JP2001203060A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JP2001203060A
JP2001203060A JP2000008262A JP2000008262A JP2001203060A JP 2001203060 A JP2001203060 A JP 2001203060A JP 2000008262 A JP2000008262 A JP 2000008262A JP 2000008262 A JP2000008262 A JP 2000008262A JP 2001203060 A JP2001203060 A JP 2001203060A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ir系チップの接合により発火部を形成した
スパークプラグにおいて、発火部の耐酸化消耗性に極め
て優れたスパークプラグを提供する。 【解決手段】 スパークプラグ100は、発火部31,
32が、Irを主成分とし、かつ炭素含有量が40pp
m以下であるIr系金属又は該Ir系金属を主成分とす
る複合材料により構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパークプラグ及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述のようなスパークプラグにおいて
は、耐火花消耗性向上のために電極の先端にPtを主体
とするチップを溶接して発火部を形成したタイプのもの
が使用されている。しかしながら、近年は、耐火花消耗
性をさらに向上させるために、Ptに代えてIrを主成
分とするチップにて発火部を構成したスパークプラグ
が、例えば特開昭63−257193号、特開平3−1
475号、特開平5−54953号、特開平9−773
3号、特開平10−32076号、特開平10−745
75号、特開平10−22052号等に各種提案されて
いる。
【0003】しかしながら近年では、内燃機関の高性能
化により燃焼室内の温度も高くなる傾向にあり、また着
火性向上のために、スパークプラグの発火部を燃焼室内
部に突き出させるタイプのエンジンも多く使用されるよ
うになってきている。また、最近では、自動車エンジン
のメンテナンスフリー化対策の一環として、スパークプ
ラグ無交換による例えば16万km以上連続走行等、以
前の状況からは想像もつかないような苛酷な要望も出さ
れるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Ir系のチップを使用
した場合、耐久性は大幅に改善されるが、Irは高温で
酸化揮発しやすい性質を有していることから、長時間の
高速走行を繰返してある温度以上に上昇すると、急激に
発火部が消耗し、火花ギャップ間隔が拡大してしまう欠
点がある。これを解決するために、特開平9−7733
号、特開平10−32076号、特開平10−7457
5号及び特開平10−22052号の各公報には、Ir
にRhやPtを添加して発火部の耐酸化性を向上させる
方法が提案されている。しかしながら、さらに高温で厳
しい使用環境での耐久性や、あるいは着火性向上のため
中心電極先端の発火部を厚くするなど、発火部温度がさ
らに高温化する設計が求められる状況下においては、必
ずしも十分な効果が得られているとはいい難い。
【0005】本発明の課題は、Ir系チップの接合によ
り発火部を形成したスパークプラグにおいて、発火部の
耐酸化消耗性に極めて優れたスパークプラグと、その製
造方法とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明の
スパークプラグは、中心電極と、その中心電極の外側に
設けられた絶縁体と、その絶縁体の外側に設けられた主
体金具と、中心電極と対向するように配置された接地電
極と、それら中心電極と接地電極との少なくとも一方に
固着されて火花放電ギャップを形成する発火部とを備
え、その発火部が、Irを主成分とし、かつ炭素含有量
が40ppm以下であるIr系金属又は該Ir系金属を
主成分とする複合材料により構成されることを特徴とす
る。
【0007】また、上記スパークプラグを製造するため
の本発明の方法は、中心電極と、その中心電極の先端面
に自身の側面が対向するように配置された接地電極とを
備え、火花放電ギャップに対応する位置においてそれら
中心電極と接地電極との少なくとも一方に、Irを主成
分とし、かつ炭素含有量が40ppm以下のIr系金属
又は該Ir系金属を主成分とする複合材料からなるチッ
プを溶接することにより、該チップに基づく発火部を形
成することを特徴とする。
【0008】なお、本明細書でいう「発火部」とは、接
合されたチップのうち、溶接による組成変動の影響を受
けていない部分(例えば、溶接により接地電極ないし中
心電極の材料と合金化した部分を除く残余の部分)を指
すものとする。
【0009】従来よりIr系金属にて発火部を構成した
スパークプラグにおいては、その耐酸化性の改善は、R
h等の適当な合金元素の添加により行う試みが主になさ
れてきた。それは確かに有効な手法ではあるが、本発明
者らは、積極的に添加される合金元素成分の配合量以外
に、原料等から混入する不純物元素の含有量について鋭
意検討を行った結果、Ir系金属からなる発火部の高温
での耐酸化性が、微量に含有される不純物炭素の影響を
大きく受けるとともに、その含有量レベルを重量含有率
にて40ppm以下に制御することで、発火部の耐酸化
消耗性が顕著に改善されることを見い出し、本発明を完
成するに至ったのである。
【0010】発火部を構成するIr系金属中の炭素含有
量が40ppmを超えると、炭素含有量低減に伴う発火
部の耐酸化消耗性改善効果が顕著でなくなり、特に、合
金成分添加等による酸化消耗抑制を考慮しない場合に
は、発火部の高温での酸化消耗が著しくなり、耐久性が
低下することにつながる。Ir系金属中の炭素含有量
は、望ましくは20ppm以下、より望ましくは10p
pm以下、さらに望ましくは5ppm以下とするのがよ
い。
【0011】発火部を形成するためのチップ又はこれを
製造するためのチップ素材は、Ir系金属の原料を溶解
・凝固することにより製造される溶解材としてもよい
し、Ir系金属を主体とする原料粉末を所定の形状に成
形後これを焼結して得られる焼結材としてもよい。チッ
プ素材は、所定の加工を施すことにより、これをチップ
となすことができる。ここでいう「加工」とは、圧延、
鍛造、線引き(伸線)、切削、切断(放電加工を含む)
及び打抜きの少なくともいずれかを単独で、又は複数を
組み合わせてなされるものを意味するものとする。この
場合、圧延、鍛造、あるいは打抜き等の加工は、合金を
所定の温度に昇温して行ういわゆる熱間加工(あるいは
温間加工)により行うことができる。その加工温度は合
金組成にもよるが、例えば700℃以上とするのがよ
い。例えば溶解材を熱間圧延により板状に加工し、さら
にその板材を熱間打抜き加工により所定の形状に打ち抜
いてチップを形成するようにすれば、チップの製造効率
が著しく改善され、チップの製造単価を大幅に低減する
ことができる。なお、溶解合金を熱間圧延又は熱間鍛造
により線状あるいはロッド状に加工した後、これを長さ
方向に所定長に切断してチップを形成する方法も可能で
ある。
【0012】チップ又は該チップを製造するためのチッ
プ素材は、その炭素含有量を小さくする方法として、不
純物炭素含有量の極力小さいものを使用することが当然
に考えられる。しかしながら、高純度の原料は高価であ
り、また、溶解時における坩堝等の炭素源などから不可
避的に混入する炭素により、汚染される可能性がある場
合には、たとえ高純度の原料を使用しても炭素含有量レ
ベルを所期の値にまで低減できない可能性もある。
【0013】そこで、チップ又は該チップを製造するた
めのチップ素材の炭素含有量が、意に反して40ppm
を超える値にまで高くなってしまった場合は、溶接に先
立って減圧雰囲気又は水素雰囲気にてこれを脱炭素熱処
理することが、そのIr系金属中の炭素成分を除去ない
し減少させる上で非常に有効である。また、溶解材の場
合は、溶湯を水素(あるいは水素とアルゴン等の不活性
ガスとからなる水素含有ガス)中にて保持したり、水素
又は水素含有ガスを溶湯中に吹き込んだりする方法も有
効である。
【0014】一方、焼結材においては、例えば成形体を
製造するための、Ir系金属の原料粉末中の炭素含有量
レベルが高い場合、その成型前に上記の原料粉末を、炭
素成分除去のために、減圧雰囲気又は水素雰囲気にて粉
末脱炭素熱処理することができる。また、焼結材を使用
する場合は、その焼結を、減圧雰囲気又は水素雰囲気に
てIr系金属の脱炭素処理を兼ねた焼結処理(以下、脱
炭素焼結処理という)とすることもできる。なお、粉末
脱炭素熱処理あるいは脱炭素焼結処理終了時に、原料粉
末中の炭素含有量レベルが40ppm以下となっていて
もよいし、仮にこの段階で40ppmを超えている場合
でも、その後、前述の脱炭素熱処理を施して、最終的に
得られるチップあるいはチップ素材の炭素含有量レベル
を40ppm以下とすればよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1及び図2に示す本発明の一例た
るスパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部
21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込ま
れた絶縁体2、先端に形成された貴金属発火部(以下、
単に発火部ともいう)31を突出させた状態で絶縁体2
の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端
が溶接等により結合されるとともに他端側が側方に曲げ
返されて、その側面が中心電極3の先端部と対向するよ
うに配置された接地電極4等を備えている。また、接地
電極4には上記発火部31に対向する発火部32が形成
