JP2001201437A - 非侵襲的血糖値測定のためのキャピラリー装置、試験装置、測定方法及びモニター方法 - Google Patents
非侵襲的血糖値測定のためのキャピラリー装置、試験装置、測定方法及びモニター方法Info
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Abstract
して、非侵襲的血糖値測定を行うことができるキャピラ
リー装置、試験装置、測定方法及びモニター方法を提供
する。 【解決手段】 歯肉溝液を採取するためのキャピラリー
装置10は、歯肉溝に挿入できる扁平な形状を有する挿
入部1と、該挿入部1の先端から基端へと貫通する毛細
管3と、前記挿入部1の基端から延出し且つ前記毛細管
3と連通する中空管状の生体液保持部2と、生体液保持
部2の自由端に設けられた開口部4とを具備し、歯肉溝
液は、挿入部1の先端から毛細管3に吸引され、生体液
保持部2の内部通路3aに貯留される。
Description
れる特定成分の測定に関し、特に、唾液または歯肉溝液
を用いて非侵襲的血糖値測定を行うためのキャピラリー
装置、試験装置、測定方法及びモニター方法に関する。
する典型的な成人病であり、高齢化社会の到来に伴っ
て、今後とも、患者数は益々増大することが予想され
る。例えば、日本人の7人に1人が糖尿病の危険にされ
ているとの調査結果が明らかにされており、国民医療的
観点から、早期診断による予防医療の重要性が指摘され
ている。
依存するが、血糖値の測定には臨床検査設備を必要とす
るのが普通であり、また血液の採取は被験者に苦痛を伴
う。このような状況では、糖尿病の早期診断を目的とし
て、日常的かつ個人的な血糖値モニターを普及奨励する
ことは困難である。そのため、簡易かつ非侵襲的に血糖
値を測定する方法が望まれている。
身体的負担を無くすためには、血液に代わる非侵襲的に
採取可能な体液サンプルが必要であり、そのために、
尿、汗、涙液等の種々の体液が検討されている。しか
し、尿の場合は、尿糖排泄閾値に個人差があるため血糖
値と間の一般的相関性に問題があり、その有用性は限ら
れている。また、汗または皮膚間質液を用いたグルコー
ス濃度測定については、一部で動物実験が実施されてい
るが、ヒトに対して適用可能であるか否かは未だ検討の
域を出ていない。
り、唾液中のグルコース濃度(唾液糖値)と血糖値との
間の相関が認められている(Shannon IL (1973), Blood
and Saliva Glucose Levels in Relation to Gingival
Health, Jounal of the Indian Dental Assosiation:
299-302; Reuterving CO (1986), Pilocarpine- stimu
lated salivary flow rate and salivary glucose conc
entration in alloxan diabetic rats. Influence of s
everity and duration of diabetes, Acta Physiol. Sc
and 126: 511-515)。
関を検証するために、複数の被験者に対して生体評価を
行っている。この評価では、血糖値の変化に対応して唾
液糖値がどのように変化するかを考察するために、糖負
荷試験(OGTT)を実施して血糖値を意図的に変化させ、
このときの両糖値の変化を測定した。図12は、糖尿病
患者の試験結果を示している。これは、代謝の最も安定
した早朝空腹時に、食事後約30分間隔で血液と唾液を同
時に採取・分析した結果である。唾液糖値が血糖値の変
化に追従して変化しているのがよく判る。
Tの結果を表1に示す。血糖と唾液糖など二つの物理量
の関係は、一般に「相関係数」という統計的指標で表さ
れ、関係なしの場合は0(ゼロ)、完全に直線関係にな
った場合は1の値を取るが、健常者だけでなく糖尿病患
者の唾液も調べたところ、現在では血糖と唾液糖の相関
係数は0.7〜0.8程度の範囲にあることが判ってきた。
ス濃度と血糖値との間に相関が認められており、この場
合の相関は唾液の場合よりも強いことが報告されている
