JP2001202122A - バッチプラントの制御方法、バッチプラントの制御プログラムを記憶した記録媒体、及びバッチプラントの制御装置 - Google Patents

バッチプラントの制御方法、バッチプラントの制御プログラムを記憶した記録媒体、及びバッチプラントの制御装置

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JP2001202122A
JP2001202122A JP2000013373A JP2000013373A JP2001202122A JP 2001202122 A JP2001202122 A JP 2001202122A JP 2000013373 A JP2000013373 A JP 2000013373A JP 2000013373 A JP2000013373 A JP 2000013373A JP 2001202122 A JP2001202122 A JP 2001202122A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バッチプラントの通常時及び異常時操作の区別
なく、それらのコントロールレシピ(CR)を作成する過程
を定式化し、可能な限りの自動化を通じてその作成負荷
を低減すると共に、確実、且つ、安全にプラント制御が
でき、プラント構造の変更に柔軟性を持って対処する。 【解決手段】 バルブを介在させずに接続可能な1以上
のプラント機器を、他の機器とバルブによって分割され
る領域を制御グループユニット(CGU)としてグループ化
し、製品を基準量だけ製造する一連のプラント操作手順
を規定するマスターレシピと、製品の製造要求量を含む
スケジュール情報と、プラント構造情報とからプロセス
材の流れ方向の順に順次CGU(M-CGU-R&D等)が選定される
と共に、選定されたCGUに接続される全てのバルブ(CV5
2,CV94等)が選定され、選定されたCGUを結合することに
よって各ユニットプロシージャ(UP)に必要な機器とプロ
セス材の流れを作るバルブとが規定される共に、該バル
ブによってプロセス材の流れの制御手順を規定するCRが
作成され、最初のUPから順に、作成れたCRに基づいてプ
ラントが制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学プラント、特
にバッチプラントに好適に適用できるプラント制御方
法、同制御方法をコンピュータに実行させるためのプロ
グラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒
体、及びバッチプラントの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】特定
の製品Xを所要量だけ、特定のプラントで生産する際の
プラントの操作手順(以下、「コントロールレシピ」と
いう)を作成する場合、従来では、製品Xを基準量
(「標準量」或いは「規格量」といってもよい)だけ、
一般的なプラントで生産する標準操作手順をもとに、直
接機器操作レベル(バルブ開閉等)の操作手順を作成し
ている。しかしながら、従来の操作標準手順は、バッチ
プロセスコントロールの階層性とプラントトポロジーが
明確に対応付けられていないことから、コントロールレ
シピを作成する上であまり参考にならず、設計者がコン
トロールレシピを作成するのに非常に多くの労力と時間
が掛かっていた。そして、設計者に対するレシピ作成負
荷が大きく、その作成過程が定型化されていないため、
レシピ作成において間違いが発生する可能性が高く、レ
シピ作成の自動化も困難であった。さらに、作成の基に
なる情報(操作手順、プラント構造等)にわずかな変更
があった場合でも最初からコントロールレシピを作り直
さなければならなかった。
【0003】しかも、従来の操作手順は、単なる機器操
作(バルブ開閉等)を羅列したものが多く、操作手順を
みてもその操作がなぜなされなければいけないかを読み
取ることはできないことが多い。たとえばあるバルブを
閉じるという操作が指示されていても、その操作がある
プラント区域を封鎖するために指示されたのか、単に局
所的な流量を制御するために指示されたのかを明示的に
読み取ることができなかった。すなわち、操作手順作成
に利用されたデザインラショナール(設計論理)を明示
的に表現できないため、作成された従来の操作手順は、
リアルタイム操作や操作分析の理解に利用されない。
【0004】従って、操作手順を最初から作り直すに
は、製品スペック、使用プラント(小規模な変更を含
む)、生産量ごとに作成された膨大な数の操作手順を熟
知しておく必要があった。ユーティリティの使用等付随
的な操作が必要な場合、そのような操作は、実行前の機
器に割り付ける必要がある。しかしながら、従来、付随
的操作を、機器操作実行前の機器に割り付られていない
場合が多く、このため機器操作実行時にスケジュールが
実行不可能となる可能性がある。
【0005】また、特別な準備操作(例えば洗浄)や安
全防護操作等をスケジュールに依存した形で操作手順に
組み込まなければならない場合があるが、操作手順に組
み込まれた後、本来の製品生産に必要な操作との区別が
困難で、スケジュールが変更された後も操作手順中にこ
の操作手順が残ってしまい不都合を生ずる可能性があ
る。この準備操作(洗浄)や安全防護操作等は定型的な
繰り返し操作となる場合が多いが、その場合でも本来の
製品生産に組み込む形でその都度操作手順の作成がなさ
れなければならない。
【0006】プラント操作手順に組み込む異常時の操作
手順には、それを表現する従来の方法として2つの方法
が考えられる。1番目の方法は、正常時操作の条件付枝
分かれとして表現する方法であるが、この方法では、正
常時操作手順及び多様な異常状態や異常規模に対する異
常時操作手順をモジュール化して取り扱うことができず
操作手順を維持管理することが難しくなるという問題が
生ずる。
【0007】もう1つの方法は、異常時操作手順を別途
用意する方法であるが、この場合、操作手順が1次元的
に表されるため、多様な異常状態や異常規模に対する異
常時操作手順を網羅しようとすると膨大な数の操作手順
を作成、管理しなければならなくなる。このように従来
の方法に依れば、操作手順の作成負荷が大きいため、異
常時操作手順は全異常を網羅して記述することは困難で
あり、また、たとえ全異常を網羅して記述したと思って
も、その妥当性は詳細には検証することができない。そ
して、特別な準備操作(洗浄)や安全防護操作等は、本
来モジュール化して取り扱うことができればよいが、従
来、このような操作をモジュール化して取り扱うことが
困難で、その操作を維持管理し、繰り返し操作すること
に問題があった。また、コントロールレシピをリアルタ
イムに設計できればよいが、リアルタイム操作時におけ
る操作及びプロセス状態変化の情報を利用してコントロ
ールレシピを設計することはできなかった。まして、シ
ミュレータと機動性を持って結合させることが不可能で
あり、シミュレーションを基にした例外処理時における
オペレータの補助や、例外処理操作の事後分析は困難で
ある。
【0008】上述のように、従来の異常時の操作手順は
全異常を網羅しておらず、またその妥当性は詳細には検
証されていないため、異常時の操作は主に操作者(人
間)による対処に頼っているが、判断の間違いや遅れに
より事故を誘起させる虞がある。異常が発生した場合の
プラントの状態や操作、また設計時の操作条件等の情報
管理が不十分であるため、異常状態をシミュレーション
によって再現することは一般に困難であり、実際に異常
が発生した場合の異常状態解析に支障をきたしているの
が現状である。
【0009】本発明は上述した問題点を解決するために
なされたもので、通常時操作及び異常時操作の区別な
く、それらのコントロールレシピを作成する過程を定式
化し、可能な限りの自動化を通じてその作成負荷を低減
すると共に、確実、且つ、安全にプラント制御ができ、
プラント構造の変更に対しても柔軟性を持って対応でき
る、バッチプラントの制御方法、同制御方法をコンピュ
ータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピ
ュータ読み取り可能な記録媒体、及びバッチプラントの
制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、バッチプラントを構成する複数のプラント構成要
素と、所要のプラント構成要素間に配設され、上流側の
プラント構成要素から下流側のプラント構成要素へのプ
ロセス材の流れ量を調整する搬送量調整手段とを備える
プラントによって特定の製品を製造するバッチプラント
の制御方法、同制御方法をコンピュータに実行させるた
めのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能
な記録媒体、及びバッチプラントの制御装置が提供され
る。
【0011】本発明は、搬送量調整手段を介在させずに
接続可能な1以上のプラント構成要素を、他のプラント
構成要素と搬送量調整手段によって分割される領域を制
御グループユニットとしてグループ化することに特徴を
有している。すなわち、請求項1記載の本発明において
は、搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上の
プラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調
整手段によって分割される領域を制御グループユニット
としてグループ化され、製品を基準量だけ当該プラント
によって製造する一連のプラント操作手順をマスターレ
シピとして作成され、該マスターレシピは、各工程毎に
割り付けられたユニットプロシージャと、各ユニットプ
ロシージャに割り付けられた主装置を含む主制御グルー
プユニットとを含んで作成される。そして、前記製品の
製造要求量を含むスケジュール情報と前記マスターレシ
ピと前記グループ化された制御グループユニットを含む
プラント構造情報とから、各ユニットプロシージャ毎
に、前記主制御グループユニットに向かって流れる、又
は当該主制御グループユニットから流出するプロセス材
の流れ方向の順に順次制御グループユニットが選定され
ると共に、選定された制御グループユニットに接続され
る全ての搬送量調整手段が選定され、選定された制御グ
ループユニットを主制御グループユニットと結合するこ
とによって各ユニットプロシージャに必要なプラント構
成要素とプロセス材の流れを作る搬送量調整手段とが規
定される共に、該搬送量調整手段によってプロセス材の
流れの制御手順を規定するコントロールレシピが作成さ
れ、最初のユニットプロシージャから順に、作成れたコ
ントロールレシピに基づいてプラントが制御される。
【0012】プラント構造を制御グループユニットとい
う新しい表現を導入したことによって、その制御グルー
プユニットの概念は、プラント構造と操作手続とを明確
に対応付けることを可能にし、コントロールレシピ作成
過程を定型化することを可能にする。請求項2記載の本
発明は、コントロールレシピが、複数のユニットプロシ
ージャを含む階層と、各ユニットプロシージャ毎に、当
該ユニットプロシージャに選定された搬送量調整手段の
操作手順を規定する複数のオペレーションを含む階層
と、各オペレーション毎に、当該オペレーションによっ
て操作手順が規定された搬送量調整手段の作動指令手順
を規定する複数のフェーズを含む階層とからなる階層構
造で構成されることを特徴とする。
【0013】更に、請求項3記載の本発明は、各階層毎
に、各ユニットプロシージャ、各オペレーション、及び
各フェーズのそれぞれの動作状況と動作異常とを監視す
ることを特徴とする。バッチプロセスコントロールの階
