JP2001200158A - 導電性液状シリコーンゴム組成物 - Google Patents

導電性液状シリコーンゴム組成物

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JP2001200158A JP2000007391A JP2000007391A JP2001200158A JP 2001200158 A JP2001200158 A JP 2001200158A JP 2000007391 A JP2000007391 A JP 2000007391A JP 2000007391 A JP2000007391 A JP 2000007391A JP 2001200158 A JP2001200158 A JP 2001200158A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (A)25℃における粘度が10〜10
0,000センチポイズのオルガノポリシロキサン
100重量部 (B)シリカ微粉末
1〜100重量部 (C)金属粉末又は導電性金属メッキ粉末
30〜700重量部 (D)硬化剤 上記(A)
成分を硬化させ得る量を含有してなることを特徴とする
導電性液状シリコーンゴム組成物。 【効果】 本発明の導電性液状シリコーンゴム組成物
は、体積抵抗が小さく、安定した抵抗値を示すことが可
能で、射出成形可能な粘度の組成物を得ることができる
優れたシリコーンゴムを与え、このシリコーンゴムは高
導電用途に使用される電気製品の部品、電気の接点等に
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気部品、移動体
電気製品などの電流の接点部分や、電磁波シールド、事
務機用ロール部材、静電防止部材、コネクタ類などの部
分に用いられるシール材等の高導電性を必要とする分野
に使用する射出成形、インサート成形等が可能な加熱硬
化型の導電性液状シリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】電気部
品、移動体電気製品などの電流の接点部分や、電磁波シ
ールドなどの部分に用いられるシール材等の高導電性を
必要とする分野では、高導電性フィラーを添加したシリ
コーンゴム組成物が使用されている。
【0003】高粘度の生ゴム状オルガノシロキサンを主
成分としたシリコーンゴム組成物の場合等はプレフォー
ム工程の必要があり、工程上人手を要する。これらの工
程を省いたコスト低減の可能な射出成形、インサート成
形等を行うには粘度に上限があり、これらの成形におい
て成型物を良好なものとするには組成物の粘度を25℃
において10万ポイズ以下とすることが好ましい。
【0004】しかし、高粘度の生ゴム状オルガノシロキ
サンを主成分としたシリコーンゴムを低抵抗にするため
には、オルガノシロキサンに対して高導電性フィラーを
大量に添加しなくてはならず、組成物の粘度が高くなっ
てしまい、射出成形、インサート成形等を行うことが不
可能になるという問題があった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、体積抵抗が小さく、安定した抵抗値を示すことが可
能で、射出成形、インサート成形等の可能な導電性液状
シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、25℃における粘度が10〜100,000センチ
ポイズのオルガノポリシロキサンにシリカ微粉末と金属
粉末又はシリカ粉末表面を金属メッキした粉末を特定量
配合し、硬化剤を添加することにより、安定した高導電
性を有する射出成形、インサート成形等が可能な加熱硬
化型の導電性液状シリコーンゴム組成物を得られること
を知見し、本発明をなすに至った。
【0007】従って、本発明は、 (A)25℃における粘度が10〜100,000センチポイズのオルガノポリ シロキサン 100重量部 (B)シリカ微粉末 1〜100重量部 (C)金属粉末又は導電性金属メッキ粉末 30〜700重量部 (D)硬化剤 上記(A)成分を硬化させ得る量 を含有してなることを特徴とする導電性液状シリコーンゴム組成物 を提供する。
【0008】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係る導電性液状シリコーンゴム組成物の(A)
成分のオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度
が10〜100,000センチポイズ(cps)である
ことを特徴とする。
【0009】(A)成分のオルガノポリシロキサンとし
ては、下記平均組成式(1) R1 aSiO( 4-a ) /2 (1) (式中、R1は炭素数1〜12の置換又は非置換1価炭
化水素基であり、R1の0.001〜20モル%はアル
ケニル基である。aは1.5〜2.8の正数である。)
で示され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を
含有するオルガノポリシロキサンが好ましく、特に分子
鎖両末端がトリビニルシリル基、ジビニルメチルシリル
基又はビニルジメチルシリル基で封鎖された1種又は2
種以上のオルガノポリシロキサンであることが好まし
い。
【0010】ここで、上記式中、R1はメチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ブ
チル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等
のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル
基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニ
ル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基等のアルケニル基、シクロヘキセニル基等の
シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル
基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニル
エチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基など
や、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又
は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロ
メチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフロロプ
ロピル基、3−クロロプロピル基、シアノエチル基など