(Olof Kjellman (1970), The Presence of Glucose i
n Gingival Exudate and Resting Saliva of Subjects
with Insulin-Treated Diabetes Mellitus, Swed. Den
t. J. 63: 11-19;Robert C. Parker et al. (1993), G
ingival Crevicular Blood for Assessment of Blood G
lucose in Diabetic Patients, J. Periodontol1993, 6
4:666-672)。
を体液サンプルとしてグルコース濃度を測定することに
より、非侵襲的なグルコースモニターが可能になる。し
かし、唾液または歯肉溝液を体液サンプルとする場合、
これら検体サンプルは数マイクロリットル(μ/l)程
度しか採取できないため、種々の制限がある。
定量試験を行う場合にも、尿のような比較的大量の検体
を採取できる場合とでは事情が異なる。即ち、このよう
な半定量的試験では、測定精度を確保するために、検体
液の量を予め規定することが重要である。この要件を満
たすために、従来は別途非測定溶液の液量を定量した後
に試験紙に滴下する方法、或いは、充分な量の被測定液
を試験紙が飽和状態になるまで含浸させて発色を行う等
の方法が用いられている。しかし、唾液や歯肉溝液のよ
うに数マイクロリットル程度しか検体を採取できない場
合には、蒸発による検体の喪失を防止することが重要で
あるため、上記のような方法を用いることはできない。
は、健常者の歯1本当たりの分泌量は数マイクロリット
ル/分程度と非常に微量であるため、その採取が困難で
あるという問題があった。また、例えうまく採取したと
しても、これをうまく回収するのが困難であるという問
題があった。
みてなされたもので、その一般的な課題は、唾液及び歯
肉溝液のような微量しか得られない体液検体を用いて非
侵襲的に血糖値をモニターすることを可能にするため
に、これら微量検体を好適に採取し、該体液検体中に含
まれる成分を酵素反応により検出するためのキャピラリ
ー装置、試験装置、測定方法及びモニター方法を提供す
ることである。
採取の困難な歯肉溝液や唾液を容易に採取し、回収する
ことができるキャピラリー装置を提供することである。
いて酵素試験紙により生体成分の濃度を測定する際に、
未定量の検体を試験紙に適用するだけで、一定量の検体
を試験紙に含浸させて所望の試験を行うことができる試
験装置、測定方法及びモニター方法を提供することであ
る。
に、請求項1に係る発明のキャピラリー装置は、唾液ま
たは歯肉溝液などの生体液を採取するためのキャピラリ
ー装置であって、口腔内や歯肉溝に挿入できる扁平な形
状を有する挿入部と、該挿入部の先端から基端へと貫通
する毛細管と、前記挿入部の基端から延出し且つ前記毛
細管と連通する生体液保持部と、該生体液保持部の一部
に設けられた開口部とを備えている。
装置は、請求項1に記載のキャピラリー装置の構成に加
え、前記生体液保持部は、生体液を吸収して保水するた
めの保持部材を備えている。
ー装置は、請求項1または2に記載のキャピラリー装置
の構成に加えて、前記挿入部は薄板状のフィルムを複数
枚積層して形成されており、その一枚が欠落した部分が
前記毛細管を形成することを特徴とする構成となってい
る。
装置は、請求項1乃至3の何れかに記載のキャピラリー
装置の構成に加えて、前記毛細管及び該毛細管から所定
距離内にある前記生体液保持部内面を選択的に界面活性
処理したことを特徴とする構成となっている。
ー装置は、請求項4に記載のキャピラリー装置に加え
て、前記界面活性処理は、界面活性剤を溶解させたアル
コール溶液を塗布し、乾燥することによって達成されて
いることを特徴とする構成となっている。
装置は、請求項1乃至5の何れかに記載のキャピラリー
装置の構成に加えて、前記毛細管及び前記生体液保持部
の内部に所定量のアルコールが充填されていることを特
徴とする構成となっている。
ー装置は、請求項1乃至6の何れかに記載のキャピラリ
ー装置の構成に加えて、更に、前記生体液保持部の一部
が中空管に形成されたシリンダ部と、該シリンダ部を摺
動可能なピストンと、前記シリンダ部の壁面を貫通し且
