JP2001205484A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JP2001205484A
JP2001205484A JP2000009911A JP2000009911A JP2001205484A JP 2001205484 A JP2001205484 A JP 2001205484A JP 2000009911 A JP2000009911 A JP 2000009911A JP 2000009911 A JP2000009911 A JP 2000009911A JP 2001205484 A JP2001205484 A JP 2001205484A
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JP
Japan
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flux
cored wire
wire
tio
arc welding
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Application number
JP2000009911A
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English (en)
Inventor
Masao Kamata
政男 鎌田
Rikiya Takayama
力也 高山
Takeo Adachi
武夫 足立
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 プライマ塗装鋼板のすみ肉溶接に使用して、
良好な溶接作業性と優れた耐プライマ性が得られるガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 【解決手段】 鋼製外皮1内に、ワイヤ全重量に対し
て、特定量のCaF2、アルカリ金属及び/又はアルカ
リ土類金属とTiとの複合酸化物もしくはアルカリ金属
及び/又はアルカリ土類金属とTi及びSiとの複合酸
化物の1種又は2種、MgO及び/又はMgのMgO換
算値を含むフラックス2が充填されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に造船や橋梁建
造で多用されているプライマ塗装鋼板のすみ肉溶接に使
用して、良好な溶接作業性と優れた耐プライマ性が得ら
れるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
(以下、フラックス入りワイヤという)に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】造船や橋梁分野では全溶接長に占めるす
み肉溶接の比率が高く、それら鋼材の多くには製造期間
中の発錆防止のために無機ジンクプライマやウオッシュ
プライマプライマが塗装されているため、ビード表面に
ピットやガス溝の発生が問題となる。
【0003】特にウオッシュプライマ塗装鋼板のすみ肉
溶接においては、プライマ熱分解ガスの発生量が多く、
ピットやガス溝が発生しやすく、このため予めプライマ
を除去して溶接したり溶接速度を低速で行うなど能率低
下が問題となる。また、無機ジンクプライマ塗装鋼板に
ついても、プライマ塗装膜厚のばらつきやT字すみ肉の
上板端面及びその近傍にはプライマが厚くたまりやす
く、このような部材の水平すみ肉溶接ではピット、ガス
溝が多発する。
【0004】従来のウオッシュプライマ鋼板対応のフラ
ックス入りワイヤとして、例えば特開昭64−5699
号公報による提案は充填フラックス中に故意に水素源化
合物を含有させて、溶融金属からのガスの浮上を促進す
るという高水素TiO2系フラックス入りワイヤであ
る。しかし、高水素系フラックス入りワイヤの場合、十
分な耐プライマ性を得るためには溶接速度を30cm/
min程度以下に遅くしなければならず溶接能率が低
い。また溶接金属中の水素量が多くなり耐割れ性の観点
から適用板厚が12〜16mm程度以下に制限される。
さらに水素源化合物に起因してアーク状態が粗くスパッ
タ発生量が多くなるという欠点がある。
【0005】特開平3−180298号公報は金属弗化
物や金属炭酸塩を含有させた低水素から中水素系のTi
2系フラックス入りワイヤを提案したもので、無機ジ
ンクプライマ塗装鋼板には効果的であるが、ウオッシュ
プライマ塗装鋼板に適用した場合の耐プライマ性は十分
ではない。
【0006】本発明者らも、先に特開平9−23958