から選択される同一又は異種の好ましくは炭素数1〜1
2、より好ましくは炭素数1〜8の置換又は非置換1価
炭化水素基である。この場合、R1は脂肪族不飽和基
(アルケニル基)の含有量が全有機基中の0.001〜
20モル%、特に0.01〜10モル%であることが好
ましく、また上述したように、R1中の脂肪族不飽和基
を少なくとも2個有していることが好ましい。なお、R
1は上記のいずれでもよいが、アルケニル基としてはビ
ニル基、他の置換基としてはメチル基、フェニル基の導
入が好ましい。また、aは1.5〜2.8、好ましくは
1.8〜2.5の正数である。
【0011】上記式(1)のオルガノポリシロキサン
は、硬化物がゴム弾性を失わない範囲においてR1Si
3/2単位やSiO4/2単位を含んでもよく、主鎖部分が
基本的にR1 2SiO2/2のジオルガノシロキサン単位の
繰り返しからなり、硬化物がゴム弾性を失わない範囲に
おいて分子鎖両末端がR1 3SiO1/2のトリオルガノシ
ロキシ単位で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキ
サンであることが好ましい。また、分子中のアルケニル
基は分子鎖末端あるいは分子鎖途中のケイ素原子のいず
れに結合したものであっても、また両方に結合したもの
であってもよいが、硬化性、硬化物の物性等の点から、
少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケ
ニル基を有するものであることが好ましい。
【0012】上記アルケニル基含有オルガノポリシロキ
サンは、公知の方法によって製造することができ、具体
的にはオルガノポリシロキサンとヘキサオルガノジシロ
キサンとをアルカリ又は酸触媒の存在下にて平衡反応を
行うことにより得ることができる。
【0013】(A)成分のオルガノポリシロキサンの粘
度は、25℃において10〜100,000cpsであ
ることが必要であり、特に50〜50,000cpsで
あることが好ましい。25℃における粘度が10cps
未満であると(C)成分の沈降が起こりやすくなると共
に、硬化した導電性シリコーンゴムの物性が脆いものと
なり、25℃における粘度が100,000cpsを超
えると射出成形、インサート成形等が困難となる。
【0014】次に、(B)成分のシリカ微粉末として
は、その種類に特に限定はなく、従来のシリコーンゴム
組成物に使用されているものを使用することができる。
ただし、金属メッキされたシリカ粉末は除く。このよう
なシリカ微粉末としては、BET法による比表面積が5
0m2/g以上、特に50〜400m2/gの沈澱シリ
カ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、また、平均粒子径
が50μm以下、特に0.1〜20μmの粉砕石英など
が好適に使用され、これらは1種類を単独でも2種類以
上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】なお、これらシリカ微粉末は、そのまま用
いてもよいが、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン
類、トリメチルクロロシラン等のシラン類、ポリメチル
シロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理し、疎水性
シリカ微粉末として用いてもよいし、配合時に表面処理
剤と共に配合して疎水化処理してもよい。
【0016】(B)成分の配合量は、(A)成分のオル
ガノポリシロキサン100部(重量部、以下同様)に対
して1〜100部、好ましくは2〜50部である。配合
量が1部未満では機械的強度が弱くなる場合があり、1
00部を超えると(C)成分の導電性フィラーの充填が
困難となり、作業性が悪くなる場合がある。
【0017】次に、(C)成分の金属粉末及び導電性金
属メッキ粉末は、本発明の導電性液状シリコーンゴム組
成物に導電性を与えるものである。
【0018】金属粉末の粒径は特に限定されないが、好
ましくは平均粒径が0.05〜100μm、特に0.1
〜10μmの範囲がよい。
【0019】なお、金属粉末の形状は特に限定されず、
例えば、粒状、樹枝状、フレーク状、不定形状であり、
またこれらの形状を有する金属粉末の混合物であっても
よいが、低抵抗のシリコーンゴムを形成するためには完
全に独立した分散ではなく、金属の粉末が部分的に連結
していることが望ましい。
【0020】本発明で使用する金属粉末としては、銀粉
末、金粉末、ニッケル粉末等が例示され、特に銀粉末が
好ましい。
【0021】銀粉末は、特に限定されるものではなく、
例えば電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、化学
的製法などで製造された粉末が挙げられる。
【0022】なお、粉砕法による銀粉末の場合、銀粉末
を粉砕する装置は特に限定されず、例えば、スタンプミ
ル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル、圧延ロー
ラ、乳鉢等の公知の装置が挙げられる。また、還元銀、
アトマイズ銀、電解銀又はこれら2種以上の混合物から
なる銀粉末を圧延する条件は特に限定されず、使用する
銀粉末の粒径や形状により選択する必要がある。
【0023】次に、導電性金属メッキ粉末について説明
する。導電性金属メッキ粉末は、金属メッキシリカ粉
末、ガラスビーズ、フェノール樹脂を銀メッキしたもの
が例示され、金属メッキシリカ粉末が好ましい。金属メ
ッキシリカ粉末は、シリカの表面が金属メッキにより被
覆されたもので、メッキする金属としては、金、銀、ニ
ッケル等が例示され、金、ニッケルが特に好ましい。
【0024】また、金属メッキシリカ粉末の比表面積
は、1m2/g以下が望ましい。比表面積が1m2/gを
超えると、シリコーンゴム組成物に添加する際に分散性
が悪くなるおそれがある。
【0025】金属メッキシリカ粉末は、シリカ上にニッ
ケル層を介して金層が形成された構造を有するものが好
ましい。この場合、金属とシリカの密着性を向上させる
ために、シリカとニッケルの間にケイ素系化合物を介在
したシリカ−ケイ素系化合物−ニッケル−金の4層構造
を有するものが特に好ましい。ケイ素系化合物としては
KBM−603、KBM−903、KBE−603、K
BE−903(信越化学工業(株)製商品名)等のカー
ボンファンクショナル(CF)シランモノマーや還元性
を有するケイ素系高分子化合物が好適に用いられる。
【0026】この金属メッキシリカ粉末の製造方法は、
特に限定するものではないが、一例として下記に示す工
程にて製造することができる。 (1)シリカ粉体をケイ素系化合物、好ましくは還元性
を有するケイ素系化合物で処理し、シリカの表面に該ケ
イ素系化合物の層を形成する第1工程。 (2)第1工程で得られた粉体を標準酸化還元電位0.