されており、それら発火部31と、対向する発火部32
との間の隙間が火花放電ギャップgとされている。
【0016】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパーク
プラグ100のハウジングを構成するとともに、その外
周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロック
に取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0017】中心電極3及び接地電極4のチップ被固着
面形成部位、この実施例では少なくともその表層部がN
i又はFeを主成分とする耐熱合金にて構成されている
(なお、本明細書において「主成分」とは、最も重量含
有率の高い成分を意味し、必ずしも「50重量%以上を
占める成分」を意味するものではない)。Ni又はFe
を主成分とする耐熱合金としては、次のようものが使用
可能である。 Ni基耐熱合金:本明細書では、Niを40〜85重
量%含有し、残部の主体が、Cr、Co、Mo、W、N
b、Al、Ti及びFeの1種又は2種以上からなる耐
熱合金を総称する。具体的には、次のようなものが使用
できる(いずれも商品名;なお、合金組成については、
文献(改訂3版金属データブック(丸善);p138)
に記載されているので、詳細な説明は行わない):ASTR
OLOY、CABOT 214、D-979、HASTELLOY C22、HASTELLOY C
276、HASTELLOY G30、HASTELLOY S、HASTELLOY X、HAYN
ES 230、INCONEL 587、INCONEL 597、INCONEL 600、INC
ONEL 601、INCONEL 617、INCONEL 625、INCONEL 706、I
NCONEL 718、INCONEL X750、KSN、M-252、NIMONIC 75、
NIMONIC 80A、NIMONIC 90、NIMONIC 105、NIMONIC 11
5、NIMONIC 263、NIMONIC 942、NIMONIC PE11、NIMONIC
PE16、NIMONIC PK33、PYROMET 860、RENE 41、RENE 9
5、SSS 113MA、UDIMET 400、UDIMET 500、UDIMET 520、
UDIMET 630、UDIMET 700、UDIMET 710、UDIMET 720、UN
ITEP AF2-1 DA6、WASPALOY。
【0018】Fe基耐熱合金:本明細書では、Feを
20〜60重量%含有し、残部の主体が、Cr、Co、
Mo、W、Nb、Al、Ti及びNiの1種又は2種以
上からなる耐熱合金を総称する。具体的には、次のよう
なものが使用できる(いずれも商品名;なお、合金組成
については、文献(改訂3版金属データブック(丸
善)、p138)に記載されているので、詳細な説明は
行わない);A-286、ALLOY 901、DISCALOY、HAYNES 55
6、INCOLOY 800、INCOLOY 801、INCOLOY 802、INCOLOY
807、INCOLOY 825、INCOLOY 903、INCOLOY 907、INCOLO
Y 909、N-155、PYROMET CTX-1、PYROMET CTX-3、S-59
0、V-57、PYROMET CTX-1、16-25-6、17-14CuMo、19-9D
L、20-Cb3。
【0019】一方、上記発火部31及び対向する発火部
32は、Irを主成分とする金属(Ir系金属)を主体
に構成されている。該Ir系金属からなる発火部31,
32は、いずれもその炭素含有量が、重量含有率にて4
0ppm以下、望ましくは20ppm以下、より望まし
くは10ppm以下、さらに望ましくは5ppm以下と
されている。これにより、中心電極3の温度が上昇しや
すい環境下においても、発火部31,32の耐消耗性を
良好なものとすることができ、かつIr成分の酸化・揮
発により減耗が極めて効果的に抑制される。また、上記
のような耐熱合金に対する溶接性も良好である。なお、
発火部31及び対向する発火部32のいずれか一方を省
略する構成としてもよい。この場合には、発火部31
と、発火部を有さない接地電極4の側面との間、又は対
向する発火部32と、発火部を有さない中心電極3の先
端面との間で火花放電ギャップgが形成されることとな
る。また、接地電極4側の、対向する発火部32は、例
えばPtを主体とする貴金属など、Ir系金属以外の貴
金属にて構成してもよい。
【0020】発火部31,32を構成するIr系金属に
は、添加金属元素成分としてPt、Rh、Ru、Re、
Nb及びHfの少なくとも1種を含有させることができ
る。これにより、発火部31,32の高温での耐酸化消
耗性がさらに改善される。ただし、本発明においては、
発火部31,32を構成するIr系金属中の炭素含有量
を前述のレベルにまで低減することによる酸化消耗抑制
の効果が大きいため、添加金属元素成分の含有量をそれ
ほど増加させなくとも、発火部の酸化・揮発抑制は相当
顕著となる。このことは、添加金属元素成分が、例え
ば、Pt、Rh、Ru、Re等、高価な貴金属である場
合に、その添加量を削減できる点において有利である。
この観点においては、Ir系金属は、Irの含有量を8
5重量%以上とし、残部を実質的に上記の添加金属元素
成分とすることが望ましい。
【0021】発火部31,32を構成するIr系金属と
しては、例えば次のようなものを使用できる。 (1)Irを主体としてRhを1〜50重量%(ただし
50重量%は含まない)の範囲で含有する合金を使用す
る。該合金の使用により、高温でのIr成分の酸化・揮
発による発火部の消耗がさらに効果的に抑制され、ひい
ては、より耐久性に優れたスパークプラグが実現され
る。
【0022】上記合金中のRhの含有量が1重量%未満
になると、Rh添加によるIrの酸化・揮発の抑制効果
が顕著でなくなる。一方、Rhの含有量が50重量%以
上になると合金の融点が低下し、プラグの耐久性が同様
に低下する。
【0023】ここで、合金中のRhの含有量は上記範囲
内において多くなるほど、発火部31,32の酸化・揮
発抑制効果は高められる。この観点において、酸化・揮
発抑制効果が最も顕著となるのは、Rh含有量が7〜3
0重量%、より望ましくは15〜25重量%、最も望ま
しくは18〜22重量%においてである。しかしなが
ら、本発明においては、発火部31,32を構成するI
r系金属中の炭素含有量を前述のレベルにまで低減する
ことによる酸化消耗抑制効果が大きいため、Rhの含有
量が比較的小さくとも、Ir系金属により発火部を構成
した従来のスパークプラグと比較して遜色ない、あるい
はそれ以上の酸化・揮発効果が達成される。その結果、
高価なRhの含有量を削減しつつも、発火部31あるい
は32の耐酸化消耗性をに優れたスパークプラグが実現
可能となる。例えば、前述のようにIr系金属中のIr
の含有量を85重量%以上となす場合、Rhの含有量
は、望ましくは1〜15重量%、さらに望ましくは3〜
10重量%の範囲にて調整することが望ましい。
【0024】(2)Irを主体としてPtを1〜50重
量%の範囲で含有する合金を使用する。該合金の使用に
より、高温でのIr成分の酸化・揮発による発火部の消
耗がさらに効果的に抑制され、ひいてはより耐久性に優
れたスパークプラグが実現される。なお、上記合金中の
Ptの含有量が1重量%未満になるとIrの酸化・揮発
の抑制効果が不十分となり、発火部が消耗しやすくなる
ためプラグの耐久性が低下する。一方、Ptの含有量が
50重量%以上になると合金の融点が低下し、プラグの
耐久性が同様に低下する。例えば、前述のようにIr系
金属中のIrの含有量を85重量%以上となす場合、P
tの含有量は、望ましくは1〜15重量%、さらに望ま
しくは3〜10重量%の範囲にて調整することが望まし
い。
【0025】(3)Irを主成分とし、Nbを0.5重
量%以上含有する合金を使用する。該合金を使用するこ
とにより、高温でのIr成分の酸化・揮発による消耗が
さらに効果的に抑制され、ひいては、より耐久性に優れ
たスパークプラグが実現される。合金中のNbの含有量
が0.5重量%未満になると、Nb添加によるIrの酸
化・揮発の抑制効果が顕著でなくなる。Nbの含有量
は、望ましくは1重量%以上、さらに望ましくは5重量
%以上とするのがよい。
【0026】この場合、さらに望ましくは、NbをIr
に対する固溶限以下の範囲で含有する合金を使用するの
がよい。NbがIrに対する固溶限を超えて含有された
場合、IrNb等の脆弱な金属間化合物が形成され、
発火部の耐久性や耐衝撃性に問題を生ずる場合がある。
例えば、室温におけるNbのIrに対する固溶限は約6
重量%であることから、Nbを単独含有させる場合に
は、それぞれ上記値よりも小さい含有量に設定すること
が望ましいといえる。ただし、上記金属間化合物の形成
量が一定以下で、発火部の耐久性等に及ぼす影響が小さ
い場合には、Nbの含有量が上記固溶限を多少超えた値
となっていても差しつかえない。以上から、例えばNb
を単独で含有させる場合、その含有量を7重量%以下、
望ましくは6重量%以下とするのがよい。
【0027】(4)Irを主体としてRhを0.1〜3
0重量%の範囲で含有し、さらにRu及びReの少なく
ともいずれかを合計で0.1〜17重量%の範囲で含有
する合金を使用する。これにより、高温でのIr成分の
酸化・揮発による発火部の消耗がさらに効果的に抑制さ
れ、ひいてはより耐久性に優れたスパークプラグが実現
される。Rhの含有量が0.1重量%未満になるとIr
の酸化・揮発の抑制効果が不十分となり、発火部が消耗
しやすくなるためプラグの耐消耗性が確保できなくな
る。一方、Rhの含有量が30重量%を超えると、Re
ないしRuを含有する合金の融点が低下して耐火花消耗
性が損なわれ、プラグの耐久性が同様に確保できなくな
る。それ故、Rhの含有量は上記範囲で調整される。
【0028】一方、RuないしReの合計含有量が0.