層性とプラントトポロジー(プラント構成要素の結合関
係)を、例えばSTEP(ISO10303)の表現形式により対応
付けることによってプラント内の操作対象領域、操作点
の定義が完備される。これによりコントロールレシピ作
成負荷の軽減、コントロールレシピ作成自動化が可能と
なる。
【0014】更に又、請求項4記載の本発明は、プラン
ト異常時の異常状態と異常規模に応じた異常時操作手順
をそれぞれ異常時操作レシピとして作成し、異常時操作
レシピに規定される制御グループユニット及び搬送量調
整手段を当該異常時操作レシピの操作手順に基づいて操
作することを特徴とする。この場合、異常時操作レシピ
は、各階層毎に準備することもできる(請求項5)。
【0015】更に、請求項6記載の本発明は、制御グル
ープユニット又は搬送量調整手段のための操作前準備又
は操作後整備の補助操作を前記複数のユニットプロシー
ジャの一つとして含ませることを特徴とする。更に、請
求項7記載の本発明は、プラント操作上の安全防護操作
を前記複数のユニットプロシージャの一つとして含ませ
ることを特徴とする。
【0016】制御グループユニットの技術的思想は、特
別な準備操作(洗浄)や安全防護操作等の表現(組み込
み)をも容易にし、それらの操作を利用するか否かを簡
単に選択でき、しかも、操作の変更を余儀なくされるよ
うな例外処理についても、その変更を極めて容易にす
る。請求項8記載の本発明は、所要の制御グループユニ
ットに関連して、当該制御グループユニットのプロセス
材に物理化学的性質に変更を加えるためのユーティリテ
ィ装置が付設されて構成される。このユーティリティ装
置は、ユーティリティ流体が流れる1以上のユーティリ
ティ構成要素と、該ユーティリティ構成要素に入力する
ユーティリティ流体の流れ量を調整するユーティリティ
搬送量調整手段とを備え、ユーティリティ搬送量調整手
段を介在させずに接続可能な1以上のユーティリティ構
成要素を、搬送量調整手段によって他のユーティリティ
構成要素から仕切られる領域をユーティリティ制御グル
ープユニットとしてグループ化される。そして、前記所
要の制御グループユニットに関連するコントロールレシ
ピに応じ、ユーティリティ制御グループユニットが、ユ
ーティリティ流体が流れる方向に順次選定されると共
に、選定されたユーティリティ制御グループユニットに
接続される全てのユーティリティ搬送量調整手段が選定
される。このように選定されたユーティリティ制御グル
ープユニットを順次結合することによって、前記所要の
制御グループユニットに関連するユニットプロシージャ
に必要なユーティリティ構成要素とユーティリティ流体
の流れを作るユーティリティ搬送量調整手段とが規定さ
れると共に、該ユーティリティ搬送量調整手段によって
ユーティリティ流体の流れを制御する制御手順が規定さ
れる。
【0017】制御グループユニットの技術的思想は、ユ
ーティリティ設備レベルまでの詳細なフェーズの割付を
可能にする。請求項9記載の本発明は、上述したバッチ
プラントの制御方法をコンピュータに実行させるための
プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記
録媒体であることを特徴とする。
【0018】又、請求項10記載の本発明は、上述した
バッチプラントの制御方法を実現するバッチプラントの
制御装置であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明者は、プラント構造と操作
手続きとを明確に対応付けるために、バッチプラント
を、詳細は後述する制御グループユニット(以下、「C
GU」ともいう)にグループ化すればよい、との知見を
得、本発明は、この知見に基づくものである。CGU
(Control Group Unit)は、制御グループとして纏めた
ユニット、或いはユニット群を意味する。CGUは、正
常時操作において、プロセス流体或いはユーティリティ
が流れる、或いは、貯留される機器の周辺が、それから
最も近い搬送量調整手段(バルブ)で仕切られる領域
(分割することができる領域)をいう。
【0020】本発明は、上述したCGUの技術的思想と
共に、階層的な制御レーヤーの技術的思想も特徴的であ
り、制御レーヤーが、プロシージャ、ユニットプロシー
ジャ、オペレーション、フェーズの各階層によって表現
される。そして、各層の実行・監視プログラムによっ
て、下位のレーヤーの操作実行と状況監視が行われ、監
視結果は当該レーヤーの操作実行に反映されると共に、
上位のレーヤーに報告され、選択すべきコントロールレ
シピが決定されることも特徴的である。
【0021】プロシージャは、1つのバッチの実行に要
する全工程の手順をいい、通常複数のユニットプロシー
ジャから構成される。ユニットプロシージャは、主操作
(分離[例:抽出、蒸留、乾燥、吸着など]、反応[塩
ビ重合反応など]など)、機械的操作([成形、分級な
ど])等が含まれる。各ユニットプロシージャを実行す
るのは、オペレーションであり、オペレーションには輸
送操作(チャージ、ドレンなど)、制御操作(温度制御
など)、他があるが、様々な変形がある。オペレーショ
ンの詳細は、フェーズであり、特定された操作端(バル
ブなど)とそれへの制御が規定される。
【0022】以下、多数の機器類で構成される化学プラ
ント(バッチプラント)から、各工程毎にCGUの概念
に基づいて必要な機器を選択し、それらを結合させて各
工程に必要な機器を構成させ、例えば原料Aと原料Bか
ら反応Yにより製品Xを仮想的に得るバッチプロセスを
例に、本発明の実施の形態を説明する。 (1)プラント構造及びその分割(CGU) 化学製品Xを生成する一つのバッチにおいて、各工程に
おいて必要とする機器類は、後述するとおり、CGUの
概念に基づいてプロセスセル管理プログラムによって決
定される。プロセスセル管理プログラムは、化学プラン
トを構成する多数の機器類の中から各工程において必要
とする機器類を選択し、決定するものである。ここで
は、上記製品Xを生成するバッチプロセスの全工程にお
いて使用する機器類を説明すると共に、本発明の技術的
思想の中核をなすCGUの設定の仕方について説明す
る。
【0023】図1は、製品Xを生成するに必要な機器類
(プラント構成要素)を示し、その主な機器類は、原料
Aを貯留するタンク、原料Bを貯留するタンク、これら
の原料を移送するためのポンプ13、14、原料を混合
し、生成物Xを生成する反応を生じさせる反応器R、反
応器Rに付設されるユーティリティ装置であり、反応温
度を調節するための加熱器HT、反応器Rから生成物X
と溶媒Cを分溜する蒸留塔D、分溜生成物を凝縮させる
凝縮器CD、凝縮器CDに付設されるユーティリティ装
置であり、凝縮器CDにポートCW1から冷却水を供給
するための冷却水供給装置(図示せず)、凝縮物を貯留
し一部の溶媒Cを取り出し、凝縮した溶媒Cを蒸留塔D
を経由して反応器Rに戻すためのリフラックスタンクR
F、リフラックスタンクRFからの冷媒(溶媒C)を蒸
留塔Dに移送するためのポンプ65、反応器Rから所要
の性状の生成物Xを取り出し貯留するための製品タン
ク、およびこれらのプラント構成要素を接続するための
配管である。そして、所要のプラント構成要素間にはプ
ロセス材の流れ量を調整するための流量制御弁や仕切弁
が必要である。
【0024】上述の様に構成されるバッチプラントの構
成要素は、以下のようにしてCUGに分割される。 (i)プロセス流体に関わるCGU 正常時操作において、プロセス流体が流れる、あるは、
貯留される機器の周辺において、それらから最も近いバ
ルブで仕切られる領域をE-CGU-i、主装置の場合のその
領域をM-CGU-jとする。
【0025】例えば、図1のポンプ13及びそれに接続
される配管は、バルブV11, V12, CV10で他と仕切られて
おり、制御グループユニットE-CGU-1を構成している。
制御グループユニットE-CGU-3は、配管以外にはプラン
ト構造要素を含まないが、バルブCV10, V18, V19で他と
仕切られている。このような配管のみで構成されるもの
でもCGUと見なすことができる。
【0026】主装置は、後述する各ユニットプロシージ
ャにおいて使用される主要装置をいう。当該バッチの主
装置である反応器Rは、バルブを介在させずに蒸留塔D
と接続可能であり、更に蒸留塔Dは、バルブを介在させ
ずに凝縮器CDと接続可能である。当該反応器R、蒸留
塔D、凝縮器CD、リフラックスタンクRF、及びそれ
らに接続される配管は、バルブV18, V23, CV41, CV42,
CV50, V51, CV60, CV110に仕切られてM-CGU-R&Dを構成
している。このユニットM-CGU-R&Dは、当該実施態様に
おいて、何れのユニットプロシージャにおいても使用さ
れる。なお、反応器Rには攪拌装置が付設されている。 (ii)ユーティリティに関わるCGU 正常時操作において、ユーティリティが流れる機器をバ
ルブにより分割される領域を制御グループユニットUT-E
-CGU-kとする。例えば、反応器Rに付設される加熱器H
Tはユーティリティ装置であり、それに接続される配管
は、バルブV93,CV94で仕切られ、加熱器HT及びその配
管には反応器加熱用のスチーム、又は冷却水が流れる。
従って、加熱器HT及びそれに接続される配管は制御グ
ループユニットUT-E-CGU-2とされる。なお、凝縮器CD
には、図示しないけれども、熱交換器が付設され、この
熱交換器に接続される配管はバルブCV54に仕切られて1
つの制御グループユニット(図示せず)を構成する。 (iii)緊急操作に関わるCGU 異常時、緊急時に利用する特別な機器についても上述の
(ii)と同様な処理を行い、制御グループユニットEM-E-C
GU-mとする。
【0027】図1は、上述のようにして分割したCGU
を示している。なお、図1では、説明を簡略化するため
に、資源供給元、ドレイン、ベント等を含む領域にラベ
ルを付しておらず、資源供給元を含むCGUやユーティ
リティ供給に関わるUT-E-CGU-kが現わされていない。ま
た、各CGU及びバルブは全て、これらの単位で位置情
報、結合情報を有しており、これらの位置情報、結合情
報は後述するようにコンピュータの記憶装置に記憶され
ている。 (2)プラント制御装置の構成 上述した化学プラントは、図2に示すような同プラント
を制御するためのプラント制御装置を備えている。プラ
ント制御装置は、化学プラント全体の作動を制御するコ
ンピュータ100、製品Xを生成するためのレシピやプ
ラント作動指令信号をキー操作やマウス操作、スイッチ
操作等により入力するための入力装置102、コンピュ
ータ100の演算結果やプラント作動状態を画面表示す
るためのディスプレ装置104、コンピュータ100の
演算結果等をプリントアウトするためのプリンタ装置1
06、本発明のプラント制御プログラムをCD−ROM
108aから読み出すためのCD装置108、上述のデ
ィスプレ装置104やプリンタ装置106、CD装置1
08等の作動制御するための各種プログラムを記憶する
外部記憶装置110、コンピュータ100と、外部駆動
装置114、各CGUの適宜箇所に取り付けられ、プロ
セス流体やユーティリティの物理化学的性質(例えば、
温度や圧力)や流れ量を検出する各種センサ(図示せ
ず)を含むセンサ装置116、等との間でデータの入出
力を制御するためのI/Oインターフェイス112等か
ら構成されている。
【0028】CD−ROM108aは、本発明のプラン
ト制御方法をコンピュータ100に実行するためのプロ
グラムや各種データを、コンピュータ100に読み取り
可能な状態で記録している記録媒体である。外部駆動装
置114は、上述した各種のバルブ類、ポンプ類、攪拌
装置等と電気的に接続され、これらの作動を制御するも