54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理し、
上記シリカ表面のケイ素系化合物層上に該金属コロイド
を析出させる第2工程。 (3)上記金属コロイドを触媒として無電解ニッケルメ
ッキを行い、上記ケイ素系化合物層表面に金属ニッケル
層を形成する第3工程。 (4)更に金メッキを行い、上記金属ニッケル層上に金
層を形成する第4工程。
【0027】本発明の金属メッキシリカ粉末において、
原料シリカは、二酸化ケイ素で構成される粉体で、高い
耐熱性をもっている。形状は、粉末状、繊維状、フレー
ク状等、特に制限されないが、メッキする金属(ニッケ
ル、金)の使用量を最少にし、シリコーンゴム組成物に
高充填するためには、同一粒径では最も比表面積の低く
なる球状が望ましい。このようなシリカは、クロルシラ
ンを燃焼させたり、アルコキシシランを加水分解した
り、ガス化した金属ケイ素を酸化したり、石英粉末を溶
融したりして容易に得ることができる。比表面積を低く
するためには、内部に表面に繋がる空洞をもたないもの
が望ましく、溶融石英が好適に用いられる。シリカ粉末
の平均粒径は0.01〜1,000μm、より望ましく
は0.1〜100μmである。0.01μmより小さい
と、比表面積が高くなるため、メッキ金属の量が多くな
り、高価となる。また、1,000μmより大きいと、
シリコーンゴム組成物等に混合しにくくなる場合があ
る。
【0028】本発明に係る金属メッキシリカ粉末を製造
する場合、上記シリカ粉体を還元性を有するケイ素系化
合物で処理し、シリカ表面に該ケイ素系化合物の層を形
成することが好ましい。
【0029】ここで、還元作用をもつケイ素系化合物と
しては、上記CFシランモノマーのほか、Si−Si結
合あるいはSi−H結合を有するポリシラン、ポリカル
ボシラン、ポリシロキサン、ポリシラザンを使用するこ
とができ、中でもポリシランあるいはケイ素原子に直接
結合した水素原子を有するポリシロキサンが好適に用い
られる。
【0030】このうち、ポリシランとしては、主鎖にS
i−Si結合をもつ下記一般式(2)で表される高分子
化合物が挙げられる。
【0031】(R2 m3 npSi)q (2) 上記式(2)中、R2,R3はそれぞれ水素原子、置換も
しくは非置換の1価炭化水素基であり、R2とR3とは互
いに同一であっても異なっていてもよいが、上記1価炭
化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族1価炭化
水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式1価炭化水素基
としては、炭素数1〜12、特に1〜6のものが好まし
く、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基など
が挙げられる。また、芳香族1価炭化水素基としては、
炭素数6〜14、特に6〜10のものが好適であり、例
えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、
ベンジル基等が挙げられる。なお、置換1価炭化水素基
としては、上記に例示した非置換の1価炭化水素基の水
素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、
アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例え
ばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−
ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0032】Xは、R2と同様の基、アルコキシ基、ハ
ロゲン原子、酸素原子又は窒素原子であり、アルコキシ
基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロ
ポキシ基等の好ましくは炭素数1〜4のもの、ハロゲン
原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げ
られる。Xとしては、これらの中でも通常メトキシ基、
エトキシ基が好適に用いられる。
【0033】mは0.1≦m≦1、好ましくは0.5≦
m≦1、nは0.1≦n≦1、好ましくは0.5≦n≦
1、pは0≦p≦0.5、好ましくは0≦p≦0.2で
あり、かつ1≦m+n+p≦2.5、好ましくは1.5
≦m+n+p≦2を満足する数であり、qは2≦q≦1
00,000、好ましくは10≦q≦10,000の範
囲の整数である。
【0034】また、ケイ素原子に直接結合した水素原子
(Si−H基)を有するケイ素系化合物は、ケイ素原子
に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサンであれば特に制限されないが、側鎖に
Si−H基、主鎖にSi−O−Si結合をもつ下記一般
式(3)で表されるポリシロキサンが好適に用いられ
る。
【0035】 (R4 r5 stSiOuv (3) 上記式中、R4,R5はそれぞれ水素原子、置換もしくは
非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原
子であり、R4とR5とは互いに同一であっても異なって
いてもよいが、上記1価炭化水素基としては、脂肪族、
脂環式又は芳香族1価炭化水素基が用いられる。脂肪族
又は脂環式1価炭化水素基としては、炭素数1〜12、
特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等
のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等
のシクロアルキル基等が挙げられる。芳香族1価炭化水
素基としては、炭素数6〜14、特に6〜10のものが
好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル
基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置
換の脂肪族、脂環式又は芳香族の1価炭化水素基として
は、上記に例示した非置換の1価炭化水素基の水素原子
の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ
基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノ
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチ
ルアミノフェニル基等が挙げられる。アルコキシ基とし
ては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基等の炭素数1〜4のものが好適であり、ハロゲン原子
としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が
挙げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が好適に用いら
れる。
【0036】rは0.1≦r≦1、好ましくは0.5≦
r≦1、sは0.1≦s≦1、好ましくは0.5≦s≦
1、tは0.01≦t≦1、好ましくは0.1≦t≦1
であり、かつ2≦r+s+t≦2.5、好ましくは2≦
r+s+t≦2.2を満足する数である。uは1≦u≦
1.5である。vは2≦v≦100,000、好ましく
は10≦v≦10,000の範囲の整数である。
【0037】シリカ表面にケイ素系化合物の層を形成す
る工程(第1工程)は、具体的には、ケイ素系化合物を
有機溶剤に溶解させ、この中にシリカ粉体を投入混合し
た後に有機溶剤を除くことで、シリカの表面にケイ素系
化合物の層を形成することによって行うことができる。
【0038】この工程において、ケイ素系化合物を溶解
させる有機溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタ
ン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶剤、テトラ
ヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶
剤、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリック
トリアミド等の非プロトン性極性溶媒や、ニトロメタ
ン、アセトニトリル等が好適に用いられる。
【0039】ケイ素系化合物含有溶液の濃度は、0.0
1〜30%(重量%、以下同様)、好ましくは1〜10
%が好適であり、濃度が0.01%未満では大量の溶剤
を使用することになるのでコストが上昇し、30%を超
えるような濃度ではケイ素系化合物を粉体表面全面に十
分形成できない場合がある。
【0040】シリカ粉体を有機溶剤に溶解したケイ素系
化合物で処理する方法としては、ケイ素系化合物を溶剤
に溶解させて希釈した状態でシリカ粉体と混合し、この
スラリーを容器内で撹拌羽根を回転させ分散接触させる
撹拌式、気流中にこのスラリーを分散させ瞬時に乾燥さ
せる噴霧式などが好適に採用できる。
【0041】上記処理工程では、温度を上げたり減圧に
することにより、有機溶媒を留去するが、通常は溶媒の
沸点以上の温度、具体的には1〜100mmHgという
減圧下で40〜200℃程度の温度で撹拌しながら乾燥
することが効果的である。
【0042】処理後は、しばらく乾燥雰囲気下、あるい
は減圧下で40〜200℃程度の温度で静置すること
で、溶剤が効果的に留去して処理粉体が乾燥し、ケイ素
系化合物処理シリカ粉体を製造できる。
【0043】ケイ素系化合物層の厚さは、好ましくは
0.001〜1μm、特に好ましくは0.01〜0.1
μmである。0.001μmより薄いと、シリカを完全
に覆うことができなくなるため、メッキが起こらない部
分ができるおそれがある。また、厚すぎると、ケイ素系
化合物の量が多くなって高価となる場合がある。
【0044】なお、上記シリカ粉体は、ケイ素系化合物
処理により疎水性となる。このため、金属塩を溶解させ
る溶媒との親和性が低下し、液中に分散しないため、金
属塩還元反応の効率が低下することがある。このことに
よって起こる金属塩還元反応の効率の低下は、界面活性
剤を添加して向上させることができる。界面活性剤とし
ては、発泡を起こさず表面張力のみを下げるものが望ま
しく、サーフィノール104,420,504(日信化
学工業(株)製)等の非イオン界面活性剤を好適に用い
ることができる。
【0045】次に、第2工程は、上記第1工程で得られ
たシリカ表面にケイ素系化合物層が形成された粉体を標
準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を
含む溶液で処理し、ケイ素系化合物層上に該金属コロイ
ドを析出させる工程である。これは、ケイ素系化合物処
理粉体の表面を金属塩を含む溶液と接触させるもので、
この処理では、ケイ素系化合物の還元作用により、金属
コロイドがケイ素系化合物の被膜表面に形成され、金属
被膜が形成されるものである。
【0046】ここで、標準酸化還元電位0.54V以上
の金属の塩として、より具体的には、金(標準酸化還元
電位1.50V)、パラジウム(標準酸化還元電位0.
