JP2001200441A - 紙糸、しわ圧潰加工紙および編織物 - Google Patents

紙糸、しわ圧潰加工紙および編織物

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JP2001200441A
JP2001200441A JP2000012241A JP2000012241A JP2001200441A JP 2001200441 A JP2001200441 A JP 2001200441A JP 2000012241 A JP2000012241 A JP 2000012241A JP 2000012241 A JP2000012241 A JP 2000012241A JP 2001200441 A JP2001200441 A JP 2001200441A
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wrinkles
wet
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Junichi Ishikawa
順一 石川
Hitoshi Shinohara
斉 篠原
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SANGAWA SEISHI KK
WASHI NO ISHIKAWA KK
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SANGAWA SEISHI KK
WASHI NO ISHIKAWA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸度が高く、表面が滑らかですべりの良い、
編織時に切れ難い紙糸を提供し、品質が良好な編織物を
生産性良く製造できるようにする。さらに、このような
紙糸の製造に適した、初期伸びが小さく、しかも限界破
断伸びの大きいしわ圧潰加工紙を提供する。 【解決手段】 長手方向に沿う折り目を有する紙製テ
ープか、あるいは、抄紙後のウエットクレープ加工によ
りしわが形成され、該しわがドライヤーを圧接すること
により押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製
された紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状
にしてなる紙糸。抄紙後のウエットクレープ加工により
しわが形成され、該しわがドライヤーを圧接することに
より押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙。編織されこの
紙糸を含む編織紙布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙糸、およびこの紙糸
の製造に適した紙、およびこの紙糸を用いた編織物に関
する。
【0002】
【従来の技術】和紙を細長い短冊状に切り、撚って紙糸
にして、得られた紙糸を製織した紙布は、古くは鎌倉時
代より紙衣として使用されていたが、紙糸の製造に手間
がかかるため、一般に普及することはなかった。
【0003】近年は、楮、三椏、およびマニラ麻等の原
料を使用した機械漉和紙製の紙糸が製造されている。し
かし、この紙糸は、伸びがなく、糸の表面が粗いもので
あったため、編織機にかけたときに糸が切れ易く、手織
りでないと編織困難であったり、編織機を使用できた場
合でも高速では糸切れが頻繁に起こるので、編織スピー
ドに制限を受け、生産効率を向上させることができない
という問題を有していた。さらに、前記紙糸から得られ
た紙布は編織り地面が荒れて見え、高品質の編織物を得
ることは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、伸度
が高く、表面が滑らかですべりの良い、編織時に切れ難
い紙糸を提供し、品質が良好な編織物を生産性良く製造
できるようにすることである。さらに、本発明は、この
ような紙糸の製造に適した初期伸びが小さく、しかも限
界破断伸びの大きいしわ圧潰加工紙を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく研究を進めた結果、紙製テープに長手方向
に沿う折り目を施しておくことによって、および/また
は、抄紙後のウエットクレープ加工により形成されたし
わを押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて紙製テ
ープを作製することによって、該紙製テープをらせん甘
撚りして紐状にしたときに、糸の断面が丸くて、伸度が
高く、表面が滑らかですべりの良い、編織時に切れ難い
紙糸が効率良く得ることができることを見いだし、本発
