JPH095320A - 生化学物質測定装置 - Google Patents

生化学物質測定装置

Info

Publication number
JPH095320A
JPH095320A JP7157423A JP15742395A JPH095320A JP H095320 A JPH095320 A JP H095320A JP 7157423 A JP7157423 A JP 7157423A JP 15742395 A JP15742395 A JP 15742395A JP H095320 A JPH095320 A JP H095320A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
saliva
biochemical substance
concentration
sensor
substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7157423A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Yamaguchi
昌樹 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP7157423A priority Critical patent/JPH095320A/ja
Publication of JPH095320A publication Critical patent/JPH095320A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 非侵襲式の小型・軽量化した生化学物質測定
装置を提供すること。 【構成】 測定装置10は、唾液の収集部20、センサ
30、演算部40及び表示装置50から構成されてい
る。該収集部20は、唾液採取部材21、フィルタ2
2、及び唾液収集部材23から構成されている。また、
演算部40は、少なくともCPU41と記憶装置42か
ら構成されている。収集部20で被測定物質である唾液
を収集し、センサ30において該唾液中における所定の
生化学物質の濃度に比例した電流値I0を得る。予め記
憶装置42に記憶しておいた唾液中のグルコース濃度と
血糖値の相関関係から血液中の該生化学物質の濃度を推
定する事にが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体の血液中に含まれ
る所定の生化学物質、例えば糖分を測定するための生化
学物質測定装置に関し、特に非観血式の生化学物質測定
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、酵素の持つ厳密な分子識別機
能を利用したセンサ(バイオセンサと称する)が種々考
案され、生体の生理活性物質(生化学物質)の分析に応
用が進んでいる。たとえば、糖尿病治療のにおいてはバ
イオセンサが血糖計測技術に大きな変革をもたらしてい
る。1970年代には、高分子にブドウ糖酸化還元酵素
であるグルコースオキシダーゼを固定化した酵素膜を用
いた血糖センサーが開発され、それまで数十分から1時
間以上も必要であった血糖測定が数分で測定できるよう
になった。
【0003】しかし、これらのバイオセンサは被測定物
質として血液を用いていたので、患者は測定の度に採血
する必要があり、以下の問題点が未解決のまま残されて
いた。
【0004】即ち、採血時の肉体的苦痛や、血液を媒体
とするウイルス、例えばB型肝炎やAIDSへの感染の
恐れがあり、患者や看護者に常に精神的な不安感を与え
る等の問題がそれである。
【0005】これらの問題を図るために、光学的手法を
用いた非侵襲型(非観血式)の生理活性物質計測法が提
案されており、例えば七里元亮らの「血糖値の非侵襲的
計測法―光学的ブドウ糖センサの開発―,BME,Vol.
5,No.8,pp.16-21,1991」等が報告されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の光学的手法を用
いた血糖計測法では、ブドウ糖の吸光度をもとに血糖値
を推定するものであるが、ブドウ糖の吸収光の波長が9
〜11μmと長いために、その光源として赤外線が必要
である。しかし、現状の赤外線の光源、例えば赤外線レ
ーザは非常に大型であり冷却装置までも必要とすること
から、計測装置の小型化・携帯化が困難であった。
【0007】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は、従来のように採血
する必要がなく、小型化・携帯化が可能な生化学物質測
定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の生化学物質測定装置は、生体の血液中に含ま
