JP2001199395A - 船舶推進機用チルト装置 - Google Patents

船舶推進機用チルト装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 船舶推進機用チルト装置を構成する樹脂モー
タの内部蓄熱を防止し、モータの耐久性と寿命を向上す
ること。 【解決手段】 船舶推進機用チルト・トリム装置20に
おいて、モータ51の外装ケース71を樹脂にて形成
し、ポンプ52が循環せしめる作動油の循環路100を
該モータ51の内部に配置してなるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は船舶推進機用チルト
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶推進機用チルト装置として、
船体と、この船体に傾動自在に支持された船舶推進機と
の間に介装されるシリンダ装置を備えるとともに、シリ
ンダ装置に作動油を供給もしくは排出制御することによ
り、シリンダ装置を伸縮させて船舶推進機をチルト動作
させる作動油給排装置を備えてなるものがある。このと
き、作動油給排装置を、モータとポンプとタンクと切換
弁付流路にて構成している。
【0003】そして、従来技術では、モータの外装ケー
スを鉄の深絞りによるものから、樹脂成形によるものに
代え、結果として、モータのコスト低減、耐食性を向上
しようとするものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、モータの
外装ケースを樹脂にて形成した従来技術には以下の問題
点がある。
【0005】船舶推進機では、海水等が直接モータに
かかる構造であるために、モータを耐水気密構造にして
おり、このモータの外装ケースを樹脂化したものでは、
熱伝導率の悪い樹脂ケースが保温材として働いてモータ
の内部に熱気を蓄積し易い。
【0006】上述により、モータの内部は高温とな
り、アーマチュアの巻線の焼切れ、ブラシの異常摩耗等
を生じ、モータの耐久性、寿命を低下させる。
【0007】本発明の課題は、船舶推進機用チルト装置
を構成する樹脂モータの内部蓄熱を防止し、モータの耐
久性と寿命を向上することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、船体と、この船体に傾動自在に支持された船舶推進
機との間に介装されるシリンダ装置を備えるとともに、
シリンダ装置に作動油を供給もしくは排出制御すること
により、シリンダ装置を伸縮させて船舶推進機をチルト
動作させる作動油給排装置を備えてなり、作動油給排装
置がモータとポンプとタンクと切換弁付流路にて構成さ
れてなる船舶推進機用チルト装置において、モータの外
装ケースを樹脂にて形成し、ポンプが循環せしめる作動
油の循環路を該モータの内部に配置してなるようにした
ものである。
【0009】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記
載の本発明において更に、前記ポンプをポンプ室に配置
し、該ポンプ室の上部開口をモータの端板により閉塞
し、前記循環路を形成する循環パイプをモータの端板を
経てモータの内部に通してなるようにしたものである。
【0010】請求項3に記載の本発明は、請求項1又は
2に記載の本発明において更に、前記作動油給排装置
が、シリンダ装置のチルトダウン操作時にポンプが循環
せしめる作動油の余剰循環油量をタンクに戻すダウンブ
ロー弁と、シリンダ装置のチルトアップ操作時にポンプ
が循環せしめる作動油の余剰循環油量をタンクに戻すア
ップブロー弁とを備えてなり、前記循環路をダウンブロ
ー弁の吐出口又はアップブロー弁の吐出口に接続してな
るようにしたものである。
【0011】
【作用】請求項1の発明によれば下記、の作用があ
る。 ポンプが循環する作動油の循環路(循環パイプ)をモ
ータの内部に配置することにより、モータの耐水気密構
造を損なうことなく、チルト装置の作動時に、モータの
内部の循環路に冷媒としての作動油を流し、モータの内
部を冷却する。
【0012】上述により、モータのコスト低減、耐
