JP4574777B2 - バッチプラントの制御方法、バッチプラントの制御プログラムを記憶した記録媒体、及びバッチプラントの制御装置 - Google Patents

バッチプラントの制御方法、バッチプラントの制御プログラムを記憶した記録媒体、及びバッチプラントの制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学プラント、特にバッチプラントに好適に適用できるプラント制御方法、同制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びバッチプラントの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
特定の製品Xを所要量だけ、特定のプラントで生産する際のプラントの操作手順(以下、「コントロールレシピ」という)を作成する場合、従来では、製品Xを基準量(「標準量」或いは「規格量」といってもよい)だけ、一般的なプラントで生産する標準操作手順をもとに、直接機器操作レベル(バルブ開閉等)の操作手順を作成している。しかしながら、従来の操作標準手順は、バッチプロセスコントロールの階層性とプラントトポロジーが明確に対応付けられていないことから、コントロールレシピを作成する上であまり参考にならず、設計者がコントロールレシピを作成するのに非常に多くの労力と時間が掛かっていた。そして、設計者に対するレシピ作成負荷が大きく、その作成過程が定型化されていないため、レシピ作成において間違いが発生する可能性が高く、レシピ作成の自動化も困難であった。さらに、作成の基になる情報(操作手順、プラント構造等)にわずかな変更があった場合でも最初からコントロールレシピを作り直さなければならなかった。
【0003】
しかも、従来の操作手順は、単なる機器操作(バルブ開閉等)を羅列したものが多く、操作手順をみてもその操作がなぜなされなければいけないかを読み取ることはできないことが多い。たとえばあるバルブを閉じるという操作が指示されていても、その操作があるプラント区域を封鎖するために指示されたのか、単に局所的な流量を制御するために指示されたのかを明示的に読み取ることができなかった。すなわち、操作手順作成に利用されたデザインラショナール(設計論理)を明示的に表現できないため、作成された従来の操作手順は、リアルタイム操作や操作分析の理解に利用されない。
【0004】
従って、操作手順を最初から作り直すには、製品スペック、使用プラント(小規模な変更を含む)、生産量ごとに作成された膨大な数の操作手順を熟知しておく必要があった。
ユーティリティの使用等付随的な操作が必要な場合、そのような操作は、実行前の機器に割り付ける必要がある。しかしながら、従来、付随的操作を、機器操作実行前の機器に割り付られていない場合が多く、このため機器操作実行時にスケジュールが実行不可能となる可能性がある。
【0005】
また、特別な準備操作(例えば洗浄)や安全防護操作等をスケジュールに依存した形で操作手順に組み込まなければならない場合があるが、操作手順に組み込まれた後、本来の製品生産に必要な操作との区別が困難で、スケジュールが変更された後も操作手順中にこの操作手順が残ってしまい不都合を生ずる可能性がある。この準備操作(洗浄)や安全防護操作等は定型的な繰り返し操作となる場合が多いが、その場合でも本来の製品生産に組み込む形でその都度操作手順の作成がなされなければならない。
【0006】
プラント操作手順に組み込む異常時の操作手順には、それを表現する従来の方法として2つの方法が考えられる。1番目の方法は、正常時操作の条件付枝分かれとして表現する方法であるが、この方法では、正常時操作手順及び多様な異常状態や異常規模に対する異常時操作手順をモジュール化して取り扱うことができず操作手順を維持管理することが難しくなるという問題が生ずる。
【0007】
もう1つの方法は、異常時操作手順を別途用意する方法であるが、この場合、操作手順が1次元的に表されるため、多様な異常状態や異常規模に対する異常時操作手順を網羅しようとすると膨大な数の操作手順を作成、管理しなければならなくなる。
このように従来の方法に依れば、操作手順の作成負荷が大きいため、異常時操作手順は全異常を網羅して記述することは困難であり、また、たとえ全異常を網羅して記述したと思っても、その妥当性は詳細には検証することができない。そして、特別な準備操作(洗浄)や安全防護操作等は、本来モジュール化して取り扱うことができればよいが、従来、このような操作をモジュール化して取り扱うことが困難で、その操作を維持管理し、繰り返し操作することに問題があった。また、コントロールレシピをリアルタイムに設計できればよいが、リアルタイム操作時における操作及びプロセス状態変化の情報を利用してコントロールレシピを設計することはできなかった。まして、シミュレータと機動性を持って結合させることが不可能であり、シミュレーションを基にした例外処理時におけるオペレータの補助や、例外処理操作の事後分析は困難である。
【0008】
上述のように、従来の異常時の操作手順は全異常を網羅しておらず、またその妥当性は詳細には検証されていないため、異常時の操作は主に操作者(人間)による対処に頼っているが、判断の間違いや遅れにより事故を誘起させる虞がある。
異常が発生した場合のプラントの状態や操作、また設計時の操作条件等の情報管理が不十分であるため、異常状態をシミュレーションによって再現することは一般に困難であり、実際に異常が発生した場合の異常状態解析に支障をきたしているのが現状である。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、通常時操作及び異常時操作の区別なく、それらのコントロールレシピを作成する過程を定式化し、可能な限りの自動化を通じてその作成負荷を低減すると共に、確実、且つ、安全にプラント制御ができ、プラント構造の変更に対しても柔軟性を持って対応できる、バッチプラントの制御方法、同制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びバッチプラントの制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、バッチプラントを構成する複数のプラント構成要素と、所要のプラント構成要素間に配設され、上流側のプラント構成要素から下流側のプラント構成要素へのプロセス材の流れ量を調整する搬送量調整手段とを備えるプラントによって特定の製品を製造するバッチプラントの制御方法、同制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びバッチプラントの制御装置が提供される。
【0011】
本発明は、搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上のプラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調整手段によって分割される領域を制御グループユニットとしてグループ化することに特徴を有している。
すなわち、請求項1記載の本発明においては、搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上のプラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調整手段によって分割される領域を制御グループユニットとしてグループ化され、製品を基準量だけ当該プラントによって製造する一連のプラント操作手順をマスターレシピとして作成され、該マスターレシピは、各工程毎に割り付けられたユニットプロシージャと、各ユニットプロシージャに割り付けられた主装置を含む主制御グループユニットとを含んで作成される。そして、前記製品の製造要求量を含むスケジュール情報と前記マスターレシピと前記グループ化された制御グループユニットを含むプラント構造情報とから、各ユニットプロシージャ毎に、前記主制御グループユニットに向かって流れる、又は当該主制御グループユニットから流出するプロセス材の流れ方向の順に順次制御グループユニットが選定されると共に、選定された制御グループユニットに接続される全ての搬送量調整手段が選定され、選定された制御グループユニットを主制御グループユニットと結合することによって各ユニットプロシージャに必要なプラント構成要素とプロセス材の流れを作る搬送量調整手段とが規定される共に、該搬送量調整手段によってプロセス材の流れの制御手順を規定するコントロールレシピが作成され、最初のユニットプロシージャから順に、作成れたコントロールレシピに基づいてプラントが制御される。
【0012】
プラント構造を制御グループユニットという新しい表現を導入したことによって、その制御グループユニットの概念は、プラント構造と操作手続とを明確に対応付けることを可能にし、コントロールレシピ作成過程を定型化することを可能にする。
請求項2記載の本発明は、コントロールレシピが、複数のユニットプロシージャを含む階層と、各ユニットプロシージャ毎に、当該ユニットプロシージャに選定された搬送量調整手段の操作手順を規定する複数のオペレーションを含む階層と、各オペレーション毎に、当該オペレーションによって操作手順が規定された搬送量調整手段の作動指令手順を規定する複数のフェーズを含む階層とからなる階層構造で構成されることを特徴とする。
【0013】
更に、請求項3記載の本発明は、各階層毎に、各ユニットプロシージャ、各オペレーション、及び各フェーズのそれぞれの動作状況と動作異常とを監視することを特徴とする。
バッチプロセスコントロールの階層性とプラントトポロジー(プラント構成要素の結合関係)を、例えばSTEP(ISO10303)の表現形式により対応付けることによってプラント内の操作対象領域、操作点の定義が完備される。これによりコントロールレシピ作成負荷の軽減、コントロールレシピ作成自動化が可能となる。
【0014】
更に又、請求項4記載の本発明は、プラント異常時の異常状態と異常規模に応じた異常時操作手順をそれぞれ異常時操作レシピとして作成し、異常時操作レシピに規定される制御グループユニット及び搬送量調整手段を当該異常時操作レシピの操作手順に基づいて操作することを特徴とする。この場合、異常時操作レシピは、各階層毎に準備することもできる(請求項5)。
【0015】
更に、請求項6記載の本発明は、制御グループユニット又は搬送量調整手段のための操作前準備又は操作後整備の補助操作を前記複数のユニットプロシージャの一つとして含ませることを特徴とする。
更に、請求項7記載の本発明は、プラント操作上の安全防護操作を前記複数のユニットプロシージャの一つとして含ませることを特徴とする。
【0016】
制御グループユニットの技術的思想は、特別な準備操作(洗浄)や安全防護操作等の表現(組み込み)をも容易にし、それらの操作を利用するか否かを簡単に選択でき、しかも、操作の変更を余儀なくされるような例外処理についても、その変更を極めて容易にする。