1重量%未満になると、これら元素の添加によるIrの
酸化・揮発による消耗を抑制する効果が不十分となる。
また、RuないしReの合計含有量が17重量%を超え
ると、発火部が却って火花消耗しやすくなり、プラグの
十分な耐久性が確保できなくなる。それ故、Ru及びR
eの合計含有量は上記範囲で調整され、望ましくは0.
1〜13重量%、さらに望ましくは0.5〜10重量%
の範囲で調整するのがよい。なお、Ru及びReはいず
れか一方のみを単独で添加しても、両者を複合して添加
してもいずれでもよい。
【0029】RuないしReが合金中に含有されること
により発火部の耐消耗性が改善される原因の一つとし
て、例えばこれら成分の添加により、合金表面に高温で
安定かつ緻密な酸化物皮膜が形成され、単体の酸化物で
は揮発性が非常に高かったIrが、該酸化物皮膜中に固
定されることが推測される。そして、この酸化物皮膜が
一種の不動態皮膜として作用し、Ir成分の酸化進行を
抑制するものと考えられる。また、Rhを添加しない状
態では、RuないしReを添加しても合金の高温での耐
酸化揮発性はそれほど改善されないことから、上記酸化
物皮膜はIr−(Ru,Re)−Rh系等の複合酸化物
であり、これが緻密性ないし合金表面に対する密着性に
おいてIr−(Ru,Re)系の酸化物皮膜より優れた
ものとなっていることも考えられる。
【0030】なお、RuないしReの合計含有量が増え
過ぎると、Ir酸化物の揮発よりはむしろ下記のような
機構により火花消耗が進行するようになるものと推測さ
れる。すなわち、形成される酸化物皮膜の緻密性あるい
は合金表面に対する密着力が低下し、該合計含有量が1
7重量%を超えると特にその影響が顕著となる。そし
て、スパークプラグの火花放電の衝撃が繰り返し加わる
と、形成されている酸化物皮膜が剥がれ落ちやすくな
り、それによって新たな金属面が露出して火花消耗が進
行しやすくなるものと考えられる。
【0031】また、Ru及び/又はReの添加により、
さらに次のような重要な効果を達成することができる。
すなわち、Ru及び/又はReを合金中に含有させるこ
とにより、Ir−Rh二元合金を使用する場合と比較し
て、Rh含有量を大幅に削減しても耐消耗性を十分に確
保でき、ひいては高性能のスパークプラグをより安価に
構成できるようになる。この場合、Rhの含有量は0.
1〜3重量%、より望ましくは0.1〜1重量%となっ
ているのがよい。
【0032】(5)Irを主体としてPt、Re及びP
dの少なくともいずれかを合計で1〜30重量%の範囲
で含有し、さらにRhを1〜49重量%の範囲で含有し
た合金を使用する。Irを主体として上記範囲のPt、
ReないしPdを含有する合金により構成することで、
高温でのIr成分の酸化・揮発による消耗が効果的に抑
制さるとともに、合金がさらに上記範囲のRhを含有す
ることにより、その加工性が劇的に改善される。チップ
としては、原料を所定の組成となるように配合・溶解し
て得られる溶解合金に対し所定の加工を施して形成され
たものが使用できる。なお、ここでいう「加工」とは、
圧延、鍛造、切削、切断及び打抜きの少なくともいずれ
かを単独で、又は複数を組み合わせてなされるものを意
味するものとする。
【0033】Rhの含有量が1重量%未満になると、合
金の加工性改善効果が十分に達成できなくなり、例えば
加工中に割れやクラックなどが生じやすくなって、チッ
プを製造する際の材料歩留まりの低下につながる。ま
た、熱間打抜き加工等によりチップを製造する場合は、
打抜き刃等の工具の消耗あるいは損傷が生じやすくな
り、製造効率が低下する。一方、49重量%を越えると
合金の融点が低下し、プラグの耐久性低下を招く。それ
故、Rhの含有量は前述の範囲で調整するのがよく、望
ましくは2〜20重量%の範囲で調整するのがよい。特
に、PdないしPtの合計含有量が5重量%以上である
場合には合金がさらに脆くなり、所定量以上のRhを添
加しないと、加工によるチップ製造が極めて困難とな
る。この場合、Rhは2重量%以上、望ましくは5重量
%以上、さらに望ましくは10重量%以上添加するのが
よい。なお、Rhの含有量が3重量%以上である場合に
は、Rhは加工性の改善だけでなく、高温でのIr成分
の酸化・揮発の抑制に対しても効果を生ずる場合があ
る。
【0034】PtないしPdの合計含有量が1重量%未
満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分とな
り、チップが消耗しやすくなるためプラグの耐久性が低
下する。一方、含有量が30重量%以上になると合金の
融点が低下し、プラグの耐久性が同様に低下したり(例
えばPd単独添加の場合)、あるいは高価なPtないし
Pdの含有量が増大してチップの材料コストが増大する
割には、チップの消耗抑制効果がそれほど期待できなく
なる問題が生ずる。以上のことから、PtないしPdの
合計含有量は前述の範囲で調整するのがよく、望ましく
は3〜20重量%の範囲で調整するのがよい。
【0035】以下、本発明のスパークプラグの製造方法
の実施例について説明する。すなわち、図9に示すよう
に、中心電極3の先端面3sに上記発火部31(図1)を
構成する合金組成からなる円板状のチップ31’を重ね
合わせ、さらにその接合面外縁部に沿ってレーザー溶接
により全周レーザー溶接部(以下、単に溶接部ともい
う)10を形成してこれを固着することにより発火部3
1が形成される。また、対向する発火部32(図1)
は、発火部31に対応する位置において接地電極4にチ
ップ32’(図12)を位置合わせし、その接合面外縁
部に沿って同様に溶接部20を形成してこれを固着する
ことにより形成される。
【0036】これらチップ31’,32’(以下、チッ
プ31,32を総称する場合は、符号「150」を用い
る場合がある)は、所定の組成となるように各合金成分
を配合・溶解することにより得られる溶解材を、例えば
熱間圧延により板材に加工し、その板材を熱間打抜き加
工により所定のチップ形状に打ち抜いて形成したもの
や、合金を熱間圧延、熱間鍛造あるいは熱間伸線により
線状あるいはロッド状の素材に加工した後、これを長さ
方向に所定長に切断して形成したものを使用できる。ま
た、アトマイズ法等により球状に成形したものも使用で
きる。上記チップ150は、例えば直径dcが0.4〜
1.2mm、厚さtcが0.5〜1.5mmのものを使
用する。結果として、例えば図7(a)に示すように、
発火部31の外径Dも同様の寸法を有するものとなる。
【0037】図3に示すように、チップ150あるいは
チップ150を製造するためのチップ素材300あるい
は210等は、溶接に先立って減圧雰囲気又は水素雰囲