7号公報において、CaF2を含有する低水素系のガス
シールドアーク溶接用フラックスワイヤを提案した。し
かしながら、溶融金属の凝固が速くなりガス放出がきび
しい条件となる板厚16mm以上のウオッシュプライマ
塗装鋼板に適用した場合の耐プライマ性向上、またシー
ルドガスにAr−CO2混合ガスよりも安価なCO2ガス
を用いた場合のスパッタ低減の要求が強く、さらに溶接
性を高める必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特にウオッ
シュプライマ塗装鋼板のすみ肉溶接に使用して厚板に適
用した場合でもピットやガス溝、割れが発生しにくく、
また、シールドガスにCO2ガス及びAr−CO2混合ガ
スのいずれを用いた場合でもスパッタ発生量が少なく良
好なビード形状が得られるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、板厚16
mm以上の厚板のオッシュプライマ塗装鋼板の水平すみ
肉溶接において安定してピット、ガス溝及び割れの発生
を防止するためには、CaF2をスラグ形成剤の主成分
として含有させること、またCO2ガスを用いて水平す
み肉溶接を行った場合のスパッタ多発とビード形状劣化
というCaF2系フラックス入りワイヤの基本的課題の
解決には、アーク安定剤及びスラグ形成剤として作用す
る前記アルカリTiO2複合酸化物が最適であること、
さらに溶融スラグにMgOを必須成分として含有させる
ことが極めて有効であるとの知見を得て本発明を完成し
たものである。
【0009】本発明の要旨は、以下に示す通りである。
【0010】(1) ガスシールドアーク溶接用フラッ
クス入りワイヤにおいて、鋼製外皮内に、ワイヤ全質量
に対して、 CaF2:1.0〜5.0%、 アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とTiとの複
合酸化物もしくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類
金属とTi及びSiとの複合酸化物(以下、総称してア
ルカリTiO2複合酸化物という)の1種又は2種:
0.3〜3.5%、 TiO2(アルカリTiO2複合酸化物中のTiのTiO
2換算値を含む):0.2〜3.0%、 MgO及び/又はMgのMgO換算値:0.5〜3.0
%を含むフラックスが充填されていることを特徴とする
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0011】(2) CaF2/アルカリTiO2複合酸
化物=1.0〜5.0、 CaF2/TiO2=1.0〜5.0、 CaF2/MgO=1.0〜5.0を満たすフラックス
が充填されていることを特徴とする上記(1)に記載の
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0012】(3) ワイヤの全水素量が90ppm以
下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載
のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0013】(4) フラックス中に炭酸ソーダ、炭酸
カリ、炭酸リチウム、炭酸カルシウムから選択した少な
くとも1種の炭酸塩を合計で2%以下含有することを特
徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【0014】(5) ウオッシュプライマ塗装鋼板用で
あることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか
1つに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入り
ワイヤ。
【0015】(6) シームレスフラックス入りワイヤ
であることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれ
か1つに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤ。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明のフラックス入りワ
イヤの成分限定理由を述べる。
【0017】CaF2を含有するフラックス入りワイヤ
はその強いアークの吹き付け力で溶融プールを撹拌しプ
ライマ燃焼ガスの浮上を促進する。またCaF2の比率
を高くした組成の溶融スラグは粘性が小さく凝固温度も