99V)、銀(標準酸化還元電位0.80V)等の塩が
好適に用いられる。なお、標準酸化還元電位が0.54
Vより低い銅(標準酸化還元電位0.34V)、ニッケ
ル(標準酸化還元電位0.25V)等の塩では、ケイ素
系化合物で還元し難い。
【0047】金塩としては、Au+又はAu3+を含んで
なるもので、具体的には、NaAuCl4、NaAu
(CN)2、NaAu(CN)4等が例示される。パラジ
ウム塩としては、Pd2+を含んでなるもので、通常Pd
−Z2の形で表すことができる。Zは、Cl、Br、I
等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、
アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレー
ト、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の塩で
ある。具体的には、PdCl2、PdBr2、PdI 2
Pd(OCOCH32、Pd(OCOCF32、PdS
4、Pd(NO32、PdO等が例示される。銀塩と
しては、溶剤に溶解し、Ag+を生成させ得るもので、
通常Ag−Z(Zはパークロレート、ボレート、ホスフ
ェート、スルフォネート等の塩とすることができる)の
形で表すことができる。具体的には、AgBF4、Ag
ClO4、AgPF6、AgBPh4、Ag(CF3
3)、AgNO3等が例示される。
【0048】ここで、金属塩を溶解させる溶媒として
は、水や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル
ホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒など
が挙げられ、中でも水が好適に用いられる。
【0049】金属塩の濃度は、塩を溶解させる溶媒によ
って異なるが、0.01%〜塩の飽和溶液までが好まし
い。濃度が0.01%未満では、メッキ触媒の効果が十
分でない場合があり、飽和溶液を超えると、固体塩の析
出がある場合がある。なお、溶媒が水の場合は、金属塩
の濃度が0.01〜20%、特に0.1〜5%の範囲で
あることが好ましい。上記ケイ素系化合物処理粉体を室
温〜70℃の温度で0.1〜120分、より好ましくは
1〜15分程度、金属塩溶液に浸漬すればよい。これに
より、金属コロイド処理粉体が製造できる。
【0050】なお、この第2工程は、まずケイ素系化合
物処理粉体を水で希釈した界面活性剤と接触させ、次い
で上記金属塩を含む溶液と接触させることが好ましく、
これによりシリカ表面が第1工程のケイ素系化合物処理
により疎水性となることで、金属塩を溶解させる溶媒と
の親和性が低下し、液中に分散し難くなって金属塩還元
反応の効率が低下するのを防止することができ、ケイ素
系化合物処理粉体を金属塩を含む溶液に短時間で簡単に
分散させることができる。
【0051】ここで、界面活性剤としては、陰イオン界
面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤、
非イオン界面活性剤を用いることができる。
【0052】陰イオン界面活性剤としては、スルホン酸
塩系、硫酸エステル塩系、カルボン酸塩系、リン酸エス
テル塩系を用いることができる。また、陽イオン界面活
性剤としては、アンモニウム塩系、アルキルアミン塩
系、ピリジニウム塩系を用いることができる。両イオン
界面活性剤としては、ベタイン系、アミノカルボン酸
系、アミンオキシド系、非イオン界面活性剤としては、
エーテル系、エステル系、シリコーン系を用いることが
できる。
【0053】より具体的に陰イオン界面活性剤として
は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルフォコハク酸
エステル、ポリオキシエチレン硫酸アルキル塩、アルキ
ルリン酸エステル、長鎖脂肪酸セッケン等を用いること
ができる。また、陽イオン界面活性剤としては、塩化ア
ルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメ
チルアンモニウム塩、塩化アルキルピリジニウム塩等を
用いることができる。両イオン界面活性剤としては、ベ
タイン系スルホン酸塩、ベタイン系アミノカルボン酸ア
ミン塩を用いることができる。非イオン界面活性剤とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性
ポリシロキサン等を用いることができる。また、市販さ
れているこのような界面活性剤を混合した水溶液、例え
ば商品名ママレモン(ライオン(株)製)などを利用す
ることもできる。
【0054】なお、必要によっては、上記したような界
面活性剤を金属塩溶液100部に対して0.0001〜
10部、特に0.001〜1部、とりわけ0.01〜
0.5部の範囲で使用することができる。
【0055】また、上記金属塩処理後は、金属塩を含ま
ない上記と同様の溶剤で処理し、粉体に担持されなかっ
た不要な金属塩を除き、最後にこの粉体から不要な溶媒
を乾燥除去することができる。乾燥は、通常0〜150
℃で常圧又は減圧下で行うのが好ましい。
【0056】第3工程は、表面に上記金属コロイドが付
着された粉体にこの金属コロイドを触媒として無電解ニ
ッケルメッキを行い、上記ケイ素系化合物層表面に金属
ニッケル層を形成する工程である。
【0057】この無電解ニッケルメッキ液は、通常、硫
酸ニッケル、塩化ニッケル等の水溶性ニッケル金属塩、
次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナト
リウム等の還元剤、酢酸ナトリウム等のpH調整剤、フ
ェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウムのような
錯化剤などを含み、市販品を用いることができる。
【0058】無電解ニッケルメッキ法としては、常法に
従い、無電解メッキ液中に粉体を投入してメッキを行う
バッチ法か、水に分散させた粉体にメッキ液を滴下する
滴下法を採用し得る(導電性フィラーの開発と応用 p
182、技術情報協会、1994)。いずれの方法で
も、メッキ速度をコントロールすることで、凝集を防ぎ
密着性のよい均一な被膜を得ようとすることに変わりは
ないが、しかし、こうしたニッケル被覆シリカを得るこ
とが困難な場合がある。これは、比表面積の高い粉体
は、本来、メッキ反応が非常に活発になり、急激に始ま
りコントロールできなくなる一方、メッキの開始が雰囲
気の酸素の影響を受けてしばしば遅れるためニッケルメ
ッキに時間がかかり、均一にメッキされた粉体が得にく
いからである。
【0059】このため、シリカのニッケルメッキを以下
の方法で行うことが好ましい。即ち、ニッケルメッキ液
を還元剤、pH調整剤、錯化剤などを含有した水溶液と