請求項8記載の本発明は、所要の制御グループユニットに関連して、当該制御グループユニットのプロセス材に物理化学的性質に変更を加えるためのユーティリティ装置が付設されて構成される。このユーティリティ装置は、ユーティリティ流体が流れる1以上のユーティリティ構成要素と、該ユーティリティ構成要素に入力するユーティリティ流体の流れ量を調整するユーティリティ搬送量調整手段とを備え、ユーティリティ搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上のユーティリティ構成要素を、搬送量調整手段によって他のユーティリティ構成要素から仕切られる領域をユーティリティ制御グループユニットとしてグループ化される。そして、前記所要の制御グループユニットに関連するコントロールレシピに応じ、ユーティリティ制御グループユニットが、ユーティリティ流体が流れる方向に順次選定されると共に、選定されたユーティリティ制御グループユニットに接続される全てのユーティリティ搬送量調整手段が選定される。このように選定されたユーティリティ制御グループユニットを順次結合することによって、前記所要の制御グループユニットに関連するユニットプロシージャに必要なユーティリティ構成要素とユーティリティ流体の流れを作るユーティリティ搬送量調整手段とが規定されると共に、該ユーティリティ搬送量調整手段によってユーティリティ流体の流れを制御する制御手順が規定される。
【0017】
制御グループユニットの技術的思想は、ユーティリティ設備レベルまでの詳細なフェーズの割付を可能にする。
請求項9記載の本発明は、上述したバッチプラントの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0018】
又、請求項10記載の本発明は、上述したバッチプラントの制御方法を実現するバッチプラントの制御装置であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者は、プラント構造と操作手続きとを明確に対応付けるために、バッチプラントを、詳細は後述する制御グループユニット(以下、「CGU」ともいう)にグループ化すればよい、との知見を得、本発明は、この知見に基づくものである。CGU(Control Group Unit)は、制御グループとして纏めたユニット、或いはユニット群を意味する。CGUは、正常時操作において、プロセス流体或いはユーティリティが流れる、或いは、貯留される機器の周辺が、それから最も近い搬送量調整手段(バルブ)で仕切られる領域(分割することができる領域)をいう。
【0020】
本発明は、上述したCGUの技術的思想と共に、階層的な制御レーヤーの技術的思想も特徴的であり、制御レーヤーが、プロシージャ、ユニットプロシージャ、オペレーション、フェーズの各階層によって表現される。そして、各層の実行・監視プログラムによって、下位のレーヤーの操作実行と状況監視が行われ、監視結果は当該レーヤーの操作実行に反映されると共に、上位のレーヤーに報告され、選択すべきコントロールレシピが決定されることも特徴的である。
【0021】
プロシージャは、1つのバッチの実行に要する全工程の手順をいい、通常複数のユニットプロシージャから構成される。ユニットプロシージャは、主操作(分離[例:抽出、蒸留、乾燥、吸着など]、反応[塩ビ重合反応など]など)、機械的操作([成形、分級など])等が含まれる。各ユニットプロシージャを実行するのは、オペレーションであり、オペレーションには輸送操作(チャージ、ドレンなど)、制御操作(温度制御など)、他があるが、様々な変形がある。オペレーションの詳細は、フェーズであり、特定された操作端(バルブなど)とそれへの制御が規定される。
【0022】
以下、多数の機器類で構成される化学プラント(バッチプラント)から、各工程毎にCGUの概念に基づいて必要な機器を選択し、それらを結合させて各工程に必要な機器を構成させ、例えば原料Aと原料Bから反応Yにより製品Xを仮想的に得るバッチプロセスを例に、本発明の実施の形態を説明する。
(1)プラント構造及びその分割(CGU)
化学製品Xを生成する一つのバッチにおいて、各工程において必要とする機器類は、後述するとおり、CGUの概念に基づいてプロセスセル管理プログラムによって決定される。プロセスセル管理プログラムは、化学プラントを構成する多数の機器類の中から各工程において必要とする機器類を選択し、決定するものである。ここでは、上記製品Xを生成するバッチプロセスの全工程において使用する機器類を説明すると共に、本発明の技術的思想の中核をなすCGUの設定の仕方について説明する。
【0023】
図1は、製品Xを生成するに必要な機器類(プラント構成要素)を示し、その主な機器類は、原料Aを貯留するタンク、原料Bを貯留するタンク、これらの原料を移送するためのポンプ13、14、原料を混合し、生成物Xを生成する反応を生じさせる反応器R、反応器Rに付設されるユーティリティ装置であり、反応温度を調節するための加熱器HT、反応器Rから生成物Xと溶媒Cを分溜する蒸留塔D、分溜生成物を凝縮させる凝縮器CD、凝縮器CDに付設されるユーティリティ装置であり、凝縮器CDにポートCW1から冷却水を供給するための冷却水供給装置(図示せず)、凝縮物を貯留し一部の溶媒Cを取り出し、凝縮した溶媒Cを蒸留塔Dを経由して反応器Rに戻すためのリフラックスタンクRF、リフラックスタンクRFからの冷媒(溶媒C)を蒸留塔Dに移送するためのポンプ65、反応器Rから所要の性状の生成物Xを取り出し貯留するための製品タンク、およびこれらのプラント構成要素を接続するための配管である。そして、所要のプラント構成要素間にはプロセス材の流れ量を調整するための流量制御弁や仕切弁が必要である。
【0024】
上述の様に構成されるバッチプラントの構成要素は、以下のようにしてCUGに分割される。
(i)プロセス流体に関わるCGU
正常時操作において、プロセス流体が流れる、あるは、貯留される機器の周辺において、それらから最も近いバルブで仕切られる領域をE-CGU-i、主装置の場合のその領域をM-CGU-jとする。
【0025】
例えば、図1のポンプ13及びそれに接続される配管は、バルブV11, V12, CV10で他と仕切られており、制御グループユニットE-CGU-1を構成している。制御グループユニットE-CGU-3は、配管以外にはプラント構造要素を含まないが、バルブCV10, V18, V19で他と仕切られている。このような配管のみで構成されるものでもCGUと見なすことができる。
【0026】
主装置は、後述する各ユニットプロシージャにおいて使用される主要装置をいう。当該バッチの主装置である反応器Rは、バルブを介在させずに蒸留塔Dと接続可能であり、更に蒸留塔Dは、バルブを介在させずに凝縮器CDと接続可能である。当該反応器R、蒸留塔D、凝縮器CD、リフラックスタンクRF、及びそれらに接続される配管は、バルブV18, V23, CV41, CV42, CV50, V51, CV60, CV110に仕切られてM-CGU-R&Dを構成している。このユニットM-CGU-R&Dは、当該実施態様において、何れのユニットプロシージャにおいても使用される。なお、反応器Rには攪拌装置が付設されている。
(ii)ユーティリティに関わるCGU
正常時操作において、ユーティリティが流れる機器をバルブにより分割される領域を制御グループユニットUT-E-CGU-kとする。例えば、反応器Rに付設される加熱器HTはユーティリティ装置であり、それに接続される配管は、バルブV93, CV94で仕切られ、加熱器HT及びその配管には反応器加熱用のスチーム、又は冷却水が流れる。従って、加熱器HT及びそれに接続される配管は制御グループユニットUT-E-CGU-2とされる。なお、凝縮器CDには、図示しないけれども、熱交換器が付設され、この熱交換器に接続される配管はバルブCV54に仕切られて1つの制御グループユニット(図示せず)を構成する。
(iii)緊急操作に関わるCGU
異常時、緊急時に利用する特別な機器についても上述の(ii)と同様な処理を行い、制御グループユニットEM-E-CGU-mとする。
【0027】
図1は、上述のようにして分割したCGUを示している。なお、図1では、説明を簡略化するために、資源供給元、ドレイン、ベント等を含む領域にラベルを付しておらず、資源供給元を含むCGUやユーティリティ供給に関わるUT-E-CGU-kが現わされていない。
また、各CGU及びバルブは全て、これらの単位で位置情報、結合情報を有しており、これらの位置情報、結合情報は後述するようにコンピュータの記憶装置に記憶されている。
(2)プラント制御装置の構成
上述した化学プラントは、図2に示すような同プラントを制御するためのプラント制御装置を備えている。プラント制御装置は、化学プラント全体の作動を制御するコンピュータ100、製品Xを生成するためのレシピやプラント作動指令信号をキー操作やマウス操作、スイッチ操作等により入力するための入力装置102、コンピュータ100の演算結果やプラント作動状態を画面表示するためのディスプレ装置104、コンピュータ100の演算結果等をプリントアウトするためのプリンタ装置106、本発明のプラント制御プログラムをCD−ROM108aから読み出すためのCD装置108、上述のディスプレ装置104やプリンタ装置106、CD装置108等の作動制御するための各種プログラムを記憶する外部記憶装置110、コンピュータ100と、外部駆動装置114、各CGUの適宜箇所に取り付けられ、プロセス流体やユーティリティの物理化学的性質(例えば、温度や圧力)や流れ量を検出する各種センサ(図示せず)を含むセンサ装置116、等との間でデータの入出力を制御するためのI/Oインターフェイス112等から構成されている。
【0028】
CD−ROM108aは、本発明のプラント制御方法をコンピュータ100に実行するためのプログラムや各種データを、コンピュータ100に読み取り可能な状態で記録している記録媒体である。外部駆動装置114は、上述した各種のバルブ類、ポンプ類、攪拌装置等と電気的に接続され、これらの作動を制御するものである。
(3)プラント制御プログラムの概要
次に、本発明に係るバッチプラントの制御プログラムの概要について説明する。なお、この制御プログラムは、CD−ROM108aから外部記憶装置110にインストールされている。
【0029】
図3は、プラント制御プログラムの全体構成を示し、当該プログラムに含まれる各種管理プログラム、実行プラグラム等の関係を模式的に示している。
(3−1)プロセス管理プログラム
このプロセス管理プログラムは、マルチタスク実行プログラムにより、製品Xのマスターレシピにより規定されるメインユニット(M-CGU)(各ユニットプロシージャを構成する主ユニット)の作業開始・終了スケジュールに基づいて機器の割付とコントロールレシピを作成する作業を行う。更に、プロセス管理プログラムは、プロシージャ実行プログラムにより、作成したコントロールレシピに基づいて各ユニットプロシージャを実行すると共に、状態監視プログラムにより、ユニットプロシージャの進捗管理と異常等の監視を行う。
【0030】
尚、コントロールレシピの作成作業の詳細は後述する。また、製品Xを生成するためのマスターレシピの設定方法については詳しく説明しないが、プロセスセル管理プログラムにおいて設定され、例えば、過去に実施され、蓄積されたコントロールレシピに基づいて製品Xを基準量だけ製造するに必要なプロセス材の量、各ユニットプロシージャに必要なメインユニット、メインユニットにおける反応条件、操作開始・終了タイミング等の情報を備えている。