のである。 (3)プラント制御プログラムの概要 次に、本発明に係るバッチプラントの制御プログラムの
概要について説明する。なお、この制御プログラムは、
CD−ROM108aから外部記憶装置110にインス
トールされている。
【0029】図3は、プラント制御プログラムの全体構
成を示し、当該プログラムに含まれる各種管理プログラ
ム、実行プラグラム等の関係を模式的に示している。 (3−1)プロセス管理プログラム このプロセス管理プログラムは、マルチタスク実行プロ
グラムにより、製品Xのマスターレシピにより規定され
るメインユニット(M-CGU)(各ユニットプロシージャを
構成する主ユニット)の作業開始・終了スケジュールに
基づいて機器の割付とコントロールレシピを作成する作
業を行う。更に、プロセス管理プログラムは、プロシー
ジャ実行プログラムにより、作成したコントロールレシ
ピに基づいて各ユニットプロシージャを実行すると共
に、状態監視プログラムにより、ユニットプロシージャ
の進捗管理と異常等の監視を行う。
【0030】尚、コントロールレシピの作成作業の詳細
は後述する。また、製品Xを生成するためのマスターレ
シピの設定方法については詳しく説明しないが、プロセ
スセル管理プログラムにおいて設定され、例えば、過去
に実施され、蓄積されたコントロールレシピに基づいて
製品Xを基準量だけ製造するに必要なプロセス材の量、
各ユニットプロシージャに必要なメインユニット、メイ
ンユニットにおける反応条件、操作開始・終了タイミン
グ等の情報を備えている。
【0031】マルチタスク実行プログラムは、図3から
明らかなように、(a) プロセスセル管理プログラムから
のデータの受け取り、(b) 装置割り当てとコントロール
レシピ作成、(c) 製品それぞれのプロシージャ群の進捗
管理、(d) ある製品のプロシージャの実行をプロシージ
ャ実行プログラムへ指示、等の作業を実行する。 (a) プロセスセル管理プログラムからのデータの受け取
り ある期間内で処理すべき複数の製品に対し、各製品のマ
スターレシピで規定されるメインユニット(M-CGU)の作
業開始・終了スケジュール等をプロセスセル管理プログ
ラムから受け取る。 (b) 装置割り当てとコントロールレシピ作成 詳細は後述するが、この作業では以下の手順で装置割り
当てとコントロールレシピの作成が行われる。 (b-1) 現在時点において、ある決められた時間(例え
ば、スケジュール期間)内に利用できる機器群を構成す
る。このとき、詳細な周辺装置の利用を含めたスケジュ
ールが検討される。 (b-2) 上記機器群から、メインユニットに対する各オペ
レーションで必要な配管や輸送機器等を割り当てる。こ
のとき、配管や輸送機器等を矛盾なく割り当てられれ
ば、詳細な周辺装置の利用を含めたスケジュールを作成
する。一方、可能解が見あたらなければ、マルチタスク
実行プログラムを通してプロセスセル管理プログラムに
対して、スケジュールの変更をレポートする。 (b-3) 割り当てられた装置結合に対応するコントロール
レシピがコントロールレシピデータベースにあれば、そ
れをデータベースから呼び出して、プロシージャ、ユニ
ットオペレーション、オペレーション、フェーズのそれ
ぞれに登録する。
【0032】(b-4) 必要に応じ、オペレーション(m)で
実行すべき緊急操作の定義が必要である。この操作も完
全自動化できればよいが、安全操作及びそれに必要なラ
イン構成を設計者が確認しながら設計者が行う。安全操
作には二つの種類があり、復帰を期待する異常処理操作
と停止を前提とした緊急時操作である。後者は最終の安
全対策処理であり、多くの場合付加された安全設備の利
用が前提となる。一方、前者は既存設備の活用を前提と
しており、正常時の操作端制御則を無視して、安全確保
のためのパラメータ、あるいは、操作員が操作に介入す
る。
【0033】トラブル発生時の処理機能を付加しておく
ために、下記を考慮する。 (b-4-1) トラブル発生時の処理機能 「あるユニットプロシージャを構成するオペレーション
が装置的トラブルになった」とき、復帰のために時間を
要するならば(通常、操作員が指示を入力)、マルチタ
スク実行プログラムを通してプロセスセル管理プログラ
ムに対して、スケジュールの変更を指示するレポートを
送る。 (b-4-2) 配管詰まりなどなど操作員が原因を明確に同定
できる場合、(b-2)を実行する。 (c) 製品それぞれのプロシージャ群の進捗管理 特に重要なことは、ある期間の全てのプロシージャ実行
計画とその進捗実体とを突き合わせ、進捗を管理すると
共に異常等の監視を行う。実際には、プロシージャの進
捗状況と異常等の監視は、プロセス状態監視プログラム
によって実行される。 (d) ある製品の製造プロシージャの実行をプロシージャ
実行プログラムへ指示 プロシージャ実行プログラムは、ある製品のプロシージ
ャがN個のユニットプロシージャからなる場合、これら
N個のユニットプロシージャの実行を管理する。マルチ
タスク実行プログラムは、プロシージャ実行プログラム
に対しN個のユニットプロシージャからなるプロシージ
ャの実行を指示する。
【0034】図4は、上述したプロシージャ実行プログ
ラム及びプロシージャ状態監視プログラムにより実行さ
れるプログラムフローチャートを示し、簡略化のため、
2つのプログラムを1つフローチャートに盛り込んで説
明してある。このフローチャートのステップS1〜13
において、N個のユニットプロシージャの実行管理を行
っている。すなわち、ステップS1においては、プログ
ラム変数nが、ユニットプロシージャが1つ完了する毎
に1宛インクリメントされ、ステップS3において、そ
のプログラム変数nに対応する処理Unit Procedure-n
がコントロールレシピデータベース(DB)から読み出
される。なお、データベースに記憶されているコントロ
ールレシピの設定方法の詳細については後述する。
【0035】次に、ステップS5において、読み出した
処理Unit Procedure-nの実行を指示する。そして、プ
ロシージャ実行プログラムは、処理Unit Procedure-n
からの進捗レポートが入力するまではステップS7を繰
り返し実行して待機する。処理Unit Procedure-nから
進捗レポート信号が入力すると、同処理Unit Procedure
-nから進捗レポートを受け取る(ステップS8)。
【0036】処理Unit Procedure-nからの進捗レポー
トが入力すると、プロシージャ状態監視プログラムは、
処理Unit Procedure-nが正常に実行されたか否かを判
別し(ステップS7)、正常に実行された場合にはログ
を記録(記憶)し、必要に応じて表示装置104にその
状況を表示する。そして、プロシージャ状態監視プログ
ラムは、ステップS13において全ての(N個の)ユニ
ットプロシージャの実行が完了したか否かを判別する。
未だ完了していなければ、プロシージャ実行プログラム
は、前述のステップS1に戻って次のユニットプロシー
ジャを実行する一方、全てのユニットプロシージャの実
行が完了しておれば、当該プロシージャ実行・監視プロ
グラムを終了してマルチタスク実行プログラムのプロセ
ス状態監視プログラムを実行する。
【0037】このように一連のユニットプロシージャが
正常に完了した場合、プロセス状態監視プログラムは、
図示しないプログラムを実行してマルチタスク実行プラ
グラムに一のプロシージャ(バッチプロセス)が完了し
たことを報告する。そして、マルチタスク実行プラグラ
ムは次のバッチプロセスを実行することになる。処理Un
it Procedure-nからの進捗レポートにより、処理Unit
Procedure-nの実行に異常が発見された場合(ステップ
S9の判別結果が「No」の場合)、プロシージャ状態監
視プログラムは、異常が発生したことを表示装置104
に表示させ(ステップS15)、その異常状態の度合い
を判断する(ステップS17)。プラントを直ちに停止
する必要がない程度の軽微な異常の場合には、現在実行
している処理Unit Procedure-nを現時点での操作状態
を保持し復旧処理が実行される。この処理は、例えば作
業員による手動操作により適宜の処理が行われる。
【0038】復旧処理が実行され異常状態が解消され、
当該処理Unit Procedure-nの実行が完了したこと表す
確認終了信号を、上述の処理Unit Procedure-nから受
け取ると(ステップS19)、前述のステップS11に
進み、当該処理Unit Procedure-nの実行によるログが
記録され次ステップに進むことになる。一方、ステップ
S17において、異常状態の度合いがプラントを直ちに
停止すべき状態であると判断した場合、その判断結果は
直ちに前述のプロセス状態監視プログラムを介してマル
チタスク実行プラグラムに報告され、この場合には、マ
ルチタスク実行プラグラムからプロシージャ実行プログ
ラムに、直ちに所定の緊急操作プログラムを実行するよ
うに、指令信号が出力されることになる。
【0039】このように、N個のユニットプロシージャ
は、上位階層のプロシージャ実行プログラムによって実
行管理され、プロシージャ実行プログラムは、処理Unit
Procedure-nからの操作完了信号が入力するまでは、
各ユニットプロシージャ自身にその実行を委ねることに
なる。このような制御は、いわゆるインベントリ制御(I
nventory Control)を行っていることになり、コントロ
ールレシピに変更があっても、プログラムを変更すべき
箇所が容易に特定でき、その変更も容易になる。 (3−2)ユニットプロシージャの実行 ある一つの主ユニットを中心にする操作は、上述したと
おりユニットプロシージャと呼ばれ、図3に示すとお
り、N個のユニットプロシージャが準備されている。そ
して、一つのユニットプロシージャは、準備操作、主操
作、終了操作に対応するM個のオペレーションからなる
が、一つのユニットプロシージャの実行は、M個のオペ
レーションの実行を意味する。そして、ユニットプロシ
ージャにおいて、このオペレーションの実行を管理し、
実行状態を監視するのがオペレーション実行・監視プロ
グラムである。
【0040】図5は、オペレーション実行・監視プログ
ラムの制御手順を示しているが、その制御手順は図4に
示すプロシージャ実行・監視プログラムの制御手順と類
似し、階層が一つだけ低位になるだけでプロシージャ実
行・監視プログラムの制御手順から容易に類推できるの
で詳細な説明は省略する。なお、処理Operation-mの実
行状況や異常の発生はユニットプロシージャの階層にあ
るオペレーション状態監視プログラムによって監視さ
れ、ユニットプロシージャの階層にあるオペレーション
実行プログラムや、プロセス管理プログラムの階層にあ
るプロシージャ状態監視プログラムに報告される。異常
時には、その異常状態の度合いに応じ、プロセス管理プ
ログラムマルチタスク実行プログラムに報告され、必要
に応じ緊急操作時のコントロールレシピが実行されるこ
とになる。(3−3)オペレーションの実行オペレーシ
ョンを構成する最も小さい操作単位が、フェーズであ
り、図3に示すように、一つのオペレーションに対しK
個のフェーズが準備される。一つのオペレーションを実
行することは、このK個のフェーズの実行を意味する。
そしてフェーズの実行管理を行うのが、フェーズ実行プ
ログラムであり、フェーズ状態を監視するのがフェーズ
状態監視プログラムである。
【0041】図6及び図7は、フェーズ実行・監視プロ
グラムの全体フローチャートを示し、フェーズ実行プロ
グラム及びフェーズ状態監視プログラムでそれぞれ行わ
れるフェーズの実行及びフェーズ状態の監視の制御手順
を一つのフローチャートに盛り込んで示されている。先
ず、このフローチャートのフェーズ実行機能について説
明すると、ステップS41において、当該処理Operatio