ニッケル塩水溶液に分離する。シリカは、還元剤、pH
調整剤、錯化剤などを含有した水溶液に分散し、ニッケ
ルメッキの最適な温度に保温しておく。これにニッケル
塩水溶液を気体と同伴させて、シリカの分散した還元剤
含有水溶液に加えることが、凝集のないニッケル被覆シ
リカを得るために非常に効果的であることを見出したも
のである。ニッケル塩水溶液は、気体により還元剤、p
H調整剤、錯化剤などを含有した水溶液中で速やかに均
一に分散され、粉体表面はニッケルメッキ化される。
【0060】気体の導入は、しばしば発泡によるメッキ
の効率の低下をもたらすが、これは、消泡性界面活性剤
を添加して防止することができる。界面活性剤として
は、消泡作用をもち、表面張力を下げるものが望まし
く、KS−538(信越化学工業(株)製)等のポリエ
ーテル変性シリコーン系界面活性剤を好適に用いること
ができる。
【0061】無電解ニッケルメッキにおいては、メッキ
液中の酸素濃度がニッケルの析出に影響を及ぼす。溶存
酸素の量が多いと、メッキ触媒の核となるコロイド状パ
ラジウムがパラジウムカチオンに酸化され、液中に溶出
したり、一度析出したニッケル表面が酸化されたりし
て、ニッケルの析出が抑制される。逆に、溶存酸素の量
が少ないと、メッキ液の安定性が低下し、シリカ以外の
場所にもニッケルの析出が起こりやすくなり、微細なニ
ッケル粉の生成やこぶ状の析出物の生成が起こる。この
ため、メッキ液中の溶存酸素の量を1〜20ppmの間
に管理することが好ましい。20ppmを超えると、メ
ッキ速度の低下と未メッキ部の発生が認められるおそれ
があり、1ppmより少ないと、こぶ状析出物の発生が
認められる場合がある。
【0062】このために、気体は、空気のような含酸素
気体とアルゴンや窒素のような不活性気体を混合して用
いるのがよい。粉体のメッキにおいては、しばしばメッ
キの開始が遅いが、一度メッキが開始されれば反応が暴
走するという現象を起こすことがあるので、これを防止
するために、例えば窒素を最初に用い、ニッケルメッキ
反応が開始するのを確認後、空気に切り替えるというこ
とを行うことも効果的である。メッキ温度は35〜12
0℃、接触時間は1分〜16時間が好適に用いられる。
より望ましくは40〜85℃で10〜60分で処理され
る。
【0063】第4工程は、上記無電解ニッケルメッキ
後、金メッキを行って、上記ニッケル層上に金メッキ層
を形成する工程である。
【0064】この場合、金メッキ液としては、電気メッ
キ液でも無電解メッキ液でもよく、公知の組成のものあ
るいは市販品を用いることができるが、無電解金メッキ
液が好ましい。金メッキ方法としては、上述した常法に
従って行うことができる。このとき、ニッケルの酸化さ
れて不動態化した表面を希酸で除き、金メッキを行うこ
とは効果的である。メッキ温度、接触時間は、ニッケル
メッキの場合と同じである。
【0065】また、メッキの最後に、不要な界面活性剤
を除くため、水洗を行うとよい。
【0066】こうして得られたシリカは、シリカ−ケイ
素系化合物−ニッケル−金という4層構造をもつ金属メ
ッキシリカ粉末となる。
【0067】ニッケル層の厚さは、好ましくは0.01
〜10.0μm、特に好ましくは0.1〜2.0μmで
ある。0.01μmより薄いと、シリカを完全に覆い、
かつ十分な硬度や強度が得られにくくなる場合がある。
また、10.0μmより厚いと、ニッケルの量が多くな
り、かつ比重が高くなるため、配合時に高価となる。
【0068】金層の厚さは、好ましくは0.001〜
1.0μm、特に好ましくは0.01〜0.1μmであ
る。0.001μm未満では、抵抗率が高くなるため、
配合時に十分な導電性が得られにくくなるおそれがあ
り、また、1.0μmを超えると、金の量が多くなって
高価となる。
【0069】最後に、この金属メッキシリカ粉末をN2
等の不活性気体下又はH2等の還元性気体存在下に20
0℃以上の温度で熱処理することが望ましい。処理条件
は、通常200〜900℃、処理時間は1分〜24時間
が好適に用いられる。より望ましくは250〜500℃
で処理時間は30分〜4時間行うのがよい。これによ
り、粉体と金属間にあるケイ素系化合物はセラミックに
変化し、より高い耐熱性と絶縁性と密着性をもつことに
なる。このときの雰囲気を水素のような還元系で行うこ
とにより、金属中の酸化物を減少させ、ケイ素系化合物
を安定な構造に変えることで、シリカと金属が強固に結
合し、高い導電性を示す粉体を得ることができる。
【0070】なお、このように水素還元系雰囲気で熱処
理すると、ケイ素系化合物は主として炭化ケイ素のセラ
ミックとなる。
【0071】即ち、上記高温処理により、粉体と金属間
にあるケイ素系化合物が部分的又は全部がセラミックに
変化し、より高い耐熱性と絶縁性と密着性をもつことに
なる。
【0072】上記金属メッキシリカ粉末は、シリコーン
との親和性を有する目的で各種アルコキシシラン、チタ
ネート系処理剤、カーボンファンクショナルシラン、シ
ラザン類、シラノール含有低分子シロキサン等で疎水処
理を施してもよい。
【0073】また、(C)成分と併用して、従来から知
られている導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導
電性酸化チタン等の他の導電性無機物等の導電材や、増
量剤としてシリコーンゴムパウダー、ベンガラ、炭酸カ
ルシウム等の充填剤を添加してもよい。
【0074】(C)成分の配合量は、(A)成分のオル
ガノポリシロキサン100部に対し30〜700部であ
り、特に50〜700部が好ましい。配合量が30部未
満では求める低抵抗値が得られない場合があり、700
部を超えると加工性が悪く、射出成形が不可能になる場
合がある。
【0075】次に、(D)成分の硬化剤について説明す
る。本発明においては、上記成分を2本ロール、ハンバ
リーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム練
機を用いて均一に混合し、必要に応じて常圧又は減圧下
で加熱処理を施すことにより導電性液状シリコーンゴム
組成物を得ることができ、この導電性液状シリコーンゴ
ム組成物に適宜な硬化剤を配合して硬化させることで、
安定した高導電性を有するゴム状弾性体を与える。この
場合、硬化方法としては、有機過酸化物による硬化方法
と付加架橋剤と触媒による付加硬化方法が採用される。
【0076】有機過酸化物による硬化方法では、有機過
酸化物系硬化剤が使用され、具体的にはベンゾイルパー
オキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジ
クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,
5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等の有機