明を完成した。すなわち、本発明にかかる第1の紙糸
は、長手方向に沿う折り目を有する紙製テープを、らせ
ん甘撚りすることにより紐状にしてなる。
【0006】本発明にかかる第2の紙糸は、抄紙後のウ
エットクレープ加工によりしわが形成され、該しわがド
ライヤーを圧接することにより押しつぶされてなるしわ
圧潰加工紙を用いて作製された紙製テープを、らせん甘
撚りすることにより紐状にしてなる。
【0007】本発明にかかるしわ圧潰加工紙は、抄紙後
のウエットクレープ加工によりしわが形成され、該しわ
がドライヤーを圧接することにより押しつぶされてな
る。本発明にかかる編織物は、編織された前記紙糸を含
んでいる。
【0008】
【発明の実施形態】以下に本発明を詳しく説明する。本
発明に用いられる紙製テープの原料は、特に限定される
ものではなく、例えば、モミ、ウラジロモミ、トドマ
ツ、シラベ、ヒノキ、サワラ、スギ、カラマツ、アカエ
ゾマツ、エゾマツ、クロエゾマツ、トウヒ、アカマツ、
クロマツ、マキ、ヒバ、カヤ、ツガ、ベイモミ、ピーオ
ーシーダー、アラスカシーダー、レッドウッド、ヘムロ
ック等の針葉樹;コットンウッド、アスペン、タスマニ
アンオーク等の広葉樹;竹、バカス、ケナフ、マニラ
麻、わら等のその他の植物;等から得られるパルプが使
用される。また、楮や三椏等の靭皮繊維またはレーヨン
等を使用することもできる。このように、本発明の紙糸
は紙を素材にしているため、高い断熱性を発揮するもの
である。
【0009】本発明において、前記原料を抄紙して得ら
れる紙の目付は、特に限定はないが、得られる紙糸の強
度を保持し、機械による編織作業を容易にするために
は、8〜40g/m2 の範囲にある薄い紙とすることが
好ましい。目付が8g/m2 未満であると、紙糸が弱
く、糸切れし易くなり、40g/m2 を超えると、紙糸
が硬くなり、取扱いにくくなる。
【0010】本発明にかかる第1の紙糸に用いられる紙
製テープは、図1にみるような、長手方向に沿う折り目
を有するものである。該折り目は、紙製テープの幅に応
じて、1本のみ形成されていてもよいし、複数本が形成
されていてもよい。このように、紙製テープの長手方向
に細かい折り目をつけることによって、紙糸を製造した
ときに、断面が丸く滑りの良い紙糸とすることができる
のである。なお、折り目が形成されてなる紙製テープ
は、例えば、原紙の段階で折り目を形成しておいた後
に、該原紙をテープ状にカットして得られたものでもよ
いし、あるいは、原紙を先にテープ状にカットしておい
た後、折り目を形成する加工を施して得られたものでも
よい。好ましくは、折り目の形成加工は、原紙の段階で
行われる。
【0011】前記折り目を形成する手段としては、特に
限定されるものではないが、製造コスト等の点から、エ
ンボス加工が好ましい。原紙にエンボス加工を施す際の
好ましい実施形態を図2に示す。抄紙され乾燥した広幅
(例えば、1240mm)の紙は、帯状の連続体(原
紙)10として一定方向に走行させておく。紙の走行経
路には、周方向に続く溝または突起が軸方向に多数並ん
でいるエンボスロール20が、原紙10を挟むようにし
て2つ配置されている。エンボスロール20,20を両
側から原紙10に押し当てると、エンボスロール20の
凹凸形状にしたがって原紙10に微細な凹凸が形成され
る。エンボス加工紙11にこのようにして形成された微
細な凹凸は、原紙10の長手方向に沿って、図1にみる
ように1本または複数のストライプ状の連続した折り目
となっている。ここで、エンボスロール20の微細な凹
凸とは、凹部同士あるいは凸部同士の間隔、すなわち凹
凸ピッチが、好ましくは2mm以下であり、紙にそうした
跡が残る程度の凹凸である。凹凸の配置は、紙をテープ
状に裁断した際にテープの長手方向に折り目、すなわち
エンボス跡が残るようになっていれば特に制限されるも
のではなく、格子状、点状、模様状、あるいは不定形の
凹凸が前後左右あるいは千鳥状に配置されたエンボスロ
ールであることもできる。
【0012】本発明にかかる第2の紙糸に用いられる紙
製テープは、抄紙後のウエットクレープ加工によりしわ
が形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより
押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製された
ものである。
【0013】本発明にかかる前記しわ圧潰加工紙は、抄
紙段階でいったんしわを形成した後に該しわを押しつぶ
したものであり、さらに詳しくは、まず、ウエットクレ
ープ加工により細かいしわ付けを行い、次に、このしわ
の山を潰して、平滑性を発現させたものである。このよ
うなしわ圧潰加工紙は、表面は平滑でしわがなくなった
ように見えるのであるが、実際は、図3の(a)のよう
に、しわは紙層内に残存している。