れ且つ生体の分泌物中にも含まれる所定の生化学物質を
測定する非観血式の生化学物質測定装置であって、生体
の分泌物として口腔中に分泌される唾液を収集する収集
手段と、その収集手段により収集された唾液に含まれる
前記所定の生化学物質の濃度に関連する情報を検出する
センサと、前記所定の生化学物質に関して前記唾液中の
濃度に関連する情報と血液中の濃度との対応情報を記憶
する記憶手段と、前記センサにより検出された前記生化
学物質の濃度に関連する情報と前記記憶手段に記憶され
た対応情報とに基づき、血液中の前記生化学物質の濃度
を算出する算出手段と、その算出手段により算出された
血液中の生化学物質の濃度を出力する出力手段とを備え
ている。
【0009】ここで、前記センサは、前記生化学物質を
反応させる少なくとも1種類の酵素と、前記反応により
生成される生成物の増減を検出するための電極とを備え
ていてもよい。
【0010】また、前記収集手段は、口腔中に収容可能
且つ前記センサに対して着脱可能に構成されていてもよ
い。
【0011】また、前記収集手段は、口腔中において分
泌された唾液を毛細管現象により吸収し、不純物を除去
する多孔質体から構成されていてもよい。
【0012】また、前記酵素は少なくともグルコースオ
キシダーゼを含み、前記センサによる検出される生化学
物質の濃度はブドウ糖の濃度であってもよい。
【0013】
【作用】上記構成を有する本発明の生化学物質測定装置
に於いては、収集手段が生体の分泌物として口腔中に分
泌される唾液を収集し、センサが前記収集手段により収
集された唾液に含まれる前記所定の生化学物質の濃度に
関連する情報を検出する。記憶手段は前記所定の生化学
物質に関して唾液中の濃度に関連する情報と血液中の濃
度との対応情報を記憶しており、算出手段が前記センサ
により検出された前記生化学物質の濃度に関連する情報
と前記記憶手段に記憶された対応情報とに基づき、血液
中の前記生化学物質の濃度を算出し、出力手段が前記算
出手段により算出された血液中の生化学物質の濃度を出
力する。
【0014】ここで、センサを前記生化学物質を反応さ
せる少なくとも1種類の酵素と、前記反応により生成さ
れる生成物の増減を検出するための電極とから構成する
場合には、センサから唾液中の生化学物質の濃度に比例
する電流値が検出され、濃度の検出が容易になる。
【0015】また、前記収集手段が口腔中に収容可能且
つ前記センサに対して着脱可能に構成されている場合
は、収集手段のみを口腔内に入れて唾液の収集を行い、
収集後にセンサに装着することにより、唾液中の生化学
物質の濃度の測定が可能となる。この唾液の収集時に
は、センサが直接口腔に接触しないので、センサに生体
に対する有害物質が使用されていたとしても生体への影
響が排除される。
【0016】また、前記収集手段を、口腔中において分
泌された唾液を毛細管現象により吸収し、不純物を除去
する多孔質体から構成した場合には、センサの検出を妨
げる不純物を除去すると共に容易に唾液の採取が可能と
なる。
【0017】また、前記酵素は少なくともグルコースオ
キシダーゼを含み、前記センサによる検出される生化学
物質の濃度はブドウ糖の濃度である場合は、血液の血糖
値を容易に把握することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を唾液中のグルコース濃度を測
定して血糖値を表示する非観血式(非侵襲式)の血糖値
測定器に具体化した一実施例を、図1乃至図8を参照し
て説明する。
【0019】図1は生化学物質測定装置(血糖値測定
器)10の電気的構成を示すブロック図である。生化学
物質測定装置10は、唾液の収集部(収集手段)20、
センサ30、演算部40及び表示装置(出力手段)50
から構成されている。該収集部20は後述するように、
唾液採取部材21、フィルタ22、及び唾液収集部材2
3から構成されている。また演算部40は、CPU(算
出手段)41と、後述の情報が記憶されたROM,演算
結果を一時記憶するためのRAM等の記憶装置42と、
前記センサ30と表示装置50との間の入出力ポートと
から構成されている。
【0020】前記ROMには制御プログラムや図8に示
す唾液のグルコース濃度と血糖値との対応関係を示す情
報が記憶されている。また、センサからの検出電流値I
0と唾液中のグルコース濃度との対応関係もまたROM
に記憶されている。また、前記CPU41にはアナログ
−デジタル変換回路を内蔵するものであり、後述のよう
にセンサ30からのアナログ電流値はデジタル値に変換
されて所定の演算処理が行われる。
【0021】図2は前記生化学物質測定装置10の概略
構成を示す。センサ30は装置本体10に対して着脱可