過酸化物が好適に用いられる。
【0077】これらの有機過酸化物は、単独で用いても
2種類以上を併用してもよいが、これら有機過酸化物の
添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100
部に対し0.1〜10部、特に0.2〜5部が好まし
い。添加量が少なすぎると架橋が不十分となる場合があ
り、多すぎても硬化速度の向上は望めない場合がある。
【0078】付加反応による硬化方法では、硬化剤とし
て通常のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金
金属系付加反応触媒からなる付加反応系硬化剤が使用さ
れる。この場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンとしては、下記一般式(4) R6 bcSiO(4-b-c)/2 (4) (式中、R6は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価
炭化水素基である。bは0.7〜2.1、cは0.00
2〜1、b+cは0.8〜3の正数である。)で示され
るオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いること
ができる。
【0079】上記式(4)のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンにおいて、R6はR1と同様であるが、脂肪
族不飽和結合を有しないものであることが好ましい。b
は0.7〜2.1、好ましくは1〜2、cは0.002
〜1、好ましくは0.01〜0.9で、かつb+cは
0.8〜3、好ましくは1.5〜2.8を満足する正数
である。
【0080】上記オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンは、付加反応触媒の存在下において(A)成分に対す
る架橋剤として作用するものであり、1分子中に少なく
とも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した
水素原子を有するものであり、このSi−H基は分子鎖
末端あるいは分子鎖途中のいずれに位置するものであっ
ても、また両方に位置するものであってもよい。
【0081】このようなオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メ
チルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチル
シロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジ
ェンポリシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロ
ジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端ジメ
チルハイドロジェンポリシロキシ基封鎖ジメチルシロキ
サン、両末端ジメチルハイドロジェンポリシロキシ基封
鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロ
キサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチ
ルハイドロジェンポリシロキサン・ジフェニルシロキサ
ン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO
1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(C
32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)S
iO3/2単位とからなる共重合体等を挙げることができ
る。上記式(4)のオルガノハイドロジェンポリシロキ
サンは、その分子構造が直鎖状であっても、分岐状、環
状あるいは三次元網状構造を有するものであってもよ
い。分子量に特に限定はないが、常温で液体であること
が好ましく、その粘度は25℃において0.1〜1,0
00センチポイズ、特に0.5〜500センチポイズで
あることが望ましい。
【0082】なお、上記オルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンは、公知の方法によって製造することができ
る。
【0083】上記オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン1
00部に対して0.1〜100部、好ましくは0.3〜
50部、特に0.5〜20部であることが好ましい。配
合量が少なすぎると架橋が不十分となる場合があり、多
すぎても硬化速度の向上が望めない場合がある。
【0084】特に、上記オルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンは、分子中のケイ素原子に結合した水素原子
(Si−H)が(A)成分のオルガノポリシロキサン中
のアルケニル基に対してモル比で0.3〜20モル/モ
ル、好ましくは0.8〜3モル/モルとなるように配合
することが好ましい。
【0085】また、付加反応触媒としては、白金黒、塩
化第二白金、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、
塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトア
セテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等を使用
することができる。付加反応触媒の配合量は、(A)成
分のオルガノポリシロキサン100部に対して白金、パ
ラジウム又はロジウム金属として0.1〜2,000p
pm、特に1〜500ppmの範囲が好ましい。
【0086】上記付加硬化型オルガノポリシロキサン成
分には、上記主成分以外に任意成分としてビニルシクロ
テトラシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキ
サン、トリアリルイソシアネート、アルキルマレエー
ト、エチニルシクロヘキサノール等のアセチレンアルコ
ール類及びシラン、シロキサン変性物、ハイドロパーオ
キサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリ
アゾール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる化
合物などの1種又は2種以上の付加反応制御剤等を本発
明の効果を妨げない範囲で添加することができる。
【0087】本発明の導電性液状シリコーンゴム組成物