【0031】
マルチタスク実行プログラムは、図3から明らかなように、(a) プロセスセル管理プログラムからのデータの受け取り、(b) 装置割り当てとコントロールレシピ作成、(c) 製品それぞれのプロシージャ群の進捗管理、(d) ある製品のプロシージャの実行をプロシージャ実行プログラムへ指示、等の作業を実行する。
(a) プロセスセル管理プログラムからのデータの受け取り
ある期間内で処理すべき複数の製品に対し、各製品のマスターレシピで規定されるメインユニット(M-CGU)の作業開始・終了スケジュール等をプロセスセル管理プログラムから受け取る。
(b) 装置割り当てとコントロールレシピ作成
詳細は後述するが、この作業では以下の手順で装置割り当てとコントロールレシピの作成が行われる。
(b-1) 現在時点において、ある決められた時間(例えば、スケジュール期間)内に利用できる機器群を構成する。このとき、詳細な周辺装置の利用を含めたスケジュールが検討される。
(b-2) 上記機器群から、メインユニットに対する各オペレーションで必要な配管や輸送機器等を割り当てる。このとき、配管や輸送機器等を矛盾なく割り当てられれば、詳細な周辺装置の利用を含めたスケジュールを作成する。一方、可能解が見あたらなければ、マルチタスク実行プログラムを通してプロセスセル管理プログラムに対して、スケジュールの変更をレポートする。
(b-3) 割り当てられた装置結合に対応するコントロールレシピがコントロールレシピデータベースにあれば、それをデータベースから呼び出して、プロシージャ、ユニットオペレーション、オペレーション、フェーズのそれぞれに登録する。
【0032】
(b-4) 必要に応じ、オペレーション(m)で実行すべき緊急操作の定義が必要である。この操作も完全自動化できればよいが、安全操作及びそれに必要なライン構成を設計者が確認しながら設計者が行う。安全操作には二つの種類があり、復帰を期待する異常処理操作と停止を前提とした緊急時操作である。後者は最終の安全対策処理であり、多くの場合付加された安全設備の利用が前提となる。一方、前者は既存設備の活用を前提としており、正常時の操作端制御則を無視して、安全確保のためのパラメータ、あるいは、操作員が操作に介入する。
【0033】
トラブル発生時の処理機能を付加しておくために、下記を考慮する。
(b-4-1) トラブル発生時の処理機能
「あるユニットプロシージャを構成するオペレーションが装置的トラブルになった」とき、復帰のために時間を要するならば(通常、操作員が指示を入力)、マルチタスク実行プログラムを通してプロセスセル管理プログラムに対して、スケジュールの変更を指示するレポートを送る。
(b-4-2) 配管詰まりなどなど操作員が原因を明確に同定できる場合、(b-2)を実行する。
(c) 製品それぞれのプロシージャ群の進捗管理
特に重要なことは、ある期間の全てのプロシージャ実行計画とその進捗実体とを突き合わせ、進捗を管理すると共に異常等の監視を行う。実際には、プロシージャの進捗状況と異常等の監視は、プロセス状態監視プログラムによって実行される。
(d) ある製品の製造プロシージャの実行をプロシージャ実行プログラムへ指示
プロシージャ実行プログラムは、ある製品のプロシージャがN個のユニットプロシージャからなる場合、これらN個のユニットプロシージャの実行を管理する。マルチタスク実行プログラムは、プロシージャ実行プログラムに対しN個のユニットプロシージャからなるプロシージャの実行を指示する。
【0034】
図4は、上述したプロシージャ実行プログラム及びプロシージャ状態監視プログラムにより実行されるプログラムフローチャートを示し、簡略化のため、2つのプログラムを1つフローチャートに盛り込んで説明してある。このフローチャートのステップS1〜13において、N個のユニットプロシージャの実行管理を行っている。すなわち、ステップS1においては、プログラム変数nが、ユニットプロシージャが1つ完了する毎に1宛インクリメントされ、ステップS3において、そのプログラム変数nに対応する処理Unit Procedure-nがコントロールレシピデータベース(DB)から読み出される。なお、データベースに記憶されているコントロールレシピの設定方法の詳細については後述する。
【0035】
次に、ステップS5において、読み出した処理Unit Procedure-nの実行を指示する。そして、プロシージャ実行プログラムは、処理Unit Procedure-nからの進捗レポートが入力するまではステップS7を繰り返し実行して待機する。処理Unit Procedure-nから進捗レポート信号が入力すると、同処理Unit Procedure-nから進捗レポートを受け取る(ステップS8)。
【0036】
処理Unit Procedure-nからの進捗レポートが入力すると、プロシージャ状態監視プログラムは、処理Unit Procedure-nが正常に実行されたか否かを判別し(ステップS7)、正常に実行された場合にはログを記録(記憶)し、必要に応じて表示装置104にその状況を表示する。そして、プロシージャ状態監視プログラムは、ステップS13において全ての(N個の)ユニットプロシージャの実行が完了したか否かを判別する。未だ完了していなければ、プロシージャ実行プログラムは、前述のステップS1に戻って次のユニットプロシージャを実行する一方、全てのユニットプロシージャの実行が完了しておれば、当該プロシージャ実行・監視プログラムを終了してマルチタスク実行プログラムのプロセス状態監視プログラムを実行する。
【0037】
このように一連のユニットプロシージャが正常に完了した場合、プロセス状態監視プログラムは、図示しないプログラムを実行してマルチタスク実行プラグラムに一のプロシージャ(バッチプロセス)が完了したことを報告する。そして、マルチタスク実行プラグラムは次のバッチプロセスを実行することになる。
処理Unit Procedure-nからの進捗レポートにより、処理Unit Procedure-nの実行に異常が発見された場合(ステップS9の判別結果が「No」の場合)、プロシージャ状態監視プログラムは、異常が発生したことを表示装置104に表示させ(ステップS15)、その異常状態の度合いを判断する(ステップS17)。プラントを直ちに停止する必要がない程度の軽微な異常の場合には、現在実行している処理Unit Procedure-nを現時点での操作状態を保持し復旧処理が実行される。この処理は、例えば作業員による手動操作により適宜の処理が行われる。
【0038】
復旧処理が実行され異常状態が解消され、当該処理Unit Procedure-nの実行が完了したこと表す確認終了信号を、上述の処理Unit Procedure-nから受け取ると(ステップS19)、前述のステップS11に進み、当該処理Unit Procedure-nの実行によるログが記録され次ステップに進むことになる。
一方、ステップS17において、異常状態の度合いがプラントを直ちに停止すべき状態であると判断した場合、その判断結果は直ちに前述のプロセス状態監視プログラムを介してマルチタスク実行プラグラムに報告され、この場合には、マルチタスク実行プラグラムからプロシージャ実行プログラムに、直ちに所定の緊急操作プログラムを実行するように、指令信号が出力されることになる。
【0039】
このように、N個のユニットプロシージャは、上位階層のプロシージャ実行プログラムによって実行管理され、プロシージャ実行プログラムは、処理Unit Procedure-nからの操作完了信号が入力するまでは、各ユニットプロシージャ自身にその実行を委ねることになる。このような制御は、いわゆるインベントリ制御(Inventory Control)を行っていることになり、コントロールレシピに変更があっても、プログラムを変更すべき箇所が容易に特定でき、その変更も容易になる。
(3−2)ユニットプロシージャの実行
ある一つの主ユニットを中心にする操作は、上述したとおりユニットプロシージャと呼ばれ、図3に示すとおり、N個のユニットプロシージャが準備されている。そして、一つのユニットプロシージャは、準備操作、主操作、終了操作に対応するM個のオペレーションからなるが、一つのユニットプロシージャの実行は、M個のオペレーションの実行を意味する。そして、ユニットプロシージャにおいて、このオペレーションの実行を管理し、実行状態を監視するのがオペレーション実行・監視プログラムである。
【0040】
図5は、オペレーション実行・監視プログラムの制御手順を示しているが、その制御手順は図4に示すプロシージャ実行・監視プログラムの制御手順と類似し、階層が一つだけ低位になるだけでプロシージャ実行・監視プログラムの制御手順から容易に類推できるので詳細な説明は省略する。なお、処理Operation-mの実行状況や異常の発生はユニットプロシージャの階層にあるオペレーション状態監視プログラムによって監視され、ユニットプロシージャの階層にあるオペレーション実行プログラムや、プロセス管理プログラムの階層にあるプロシージャ状態監視プログラムに報告される。異常時には、その異常状態の度合いに応じ、プロセス管理プログラムマルチタスク実行プログラムに報告され、必要に応じ緊急操作時のコントロールレシピが実行されることになる。
(3−3)オペレーションの実行
オペレーションを構成する最も小さい操作単位が、フェーズであり、図3に示すように、一つのオペレーションに対しK個のフェーズが準備される。一つのオペレーションを実行することは、このK個のフェーズの実行を意味する。そしてフェーズの実行管理を行うのが、フェーズ実行プログラムであり、フェーズ状態を監視するのがフェーズ状態監視プログラムである。
【0041】
図6及び図7は、フェーズ実行・監視プログラムの全体フローチャートを示し、フェーズ実行プログラム及びフェーズ状態監視プログラムでそれぞれ行われるフェーズの実行及びフェーズ状態の監視の制御手順を一つのフローチャートに盛り込んで示されている。
先ず、このフローチャートのフェーズ実行機能について説明すると、ステップS41において、当該処理Operation-mに関連する全てのバルブを指定の状態に設定する。このバルブ指定状態は、後述するコントロールレシピに総て記載されている。各バルブへの駆動信号を出力した後、各バルブから、或いは操作員からの設定完了信号の入力を待つ(ステップS43)。バルブからの設定完了信号が入力すると、ステップS45に進み、バルブ設定が正常に終了したか否かを判別する。正常に終了しなかった場合にはその旨を表示装置104(図2)に表示し、点検を操作員に促し修復作業を実行させる(ステップS47)。そして、何らかの修復作業によりバルブが正常状態に設定できたことを確認し(ステップS49)、次ステップS51に進む。ステップS45においてバルブ設定が正常に終了したことが確認できれば、次ステップS51に進む。
【0042】