【0014】これに対して、従来のしわ加工紙(例え
ば、ウエットクレープ加工のみを施した場合)は、図3
の(b)のようになっている。本発明のしわ圧潰加工紙
は、圧接しながらドライヤーの熱により乾燥させること
で、図3の(a)に示す状態で水分を強制的に蒸発させ
ることができ、これにより、紙層内セルロース繊維間に
水素結合を生じさせることができる。その結果、この水
素結合による強度により、らせん甘撚り等の加工時のテ
ンション程度の力では図3の(a)の状態が崩されない
ので、加工時のしわの伸びきりや消失を防ぎ、高い伸度
を維持することができる。一方、さらに大きな力が加わ
り紙が切れようとする時の伸びは、元々のウエットクレ
ープ加工時に設定した伸び率のままに発現しうることと
なる。
【0015】本発明にかかる前記しわ圧潰加工紙は、初
期伸びが4%以下で、しかも限界破断伸びが14%以上
であり、初期伸びは小さく、限界破断伸びが大きい紙で
ある。そのため、紙糸の製造に用いた場合にも、撚糸の
際に該しわが伸びきってしまうことを防ぎ、伸度の大き
い紙糸とすることができ、ひいては編織時の糸切れを回
避することができるのである。初期伸びが4%を越える
と、撚糸時に紙が伸びてしまうので好ましくない。ま
た、限界破断伸びが14%未満であると、編織時に糸切
れし易くなるので好ましくない。
【0016】ウエットクレープ加工の後にドライヤーに
よる圧接を行う際の好ましい実施形態を図4に示す。抄
紙された広幅(例えば、1240mm)の紙12は、乾
燥する前の湿った状態で、一定方向に走行している。湿
紙12の走行経路には、クレープ加工ロール(上)30
およびクレープ加工ロール(下)40が、湿紙12を挟
むようにして配置されており、さらにその先に、ドライ
ヤー50とタッチロール60が当接して配置されてい
る。ここで、クレープ加工ロール30,40の周速は、
ドライヤー50の周速よりも速く設定されている。湿紙
12は、クレープ加工ロール(上)30とクレープ加工
ロール(下)40とで加圧されつつ、これらの間を通過
し、続いてクレープ加工ロール(上)30に当接された
ドクターナイフ70によってクレープ加工ロール(上)
30から剥がされると、図5の左側部分にみるような、
湿紙12の幅方向につづく微細な波状のしわが形成され
たクレープ加工湿紙13となる。その断面は図3(b)
にみるようである。次いで、このクレープ加工湿紙13
を、タッチロール60によってドライヤー50に強く圧
接させながら乾燥することにより、前記微細なしわが押
しつぶされ、図3の(a)にみるような断面を有し、表
面が図5の右側部分に示すように平滑な、しわ圧潰加工
紙14となる。
【0017】本発明にかかる第1の紙糸および第2の紙
糸に用いられる紙製テープはいずれも、耐水処理が施さ
れたものであることが好ましい。耐水処理を施した紙製
テープを使用することにより、耐水性・耐洗濯性に優れ
た紙糸とすることができる。さらに、耐水処理された紙
製テープからなる紙糸は、通常の糸の染色と同様の方法
で、紙糸の状態で任意の色に染色することができる。こ
のとき使用される染料としては、例えば、化学染料、藍
のような天然染料、紅花、くちなし等の天然色素等のい
ずれをも使用することができる。
【0018】耐水処理の方法については、特に限定はな
く、例えば、水中に分散させた状態のパルプに耐水剤を
添加してから抄紙する方法、耐水剤を含んだ溶液を既に
パルプを抄紙して得られた紙(加工紙)に含浸させた
り、塗工機で塗布する方法が挙げられる。なお、含浸さ
せたり、塗工機で塗布する方法については、既にテープ
状にカットされた後に適用してもよい。中でも、特別の
工程をもうける必要がなく、しかも均一に耐水剤を施す
ことが可能な、水中に分散させた状態のパルプに耐水剤
を添加してから抄紙する方法が好ましい。
【0019】耐水剤としては、特に限定はなく、例え
ば、エポキシ化ポリアミド樹脂、アクリル酸エステル、
ジアルデヒドデンプン、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリ
エチレンイミン等を含む湿潤紙力増強剤;ポリアクリル
アミド樹脂、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボ
キシメチルセルロース、尿素樹脂等を含む乾燥紙力増強
剤;が挙げられる。特に、これらから選ばれる湿潤紙力
増強剤と乾燥紙力増強剤とを併用することによって、強
靱で、耐水性・耐洗濯性に優れ、毛羽立ちが生じにくく
なり、機械織りおよび機械編み可能となり、紙糸が、湿
潤時、乾燥時のいずれの状態にあっても紙糸の強さが増
す。前記湿潤紙力増強剤の中では、エポキシ化ポリアミ
ド樹脂が好ましく、前記乾燥紙力増強剤の中では、ポリ
アクリルアミド樹脂が好ましい。エポキシ化ポリアミド
樹脂とポリアクリルアミド樹脂とを併用すると、パルプ
