JP2001204490A - 構成糖に1,5−d−アンヒドロフルクトースを含有する糖鎖 - Google Patents
構成糖に1,5−d−アンヒドロフルクトースを含有する糖鎖Info
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Abstract
使用することのできる新規糖鎖およびその製造法を提供
すること。 【解決手段】 多糖類と1,5−D−アンヒドロフルク
トースとを糖鎖転移触媒の存在下に接触をせしめて、多
糖類を構成する単糖単位もしくは部分糖鎖単位を1,5
−D−アンヒドロフルクトースへ転移せしめて構成単位
として1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有する
糖鎖を製造する。
Description
−アンヒドロフルクトースを含有する新規な糖鎖および
その製造方法に関する。
を持つ化合物である。これまでに、澱粉をはじめとする
各種糖のポリマーを化学的、酵素学的処理により分解す
る方法、単糖同士を化学的、酵素学的処理により重合す
る方法、あるいは、一つの糖鎖からもう一つの糖鎖へ糖
を転移する方法を用いて合成されており、いくつかにつ
いては工業化がなされている。これら糖鎖の多くはグル
コース、キシロースあるいはそれらのエピマーや誘導体
で構成されており、1,5−D−アンヒドロフルクトー
ス等のアンヒドロ糖が構成糖として含まれる糖鎖に関す
る報告はない。
担子菌などの微生物あるいは紅藻などの植物組織に存在
する酵素であるα−1,4グルカンリアーゼの作用によ
り澱粉あるいは澱粉分解物を基質として生産することが
できる。1,5−D−アンヒドロフルクトースはグルコ
ースが脱水した興味ある特異な構造をしている。これま
での解析の結果から、グルコース等の他の単糖類に比較
して還元力が高いこと、抗菌活性を有しているなど特徴
的な性質を持つことが明らかとなっている。
5−D−アンヒドロフルクトースを構成糖として含む新
規糖鎖を提供することにある。
ドロフルクトースを構成糖として含む新規糖鎖の製造方
法を提供することにある。
下の説明から明らかになろう。
の上記目的および利点は、第1に、構成糖に1,5−D
−アンヒドロフルクトースを含有することを特徴とする
糖鎖によって達成される。
2に、多糖類と1,5−D−アンヒドロフルクトースと
を糖鎖転移触媒の存在下に接触をせしめて、多糖類を構
成する単糖単位もしくは部分糖鎖単位を1,5−D−ア
ンヒドロフルクトースへ転移せしめることを特徴とす
る、構成単位として1,5−D−アンヒドロフルクトー
スを含有する糖鎖を製造する方法によって達成される。
いて説明する。
トースは澱粉やグリコーゲンをα−1,4−グルカンリ
アーゼで分解して得られる。
のこに含まれることが報告されている。本発明者らは海
藻オゴノリよりα−1,4−グルカンリアーゼを精製
し、この酵素を澱粉(例えばワキシーコーンスターチ)
に作用させ1,5−D−アンヒドロフルクトースを合成
した。この1,5−D−アンヒドロフルクトースを精製
し糖鎖合成に用いた。
は、例えばグルカン類が好ましく用いられる。これらの
うち、シクロデキストリン、澱粉、可溶性澱粉、マルト
デキストリンの如きα−1,4−グルカン鎖を持つ糖類
およびその誘導体がさらに好ましい。
触せしめられる。糖鎖転移触媒としては、例えばシクロ
デキストリン合成酵素、α−グリコシダーゼ等の糖鎖転
移活性を有する酵素を挙げることができる。
アンヒドロフルクトースと澱粉などのα−1,4−グル
カンにシクロデキストリン合成酵素を作用させることに
よって行うことができる。シクロデキストリン合成酵素
はシクロデキストリン合成の他に糖鎖の転移反応を触媒
する。従って、1,5−D−アンヒドロフルクトースと
α−1,4−グルカン共存下にこの酵素を作用させる
と、1,5−D−アンヒドロフルクトースの非還元末端
に種々の重合度の糖を転移し1,5−D−アンヒドロフ
ルクトースを構成糖に持つ糖鎖を合成することができ
る。
