JP2001200854A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2001200854A JP2000010016A JP2000010016A JP2001200854A JP 2001200854 A JP2001200854 A JP 2001200854A JP 2000010016 A JP2000010016 A JP 2000010016A JP 2000010016 A JP2000010016 A JP 2000010016A JP 2001200854 A JP2001200854 A JP 2001200854A
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幹雄 黒松
Tetsuya Oda
徹也 小田
Kiyoshi Tanimoto
清 谷本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軌道面1c,2cに配置した鋼板1b,2b
により耐荷重性を損なうことなく、これらの鋼板1b,
2bが剥がれるおそれも生じない転がり軸受を提供す
る。 【解決手段】 内輪1と外輪2の軌道面1c,2cに配
置した鋼板1b,2bの線膨張係数とほぼ等しい合成樹
脂材料を用いてこの内輪1と外輪2の本体1a,2aを
形成する。合成樹脂材料としては、例えば熱硬化性不飽
和ポリエステルとシリカのコンポジット材やPPS樹脂
と炭素繊維又はPBO繊維のコンポジット材などを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、玉軸受やニードル
軸受等のような転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のラジアル玉軸受の構成例を図6に
示す。このラジアル玉軸受は、リング状の内輪1と外輪
2の間に複数個の鋼球3を配置したものである。内輪1
は、リング状の鋼材の外周面に、中央部が凹状に窪んだ
軌道面1cを形成したものであり、外輪2は、この内輪
1の外周側に間隔を開けて配置される径の大きいリング
状の鋼材の内周面に、中央部が凹状に窪んだ軌道面2c
を形成したものである。鋼球3は、内輪1と外輪2の間
の軌道面1c,2c上に挿入されるように鋼材を球状に
加工した転動体であり、図示しないリテーナーによって
等角度間隔で複数個配置されている。従って、例えば外
輪2を固定して内輪1を回転させると、これら内輪1と
外輪2の軌道面1c,2c上を複数個の鋼球3が転動す
るので、このときの転がり摩擦だけで内輪1の回転を円
滑に支持することができるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ラジア
ル玉軸受は、内輪1や外輪2を高カーボンのクロム軸受
鋼等のような高価な鋼材で形成するので、コストが高く
なり重量も重くなるという問題があった。また、このよ
うな鋼材に代えて、合成樹脂製の内輪1と外輪2を使う
ラジアル玉軸受も従来からあったが、合成樹脂材料では
荷重が加わった場合に軌道面1c,2cが摩耗し易く耐
荷重性が劣るので、負荷の大きい用途には利用できない
という問題が生じていた。
【0004】ここで、上記問題を解消するには、内輪1
と外輪2の本体部分は合成樹脂材料で形成し、軌道面1
c,2cの部分にのみ鋼板を用いることも考えられる。
しかし、一般に合成樹脂材料は、鋼材に比べて線膨張係
数が非常に大きいので、ラジアル玉軸受の使用時等の温
度上昇により、軌道面1c,2cの鋼板が本体部分の合
成樹脂材料から剥がれて分離するおそれがあり、また、
鋼板に合成樹脂材料をインサート成形する場合には、樹
脂が硬化する際のヒケによって、この合成樹脂材料が鋼
板から剥がれて分離するおそれもある。このため、合成
樹脂材料と鋼板を組み合わせたラジアル玉軸受は、耐久
性や安全性が要求される用途には使用できないという新
たな問題が生じる。
【0005】なお、上記問題は、ラジアル玉軸受に限ら
ず、転がり軸受一般に共通するものである。
【0006】本発明は、かかる事情に対処するためにな
されたものであり、線膨張係数が鋼材とほぼ等しい合成
樹脂材料を用いることにより、耐荷重性が高く鋼材が剥
がれるおそれもない転がり軸受を提供することを目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、内輪
と外輪の間に配置した転動体を、これら内輪と外輪の軌
道面上で転動させる転がり軸受において、内輪と外輪の
本体部分をそれぞれ線膨張係数が0.8×10-5〜1.