低く流動性が良好になるために溶融プールが後方に長く
伸び、溶融スラグの凝固開始位置が大きく後退し、溶融
金属プール表面から外部へのプライマ燃焼ガスの放出が
進み、ピットやガス溝が発生しにくくなる。板厚16m
m以上の厚板の耐プライマ性を十分に確保するために
は、CaF2はワイヤ全質量比で1.0%以上必要であ
る。一方、CaF2が5.0%を超えるとシールドガス
にCO2ガスを用いた場合のスパッタ発生量が増加し、
溶融スラグの流動性も過剰となりビード形状が劣化す
る。
【0018】しかし、CaF2を1.0%以上含有させ
た従来の細径フラックス入りワイヤをCO2ガスシール
ドアーク溶接した場合、ワイヤ先端に溶滴粒が大きく成
長し溶滴移行性が悪くアーク状態が不安定で大粒のスパ
ッタが発生する。また、生成する溶融スラグの流動性が
良好になることは反面、特に不安定なアーク状態下では
溶融スラグの先行や過度の後退などが不連続的に起こり
溶融プールが安定せず、スラグ被包性が悪く良好なビー
ド形状、外観が得られない。なお、Ar−CO 2混合ガ
スを用いた場合でも溶接電流を低くして溶接するとアー
ク状態が不安定になり大粒のスパッタが発生し、ビード
形状は凸状になる。
【0019】これらCaF2に起因する溶接作業性の劣
化に対し、本発明ではNa2O−TiO2系(チタン酸ソ
ーダ)、K2O−TiO2系(チタン酸カリ)、Li2
−TiO2系(チタン酸リチウム)、Na2O−SiO2
−TiO2系(チタン酸珪酸ソーダ)、K2O−SiO2
−TiO2系(チタン酸珪酸カリ)、Li2O−SiO2
−TiO2系(チタン酸珪酸リチウム)などのアルカリ
TiO2複合酸化物をワイヤ全質量比で0.3%以上含
有させることにより、ワイヤ先端の溶滴が細粒化し安定
したアーク状態となりスパッタは小粒で顕著に減少する
こと、さらに溶融プールも安定し良好なすみ肉ビードが
得られる。一方、アルカリTiO2複合酸化物が3.5
%を超えるとスラグ生成量が多くなり耐プライマ性が劣
化する。またスラグ剥離性の劣化やビード止端部のなじ
み性が不足するなどの悪影響が現れる。
【0020】上記アルカリTiO2複合酸化物によるア
ーク状態の安定化効果は、従来からフラックス入りワイ
ヤのアーク安定剤として汎用されている氷晶石、カリ長
石、珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウム、NaF、K
Fなどの原料を含有させた場合、あるいは上記従来のア
ーク安定剤原料とアーク安定化作用のあるTiO2をル
チール鉱石やチタンスラグ原料から供給して別々に含有
させた場合には従来では得られない高い水準のものであ
ることを確認した。
【0021】溶融プールが安定しビード形状が良好にな
ったことは、アーク状態の安定化に加えて、アルカリT
iO2複合酸化物がスラグ形成剤としても効果的に作用
し、溶融スラグの流動性及び凝固温度が調整されたこと
によるものである。この結果、水平すみ肉溶接における
スラグ被包性が向上しビード形状、外観が良好になっ
た。
【0022】なお、アルカリTiO2複合酸化物の含有
量が少なすぎた場合やTiO2をルチール鉱石やチタン
スラグのような原料だけから供給した場合には、溶融ス
ラグに凝固むらが生じ均一なスラグ被包状態とならず良
好なビード形状、外観が得られない。
【0023】すなわち、CaF2を主成分とする溶融ス
ラグにおいて良好なスラグ被包性を確保するためにはア
ルカリTiO2複合酸化物からのTiO2が必須で、Na
2O、K2O、Li2Oなどと相乗し、溶融スラグ組成、
流動性の均一化に極めて効果的に作用する。
【0024】これらアルカリTiO2複合酸化物による
特有のアーク状態及びすみ肉ビード形状の改善効果はN
2O、K2O、Li2OなどとTiO2が単独に作用する
のでなく、個々のフラックス粒子がNa、K、Liなど
とTi及びOが複合酸化物形態になっていることによる
相乗的作用によるものと考えられる。
【0025】アルカリTiO2複合酸化物の組成は、N
a、K、Liなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属
をそれぞれの酸化物(Na2O、K2O及びLi2Oな
ど)換算値で5質量%程度以上含むものが好ましく、ま
た、例えばNa2O−K2O−TiO2系あるいはNa2
−SiO2−Al23−TiO2系のようなアルカリTi
2複合酸化物についても上記効果が得られることを確
認した。
【0026】TiO2(アルカリTiO2複合酸化物中の
TiのTiO2換算値、或いは、アルカリTiO2複合酸
化中のTiのTiO2換算値とルチール鉱石やチタンス
