JPH09314383A - 高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents

高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法

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JPH09314383A
JPH09314383A JP15190196A JP15190196A JPH09314383A JP H09314383 A JPH09314383 A JP H09314383A JP 15190196 A JP15190196 A JP 15190196A JP 15190196 A JP15190196 A JP 15190196A JP H09314383 A JPH09314383 A JP H09314383A
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Japan
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electrode
welding
flux
cao
mgo
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JP15190196A
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Masao Kamata
政男 鎌田
Harutoshi Kubota
晴敏 窪田
Rikiya Takayama
力也 高山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ショッププライマ塗装鋼板の水平すみ肉溶接
において、溶接構造物の歪みを低減するために小脚長化
した場合でも、溶接欠陥が発生しない高速すみ肉ガスシ
ールドアーク溶接方法を提供する。 【解決手段】 フラックス入りワイヤを用いて行う2電
極1プール方式の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方
法において、ワイヤ全重量に対し、CaO:0.2〜
3.0%、MgO:0.2〜2.0%、TiO2 :0.
5〜5.5%、SiO2 :0.2〜2.0%、金属弗化
物(F換算値):0.03〜0.5%を含有し、かつ、
(CaO+MgO)/(TiO2 +SiO2 )=0.3
0〜1.50、(CaO+MgO)+(TiO2 +Si
2 )=2.0〜8.0%を満足するフラックス入りワ
イヤを、少なくとも先行電極に用いて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は造船や橋梁等の分野
で多用されているプライマ塗装鋼板の水平すみ肉溶接に
適用して、溶接欠陥がなく健全な小脚長ビードが高能率
で得られる2電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶
接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種溶接構造物の建造において、
溶接能率向上のためにフラックス入りワイヤを用いたガ
スシールドアーク溶接法の適用が増大している。特に全
溶接長に占める水平すみ肉溶接の比率が高い造船や橋梁
等の分野では、これの高能率化が最大の課題となってい
る。これに対し、特開昭63−235077号公報、特
開平2−280968号公報等により2電極1プール方
式の高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法が提案
され、各所で実用化が進んでいる。
【0003】前者は先行電極にスラグ形成剤をほとんど
含有しない金属粉主体のメタルコアドワイヤを、後行電
極にTiO2 を主体とするスラグ形成剤を含有するルチ
ル系フラックス入りワイヤを用いることを特徴とし、後
者は2電極ともルチル系フラックス入りワイヤを用いる
ことを特徴としている。これらは脚長5〜6mmの水平
すみ肉溶接の高速化には最適な溶接方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに最近、特に造
船分野においては溶接構造物の溶接歪みによる変形防止
対策および溶接材料コスト低減のために、水平すみ肉ビ
ードの小脚長化の要望(脚長5mm以下)が強い。従来
の2電極1プール方式による小脚長高速すみ肉溶接の問
題点は、脚長が小さくなるにつれて溶接部に内部欠陥や
ピット、ガス溝等の溶接欠陥が発生しやすくなることに
あり、またこれらの補修は溶接能率を著しく低下させ
る。
【0005】そこで、本発明はショッププライマ塗装鋼
板の水平すみ肉溶接において、溶接構造物の歪みを低減
するために小脚長化(脚長4〜5mm)した場合でも、
溶接欠陥が発生しない高速すみ肉ガスシールドアーク溶
接方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、フラッ