気にて脱炭素熱処理することが、これを構成するIr系
金属中の炭素成分を除去する上で有効である。図3
(a)は、板材300を、同(b)はロッド状素材21
0、さらに同(c)は、チップ150に加工した状態に
て、熱処理炉FK内にて脱炭素熱処理する例を示してい
る。
【0038】この脱炭素熱処理の望ましい条件は、以下
の通りである。まず、脱炭素熱処理の雰囲気は、酸素分
圧が2.7×10−2Pa以下の減圧雰囲気、又は酸素
分圧が2.7×10−2Pa以下であって水素分圧が5
×10Pa以上の水素雰囲気とすることが望ましい。
減圧雰囲気中にて行う場合、酸素分圧が27×10
aを超えると、Ir系金属中のIr成分が酸化・揮発等
により目減りしてしまう恐れがある。該酸素分圧は、よ
り望ましくは1.4×10−2Pa以下とするのがよ
い。
【0039】また、脱炭素効果は、水素雰囲気中での脱
炭素熱処理においてより顕著である。雰囲気ガスとして
は、水素ガス、あるいは水素とアルゴン等の不活性ガス
とからなる水素含有ガスを使用できる。ただし、雰囲気
ガス中の水素分圧が5×10 Pa未満では、十分な脱
炭素効果が期待できない。また、水素分圧が1.2×1
Paを超えると設備を含めて処理コストの高騰を招
くことがある。なお、水素分圧はより望ましくは大気圧
よりも高く設定するのがよい。このようにすると、炉内
の水素は必ず炉外へ漏れ出す方向に流れることから、処
理進行に伴う炉内雰囲気の変動を抑制することができ
る。
【0040】次に、脱炭素熱処理の温度は、1200〜
2000℃の範囲にて調整するのがよい。温度が120
0℃未満では、十分な脱炭素効果が達成できなくなる。
他方、温度が2000℃を超えると、Ir系金属の軟化
あるいは溶融が避けがたくなり、処理中のチップあるい
はチップ素材の溶着や変形を招く。脱炭素熱処理の温度
は、より望ましくは、1400〜1950℃の範囲にて
調整するのがよい。
【0041】また、チップ又はチップ素材中のIr系金
属からの脱炭素は、脱炭素熱処理の保持時間とともに進
行する。従って、最終的に40ppm以下の炭素含有量
となるように、その保持時間は十分に長く設定する必要
がある。しかしながら、その必要十分な熱処理保持時間
は、脱炭素熱処理温度及びその雰囲気によって相違する
ほか、脱炭素熱処理前の炭素含有量レベルによっても異
なってくる。当然に、熱処理前にて炭素含有量レベルの
高いものは熱処理保持時間も長く設定する必要が生ず
る。しかしながら、1つの目安として、上記のレベルま
で炭素含有量を減少させるには、最低でも1時間程度は
脱炭素熱処理の温度の保持することが望ましいといえ
る。また、熱処理温度が低い場合は、脱炭素速度は小さ
くなり、逆に高い場合は脱炭素速度が大きくなる。従っ
て、同じ量の脱炭素を行う場合は、熱処理温度が高いほ
ど、脱炭素処理の時間も短くすることができる。この場
合、脱炭素熱処理の温度をTC(℃)、熱処理保持時間
をth(時間)とすれば、TC≧1200であって、TC
×thが1950以上確保されていることが、上記のレ
ベルまで炭素含有量を減少させる上で望ましいといえ
る。
【0042】また、チップ又はチップ素材の炭素含有量
は、脱炭素熱処理前にて120ppm以下であることが
望ましい。脱炭素熱処理前にて、チップ又はチップ素材
の炭素含有量が120ppmを超えていると、脱炭素熱
処理の保持時間を相当長時間に設定しても、最終的に4
0ppm以下の炭素含有量を確保することが困難な場合
がある。
【0043】チップ又はチップ素材を上記のように脱炭
素熱処理する方法は、溶解材及び後述する焼結材のいず
れにおいても有効である。焼結材の場合、成形助剤(例
えば、結合剤あるいは潤滑剤)として各種有機添加剤を
添加することがあるが、その有機添加剤が炭素源となっ
て、得られるチップ又はチップ素材中の炭素含有量が増
大する場合がある。しかしながら、これを上記のように
脱炭素熱処理することにより、その炭素含有量を減少さ
せ、ひいては耐酸化消耗性に優れた発火部を得ることが
でる。
【0044】次に、図4に示すように、チップ150
(あるいはチップ素材135)は、Ir系金属を主体と
する原料粉末を所定の形状に成形後これを焼結して得ら
れる焼結材としてもよい。図4(a)では、まず、Ir
系金属粉末を主体とする原料粉末Pをプレス等により成
型して成形体140となし、(b)に示すようにこれを
焼結炉FS内にて焼結して、チップ150とする例を示
している。また、図4(c)に示すように、ロッド状の
粉末成形体130を作り、これを焼結してロッド状の焼
結素材135を作り、さらに(d)に示すようにこれを
所定長さに切断してチップ150とすることもできる。
いずれの場合も、成型前の段階で原料粉末Pに対し、減
圧雰囲気又は水素雰囲気にて粉末脱炭素熱処理を施すこ
とができるほか、焼結を減圧雰囲気又は水素雰囲気にて
行うことにより、脱炭素を図ることも可能である(脱炭
素焼結処理)。
【0045】粉末脱炭素熱処理は、酸素分圧が2.7×
10−2Pa以下の減圧雰囲気、又は酸素分圧が27×
10Pa以下であって水素分圧が5×10Pa以上
の水素雰囲気にて、温度1200〜2000℃の範囲に
て行うことが望ましい。減圧雰囲気中にて行う場合、酸
素分圧が2.7×10−2Paを超えると、原料粉末中
のIr成分が酸化・揮発等により目減りしてしまう恐れ
がある。該酸素分圧は、より望ましくは1.4×10
−2Pa以下とするのがよい。また、水素雰囲気中にて
行う場合は、その水素分圧が5×10Pa未満では、
十分な脱炭素効果が期待できない。また、水素分圧が
1.2×10Paを超えると設備を含めて処理コスト
の高騰を招くことがある。なお、水素分圧はより望まし
くは大気圧よりも高く設定するのがよい。このようにす
ると、炉内の水素は必ず炉外へ漏れ出す方向に流れるこ
とから、処理進行に伴う炉内雰囲気の変動を抑制するこ
とができる。また、粉末脱炭素熱処理の温度が1200
℃未満では、十分な脱炭素効果が達成できなくなる。他
方、温度が2000℃を超えると、Ir系金属の軟化あ
るいは溶融が避けがたくなり、粉末粒子が溶着・凝集し
て成型に使用できなくなる。粉末脱炭素熱処理の温度
は、より望ましくは、1400〜1900℃の範囲にて
調整するのがよい。
【0046】また、脱炭素焼結処理は、酸素分圧が2.
7×10−2Pa以下の減圧雰囲気、又は酸素分圧が2
7×10Pa以下であって水素分圧が5×10Pa
以上の水素雰囲気にて、温度1400〜2000℃の範
囲にて行うことが望ましい。減圧雰囲気中にて焼結を行
う場合、酸素分圧が2.7×10−2Paを超えると、
原料粉末中のIr成分が酸化・揮発等により目減りして
しまう恐れがある。該酸素分圧は、より望ましくは1.