食性を向上可能とする樹脂モータにおいて、内部蓄熱を
防止し、モータの耐久性と寿命を向上できる。この効果
は、モータの発熱が多くなる大出力の樹脂モータにおい
て顕著となる。
【0013】請求項2の発明によれば下記の作用があ
る。 循環路を形成する循環パイプを、ポンプ室の側から、
該ポンプ室を閉塞しているモータの端板経由でモータの
内部に通すことにより、循環路の配管をポンプ室やモー
タの外部に取り回すことなく、簡易な構成により、モー
タの内部を冷却できる。
【0014】請求項3の発明によれば下記の作用があ
る。 循環路(循環パイプ)を作動油給排装置のダウンブロ
ー弁の吐出口又はアップブロー弁の吐出口に接続するこ
とにより、作動油給排装置に格別の変更を加えることな
く、簡易な構成により、モータの内部を冷却できる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は船舶推進機を示す模式図、
図2はチルト・トリム装置を示す正面図、図3は図2の
一部破断側面図、図4は作動油給排装置の要部を示す断
面図、図5は図4のV-V 線に沿う端面図、図6はモータ
を一部破断して示す斜視図、図7はチルト・トリム装置
の油圧回路図である。
【0016】船舶推進機10(船外機、但し船内外機で
あっても良い)は、図1に示す如く、船体11の船尾板
11Aにスターンブラケット12を固定され、スターン
ブラケット12にはチルト軸13を介してスイベルブラ
ケット14が略水平軸まわりに傾動可能に枢着されてい
る。スイベルブラケット14には、図示されない略鉛直
配置される転舵軸を介して、推進ユニット15が転舵軸
まわりに回動可能に枢着されている。推進ユニット15
の上部にはエンジンユニット16が搭載され、推進ユニ
ット15の下部にはプロペラ17が備えられている。
【0017】即ち、船舶推進機10は、船体11に固定
のスターンブラケット12に、チルト軸13、スイベル
ブラケット14を介して推進ユニット15を傾動自在に
支持され、スターンブラケット12とスイベルブラケッ
ト14との間にチルト・トリム装置20のシリンダ装置
21を介装し、作動油給排装置22からシリンダ装置2
1に作動油を供給もしくは排出制御することにより、シ
リンダ装置21を伸縮させて推進ユニット15を傾動可
能としている。
【0018】(シリンダ装置21)(図2、図3、図
7) チルト・トリム装置20のシリンダ装置21は、図2、
図3に示す如く、中央のチルトシリンダ31と、左右一
対のトリムシリンダ32とからなる。
【0019】チルトシリンダ31は、図2、図3、図7
に示す如く、シリンダ33とピストンロッド34とから
なり、シリンダ33はスターンブラケット12への取付
ピン挿着孔33Aを備え、ピストンロッド34はスイベ
ルブラケット14への取付ピン挿着孔34Aを備える。
チルトシリンダ31は、ピストンロッド34の端部に固
定されるピストン35により、ピストンロッド34収容
側の上室36Aと、非収容側の下室36Bとに区画さ
れ、ピストン35に衝撃力吸収用アブソーバ弁37を備
える。
【0020】トリムシリンダ32は、図2、図3、図7
に示す如く、シリンダ38とピストンロッド39とから
なり、ピストンロッド39はスイベルブラケット14に
対し相互に離間可能な状態で当接可能とされている。ト
リムシリンダ32は、ピストンロッド39の端部に固定
されるピストン40により、ピストンロッド39収容側
の上室41Aと、非収容側の下室41Bとに区画されて
いる。
【0021】シリンダ装置21は、チルトシリンダ31
のシリンダ33と、トリムシリンダ32のシリンダ38
をアルミ合金鋳物からなるシリンダブロック42に一体
に形成している。
【0022】(作動油給排装置22)(図2〜図7) 作動油給排装置22は、可逆式モータ51と可逆式ギヤ
ポンプ52とタンク53と切換弁付流路54にて構成さ
れる。本実施形態では、タンク53を形成するアルミ合
金鋳物からなるタンクハウジング61をボルト62によ
ってシリンダブロック42の一側部に結合し、タンクハ
ウジング61が形成するタンク53をポンプ室63とし
て兼用し、このポンプ室63に浸漬したポンプ52をボ