4×10-5/Kの範囲内の合成樹脂材料で形成し、これ
ら内輪と外輪の少なくとも軌道面にそれぞれ鋼板を配置
したことを特徴とする。
【0008】請求項1の発明によれば、内輪と外輪の本
体部分に、線膨張係数が鋼材とほぼ等しい合成樹脂材料
を用いるので、使用時や成形時の温度上昇により、軌道
面の鋼板がこれら合成樹脂材料の本体部分から剥がれて
分離するようなことがなくなる。
【0009】請求項2の発明は、前記合成樹脂材料が、
熱硬化性不飽和ポリエステルとシリカのコンポジット材
であることを特徴とする。
【0010】請求項2の発明によれば、内輪と外輪の本
体部分に、線膨張係数の大きい熱硬化性不飽和ポリエス
テルと負の線膨張係数を持つシリカのコンポジット材を
用いるので、コンポジット材自体の線膨張係数は鋼材と
ほぼ等しくすることができ、軌道面の鋼板がこのコンポ
ジット材の本体部分から剥がれて分離するようなことが
なくなる。
【0011】請求項3の発明は、前記合成樹脂材料が、
PPS樹脂と炭素繊維のコンポジット材であることを特
徴とする。
【0012】請求項3の発明によれば、内輪と外輪の本
体部分に、線膨張係数の大きいPPS樹脂と負の線膨張
係数を持つ炭素繊維のコンポジット材を用いるので、コ
ンポジット材自体の線膨張係数は鋼材とほぼ等しくする
ことができ、軌道面の鋼板がこのコンポジット材の本体
部分から剥がれて分離するようなことがなくなる。
【0013】請求項4の発明は、前記合成樹脂材料が、
PPS樹脂とPBO繊維のコンポジット材であることを
特徴とする。
【0014】請求項4の発明によれば、内輪と外輪の本
体部分に、線膨張係数の大きいPPS樹脂と負の線膨張
係数を持つPBO繊維のコンポジット材を用いるので、
コンポジット材自体の線膨張係数は鋼材とほぼ等しくす
ることができ、軌道面の鋼板がこのコンポジット材の本
体部分から剥がれて分離するようなことがなくなる。
【0015】請求項5の発明は、前記鋼板が、内輪と外
輪の軌道面だけでなく両側面の一部又は全部にもそれぞ
れ配置されたことを特徴とする。
【0016】請求項5の発明によれば、鋼板が内輪と外
輪の軌道面から両側面にかけて配置されるので、この鋼
板と内輪や外輪の本体部分に用いられる合成樹脂材料と
が強固に密着し、これによっても鋼板が合成樹脂材料の
本体部分から剥がれて分離するようなおそれをなくすこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0018】図1〜図5は本発明の一実施形態を示すも
のであって、図1はラジアル玉軸受の構造を説明するた
めの部分縦断面図、図2は鋼板を軌道面の中央にのみ配
置したラジアル玉軸受の構造を説明するための部分縦断
面図、図3は鋼板を内輪や外輪の側面にまで配置したラ
ジアル玉軸受の構造を説明するための部分縦断面図、図
4は鋼板を内輪や外輪の側面全面にまで配置したラジア
ル玉軸受の構造を説明するための部分縦断面図、図5は
鋼板を内輪や外輪の側面全面と背面の一部にまで配置し
たラジアル玉軸受の構造を説明するための部分縦断面図
である。なお、図6に示した従来例と同様の機能を有す
る構成部材には同じ番号を付記する。
【0019】本実施形態では、図6に示した従来例と同
様のラジアル玉軸受について説明する。このラジアル玉
軸受は、リング状の内輪1と外輪2の間に複数個の鋼球
3を配置したものである。鋼球3は、従来例と同様に鋼
材を球状に加工した転動体である。
【0020】図1の上側に断面を示す内輪1は、リング
状の本体1aの外周側(下側)に、筒状の鋼板1bを配
置して、この鋼板1bの外周面を軌道面1cとしたもの
である。本体1aは、線膨張係数が0.8〜1.4×1
-5/Kの範囲内の合成樹脂材料で形成している。鋼板
1bは、クロム軸受鋼板等を軸方向に短い筒状としたも
のであり、この鋼板1bの軌道面1cには、軸方向の中
央部に円周方向に沿った凹状の窪み、即ち軌道が形成さ
れている。
【0021】図1の下側に断面を示す外輪2は、リング
状の本体2aの内周側(上側)に、筒状の鋼板2bを配
置して、この鋼板2bの内周面を軌道面2cとしたもの
である。本体2aは、線膨張係数が0.8〜1.4×1
-5/Kの範囲内の合成樹脂材料で形成している。鋼板
2bは、鋼板1bと同様に、クロム軸受鋼板等を軸方向
に短い筒状としたものであり、この鋼板2bの軌道面2
cにも、軸方向の中央部に円周方向に沿った凹状の窪
み、即ち軌道が形成されている。
【0022】上記内輪1と外輪2は、本体1a,2aの
合成樹脂材料を鋼板1b,2bにインサート成形するこ
とにより形成される。鋼板1b,2bに使用される鋼材