n-mに関連する全てのバルブを指定の状態に設定する。
このバルブ指定状態は、後述するコントロールレシピに
総て記載されている。各バルブへの駆動信号を出力した
後、各バルブから、或いは操作員からの設定完了信号の
入力を待つ(ステップS43)。バルブからの設定完了
信号が入力すると、ステップS45に進み、バルブ設定
が正常に終了したか否かを判別する。正常に終了しなか
った場合にはその旨を表示装置104(図2)に表示
し、点検を操作員に促し修復作業を実行させる(ステッ
プS47)。そして、何らかの修復作業によりバルブが
正常状態に設定できたことを確認し(ステップS4
9)、次ステップS51に進む。ステップS45におい
てバルブ設定が正常に終了したことが確認できれば、次
ステップS51に進む。
【0042】ステップS51では、全てのフェーズ処理
Phase-k (k=1,K)がコントロールレシピデータベース
(DB)から読み出される。そして、ステップS53で
は未起動フェーズの起動条件をチェックする。例えば、
後述するOperation n,3のように複数のフェーズが1つ
のオペレーションに含まれており、どの複数のフェーズ
を同時に実行するか、どのフェーズがどのフェーズの後
で実行されなければならないか、というような順序関係
などそれぞれのフェーズ実行条件の関係(起動条件と呼
んでいる)を管理する必要がある。後述するOperation
n,3の例では、「加熱」の前には必ず「冷却」が先行す
るという順序関係を意味する。
【0043】起動条件のチェックを終えると、ステップ
S55において起動してもよいか否かを判別し、起動さ
せるべきフェーズについては起動させ(ステップS5
6)、起動条件が成立しないフェーズについてはステッ
プS56をスキップして次ステップS57に進む。即
ち、起動条件が成立しないフェーズについては、後述す
るように当該ステップS55,56が繰り返し実行され
ることから、前記起動条件が成立するまで待機すること
になる。一方、起動条件が成立するものについては複数
のフェーズであっても一斉に起動させる。
【0044】次いで、起動フェーズの進捗レポートを受
け取る(ステップS57)。起動フェーズからの進捗レ
ポートが入力すると、フェーズ状態監視プログラムは、
起動された処理Phase-kが正常に実行されたか否かを判
別し(ステップS59)、正常に実行された場合にはロ
グを記録(記憶)し、前述のオペレーション状態監視プ
ログラムにレポートすると共に、必要に応じて表示装置
104にその状況を表示する(ステップS63)。そし
て、フェーズ状態監視プログラムは、ステップS65に
おいて全ての(N個の)フェーズの起動が完了したか否
かを判別する。未だ完了していなければ、フェーズ実行
プログラムは、前述のステップS53に戻って未起動の
フェーズ処理を実行する一方、全てのフェーズ処理の実
行が完了しておれば、当該フェーズ実行・監視プログラ
ムを終了してオペレーション状態監視プログラムを実行
する。すなわち、処理Operation-mにおける総てのフェ
ーズ処理が完了したことをオペレーション状態監視プロ
グラムにレポートすることになる。そして、オペレーシ
ョン実行プラグラムは次のオペレーション処理を実行す
ることになる(図5)。
【0045】処理Phase-kからの進捗レポートにより、
処理Phase-kの実行に異常が発見された場合(ステップ
S59の判別結果が「No」の場合)、フェーズ状態監視
プログラムは、異常が発生したことを表示装置104に
表示させ(ステップS60)、その異常状態の度合いを
判断して対応する異常時操作を選択する(ステップS7
1)。
【0046】オペレーションにあるフェーズ状況監視
は、現在実行中のフェーズを含めたオペレーション全体
の動きを監視する役割を持つ。自動診断あるいは運転員
の判断により、プラントの一時停止、あるいは、停止の
判断を下す。ステップS71において、プラントを直ち
に停止する必要がない程度の軽微な異常であると判断し
た場合には、現在実行している処理Phase-kを現時点で
の操作状態に保持し(一時停止)復旧処理が実行され
る。この処理は、例えば作業員による手動操作により適
宜の処理を行うこともできる。
【0047】復旧処理を実行して異常状態が解消し、当
該処理Phase-kの実行が完了したと判断できる場合(再
開可能と判断)、前述のステップS63に進み、当該処
理Phase-kの実行によるログが記録され次ステップに進
むことになる。一方、ステップS71において、異常状
態の度合いがプラントを直ちに停止すべき状態であると
判断した場合、或いは、前述のステップS73において
復旧処理にも拘わらず再開不可能と判断されて当該バッ
チプロセスの続行を断念しなければならない場合、その
判断結果は直ちに前述のフェーズ状態監視プログラムを
介してオペレーション状態監視プラグラムに報告される
と共に(ステップS75)、この場合には、フェーズ状
態監視プログラムから直ちに所定の緊急操作プログラム
を実行するように、後述する処理Emergency Operation-
pがコントロールレシピから読み出され、同処理Emergen
cy Operation-pが実行されることになる。 (3−4)フェーズの実行 フェーズの実行は、当該フェーズで操作すべき総ての操
作端操作の実行を意味する。各操作端(制御バルブやポ
ンプ等)の操作は、操作端操作プログラムによって実行
される。
【0048】図8及び図9は、操作端操作プログラムに
よる操作端の操作手順を示すフローチャートである。先
ず、ステップS81において全て操作端の制御データ、
例えば、バルブの制御ループ(PDI制御等)、設定値
(流量に対応するバルブ開度等)、パラメータ(ゲイン
等)の各値がコントロールレシピデータベース(DB)
から読み出される。なお、データベースに記憶されてい
る操作端の制御データの設定方法についての詳細は後述
する。
【0049】次いで、ステップS83においてプログラ
ム変数jが、操作端の操作が1つ完了する毎に1宛イン
クリメントされ、そのプログラム変数jに対応する操作
端及びこの操作端の作動を監視するセンサにデータ設定
と共に作動指令を行う(ステップS85)。そして、操
作端へのデータ設定に対しては、その設定が正常に行わ
れたか否かを確認するために、確認信号の入力を待ち
(ステップS87)、確認信号の入力によってデータの
設定が正常に行われたか否が判定される(ステップS8
9)。
【0050】フェーズにおける状況監視は、このフェー
ズに直接関わるバルブの開度と流量が正しい関係にある
か、オン/オフバルブであれば正しい動作をしている
か、等を確認する役割である。この状況監視は、各フェ
ーズにおける操作端状態監視プログラム(図3参照)に
よって行われ、操作端及びセンサからの応答信号チェッ
クと計測値チェックが行われる。そのような監視は下記
のようにして行われる。
【0051】ステップS89において、操作端のデータ
の設定が正常に行われていないと判断された場合には、
その旨を表示装置104(図2)に表示し(ステップS
91)、点検を操作員に促し修復作業を実行させる。そ
して、何らかの修復作業によりバルブが正常状態に設定
できたことを確認し(ステップS93)、次ステップS
95に進む。ステップS89においてデータの設定が正
常に行われたことが確認できれば、次ステップS95に
進む。
【0052】ステップS95では、操作端及びセンサに
対して操作を行った結果である状況信号、センサ信号の
入力を待ち、そのような信号が入力すると、前述したフ
ェーズ状態監視プログラム(図3参照)に対し、操作端
での状況データをレポートする(ステップS97)。次
いでステップS99に進み、操作端及びセンサからの信
号に基づいて局地的異常を検知したか否かを判断する。
異常がなければ当該フェーズを継続しても良いかを判断
したあと(ステップS105)、総ての操作端の操作が
完了したか否かを判別する(ステップS107)。プロ
グラム変数jが総ての操作端の数Jと等しくなければ、
ステップS83に戻り次の操作端の操作を繰り返す。一
方、変数jが値Jと同じ値であり、総ての操作端の操作
が完了した場合には、その旨フェーズ状態監視プログラ
ムにレポートして、当該プログラムを終了する。
【0053】前述のステップS99において、操作中の
操作端の異常が検出された場合には、その旨表示装置1
04(図2)に表示して操作員に警告を発する(ステッ
プS101)。警告表示を見た操作員は適宜の処置を行
って操作端の状態を修正し、修正した操作端の状態を判
断結果として入力する(ステップS103)。そして、
その判断結果に基づいてプラント操作を継続してもよい
か、一旦停止すべきか、或いはプラントを停止すべきか
を判断する(ステップS105)。プラント操作を継続
してもよい場合には、前述したステップS107に進
み、当該操作端の制御を継続させるが、プラント操作を
一時停止或いは停止させなければならない場合には、そ
の旨フェーズ状態監視プログラムにレポートして、当該
監視プログラムに異常時緊急操作プログラム等を実行さ
せる。 (3−5)異常時操作の実行 プラントの異常時には、上述した緊急操作プログラムが
実行される。このプログラムは、あるフェーズの実行中
にトラブルが起こったときの処理を指令し実行するもの
である。基本的な考え方は、次の通りである。
【0054】フェーズにおける状況監視は、前述したと
おり、このフェーズに直接関わるバルブの開度と流量が
正しい関係にあるか、オン/オフバルブであれば正しい
動作をしているか、等を確認する役割である。一方、オ
ペレーションにある状況監視は、現在実行中のフェーズ
を含めたオペレーション全体の動きを監視する役割を持
つ。自動診断あるいは運転員の判断により、一時停止、
あるいは、停止の判断を下す。もし、オペレーションに
ある状況監視が停止の判断を下せば、この異常操作実行
プログラムがスタートする。実際のアクションは、緊急
操作が働くプラント領域を特定した後、ここでいうプラ
ットフォームで緊急操作を働かせるか(但し、プラット
フォームとはDCSのことであり、ここにソフトで組み
込まれた緊急操作は国際的に認知されておらず、別系統
に実現することが要求されている)、全く別のシステム
で緊急操作を働かせることも可能である。
【0055】この緊急操作は、実行中の処理Operation-
m により選択が異なることから(例えば、オペレーショ
ンによっては、処理Phase-kを含めるべきかの判断が必
要な場合がある)、処理Operation-mに、実行すべき緊
急操作の定義を組み込んでおく必要がある。この定義は
後述するとおり、予め、コントロールレシピを作るとき
になされ、かつ、ライン構成が可能であることを確認し
ておかなければならない。
【0056】各処理Phase-kに対応して緊急操作を実行
する場合、オペレーションのプラットフォームにある状
況監視プログラムは、危険な状況に陥らないように、フ
ェーズを管理しなければならない。したがって、緊急操
作実行プログラムを起動させるとき、このプログラム
は、現状のバルブ設定状況を緊急操作実行プログラムに
伝える。そこで、例えば、加熱のため「処理Phase-kで
操作したバルブを閉じる」にするとか、充填のため「処
理Phase-kで操作したバルブを閉じる」にするなどの処
置と、緊急操作に必要な機器と結合ラインを構成してお
き、結合点にあるバルブを「開」にする処置とを併用す
ると良い。
【0057】図10は、処理Phase-kにおいて異常が検
出されて、ユニットプロシージャからSIS(safety In
terlock System)操作指令を受けた場合に実行される緊
急操作実行プログラムのフローチャートを例示する。先
ず、緊急操作に必要な機器の結合ラインを構成してお
き、結合点にあるバルブを「ON」にする(ステップS1