ラグ等のTiO2値との合計値)がワイヤ全質量比で
0.2〜3.0%の範囲において、スラグがビード表面
を薄く均一に被包し良好なビード形状、外観及びラグ剥
離性が得られる。TiO2が0.2%未満では表面に滑
らかさがなく立板側、下板側とも止端部が不揃いでまと
まりのないビード形状となり、スラグ剥離性も劣化す
る。一方、TiO2が3.0%を超えるとスラグ量が多
くなり、また溶融スラグの粘性が大きくなり耐プライマ
性の劣化や下板側止端部が膨れたオーバーラップ状のビ
ード形状になる。
【0027】MgO(Mgを含有させた場合はMgO換
算値)をワイヤ全質量比で0.5%以上含有させると、
CaF2を主成分として生成する溶融スラグの凝固温度
を高め流動性を調整することによって、ビード全体が溶
融スラグでよく被包され溶融金属の垂れ落ちを抑止する
ので、立板側のカット及び下板側止端部に膨らみがなく
なじみ性が良好な水平すみ肉ビードが得られる。一方、
MgOが3.0%を超えるとスラグ量が多くなり耐プラ
イマ性の劣化やスラグ巻き込み欠陥が発生しやすく、ま
た均一なスラグ被包状態とならずビード表面の凹凸やビ
ード止端部の不揃い、外観不良などの悪影響が出る。な
お、低温靭性が要求されるすみ肉用フラックス入りワイ
ヤのように脱酸剤としてMgを相当量含有させる場合
は、過剰な添加はアーク状態を不安定にするので1.0
%程度以下に制限することが好ましい。
【0028】さらに、本発明のフラックス入りワイヤに
おいて、CaF2含有量に見合ってアルカリTiO2複合
酸化物、TiO2及びMgOの含有量を限定すること
は、上記限定した成分範囲における耐プライマ性と溶接
作業性の改善効果を一層高めるものである。すなわち、
CaF2とアルカリTiO2複合酸化物の比、CaF2
TiO2の比及びCaF2とMgOの比をそれぞれ1.0
以上にして、CaF2含有量を多くし、かつスラグ生成
量を制限することは耐プライマ性を向上させる。他方、
CaF2とアルカリTiO2複合酸化物の比を5.0以下
にすることにより、特にシールドガスにCO2ガスを用
いた場合の溶滴の細粒化が促進されアーク状態の安定
化、スパッタ低減、ビード形成性など溶接作業性改善効
果が大きくなる。また、CaF2とTiO2の比及びCa
2とMgOの比を5.0以上にすることにより適度な
流動性を持った溶融スラグとなり、十分なスラグ被包性
の下に良好なビード形状及びスラグ剥離性が得られる。
【0029】ワイヤ自体の水素及び水分は充填フラック
ス、鋼製外皮、外皮表面の潤滑性物質にも含有されてお
り、あまり高くなるとアーク状態が粗くなりスパッタが
増加する。また、プライマの熱分解ガスによる水素とと
もに溶接中アーク雰囲気中の水素分圧を上げて溶接金属
中に浸入し、ピット、ガス溝及び低温割れが発生しやす
くなる。本発明のフラックス入りワイヤはCaF2を含
有し、水素に関するこれら悪影響は軽減されるが、ワイ
ヤの全水素量を90ppm以下(融解熱伝導法)にする
ことによりスパッタの増加は認められず、耐プライマ性
及び耐割れ性が向上し適用板厚を拡大できる。
【0030】本発明のフラックス入りワイヤは上記限定
した成分以外に、SiO2、ZrO2、Al23、Fe2
3、FeOなどのスラグ形成剤、C、Si、Mn、T
i、Al、Zr、B、Ni、Mo、Crなどの脱酸剤や
合金剤、BiやS等のスラグ剥離剤、炭酸ソーダ、炭酸
カリ、炭酸リチウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩のガ
ス発生剤、溶着量を増加して高速化を図るために有効な
鉄粉などを本発明の効果を損なわない範囲で、フラック
ス入りワイヤの用途に応じて適宜含有させることが出来
る。
【0031】そして、炭酸ソーダを含有させることは、
発生するCO2ガスがアーク雰囲気中の水素分圧の低め
て耐プライマ性及び耐割れ性を向上させる。また、ワイ
ヤ先端の溶滴の離脱促進効果も認められアーク状態の改
善効果と、さらに溶着速度も速くなりすみ肉ビードに拡
がりを持たせる。しかし、炭酸ソーダがあまり多くなる
と、スパッタ発生量の増加とともに溶融スラグの流動性
が過剰となりビード形状の劣化やスラグ剥離性が悪くな
る。また、その他の炭酸カリ、炭酸リチウム、炭酸カル
シウムもガス発生剤として耐プライマ性の向上に有効で
ある。本発明のフラックス入りワイヤにおいては溶接作
業性への悪影響を考慮して炭酸塩は合計で2%以下に抑
えることが好ましい。なお、これら炭酸塩は、1種又は
2種以上を複合して使用してもよい。
【0032】ワイヤ径は電流密度を高くし高溶着性を得
るために細径の0.9〜2.0mmが好ましい。フラッ