には、上記した成分以外に、撥水性、シール滑り性を付
与する目的で非反応性のシリコーンオイル、例えば直鎖
状のジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサ
ン、フェニルメチルポリシロキサン、水酸基含有オルガ
ノポリシロキサンを添加することができ、また、目的に
応じて各種の添加剤、例えば酸化チタン、酸化鉄、酸化
セリウム、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロ
ム、酸化マンガン等の金属酸化物等を添加することがで
き、また目的とする特性を損なわない限り、顔料、耐熱
剤、難燃剤、可塑剤、反応制御剤等を添加してもよい。
また、樹脂との一体成形を行うにあたり、樹脂、ガラ
ス、金属等との接着性を付与するためSi−H基含有の
有機ケイ素化合物、エポキシ基含有の有機ケイ素化合
物、アルコキシ基含有の有機ケイ素化合物又はそれらの
混合物、又は前記官能基を少なくとも1以上含有した有
機ケイ素化合物などの接着助剤を添加配合してもよい。
なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げ
ない範囲で通常量とすることができる。
【0088】本発明の導電性液状シリコーンゴム組成物
は、上記した(A)〜(D)成分とその他の任意成分と
を常温で均一に混合することによって製造することがで
きるが、必要に応じて(D)成分を除いた成分をプラネ
タリーミキサーやニーダー等で100〜200℃の範囲
で30分〜4時間加熱処理し、その後(D)成分を混合
して硬化成形することができる。成形方法は混合物の粘
度により自由に選択でき、注入成形、圧縮成形、射出成
形、トランスファー成形等のいずれの方法を採用しても
よい。その硬化条件は、通常80〜200℃にて3分〜
3時間程度の時間で硬化させることが好ましい。
【0089】この場合、本発明では射出成形が有効に採
用され、この点から組成物の粘度を25℃において30
0〜100,000ポイズ、特に1,000〜5,00
0ポイズとすることが好ましい。
【0090】
【発明の効果】本発明の導電性液状シリコーンゴム組成
物は、体積抵抗が小さく、安定した抵抗値を示すことが
可能で、射出成形可能な粘度の組成物を得ることができ
る優れたシリコーンゴムを与え、このシリコーンゴムは
高導電用途に使用される電気製品の部品、電気の接点等
に有用である。
【0091】
【実施例】以下、合成例及び実施例、比較例を示し、本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。なお、下記の例において、部は
重量部を示す。
【0092】[合成例] 金属メッキシリカ粉末の合成シリカのケイ素系化合物処理 シリカとして、球状シリカUS−10(三菱レーヨン
(株)製;平均粒径10μm;比表面積0.4m2
g)を用いた。PPHS(フェニルハイドロジェンポリ
シラン)5gをトルエン65gに溶解させ、この溶液を
US−10 100gに加え、1時間撹拌し、スラリー
にした。ロータリーエバポレーターにて、80℃の温
度,45mmHgの圧力でトルエンを65g留去させ、
乾燥させたところ、PPHS処理球状シリカが得られ
た。このPPHS処理球状シリカは、最後にローラー、
ジェットミル等により解砕された。
【0093】パラジウムコロイド析出シリカの製造 PPHS処理球状シリカは疎水化され、水に投入すると
水表面に浮くようになる。界面活性剤としてサーフィノ
ール504(日信化学工業(株)製界面活性剤)の0.
5%水溶液50gに、上で得られたPPHS処理球状シ
リカ100gを投入し、撹拌して水中に分散させた。パ
ラジウム処理は、上記シリカ−水分散体150gに対
し、1%PdCl2水溶液を70g(塩化パラジウムと
して0.7g、パラジウムとして0.4g)添加して、
30分撹拌後、濾過し、水洗した。これらの処理によ
り、シリカ表面はパラジウムコロイドが付着した黒灰色
に着色したパラジウムコロイド析出シリカが得られた。
このシリカは濾過により単離し、水洗後、直ちにメッキ
化を行った。
【0094】パラジウムコロイド析出シリカのニッケル
メッキ化 ニッケルメッキ用還元液として、イオン交換水で希釈し
た次亜リン酸ナトリウム2.0M、酢酸ナトリウム1.
0M、グリシン0.5Mの混合溶液100gを用いた。
パラジウムコロイド析出シリカをKS−538(信越化
学工業(株)製消泡剤)0.5gと共にニッケルメッキ
還元液中に分散させた。激しく撹拌しながら液温を室温
から65℃に上げた。イオン交換水で希釈した水酸化ナ
トリウム2.0Mを空気ガスにより同伴させながら滴下
し、同時にイオン交換水で希釈した硫酸ニッケル1.0
Mを窒素ガスにより同伴させながら、還元液中に滴下し
た。これにより、細かい発泡と共にシリカが黒色とな
り、シリカ表面全面に金属ニッケルが析出した。
【0095】ニッケルメッキシリカの金メッキ化 金メッキ液として高純度化学研究所製金メッキ液K−2
4N100gを希釈せず用いた。全面に金属ニッケルが
析出したシリカを金メッキ液中に分散させた。激しく撹
拌しながら液温を室温から95℃に上げると、細かい発
泡と共にシリカが金色となり、シリカ表面に金が析出し
た。メッキ水底に沈殿したシリカは、濾過、水洗、乾燥
(50℃で30分)の後、水素で置換された電気炉で3
00℃で1時間焼成した。実体顕微鏡観察により、シリ
カ全表面が金により覆われたシリカが得られていること
がわかった。このシリカは、IPC分析により、パラジ
ウム、ニッケル、金が検出された。
【0096】シリカ−ケイ素系化合物−ニッケル−金構
造をもつ導電性シリカの同定 金メッキシリカは、エポキシ樹脂(アラルダイトA/
B)に混合後、硬化させ、その切片を電子顕微鏡にて観
察したところ、シリカ部と複相メッキ部の2層構造が確
認された。また、この金メッキシリカを、オージェ電子
分光分析により、表面をイオンエッチングしながら深さ
方向に存在する構成元素を分析したところ、深さ方向に
金層、ニッケル層、ケイ素系化合物層(炭素とケイ素含
有層)、シリカ層の4層構造を形成していることが明ら
かとなった。顕微鏡により観察した外観は黄色、比重は
3.5で、各層の厚みは、金層0.03μm、ニッケル
層0.25μmであった。
【0097】シリカ−ケイ素系化合物−ニッケル−金構
造をもつ導電性シリカの特性 金メッキシリカの抵抗率は、4端子をもつ円筒状のセル
に金メッキシリカを充填し、両末端の面積0.2cm2
の端子からSMU−257(ケースレ社製電流源)より
1〜10mAの電流を流し、円筒の中央部に0.2cm
離して設置した端子から2000型ケースレ社製ナノボ
ルトメーターで電圧降下を測定することで求めた。抵抗
率は2.2mΩ・cmであった。このシリカを乳鉢に入
れ、1分間すり潰し、熱処理(200℃,4時間)後の