11)。例えば、図1に示す抑止剤タンクとM-CGU-R&D
との結合ラインを構成し、結合点にあるバルブCV110
を「開」にする。
【0058】次いで、現処理Phase-kのバルブ指定状態
を認識し、この範囲で、各バルブのバルブ指定状態を安
全な方向にプロセス状態が向かうように設定値を変更す
る(ステップS113)。より具体的には、そのような
変更を表示装置104に表示し(ステップS113
a)、各バルブに変更したバルブ指定状態を与える(ス
テップS113b)。そして、バルブ指定状態の変更
は、オペレーションのフェーズ状態監視プログラムにレ
ポートし(ステップS117)、ステップS117に進
む。
【0059】ステップS117では、プログラム変数q
(q=1,Q)に従って処理E-Phase-qを実行する(SIS:
Safety Interlock Systemの操作起動)。そして、各処
理E-Phase-qが完了するまで(ステップS119におい
てq=Qが成立するまで)、繰り返しステップS117
及びS119を実行する。以上のように、本発明のプラ
ント制御プログラムは、階層的な制御レーヤー構造を特
徴としており、各層の状況監視によりフェーズ、オペレ
ーション、ユニットプロシージャを順次実行することが
実現できる。そして、詳細は後述するように、上記制御
レーヤー構造は、本発明に依る、CGU概念を基本にし
た「コントロールレシピの作成」と「レシピ実行管理」
によって実現される。
【0060】このように階層制御を行うと以下のような
効果を奏する。まず、各階層のタスクが決まっているの
で「どの階層からの命令が出てくるか」、「どのプラン
ト領域、操作端に対する操作端なのか」の情報がわかる
ことから、命令の意味が操作設計者や操作員に極めて容
易に理解される。特に、制御機能として、ユニットプロ
シージャ、オペレーションでは、実行領域の規定操作を
行っており、フェーズはその領域内、あるいは、その領
域に直接関係するユーティリティの操作命令となってい
る。
【0061】また、下位で起こった「異常状態」を吸収
するための仕組み(復帰処理やスケジュール変更などに
より)を上位が受け持つことができるために、柔軟性の
高いオペレーションが約束される。また、その実行にお
いても、理由を容易に明示することができる。つまり、
プラント構成要素の故障があっても、直ちに、輸送経路
を変更することにより対応できるように、現状の操作状
態、装置の状態に応じるように、制御レーヤーが対応で
きる。
【0062】さらに、対象システムの全体の挙動が「希
望値」として最初に登録されている(スケジュールとし
ての各操作の実行タイミング、シミュレーションあるい
は今までの実行値から得ている挙動パターン)から、現
在の実行値と比較をしながら監視が可能となる。例え
ば、プロシージャとユニットプロシージャで、スケジュ
ールの進捗状況が最初の予定と比較することができるか
ら、スケジュールの見直し要請も簡単に指示できる。
【0063】更にまた、現状のオペレーションから次の
オペレーションに移るときに、領域を仕切るバルブパタ
ーンを比較し、異なる部分だけを操作することも可能で
ある。これはバルブ開閉頻度を減らす効果がある。 (4)コントロールレシピの作成 従来のコントロールレシピは、正常時操作しかサポート
されておらず、オペレーションおよびフェーズレベルで
要求される機能を発現できる可能な領域を予め全て決め
ておき、設計者がSFC(Sequential Function Chart)
等の手法に従って適宜決めている。また、異常時の対応
操作はその都度SFCに加えられている。本発明ではマ
ルチタスク実行プログラムにより正常時操作のみならず
異常時操作のコントロールレシピが容易に設定できるも
のである。
【0064】以下に、前述したマルチタスク実行プログ
ラムにより、コントロールレシピを作成する手順につい
て説明する。コントロールレシピを作成する主な前提条
件としては、次のようなものがある。 i) マスターレシピが持つ情報は、プロセスセル管理プ
ログラムで設定されるが、その情報はあらかじめ設定さ
れているものとして扱う。また、プロシージャ開始時
間、ユニットプロシージャ開始時間が短期スケジュール
として与えられているものとする。 ii) プロシージャを構成する各ユニットプロシージャに
おいて、それぞれのユニットプロシージャを実行する主
装置(M-CGU)は、マスターレシピの一情報として割り
当てられているものとする。しかしながら、各ユニット
プロシージャで使用する充填/抜き出しライン、ユーテ
ィリティライン、安全設備など必要な全ての機器が割り
当てられたわけではない。 iii) プラント構成要素(機器類)の結合関係、およ
び、要素の特性を表現したプラント構造データはデータ
ベースとして与えられている。 iv) 現象の挙動モデル、あるいは、特定の装置、操作条
件やプロセス条件で得られたプロセス挙動データ(経験
値)がコントロールレシピデータベースとして与えられ
ている。
【0065】製品Xを所望の量だけ反応Yによって生成
するバッチの全てのユニットプロシージャは、表1に示
すようにスケジュールされている。表1には、各ユニッ
トプロシージャ(一部を例示)の名称、使用するプラン
ト構成要素(主装置)及び設定値が示されている。
【0066】
【表1】
【0067】この表1で与えられる情報段階では、オペ
レーションやフェーズの実行場所や詳細な操作情報は決
まっていない。例えば、表1の処理Unit Procedure n;
Operation n,1;「仕込みA:タンクAからM-CGU-R&D
へ」とあるが、プロセス材Aが供給される「始点」と
「終点」が与えられているだけであり、ルートが決まっ
ているわけではない。したがって、これらの操作を実行
するプラント構成要素を割り付け、ユーティリティの割
り付け、コントロールの詳細、安全関係のプラント構成
要素の割り付けとそれらの条件を決めれば、コントロー
ルレシピが完成する。ただし、ここでは、階層的な「制
御レーヤー(Control Layer)」を考えていることから、
各層の状況監視手順(Supervisory)を設計する必要が
ある。
【0068】本発明に依れば、一般的に、あるプロシー
ジャの、あるユニットプロシージャについて説明する
と、下記の手順(図11参照)でコントロールレシピを
発生させる。 (4-1) 正常時操作に必要な利用機器を決定する。 (4-2) バルブの役割を定義するために各バルブの分類を
行う。 (4-3) ユーティリティ利用や輸送機器等などに関する追
加機能を整理する。 (4-4) 制御系の詳細設計を行う。 (4-5) フェーズ操作詳細設計をおこなう。 (4-6) 異常時操作時に必要な利用機器を決定する。 (4-7) 監視機能(Supervisory)を構成する。
【0069】上記手順に沿って以下にコントロールレシ
ピ発生手順をより詳しく説明する。なお、コントロール
レシピの階層性(ユニットプロシージャ、オペレーショ
ン、フェーズのレシピ)を同時に考慮しながら、各階層
のレシピを作成する。また、例として、表1の処理Unit
Procedure n ; Operation n,1から処理Unit Procedure
n+1 ; Operation n+1,2を中心に説明することにし、他
はこれらの説明から容易に類推できるので詳しい説明は
省略することにする。 (4−1)正常時操作に必要な利用機器の決定 必要なデータ、情報は、プラント構造情報とマスターレ
シピ(使用する主装置等が与えられている)、および、
短期スケジュール(ユニットプロシージャのスケジュー
ル)である。利用機器がコンピュータ100によってど
の様な手順で決定されるかを、下記のユニットプロシー
ジャ、オペレーションを例に説明する。 [処理 Unit Procedure n ] [処理 Operation n,1:仕込みA];タンクAからM-CGU-R
&Dへ (a) タンクAからM-CGU-R&Dまでの経路を探索 記憶装置110には、プラント構造情報としてCGU単
位の位置情報や結合情報がプロセス設備データベース
(図3)に記憶されているので、コンピュータ100
は、プラント構造情報にあるCGUの結合関係から、タ
ンクAからM-CGU-R&Dまでの経路を探索すると、必要と
するCGU(経路)を容易に選択することが出来る。そ
して、タンクAからM-CGU-R&Dまでの経路が複数選択す
ることが出来た場合には、どの経路を選ぶかは、設計者
のプログラム設計方針による。例えば、CGUの使用頻
度を平滑化したいのであれば、過去のCGUの使用経歴
を記憶しておき、記録されているCGUの使用頻度を基
に決めればよい。また、最短経路を辿る経路を採用する
ならば、プラント構造情報からパイプ長さを計算すれば
よい。
【0070】上述のようにして選択されたCGUの例を
以下に示す。 (例) タンクA(E-CGU-1(E-CGU-3( M-CGU-R&D これらのCGU間には、CGUの定義からも明らかなよ
うに、必ずバルブが介在している(図1参照)。CGU
単位でプラント構成要素をコンピュータに記憶せると、
上述の手法により機器の選定が極めて容易になる利点が
ある。 (b) 輸送機器の確認 次に、コンピュータ100は、選択した経路に輸送機器
があることを確認する。もしなければ、その経路は採択
せず、別の経路の選択を行う。 (例) E-CGU-1はポンプ13を含む。 (c) 付帯設備の検討 上記の機器以外でE-CGU、あるいは、M-CGUに含まれて直
接操作にかかわる付帯設備を抜き出す。この例では、M-
CGUに含まれる攪拌機が対応する。このとき対象とするE
-CGU、あるいは、M-CGUにある付帯設備を常に使うとは
限らない。マスターレシピに記述されているかどうか
で、自動的に付帯設備の利用を決めることができる。な
お、ここで追加機能として、新たに加えることも可能で
あるが、マスターレシピと異なるために、一般には望ま
しくない。マスターレシピに記載されない追加機能は、
通常後述する手順「(4-3)追加機能の検討」で検討され
る。
【0071】
【表2】
【0072】(d) ベントラインの探索 仕込み作業には必ず「空気抜きライン」を探索する必要
がある。従って、コンピュータ100には、オペレーシ
ョンが「仕込み」の場合には、「空気抜きライン」の探
索を行わせことにしてある。この作業は、例えば、M-CG
U-R&Dを基点として「ベントラインとの結合点」と結合
関係にある「空気抜きライン」を探索する。機能追加の
ための操作は、フェーズ一つとして登録する。(例) M-
CGU-R&D(E-CGU-4
【0073】
【表3】
【0074】[処理 Operation n,2:仕込みB];タンク
BからM-CGU-R&Dへ (a) タンクBを探し、M-CGU-R&Dまでの経路を探索す
る。 コンピュータ100は、仕込みAと同様にしてタンクB
からM-CGU-R&Dまでの経路を探索する。この場合、例え
ば下記の2つの経路が候補に上がったとする。 (例)タンクB(E-CGU-2(E-CGU-3( M-CGU-R&D タンクB(E-CGU-2(E-CGU-5( M-CGU-R&D (b) この経路に輸送機器があることを確認する。 (例)両者ともPumpを含むE-CGU-2がある。ここで、ど
ちらの経路を選ぶかは、上述した設計者のプログラム設
計方針により、ここでは仮に、タンクB(E-CGU-2(E-CGU
-3( M-CGU-R&Dを選ぶことにする。 (c) 攪拌機を探し、あれば、表に登録する。
【0075】M-CGU-R&Dに攪拌機が存在する。 (d) ベントラインの探索 仕込みAの場合と同様にして、M-CGU-R&Dを基点として
「ベントラインとの結合点」と結合関係にある「空気抜
きライン」を探索する。機能追加のための操作は、フェ
ーズ一つとして登録する。
【0076】
【表4】