ステップS51では、全てのフェーズ処理Phase-k (k=1,K)がコントロールレシピデータベース(DB)から読み出される。そして、ステップS53では未起動フェーズの起動条件をチェックする。例えば、後述するOperation n,3のように複数のフェーズが1つのオペレーションに含まれており、どの複数のフェーズを同時に実行するか、どのフェーズがどのフェーズの後で実行されなければならないか、というような順序関係などそれぞれのフェーズ実行条件の関係(起動条件と呼んでいる)を管理する必要がある。後述するOperation n,3の例では、「加熱」の前には必ず「冷却」が先行するという順序関係を意味する。
【0043】
起動条件のチェックを終えると、ステップS55において起動してもよいか否かを判別し、起動させるべきフェーズについては起動させ(ステップS56)、起動条件が成立しないフェーズについてはステップS56をスキップして次ステップS57に進む。即ち、起動条件が成立しないフェーズについては、後述するように当該ステップS55,56が繰り返し実行されることから、前記起動条件が成立するまで待機することになる。一方、起動条件が成立するものについては複数のフェーズであっても一斉に起動させる。
【0044】
次いで、起動フェーズの進捗レポートを受け取る(ステップS57)。起動フェーズからの進捗レポートが入力すると、フェーズ状態監視プログラムは、起動された処理Phase-kが正常に実行されたか否かを判別し(ステップS59)、正常に実行された場合にはログを記録(記憶)し、前述のオペレーション状態監視プログラムにレポートすると共に、必要に応じて表示装置104にその状況を表示する(ステップS63)。そして、フェーズ状態監視プログラムは、ステップS65において全ての(N個の)フェーズの起動が完了したか否かを判別する。未だ完了していなければ、フェーズ実行プログラムは、前述のステップS53に戻って未起動のフェーズ処理を実行する一方、全てのフェーズ処理の実行が完了しておれば、当該フェーズ実行・監視プログラムを終了してオペレーション状態監視プログラムを実行する。すなわち、処理Operation-mにおける総てのフェーズ処理が完了したことをオペレーション状態監視プログラムにレポートすることになる。そして、オペレーション実行プラグラムは次のオペレーション処理を実行することになる(図5)。
【0045】
処理Phase-kからの進捗レポートにより、処理Phase-kの実行に異常が発見された場合(ステップS59の判別結果が「No」の場合)、フェーズ状態監視プログラムは、異常が発生したことを表示装置104に表示させ(ステップS60)、その異常状態の度合いを判断して対応する異常時操作を選択する(ステップS71)。
【0046】
オペレーションにあるフェーズ状況監視は、現在実行中のフェーズを含めたオペレーション全体の動きを監視する役割を持つ。自動診断あるいは運転員の判断により、プラントの一時停止、あるいは、停止の判断を下す。
ステップS71において、プラントを直ちに停止する必要がない程度の軽微な異常であると判断した場合には、現在実行している処理Phase-kを現時点での操作状態に保持し(一時停止)復旧処理が実行される。この処理は、例えば作業員による手動操作により適宜の処理を行うこともできる。
【0047】
復旧処理を実行して異常状態が解消し、当該処理Phase-kの実行が完了したと判断できる場合(再開可能と判断)、前述のステップS63に進み、当該処理Phase-kの実行によるログが記録され次ステップに進むことになる。
一方、ステップS71において、異常状態の度合いがプラントを直ちに停止すべき状態であると判断した場合、或いは、前述のステップS73において復旧処理にも拘わらず再開不可能と判断されて当該バッチプロセスの続行を断念しなければならない場合、その判断結果は直ちに前述のフェーズ状態監視プログラムを介してオペレーション状態監視プラグラムに報告されると共に(ステップS75)、この場合には、フェーズ状態監視プログラムから直ちに所定の緊急操作プログラムを実行するように、後述する処理Emergency Operation-pがコントロールレシピから読み出され、同処理Emergency Operation-pが実行されることになる。
(3−4)フェーズの実行
フェーズの実行は、当該フェーズで操作すべき総ての操作端操作の実行を意味する。各操作端(制御バルブやポンプ等)の操作は、操作端操作プログラムによって実行される。
【0048】
図8及び図9は、操作端操作プログラムによる操作端の操作手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS81において全て操作端の制御データ、例えば、バルブの制御ループ(PDI制御等)、設定値(流量に対応するバルブ開度等)、パラメータ(ゲイン等)の各値がコントロールレシピデータベース(DB)から読み出される。なお、データベースに記憶されている操作端の制御データの設定方法についての詳細は後述する。
【0049】
次いで、ステップS83においてプログラム変数jが、操作端の操作が1つ完了する毎に1宛インクリメントされ、そのプログラム変数jに対応する操作端及びこの操作端の作動を監視するセンサにデータ設定と共に作動指令を行う(ステップS85)。そして、操作端へのデータ設定に対しては、その設定が正常に行われたか否かを確認するために、確認信号の入力を待ち(ステップS87)、確認信号の入力によってデータの設定が正常に行われたか否が判定される(ステップS89)。
【0050】
フェーズにおける状況監視は、このフェーズに直接関わるバルブの開度と流量が正しい関係にあるか、オン/オフバルブであれば正しい動作をしているか、等を確認する役割である。この状況監視は、各フェーズにおける操作端状態監視プログラム(図3参照)によって行われ、操作端及びセンサからの応答信号チェックと計測値チェックが行われる。そのような監視は下記のようにして行われる。
【0051】
ステップS89において、操作端のデータの設定が正常に行われていないと判断された場合には、その旨を表示装置104(図2)に表示し(ステップS91)、点検を操作員に促し修復作業を実行させる。そして、何らかの修復作業によりバルブが正常状態に設定できたことを確認し(ステップS93)、次ステップS95に進む。ステップS89においてデータの設定が正常に行われたことが確認できれば、次ステップS95に進む。
【0052】
ステップS95では、操作端及びセンサに対して操作を行った結果である状況信号、センサ信号の入力を待ち、そのような信号が入力すると、前述したフェーズ状態監視プログラム(図3参照)に対し、操作端での状況データをレポートする(ステップS97)。
次いでステップS99に進み、操作端及びセンサからの信号に基づいて局地的異常を検知したか否かを判断する。異常がなければ当該フェーズを継続しても良いかを判断したあと(ステップS105)、総ての操作端の操作が完了したか否かを判別する(ステップS107)。プログラム変数jが総ての操作端の数Jと等しくなければ、ステップS83に戻り次の操作端の操作を繰り返す。一方、変数jが値Jと同じ値であり、総ての操作端の操作が完了した場合には、その旨フェーズ状態監視プログラムにレポートして、当該プログラムを終了する。
【0053】
前述のステップS99において、操作中の操作端の異常が検出された場合には、その旨表示装置104(図2)に表示して操作員に警告を発する(ステップS101)。警告表示を見た操作員は適宜の処置を行って操作端の状態を修正し、修正した操作端の状態を判断結果として入力する(ステップS103)。そして、その判断結果に基づいてプラント操作を継続してもよいか、一旦停止すべきか、或いはプラントを停止すべきかを判断する(ステップS105)。プラント操作を継続してもよい場合には、前述したステップS107に進み、当該操作端の制御を継続させるが、プラント操作を一時停止或いは停止させなければならない場合には、その旨フェーズ状態監視プログラムにレポートして、当該監視プログラムに異常時緊急操作プログラム等を実行させる。
(3−5)異常時操作の実行
プラントの異常時には、上述した緊急操作プログラムが実行される。このプログラムは、あるフェーズの実行中にトラブルが起こったときの処理を指令し実行するものである。基本的な考え方は、次の通りである。
【0054】
フェーズにおける状況監視は、前述したとおり、このフェーズに直接関わるバルブの開度と流量が正しい関係にあるか、オン/オフバルブであれば正しい動作をしているか、等を確認する役割である。一方、オペレーションにある状況監視は、現在実行中のフェーズを含めたオペレーション全体の動きを監視する役割を持つ。自動診断あるいは運転員の判断により、一時停止、あるいは、停止の判断を下す。もし、オペレーションにある状況監視が停止の判断を下せば、この異常操作実行プログラムがスタートする。実際のアクションは、緊急操作が働くプラント領域を特定した後、ここでいうプラットフォームで緊急操作を働かせるか(但し、プラットフォームとはDCSのことであり、ここにソフトで組み込まれた緊急操作は国際的に認知されておらず、別系統に実現することが要求されている)、全く別のシステムで緊急操作を働かせることも可能である。
【0055】
この緊急操作は、実行中の処理Operation-m により選択が異なることから(例えば、オペレーションによっては、処理Phase-kを含めるべきかの判断が必要な場合がある)、処理Operation-mに、実行すべき緊急操作の定義を組み込んでおく必要がある。この定義は後述するとおり、予め、コントロールレシピを作るときになされ、かつ、ライン構成が可能であることを確認しておかなければならない。
【0056】
各処理Phase-kに対応して緊急操作を実行する場合、オペレーションのプラットフォームにある状況監視プログラムは、危険な状況に陥らないように、フェーズを管理しなければならない。したがって、緊急操作実行プログラムを起動させるとき、このプログラムは、現状のバルブ設定状況を緊急操作実行プログラムに伝える。そこで、例えば、加熱のため「処理Phase-kで操作したバルブを閉じる」にするとか、充填のため「処理Phase-kで操作したバルブを閉じる」にするなどの処置と、緊急操作に必要な機器と結合ラインを構成しておき、結合点にあるバルブを「開」にする処置とを併用すると良い。
【0057】
図10は、処理Phase-kにおいて異常が検出されて、ユニットプロシージャからSIS(safety Interlock System)操作指令を受けた場合に実行される緊急操作実行プログラムのフローチャートを例示する。先ず、緊急操作に必要な機器の結合ラインを構成しておき、結合点にあるバルブを「ON」にする(ステップS111)。例えば、図1に示す抑止剤タンクとM-CGU-R&Dとの結合ラインを構成し、結合点にあるバルブCV110を「開」にする。
【0058】
次いで、現処理Phase-kのバルブ指定状態を認識し、この範囲で、各バルブのバルブ指定状態を安全な方向にプロセス状態が向かうように設定値を変更する(ステップS113)。より具体的には、そのような変更を表示装置104に表示し(ステップS113a)、各バルブに変更したバルブ指定状態を与える(ステップS113b)。そして、バルブ指定状態の変更は、オペレーションのフェーズ状態監視プログラムにレポートし(ステップS117)、ステップS117に進む。