を抄紙して得られる紙を硬くすることなく、紙の張力を
強くすることができる。
【0020】耐水剤の使用量については、特に限定はな
いが、パルプから得られる紙に対して絶乾重量比で、
0.1〜3%の割合で付着させるのが好ましい。耐水剤
の使用量が0.1%未満であると、十分に紙糸に耐水性
・耐洗濯性を付与することはできず、毛羽立ちが生じ、
紙糸を機械織りまたは機械編みするのが困難となる。耐
水剤の使用量が3%を超えると、得られる紙が堅くな
り、耐水剤の使用量に応じた耐水性向上の効果は得られ
なくなる。
【0021】本発明の紙糸に用いられる紙製テープの幅
は、特に限定はないが、得られる紙糸の強度を保持し、
テープを紙糸にする作業性を上げ、機械による編織作業
を容易にするためには、1〜100mmであるのが好ま
しい。さらに好ましくは2〜50mmである。紙の厚み
を薄くしてテープの幅を広くすると柔らかな紙糸とな
り、紙糸の強度が高く、編織に適するようになる。例え
ば、8g/m2 で10cm幅のテープで得られる紙糸の
方が40g/m2 で2cm幅の紙糸よりも紙糸の強度が
高く、柔らかで、編織に適するものになる。なお、紙を
テープ状に加工して紙製テープを得る方法としては、特
に限定はないが、作業を効率良く行うため、得られた紙
を取扱の容易なロール状に巻き取り、スリッターを使用
してテープ状に加工する方法が好ましい。
【0022】本発明の紙糸は、前記のような紙製テープ
をらせん甘撚りすることにより紐状にしてなるものであ
る。このように紙製テープをらせん甘撚りして得られた
本発明の紙糸は、外壁が多孔質の紙でできた中空繊維の
ような形状を有し、中空部分に空気を多量に含むことが
できるので、編織した場合には、毛羽がなく、肌触り良
く、断熱性の高い編織物とすることができる。また、中
空部分を有することにより、本発明の紙糸は、該中空部
分による毛管現象で多量の水分を素早く吸収し、吸収し
た水分を表面積の広い紙面に広げて蒸発によって効率良
く排出させることができるので、水分の吸排出性に優れ
た紙糸となる。
【0023】本発明において、紙製テープをらせん甘撚
りする方法は、特に限定されるものではない。また、撚
り回数や仕上がり糸径等のらせん甘撚り条件についても
特に限定はないが、例えば、撚り回数については、通
常、紙糸30cm当たり1〜150回とするのが、肌触
り、水分の吸排出性および断熱性の観点から好ましい。
これまでのように紙製テープに前記折り目を施すことな
しでは、撚り回数を上げても、紙糸の強度が弱くなり、
実用に供し得る細糸を得ることは困難であったが、本発
明においては、用いる紙製テープに前記折り目を施すこ
と、あるいは前記しわ圧潰加工紙を用いて紙製テープを
作製することによって、用途に応じて、撚り回数を紙糸
30cm当たり120回程度にまで上げ、非常に細い糸
を得ることができる。
【0024】本発明の紙糸は、代表的な天然繊維である
綿花のように、植物の一部分を利用するものではなく、
樹木の木部全体を利用することができるために、エコロ
ジーの観点からも好ましく、植物資源を最大限有効に利
用することが可能である。
【0025】本発明の編織物は、編織された前記紙糸を
含むものである。本発明の編織物は前記紙糸を使用して
いるため、水分の吸排出性および耐洗濯性に優れ、毛羽
立ちが生じにくく、肌触り良く、断熱性が高い。また、
編織物の表面に凹凸が生じるように編織することによっ
て、水分の吸排出性をさらに向上させることができる。
なお、本発明の編織物は、前記紙糸を含むものであれば
特に限定はなく、綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステ
ル、アセテート、ウール等の他の材質の糸を混ぜて混織
または混編されてもよい。
【0026】本発明の編織物は、本発明の紙糸を通常の
手編みまたは手織りすることよっても、製造することが
できるが、作業の効率が高く、安定した品質が得られる
編機または織機を使用する方法が好ましい。編機または
織機を使用する場合も、通常の編織作業と何ら変わるこ
とはなく、所望の編目構造または織構造の編織布を製造
することができる。
【0027】本発明の編織物は、断熱性および水分の吸
排出性に優れるため、例えば、前記紙糸で編んだ編物
は、セーター、カーディガン、カーテン、浴用タオル等
に使用できる。また、前記紙糸で織った紙布は、壁紙、
油絵のキャンバス、床ずれ防止シーツ、空手着等のスポ
ーツ着、浴衣の帯、自動車のシートカバーとして使用す
ることができる。さらに、イ草よりも数倍強度が高いた
め、ゴザおよび畳の表材としても最適である。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を示すが、
本発明は下記実施例に限定されない。なお、得られた紙
糸および編織物の物性は、以下の方法で測定した。