【0077】[処理 Operation n,3:反応] ;M-CGU-R&D
において M-CGU-R&Dの反応器Rにおいて、反応Yは、適宜温度、
圧力、雰囲気の条件下で行われる。圧力制御は、反応器
Rに送り込む窒素ガス(N2 )ラインを使って行うか、
凝縮器CDの熱交換器に供給する冷却水を使って行うか
のどちらかである。この選択は、M-CGU-R&Dに含まれる
液組成の蒸気圧を温度TR で計算して所定の圧力以上で
あれば凝縮器で、低ければ窒素ガスラインを用いて昇圧
する。計算して、仮に、後者(冷却水に依る方法)の方
法を採択すべきと判断したとする。
【0078】温度制御の場合、反応を常温T0より高い温
度(TR>T0)で行わせる必要があるとき、少なくとも加
熱源が必要である。しかし、発熱反応であれば、通常加
熱から冷却の切り替えが必要である。この検討は、後述
する(4-4)で行うので、ここでは加熱源だけが登録され
る。ユーティリティを用いる部分については、それぞれ
がフェーズの一つを構成する。
【0079】
【表5】
【0080】[処理 Unit Procedure n+1 ] [処理 Operation n+1,1:蒸留] ; M-CGU-R&D & E-CGU
-4 基本的に処理Unit Procedure nと同様の手順を踏む。こ
のオペレーションは、バッチ蒸留設備が必要であり、冷
却機能と加熱機能を有する設備が必要である。
【0081】
【表6】
【0082】[処理 Operation n+1,2:抜き出し] ;M-C
GU-R&D からタンクX 窒素ガス(N2 )圧力による生成物Xの排出、移送が目
的である。これもフェーズの一つでる。
【0083】
【表7】
【0084】(4−2)各バルブの詳細な役割分類 この分類作業に必要なデータは、プラント構造情報であ
り、記憶装置110に記憶されているプロセス設備デー
タベース(図3)から利用可能である。上記(4-1) で
は、領域を仕切るバルブ(例えば、処理 Operation n,1
; 仕切弁V19),及び利用隣接領域と結合関係にある
バルブ(例えば、処理 Operation n,1 ;コントロール弁
CV10、仕切弁V18)の2種類に分類していたが、
さらに、バルブを表8にあるように4つの役割に分類す
る。
【0085】
【表8】
【0086】コンピュータ100は、各オペレーション
で使用するバルブを表8に基づいて分類する。 [処理 Operation n,1 ] (a) 「利用隣接領域と結合関係にあるバルブ」の中で、
共通のタグを持ち、コントロールバルブの特性をもつバ
ルブをMain-Vとして登録する。 (b) 「領域を仕切るバルブ」の中で、安全設備と結合関
係にあるパイプに結合されているバルブをEmr-Vとして
登録する。
【0087】なお、Main-VとCon-Vとの区別は、使用す
べきバルブの機能の違い(コントロールバルブか、オン
/オフバルブ)で行うのが一般的であるが、少量の物質
の流れを制御する場合、コントロールバルブの代わりに
オン/オフバルブで代用することも多い。この場合には
資源を入れたタンクに最も近いバルブをMain-Vとするこ
とが多い。
【0088】
【表9】
【0089】(注)CV50が、「利用隣接領域と結合
関係にあるバルブ」にもかかわらず、「領域を仕切るバ
ルブ」と分類されるのは,空気抜きラインを作っている
にもかかわらず「液が流れるライン」にあるバルブであ
るという理由による。 [処理 Operation n,2 ]同様の処理を行うと表10が得
られる。
【0090】
【表10】
【0091】[処理 Operation n,3 ]同様の処理を行う
と表11が得られる。
【0092】
【表11】
【0093】[処理 Operation n+1,1 ]同様の処理を行
うと表12が得られる。
【0094】
【表12】
【0095】[処理 Operation n+1,2 ]同様の処理を行
うと表13が得られる。
【0096】
【表13】
【0097】得られた結果 (表9−13)をまとめると
表14 が得られる。ここで、一つのオペレーションが
実行されるE-CGUとM-CGUを一つにまとめ、重複
するバルブ名を一つに整理する。ただし、E-CGU
間、あるいはE-CGUとM-CGUの間にMain-Vがあ
るときは、それを強調するためにそのまま残している。
たとえば、CV20、V19、V18、V23はそれぞ
れ2回現れるから、一つに纏める。
【0098】
【表14】
【0099】(4−3)追加機能の検討 次に、フェーズレベルの操作に必要な追加機能を加え
る。この作業には、例えば以下のものが例示できる。 (a) 輸送機器の準備や攪拌機利用のための機能を追加す
る。 (b) 制御バルブ(オン/オフバルブを含む)の操作端操
作をフェーズレベルに記述するために、E-CGUにMai
n-Vが直接結合関係にあるとき、Main-Vを操作するた
めのフェーズを用意する。
【0100】フェーズ操作は、ルールとして次の順序で
行うことにしておく。 (i) オペレーション操作環境のセットアップ (これには、例えば空気抜きパイプライン、ポンプや攪
拌機などの機器の準備が含まれる。ただし、ポンプや攪
拌機などの機器について対象流体が所定量あることを確
認することが必要である。これは詳細設計のところで説
明する。) (ii)ユーティリティの利用 (複数のユーティリティの利用がある場合、安全サイド
に考慮して優先順位が決定される。例えば、冷却と加熱
操作では、通常冷却操作が先行する。) (iii)Main-Vの利用 の順番で行う。これらを全て集計した結果が、表15で
ある。
【0101】
【表15】
【0102】(4−4)制御系の詳細設計 次に、コンピュータ100は、Main-Vを含む制御系の
詳細設計を行う。設計対象となるフェーズは、表1の、
設定点に与えられている条件と表15と組み合わせるこ
とによって特定され、結果は表16に示される通りであ
る。この設計は、基本的には従来の設計方法と同じであ
る。なお、コンピュータ100の設計支援システムがシ
ミュレータとリンクできるようになれば、構造体の表
現、プロセス流体の表現、プロセス状態の規定が与えら
れていることから、極めて簡単に制御系詳細設計が可能
になる。
【0103】
【表16】
【0104】表16に示す制御方式(a) 〜(k)につき、
更に説明をすると下記の通りである。 [処理 Operation n,1] 制御方式(a) 制御方式(a)は、CV10と流量計(図に記載せず) と
によって、流量FA kg/min、仕込量WAとなるように流
量制御Fc が実行される。このとき、バルブCV10
は、例えばPDI制御によって制御される。上記のよう
な制御を記号表記的に下記のように記載する。 流量制御:Fc : CV10と流量計(図に記載せず) 制御パ
ラメータFc : CV10(KP、KI、KD) 下記のオペレーションについても同様に表記できる。 [処理 Operation n,2] 制御方式(b) 流量制御:Fc : CV20と流量計(図に記載せず) 制御パ
ラメータFc : CV20(KP、KI、KD) [処理 Operation n,3] 制御方式(c) 圧力制御:Pc :CV54と圧力計(図に記載せず) 制御パ
ラメータPc :CV54(KP、K I、KD) [処理 Operation n,3] 制御方式(d) (e) 制御方式(d) (e)は、温度制御である。この制御は、TR
(t)が決められているので、ユーティリティ(スチーム、
冷却水)の供給パターンを求める。この温度制御方法の
ためのコントロールレシピを決定するには、2つの方法
がある。
【0105】(i) 経験値を用いる。 (ii) シミュレーションにより求める。 ここでは、例えば、(ii)の方法を考えることにする。な
お、このオペレーションにおいて反応を実施するプラン
ト設備は、図12に示すCGUである。また、ここで求
めるコントロールレシピは、既に供給されたプロセス材
A [WA kg]とプロセス材B[WB kg]があり、圧力PR
[Pascal]のもとに温度スケジュールTR(t)を実現するス
チーム流量パターンを求める問題となる。ただし、反応
熱によって過熱となる場合には、操作の途中で加熱から
冷却に切り換えなければならず、そのような場合には、
CV91を閉にしてスチームを止め、CV92を開にし
て冷却水ラインを作り、CV94を用いて残りの温度ス
ケジュールTR (t)に一致するように流量パターンを求
める。その結果を、図13に示す。つまり、最初は加熱
操作(d)であり、そのあと冷却操作(e)に切り替わる。し
たがって、フェーズ操作が一つ増えることになる(表1
6)。ただし、加熱操作(d)と冷却操作(e)は順番の決ま
った一連の操作である。このバルブパターンを記憶装置
110(PLC:Programmable Logic Control)にいれ
れば、制御系設計が終わることになる。 [処理 Operation n,3] 制御方式(d) 温度制御:Tc :CV91と温度計(図に記載せず) 制御パラ
メータTc :CV91(PLC) [処理 Operation n,3] 制御方式(e) 温度制御:Tc :CV94と温度計(図に記載せず) 制御パラ
メータTc :CV94(PLC)[処理 Operation n+1,1] 制御方
式(f) 圧力制御:Pc :CV54と圧力計(図に記載せず) 制御パラ
メータPc :CV54(KP、KI、KD) [処理 Operation n+1,1] 制御方式(g) 圧力制御:Pc :CV91と圧力計(図に記載せず) 制御パラ
メータPc :CV91(KP、KI、KD) [処理 Operation n+1,1] 制御方式(h) 流量制御:Fc : CV50と流量計(図に記載せず) 制御パラ
メータFc : CV50(KP、K I、KD) [処理 Operation n+1,1] 制御方式(i) 流量制御:Fc : CV52と流量計(図に記載せず) 制御パ
ラメータFc : CV52(KP、KI、KD) [処理 Operation n+1,2] 制御方式(j) 圧力制御:Pc :CV41と圧力計(図に記載せず) 制御パラ
メータPc :CV41(KP、KI、KD) [処理 Operation n+1,2] 制御方式(k) 流量制御:Fc : CV60と流量計(図に記載せず) 制御パ
ラメータFc : CV60(KP、KI、KD) (4−5)フェーズの起動/終了のためのオペレーショ
ン詳細設計 オペレーションのフェーズ実行プログラムから指令を受
けて、フェーズでの操作が開始されるが、フェーズで利
用する利用領域はオペレーションで規定される。ここ
で、今まで設計したフェーズに順序番号を付ける。機能
付加に関わるフェーズにおいても、つぎのような操作が
含まれる。 (1) 開始条件(開始のタイミング規定) (2) バルブ設定 (3) フェーズの操作((4-4)までで設計した操作をさ
す) (4) バルブ設定解除 (5) 終了条件 上記のフェーズ操作に対して、更に下記のような操作の
詳細を検討しなければならない場合がある。 (a) 輸送機器の準備に特に設備が必要な場合。 (b) ユーティリティを操作するMain-Vがあり、かつ、
バルブ設定が必要な場合。
【0106】上記「(3) フェーズの操作」に詳細操作の
検討が必要な場合は、準備操作のためのフェーズが必要
になる。上記(1),(2),(4)の場合は、そのフェーズを管
理するための条件設定が必要になり、それらのフェーズ
が属するオペレーションのフェーズ実行プログラムに管
理が委ねられる。より具体的に、各オペレーションのそ
れぞれのフェーズにつき上記検討を行うと下記の通りで
ある。 [処理 Operation n,1] 処理Phase n,1,1:このフェーズ操作は、E-CGU-1
のポンプ13の起動操作及びその終了操作に関するもの