【0059】
ステップS117では、プログラム変数q(q=1,Q)に従って処理E-Phase-qを実行する(SIS: Safety Interlock Systemの操作起動)。そして、各処理E-Phase-qが完了するまで(ステップS119においてq=Qが成立するまで)、繰り返しステップS117及びS119を実行する。
以上のように、本発明のプラント制御プログラムは、階層的な制御レーヤー構造を特徴としており、各層の状況監視によりフェーズ、オペレーション、ユニットプロシージャを順次実行することが実現できる。そして、詳細は後述するように、上記制御レーヤー構造は、本発明に依る、CGU概念を基本にした「コントロールレシピの作成」と「レシピ実行管理」によって実現される。
【0060】
このように階層制御を行うと以下のような効果を奏する。
まず、各階層のタスクが決まっているので「どの階層からの命令が出てくるか」、「どのプラント領域、操作端に対する操作端なのか」の情報がわかることから、命令の意味が操作設計者や操作員に極めて容易に理解される。特に、制御機能として、ユニットプロシージャ、オペレーションでは、実行領域の規定操作を行っており、フェーズはその領域内、あるいは、その領域に直接関係するユーティリティの操作命令となっている。
【0061】
また、下位で起こった「異常状態」を吸収するための仕組み(復帰処理やスケジュール変更などにより)を上位が受け持つことができるために、柔軟性の高いオペレーションが約束される。また、その実行においても、理由を容易に明示することができる。つまり、プラント構成要素の故障があっても、直ちに、輸送経路を変更することにより対応できるように、現状の操作状態、装置の状態に応じるように、制御レーヤーが対応できる。
【0062】
さらに、対象システムの全体の挙動が「希望値」として最初に登録されている(スケジュールとしての各操作の実行タイミング、シミュレーションあるいは今までの実行値から得ている挙動パターン)から、現在の実行値と比較をしながら監視が可能となる。例えば、プロシージャとユニットプロシージャで、スケジュールの進捗状況が最初の予定と比較することができるから、スケジュールの見直し要請も簡単に指示できる。
【0063】
更にまた、現状のオペレーションから次のオペレーションに移るときに、領域を仕切るバルブパターンを比較し、異なる部分だけを操作することも可能である。これはバルブ開閉頻度を減らす効果がある。
(4)コントロールレシピの作成
従来のコントロールレシピは、正常時操作しかサポートされておらず、オペレーションおよびフェーズレベルで要求される機能を発現できる可能な領域を予め全て決めておき、設計者がSFC(Sequential Function Chart)等の手法に従って適宜決めている。また、異常時の対応操作はその都度SFCに加えられている。本発明ではマルチタスク実行プログラムにより正常時操作のみならず異常時操作のコントロールレシピが容易に設定できるものである。
【0064】
以下に、前述したマルチタスク実行プログラムにより、コントロールレシピを作成する手順について説明する。
コントロールレシピを作成する主な前提条件としては、次のようなものがある。
i) マスターレシピが持つ情報は、プロセスセル管理プログラムで設定されるが、その情報はあらかじめ設定されているものとして扱う。また、プロシージャ開始時間、ユニットプロシージャ開始時間が短期スケジュールとして与えられているものとする。
ii) プロシージャを構成する各ユニットプロシージャにおいて、それぞれのユニットプロシージャを実行する主装置(M-CGU)は、マスターレシピの一情報として割り当てられているものとする。しかしながら、各ユニットプロシージャで使用する充填/抜き出しライン、ユーティリティライン、安全設備など必要な全ての機器が割り当てられたわけではない。
iii) プラント構成要素(機器類)の結合関係、および、要素の特性を表現したプラント構造データはデータベースとして与えられている。
iv) 現象の挙動モデル、あるいは、特定の装置、操作条件やプロセス条件で得られたプロセス挙動データ(経験値)がコントロールレシピデータベースとして与えられている。
【0065】
製品Xを所望の量だけ反応Yによって生成するバッチの全てのユニットプロシージャは、表1に示すようにスケジュールされている。表1には、各ユニットプロシージャ(一部を例示)の名称、使用するプラント構成要素(主装置)及び設定値が示されている。
【0066】
【表1】
Figure 0004574777
【0067】
この表1で与えられる情報段階では、オペレーションやフェーズの実行場所や詳細な操作情報は決まっていない。例えば、表1の処理Unit Procedure n; Operation n,1;「仕込みA:タンクAからM-CGU-R&Dへ」とあるが、プロセス材Aが供給される「始点」と「終点」が与えられているだけであり、ルートが決まっているわけではない。したがって、これらの操作を実行するプラント構成要素を割り付け、ユーティリティの割り付け、コントロールの詳細、安全関係のプラント構成要素の割り付けとそれらの条件を決めれば、コントロールレシピが完成する。ただし、ここでは、階層的な「制御レーヤー(Control Layer)」を考えていることから、各層の状況監視手順(Supervisory)を設計する必要がある。
【0068】
本発明に依れば、一般的に、あるプロシージャの、あるユニットプロシージャについて説明すると、下記の手順(図11参照)でコントロールレシピを発生させる。
(4-1) 正常時操作に必要な利用機器を決定する。
(4-2) バルブの役割を定義するために各バルブの分類を行う。
(4-3) ユーティリティ利用や輸送機器等などに関する追加機能を整理する。
(4-4) 制御系の詳細設計を行う。
(4-5) フェーズ操作詳細設計をおこなう。
(4-6) 異常時操作時に必要な利用機器を決定する。
(4-7) 監視機能(Supervisory)を構成する。
【0069】
上記手順に沿って以下にコントロールレシピ発生手順をより詳しく説明する。なお、コントロールレシピの階層性(ユニットプロシージャ、オペレーション、フェーズのレシピ)を同時に考慮しながら、各階層のレシピを作成する。また、例として、表1の処理Unit Procedure n ; Operation n,1から処理Unit Procedure n+1 ; Operation n+1,2を中心に説明することにし、他はこれらの説明から容易に類推できるので詳しい説明は省略することにする。
(4−1)正常時操作に必要な利用機器の決定
必要なデータ、情報は、プラント構造情報とマスターレシピ(使用する主装置等が与えられている)、および、短期スケジュール(ユニットプロシージャのスケジュール)である。利用機器がコンピュータ100によってどの様な手順で決定されるかを、下記のユニットプロシージャ、オペレーションを例に説明する。
[処理 Unit Procedure n ]
[処理 Operation n,1:仕込みA];タンクAからM-CGU-R&Dへ
(a) タンクAからM-CGU-R&Dまでの経路を探索
記憶装置110には、プラント構造情報としてCGU単位の位置情報や結合情報がプロセス設備データベース(図3)に記憶されているので、コンピュータ100は、プラント構造情報にあるCGUの結合関係から、タンクAからM-CGU-R&Dまでの経路を探索すると、必要とするCGU(経路)を容易に選択することが出来る。そして、タンクAからM-CGU-R&Dまでの経路が複数選択することが出来た場合には、どの経路を選ぶかは、設計者のプログラム設計方針による。例えば、CGUの使用頻度を平滑化したいのであれば、過去のCGUの使用経歴を記憶しておき、記録されているCGUの使用頻度を基に決めればよい。また、最短経路を辿る経路を採用するならば、プラント構造情報からパイプ長さを計算すればよい。
【0070】
上述のようにして選択されたCGUの例を以下に示す。
(例) タンクA(E-CGU-1(E-CGU-3( M-CGU-R&D
これらのCGU間には、CGUの定義からも明らかなように、必ずバルブが介在している(図1参照)。CGU単位でプラント構成要素をコンピュータに記憶せると、上述の手法により機器の選定が極めて容易になる利点がある。
(b) 輸送機器の確認
次に、コンピュータ100は、選択した経路に輸送機器があることを確認する。もしなければ、その経路は採択せず、別の経路の選択を行う。
(例) E-CGU-1はポンプ13を含む。
(c) 付帯設備の検討
上記の機器以外でE-CGU、あるいは、M-CGUに含まれて直接操作にかかわる付帯設備を抜き出す。この例では、M-CGUに含まれる攪拌機が対応する。このとき対象とするE-CGU、あるいは、M-CGUにある付帯設備を常に使うとは限らない。マスターレシピに記述されているかどうかで、自動的に付帯設備の利用を決めることができる。なお、ここで追加機能として、新たに加えることも可能であるが、マスターレシピと異なるために、一般には望ましくない。マスターレシピに記載されない追加機能は、通常後述する手順「(4-3)追加機能の検討」で検討される。
【0071】
【表2】
Figure 0004574777
【0072】
(d) ベントラインの探索
仕込み作業には必ず「空気抜きライン」を探索する必要がある。従って、コンピュータ100には、オペレーションが「仕込み」の場合には、「空気抜きライン」の探索を行わせことにしてある。この作業は、例えば、M-CGU-R&Dを基点として「ベントラインとの結合点」と結合関係にある「空気抜きライン」を探索する。機能追加のための操作は、フェーズ一つとして登録する。
(例) M-CGU-R&D(E-CGU-4
【0073】
【表3】
Figure 0004574777
【0074】
[処理 Operation n,2:仕込みB];タンクBからM-CGU-R&Dへ
(a) タンクBを探し、M-CGU-R&Dまでの経路を探索する。
コンピュータ100は、仕込みAと同様にしてタンクBからM-CGU-R&Dまでの経路を探索する。この場合、例えば下記の2つの経路が候補に上がったとする。
(例)タンクB(E-CGU-2(E-CGU-3( M-CGU-R&D
タンクB(E-CGU-2(E-CGU-5( M-CGU-R&D
(b) この経路に輸送機器があることを確認する。
(例)両者ともPumpを含むE-CGU-2がある。
ここで、どちらの経路を選ぶかは、上述した設計者のプログラム設計方針により、ここでは仮に、タンクB(E-CGU-2(E-CGU-3( M-CGU-R&Dを選ぶことにする。
(c) 攪拌機を探し、あれば、表に登録する。
【0075】
M-CGU-R&Dに攪拌機が存在する。
(d) ベントラインの探索
仕込みAの場合と同様にして、M-CGU-R&Dを基点として「ベントラインとの結合点」と結合関係にある「空気抜きライン」を探索する。機能追加のための操作は、フェーズ一つとして登録する。
【0076】
【表4】
Figure 0004574777
【0077】
[処理 Operation n,3:反応] ;M-CGU-R&Dにおいて