クス充填率は水平すみ肉ビード形成に重要なスラグ被包
性、溶接能率及びワイヤの生産性面などから8〜25質
量%の範囲が好ましい。ワイヤ断面形状は図1(a)〜
(c)に示すような鋼製外皮1中にフラックス2を充填
した一般的な形状のものでよいが、本発明のフラックス
入りワイヤが吸湿性のあるアルカリTiO2複合酸化物
を必須成分として含有するものであり、鋼製外皮1に開
口部がないシームレスフラックス入りワイヤ(a)は、
使用中に充填フラックスの吸湿がなく、ワイヤの全水素
量がほとんど増加しないので耐割れ性及び耐プライマ性
に優れているので特に好ましい。
【0033】本発明のフラックス入りワイヤはCO2
スを用いた場合に特に問題となる溶接作業性を大幅に改
善したものであり、Ar−CO2混合ガスを用いた場合
はさらに良好な溶接作業性が得られる。また、すみ肉溶
接以外の継手溶接にも適用可能であり、CaF2による
溶接金属の酸素量低減効果が発揮され高い衝撃靭性が得
られる。
【0034】以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳
細に説明する。
【0035】
【実施例】軟鋼パイプ(C:0.05%、Si:0.0
1%、Mn:0.30%、P:0.012%、S:0.
005%)に表1に示す組成のフラックスを充填後、圧
延及びダイス伸線(軟化及び脱水素処理として中間焼鈍
実施)を行い、図1(a)に示したシームレスタイプの
フラックス入りワイヤを試作した。試作ワイヤのフラッ
クス充填率は15〜18%、ワイヤ径は1.4mmであ
る。なお、フラックスはいずれも水ガラスを添加して造
粒した(水ガラスの固質量はワイヤ全質量比で0.2〜
0.3%)。ワイヤの全水素量は中間焼鈍条件(保持温
度、時間)を変化させた(ワイヤ記号W1〜11及びW
13〜19、W12、W20の場合の3水準)。
【0036】
【表1】
【0037】表1においてワイヤ記号W1〜W12が本
発明のフラックス入りワイヤ、W13〜W20が比較例
である。
【0038】これら試作ワイヤを用いて、板厚16、2
0、25mmのウオッシュプライマ塗装鋼板(JISG
3106 SM490A、プライマ塗装膜厚25〜30
μm)を図2に示す耐割れ性試験を兼ねた拘束T字すみ
肉試験体(拘束板の板厚20mm×4枚、溶接長約50
cm)とし、片側ずつ両側の水平すみ肉溶接試験を行
い、耐プライマ性、耐割れ性、スパッタ、ビード形状な
どを調査した。図2(a)は、水平すみ肉溶接試験の斜
視図で、図3(b)は断面図である。水平すみ肉溶接試
験は、プライマ塗装5をした立板3及び下板4を拘束板
7で拘束できるように拘束板溶接ビード8に示すように
溶接した。そして、水平すみ肉ビード6を形成する水平
すみ肉溶接を行った。スパッタ量の測定は上記板厚16
mmの水平すみ肉溶接試験において、発生したスパッタ
を全量捕集した。耐割れ性は十分に拘束し、溶接後72
hr経過後のビード表面を観察し、割れの有無を調査し
た。溶接条件は330A−34V−45cm/min、
CO2ガス流量25L/min、チップ−母材間距離2
5mm、目標脚長5〜6mmである。表2に溶接試験結
果を示す。
【0039】
【表2】
【0040】試験No.1〜12は本発明のフラックス
入りワイヤ(記号W1〜12)を用いた場合で、板厚1
6mm、20mm、25mmのいずれの試験においても
ピット、ガス溝及び割れが発生しない。またアーク状態
が良好でスパッタが少なく、スラグ被包性、スラグ剥離
性、ビード形状も良好であった。なお、No.3、7、
8及び11は炭酸ソーダを含有する例であり、耐プライ
マ性が良好であった。
【0041】これに対し、試験No.13〜20(ワイ
ヤ記号W13〜20)は比較例である。
【0042】No.13はワイヤ記号W13がアルカリ
TiO2複合酸化物を用いないで、アルカリ原料に主に
カリ長石を用いたために、大粒のスパッタ発生、スラグ
剥離不良、ビード形状不良など溶接作業性が著しく悪
い。
【0043】No.14はワイヤ記号W14のCaF2
が多すぎるために、アーク状態、スパッタ、スラグ被包
性、スラグ剥離性、ビード形状のいずれも劣化した。
【0044】No.15はワイヤ記号W15のCaF2
が少なすぎるために、ピットが多発した。
【0045】No.16はワイヤ記号W16のアルカリ
TiO2複合酸化物が多すぎるために、ピット、ガス溝
の発生、スラグ剥離性及びビード止端部形状が悪くなっ
た。
【0046】No.17はワイヤ記号W17のアルカリ
TiO2複合酸化物が少なすぎるために、アーク状態が
不安定でスパッタが多く、スラグ被包性不十分でスラグ
剥離性、ビード形状も劣化した。