つ前記ピストンの摺動によって開閉される通気孔とが設
けられていることを特徴とする構成となっている。
襲的モニター方法は、請求項1乃至7の何れかに記載の
キャピラリー装置を用いて歯肉溝液または唾液などの生
体液を採取し、該歯肉溝液または唾液などの生体液中の
グルコース濃度を測定する工程を備えたことを特徴とす
る。
侵襲的モニター方法は、請求項8に記載の血糖値の非侵
襲的モニター方法であって、前記歯肉溝液または唾液中
のグルコース濃度から、血糖値を推定するアルゴリズム
を備えた測定装置を用いることを特徴とする。
は、生体液中の特定成分の検出反応を触媒する酵素を含
浸させた発色試験紙を備えたことを特徴とする試験装置
であって、更に、前記試験紙の表面を覆う多孔質膜の透
過量制限膜を具備し、該多孔質膜は、所定時間内に該膜
を通過して前記試験紙に含浸される前記生体液の量を所
定の値に規定するように、その膜厚及び孔径が制御され
ていることを特徴とする構成となっている。
は、生体液中の特定成分の検出反応を触媒する酵素を含
浸させた発色試験紙を備えた試験装置であって、更に、
飽和状態で一定量の前記生体液を含浸することができる
生体液採取片を備え、該生体液採取片に前記生体液を含
浸飽和させた後、これを前記発色試験紙に重ねることに
より前記発色試験紙に所定量の前記生体液を拡散させて
前記発色試験紙を発色させるようにしたことを特徴とす
る構成となっている。
は、請求項11に記載の試験装置であって、透明基板を
前記発色試験紙に対向配置し、前記発色試験紙の発色を
前記透明基板側から検出するようにしたことを特徴とす
る構成となっている。
は、請求項10乃至12の何れかに記載の試験装置であ
って、前記酵素はグルコースオキシダーゼであることを
特徴とする構成となっている。
は、請求項13に記載の試験装置を用いて、歯肉溝液ま
たは唾液中のグルコース濃度を測定することを特徴とす
る。
非侵襲的モニター方法は、請求項14に記載の測定方法
により得られた歯肉溝液または唾液中のグルコース濃度
に基づいて、血糖値の推定を行うことを特徴とする。
侵襲的モニター方法は、請求項15に記載の血糖値の非
侵襲的モニター方法であって、前記歯肉溝液または唾液
中のグルコース濃度から血糖値を推定するアルゴリズム
を備えた測定装置を用いることを特徴とする。
発明の実施の形態を説明する。
リー装置10を示す斜視図であり、歯肉溝液や唾液など
の生体液、好適には歯肉溝液を採取するために使用する
ものである。同図に示すように、このキャピラリー装置
10は、歯肉溝内に挿入するのに好適な挿入部1と、生
体液保持部2からなっており、生体液保持部2を手で把
持して装置を取り扱うことができる。挿入部1は、厚さ
0.1〜0.2mmの薄い扁平な形状を有している。この挿入部
1の内部には、その先端から生体液保持部2側の基端へ
と貫通する毛細管3が形成されている。また、挿入部1
の基端側から延出した生体液保持部2には中空の内部通
路3aが形成されており、その一部(この実施の形態で
は自由端)には開口部4が設けられている。
その一端が開口部4で装置の外に開放されており、その
反対端で挿入部1の毛細管3に連通している。このキャ
ピラリー装置10は合成樹脂製であり、例えば、先細の
管状体の先端を扁平に加工することによって製造するこ
とができる。合成樹脂の種類は特に限定されないが、例
えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)などが好ましい。また、歯肉溝液または
唾液などの生体液を貯留すべき領域にのみ、界面活性処
理により親水性にしておくのが好ましい。その場合、界
面活性剤をエタノール等のアルコールで希釈して塗布す
るようにすれば、塗布後の乾燥を、装置の耐熱温度以下
の低温でも迅速に行うことができるとともに、アルコー
ルによる滅菌効果も得られるので好ましい。更に、キャ
ピラリー装置10の内部に所定量のアルコールを充填し
ておくことにより、歯肉溝液または唾液などの希釈及び
殺菌を同時に達成することができる。
装置の第二の実施の形態を示す分解斜視図であり、同図
(B)は、これを組み立てた状態で示す平面図である。
この実施の形態では、複数の板状体を積層することによ