クス入りワイヤを用いて行う2電極1プール方式の水平
すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、スラグ形
成剤の必須成分として、ワイヤ全重量に対し重量%で
(以下同じ)、CaO:0.2〜3.0%、MgO:
0.2〜2.0%、TiO2 :0.5〜5.5%、Si
2 :0.2〜2.0%、金属弗化物(F換算値):
0.03〜0.5%を含有し、かつ、(CaO+Mg
O)/(TiO2 +SiO2 )=0.30〜1.50、
(CaO+MgO)+(TiO2 +SiO2 )=2.0
〜8.0%を満足するフラックス入りワイヤを、少なく
とも先行電極に用いて行うことを特徴とする高速水平す
み肉ガスシールドアーク溶接方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】図2に一般的に実用化されている
2電極1プール方式による高速水平すみ肉溶接状況を示
す。図中1は先行電極、2は後行電極、3は先行電極の
電極角度(後退角)、4は後行電極の電極角(前進
角)、5は極間距離、6、7はアーク、8は湯溜り、9
は溶融プール、10はすみ肉ビード(溶接金属)、11
は生成スラグである。高速化に伴なう必要溶着量を確保
するためにフラックス入りワイヤを用いた2電極溶接と
し、また平滑なビード形状を得るために溶融プールが1
プールになるように両電極を配置している。このとき先
行電極1は主にビードの溶け込みに、後行電極2はビー
ド形状に寄与する。本発明もこのような2電極1プール
方式を基本として行うものであるが、例えば目標脚長4
mmの小脚長ビードを1.5m/minの高速溶接で得
ようとした場合、以下のような問題が起こりやすい。
【0008】小脚長ビードを得るためには脚長が過大に
ならないように、両電極とも溶接電流を比較的低目に
し、かつ両電極のワイヤ狙い位置を立板と下板とのコー
ナー部に近づけて溶融プール全体を小さく形成して行
う。この場合、特に溶接部材の仮付けビード部において
は、溶け込み不足やビード形状の乱れ、アーク状態の急
激な変化によるピット状欠陥が発生しやすくなる。仮付
けビード部を十分に溶融し安定した1プール状態が保持
できるようにし、また小脚長溶接部の機械的強度を確保
するためにも、先行電極は溶接電圧を意識的に低くしア
ーク力により掘り込みを深くして行う必要がある。
【0009】しかし、仮付けビード部以外の通常部から
採取したビード断面を観察すると、図3に示すようにコ
ーナー部の溶け込みの底部、母材と溶接金属との境界近
くに、溶融金属で満たされていない微小な三日月状の空
隙(以下、三日月状欠陥という)やスラグ巻き込み12
が見られる場合がある。図中20は立板、21は下板で
ある。これら内部欠陥の発生は先行電極の溶接電圧が低
く、かつ高速溶接であるために、アーク力により掘り込
まれ露出した溶融プール壁面全体が溶融金属で満たされ
ないうちに凝固したり、プライマ熱分解ガスが浮上しな
いで凝固収縮した場合、また溶融スラグの浮上が遅れた
ことに起因している。
【0010】また、ビード表面欠陥であるピツトやガス
溝も溶融金属プールをより大きくして行う脚長5〜6m
mの場合に比較して発生しやすくなる。これも主に上記
小脚長化のための特有な溶接条件に起因している。つま
り溶接電圧が低くコーナー部の溶け込みが大きいこと
は、部材鋼板に塗装されたプライマからの熱分解ガスが
増加し、しかも溶融プールが深く凝固も速いので熱分解
ガスの速やかな外部への放出が妨げられることによる。
【0011】さらに、ビード止端部が揃わずオーバーラ
ップ気味になりやすいことも小脚長化において見られる
問題点である。これは脚長が過大にならないように後行
電極についても溶接電流および溶接電圧を低目にして行
うことによる。
【0012】本発明者らは、上記2電極1プール方式で
小脚長高速すみ肉溶接を行った場合の問題点に対し、主
に用いるフラックス入りワイヤからの改善を中心に検討
した。その結果、前記特定した必須成分をスラグ形成剤
成分として含有するフラックス入りワイヤを、少なくと
も先行電極に用いることにより内部欠陥や表面欠陥がな
く、形状も良好な小脚長ビードが得られることを見いだ
し、所期の目的を達成したものである。以下に、本発明
で用いるフラックス入りワイヤの成分限定理由を述べ
る。
【0013】CaOは溶融スラグの凝固温度を低くしか
つ粘性を小さくする成分であり、0.2〜3.0%含有
させる。CaOが0.2%未満では内部欠陥および表面
欠陥が発生しやすく、一方、3.0%を超えるとビード
が下付きとなり等脚性が著しく損なわれる。
【0014】MgOは凝固温度の過度の低下を抑えなが
ら粘性を小さくする成分であり、0.2〜2.0%含有
させる。MgOが0.2%未満では内部欠陥および表面
欠陥が発生しやすく、一方、2.0%を超えるとビード
が凸状となる。
【0015】TiO2 はアークを持続して安定させ、ま
たビード形状・外観を整える成分であり、0.5〜5.