M-CGU-R&Dの反応器Rにおいて、反応Yは、適宜温度、圧力、雰囲気の条件下で行われる。圧力制御は、反応器Rに送り込む窒素ガス(N2 )ラインを使って行うか、凝縮器CDの熱交換器に供給する冷却水を使って行うかのどちらかである。この選択は、M-CGU-R&Dに含まれる液組成の蒸気圧を温度TR で計算して所定の圧力以上であれば凝縮器で、低ければ窒素ガスラインを用いて昇圧する。計算して、仮に、後者(冷却水に依る方法)の方法を採択すべきと判断したとする。
【0078】
温度制御の場合、反応を常温T0より高い温度(TR>T0)で行わせる必要があるとき、少なくとも加熱源が必要である。しかし、発熱反応であれば、通常加熱から冷却の切り替えが必要である。この検討は、後述する(4-4)で行うので、ここでは加熱源だけが登録される。
ユーティリティを用いる部分については、それぞれがフェーズの一つを構成する。
【0079】
【表5】
Figure 0004574777
【0080】
[処理 Unit Procedure n+1 ]
[処理 Operation n+1,1:蒸留] ; M-CGU-R&D & E-CGU-4
基本的に処理Unit Procedure nと同様の手順を踏む。このオペレーションは、バッチ蒸留設備が必要であり、冷却機能と加熱機能を有する設備が必要である。
【0081】
【表6】
Figure 0004574777
【0082】
[処理 Operation n+1,2:抜き出し] ;M-CGU-R&D からタンクX
窒素ガス(N2 )圧力による生成物Xの排出、移送が目的である。これもフェーズの一つでる。
【0083】
【表7】
Figure 0004574777
【0084】
(4−2)各バルブの詳細な役割分類
この分類作業に必要なデータは、プラント構造情報であり、記憶装置110に記憶されているプロセス設備データベース(図3)から利用可能である。上記(4-1) では、領域を仕切るバルブ(例えば、処理 Operation n,1 ; 仕切弁V19),及び利用隣接領域と結合関係にあるバルブ(例えば、処理 Operation n,1 ; コントロール弁CV10、仕切弁V18)の2種類に分類していたが、さらに、バルブを表8にあるように4つの役割に分類する。
【0085】
【表8】
Figure 0004574777
【0086】
コンピュータ100は、各オペレーションで使用するバルブを表8に基づいて分類する。
[処理 Operation n,1 ]
(a) 「利用隣接領域と結合関係にあるバルブ」の中で、共通のタグを持ち、コントロールバルブの特性をもつバルブをMain-Vとして登録する。
(b) 「領域を仕切るバルブ」の中で、安全設備と結合関係にあるパイプに結合されているバルブをEmr-Vとして登録する。
【0087】
なお、Main-VとCon-Vとの区別は、使用すべきバルブの機能の違い(コントロールバルブか、オン/オフバルブ)で行うのが一般的であるが、少量の物質の流れを制御する場合、コントロールバルブの代わりにオン/オフバルブで代用することも多い。この場合には資源を入れたタンクに最も近いバルブをMain-Vとすることが多い。
【0088】
【表9】
Figure 0004574777
【0089】
(注)CV50が、「利用隣接領域と結合関係にあるバルブ」にもかかわらず、「領域を仕切るバルブ」と分類されるのは,空気抜きラインを作っているにもかかわらず「液が流れるライン」にあるバルブであるという理由による。
[処理 Operation n,2 ]
同様の処理を行うと表10が得られる。
【0090】
【表10】
Figure 0004574777
【0091】
[処理 Operation n,3 ]
同様の処理を行うと表11が得られる。
【0092】
【表11】
Figure 0004574777
【0093】
[処理 Operation n+1,1 ]
同様の処理を行うと表12が得られる。
【0094】
【表12】
Figure 0004574777
【0095】
[処理 Operation n+1,2 ]
同様の処理を行うと表13が得られる。
【0096】
【表13】
Figure 0004574777
【0097】
得られた結果 (表9−13)をまとめると表14 が得られる。ここで、一つのオペレーションが実行されるE-CGUとM-CGUを一つにまとめ、重複するバルブ名を一つに整理する。ただし、E-CGU間、あるいはE-CGUとM-CGUの間にMain-Vがあるときは、それを強調するためにそのまま残している。たとえば、CV20、V19、V18、V23はそれぞれ2回現れるから、一つに纏める。
【0098】
【表14】
Figure 0004574777
【0099】
(4−3)追加機能の検討
次に、フェーズレベルの操作に必要な追加機能を加える。この作業には、例えば以下のものが例示できる。
(a) 輸送機器の準備や攪拌機利用のための機能を追加する。
(b) 制御バルブ(オン/オフバルブを含む)の操作端操作をフェーズレベルに記述するために、E-CGUにMain-Vが直接結合関係にあるとき、Main-Vを操作するためのフェーズを用意する。
【0100】
フェーズ操作は、ルールとして次の順序で行うことにしておく。
(i) オペレーション操作環境のセットアップ
(これには、例えば空気抜きパイプライン、ポンプや攪拌機などの機器の準備が含まれる。ただし、ポンプや攪拌機などの機器について対象流体が所定量あることを確認することが必要である。これは詳細設計のところで説明する。)
(ii)ユーティリティの利用
(複数のユーティリティの利用がある場合、安全サイドに考慮して優先順位が決定される。例えば、冷却と加熱操作では、通常冷却操作が先行する。)
(iii)Main-Vの利用
の順番で行う。これらを全て集計した結果が、表15である。
【0101】
【表15】
Figure 0004574777
【0102】
(4−4)制御系の詳細設計
次に、コンピュータ100は、Main-Vを含む制御系の詳細設計を行う。設計対象となるフェーズは、表1の、設定点に与えられている条件と表15と組み合わせることによって特定され、結果は表16に示される通りである。この設計は、基本的には従来の設計方法と同じである。なお、コンピュータ100の設計支援システムがシミュレータとリンクできるようになれば、構造体の表現、プロセス流体の表現、プロセス状態の規定が与えられていることから、極めて簡単に制御系詳細設計が可能になる。
【0103】
【表16】
Figure 0004574777
【0104】
表16に示す制御方式(a) 〜(k)につき、更に説明をすると下記の通りである。
[処理 Operation n,1] 制御方式(a)
制御方式(a)は、CV10と流量計(図に記載せず) とによって、流量FA kg/min、仕込量WAとなるように流量制御Fc が実行される。このとき、バルブCV10は、例えばPDI制御によって制御される。上記のような制御を記号表記的に下記のように記載する。
流量制御:Fc : CV10と流量計(図に記載せず) 制御パラメータFc : CV10(KP、KI、KD
下記のオペレーションについても同様に表記できる。
[処理 Operation n,2] 制御方式(b)
流量制御:Fc : CV20と流量計(図に記載せず) 制御パラメータFc : CV20(KP、KI、KD
[処理 Operation n,3] 制御方式(c)
圧力制御:Pc :CV54と圧力計(図に記載せず) 制御パラメータPc :CV54(KP、KI、KD
[処理 Operation n,3] 制御方式(d) (e)
制御方式(d) (e)は、温度制御である。この制御は、TR(t)が決められているので、ユーティリティ(スチーム、冷却水)の供給パターンを求める。この温度制御方法のためのコントロールレシピを決定するには、2つの方法がある。
【0105】
(i) 経験値を用いる。
(ii) シミュレーションにより求める。
ここでは、例えば、(ii)の方法を考えることにする。なお、このオペレーションにおいて反応を実施するプラント設備は、図12に示すCGUである。また、ここで求めるコントロールレシピは、既に供給されたプロセス材A [WA kg]とプロセス材B[WB kg]があり、圧力PR [Pascal]のもとに温度スケジュールTR (t)を実現するスチーム流量パターンを求める問題となる。ただし、反応熱によって過熱となる場合には、操作の途中で加熱から冷却に切り換えなければならず、そのような場合には、CV91を閉にしてスチームを止め、CV92を開にして冷却水ラインを作り、CV94を用いて残りの温度スケジュールTR (t)に一致するように流量パターンを求める。その結果を、図13に示す。つまり、最初は加熱操作(d)であり、そのあと冷却操作(e)に切り替わる。したがって、フェーズ操作が一つ増えることになる(表16)。ただし、加熱操作(d)と冷却操作(e)は順番の決まった一連の操作である。このバルブパターンを記憶装置110(PLC:Programmable Logic Control)にいれれば、制御系設計が終わることになる。
[処理 Operation n,3] 制御方式(d)
温度制御:Tc :CV91と温度計(図に記載せず) 制御パラメータTc :CV91(PLC)
[処理 Operation n,3] 制御方式(e)
温度制御:Tc :CV94と温度計(図に記載せず) 制御パラメータTc :CV94(PLC)
[処理 Operation n+1,1] 制御方式(f)
圧力制御:Pc :CV54と圧力計(図に記載せず) 制御パラメータPc :CV54(KP、KI、KD
[処理 Operation n+1,1] 制御方式(g)
圧力制御:Pc :CV91と圧力計(図に記載せず) 制御パラメータPc :CV91(KP、KI、KD
[処理 Operation n+1,1] 制御方式(h)
流量制御:Fc : CV50と流量計(図に記載せず) 制御パラメータFc : CV50(KP、KI、KD
[処理 Operation n+1,1] 制御方式(i)
流量制御:Fc : CV52と流量計(図に記載せず) 制御パラメータFc : CV52(KP、KI、KD
[処理 Operation n+1,2] 制御方式(j)
圧力制御:Pc :CV41と圧力計(図に記載せず) 制御パラメータPc :CV41(KP、KI、KD
[処理 Operation n+1,2] 制御方式(k)
流量制御:Fc : CV60と流量計(図に記載せず) 制御パラメータFc : CV60(KP、KI、KD
(4−5)フェーズの起動/終了のためのオペレーション詳細設計
オペレーションのフェーズ実行プログラムから指令を受けて、フェーズでの操作が開始されるが、フェーズで利用する利用領域はオペレーションで規定される。ここで、今まで設計したフェーズに順序番号を付ける。機能付加に関わるフェーズにおいても、つぎのような操作が含まれる。
(1) 開始条件(開始のタイミング規定)
(2) バルブ設定
(3) フェーズの操作((4-4)までで設計した操作をさす)
(4) バルブ設定解除
(5) 終了条件
上記のフェーズ操作に対して、更に下記のような操作の詳細を検討しなければならない場合がある。