4×10−2Pa以下とするのがよい。また、水素雰囲
気中にて行う場合は、その水素分圧が5×10Pa未
満では、十分な脱炭素効果が期待できず、水素分圧が
1.2×10Paを超えると設備を含めて処理コスト
の高騰を招くことがある。なお、水素分圧はより望まし
くは大気圧よりも高く設定するのがよい。このようにす
ると、炉内の水素は必ず炉外へ漏れ出す方向に流れるこ
とから、処理進行に伴う炉内雰囲気の変動を抑制するこ
とができる。次に、脱炭素焼結処理の温度が1400℃
未満では、焼結が不能であり、また、十分な脱炭素効果
が必ずしも達成できなくなる場合がある。他方、温度が
2000℃を超えると、Ir系金属の軟化あるいは溶融
が避けがたくなり、得られるチップあるいはチップ素材
の溶着や変形を招く。脱炭素焼結処理の温度は、より望
ましくは、1400〜1950℃の範囲にて調整するの
がよい。また、脱炭素熱処理温度での保持時間は0.5
〜5時間の範囲とするのがよい。保持時間が0.5時間
未満では十分な脱炭素効果が期待できず、5時間を超え
ると焼結時間の長大化による製造効率の低下を招く。ま
た、粉末に有機結合剤が添加されている場合に、その炭
素成分の粉末を構成するIr金属中への拡散が進行し
て、金属中の炭素含有量の増大を招く場合がある。さら
に、焼結体の結晶粒子が過度にオストワルト成長して強
度不足につながることもある。
【0047】次に、溶接方法の一例について説明する。
なお、上記の発火部31,32を形成するための溶接方
法は概ね同じであるので、中心電極3側の発火部31を
中心に、以下に詳しく説明する。図9(a)に示すよう
に、中心電極3の先端面3sをチップ被固着面として、
ここにチップ31’を重ね合わせて重ね合せ組立体70
を作り、その重ね合せ組立体70に対し、チップ31’
とチップ被固着面とにまたがる全周レーザー溶接部10
をチップ外周面に沿って形成する。このとき、レーザー
溶接の光源として、1パルス当りのエネルギーが1.5
〜6J、パルス長が1〜10ミリ秒、パルス発生周波数
が2〜20パルス/秒のパルス状レーザー光源(例えば
YAGレーザー光源)50を使用する。前述の大きさの
チップ31’を使用して上記の条件にて形成される全周
レーザー溶接部10は、図6に示すように、チップ3
1’とチップ被固着面との重ね合わせ方向において平面
視したときの外周最大寸法dmaxが2.0mm未満であ
り、かつチップ31’の厚さ方向において放電面31a
に到達しないものとされる。なお、外周最大寸法dmax
は0.4mm以上であることが望ましい。dmaxが0.
4mm未満になると、レーザー光を相当に絞っても均一
な溶接部を形成することが困難になり、正常な発火部形
成に支障を来たす場合がある。
【0048】電極素材として使用される前述の各種耐熱
合金は、800℃における熱伝導率が概ね30W/m・
K以下と小さく、レーザー溶接時に畜熱しやすい性質が
ある。しかしながら、1パルス当りのエネルギーが1.
5〜6J、パルス長が1〜10ミリ秒のレーザー光を使
用することにより、従来の方法と比較してはるかに大き
いパルス発生周波数である2〜20パルス/秒を採用し
ても、均一性の高い全周溶接部10を形成できる。具体
的には、チップのチップ被固着面への重ね合せ方向、こ
の場合、チップ31’あるいは中心電極3の中心軸線O
の方向における、全周レーザー溶接部10の最小幅lmi
nと最大幅lmaxとの比lmin/lmaxが0.7以上(望ま
しくは0.9以上)とすることができる。
【0049】なお、図8(a)には、中心軸線Oと同軸
の円筒面(放電面31aの外径に等しい直径を有する)
にレーザー溶接部10を投影したときの、その投影像の
展開図を示しており、上記のlmin及びlmaxを示してい
る。また、中心軸線Oの方向において、放電面31aの
外縁TLからレーザー溶接部10の放電面31aに対し
て近い側の縁までの最小距離hminは、TLからレーザ
ー溶接部10の放電面31aに対して近い側の各縁の積
分中心線UCmまでの距離を平均発火部厚さhavとし
て、hmin/havが同様に0.7以上となっていること
が望ましい。これにより、例えばhminとなる位置(多
くの場合、溶接部10が最も広幅(lmax)となる位
置)において、貴金属発火部が少し消耗しただけで溶接
部の放電面への露出が発生し、着火ミス等を生ずる不具
合が効果的に防止される。
【0050】また、中心電極3の先端面に固着されてい
る発火部31は、前述の通りIr系金属中の炭素含有量
レベルを低くすることにより、耐酸化消耗性が格段に向
上している。そこで、より温度上昇しやすい態様とし
て、中心電極3の軸線方向における厚さを0.4〜1.
0mm程度まで大きくしても、酸化消耗が効果的に抑制
され、ひいては発火部31の寿命を伸ばすことができ
る。この場合、発火部31の厚さは、図8のhminによ
り表す。
【0051】次に、溶接部10は、図7(a)に示すよ
うに、溶接部10の中心軸線Oを挟んだ両側部分が半径
方向においてつながらない場合(この場合、溶接部10
はドーナツ状の形態を呈する)は、溶接後においてチッ
プ厚さtcを、その軸断面から実測することが可能であ
る。しかし、同図(b)に示すように、半径方向に両側
の溶接部がつながってしまう場合(溶接部10は円板状
の形態を呈する)は、図8(a)に示すように、溶接部
10の幅方向両側縁の積分中心線UCm,LCmの中間位
置に基準線CMを設定し、その基準線CMと放電面31
aの外縁TLとの距離Hをチップ厚さtcとして推定す
る。
【0052】ここで、チップ径dcは、スパークプラグ
に要求される耐久性や着火性能等に応じて、0.4〜
1.2mmの範囲にて適宜設定されるが、チップは一般
に高価なのでなるべくその使用量を削減するために、そ
の厚さtcは前述の通り0.5〜1.5mmと比較的小
さく設定されるのがよい。また、平均発火部厚さhavに
ついては、0.2〜1.0mmとするのがよい。この理
由としては、havが0.2mm未満になると貴金属発火
部が少し消耗しただけで溶接部の放電面への露出が発生
し、スパークプラグの耐久性を低下させる場合があるか
らである。一方、havが1.0mmを超えると、ギャッ
プ拡大によりスパークプラグの寿命が到来したときに、
チップが相当量残留した状態にてスパークプラグが交換
されることとなるので、無駄が多くなるからである。こ
れを前提とすれば、例えば、溶接後においてもチップ厚
さtcが確認可能な場合、平均発火部厚さhavとチップ
厚さtcに対する比hav/tcは、概ね0.13〜2.0
となっていることが望ましいといえる。ただし、図8
(b)に示すように、チップ31’の放電面と反対側の
縁が、溶接部10よりも基端側に突出して位置するよう
な場合にあっては、hav/tcが0.2〜1.0となっ
ていても、寿命到来とは無関係に、その突出部分が全て
無駄になってしまう問題を生ずることとなる。
【0053】一方、チップの中心電極からの耐剥離性を
向上させるために、UCmとLCmとの距離を平均溶接部
幅lavとして、該lavを0.4mm以上とすることが望
ましい。また、同様の観点において、図8(c)に示す
ように溶接部の中心軸線を挟んだ両側部分が半径方向に
おいてつながらない場合は、tc−havが0.2mm以
上となっていることが望ましい。他方、図8(d)に示
すように、半径方向の両側部分がつながってしまう場合
には、中心電極3の軸線方向において、放電面31aか
ら、溶接部10と発火部31との接合面上において溶接
部10が最も薄肉となる位置までの寸法をtc2、同じく
溶接部10と中心電極3との接合面上において溶接部1
0が最も薄肉となる位置までの寸法をtc3として、tc3
−tc2が0.2mm以上となっていることが望ましい。
【0054】夲実施例のように、チップ31’が円板状
に形成されている場合、図9(b)に示すように、該チ
ップ31と中心電極3との重ね合せ組立体70を、レー
ザー光源50に対しチップ中心軸線Oの周りにおいて相
対的に回転させながら、チップ外周面に向けてパルス状
レーザー光LBを照射する方法が、上記のような全周レ
ーザー溶接部を均一に形成する方法として合理的であ