能に構成されており、センサの耐久性に応じて1〜数十
回の使用毎に使い捨てとする事も可能である。本装置1
0の使用においては、同図中矢印 A 方向にセンサ30
を挿入して行うものである。本装置10のセンサ取り付
け部の右方には、収集部20が設けられている。
【0022】前記本体10のセンサ30の右方には唾液
収集部材23が着脱可能に設けられており、この唾液収
集部材23には、図4に示すように、円筒形の唾液採取
部材21を外部から着脱可能に収納する収納室231
と、収納室231の底面232から前記本体10に装着
されたセンサ30の測定部に連通する唾液通路233と
が形成されており、この唾液通路233にはフィルタ2
2が挿入されている。このフィルタ22は後述するよう
に唾液中に含まれている血糖測定を阻害する物質、例え
ば細菌や酵素などの高分子物質を濾過するためのもので
り、必要に応じて交換可能である。また、前記唾液収集
部材23の収納室231は、平面視矩形状の開口234
を有し、その開口234よりも若干小さく形成された蓋
部材24が開口234を介して収納室に侵入可能であ
る。
【0023】前記唾液採取部材21は、綿などの多孔質
材料により円筒形に形成されており、これを被検者の口
腔に挿入すると多孔質材料の毛細管現象により唾液が吸
収され、この唾液採取部材21を前記唾液収集部材23
の収納室231に収納して前記蓋部材24により唾液採
取部材21を押しつぶすと吸収した唾液を吐出するもの
である。本実施例においては唾液採取部材21の唾液吸
収量は100μlに設定されている。この唾液採取部材
21,フィルタ22,唾液収集部材23から前記収集部
20が構成される。尚、この蓋部材24は唾液採取部材
21を押しつぶして唾液を吐出させる押圧部材であり、
他の態様も可能である。例えば、蓋部材の替わりに一対
のローラを準備し、このローラ間に唾液採取部材21を
挟んでローラを回転させて押しつぶすようにしてもよい
のである。
【0024】また、本体10には、液晶表示式の表示装
置50の表示窓13が設けられ、電源スイッチ11,測
定開始スイッチ12が設けられている。
【0025】ここで、図3及び図4を参照しつつ唾液の
収集方法について説明する。図3は生体の顎部のみを模
式的に示した図である。唾液を採取する場合は、唾液採
取部材21を口腔に挿入し、唾液腺の付近例えば舌60
の下に配置する。すると、顎下腺61や舌下腺62から
唾液が分泌され、その唾液が前記唾液採取部材21の毛
細管現象によって吸収される。被検者は、この唾液採取
部材21を舌60の下に入れておくだけで唾液は自動的
に唾液採取部材21に吸収され、収集されることにな
る。
【0026】このようにして唾液が唾液採取部材21に
吸収された後、唾液採取部材21を口腔から取り出して
前記本体10に装着された唾液収集部材23の収納室2
31にこれを収納し、前記蓋部材24で唾液採取部材2
1を押しつぶせば、唾液採取部材21からは吸収された
唾液が吐出され、吐出された唾液は、前記唾液通路23
3のフィルタ22を通過してセンサ30の測定部に到達
するのである。この間に、唾液に含まれる不純物(血糖
測定を阻害する物質、例えば細菌や酵素などの高分子物
質)が濾過され、正確な測定が可能となるのである。
【0027】尚、唾液中の不純物の除去にフィルタ22
を使用する替わりに、多孔質材料より形成された前記唾
液採取部材21にこの濾過機能を具備させれば、さらに
部品点数を減らし構造を簡単にすることも可能である。
また、本実施例のように収集部20の唾液採取部材21
は口腔からの唾液採取時には単独で口腔に入れられるの
で、被検者に違和感を与えることがなく、しかも、セン
サ30が口腔に触れないので、センサの化学物質による
被検者への悪影響も防止できるのである。
【0028】次に、センサ30について説明する。本実
施例においては酵素センサ30を使用している。この酵
素センサ(バイオセンサともいう)30を図5に示す。
【0029】酵素センサ30は、基材31に高導電性材
料より成る電極32が着設され、その上に耐水性材料よ
り成る保護電極33が着設されている。前記電極32の
材質としては、金,銀,白金,プラチナ等の貴金属や、
銅,アルミニウムなどの金属材料が考えられる。また、
この電極32に水分が付着して腐食するのを防止するた
めに設けられる保護電極33は、それ自身が化学反応に
寄与しないことが望ましく、材質としてはカーボン等が
考えられる。ただし、この酵素センサを使い捨て式のセ
ンサとして用いる場合には、低コスト化のためにあえて
保護電極33を設ける必要はない。また、電極32に保
護電極33が着設されていない部位には、高分子などよ
り成る保護膜34が設けられている。さらに、前記保護
電極33上には、酵素膜35が設けられている。そし