であるが、このフェーズ操作には、上記(a)の検討が必
要である。 (1) 開始条件(オペレーションの実行プログラムで管理
され指令される:起動信号受信) (2) バルブセッティング(タンクAからポンプ循環系の
配管の確立が必要である:タンクA(V11(ポンプ13
(V12) (3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操
作を実行:制御方式(a)) (4) バルブセッティング解除((2)に入る直前の状態に
戻す) (5) 終了条件(Phase n,1,3の終了と共に終了する) 処理Phase n,1,2:このフェーズは上記検討(a)(b)に該
当しない。 処理Phase n,2,1:このフェーズは上記検討(a)に該当す
る。処理Phase n,1,1と同様に設定できる。 (1) 開始条件(オペレーションの実行プログラムで管理
され指令される) (2) バルブセッティング(タンクBからポンプ循環系の
配管:タンクB(V21(ポンプ14(V22) (3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操
作を実行:制御方式(b)) (4) バルブセッティング解除((2)に入る直前の状態に
戻す) (5) 終了条件 処理Phase n,2,2:このフェーズは上記検討(a)(b)に該
当しない。 処理Phase n,3,1:このフェーズは上記検討(a)(b)に該
当しない。 処理Phase n,3,2:このフェーズは上記検討(a)(b)に該
当しない。 処理Phase n,3,3-1:このフェーズは上記検討(b)に該当
する。 (1) 開始条件(開始のタイミングは規定され、オペレー
ションの実行プログラムで管理される起動信号受信及
び、処理Phase n,3,1による攪拌機が起動しており、且
つ処理Phase n,3,2による冷却源のバルブCV-54が起
動していること) (2) バルブセッティング(表17のCon-V項とIso-V項
参照) (3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操
作を実行:制御方式(d)) (4) バルブセッティング解除 (5) 終了条件(制御方式(d)のプログラム終了) 処理Phase n,3,3-2:このフェーズは上記検討(b)に該当
する。 (1) 開始条件(開始のタイミングは規定され、処理Phas
e n,3,3-1終了) (2) バルブセッティング(表17のCon-V項とIso-V項
参照) (3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操
作を実行:制御方式(e)) (4) バルブセッティング解除 (5) 終了条件(制御方式(e)のプログラム終了) 処理Phase n+1,1,1:このフェーズは上記検討(a)に該当
する。処理Phase n,1,1や処理Phase n,2,1と同様な処理
を行えばよく、詳細配管が図1に表されていないのでこ
こでは詳細な説明を省略する。 処理Phase n+1,1,3:このフェーズは上記検討(b)に該当
する。 (1) 開始条件(開始のタイミングは規定され、オペレー
ションの実行プログラムで管理される起動信号受信及
び、処理Phase n+1,1,2による冷却源のバルブCV54
が起動していること) (2) バルブセッティング(表17のCon-V項とIso-V項
参照) (3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操
作を実行:制御方式(g)) (4) バルブセッティング解除 (5) 終了条件(所定抽出量に到達) このようにしてフェーズのタイミング設計が行われ、以
上をまとめると表17乃至表19が得られる。
【0107】
【表17】
【0108】
【表18】
【0109】
【表19】
【0110】(4−6)異常時操作の設計 コントロールレシピは、安全性評価を実施しながら設計
することが必要であり、通常、下記を各層の操作に組み
込んでおくのがよい。 (i)状態監視 (ii)正常時の状態変化と現状値の「ズレ」による異常度
の判断 (iii)適切な操作の選択 (iv)操作端(オペレーション)への指示 異常時操作設計では、これらの一連の検討を経て得られ
た結論を操作管理システム(例えば、分散型制御システ
ム(DCS))に入力する。例えば、異常時操作設計で
は、ある一つの異常事象が起こっても程度の差により、
「操作の選択」を行うのが一般的である。一般に、選択
される操作の領域は次の2つから成り立っている。 ・復帰見込みのある初期段階:既存設備を利用する場合 ・復帰見込みのない段階:安全設備として装備されてい
るものを利用する場合 ここでは、上述のいずれか一つを選択した場合の異常時
操作をオペレーションに表現する方法についてのべる。
また、後述する監視機能設計において(ii)異常度の判断
について説明する。
【0111】プラント状態が復帰見込みのない段階に進
み、安全設備を利用する場合、その場合のコントロール
レシピの作成は、基本的に設備構成要素の結合関係を基
にした方法(既に説明した方法)と代わりはない。ただ
し、結合関係だけを基にしているとレシピの設定が冗長
或いは無駄になる場合がある。例えば、安全設備との結
合関係から、単純に安全設備との結合バルブが定義され
ていると、反応停止剤の投入により実際に反応停止が起
こるオペレーションにその設備が利用されることもあれ
ば、反応が起こる可能性が全くないオペレーションでも
その安全設備が利用されてしまう可能性があることが考
えられる。安全性評価に基づいて、このような冗長性を
取り除く必要がある。
【0112】表19及び表20には、異常時操作の追加
が示されるが、表18と比較すると明らかなように、Em
r-V項に*印で示す通り、上述した冗長性を取り除くた
めにCV110が削除されている。
【0113】
【表20】
【0114】
【表21】
【0115】プラント異常に復帰の見込みがある初期段
階において、既存設備を利用して復帰が図られる場合、
何処のプラント位置でそのような復帰を図ることができ
るかの判断は、安全性評価により特定される。安全性評
価により得られた結論を入力する。例えば、[処理 Oper
ation n,3 ; 反応]においてプラント異常時が発見され
たとき、異常箇所が復旧するまでは、反応器Rを冷却し
て生成反応を抑制させるフェーズを挿入することができ
る(表20参照)。この場合、異常時操作のバルブセッ
ティングとしては、CV91を閉じてCV92を開き、
CV94に対して下記の操作が行われる。 [処理 Operation n,3 ] 流量制御:Fc : CV94と流量計(図に記載せず) 制御パ
ラメータFc : CV94(KP、KI、KD) (4−7)実行機能、監視機能(スーパービジョン)の
設計 説明の都合によって、これらの実行機能及び監視機能の
概略については図3乃至図10を参照して既に説明し
た。ここでは、実行機能及び監視機能の設計時に検討さ
れる、上位と下位の階層的制御レーヤーの関係等につい
て説明する。 (4−7−1)実行管理機能 この機能は、以下の各操作レベルにある管理の一つであ
り、実行管理の内容は、下位の実行プログラムの順序管
理である。また、監視機能部から異常のレポートが送ら
れたとき、一旦ホールドし、オペレータに報告し、次の
指示を待つ。 (i)プロシージャの実行管理機能 前述したユニットプロシージャ実行プログラムが実行管
理部分の機能を有しており、以下の管理を行っている。
【0116】
【表22】
【0117】(ii)ユニットオペレーションの実行管理機
能 前述したオペレーション実行プログラムが実行管理部分
の機能を有しており、以下の管理を行っている。
【0118】
【表23】
【0119】(iii)オペレーションの実行管理機能 前述したフェーズ実行プログラムが実行管理部分の機能
を有しており、以下の管理を行っている。
【0120】
【表24】
【0121】(iv)フェーズの実行管理機能 前述した操作端操作プログラムが実行管理部分の機能を
有しており、以下の管理を行っている。
【0122】
【表25】
【0123】なお、上述の各実行管理部分は、後述する
監視機能部から異常のレポートが送られたとき、一旦現
在行われている操作をホールドする。そして、監視機能
部からの指示に従って、下位に対してはホールド維持、
中止/停止、ホールド解除の指示を出す。この指示は上
位にレポートされる。そして、ホールド解除の場合には
下位に対して該当操作を開始するようにしている。 (4−7−2)監視機能 監視機能(Surveillance)は各階層毎に設けられる。各階
層にある監視機能は、下位からのレポート、状態信号に
基づき下位レーヤーの状態が健全に推移しているか否か
を判断して、異常があれば、上位及び当該レーヤーの実
行管理部にその旨のレポートを送る。監視機能の内容は
前述の表25に示すとおりである。
【0124】通常、オペレータはオペレーションのレベ
ルを中心に監視を続けることから、これより上位はこの
レベルの判断を支援するような情報提供を実施すること
もできる。例えば、次のような支援が考えられる。 (1) 余裕時間などの情報を上位から与えること、 (2) 現在のプロセス状態の把握しやすい環境をあたえ
ること 上位のユニットオペレーションの実行管理部から起動が
かかると、対応するオペレーションの状態推移パターン
(リアルタイムで計測可能な変数で表現されている)を
メモリから呼び出す。この値とセンサからの値を比較す
る。あるいは、バルブ開度のパターンであれば、CVから
の値を比較する。差が許容範囲にあるときには「正常」
を、範囲を出たときには「域外」、大きく逸脱したとき
には「異常」のメッセージをオペレータに出す。ここで
予想されている状態推移パターンは、今までの実行値、
あるいは、シミュレーションにより得られるパターンで
ある。
【0125】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に依れば、
CGUの技術的思想に基づいて、バッチプロセスコント
ロールの階層性とプラントトポロジー(プラント構成要
素の結合関係)をSTEP(ISO10303)の表現形式により対
応付けることができるので、プラント内の操作対象領
域、操作点の定義が完備される。これによりコントロー
ルレシピの作成の過程を定型化することができ、同レシ
ピの作成負荷が軽減され、コントロールレシピ作成が可
能な限りにおいて自動化することができる。また、作成
したコントロールレシピの維持管理が容易であるから、
データベース化することが容易であり、蓄積したデータ
を基にコントロールレシピ作成自動化を更に向上させる
ことができ、作成時のエラー低減も可能になる。
【0126】更に、コントロールレシピ作成に利用され
たデザインラショナール(設計論理)をリアルタイム操
作や操作分析に利用できるため設計と操作、分析の意識
統合が可能になる。又、ユーティリティ設備レベルまで
の詳細なフェーズの割付を行うことから、例えばユーテ
ィリティ使用量の推定が可能になりコントロールレシピ
の実行可能性を事前に保証することができる。更に又、
特別な準備操作(洗浄)や安全防護操作等の表現も簡単
であり、その維持管理性及び再利用性が向上する。
【0127】プラント内での操作領域の変更を余儀なく
されるような例外処理についても、プラントトポロジー
を完全に持っているので、変更が極めて簡単であり、種
々の例外処理に対しても容易に対応することができ、ま
た、例外処理をバッチプロセスコントロールの階層性と
関係付けることにより、その維持管理も容易である。更
に、コントロールレシピ設計時においてもリアルタイム
操作時における操作及びプロセスの状態変化をプラント