の線膨張係数は、例えばクロム鋼の場合が1.0×10
-5/K程度であり、ニッケル鋼でも1.2×10-5/K
程度であることから、上記のように線膨張係数が0.8
〜1.4×10-5/Kの範囲内の合成樹脂材料をインサ
ート成形するのであれば、温度変化による線膨張係数の
相違により鋼板1b,2bが合成樹脂材料の本体1a,
2aから剥がれて分離するようなおそれは生じず、確実
にこれらを密着させることができる。
【0023】上記合成樹脂材料としては、具体的には、
熱硬化性不飽和ポリエステルとシリカのコンポジット
材、又は、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)
と炭素繊維のコンポジット材、若しくは、このPPS樹
脂とPBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサ
ゾール繊維)のコンポジット材等を用いることができ
る。また、PPS樹脂に代えて、ポリサルフォン、プリ
エーテルサルフォン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリアミドイミド、又は、芳香族ポ
リアミドを用いることもできる。PPS樹脂の線膨張係
数は1〜5×10-5/K程度であり、熱硬化性不飽和ポ
リエステル等も同様に、鋼材に比べて比較的大きな線膨
張係数を有する。これに対して、炭素繊維の線膨張係数
は−0.07〜−0.15×10-5/K程度であり、P
BO繊維の線膨張係数も−0.6×10-5/K程度とな
り、シリカも同様に負の線膨張係数を有する。従って、
これらをコンポジット材とすることにより、合成樹脂材
料全体での線膨張係数を上記のような0.8〜1.4×
10-5/Kの範囲内とすることができる。特に、PBO
繊維は、アラミド繊維と同様の高分子繊維であるが、ア
ラミドより高弾性率で高強度と高耐熱とを有する。例え
ば、通常の高分子繊維の分解温度は400℃程度である
が、PBO繊維の分解温度は650℃となり、耐熱性に
優れた素材となる。
【0024】各鋼球3は、上記内輪1と外輪2を同心状
に配置した場合の軌道面1c,2cにおける窪みの底部
の曲率半径とほぼ同じ半径を有し、この軌道面1c,2
cの窪みに挿入される。また、これらの鋼球3は、図示
しないリテーナーによって等角度間隔となるように内輪
1と外輪2の間に配置される。
【0025】上記構成により、本実施形態のラジアル玉
軸受は、内輪1と外輪2のいずれか一方又は双方を相対
的に回転させると、これら内輪1と外輪2の軌道面1
c,2c上を複数個の鋼球3が転動するので、このとき
の転がり摩擦だけで回転を円滑に支持することができる
ようになる。また、鋼球3は、鋼板1b,2bの軌道面
1c,2c上を転動するので、十分な耐荷重性を有する
ことができる。さらに、内輪1と外輪2の本体1a,2
aは、軽い合成樹脂材料で形成されるので、ラジアル玉
軸受の軽量化を図ることもできる。
【0026】しかも、内輪1と外輪2は、本体1a,2
aを構成する合成樹脂材料と鋼板1b,2bの線膨張係
数がほぼ等しいことから、ラジアル玉軸受の使用時の温
度上昇により、この鋼板1b,2bが本体1a,2aの
合成樹脂材料から剥がれて分離するようなおそれもなく
なる。また、この鋼板1b,2bに合成樹脂材料をイン
サート成形する場合にも、樹脂が硬化する際のヒケによ
って、この合成樹脂材料が鋼板1b,2bから剥がれて
分離するようなおそれもなくなる。
【0027】ところで、上記構成では、鋼板1b,2b
を内輪1と外輪2の軌道面1c,2cの全面に配置した
が、図2に示すように、軌道面1c,2cの中央部の窪
みの部分にのみ配置することもできる。この場合にも、
鋼板1b,2bが実際に鋼球3を支持することになるの
で、耐荷重性が損なわれるようなことはない。
【0028】また、図3〜図5に示すように、鋼板1
b,2bを軌道面1c,2cだけでなく、内輪1と外輪
2の両側面にまで配置するようにしてもよい。図3は、
鋼板1b,2bの両端部を屈曲させて内輪1と外輪2の
両側面の一部にまで配置した場合を示し、図4は、この
鋼板1b,2bが内輪1と外輪2の両側面の全部を覆う
ように配置した場合を示し、図5は、この鋼板1b,2
bが内輪1と外輪2の両側面の全部と背面の一部も覆う
ように配置した場合を示す。これらの場合には、鋼板1
b,2bの折れ曲がった両端部が本体1a,2aの合成
樹脂材料を挟み込むようになるので、鋼板1b,2bと
合成樹脂材料の密着度が増して、より一層剥がれ難くな
る。特に、図4や図5の場合には、合成樹脂材料が鋼板