て、この酵素膜35の経時変化を防止するために、該酵
素膜35は分離膜36で覆われている。該分離膜36
も、低コスト化のために省略することが出来る。この酵
素膜35に唾液が付着することによりグルコース濃度の
検出が行われるのであり、酵素膜35の部分がセンサの
測定部となるのである。
【0030】ここで、前記酵素センサ30の2次元形状
の一例を図6に示す。図6においては、前記電極32及
び保護電極33の形状を明確にするために、前記酵素膜
35及び分離膜36を省いた状態を示している。また、
電極32及び保護電極33は、各々陽極32a,33
a、陰極32b,33bの2つの部分から構成されてい
る。そして、点線Bで示した部分の内側に、前記酵素膜
35が形成される。そして、前記陽極32aはリード線
によりセンサ30の陽極端子に接続され、前記陰極32
bはリード線によりセンサ30の陰極端子に接続されて
いる。センサ30を本体10に装着すると、この陽極端
子と陰極端子はそれぞれ本体側の陽極端子と陰極端子に
接触するのである。
【0031】前記電源スイッチ11,測定開始スイッチ
12がオンの時はこの陽極端子と陰極端子に所定の電圧
が印加され、後述の化学反応による生成物(H22)の
電気分解が行われるのである。
【0032】これら電極32、保護電極33及び保護膜
34の作成方法としては、例えばスクリーン印刷,エッ
チング,溶射等の方法によって形成することができる。
また、前記基材11,酵素膜35の母材,及び分離膜3
6の材質としては、例えば図7の表に挙げたものが考え
られる。
【0033】次に、前記酵素膜35及び分離膜36の作
成方法を以下に順を追って説明する。
【0034】1. 電極の前準備 1)純水1[L]に1[g]のカルボキシメチルセルロ
ース(以下、CMCと略す)を少量ずつ加えながら1〜
2時間攪拌した後に一晩放置し、0.1重量%のCMC
溶液を作成する。
【0035】2)保護電極33上に単位面積当たり0.
8[μL/mm2]のCMCを塗布する。
【0036】3)電極の劣化を防止するために、出来る
だけ低い温度、例えば40℃で1時間乾燥し、CMC層
を作成する。
【0037】2.酵素の溶解 例えば血糖センサを作成する場合には、10[mg]の
グルコースオキシダーゼを67[mL]の純水に混合
し、10[μM]の酵素溶液を作成する。このとき、酵
素の失活を防止するために、マグネチックスターラは使
用せず、手でゆっくりと攪拌するのが望ましい。
【0038】3.酵素の固定 1)16.463[g]のフェリシアン化カリウム(ヘ
キサシアノ鉄(3)カリウム、K3[Fe(CN)6])
を1[L]の純水に混合し、50[mM]のフェリシア
ン化カリウム溶液を作成する。
【0039】2)CMC溶液、酵素溶液及びフェリシア
ン化カリウム溶液各々10[mL]を1:1:1で加え
た混合水溶液を作成する。
【0040】3)混合水溶液を前記CMC層の上に単位
面積当たり1.0[μL/mm2]滴下した後40℃で1
時間乾燥し、酵素膜35を作成する。
【0041】4.分離膜の作成(必要に応じて行う) 1)1[g]のポリビニルピロリドン(以下、PVPと
略す)を100[g]のエタノールに混合し、約1時間
攪拌して、1重量%のPVP溶液を作成する。
【0042】2)PVP溶液を酵素膜35上に単位面積
当たり0.4[μL/mm2]展開し、40℃で20分間
乾燥させて分離膜36を形成する。
【0043】このように酵素膜35を構成する化学物質
は固体状態で保存されているので、経時的な変化の少な
い酵素膜を得ることが出来る。本実施例の酵素膜に固定
される酵素は前記グルコースオキシダーゼに限定させる
ものではなく、酸化還元酵素、加水分解酵素をはじめと
して種々の酵素を用いることが可能で、その結果グルコ
ース以外の生体生化学物質、例えばエタノール、乳酸,
尿酸,尿素,中性脂肪,総コレストロール,或いはピル
ビン酸などを測定するセンサを実現することが出来る。
【0044】また、酵素の固定化方法は物理的吸着法を
例にとって説明したが、これに限定されるものではな
く、例えば鈴木周一編:イオン電極と酵素電極,講談社
サイエンティフィック,1981年11月に開示されて
いるように、イオン結合法、共有結合法などの担体結合
法や、架橋法、包括法等を用いても良い。その他、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が考えられる。
【0045】次に、本実施例の作用を説明する。
【0046】上述したようにして唾液採取部材21に唾
液が採取され、この唾液採取部材21を前記蓋部材24
により押しつぶすことにより吐出された唾液が前記フィ
ルタ22を通過してセンサ30の測定部に付着する。こ
の結果、唾液が電解質となり、前記酵素膜35に固定さ
れた酵素例えばグルコースオキシダーゼが唾液中に溶け