トポロジー(CAD等)に表現した情報を利用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る、制御グループユニットを結合し
て構築したバッチプラントの構成を示すブロック線図で
ある。
【図2】本発明に係る、バッチプラントの制御装置の概
略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る、バッチプラントの制御プログラ
ムの構成を示すブロック図である。
【図4】プロセス管理プログラムを構成する、プロシー
ジャ実行・監視プログラムのフローチャートである。
【図5】各ユニットプロシージャで実行される、オペレ
ーション実行・監視プログラムのフローチャートであ
る。
【図6】各オペレーションで実行される、フェーズ実行
・監視プログラムのフローチャートの一部である。
【図7】図6に続く、フェーズ実行・監視プログラムの
フローチャートの残部である。
【図8】操作端操作プログラムによる操作端の操作手順
を示すフローチャートの一部である。
【図9】図8に続く、操作端の操作手順を示すフローチ
ャートの残部である。
【図10】緊急操作実行プログラムのフローチャートで
ある。
【図11】コントロールレシピの設計手順を示すフロー
チャートである。
【図12】反応を実施させるオペレーションにおけるプ
ラント構成を示し、当該オペレーションの主装置である
制御グループユニットM-CGU-R&Dのブロック線図であ
る。
【図13】図1に示す、反応器Rに付設される加熱器H
Tによって、反応温度スケジュールTR (t)を実現する
ための、加熱水と冷却水の供給量の時間変化を示すグラ
フである。
【符号の説明】
100 コンピュータ(コントロールレシピ
作成手段、プラント制御手段) 104 ディスプレ装置 108a CD−ROM(記録媒体) 110 外部記憶装置(プラント構造記憶装
置、マスターレシッピ記憶手段) CV10,20 制御バルブ(搬送量調整手段) E-CGU-1〜E-CGU-5 正常時操作における制御グループユ
ニット M-CGU-R&D 正常時操作における、主装置を含む
制御グループユニット R 反応器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H004 GA22 GA28 GA30 GB02 HA01 HA04 HB01 HB02 HB03 HB04 HB05 JA05 JA22 JA23 KA69 LA16 LA19 LB04 LB06 LB07 MA05 MA36 MA40 MA58 5H215 AA01 BB10 BB12 BB18 CC09 CX02 CX03 GG04 GG05 GG11 GG17 KK01 9A001 BB01 BB03 BB04 DD07 DD13 HH32 HH34 JJ35 JJ49 JJ61 KK13 KK17 KK32 KK35 KK37 KK42 LL05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バッチプラントを構成する複数のプラン
    ト構成要素と、所要のプラント構成要素間に配設され、
    上流側のプラント構成要素から下流側のプラント構成要
    素へのプロセス材の流れ量を調整する搬送量調整手段と
    を備えるプラントによって特定の製品を製造するバッチ
    プラントの制御方法であって、 前記搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上の
    プラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調
    整手段によって分割される領域を制御グループユニット
    としてグループ化し、 前記製品を基準量だけ当該プラントによって製造する一
    連のプラント操作手順をマスターレシピとして作成し、 該マスターレシピは、各工程毎に割り付けられたユニッ
    トプロシージャと、各ユニットプロシージャに割り付け
    られた主装置を含む主制御グループユニットとを含んで
    作成され、 前記製品の製造要求量を含むスケジュール情報と前記マ
    スターレシピと前記グループ化された制御グループユニ
    ットを含むプラント構造情報とから、各ユニットプロシ
    ージャ毎に、前記主制御グループユニットに向かって流
    れる、又は当該主制御グループユニットから流出するプ
    ロセス材の流れ方向の順に順次制御グループユニットを
    選定すると共に、選定した制御グループユニットに接続
    される全ての搬送量調整手段を選定し、選定した制御グ
    ループユニットを主制御グループユニットと結合するこ
    とによって各ユニットプロシージャに必要なプラント構
    成要素とプロセス材の流れを作る搬送量調整手段とを規
    定すると共に、該搬送量調整手段によってプロセス材の
    流れの制御手順を規定するコントロールレシピを作成
    し、 最初のユニットプロシージャから順に、作成したコント
    ロールレシピに基づいてプラントを制御することを特徴
    とするバッチプラントの制御方法。
  2. 【請求項2】 前記コントロールレシピは、前記複数の
    ユニットプロシージャを含む階層と、各ユニットプロシ
    ージャ毎に、当該ユニットプロシージャに選定された搬
    送量調整手段の操作手順を規定する複数のオペレーショ
    ンを含む階層と、各オペレーション毎に、当該オペレー
    ションによって操作手順が規定された搬送量調整手段の
    作動指令手順を規定する複数のフェーズを含む階層とか
    らなる階層構造で構成されることを特徴とする、請求項
    1のバッチプラントの制御方法。
  3. 【請求項3】 各階層毎に、各ユニットプロシージャ、
    各オペレーション、及び各フェーズのそれぞれの動作状
    況と動作異常とを監視することを特徴とする、請求項2
    のバッチプラントの制御方法。
  4. 【請求項4】 プラント異常時の異常状態と異常規模に
    応じた異常時操作手順をそれぞれ異常時操作レシピとし
    て作成し、異常時操作レシピに規定される制御グループ
    ユニット及び搬送量調整手段を当該異常時操作レシピの
    操作手順に基づいて操作することを特徴とする、請求項
    1乃至3の何れか一つに記載のバッチプラントの制御方
    法。
  5. 【請求項5】 異常時操作レシピは、各階層毎に準備さ
    れることを特徴とする、請求項2乃至4の何れか一つに
    記載のバッチプラントの制御方法。
  6. 【請求項6】 制御グループユニット又は搬送量調整手
    段のための操作前準備又は操作後整備の補助操作を前記
    複数のユニットプロシージャの一つとして含ませること
    を特徴とする、請求項1に記載のバッチプラントの制御
    方法。
  7. 【請求項7】 プラント操作上の安全防護操作を前記複
    数のユニットプロシージャの一つとして含ませることを
    特徴とする、請求項1に記載のバッチプラントの制御方
    法。
  8. 【請求項8】 所要の前記制御グループユニットに関連
    して、当該制御グループユニットのプロセス材に物理化
    学的性質に変更を加えるためのユーティリティ装置が付
    設され、 該ユーティリティ装置は、ユーティリティ流体が流れる
    1以上のユーティリティ構成要素と、該ユーティリティ
    構成要素に入力するユーティリティ流体の流れ量を調整
    するユーティリティ搬送量調整手段とを備え、 前記ユーティリティ搬送量調整手段を介在させずに接続
    可能な1以上のユーティリティ構成要素を、搬送量調整
    手段によって他のユーティリティ構成要素から仕切られ
    る領域をユーティリティ制御グループユニットとしてグ
    ループ化し、 前記所要の制御グループユニットに関連するコントロー
    ルレシピに応じ、前記ユーティリティ制御グループユニ
    ットをユーティリティ流体が流れる方向に順次選定する
    と共に、選定したユーティリティ制御グループユニット
    に接続される全てのユーティリティ搬送量調整手段を選
    定し、選定したユーティリティ制御グループユニットを
    順次結合することによって、前記所要の制御グループユ
    ニットに関連するユニットプロシージャに必要なユーテ
    ィリティ構成要素とユーティリティ流体の流れを作るユ
    ーティリティ搬送量調整手段とを規定すると共に、該ユ
    ーティリティ搬送量調整手段によってユーティリティ流
    体の流れを制御する制御手順を規定することを特徴とす
    る、請求項1に記載のバッチプラントの制御方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8の何れか一つのバッチプ
    ラントの制御方法をコンピュータに実行させるためのプ
    ログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録
    媒体。
  10. 【請求項10】 バッチプラントを構成する複数のプラ
    ント構成要素と、所要のプラント構成要素間に配設さ
    れ、上流側のプラント構成要素から下流側のプラント構
    成要素へのプロセス材の流れ量を調整する搬送量調整手
    段とを備えるプラントによって特定の製品を製造するバ
    ッチプラントの制御装置であって、 前記搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上の
    プラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調
    整手段によって分割される領域を制御グループユニット
    としてグループ化すると共に、各制御グループユニット
    及び各搬送量調整手段の構成、位置及び結合関係情報を
    含むプラント構造情報を記憶するプラント構造記憶手段
    と、 前記製品を基準量だけ当該プラントによって製造する一
    連のプラント操作手順をマスターレシピとして記憶する
    マスターレシピ記憶手段と、 該マスターレシピ記憶手段は、前記マスターレシピとし
    て、各工程毎に割り付けられたユニットプロシージャ
    と、各ユニットプロシージャに割り付けられた主装置を
    含む主制御グループユニットとを記憶しており、 前記製品の製造要求量を含むスケジュール情報を入力す
    るスケジュール入力手段と、 前記スケジュール情報と前記マスターレシピとプラント
    構造情報とから、各ユニットプロシージャ毎に、前記主
    制御グループユニットに向かって流れる、又は当該主制
    御グループユニットから流出するプロセス材の流れ方向
    の順に順次制御グループユニットを選定すると共に、選
    定した制御グループユニットに接続される全ての搬送量
    調整手段を選定し、選定した制御グループユニットを主
    制御グループユニットと結合することによって各ユニッ
    トプロシージャに必要なプラント構成要素とプロセス材
    の流れを作る搬送量調整手段とを規定すると共に、該搬
    送量調整手段によってプロセス材の流れの制御手順を規
    定するコントロールレシピを作成するコントロールレシ
    ピ作成手段と、 最初のユニットプロシージャから順に、作成したコント
    ロールレシピに基づいて所要の搬送量調整手段に作動信
    号を出力するプラント制御手段とを備えて構成されるこ
    とを特徴とするバッチプラントの制御装置。
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