(a) 輸送機器の準備に特に設備が必要な場合。
(b) ユーティリティを操作するMain-Vがあり、かつ、バルブ設定が必要な場合。
【0106】
上記「(3) フェーズの操作」に詳細操作の検討が必要な場合は、準備操作のためのフェーズが必要になる。上記(1),(2),(4)の場合は、そのフェーズを管理するための条件設定が必要になり、それらのフェーズが属するオペレーションのフェーズ実行プログラムに管理が委ねられる。
より具体的に、各オペレーションのそれぞれのフェーズにつき上記検討を行うと下記の通りである。
[処理 Operation n,1]
処理Phase n,1,1:
このフェーズ操作は、E-CGU-1のポンプ13の起動操作及びその終了操作に関するものであるが、このフェーズ操作には、上記(a)の検討が必要である。
(1) 開始条件(オペレーションの実行プログラムで管理され指令される:起動信号受信)
(2) バルブセッティング(タンクAからポンプ循環系の配管の確立が必要である:タンクA(V11(ポンプ13(V12)
(3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操作を実行:制御方式(a))
(4) バルブセッティング解除((2)に入る直前の状態に戻す)
(5) 終了条件(Phase n,1,3の終了と共に終了する)
処理Phase n,1,2:
このフェーズは上記検討(a)(b)に該当しない。
処理Phase n,2,1:
このフェーズは上記検討(a)に該当する。処理Phase n,1,1と同様に設定できる。
(1) 開始条件(オペレーションの実行プログラムで管理され指令される)
(2) バルブセッティング(タンクBからポンプ循環系の配管:タンクB(V21(ポンプ14(V22)
(3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操作を実行:制御方式(b))
(4) バルブセッティング解除((2)に入る直前の状態に戻す)
(5) 終了条件
処理Phase n,2,2:
このフェーズは上記検討(a)(b)に該当しない。
処理Phase n,3,1:
このフェーズは上記検討(a)(b)に該当しない。
処理Phase n,3,2:
このフェーズは上記検討(a)(b)に該当しない。
処理Phase n,3,3-1:
このフェーズは上記検討(b)に該当する。
(1) 開始条件(開始のタイミングは規定され、オペレーションの実行プログラムで管理される起動信号受信及び、処理Phase n,3,1による攪拌機が起動しており、且つ処理Phase n,3,2による冷却源のバルブCV-54が起動していること)
(2) バルブセッティング(表17のCon-V項とIso-V項参照)
(3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操作を実行:制御方式(d))
(4) バルブセッティング解除
(5) 終了条件(制御方式(d)のプログラム終了)
処理Phase n,3,3-2:
このフェーズは上記検討(b)に該当する。
(1) 開始条件(開始のタイミングは規定され、処理Phase n,3,3-1終了)
(2) バルブセッティング(表17のCon-V項とIso-V項参照)
(3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操作を実行:制御方式(e))
(4) バルブセッティング解除
(5) 終了条件(制御方式(e)のプログラム終了)
処理Phase n+1,1,1:
このフェーズは上記検討(a)に該当する。処理Phase n,1,1や処理Phase n,2,1と同様な処理を行えばよく、詳細配管が図1に表されていないのでここでは詳細な説明を省略する。
処理Phase n+1,1,3:
このフェーズは上記検討(b)に該当する。
(1) 開始条件(開始のタイミングは規定され、オペレーションの実行プログラムで管理される起動信号受信及び、処理Phase n+1,1,2による冷却源のバルブCV54が起動していること)
(2) バルブセッティング(表17のCon-V項とIso-V項参照)
(3) フェーズの操作((4-4)までで設計したフェーズ操作を実行:制御方式(g))
(4) バルブセッティング解除
(5) 終了条件(所定抽出量に到達)
このようにしてフェーズのタイミング設計が行われ、以上をまとめると表17乃至表19が得られる。
【0107】
【表17】
Figure 0004574777
【0108】
【表18】
Figure 0004574777
【0109】
【表19】
Figure 0004574777
【0110】
(4−6)異常時操作の設計
コントロールレシピは、安全性評価を実施しながら設計することが必要であり、通常、下記を各層の操作に組み込んでおくのがよい。
(i)状態監視
(ii)正常時の状態変化と現状値の「ズレ」による異常度の判断
(iii)適切な操作の選択
(iv)操作端(オペレーション)への指示
異常時操作設計では、これらの一連の検討を経て得られた結論を操作管理システム(例えば、分散型制御システム(DCS))に入力する。例えば、異常時操作設計では、ある一つの異常事象が起こっても程度の差により、「操作の選択」を行うのが一般的である。一般に、選択される操作の領域は次の2つから成り立っている。
・復帰見込みのある初期段階:既存設備を利用する場合
・復帰見込みのない段階:安全設備として装備されているものを利用する場合
ここでは、上述のいずれか一つを選択した場合の異常時操作をオペレーションに表現する方法についてのべる。また、後述する監視機能設計において(ii)異常度の判断について説明する。
【0111】
プラント状態が復帰見込みのない段階に進み、安全設備を利用する場合、その場合のコントロールレシピの作成は、基本的に設備構成要素の結合関係を基にした方法(既に説明した方法)と代わりはない。ただし、結合関係だけを基にしているとレシピの設定が冗長或いは無駄になる場合がある。例えば、安全設備との結合関係から、単純に安全設備との結合バルブが定義されていると、反応停止剤の投入により実際に反応停止が起こるオペレーションにその設備が利用されることもあれば、反応が起こる可能性が全くないオペレーションでもその安全設備が利用されてしまう可能性があることが考えられる。安全性評価に基づいて、このような冗長性を取り除く必要がある。
【0112】
表19及び表20には、異常時操作の追加が示されるが、表18と比較すると明らかなように、Emr-V項に*印で示す通り、上述した冗長性を取り除くためにCV110が削除されている。
【0113】
【表20】
Figure 0004574777
【0114】
【表21】
Figure 0004574777
【0115】
プラント異常に復帰の見込みがある初期段階において、既存設備を利用して復帰が図られる場合、何処のプラント位置でそのような復帰を図ることができるかの判断は、安全性評価により特定される。安全性評価により得られた結論を入力する。
例えば、[処理 Operation n,3 ; 反応]においてプラント異常時が発見されたとき、異常箇所が復旧するまでは、反応器Rを冷却して生成反応を抑制させるフェーズを挿入することができる(表20参照)。この場合、異常時操作のバルブセッティングとしては、CV91を閉じてCV92を開き、CV94に対して下記の操作が行われる。
[処理 Operation n,3 ]
流量制御:Fc : CV94と流量計(図に記載せず) 制御パラメータFc : CV94(KP、KI、KD
(4−7)実行機能、監視機能(スーパービジョン)の設計
説明の都合によって、これらの実行機能及び監視機能の概略については図3乃至図10を参照して既に説明した。ここでは、実行機能及び監視機能の設計時に検討される、上位と下位の階層的制御レーヤーの関係等について説明する。
(4−7−1)実行管理機能
この機能は、以下の各操作レベルにある管理の一つであり、実行管理の内容は、下位の実行プログラムの順序管理である。また、監視機能部から異常のレポートが送られたとき、一旦ホールドし、オペレータに報告し、次の指示を待つ。
(i)プロシージャの実行管理機能
前述したユニットプロシージャ実行プログラムが実行管理部分の機能を有しており、以下の管理を行っている。
【0116】
【表22】
Figure 0004574777
【0117】
(ii)ユニットオペレーションの実行管理機能
前述したオペレーション実行プログラムが実行管理部分の機能を有しており、以下の管理を行っている。
【0118】
【表23】
Figure 0004574777
【0119】
(iii)オペレーションの実行管理機能
前述したフェーズ実行プログラムが実行管理部分の機能を有しており、以下の管理を行っている。
【0120】
【表24】
Figure 0004574777
【0121】
(iv)フェーズの実行管理機能
前述した操作端操作プログラムが実行管理部分の機能を有しており、以下の管理を行っている。
【0122】
【表25】
Figure 0004574777
【0123】
なお、上述の各実行管理部分は、後述する監視機能部から異常のレポートが送られたとき、一旦現在行われている操作をホールドする。そして、監視機能部からの指示に従って、下位に対してはホールド維持、中止/停止、ホールド解除の指示を出す。この指示は上位にレポートされる。そして、ホールド解除の場合には下位に対して該当操作を開始するようにしている。
(4−7−2)監視機能
監視機能(Surveillance)は各階層毎に設けられる。各階層にある監視機能は、下位からのレポート、状態信号に基づき下位レーヤーの状態が健全に推移しているか否かを判断して、異常があれば、上位及び当該レーヤーの実行管理部にその旨のレポートを送る。監視機能の内容は前述の表25に示すとおりである。
【0124】
通常、オペレータはオペレーションのレベルを中心に監視を続けることから、これより上位はこのレベルの判断を支援するような情報提供を実施することもできる。例えば、次のような支援が考えられる。
(1) 余裕時間などの情報を上位から与えること、
(2) 現在のプロセス状態の把握しやすい環境をあたえること
上位のユニットオペレーションの実行管理部から起動がかかると、対応するオペレーションの状態推移パターン(リアルタイムで計測可能な変数で表現されている)をメモリから呼び出す。この値とセンサからの値を比較する。あるいは、バルブ開度のパターンであれば、CVからの値を比較する。差が許容範囲にあるときには「正常」を、範囲を出たときには「域外」、大きく逸脱したときには「異常」のメッセージをオペレータに出す。ここで予想されている状態推移パターンは、今までの実行値、あるいは、シミュレーションにより得られるパターンである。