【0047】No.18はワイヤ記号W18のMgOが
多すぎるために、ピット、ガス溝が発生し、スラグ被包
性が不十分でビード形状、外観が劣化した。
【0048】No.19はワイヤ記号W19のMgOが
少なすぎるために、スラグ被包性が悪く、ビード形状が
劣化した。
【0049】No.20はワイヤ記号W20の全水素量
が高すぎるために、厚板側でピット、ガス溝が発生し、
耐割れ性も不良であった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤによればウオッ
シュプライマ塗装鋼板の水平すみ肉溶接において、適用
板厚が厚くなった場合の耐プライマ性、耐割れ性を改善
し、及びシールドガスに安価なCO2ガスを用いた場合
のスパッタが少なく、かつ、良好なビード形状が得ら
れ、溶接部の高品質化、高能率化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラックス入りワイヤの断面形状を示す図であ
る。
【図2】実施例における拘束水平すみ肉試験体の形状を
示す図である。
【符号の説明】
1 鋼製外皮 2 フラックス 3 立板 4 下板 5 プライマ 6 水平すみ肉ビード 7 拘束板 8 拘束板溶接ビード
フロントページの続き (72)発明者 足立 武夫 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社研究所内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB06 DB03 EA07 4E084 AA02 AA11 AA15 AA20 AA24 AA26 CA13 CA23 CA24 CA38 DA10 GA12 HA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスシールドアーク溶接用フラックス入
    りワイヤにおいて、鋼製外皮内に、ワイヤ全質量に対し
    て、 CaF2:1.0〜5.0%、 アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とTiとの複
    合酸化物もしくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類
    金属とTi及びSiとの複合酸化物の1種又は2種:
    0.3〜3.5%、TiO2(上記複合酸化物中のTi
    のTiO2換算値を含む):0.2〜3.0%、 MgO及び/又はMgのMgO換算値:0.5〜3.0
    %を含むフラックスが充填されていることを特徴とする
    ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 CaF2/上記複合酸化物=1.0〜
    5.0、 CaF2/上記TiO2=1.0〜5.0、 CaF2/MgO=1.0〜5.0を満たすフラックス
    が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 ワイヤの全水素量が90ppm以下であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスシール
    ドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 【請求項4】 フラックス中に炭酸ソーダ、炭酸カリ、
    炭酸リチウム、炭酸カルシウムから選択した少なくとも
    1種の炭酸塩を合計で2%以下含有することを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれか1つに記載のガスシールド
    アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  5. 【請求項5】 ウオッシュプライマ塗装鋼板用であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の
    ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  6. 【請求項6】 シームレスフラックス入りワイヤである
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載
    のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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