【0029】〔糸強度〕 JIS−L−1095に記載
の方法に準じて測定した。 〔伸度〕 JIS−L−1095に記載の方法に準じて
測定した。 〔耐洗濯性に関する評価〕 JIS−L−1096に記
載の方法に準じ、洗濯10回後の生地の引張強度を測定
して、その変化の有無で評価した。
【0030】〔編織物の断熱性〕 JIS−L−109
6に記載の方法に準じて測定した。 (実施例1)針葉樹パルプ600kgを水中に分散さ
せ、エポキシ化ポリアミド樹脂を含む耐水剤(商品名:
スミレーズレジン)固形分3kgと、ポリアクリルアミ
ド樹脂を含む耐水剤(商品名:ハーマイドB−15)固
形分3kgとを添加してよく攪拌した。水中によく分散
したパルプを抄紙し、湿紙を得た。
【0031】引き続き、この湿紙に、図4に示すクレー
プ加工ロール(上)(下)30、40とドクターナイフ
70にてウエットクレープ加工を施した後、ドライヤー
50にタッチロール60を強く圧接することによりしわ
を押しつぶして乾燥し、しわ圧潰加工紙を得た。次い
で、このしわ圧潰加工紙に、図2に示すように、凹凸の
溝のついたエンボスロール20を用いてエンボス加工を
施し、目付15g/m2、幅120cm、10000m
でロール状に巻き取られた、薄紙を得た。
【0032】次に、得られた幅120cmのロール状に
巻き取られた薄紙を、ロールの幅中央部で切断して、幅
60cmのロール2つにした後、その1つを10mmの
間隔に回転刃がセットされたスリッターを使用して、テ
ープ60本に切りわけた。そして、それぞれのテープを
巻き取り、2000m巻きのロール状の紙製テープを得
た。
【0033】このようにして得られた紙製テープを用い
て、紙紐製造機で30cm当たり20回の撚りをかけ、
ストロー状にらせん甘撚りのかかった紙糸を得た。な
お、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。
【0034】得られた紙糸の糸強度は、2.0kg、伸
度は、10%であり、糸断面は、図6に示すように丸く
て歪みのない円形であった。また、洗濯10回後の引張
強度は洗濯前と変わらず、耐洗濯性は良好であった。
【0035】(実施例2)実施例1において、ウエット
クレープ加工およびドライヤーの圧接処理を行わないこ
と以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。なお、
仕上がり糸径は、約0.5mmであった。
【0036】得られた紙糸の糸強度は、1.8kg、伸
度は、6%であった。 (実施例3)実施例1において、エンボス加工を行わな
いこと以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。な
お、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。
【0037】得られた紙糸の糸強度は、1.9kg、伸
度は、8%であった。 (実施例4)実施例1において、耐水処理を行わないこ
と以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。なお、
仕上がり糸径は、約0.5mmであった。
【0038】得られた紙糸の糸強度は、1.3kg、伸
度は、10%であった。また、洗濯10回後、生地は破
れてしまっており、耐洗濯性は不良であった。 (比較例1)実施例1において、ウエットクレープ加
工、ドライヤーの圧接処理、およびエンボス加工を行わ
ないこと以外は、実施例1と同様にして、紙糸を得た。
なお、仕上がり糸径は、約0.5mmであった。
【0039】得られた紙糸の糸強度は、1.8kg、伸
度は、4%であり、糸断面は、図7に示すように円が偏
平状に潰れたような形であった。 (実施例5)実施例1で得られた紙糸を経糸および緯糸
に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、
目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織
布を得た。製織時の糸切れ回数は0回であった。
【0040】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍
高かった。 (実施例6)実施例2で得られた紙糸を経糸および緯糸
に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、
目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織
布を得た。製織時の糸切れ回数は1回であった。
【0041】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍
高かった。 (実施例7)実施例3で得られた紙糸を経糸および緯糸