【0125】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に依れば、CGUの技術的思想に基づいて、バッチプロセスコントロールの階層性とプラントトポロジー(プラント構成要素の結合関係)をSTEP(ISO10303)の表現形式により対応付けることができるので、プラント内の操作対象領域、操作点の定義が完備される。これによりコントロールレシピの作成の過程を定型化することができ、同レシピの作成負荷が軽減され、コントロールレシピ作成が可能な限りにおいて自動化することができる。また、作成したコントロールレシピの維持管理が容易であるから、データベース化することが容易であり、蓄積したデータを基にコントロールレシピ作成自動化を更に向上させることができ、作成時のエラー低減も可能になる。
【0126】
更に、コントロールレシピ作成に利用されたデザインラショナール(設計論理)をリアルタイム操作や操作分析に利用できるため設計と操作、分析の意識統合が可能になる。又、ユーティリティ設備レベルまでの詳細なフェーズの割付を行うことから、例えばユーティリティ使用量の推定が可能になりコントロールレシピの実行可能性を事前に保証することができる。更に又、特別な準備操作(洗浄)や安全防護操作等の表現も簡単であり、その維持管理性及び再利用性が向上する。
【0127】
プラント内での操作領域の変更を余儀なくされるような例外処理についても、プラントトポロジーを完全に持っているので、変更が極めて簡単であり、種々の例外処理に対しても容易に対応することができ、また、例外処理をバッチプロセスコントロールの階層性と関係付けることにより、その維持管理も容易である。更に、コントロールレシピ設計時においてもリアルタイム操作時における操作及びプロセスの状態変化をプラントトポロジー(CAD等)に表現した情報を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る、制御グループユニットを結合して構築したバッチプラントの構成を示すブロック線図である。
【図2】本発明に係る、バッチプラントの制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る、バッチプラントの制御プログラムの構成を示すブロック図である。
【図4】プロセス管理プログラムを構成する、プロシージャ実行・監視プログラムのフローチャートである。
【図5】各ユニットプロシージャで実行される、オペレーション実行・監視プログラムのフローチャートである。
【図6】各オペレーションで実行される、フェーズ実行・監視プログラムのフローチャートの一部である。
【図7】図6に続く、フェーズ実行・監視プログラムのフローチャートの残部である。
【図8】操作端操作プログラムによる操作端の操作手順を示すフローチャートの一部である。
【図9】図8に続く、操作端の操作手順を示すフローチャートの残部である。
【図10】緊急操作実行プログラムのフローチャートである。
【図11】コントロールレシピの設計手順を示すフローチャートである。
【図12】反応を実施させるオペレーションにおけるプラント構成を示し、当該オペレーションの主装置である制御グループユニットM-CGU-R&Dのブロック線図である。
【図13】図1に示す、反応器Rに付設される加熱器HTによって、反応温度スケジュールTR (t)を実現するための、加熱水と冷却水の供給量の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
100 コンピュータ(コントロールレシピ作成手段、プラント制御手段)
104 ディスプレ装置
108a CD−ROM(記録媒体)
110 外部記憶装置(プラント構造記憶装置、マスターレシッピ記憶手段)
CV10,20 制御バルブ(搬送量調整手段)
E-CGU-1〜E-CGU-5 正常時操作における制御グループユニット
M-CGU-R&D 正常時操作における、主装置を含む制御グループユニット
R 反応器

Claims (10)

  1. バッチプラントを構成する複数のプラント構成要素と、所要のプラント構成要素間に配設され、上流側のプラント構成要素から下流側のプラント構成要素へのプロセス材の流れ量を調整する搬送量調整手段とを備えるプラントによって特定の製品を製造するバッチプラントの制御方法であって、
    前記搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上のプラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調整手段によって分割される領域を制御グループユニットとしてグループ化し、
    前記製品を基準量だけ当該プラントによって製造する一連のプラント操作手順をマスターレシピとして作成し、
    該マスターレシピは、各工程毎に割り付けられたユニットプロシージャと、各ユニットプロシージャに割り付けられた主装置を含む主制御グループユニットとを含んで作成され、
    前記製品の製造要求量を含むスケジュール情報と前記マスターレシピと前記グループ化された制御グループユニットを含むプラント構造情報とから、各ユニットプロシージャ毎に、前記主制御グループユニットに向かって流れる、又は当該主制御グループユニットから流出するプロセス材の流れ方向の順に順次制御グループユニットを選定すると共に、選定した制御グループユニットに接続される全ての搬送量調整手段を選定し、選定した制御グループユニットを主制御グループユニットと結合することによって各ユニットプロシージャに必要なプラント構成要素とプロセス材の流れを作る搬送量調整手段とを規定すると共に、該搬送量調整手段によってプロセス材の流れの制御手順を規定するコントロールレシピを作成し、
    最初のユニットプロシージャから順に、作成したコントロールレシピに基づいてプラントを制御することを特徴とするバッチプラントの制御方法。
  2. 前記コントロールレシピは、前記複数のユニットプロシージャを含む階層と、各ユニットプロシージャ毎に、当該ユニットプロシージャに選定された搬送量調整手段の操作手順を規定する複数のオペレーションを含む階層と、各オペレーション毎に、当該オペレーションによって操作手順が規定された搬送量調整手段の作動指令手順を規定する複数のフェーズを含む階層とからなる階層構造で構成されることを特徴とする、請求項1のバッチプラントの制御方法。
  3. 各階層毎に、各ユニットプロシージャ、各オペレーション、及び各フェーズのそれぞれの動作状況と動作異常とを監視することを特徴とする、請求項2のバッチプラントの制御方法。
  4. プラント異常時の異常状態と異常規模に応じた異常時操作手順をそれぞれ異常時操作レシピとして作成し、異常時操作レシピに規定される制御グループユニット及び搬送量調整手段を当該異常時操作レシピの操作手順に基づいて操作することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一つに記載のバッチプラントの制御方法。
  5. 前記異常時操作レシピは、各階層毎に準備されることを特徴とする、請求項に記載のバッチプラントの制御方法。
  6. 制御グループユニット又は搬送量調整手段のための操作前準備又は操作後整備の補助操作を前記複数のユニットプロシージャの一つとして含ませることを特徴とする、請求項1に記載のバッチプラントの制御方法。
  7. プラント操作上の安全防護操作を前記複数のユニットプロシージャの一つとして含ませることを特徴とする、請求項1に記載のバッチプラントの制御方法。
  8. 所要の前記制御グループユニットに関連して、当該制御グループユニットのプロセス材に物理化学的性質に変更を加えるためのユーティリティ装置が付設され、
    該ユーティリティ装置は、ユーティリティ流体が流れる1以上のユーティリティ構成要素と、該ユーティリティ構成要素に入力するユーティリティ流体の流れ量を調整するユーティリティ搬送量調整手段とを備え、
    前記ユーティリティ搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上のユーティリティ構成要素を、搬送量調整手段によって他のユーティリティ構成要素から仕切られる領域をユーティリティ制御グループユニットとしてグループ化し、
    前記所要の制御グループユニットに関連するコントロールレシピに応じ、前記ユーティリティ制御グループユニットをユーティリティ流体が流れる方向に順次選定すると共に、選定したユーティリティ制御グループユニットに接続される全てのユーティリティ搬送量調整手段を選定し、選定したユーティリティ制御グループユニットを順次結合することによって、前記所要の制御グループユニットに関連するユニットプロシージャに必要なユーティリティ構成要素とユーティリティ流体の流れを作るユーティリティ搬送量調整手段とを規定すると共に、該ユーティリティ搬送量調整手段によってユーティリティ流体の流れを制御する制御手順を規定することを特徴とする、請求項1に記載のバッチプラントの制御方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか一つのバッチプラントの制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  10. バッチプラントを構成する複数のプラント構成要素と、所要のプラント構成要素間に配設され、上流側のプラント構成要素から下流側のプラント構成要素へのプロセス材の流れ量を調整する搬送量調整手段とを備えるプラントによって特定の製品を製造するバッチプラントの制御装置であって、
    前記搬送量調整手段を介在させずに接続可能な1以上のプラント構成要素を、他のプラント構成要素と搬送量調整手段によって分割される領域を制御グループユニットとしてグループ化すると共に、各制御グループユニット及び各搬送量調整手段の構成、位置及び結合関係情報を含むプラント構造情報を記憶するプラント構造記憶手段と、
    前記製品を基準量だけ当該プラントによって製造する一連のプラント操作手順をマスターレシピとして記憶するマスターレシピ記憶手段と、
    該マスターレシピ記憶手段は、前記マスターレシピとして、各工程毎に割り付けられたユニットプロシージャと、各ユニットプロシージャに割り付けられた主装置を含む主制御グループユニットとを記憶しており、
    前記製品の製造要求量を含むスケジュール情報を入力するスケジュール入力手段と、
    前記スケジュール情報と前記マスターレシピとプラント構造情報とから、各ユニットプロシージャ毎に、前記主制御グループユニットに向かって流れる、又は当該主制御グループユニットから流出するプロセス材の流れ方向の順に順次制御グループユニットを選定すると共に、選定した制御グループユニットに接続される全ての搬送量調整手段を選定し、選定した制御グループユニットを主制御グループユニットと結合することによって各ユニットプロシージャに必要なプラント構成要素とプロセス材の流れを作る搬送量調整手段とを規定すると共に、該搬送量調整手段によってプロセス材の流れの制御手順を規定するコントロールレシピを作成するコントロールレシピ作成手段と、
    最初のユニットプロシージャから順に、作成したコントロールレシピに基づいて所要の搬送量調整手段に作動信号を出力するプラント制御手段と
    を備えて構成されることを特徴とするバッチプラントの制御装置。
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