ルト64によってタンクハウジング61に固定し、ポン
プ室63の上部開口をモータ51の後述する端板72に
より閉塞するように該端板72をボルト65によってタ
ンクハウジング61に固定している。また、シリンダブ
ロック42の他側部にはリザーバタンク66がボルト6
7によって固定されている。そして、ポンプ52とタン
ク53(66)とチルトシリンダ31の上室36A、下
室36B、トリムシリンダ32の上室41A、下室41
Bは、シリンダブロック42、タンクハウジング61に
穿設される切換弁付流路54により、図7に示す如くに
接続されている。
【0023】モータ51は、図4、図6に示す如く、有
天筒状の外装ケース71と、外装ケース71の下端開口
を密閉する端板72とにより外郭を構成し、外装ケース
71を樹脂にて形成している。モータ51は、外装ケー
ス71の内周に筒状鉄ヨーク73を備え、鉄ヨーク73
の内周に磁石74を備える。磁石74としては、鉄ヨー
ク73の内周を周方向に2分した各半周分に対応する2
個の円弧状磁石74、74が用いられている。モータ5
1は、アーマチュア75を備えるロータ76の両端のそ
れぞれを外装ケース71の天井部と端板72のそれぞれ
に支持し、外装ケース71のフランジ71Aを端板72
とともにボルト65により前述のタンクハウジング61
に液密に固定される。そして、モータ51の出力軸51
Aは、端板72を液密に貫通し、タンク53と兼用のポ
ンプ室63においてポンプ52の被動軸52Aに接続さ
れる。
【0024】ポンプ52は、タンクハウジング61が形
成するポンプ室63(タンク53)に前述の如くに浸漬
配置され、チルトアップ用吸込口81、チルトダウン用
吸込口82を、フィルタ83を介してポンプ室63(タ
ンク53)に開口し、モータ51の正逆転下で、タンク
53から吸込んだ作動油を切換弁付流路54に圧送可能
としている。
【0025】切換弁付流路54は、図7に示す如く、ポ
ンプ52をチルトシリンダ31の上室36A、下室36
Bのそれぞれに連通する第1油路86、第2油路87を
備え、第2油路87の中間部をトリムシリンダ32の下
室41Bに連通している。尚、トリムシリンダ32の上
室41Aは、フィルタ83を介してタンク53に連絡さ
れている。このとき、切換弁付流路54は、シャトル式
切換弁91、逆止弁92、93、ダウンブロー弁94、
アップブロー弁95、手動弁96、逆止弁97、サーマ
ルブロー弁98を備える。
【0026】シャトル式切換弁91は、第1チェック機
構付スプール111A、第2チェック機構付スプール1
11Bの両側に位置する第1逆止弁112A、第2逆止
弁112Bを備え、スプール111Aとスプール111
Bとを流路113で結んでいる。ポンプ52の正転時に
は、その送油圧力によって第1逆止弁112Aが開作動
するとともに、第1チェック機構付スプール111Aの
チェック機構を通る送油圧力が第2チェック機構付スプ
ール111Bを移動させて反対側の第2逆止弁112B
も開作動せしめる。また、ポンプ52の逆転時には、そ
の送油圧力によって第2逆止弁112Bが開作動すると
ともに、第2チェック機構付スプール111Bのチェッ
ク機構を通る送油圧力が第1チェック機構付スプール1
11Aを移動させて反対側の第1逆止弁112Aも開作
動せしめる。
【0027】逆止弁92は、ポンプ52とタンク53と
の中間部に介装され、シリンダ装置21のチルトアップ
操作時に、シリンダ33、38の内容積がピストンロッ
ド34、39の退出容積だけ増加して作動油の循環油量
が不足することにより、この逆止弁92の開作動によ
り、タンク53からポンプ52に循環油量の不足分を補
償するものである。
【0028】逆止弁93は、ポンプ52とタンク53と
の中間部に介装され、シリンダ装置21のチルトダウン
終了時に、チルトダウンが完了し、下室36B、41B
からポンプ52への返油がなくなった時点で、なおポン
プ52が作動する場合に、この逆止弁93の開作動によ
り、タンク53からポンプ52に作動油を供給可能とす
るものである。
【0029】ダウンブロー弁94は、オリフィスからな
り、シリンダ装置21のチルトダウン操作時に、シリン