1b,2bに抱え込まれるようになるので、さらに強固
な密着性を得ることができるとともに嵌合される軸やハ
ウジングに対しこれら鋼板を介して荷重を受けることに
なるので耐荷重性も増す。
【0029】なお、上記実施形態では、ラジアル玉軸受
について説明したが、鋼球3を用いた玉軸受に限らず、
転動体としてころを用いたころ軸受等の転がり軸受であ
ってもよい。また、ラジアル軸受に限らず、スラスト軸
受にも同様に実施可能である。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の転がり軸受によれば、内輪と外輪の本体部分に、線膨
張係数が鋼材とほぼ等しい各種の合成樹脂材料を用いる
ので、温度変化によって軌道面の鋼板がこれら合成樹脂
材料の本体部分から剥がれて分離するようなことがなく
なる。しかも、内輪と外輪の本体部分には、鋼材よりも
安価で軽い合成樹脂材料を用いるので、耐荷重性を損な
うことなく、転がり軸受のコストを低減し軽量化を図る
こともできる。
【0031】また、鋼板を内輪と外輪の両側面にまで配
置すれば、この鋼板を合成樹脂材料にさらに強固に密着
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、ラジ
アル玉軸受の構造を説明するための部分縦断面図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、鋼板
を軌道面の中央にのみ配置したラジアル玉軸受の構造を
説明するための部分縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであって、鋼板
を内輪や外輪の側面にまで配置したラジアル玉軸受の構
造を説明するための部分縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであって、鋼板
を内輪や外輪の側面全面にまで配置したラジアル玉軸受
の構造を説明するための部分縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであって、鋼板
を内輪や外輪の側面全面と背面の一部にまで配置したラ
ジアル玉軸受の構造を説明するための部分縦断面図であ
る。
【図6】従来例を示すものであって、ラジアル玉軸受の
全体構造を示す縦半断面斜視図である。
【符号の説明】
1 内輪 1a 本体 1b 鋼板 1c 軌道面 2 外輪 2a 本体 2b 鋼板 2c 軌道面 3 鋼球
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷本 清 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA12 AA14 AA24 AA42 AA52 AA53 AA62 BA53 BA54 BA55 BA56 BA64 BA65 BA70 EA02 EA03 EA31 EA35 EA76

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と外輪の間に配置した転動体を、こ
    れら内輪と外輪の軌道面上で転動させる転がり軸受にお
    いて、 内輪と外輪の本体部分をそれぞれ線膨張係数が0.8×
    10-5〜1.4×10 -5/Kの範囲内の合成樹脂材料で
    形成し、 これら内輪と外輪の少なくとも軌道面にそれぞれ鋼板を
    配置したことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂材料が、熱硬化性不飽和ポ
    リエステルとシリカのコンポジット材であることを特徴
    とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂材料が、PPS樹脂と炭素
    繊維のコンポジット材であることを特徴とする請求項1
    に記載の転がり軸受。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂材料が、PPS樹脂とPB
    O繊維のコンポジット材であることを特徴とする請求項
    1に記載の転がり軸受。
  5. 【請求項5】 前記鋼板が、内輪と外輪の軌道面だけで
    なく両側面の一部又は全部にもそれぞれ配置されたこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の
    転がり軸受。
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