に優れた溶接ができ、さら
にビード外観、溶込み形状が良好な溶接部が得られる。
これは溶接の高能率化や省力化に大きく寄与するもので
ある。
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、高溶着
でアーク安定性や溶接作業性に優れた溶接ができ、さら
にビード外観、溶込み形状が良好な溶接部が得られる。
これは溶接の高能率化や省力化に大きく寄与するもので
ある。
第1図は各種シールドガス組成によるビード形状を示す
模式図、 第2図はフラックス入りワイヤの断面図、 第3図は試験片断面図、 第4図は溶込み形状を示す図、 第5図は試験片断面図、 である。 1:融合不良、2:鋼膜外皮、3:フラックス、4:トーチ、5:
鋼板表面、6:ワイヤ。
模式図、 第2図はフラックス入りワイヤの断面図、 第3図は試験片断面図、 第4図は溶込み形状を示す図、 第5図は試験片断面図、 である。 1:融合不良、2:鋼膜外皮、3:フラックス、4:トーチ、5:
鋼板表面、6:ワイヤ。
フロントページの続き (72)発明者 河辺 仁 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式会社第2技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−154267(JP,A) 特開 昭55−68184(JP,A) 特開 昭52−144341(JP,A) 特開 昭54−52639(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】炭酸ガスをシールドガスとして、300A/mm2
以上の高電流密度で溶接する際に用いるフラックス入り
ワイヤのフラックス組成がワイヤ重量比で下記の成分を
有することを特徴とする高電流密度ガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤ。 TiO2 :1.5〜7.5wt% SiO2 :0.3〜1.5wt% 脱酸剤:1.5〜6.0wt% 酸化物(TiO2,SiO2を含めて):10.0wt%以下。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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- 1989-11-30 JP JP1311732A patent/JP2694034B2/ja not_active Expired - Lifetime
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