に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、
目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織
布を得た。製織時の糸切れ回数は1回であった。
【0042】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍
高かった。 (実施例8)実施例4で得られた紙糸を経糸および緯糸
に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、
目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織
布を得た。製織時の糸切れ回数は5回であった。
【0043】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍
高かった。 (比較例2)比較例1で得られた紙糸を経糸および緯糸
に用いて、織機を使用して、打ち込み本数23×23、
目付350g/m2 、幅150cm、長さ250mの織
布を得た。製織時の糸切れ回数は5回であった。
【0044】得られた織布の断熱性は障子紙より20倍
高かった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、水分の吸排出性および
断熱性に優れ、しかも、伸度が高く、表面が滑らかです
べりの良い、編織時に切れ難い紙糸を提供することがで
きる。そして、この紙糸を使用することにより、品質が
良好な編織物を生産性良く製造することができる。さら
に、本発明によれば、このような紙糸の製造に適した初
期伸びが小さく、しかも限界破断伸びの大きいしわ圧潰
加工紙を提供することができる。
【0046】本発明の編織物は、前記の紙糸を用いてな
るため、水分の吸排出性および断熱性に優れ、肌触りが
良い等の良好な品質を備える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンボス加工紙を示す斜視図
【図2】 エンボス加工工程を示す側面図
【図3】 (a)はしわ圧潰加工紙の断面図、(b)は
従来のしわ加工紙の断面図
【図4】 ウエットクレープ加工+ドライヤー圧接の各
工程を示す側面図
【図5】 ドライヤー圧接の前後を示す斜視図
【図6】 実施例1で得られた紙糸の断面写真
【図7】 比較例1で得られた紙糸の断面写真
【符号の説明】
10 原紙 11 エンボス加工紙 12 湿紙 13 クレープ加工湿紙 14 しわ圧潰加工紙 20 エンボスロール 30 クレープ加工ロール(上) 40 クレープ加工ロール(下) 50 ドライヤー 60 タッチロール 70 ドクターナイフ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向に沿う折り目を有する紙製テープ
    を、らせん甘撚りすることにより紐状にしてなる、紙
    糸。
  2. 【請求項2】前記折り目がエンボス加工により形成され
    たものである、請求項1に記載の紙糸。
  3. 【請求項3】抄紙後のウエットクレープ加工によりしわ
    が形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより
    押しつぶされてなるしわ圧潰加工紙を用いて作製された
    紙製テープを、らせん甘撚りすることにより紐状にして
    なる、紙糸。
  4. 【請求項4】前記紙製テープに耐水処理が施されてい
    る、請求項1から3までのいずれかに記載の紙糸。
  5. 【請求項5】抄紙後のウエットクレープ加工によりしわ
    が形成され、該しわがドライヤーを圧接することにより
    押しつぶされてなる、しわ圧潰加工紙。
  6. 【請求項6】初期伸びが4%以下で、しかも限界破断伸
    びが14%以上である、請求項5に記載のしわ圧潰加工
    紙。
  7. 【請求項7】編織された前記請求項1から4までのいず
    れかに記載の紙糸を含む、編織物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009007688A (ja) * 2007-06-27 2009-01-15 Washi Kukan:Kk 紙製織編布帛
JP2009144287A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Hamanaka Kk 手芸用紙ひもの製造方法
JP2021123388A (ja) * 2020-02-05 2021-08-30 秋山工業株式会社 紙紐

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