出すこととなる。その結果、酵素が触媒となって以下に
示される化学反応が行われる。
【0047】
【数1】
【0048】この時、前記電極32の陽極32a及び陰
極32bの間には電源(図示せず)から所定電圧が印加
されており、上記化学反応で生成されたH2O2(生成物)
をもとに電気分解が発生する。以下の化学反応が行われ
るのである。
【0049】
【数2】
【0050】このとき、前記陽極32aと陰極32bの
間に流れる電流は、電流計により計測され、前記H2O2
発生量に比例した値となる。即ち、H2O2の発生量が検出
されるのである。式(1)から推測されるように、このH2O
2の量は前記β-D-グルコース、すなわちブドウ糖の量に
比例しているので、この電流値I0は前記発汗に含まれ
るブドウ糖の量に比例することが判る。
【0051】一方、センサ30の測定部に付着される唾
液量は、前記唾液採取部材21の唾液吸収量(100μ
l)にほぼ等しいので、検出された電流値I0と、唾液
量に基づいて唾液中のグルコース濃度が算出可能であ
る。前記記憶装置42のROMには、この電流値I0
唾液中のグルコース濃度との対応関係が記憶されている
ので、検出電流値I0に基づいて唾液中のグルコース濃
度が算出されることになる。 本発明の酵素膜に用いら
れて電気分解に寄与する化学物質であるフェリシアン化
カリウムは、一般にメディエーターとも呼ばれている
が、このフェリシアン化カリウムに限定させるものでは
なく、種々のイオン化物質、すなわち金属や錯体を用い
ることが可能である。
【0052】ここで、唾液中のグルコース濃度と血糖値
の相関関係に関しては、以下に列挙するように今までに
いくつかの研究が散見される。
【0053】1)C.O.Reuterving:Pilocarpine-stimula
ted salivary flow rate andsalivary glucose concent
ration in alloxan diabetic rats. Influenceof sever
ity and duration of diabetes, Acta Physiol Scand,
126,pp.511-515,1986. 2)L.N.Forbat, R.E.Collins, G.K.Maskell, P.H.Sonk
sen:Glucoseconcentrations in parotid fluid and ven
ous blood of patientsattending a diabetic clinic,
Journal of the Royal Society ofMedicine, 74,pp.725
-728, 1981. 図8は、in vivo(生体)評価実験により得られた唾液
中のグルコース濃度と血糖値の相関関係を示すものであ
り、この対応情報は記憶装置42のROMに予め記憶さ
れている。
【0054】前記酵素センサ30により検出された前記
電流値I0は、CPU41の演算処理により、前記RO
Mの対応情報に基づいて、唾液中のグルコース濃度に換
算され、更に図8の対応情報に基づき、血糖値が算出さ
れ、表示装置50に表示される。ここで、出力手段とし
て表示装置50への表示に替えて印字装置により用紙に
印字することも可能である。ここで、本実施例では検出
電流値I0を一旦唾液中のグルコース濃度に換算し、そ
れを更に血糖値に換算しているが、前記ROMに検出電
流値I0(唾液中のグルコース量)と血糖値との対応関
係をそのまま記憶させておき、直接血糖値を算出するこ
とも可能である。これは、採取部材により採取される唾
液量が略一定であるため、検出されたグルコース量がそ
の濃度と等価になるためである。
【0055】本実施例によれば、口腔中に分泌される唾
液に含まれる物質を被測定物質として用いる事により、
小型化,軽量化して携帯化に適した生化学物質測定装置
を提供することができる。
【0056】尚、本発明は上述の実施例の血糖値測定器
にのみ限定されるものではなく、前述したように酵素セ
ンサ30には酸化還元酵素、加水分解酵素をはじめとし
て種々の酵素を用いることが可能で、その結果グルコー
ス以外の生体生化学物質、例えばエタノール,乳酸,尿
酸,尿素,中性脂肪,総コレストロール,或いはピルビ
ン酸などを測定する生化学物質測定装置を実現すること
も出来る。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
本発明の生化学物質測定装置によれば、生体の分泌物と
して口腔中に分泌される唾液を収集する収集手段と、そ
の収集手段により収集された唾液に含まれる前記所定の
生化学物質の濃度に関連する情報を検出するセンサと、
前記所定の生化学物質に関して前記唾液中の濃度に関連