5%含有させる。TiO2 が0.5%未満ではアーク安
定性が劣化しスパッタが多発し、一方、5.5%を超え
るとピットやガス溝が発生し、ビード止端部はオーバー
ラップになりやすい。
【0016】SiO2 は凝固温度を低くしかつ過度の粘
性低下を抑える成分であり、0.2〜2.0%含有させ
る。SiO2 が0.2%未満ではビード形状が整わず、
一方、2.0%を超えるとピットやガス溝が発生しやす
くなり、ビードが丸みを帯びた凸状となる。
【0017】これら成分のうちCaOとMgOは塩基性
系成分であり、TiO2 とSiO2は酸性系成分であ
る。両系成分の関係を図1に示す。ここにおいて本発明
では(CaO+MgO)/(TiO2 +SiO2 )=
0.30〜1.50、および(CaO+MgO)+(T
iO2 +SiO2 )=2.0〜8.0%を満足する範囲
に限定する。
【0018】この範囲において後記金属弗化物との相乗
効果が発揮され、先行電極と後行電極間に粘性が小さく
流動性がよい溶融スラグが形成される。このような溶融
スラグはアーク力で掘り込まれ露出した溶融プール壁面
との濡れ性がよく、溶融プール壁面を被包し壁面近傍の
凝固を緩やかにし、またプライマ熱分解ガスや溶融スラ
グを浮上しやすくするように作用するので、前記三日月
状欠陥やスラグ巻き込みを発生しにくくする。また先行
電極のアーク点からの溶融プールの後退距離が大きくな
り、1プール方式の極間距離を拡げることができるよう
になる。極間距離の拡大は溶融プールからのプライマ熱
分解ガスを外部に放出しやすくし、ピツトやガス溝の発
生防止に極めて効果的である。
【0019】図1において、(CaO+MgO)/(T
iO2 +SiO2 )が0.30未満の領域では、溶融ス
ラグの粘性低下および流動性が不十分で上記効果が得ら
れず溶接欠陥を防止できない。一方、(CaO+Mg
O)/(TiO2 +SiO2 )が1.50を超えた領域
では、粘性の過剰な低下が後行電極後方に形成される溶
融プールにも影響し、ビード形状が丸みを帯びた凸状に
なりアンダーカットも発生しやすくなる。
【0020】(CaO+MgO)と(TiO2 +SiO
2 )の合計が2.0%未満の領域では、先行電極による
溶融スラグの生成量が少なすぎて溶融プール壁面の露出
を十分に被包することができず、また先行電極による溶
融プールが凝固しやすく極間距離を拡大することができ
ない。したがって、三日月状欠陥、スラグ巻き込み、ピ
ツト等の溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、(CaO
+MgO)と(TiO2 +SiO2 )の合計が8.0%
を超える領域では、先行電極による溶融スラグの生成量
が多すぎて両極間に形成される湯溜まりが過大に成長
し、しかもこの溶融スラグは粘性が小さく流動性を良く
しているために、後行電極のアークで支えきれずに溢れ
て湯漏れ状態となり安定した溶接ができなくなり、アン
ダーカットやピット、スラグ巻き込みが発生しやすくな
る。
【0021】金属弗化物は粘性が小さく流動性のよい溶
融スラグを形成して、上記内部欠陥を防止し耐プライマ
性を向上させる。特に先行電極からの溶融プールの後退
距離を大きし、また適度にアーク力を強めるので溶融プ
ールの攪拌効果もあり、溶融プールからのガスの放出を
容易にしてピット、ガス溝の発生を防止するために不可
欠の成分である。金属弗化物の含有量がF換算値で0.