変化を調べたところ、外観、抵抗率の変化はなかった。
【0098】[実施例1]表1に示すように、(A)成
分として25℃における粘度が1,000センチポイズ
の両末端がそれぞれトリビニルシロキシ基で封鎖された
ジメチルポリシロキサン(a)及び25℃における粘度
が1,000センチポイズの両末端がそれぞれジメチル
ビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン
(b)、(B)成分のシリカ微粉末として表面が疎水化
処理された乾式シリカ(R−972、日本アエロジル社
製、BET比表面積130m2/g)、(C)成分とし
て平均粒径8μmの銀粉末を配合し、室温でプラネタリ
ーミキサーにて2時間撹拌混合し、その後(D)成分と
してジクミルパーオキサイドを加え、室温にて均一にな
るまで混合し、シリコーン組成物を得た。この組成物を
165℃で10分間加熱硬化させた後、更に200℃で
4時間二次硬化させ、80mm×80mm×2mm(厚
み)のシリコーンゴムシートを得た。得られたシートの
体積抵抗率を測定した。この測定結果及び組成物の粘
度、射出成形性を表1に示す。
【0099】[実施例2]表1に示すように、(A)成
分として25℃における粘度が1,000センチポイズ
の両末端がそれぞれジメチルビニルシロキシ基で封鎖さ
れたジメチルポリシロキサン(d)、(B)成分のシリ
カ微粉末として表面が疎水化処理された乾式シリカ(R
−972、日本アエロジル社製、BET比表面積130
2/g)、(C)成分として平均粒径8μmの銀粉末
を配合し、室温でプラネタリーミキサーにて2時間撹拌
混合し、その後(D)成分として下記式(5)で示され
るジメチルハイドロジェンポリシロキサン、塩化白金酸
の1%2−エチルヘキサノール溶液、更に反応制御剤と
してエチニルシクロヘキサノールを加え、室温にて均一
になるまで混合し、シリコーン組成物を得た。この組成
物を120℃で10分間加熱硬化させ、80mm×80
mm×2mm(厚み)のシリコーンゴムシートを得た。
得られたシートの体積抵抗率を測定した。この測定結果
及び組成物の粘度、射出成形性を表1に示す。
【0100】
【化1】
【0101】[実施例3]実施例1に記載の(C)成分
である銀粉末の代わりに、合成例で作製した金メッキシ
リカ粉末とした以外は実施例1と同様に室温にて均一に
なるまで混合し、シリコーン組成物を得た。この組成物
を165℃で10分間加熱硬化させた後、更に200℃
で4時間二次硬化させ、実施例1と同様のシートを得
て、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0102】[実施例4]実施例2に記載の(C)成分
である銀粉末の代わりに、合成例で作製した金メッキシ
リカ粉末とした以外は実施例2と同様に室温にて均一に
なるまで混合し、シリコーン組成物を得た。この組成物
を120℃で10分間加熱硬化させ、実施例2と同様の
シートを得て、同様の測定を行った。結果を表1に示
す。
【0103】[比較例1〜3](A)成分として25℃
における粘度が1,000,000センチポイズの両末
端がそれぞれトリビニルシロキシ基で封鎖されたジメチ
ルポリシロキサン(c)を使用した以外は、表1に示す
成分を使用し、実施例と同様にしてシリコーンゴムシー
トを作製し、同様の測定を実施した。結果を表1に示
す。
【0104】[比較例4,5]実施例1記載の(C)成
分である銀粉末の代わりに、アセチレンブラックを表1
に示すように添加混合した以外は同様にしてシリコーン
ゴムシートを作製し、同様の測定を実施した。結果を表
1に示す。
【0105】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 9/02 C08K 9/02 C08L 83/07 C08L 83/07 // B29K 83:00 B29K 83:00 (72)発明者 福島 基夫 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 Fターム(参考) 4F206 AA33 AA46 AB03 AB13 AB17 AE03 AH33 JA07 JB12 JQ81 4J002 CP04X CP14W DA067 DA077 DJ016 DJ017 EK008 FB047 FD117 FD14X FD148 GQ00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)25℃における粘度が10〜100,000センチポ イズのオルガノポリシロキサン 100重量部 (B)シリカ微粉末 1〜100重量部 (C)金属粉末又は導電性金属メッキ粉末 30〜700重量部 (D)硬化剤 上記(A)成分を硬化させ得る量 を含有してなることを特徴とする導電性液状シリコーンゴム組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分のオルガノポリシロキサンが
    下記平均組成式(1) R1 aSiO( 4-a ) /2 (1) (式中、R1は炭素数1〜12の置換又は非置換1価炭
    化水素基であり、R1の0.001〜20モル%はアル
    ケニル基である。aは1.5〜2.8の正数である。)
    で示され、分子鎖両末端がトリビニルシリル基、ジビニ
    ルメチルシリル基又はビニルジメチルシリル基で封鎖さ
    れた1種又は2種以上のオルガノポリシロキサンである
    請求項1記載の導電性液状シリコーンゴム組成物。
  3. 【請求項3】 (C)成分が比表面積が1m2/g以下
    の金属メッキシリカ粉末である請求項1又は2記載の導
    電性液状シリコーンゴム組成物。
  4. 【請求項4】 (C)成分がシリカ上にニッケル層を介
    して金層が形成された構造を有する金属メッキシリカ粉
    末である請求項1,2又は3記載の導電性液状シリコー
    ンゴム組成物。
  5. 【請求項5】 (C)成分の金属粉末が銀粉末である請
    求項1又は2記載の導電性液状シリコーンゴム組成物。
  6. 【請求項6】 (D)成分の硬化剤が有機過酸化物であ
    る請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電性液状シリ
    コーンゴム組成物。
  7. 【請求項7】 (D)成分の硬化剤が付加反応系硬化剤
    である請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電性液状
    シリコーンゴム組成物。
  8. 【請求項8】 射出成形用である請求項1乃至7のいず
    れか1項記載の導電性液状シリコーンゴム組成物。
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