り形成される。図2(A)において、21は下板であ
る。該下板の上には、毛細管形成用の2枚のスペーサ板
22a及び22bが配置され、両者の間には、適切な毛
細管を形成するための隙間が設けられる。両者間の隙間
を含むスペーサ板22a,22bの全体の形状は、下板
21の形状と同じである。これらスペーサ板の上には、
両者の隙間の一部を覆って、生体液保持部を形成するた
めの吸水性シート23が配置される。この吸水性シート
23の上には、下板21と同じ形状の上板24が配置さ
れる。下板23、スペーサ板22a,22b及び上板2
4は、樹脂(例えば、図1の実施の形態に関して挙げた
もの)で形成され、生体液保持部23は濾紙などの吸水
性材料で形成される。
に接着することにより、図2(B)の平面図に示すよう
なキャピラリー装置が得られる。上記部材相互の接着
は、両面テープや接着材を用いて達成することができ、
また超音波融着を使用してもよい。こうして形成された
キャピラリー装置は全体に薄い扁平な形状を有し、且
つ、図2(B)に示すように長手軸方向に貫通して両端
で開口した一つの毛細管25を有している。また、毛細
管25の一部を上から覆うように、生体液保持部23が
配置されている。
形態において、場合によっては吸水性シート23を省略
してもよい。その場合は、毛細管25自体が生体液を保
持する。
れていればよく、必ずしも装置の長手軸方向に貫通して
いなくともよい。例えば、図3に示すように、毛細管2
5を吸水性シート23の位置で止め、この毛細管位置
で、上板21を厚さ方向に貫通する開口部26aを設け
てもよい。その際、開口部26aがその下に配置された
吸水性シート23で塞がれていても、吸水性シート23
は多孔質で通気性であるから、毛細管25は大気圧と連
通する。
液などの微量体液を採取するのに好適である。以下、図
1の実施の形態のキャピラリー装置10を用いて歯肉溝
液を採取する場合について、図4(A)及び同図(B)
を参照してその作用を説明する。
歯の断面図であり、二点鎖線で囲んだ四角形の中に後述
する歯肉溝16が存在する。図4(B)は歯肉溝16の
周辺部の拡大図である。これらの図において、11は歯
のエナメル質、12は骨、13は歯茎である。図4
(B)では、歯茎13を構成する上皮14及び歯肉15
が示されており、歯肉溝16には歯肉細胞が露出されて
いる。歯肉溝16の内部には、歯肉溝液17が分泌され
て貯留している。歯肉溝液17は、他の分泌液とは異な
り、再吸収機構を経ることなく歯肉細胞から分泌される
細胞外液の一種であることから、血液とほぼ同様の化学
成分を含んでいる。歯肉溝液17中のグルコース濃度と
血糖値との間に強い相関があるのは、このことに起因す
るものと考えられる。
図4(B)に示す歯肉溝16の中に前記キャピラリー装
置10の先端部の挿入部1を挿入する。図2に示す実施
の形態のキャピラリー装置を用いる場合も同様である。
挿入すると、歯肉溝液17は毛細管現象によって挿入部
1の毛細管3の中に吸引され、生体液保持部2の内部通
路3aの下部に貯留される。従って、特に吸引機構を設
ける必要がない。また、挿入部1が樹脂製で柔軟なので
破損することがなく、万が一に折れた場合にも、ガラス
の場合のような危険性は低い。更に、内部通路3aの所
定レベル以下の内面を界面活性処理により親水性にして
おけば、その親水性にした領域にのみ歯肉溝液が吸引さ
れるので、採取料の定量が容易になる。
知の方法によってグルコース濃度を測定することができ
る。例えば、図5に示すように、開口部4から圧力を加
えて歯肉溝液を通常のグルコース濃度試験紙20に滴下
し、グルコース濃度に応じた発色反応を行わせればよ
い。グルコース濃度試験紙20にはグルコースオキシダ
ーゼ(GOD)が含浸されており、滴下された歯肉溝液
に含有されるグルコースはこの酵素によって下記の反応
を行う。 グルコース + O2 → グルコノラクトン + H
2O2
元型との間で色調の異なる色素が含浸されているので、
上記グルコースの酸化反応により発生した過酸化水素は
この色素を酸化し、発色することになる。この色調変化
の程度は発生した過酸化水素の量、即ち、検体中に含有
されていたグルコースの量に比例するので、上記方法に
よってグルコース濃度の半定量的な分析が可能である。