する情報と血液中の濃度との対応情報を記憶する記憶手
段と、前記センサにより検出された前記生化学物質の濃
度に関連する情報と前記記憶手段に記憶された対応情報
とに基づき、血液中の前記生化学物質の濃度を算出する
算出手段と、その算出手段により算出された血液中の生
化学物質の濃度を出力する出力手段とを備えているの
で、従来のように採血する必要がなく、小型化・携帯化
が可能であるという効果を奏する。
【0058】また、センサを前記生化学物質を反応させ
る少なくとも1種類の酵素と、前記反応により生成され
る生成物の増減を検出するための電極とから構成する場
合には、センサから唾液中の生化学物質の濃度に比例す
る電流値が検出され、濃度の検出が容易になり、回路構
成が簡単になって安価にできる効果を奏する。
【0059】また、前記収集手段が口腔中に収容可能且
つ前記センサに対して着脱可能に構成されている場合
は、収集手段のみを口腔内に入れて唾液の収集を行い、
収集後にセンサに装着することにより、唾液中の生化学
物質の濃度の測定が可能となる。この唾液の収集時に
は、センサが直接口腔に接触しないので、センサに生体
に対する有害物質が使用されていたとしても生体への影
響を排除でき、実用的であるという効果を奏する。
【0060】また、前記収集手段を、口腔中において分
泌された唾液を毛細管現象により吸収し、不純物を除去
する多孔質体から構成した場合には、センサの検出を妨
げる不純物を除去すると共に容易に唾液の採取が可能と
なり、正確な測定が可能となるという効果を奏する。
【0061】また、前記酵素は少なくともグルコースオ
キシダーゼを含み、前記センサによる検出される生化学
物質の濃度はブドウ糖の濃度である場合は、血液の血糖
値を容易に把握することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の血糖値測定器の電気的構成
を示すブロック図である。
【図2】本実施例の血糖値測定器の概観を示す図であ
る。
【図3】唾液の採取方法を示す説明図である。
【図4】唾液の収集方法を示す説明図である。
【図5】酵素センサの一例を示す構成図である。
【図6】酵素センサの電極部分のみを示す平面図であ
る。
【図7】酵素センサの基材,酵素膜,分離膜の材質表を
示す図である。
【図8】記憶装置42に記憶された唾液中のグルコース
濃度と血糖値との対応関係を示す図である。
【符号の説明】
10 生化学物質測定装置(血糖値測定器) 20 収集部 21 唾液採取部材 22 フィルタ 30 センサ 32 電極 35 酵素膜 40 演算部 50 表示部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の血液中に含まれ且つ生体の分泌物
    中にも含まれる所定の生化学物質を測定する非観血式の
    生化学物質測定装置であって、 生体の分泌物として口腔中に分泌される唾液を収集する
    収集手段と、 その収集手段により収集された唾液に含まれる前記所定
    の生化学物質の濃度に関連する情報を検出するセンサ
    と、 前記所定の生化学物質に関して前記唾液中の濃度に関連
    する情報と血液中の濃度との対応情報を記憶する記憶手
    段と、 前記センサにより検出された前記生化学物質の濃度に関
    連する情報と前記記憶手段に記憶された対応情報とに基
    づき、血液中の前記生化学物質の濃度を算出する算出手
    段と、 その算出手段により算出された血液中の生化学物質の濃
    度を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする生化
    学物質測定装置。
  2. 【請求項2】 前記センサは、前記生化学物質を反応さ
    せる少なくとも1種類の酵素と、前記反応により生成さ
    れる生成物の増減を検出するための電極とを備えたこと
    を特徴とする請求項1に記載の生化学物質測定装置。
  3. 【請求項3】 前記収集手段は、口腔中に収容可能且つ
    前記センサに対して着脱可能に構成されていることを特
    徴とする請求項1または2に記載の生化学物質測定装
    置。
  4. 【請求項4】 前記収集手段は、口腔中において分泌さ
    れた唾液を毛細管現象により吸収し、不純物を除去する
    多孔質体から構成されていることを特徴とする請求項3
    に記載の生化学物質測定装置。
  5. 【請求項5】 前記酵素は少なくともグルコースオキシ
    ダーゼを含み、前記センサにより検出される生化学物質
    の濃度はブドウ糖の濃度であることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載の生化学物質測定装置。