03未満では、溶融プールの後退距離が小さく攪拌効果
も小さいので、ピットやガス溝が発生しやすい。一方、
F換算値で0.5%を超えるとアークが次第に強くな
り、スパッタが多発し溶融スラグの流動性も過剰となり
ビードが丸く凸状になる。
【0022】さらに先行電極により形成された上記特性
をもった溶融スラグは小脚長ビード形成に対しても、極
めて効果的である。小脚長溶接においては後行電極の電
流も低目にして行うので、図2中に示した両極間に形成
する湯溜まり8をあまり大きくする必要がない。むしろ
湯溜まりの成長はアンダーカットや脚長の増大、あるい
は後行電極のアーク状態の不安定化をもたらす。本発明
では先行電極で形成された溶融スラグは粘性が小さく流
動性がよいので、先行電極にTiO2 を主体としCaO
やMgOを含有しないルチル系フラックス入りワイヤを
用いた場合のように湯溜まりが大きく成長しないので、
後行電極による小脚長ビード形成性に悪影響を及ぼさな
い。
【0023】本発明で用いるフラックス入りワイヤは上
記必須成分以外に、スラグ形成剤としてZrO2 (1.
0%以下)、Al23 (1.5%以下)、FeOやF
23 等の酸化鉄(1.5%以下)を合計で2.5%
以下、、アーク安定剤としてNa、K、Li等のアルカ
リ金属類(0.03〜0.30%)、脱酸剤としてC
(0.01〜0.10%)、Si(0.2〜1.5
%)、Mn(0.8〜4.0%)、Ti(1.0%以
下)、Al(1.0%以下)、Mg(1.0%以下)、
Zr(0.5%以下)、スラグ剥離性促進剤としてBi
(0.2%以下)、S(0.1%以下)、合金剤として
対象鋼種拡大のためにNi、Mo、Cr、Cu、B、溶
着速度向上のために鉄粉あるいは鉄合金などを適宜添加
できる。なお、それぞれの含有量は本発明の効果を損な
わないようにそれぞれ前記かっこの範囲内であることが
好ましい。フラックス充填率は溶接能率およびワイヤの
生産性面から10〜25%の範囲内が好ましい。
【0024】ワイヤ径は、両電極とも小脚長ビード形成
のために溶融プール幅を狭めてアンダーカットの発生を
防止し、かつ高速化のために高溶着性が得られるように
細径の1.0〜2.0mmが好ましい。ワイヤ断面形状
は図4に示すような一般的な形状のものでよいが、外皮
金属部13に開口部がないシームレスタイプ(d)がワ
イヤ送給性、直進性に優れているのでアークおよびワイ
ヤ先端狙い位置が安定し、コーナー部の溶け込みやビー
ド止端部の揃いが良好になるとともに、フラックス14
の吸湿がなく耐プライマ性や耐割れ性面からも優れてい
る。なお、ワイヤのポテンシャル水素量については耐プ
ライマ性および耐割れ性の面から極力抑える必要があ
り、不活性ガス融解熱伝導度法による測定方法で100
ppm以下であることが好ましい。
【0025】以上、先行電極に用いるフラックス入りワ
イヤの成分限定理由と作用効果について述べたが、本発
明では後行電極にも高速化のために高溶着性があり、ア
ーク安定性が良好なフラックス入りワイヤを用いる。後
行電極に用いるフラックス入りワイヤについては特に限
定するものでなく、前記先行電極と同一のフラックス入
りワイヤ、水平すみ肉溶接性を考慮したTiO2 主体の
ルチル系フラックス入りワイヤあるいはスラグ形成剤を
ほとんど含有しない金属粉主体のメタルコアドワイヤを
用いることができる。
【0026】次に本発明を実施するにあたり、特に小脚
長ビード形成のために重要な施工要領について説明す
る。仮付けビード部も含めて溶接欠陥がなくビード形状
も良好な健全な小脚長ビード(脚長4〜5mm)を安定
して得るためには、まずワイヤ先端狙い位置および電極
角度が重要である。先行電極でコーナー部を十分に溶け
込ませる必要があり先行電極のワイヤ先端狙い位置はコ
ーナー部24(図5)、あるいはコーナー部を基点とし
下板側2mm以内、立板側1mm以内の範囲とし、この
時の電極角度22(図5)は40〜60゜の範囲とす
る。