は、上記のような肉眼で観察する態様に限らず、光学的
センサを用いることにより、更に精密に測定することも
可能である。その場合には、採取した歯肉溝液を貯留し
たままのキャピラリー装置の中にグルコースオキシダー
ゼ等の必要な試薬を注入し、キャピラリー層にの中で発
色反応を行うのが好ましい。
濃度を定量する公知のグルコースセンサを用いれば、よ
り精密なグルコース濃度の定量が可能である。
ス濃度を測定することができれば、予め知られている血
糖値との相関関係を利用して、歯肉溝液を採取した人の
血糖値をモニターすることができる。このステップは、
所定の相関に基づいて血糖値を推定するアルゴリズムを
組み込んだコンピュータを備えた装置により行うことが
できる。これについては、以下で述べる他の実施の形態
についても同様である。
した他の実施の形態になるキャピラリー装置を示してい
る。図6(A)は吸引状態を示し、図6(B)は吐出状
態を示す。この実施の形態では、生体液保持部2aに中
空管状のシリンダ部分31が形成され、その中を摺動可
能なピストン32が設けられている。また、シリンダ部
分31の壁には通気孔33が形成されている。この通気
孔33は、吸引状態ではピストン32によって塞がれな
いが、その位置からピストンを若干押し込むと塞がれる
位置に形成されている。それ以外の構成は、図1の実施
の形態と同じである。
図6(A)に示すように、吸引時には通気孔33が開い
ているから、歯肉溝液はピストン32による障害を受け
ることなく、毛細管現象によりキャピラリー装置内に吸
引される。そして、図6(B)に示すように、吐出時に
ピストン32を押し込むと通気孔33が塞がれるから、
空気漏れを生じることなく中空管内の空気を圧縮して、
歯肉溝液34を吐出することができる。
れるグルコース濃度を半定量的に分析するための、本発
明による酵素試験紙の一実施の形態である酵素試験紙4
0を示している。同図に示すように、酵素試験紙40
は、適切な基板41上に、通常のグルコース試験紙42
が配設されている。基板41の材質は特に限定されない
が、透明な合成樹脂またはガラス等の透明基板を用いる
のが好ましい、グルコース試験紙42には、グルコース
オキシダーゼ及び発色試薬等のような、発色分析に必要
な成分が含浸されている。また、グルコース試験紙42
の表面は、液体透過制限膜43で覆われている。この液
体透過制限膜43の材質は特に限定されず、種々の樹脂
膜を用いることができるが、セルロース膜、ポリプロピ
レン(PP)膜等を使用するのが好ましい。また、液体
透過制限膜43には所定の孔径を有する複数の貫通孔4
4が形成されている。この貫通孔44の数及び孔径は、
所定時間内に制限膜43を通過する液体の量を一定量に
制限するように設定される。好ましくは、貫通孔44の
口径は1nm〜1μm、貫通孔の数は1平方センチメー
タ当たり数百〜1万である。
のグルコース試験紙42と同様に使用すればよい。即
ち、酵素試験紙40の上部から検体液を滴下するだけで
よい。滴下された検体液は、液体透過制限膜43の貫通
孔44を通ってグルコース試験紙42に染み込み、グル
コースオキシダーゼによる所定の反応を行い、検体液に
含有されるグルコース濃度に応じて発色する。その際、
所定の時間(h)に液体透過制限膜43を通過する検体
液の量(V)は、図9に示すグラフのように、貫通孔4
4によって制限されるので、予め検体を定量する等の操
作を必要とすることなく、グルコース試験紙42に染み
込む検体液の量を一定量に規定することができる。従っ
て、別途定量操作を行う際の蒸発等によるロスを防止で
きるので、唾液や歯肉溝液のような少量しか得られない
検体の分析に有用である。例えば、図1、図2または図
6に記載した装置で採取した歯肉溝液を、そのまま滴下
して分析するのに適している。また、基板41が透明で
あれば、基板側から呈色を観察することができるので、
液体透過制限膜43が不透明であってもグルコース試験
紙の呈色を観察できる利点が得られる。
0の変形例になる酵素試験紙50を示している。図8に
示す酵素試験紙50において、基板41は、図7に示す
酵素試験紙40の基板41と同様の基板である。この基
板41上に、通常のグルコース試験紙よりも厚さの大き
い濾紙片51が配置されており、該濾紙片51には厚さ