媒体中で実施される。水性媒体としては、水あるいは場
合により水と水混和性有機媒体例えばアルコールからな
る混合媒体が用いられる。反応温度およびpHは使用す
る糖鎖転移触媒の種類により至適値が異なるが、例えば
10〜65℃および3〜8のpHの範囲で実施すること
ができる。
〜40g/100mlであることができる。反応終了
後、通常、使用した酵素を失活させたのち、あるいは、
酵素を担体に固定化して反応を行った場合は、反応液が
酵素との接触を終了した後、常法に従い、生成物を分離
することができる。かくして、本発明によれば、構成糖
に1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有する糖鎖
(糖分子鎖)が製造され且つ提供される。
ースを含有する本発明の糖鎖は、1,5−D−アンヒド
ロフルクトース以外の部分がマルトデキストリン糖鎖で
あるのが好ましく、1,5−D−アンヒドロフルクトー
スを糖鎖の還元末端に有するのがさらに好ましい。
−アンヒドロフルクトース骨格であり、そしてnは0〜
20の数である、但し、上記グルコース骨格には側鎖と
して他のグルコース単位がグリコシド結合していてもよ
い。で表わされる糖鎖が好ましく提供される。
の化合物、例えば蛋白質のアミノ基と反応し、アミノ基
に糖鎖を結合させる糖鎖供与体として使用することがで
きる。
る。
100mlと50mg/mlのβ−シクロデキストリン
100mlを混合しpHを5に調製した後、その混合液
にシクロデキストリン合成酵素50Uを添加し35℃で
48時間反応させた。反応終了後、反応液を95℃まで
加温し酵素を失活させた。その反応液をHPLC(TO
SO NH2−60)で分析した結果、図1に示すよう
に重合度2から11の糖鎖が合成されていることが明ら
かとなった。
ドロフルクトースを含有することを確認するための実験
を行った。まず、上記の反応生成物をゲルろ過クロマト
グラフィーにより各重合度の糖鎖を分取した。分取した
各重合度の糖鎖を最終濃度が0.5Nになるように塩酸
を加え、沸騰浴中で30分加熱し塩酸加水分解し構成糖
を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析し
た。重合度が2の糖鎖ではグルコースと1,5−D−ア
ンヒドロフルクトースの標準サンプルと同じ保持時間の
位置に量比が1対1である2つのピークが検出された
(図2)。重合度3の糖鎖では、それぞれの標準サンプ
ルと同じ保持時間にグルコース対1,5−D−アンヒド
ロフルクトースが2:1の量比となる2つのピークが検
出された(図3)。さらに、重合度4、5、6以上の糖
鎖(重合度n)も同様に調べた結果、同様に、それぞれ
の標準サンプルと同じ保持時間の位置にグルコース対
1,5−D−アンヒドロフルクトースが(n−1):1
の量比となる2つのピークが検出された。以上の結果
は、反応生成物が1分子あたり1個の1,5−D−アン
ヒドロフルクトース残基を含むことを示している。次
に、シクロデキストリン合成酵素反応生成物である各重
合度の糖鎖の混合物にグルコアミラーゼを作用させた。
その結果、図4に示す通り、グルコースと重合度2の糖
とを得た。グルコアミラーゼはグリコシド結合したグル
コース鎖の非還元末端から1グルコース残基ずつ分解す
ることを特徴とする酵素である。従って、これらの糖鎖
は重合度2の糖以外の部分はグルコースからなること、
さらに、重合度2の糖の非還元末端はグルコースである
ことを示している。次に、この重合度2の糖の加水分解
物をHPLCで分析した。その結果、グルコースと1,
5−D−アンヒドロフルクトースの標準サンプルと同じ
保持時間の位置に前者対後者の量比が1対1となる2つ
のピークが検出された。さらに、それぞれのピーク位置
の溶液を分取して解析を行った。グルコースの保持時間
と同位置に検出された物質を、グルコースを定量する際
に一般的に用いられるグルコースオキシダーゼ法で定量
したところ、ピーク面積から推定される量と同量のグル