JP7157423A 1995-06-23 1995-06-23 生化学物質測定装置 Pending JPH095320A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7157423A JPH095320A (ja) 1995-06-23 1995-06-23 生化学物質測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7157423A JPH095320A (ja) 1995-06-23 1995-06-23 生化学物質測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH095320A true JPH095320A (ja) 1997-01-10

Family

ID=15649318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7157423A Pending JPH095320A (ja) 1995-06-23 1995-06-23 生化学物質測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH095320A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001201437A (ja) * 2000-01-21 2001-07-27 Brother Ind Ltd 非侵襲的血糖値測定のためのキャピラリー装置、試験装置、測定方法及びモニター方法
JP2016045186A (ja) * 2014-08-19 2016-04-04 新日本無線株式会社 生体試料採取器及びその採取方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001201437A (ja) * 2000-01-21 2001-07-27 Brother Ind Ltd 非侵襲的血糖値測定のためのキャピラリー装置、試験装置、測定方法及びモニター方法
JP2016045186A (ja) * 2014-08-19 2016-04-04 新日本無線株式会社 生体試料採取器及びその採取方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2332112C (en) Monitoring of physiological analytes
US5954685A (en) Electrochemical sensor with dual purpose electrode
US7133712B2 (en) Method and apparatus for non-invasive monitoring of blood substances using self-sampled tears
JP3454789B2 (ja) 生理学的な値を予測するための方法およびデバイス
US7949382B2 (en) Devices, systems, methods and tools for continuous glucose monitoring
US20080312518A1 (en) On-demand analyte monitor and method of use
JP2002525150A (ja) 生理的数値を予測する方法および装置
JP2002528190A (ja) イオン導入サンプリングシステムの品質管理試験のためのキットおよび方法
JPH0968533A (ja) 薬品投与量を表示可能な生化学物質測定装置
JPH095322A (ja) 生化学物質測定装置
JPH0972900A (ja) 生化学物質測定装置及びそれに適用する唾液収集方法
JPH095321A (ja) 生化学物質測定装置及びそれに適用する唾液収集方法
JPH095320A (ja) 生化学物質測定装置
JPH0968523A (ja) 生化学物質測定装置
JPH0933532A (ja) 生化学物質測定装置
JPH0961424A (ja) 生化学物質分析装置
KR100541266B1 (ko) 경피 글루코스 측정용 전극의 조성
JPH095296A (ja) バイオセンサ
Mohan et al. Nanomaterials-based flexible electrochemical sensors for health care monitoring
JP3424399B2 (ja) 尿中成分濃度測定装置
Dudde et al. Micromachined amperometric cells for continuous monitoring of glucose and lactate
JPS63144248A (ja) バイオセンサ