方向の貫通孔52が穿設されている。また、濾紙片51
には、その下半分にのみグルコースオキシダーゼ及び発
色試薬等の発色分析に必要な成分が含浸され、グルコー
ス試験部53が形成されている。試薬の含浸されていな
い上半分は、液体透過制限部54を構成しており、図7
の実施の形態における液体透過制限膜43と同様に機能
する。それ以外の構成は図7に示す酵素試験紙40と同
じである。
濾紙片51の試薬を含浸していない液体透過制限部によ
って、所定時間後にグルコース試験部53に到達する検
体液の量を一定量に規定することができるから、図7に
示す酵素試験紙40と同様の効果が得られる。加えて、
液体透過制限膜54を別途設ける必要がないので、部品
点数を減らすことができるという効果が得られる。
験紙とを具備するグルコース試験装置の一実施の形態を
示している。図10(A)は濾紙からなる生体液採取片
の平面図であり、円形の採取部61と細長い把持部62
とからなっている。採取部61の大きさは、生体液が飽
和状態にまで含浸されたときに、所定量の生体液が保持
されるように設定されている。図10(B)は、グルコ
ース試験紙63を適切な基板64上に配置したものであ
る。基板64は、透明樹脂またはガラス等の透明な材料
で構成するのが好ましい。グルコース試験紙63には、
グルコースオキシダーゼ及び発色試薬等の発色分析に必
要な成分が含浸されている。また、試験紙63には、エ
タノール等のアルコール溶液を染み込ませておくのが好
ましい。
は歯肉溝液中のグルコース濃度を測定するときには、先
ず、採取片の把持部62を持って採取部61を唾液等に
接触させることにより、飽和状態にまで検体液を把持部
に染み込ませる。こうして検体液で飽和させた採取片の
採取部61を、図11に示すように、グルコース試験紙
63の上に重ねる。これにより、採取部61に保持され
ている検体液がグルコース試験紙63に染み込む。その
際、試験紙にエタノール等のアルコールを含浸させてお
けば、生体液中の細菌の滅菌を達成すると同時に、拡散
速度の向上を図ることができる。こうして、検体液を別
途定量する操作を行わなくても、所定量の検体液をグル
コース試験紙63に染み込ませて所定の発色反応を行わ
せ、グルコース濃度の分析を行うことができる。その
際、基板64が透明基板であれば、採取片63を除去す
ることなく、基板64側からグルコース試験紙63の呈
色を観察することができる。また、この積層状態のま
ま、光学的検出器に導入して発色の程度を検出すること
もできる。
液中のグルコース濃度を測定する場合について説明して
きたが、本発明はこれらに限定されるものではない。例
えば、唾液や歯肉溝以外の生体液、例えば尿または血液
等に対しても適用することができる。また、生体液中に
含まれるグルコース以外の成分の分析にも適用すること
ができる。
唾液及び歯肉溝液のような微量しか得られない体液検体
を好適に採取して、該体液検体中に含まれる成分を酵素
反応により検出することができ、これにより非侵襲的に
血糖値をモニターすることを可能にする等、顕著な効果
を得ることができる。
の実施の形態を示す斜視図である。
の第二の実施の形態を示す分解斜視図であり、図2
(B)は、これを組み立てた状態の平面図である。
図である。
である。
コース濃度を測定するための一つの態様を示す説明図で
ある。
ラリー装置の他の実施の形態を示す説明図である。
ス試験紙を示す断面図である。
ース試験紙を示す断面図である
ける液体透過制限膜の作用を示すグラフである。
ルコース試験装置の一実施の形態を示す説明図である。
す説明図である。
血糖値との相関関係を示すグラフである。
Claims (16)
- 【請求項1】 唾液または歯肉溝液などの生体液を採取
するためのキャピラリー装置であって、 口腔内や歯肉溝に挿入できる扁平な形状を有する挿入部
と、 該挿入部の先端から基端へと貫通する毛細管と、 前記挿入部の基端から延出し且つ前記毛細管と連通する
生体液保持部と、 該生体液保持部の一部に設けられた開口部とを備えたこ
とを特徴とするキャピラリー装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載のキャピラリー装置であ