る。この場合、組立体70又はレーザー光源50の一方
のみを回転させるようにしてもよいし、双方ともに(例
えば互いに逆方向に)回転させることも可能である。
【0055】この場合、その回転速度は以下のように調
整することが望ましい。まず、重ね合せ組立体70とレ
ーザー光源50との相対回転速度は、レーザー光源50
を1つのみ使用する場合は、10rpm以上(望ましく
は12rpm以上)とするのがよい。全周溶接を行うた
めには、組立体70とレーザー光源50とを最低1周分
は相対回転させなければならないが、その相対回転速度
が10rpm未満になると、1周分の溶接時間ひいては
1個のスパークプラグを製造するためのピースタイムが
長くなり、従来方法に対して必ずしも優位性を生ずるも
のとはならなくなる場合がある。
【0056】一方、相対回転速度の上限値であるが、重
ね合せ組立体70を回転させる場合は、溶接時に生ずる
溶融金属の遠心力による変形や飛散を防止するために、
最大でも240rpm(秒速4回転)程度に留めるのが
よい。他方、溶接部10に付加される遠心力は、外周最
大寸法dmaxに略比例して大きくなり、回転角速度に対
してはその2乗に略比例して大きくなると考えられるの
で、これを考慮した場合、重ね合せ組立体70の回転速
度は、 Vmax=5π(2/dmax)1/2(単位:ラジアン/秒)‥‥ で定まる値Vmax未満に設定することが望ましい(ただ
し、dmaxの単位はmm)。
【0057】上記式によれば、dmaxが小さくなるほ
どVmaxは大きく取れることになる。例えば、dmax=
2.0mmとすればVmaxはおよそ150rpmとなる
が、dmax=1.5mmではVmax=173rpmであ
り、dmax=0.7mmではVmax=253rpmであ
る。また、組立体70とレーザー光源50との双方を回
転させて、所期の相対回転数を形成する場合、中心電極
側の回転速度を増やすことができれば、その分、若干複
雑にならざるを得ないレーザー光源50側の機構の回転
速度を減ずる(あるいは非回転とする)ことができ、ひ
いてはレーザー光源50側の機構単純化あるいは回転負
担軽減を行うことが可能となる。
【0058】なお、式によれば、概ねdmax <0.7
8mmでは、Vmaxは前記した望ましい上限値である2
40rpmよりも大きくなる。ただし、本発明者の検討
によれば、上記のような小径のチップの場合でも、1パ
ルス当り1.5〜6Jのエネルギーのレーザー光を用い
て周方向に完全に連なる溶接部10を形成するには、1
周に対して最低でも5つ分のパルス溶接ビードを形成し
なければならない。240rpmは秒速4回転であり、
前記したパルス発生周波数の上限値である20パルス/
秒を用いても、1秒当りに5パルスがやっと打てる程度
である。従って、これよりも回転速度が大きくなると、
溶接ビード10dが周方向に間欠形成される形となり、
1回転の間に周方向に連なるパルス溶接ビードを形成完
了できなくなる場合がある。従って、式の観点からは
240rpmを超える回転速度が可能であっても、やは
り240rpm程度に回転速度を留めておいたほうが有
利であるともいえる。ただし、2回転目以降の溶接を行
うことが許される場合は、溶接ビード10dの形成角度
位相をずらせることにより、周方向に連なる溶接部10
を形成することができる。
【0059】他方、レーザー光源50の側を回転させる
場合には、レーザー光線の照射位置ブレ等の発生を抑制
するために、その回転速度を90rpm以下に設定する
のがよい。
【0060】なお、チップ31’の厚さtcが上記のよ
うに小さい場合、放電面31aにかからないように溶接
部10を形成するために、パルス状レーザー光LBを斜
め上方から照射することが有効である。具体的には、図
9(b)及び(c)に示すように、レーザー光LBのス
ポット内にチップ被固着面(この場合、中心電極3の先
端面)とチップ外周面との交差縁Qが入り、かつチップ
被固着面に対する照射角度θが0゜〜60゜の範囲(例
えば45゜)となるように重ね合せ組立体70にパルス
状レーザー光LBを照射することが望ましい。
【0061】チップ31’のチップ被固着面に対する位
置決め固定を行いやすくするために、図9(d)に示す
ように、チップ外形形状に対応した位置決め用凹部3a
をチップ被固着面に形成し、その位置決め用凹部3a内
にチップ31’を嵌め込んで重ね合せ組立体70を作る
こともできる。この場合、溶接接合を確実に行うには、
その凹部3aの開口周縁とチップ外周面との交差縁Qに
向けてパルス状レーザー光LBを照射するのがよい。
【0062】次に、脱炭素熱処理のために、高温に長時
間保持したIr系金属のチップあるいはチップ素材は、
結晶成長が進行して結晶粒が粗大化していることが多
い。この場合、結晶粒が粗大化し過ぎていると、急加熱
・急冷却が繰り返されるレーザー溶接により、例えば図
9に示すように、チップ31’を接合して発火部31を
形成する際に、粒界割れ等によりチップ31’が破壊し
てしまう場合がある。従って、これを考慮して、発火部
31(ひいてはチップ31’)を構成するIr系金属の
平均粒径は100μm以下としておくことが望ましい。
なお、5μm未満の平均粒径は、製造工程上の制約から
実現困難か、あるいは実現できても極めて高コストとな
るため現実的でないことが多い。なお、本明細書におい
ては、材料の研磨表面上で観察される結晶粒の外形線に
対し、その外形線と接しかつ結晶粒内を横切らないよう
に2本の平行線を、その結晶粒との位置関係を変えなが
ら各種引いたときの、上記平行線間の距離の最大値とし
て定義し、平均粒径とは、そうして求めた多数の結晶粒
の粒径の平均値を意味するものとする。
【0063】なお、結晶粒微細化のための具体的な手法
としては、脱炭素熱処理後のチップ又はチップ素材を、
加工及び熱処理する方法がある。例えば、板材の場合
は、最終的に所望する寸法(例えば板厚tF)よりも若
干大きい寸法(板厚tP)まで圧延等により加工し、次
いで脱炭素熱処理を行う。これにより、結晶粒は粗大化
するが、これを再び熱間加工すること、例えば、図5に
示すように熱間圧延することにより、いわゆる動的再結
晶現象を利用して結晶粒の微細化を図ることができる。
この加工により、最終的に所望する寸法(例えば板厚t
F)が得られるようにしておけば、さらに能率的であ
る。他方、冷間あるいは温間加工によりチップ又はチッ
プ素材内に欠陥を導入し、これを焼鈍することにより回
復・再結晶させて結晶粒の微細化を図るようにしてもよ
い。
【0064】また、チップを構成する材料には、元素周
期律表の3A族(いわゆる希土類元素)及び4A族(T
i、Zr、Hf)に属する金属元素の酸化物(複合酸化
物を含む)を0.1〜15重量%の範囲内で含有させる
ことができる。これにより、酸化物粒子が結晶粒界をピ
ンニングすることから、脱炭素熱処理時(あるいは脱炭
素焼結処理時)の結晶粒成長が抑制され、上記したよう
な結晶粒の粗大化を防止することができる。また、添加
金属元素成分、特にIr、Ru、Reの酸化・揮発によ
る消耗がさらに効果的に抑制される。上記酸化物の含有
量が0.1重量%未満になると、当該酸化物添加による
結晶粒粗大化抑制効果あるいは添加金属元素成分の酸化
・揮発防止効果が十分に期待できなくなる場合がある。
一方、酸化物の含有量が15重量%を超えると、チップ
の耐熱衝撃性が却って損なわれてしまうことがある。な
お、上記酸化物としては、Yが好適に使用される
が、このほかにもLa、ThO、ZrO等を
好ましく使用することができる。なお、酸化物以外にも
炭化物、窒化物及びホウ化物等の無機物質粒子を含有さ
せることもできるが、この場合、無機物質粒子のマトリ
ックスをなすIr系金属相中の炭素含有量が40ppm
以下になっている必要がある。
【0065】次に、発火部31,32を構成するIr系
金属において、その添加金属元素成分の濃度分布に縞状
の濃淡を生じている場合、図2(b)に示すように、そ
の濃淡縞Jの方向を、例えば発火部31,32における
電圧印加方向(すなわち放電方向)とほぼ平行となるよ
うに、当該発火部31,32を形成することができる
(以下、平行態様という)。これによれば、次のような