コースが検出された。グルコースオキシダーゼは極めて
グルコースに特異性の高い酵素であることから、この結
果は、グルコースの保持時間と同位置に検出された物質
がグルコースであることを示している。一方、1,5−
D−アンヒドロフルクトースの保持時間と同位置に検出
された物質に対して、NMRによる解析を行ったところ、
図5に示す純度99%の1,5−D−アンヒドロフルク
トースの標準サンプルのパターン(1,5−D−アンヒ
ドロフラクトースを重水に10%になるよう溶解し、J
EOL GSX−500スペクロメーターで測定した。
ケミカルシフトはテトラメチルシランを基準物質として
ppmで表した。外部標準物質として1,4−ジオキサ
ン(67.40ppm)をコントロールに用いた。)と
同一のパターンを示した。従って、1,5−D−アンヒ
ドロフルクトースの保持時間と同位置に検出された物質
が1,5−D−アンヒドロフルクトースであることを示
している。以上の結果を総合すると、合成された糖鎖
は、還元末端が1,5−D−アンヒドロフルクトースか
らなり、それにグルコースがグリコシド結合したもので
あると結論される。
有する糖鎖の合成原料としてはβ−シクロデキストリン
の代わりにα−シクロデキストリン、γ−シクロデキス
トリン等の環状オリゴ糖、澱粉、可溶性澱粉などα−
1,4グルカンを含む糖類あるいはそれらの誘導体を用
いることができる。例えば、1,5−D−アンヒドロフ
ルクトースと可溶性澱粉を1対2の比で混合しシクロデ
キストリン合成酵素を可溶性澱粉1gあたり10U加
え、温度35℃で48時間反応させると1,5−D−ア
ンヒドロフルクトースの約50%が糖鎖へと変換した。
対2の比で混合しシクロデキストリン合成酵素を可溶性
澱粉1gあたり10U加え、温度35℃で48時間反応
させると1,5−D−アンヒドロフルクトースの約50
%が糖鎖へと変換した。このオリゴ糖を実施例1と同様
に構成糖を調べた結果、還元末端に1,5−D−アンヒ
ドロフルクトースを含む重合度2〜10の糖鎖であっ
た。
了後のHPLCチャート(TOSO NH2−60)。
た加水分解生成物のHPLCチャート(三菱化成 CK
08S)。
た加水分解生成物のHPLCチャート(三菱化成 CK
08S)。
応液のHPLCチャート(三菱化成 CK08S)。
クトースのNMRチャート。
Claims (6)
- 【請求項1】 構成糖に1,5−D−アンヒドロフルク
トースを含有することを特徴とする糖鎖。 - 【請求項2】 1,5−D−アンヒドロフルクトース以
外の部分がマルトデキストリン糖鎖である請求項1の糖
鎖。 - 【請求項3】 還元末端に1,5−D−アンヒドロフル
クトースを含有する請求項1または2の糖鎖。 - 【請求項4】 下記式 G−(G)n−AF ここで、Gはグルコース骨格であり、AFは1,5−D
−アンヒドロフルクトース骨格であり、そしてnは0〜
20の数である、但し、上記グルコース骨格には側鎖と
して他のグルコース単位がグリコシド結合していてもよ
い、で表わされる請求項1〜3のいずれかの糖類。 - 【請求項5】 オリゴ糖、環状オリゴ糖あるいは多糖類
と1,5−D−アンヒドロフルクトースとを糖鎖転移触
媒の存在下に接触をせしめて、多糖類を構成する単糖単
位もしくは部分糖鎖単位を1,5−D−アンヒドロフル
クトースへ転移せしめることを特徴とする、構成単位と
して1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有する糖
鎖を製造する方法。 - 【請求項6】 シクロデキストリンと1,5−D−アン
ヒドロフルクトースとを糖鎖転移触媒としてのシクロデ
キストリン合成酵素の存在下に接触をせしめて、多糖類
を構成する単糖単位もしくは部分糖鎖単位を1,5−D
−アンヒドロフルクトースへ転移せしめることを特徴と
する、構成単位として1,5−D−アンヒドロフルクト
ースを含有する糖鎖を製造する方法。
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