【0027】先行電極のワイヤ先端狙い位置がコーナー
部から離れ過ぎている場合、仮付けビード部の十分な溶
かし込みができない。また仮付けビード部以外の通常部
においてもコーナー部の溶け込み不足の他、アンダーカ
ットやオーバーラップ、スパッタ付着など安定した小脚
長ビードが得られない。電極角度22が40゜未満では
仮付けビード部の溶け込みが不足し、通常部においては
立板側ビード止端部にアンダーカットが発生しやすくな
る。一方、電極角度22が60゜を超えた場合にも溶け
込み不足やアンダーカットが発生し、また立板側の脚長
が確保できない下付きビードとなる。
【0028】後行電極については先行電極の溶接状況を
観察して調整することが肝心であるが、ワイヤ先端狙い
位置は先行電極による溶融プール上とし、電極角度23
(図5)を40〜70゜にすることにより母材とのなじ
みのよいビード止端部が形成できる。
【0029】溶接進行方向に対する電極角度は先行電極
を後退角3(5〜15゜)(図2)にして溶融プールの
後退を促進させ、プライマ熱分解ガスを外部へ放出しや
すくする。後行電極は前進角4(5〜15゜)にしてア
ーク力を溶融プールに吸収させ、アンダーカットの発生
やビードの凸状化を防止する。
【0030】先行電極と後行電極間の極間距離は基本的
に1プールとなるように配置するが、先行電極により形
成された溶融プールが凝固しない範囲で、可能な限り極
間距離を大きくすることが耐プライマ性に効果的であ
る。本発明では前記特定するフラックス入りワイヤを先
行電極に用いることにより、脚長4mmの場合でも30
〜40mmで安定した溶接状態が得られる。
【0031】シールドガスはCO2 ガスがコスト的にも
安価で一般的であるが、スパッタやヒューム量を低減に
効果的なAr−CO2 混合ガスやArガスを使用しても
よい。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づい
て説明する。軟鋼外皮にフラックスを充填後、伸線加工
し、表1および表2に示す成分で、ワイヤ断面形状がシ
ームレスタイプのフラックス入りワイヤ(ワイヤ径1.
6mm、フラックス充填率15%)を試作した。これら
試作ワイヤを用いて、表3に示す溶接条件で、図5の溶
接線方向から見た図に示すT型すみ肉試験体(SM49
0、板厚10mm、溶接長2.0m、無機ジンクプライ
マ塗装、膜厚約20μm)を作製し、両側同時溶接の2
電極1プール方式による水平すみ肉溶接試験(ツインタ
ンテム溶接、両側のシフト距離0〜5mm、目標脚長4
〜5mm)を行った。図中15はプライマである。表4
および表5に溶接試験結果を示す。表において、アーク
安定性の評価は、「◎印:アークが安定しスパッタが少
ない。△印:アーク安定性に欠け、スパッタが多い。」
であり、コーナー部の溶込みは、「◎印:コーナー部か
らの溶込みが2mm以上、△印:コーナー部からの溶込
みが1mm未満またはコーナー部が未溶融」であり、総
合評価は、「◎印:良好、×印:不良」である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】本発明による試験No.1〜6(目標脚長
4mm)およびNo.15、16(目標脚長5mm)
は、安定した溶接状況下、溶接欠陥がなく形状も良好な
ビードが得られた。これに対し、試験No.7〜14は
比較例である。
【0039】No.7は先行電極にメタル系フラックス
入りワイヤ(ワイヤ記号W6)を用いたために、スパッ
タの発生が目立ち、ピツトおよび三日月状微小欠陥が発
生した。
【0040】No.8は先行電極にTiO2 −SiO2
−ZrO2 系のフラックス入りワイヤ(ワイヤ記号W
7)を用いたために、ピット、三日月状欠陥、スラグ巻
き込みが発生した。
【0041】No.9は先行電極に用いたフラックス入
りワイヤ(ワイヤ記号W8)の(TiO2 +SiO2
に対する(CaO+MgO)の比が小さすぎるために、