効果が達成される。 縞状の濃淡分布が生ずる場合、その濃淡縞Jの方向に
合金結晶方位の指向性が生じやすくなる。例えば、添加
金属元素成分の濃度差の大きい領域同士は、熱膨張率に
も差があり、発火部31,32に冷熱サイクルが繰り返
されると、濃淡縞Jに沿った剥離により発火部31,3
2の消耗が進むことがある。また、濃淡縞Jの境界付近
での局部的な腐食により剥離が進行することも考えられ
る。しかしながら、いずれにしろ、図2(d)に示すよ
うに、この剥離は上記平行態様では濃淡縞Jの向きであ
る電圧印加方向、すなわち火花放電ギャップgの間隔方
向に生ずる形になるので、残っている発火部31,32
の合金結晶はギャップ間隔方向の寸法を比較的維持しや
すい。従って、多少の消耗が進行しても火花放電ギャッ
プgの間隔が変化しにくい利点がある。なお、濃淡縞J
の方向に延びる合金結晶組織が、板状ではなく繊維状を
呈していると、剥離の進行も鈍くなるので、一層有利で
あるといえる。
【0066】接地電極側面が中心電極先端面と対向す
る、いわゆる平行型スパークプラグの場合においては、
図2(c)に示すように、中心電極3の軸線方向に発火
部31の濃淡縞Jの方向が一致する形となり、合金結晶
の方位もこの向きに揃いやすくなる。その結果、発火部
31は中心電極3の軸線方向の伝熱性が良好となり、発
火部の熱引き特性改善に寄与する。また、発火部31
は、長手方向に上記濃淡縞とともに繊維状の結晶粒が成
長したロッド状の合金(回転鍛造加工あるいは伸線加工
により容易に製造できる)を、放電加工等によりいわば
輪切りにしてチップを製造でき、例えばチップ製造時に
無駄が生じにくく、製造歩留まりを向上できる。
【0067】他方、図2(c)に示すように、上記濃淡
縞Jの方向を、例えば発火部31,32における電圧印
加方向(すなわち放電方向)とほぼ直交するように当該
発火部31,32を形成すすることもできる(以下、直
交態様という)。この場合、上記平行態様に特有の効果
は期待できないが、代わって発火部31,32の消耗自
体が抑制され、火花放電ギャップ幅の増加抑制効果がさ
らに向上する。すなわち、濃淡縞Jの方向が放電電圧の
印加方向とは交差する形になるので、濃淡縞Jの境界が
発火面31aにほとんど露出しなくなる。その結果、濃
淡縞境界付近の局部腐食による剥離が抑制され、発火部
31,32の消耗が進行しにくくなるものと推測され
る。
【0068】
【実験例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行った。 (実験例1)Ir金属(炭素含有量120ppm)に対
し、所定量のPt金属(炭素含有量90ppm)を配合
・溶解することにより、Ir−5重量%Ptの組成を有
する合金を作製した。この合金に対し、温度700℃で
熱間圧延を行い、厚さ0.5mmの板材に加工した。次い
で、上記得られた板材を熱間打抜き加工(加工温度17
00℃)することにより、直径0.7mm、厚さ0.5mm
の円板状のチップを得た。この段階でのチップの炭素含
有量は約100ppmであった。なお、Ir金属中の炭
素含有量は、酸素気流中にて試料を燃焼させながら、そ
の燃焼ガスを赤外線吸光法にて分析することにより測定
した。分析装置は堀場製作所(株)製、EMIA−51
0・520を用い、検量線は日本鉄鋼協会のJSS12
02−2の低炭素鋼標準サンプルを使用して作成した。
また、測定は、チップ試料の加熱時の酸化を防止するた
めに、Snカプセルに封入した状態で行った(チップ重
量約0.4gに対し、カプセル重量約1g)。なお、S
nカプセルは、炭素含有量が16ppm以下であること
が予め判明しているものを使用した。
【0069】続いて、上記のチップを各種条件にて脱炭
素熱処理し、熱処理後のチップ中の炭素含有量を上記と
同様の方法により分析した。図10は、熱処理温度を1
040〜2100℃の範囲内で各種設定し、熱処理時間
は1〜5時間の範囲内にて各種設定した。また、熱処理
は、炉内を真空度7.0×10−3Paまで排気した
後、水素ガス(純度99.99%)を導入し、その流量
調整により水素ガス分圧を大気圧(1.06×10
a)に調整して行った。結果を図10に示す。
【0070】すなわち、熱処理温度TC(℃)が高温に
なるほど、また、熱処理時間th(時間)が長くなるほ
ど炭素含有量が減少しており、特にTC×thが1950
以上を満足する条件にて、炭素含有量が10ppm以下
まで減少していることがわかる。なお、熱処理温度TC
が2000℃を超える条件では、チップの変形が生じて
いた。
【0071】上記の各種処理後のチップを、大気中にて
1050℃で20時間保持した後、各試験片の重量減少
を測定することにより、耐酸化性の評価を行った。その
結果を図11に示す。すなわち、脱炭素熱処理の条件調
整により炭素含有量を40ppm以下としたチップは、
耐酸化性が格段に向上しており、特に炭素含有量が20
ppm以下あるいは10ppm以下では極めて良好な結
果が得られていることがわかる。
【0072】次に、図12は、熱処理温度を1800℃
に、熱処理時間を5時間に固定設定するとともに、炉内
の真空度を調整することにより、マスフローメーターで
測定した酸素分圧が0.7〜27×10−2Paに調整
し、さらに水素ガスを導入して水素ガス分圧を大気圧と
した場合と、同じく水素ガスを導入しなかった場合と
で、それぞれ脱炭素熱処理した場合の結果を示す。図中
のグラフは、上記と同様の方法により行った耐酸化性の
評価結果であり、表は、熱処理後におけるチップ中の炭
素含有量の分析値を示している。水素を導入した場合の
方が酸素分圧を若干高くしても脱炭素がよく進行してお
り、最終的な到達炭素含有量レベルも低くなっている。
また、これに対応して耐酸化性も、到達炭素含有量レベ
ルが低いほど良好となっていることがわかる。
【0073】(実験例2)Ir金属(炭素含有量120
ppm)に対し、所定量のPt金属(炭素含有量90p
pm)又はRh金属(炭素含有量80ppm)を配合・
溶解することにより、Ir−5重量%Pt、Ir−10
重量%Rh及びIr−20重量%Rhの組成を有する合
金を作製した。なお、得られるインゴット中の炭素含有
量が各種値となるように、溶解時にグラファイト粉末を
適量配合した。この合金を、実験例1と同様の条件によ
りチップに加工し(直径0.7mm、厚さ0.5mmの円板
状)、チップの炭素含有量を測定したところ、90〜1
10ppmの各種値となっていた。
【0074】続いて、上記のチップを、熱処理温度を1
800℃に固定し、熱処理時間を5時間に固定設定して
脱炭素熱処理した。なお、熱処理は、炉内を真空度1.
4×10−2Paまで排気した後、水素ガス(純度9
9.99%)を導入し、その流量調整により水素ガス分
圧を大気圧に調整して行った。熱処理後のチップ中の炭
素含有量を上記と同様の方法により分析したところ、含
有炭素量は0.5〜50ppmの各種値となっていた。
【0075】上記のチップを用いて、図1に示すスパー
クプラグ100の発火部31及び対向する発火部32
を、火花放電ギャップgの幅が1.1mmとなるように形
成するとともに、実機による耐火花消耗性試験を行っ
た。すなわち、プラグを6気筒ガソリンエンジン(DO
HC、排気量2500cc)に取り付け、スロットル全開
状態、エンジン回転数5500rpmにて200時間運
転を行ない、火花放電ギャップgの拡大量を測定した。
図13は、チップ中の炭素含有量に対し、耐久後のギャ
ップ増加量をプロットしたグラフである。いずれの合金
でチップを形成した場合でも、炭素含有量を40ppm
以下としたものでは、ギャップ増加量が小さく耐酸化性
が格段に向上しており、特に炭素含有量が20ppm以
下あるいは10ppm以下では、極めて良好な結果が得
られていることがわかる。
【0076】(実験例3)所定量のIr金属(炭素含有
量120ppm)及びPt金属(炭素含有量90pp
m)を配合・溶解することにより、Ir−5重量%Pt
の組成を有する母材金属合金を作製し、メノウ製のボー
ル及びポットを用いてボールミル粉砕(溶媒:エタノー
ル)することにより、平均粒径3μmとなるように粉末
化した。これに、平均粒径7μmのY粉末を1.