って、前記生体液保持部は、生体液を吸収して保水する
ための保持部材を備えたことを特徴とするキャピラリー
装置。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のキャピラリー
装置であって、前記挿入部は薄板状のフィルムを複数枚
積層して形成されており、その一枚が欠落した部分が前
記毛細管を形成することを特徴とするキャピラリー装
置。 - 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載のキャピ
ラリー装置であって、前記毛細管及び該毛細管から所定
距離内にある前記生体液保持部内面を選択的に界面活性
処理したことを特徴とするキャピラリー装置。 - 【請求項5】 請求項4に記載のキャピラリー装置であ
って、前記界面活性処理は、界面活性剤を溶解させたア
ルコール溶液を塗布し、乾燥することによって達成され
ていることを特徴とするキャピラリー装置。 - 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載のキャピ
ラリー装置であって、前記毛細管及び前記生体液保持部
の内部に所定量のアルコールが充填されていることを特
徴とするキャピラリー装置。 - 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載のキャピ
ラリー装置であって、更に、前記生体液保持部の一部が
中空管に形成されたシリンダ部と、該シリンダ部を摺動
可能なピストンと、前記シリンダ部の壁面を貫通し且つ
前記ピストンの摺動によって開閉される通気孔とが設け
られていることを特徴とするキャピラリー装置。 - 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載のキャピ
ラリー装置を用いて歯肉溝液または唾液などの生体液を
採取し、該歯肉溝液または唾液などの生体液中のグルコ
ース濃度を測定する工程を備えたことを特徴とする血糖
値の非侵襲的モニター方法。 - 【請求項9】 請求項8に記載の血糖値の非侵襲的モニ
ター方法であって、前記歯肉溝液または唾液中のグルコ
ース濃度から、血糖値を推定するアルゴリズムを備えた
測定装置を用いることを特徴とする血糖値の非侵襲的モ
ニター方法。 - 【請求項10】 生体液中の特定成分の検出反応を触媒
する酵素を含浸させた発色試験紙を備えたことを特徴と
する試験装置であって、更に、前記試験紙の表面を覆う
多孔質膜の透過量制限膜を具備し、該多孔質膜は、所定
時間内に該膜を通過して前記試験紙に含浸される前記生
体液の量を所定の値に規定するように、その膜厚及び孔
径が制御されていることを特徴とする試験装置。 - 【請求項11】 生体液中の特定成分の検出反応を触媒
する酵素を含浸させた発色試験紙を備えた試験装置であ
って、更に、飽和状態で一定量の前記生体液を含浸する
ことができる生体液採取片を備え、該生体液採取片に前
記生体液を含浸飽和させた後、これを前記発色試験紙に
重ねることにより前記発色試験紙に所定量の前記生体液
を拡散させて前記発色試験紙を発色させるようにしたこ
とを特徴とする試験装置。 - 【請求項12】 請求項11に記載の試験装置であっ
て、透明基板を前記発色試験紙に対向配置し、前記発色
試験紙の発色を前記透明基板側から検出するようにした
ことを特徴とする試験装置。 - 【請求項13】 請求項10乃至12の何れかに記載の
試験装置であって、前記酵素はグルコースオキシダーゼ
であることを特徴とする試験装置。 - 【請求項14】 請求項13に記載の試験装置を用い
て、歯肉溝液または唾液中のグルコース濃度を測定する
ことを特徴とする測定方法。 - 【請求項15】 請求項14に記載の測定方法により得
られた歯肉溝液または唾液中のグルコース濃度に基づい
て、血糖値の推定を行うことを特徴とする血糖値の非侵
襲的モニター方法。 - 【請求項16】 請求項15に記載の血糖値の非侵襲的
モニター方法であって、前記歯肉溝液または唾液中のグ
ルコース濃度から血糖値を推定するアルゴリズムを備え
た測定装置を用いることを特徴とする非侵襲的モニター
方法。
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