ピット、三日月状欠陥、スラグ巻き込みの発生を防止で
きない。
【0042】No.10は先行電極に用いたフラックス
入りワイヤ(ワイヤ記号W9)の(TiO2 +SiO
2 )に対する(CaO+MgO)の比が大きすぎるため
に、下付きで凸状のビードとなり止端部は揃わずアンダ
ーカットが部分的に発生した。
【0043】No.11は先行電極に用いたフラックス
入りワイヤ(ワイヤ記号W10)の(TiO2 +SiO
2 )と(CaO+MgO)との合計が少なすぎるため
に、ピット、三日月状欠陥、スラグ巻き込みの発生を防
止できない。
【0044】No.12は先行電極に用いたフラックス
入りワイヤ(ワイヤ記号W11)の(TiO2 +SiO
2 )と(CaO+MgO)との合計が多すぎるために、
アンダーカット、ピット、スラグ巻き込みが発生した。
【0045】No.13は用いたフラックス入りワイヤ
(ワイヤ記号W12)の金属弗化物が少なすぎるため
に、ピット、三日月状欠陥、スラグ巻き込みの発生を防
止できない。
【0046】No.14は用いたフラックス入りワイヤ
(ワイヤ記号W13)の金属弗化物が多すぎるために、
スパッタが多く、凸状ビードでスラグ巻き込みも発生し
た。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は水平すみ
肉溶接において、高速溶接で小脚長化した場合に問題と
なる耐溶接欠陥性およびビード形状を改善した2電極1
プール方式の高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方
法を提案したものであり、溶接の高能率化、低コスト化
に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラックス入りワイヤが含有する(TiO2
SiO2 )と(CaO+MgO)との関係を示すグラフ
【図2】2電極1プール方式による高速水平すみ肉溶接
状況を示す図
【図3】ビード内部欠陥を示す図
【図4】(a)〜(d)はそれぞれフラックス入りワイ
ヤの断面形状の例を示す図
【図5】水平すみ肉溶接の状況を溶接線方向から見た図
【符号の説明】
1 先行電極 2 後行電極 3 先行電極の電極角度 4 後行電極の電極角度 5 極間距離 6 先行電極のアーク 7 後行電極のアーク 8 湯溜まり 9 溶融プール 10 すみ肉ビード(溶接金属) 11 生成スラグ 12 内部欠陥 13 外皮金属 14 フラックス 15 プライマ 20 立板 21 下板 22 先行電極の電極角度 23 後行電極の電極角度 24 コーナー部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラックス入りワイヤを用いて行う2電
    極1プール方式の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方
    法において、スラグ形成剤の必須成分として、ワイヤ全
    重量に対し重量%で、 CaO :0.2〜3.0%、 MgO :0.2〜2.0%、 TiO2 :0.5〜5.5%、 SiO2 :0.2〜2.0%、 金属弗化物(F換算値):0.03〜0.5% を含有し、かつ、 (CaO+MgO)/(TiO2 +SiO2 )=0.3
    0〜1.50、 (CaO+MgO)+(TiO2 +SiO2 )=2.0
    〜8.0% を満足するフラックス入りワイヤを、少なくとも先行電
    極に用いて行うことを特徴とする高速水平すみ肉ガスシ
    ールドアーク溶接方法。
JP15190196A 1996-05-24 1996-05-24 高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 Withdrawn JPH09314383A (ja)

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