7重量%配合し、さらに溶媒としての水と結合剤として
のポリビニルアルコール(PVA)を加えて混合した
後、乾燥して成型用素地粉末とし、これを所定の円板形
状に成形して焼結することにより金属−酸化物複合材料
のチップを作成した。なお、焼結は、大気圧水素雰囲気
にて1950℃で1時間行った。また、得られた焼結材
チップの形状は直径0.7mm、厚さ0.5mmの円板状で
ある。
【0077】このチップに対し、熱処理温度を1000
〜2000℃の各種値とし(常温から各熱処理温度まで
の昇温は1時間にて行った)、熱処理時間を10時間に
固定設定するとともに、炉内の真空度を1.4×10
−2Paに調整し、さらに水素ガスを導入して水素ガス
分圧を大気圧とした雰囲気中で脱炭素熱処理を施し、実
施例1と同様の方法により耐酸化性の評価を行った。図
14中のグラフは、その評価結果を示すものであり、表
は、チップ中の熱処理後の炭素含有量の分析値を示して
いる。すなわち、脱炭素熱処理の条件調整により炭素含
有量を40ppm以下としたチップは、耐酸化性が格段
に向上しており、特に炭素含有量が20ppm以下ある
いは10ppm以下では極めて良好な結果が得られてい
ることがわかる。
【0078】(実施例4)所定量のIr金属(炭素含有
量120ppm)及びPt金属(炭素含有量90pp
m)を配合・溶解することにより、Ir−5重量%Pt
の組成を有する母材金属合金を作製し、メノウ製のボー
ル及びポットを用いてボールミル粉砕(溶媒:エタノー
ル)することにより、平均粒径3μmとなるように粉末
化した。次いでこの粉末に対し、熱処理温度を400〜
900℃の各種値とし、熱処理時間を10時間に固定設
定するとともに、炉内の真空度を1.4×10−2Pa
に調整し、さらに水素ガスを導入して水素ガス分圧を大
気圧とした雰囲気中にて粉末脱炭素熱処理した。そし
て、処理後の粉末に溶媒としての水と結合剤としてのポ
リビニルアルコール(PVA)を加えて混合した後、乾
燥して成型用素地粉末とし、これを所定の円板形状に成
形して焼結することによりIr−5重量%Ptの組成を
有するチップを作成した。なお、焼結は、大気圧水素雰
囲気にて1950℃で1時間行った。また、得られた焼
結材チップの形状は直径0.7mm、厚さ0.5mmの円板
状である。
【0079】得られたチップに対し、実施例1と同様の
方法により耐酸化性の評価を行った。図15中のグラフ
は、その評価結果を示すものであり、表は、チップ中の
熱処理後の炭素含有量の分析値を示している。すなわ
ち、脱炭素熱処理の条件調整により炭素含有量を40p
pm以下としたチップは、耐酸化性が格段に向上してお
り、特に炭素含有量が20ppm以下あるいは10pp
m以下では極めて良好な結果が得られていることがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す正面
部分断面図。
【図2】その要部を示す拡大断面図。
【図3】発火部形成用のチップ又はチップ素材の脱炭素
熱処理方法の例を示す模式図。
【図4】脱炭素焼結処理を行うチップ又はチップ素材の
製造方法の例を示す模式図。
【図5】チップ素材の組織を加工熱処理により微細化す
る工程を示す模式図。
【図6】図1のスパークプラグの中心電極先端部の拡大
斜視図及び先端面側平面図。
【図7】図2の縦断面図及びその変形例の縦断面図。
【図8】全周溶接部の展開説明図。
【図9】図1のスパークプラグの中心電極側発火部の製
造工程説明図。
【図10】実験例1において、脱炭素熱処理条件と処理
後のチップ中の炭素含有量との関係を示すグラフ。
【図11】脱炭素熱処理条件と処理後のチップ中の炭素
含有量、及び対応する耐酸化試験の結果を示す図。
【図12】脱炭素熱処理の雰囲気と処理後のチップ中の
炭素含有量、及び対応する耐酸化試験の結果を示す図。
【図13】実験例2の実機耐久試験の結果を示すグラ
フ。
【図14】実験例3において、脱炭素熱処理の雰囲気と
処理後のチップ中の炭素含有量、及び対応する耐酸化試
験の結果を示す図。
【図15】実験例3において、粉末脱炭素熱処理の雰囲
気と処理後のチップ中の炭素含有量、及び対応する耐酸
化試験の結果を示す図。
【符号の説明】
1 主体金具 2 絶縁体 3 中心電極 4 接地電極 31 発火部 31’ チップ 32 対向する発火部 g 火花放電ギャップ

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、その絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対向するように配置される接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との少なくとも一方に
    固着されて火花放電ギャップを形成する発火部とを備
    え、 前記発火部が、Irを主成分とし、かつ炭素含有量が4
    0ppm以下であるIr系金属又は該Ir系金属を主成
    分とする複合材料により構成されることを特徴とするス
    パークプラグ。
  2. 【請求項2】 前記Ir系金属中の炭素含有量が20p
    pm以下である請求項1記載のスパークプラグ。
  3. 【請求項3】 前記Ir系金属中の炭素含有量が10p
    pm以下である請求項1記載のスパークプラグ。
  4. 【請求項4】 前記Ir系金属は、添加金属元素成分と
    してPt、Rh、Ru、Re、Nb及びHfの少なくと
    も1種を含有するものである請求項1ないし3のいずれ
    かに記載のスパークプラグ。
  5. 【請求項5】 前記Ir系金属は、Ptを1〜50重量
    %の範囲で含有するものである請求項4記載のスパーク
    プラグ。
  6. 【請求項6】 前記Ir系金属は、Irの含有量が85
    重量%以上である請求項4又は5に記載のスパークプラ
    グ。
  7. 【請求項7】 前記Ir系金属は、Ptを1〜15重量
    %の範囲にて含有する請求項6記載のスパークプラグ。
  8. 【請求項8】 前記発火部は、元素周期律表の3A族及
    び4A族に属する金属元素の酸化物(複合酸化物を含
    む)を0.1〜15重量%の範囲内で含有するものであ
    る請求項1ないし7のいずれかに記載のスパークプラ
    グ。
  9. 【請求項9】 前記発火部を構成する材料の平均粒径が
    5〜100μmである請求項1ないし8のいずれかに記
    載のスパークプラグ。
  10. 【請求項10】 中心電極と、その中心電極の先端面に
    自身の側面が対向するように配置された接地電極とを備
    え、火花放電ギャップに対応する位置においてそれら中
    心電極と接地電極との少なくとも一方に、Irを主成分
    とし、かつ炭素含有量が40ppm以下のIr系金属又
    は該Ir系金属を主成分とする複合材料からなるチップ
    を溶接することにより、該チップに基づく発火部を形成
    することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記溶接に先立って、前記チップ又は
    該チップを製造するためのチップ素材を、前記Ir系金
    属中の炭素成分を除去するために、減圧雰囲気又は水素
    雰囲気にて脱炭素熱処理する請求項10記載のスパーク
    プラグの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記脱炭素熱処理の雰囲気は、酸素分
    圧が2.7×10 Pa以下の減圧雰囲気、又は酸素
    分圧が2.7×10−2Pa以下であって水素分圧が5
    ×10Pa以上の水素雰囲気である請求項11記載の
    スパークプラグの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記脱炭素熱処理の温度が1200〜
    2000℃の範囲にて調整される請求項11又は12に
    記載のスパークプラグの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記チップ又は前記チップ素材の炭素
    含有量は、前記脱炭素熱処理前にて120ppm以下で
    ある請求項11ないし13のいずれかに記載のスパーク
    プラグの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記脱炭素熱処理後の前記チップ素材
    を、結晶粒微細化のために加工及び熱処理する請求項1
    1ないし14のいずれかに記載のスパークプラグの製造
    方法。
  16. 【請求項16】 前記チップ素材は、前記Ir系金属の
    原料を溶解・凝固することにより製造される溶解材であ
    る請求項11ないし15のいずれかに記載のスパークプ
    ラグの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記チップ又は前記チップ素材は、I
    r系金属を主体とする原料粉末を所定の形状に成形後、
    これを焼結して得られるものである請求項11ないし1
    6記載のスパークプラグの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記成型前に前記原料粉末を、炭素成
    分を除去するために、減圧雰囲気又は水素雰囲気にて粉
    末脱炭素熱処理する請求項17記載のスパークプラグの
    製造方法。
  19. 【請求項19】 前記粉末脱炭素熱処理は、酸素分圧が
    2.7×10−2Pa以下の減圧雰囲気、又は酸素分圧
    が2.7×10−2Pa以下であって水素分圧が5×1
    Pa以上の水素雰囲気にて、温度1200〜200
    0℃の範囲にて行われる請求項18記載のスパークプラ
    グの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記焼結を、酸素分圧が2.7×10
    −2Pa以下の減圧雰囲気、又は酸素分圧が2.7×1
    −2Pa以下であって水素分圧が5×10 Pa以上
    の水素雰囲気にて、温度1400〜2000℃の範囲に
    て0.5〜5時間行う請求項17ないし19のいずれか
    に記載のスパークプラグの製造方法。
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