ダ33、38の内容積がピストンロッド34、39の進
入容積だけ減少して作動油の循環油量に余りを生ずると
き、この余った作動油を吐出口94Aからタンク53に
戻すものである。尚、ダウンブロー弁94の吐出口94
Aは、ポンプ室63(タンク53)の内部にてポンプ5
2の上面に開設される。
【0030】アップブロー弁95は、シリンダ装置21
のチルトアップ操作時に、チルトシリンダ31が伸切り
状態となってチルトアップが完了してもなおポンプ52
が作動するときに、余剰の作動油を吐出口95Aからタ
ンク53に戻すものである。尚、アップブロー弁95の
吐出口95Aは、ポンプ室63(タンク53)の内部に
てポンプ52の上面に開設される。
【0031】手動弁96は、チルト・トリム装置20の
故障時等に、手動で操作せしめられ、シリンダ装置21
の下室36B、41Bの作動油をタンク53に戻し、逆
止弁97の作用と相まって、シリンダ装置21を手動で
収縮させ、推進ユニット15を手動でチルトダウン操作
可能とするものである。
【0032】逆止弁97は、手動弁96の使用時に、タ
ンク53の作動油をシリンダ装置21の上室36Aに引
き込み可能とするものであり、シリンダ装置21を手動
で収縮させることに寄与する。
【0033】サーマルブロー弁98は、シリンダ装置2
1の下室36B、41B及び第2油路87の作動油が温
度変化により容積増大したときに、その容積増大した作
動油をタンク53に逃がすサーマルブロー機能を果た
す。
【0034】以下、チルト・トリム装置20の基本的動
作について説明する。 (1) チルトアップ モータ51及びポンプ52を逆転すると、ポンプ52の
吐出油はシャトル式切換弁91の第2チェック弁112
Bを開作動するとともに、スプール111A、111B
を介して第1逆止弁112Aも開作動せしめる。これに
より、ポンプ52の吐出油は第2逆止弁112B、第2
油路87を通ってチルトシリンダ31の下室36Bに供
給され、上室36Aの作動油は第1油路86、第1逆止
弁112Aを通ってポンプ52に戻り、チルトシリンダ
31を伸長させ、チルトアップする。
【0035】チルトシリンダ31のチルトアップ動作と
同時に、第2油路87に供給された作動油は、トリムシ
リンダ32の下室41Bに供給され、トリムシリンダ3
2をトリムアップする。尚、トリムシリンダ32の上室
41Aの作動油はタンク53に戻る。
【0036】チルトシリンダ31とトリムシリンダ32
の上述のアップ動作により、推進ユニット15が最大ト
リムアップ位置に達した後には、チルトシリンダ31の
ピストンロッド34のみがより速い速度で伸長し、推進
ユニット15を最大チルトアップ位置までチルトアップ
する。
【0037】尚、第1油路86には、チルトシリンダ3
1とトリムシリンダ32のアップ動作を同期化するため
の絞り86Aが設けられている。
【0038】(2) チルトダウン モータ51及びポンプ52を正転すると、ポンプ52の
吐出油はシャトル式切換弁91の第1逆止弁112Aを
開作動するとともに、スプール111A、111Bを介
して第2逆止弁112Bも開作動せしめる。これによ
り、ポンプ52の吐出油は第1逆止弁112A、第1油
路86を通ってシリンダ装置21の上室36Aに供給さ
れ、シリンダ装置21の下室36Bの作動油は第2油路
87、第2逆止弁112Bを通ってポンプ52に戻り、
チルトシリンダ31を収縮させ、チルトダウンする。
【0039】チルトシリンダ31のチルトダウン動作の
中間過程で、スイベルブラケット14がトリムシリンダ
32のピストンロッド39に衝合した後には、トリムシ
リンダ32も収縮せしめられ、トリムダウンする。
【0040】然るに、本実施形態では、モータ51の外
装ケース71を樹脂化したことによるモータ51の内部
蓄熱を防止するため、ポンプ52が循環せしめる作動油
を冷媒とし、この作動油の循環路100をモータ51の
内部に配置した。具体的には、循環路100をアルミパ
イプからなる循環パイプ101にて構成し、以下の如く
に取回すことができる。
【0041】(1) 循環パイプ101の一端をポンプ室6
3(タンク53)の内部で、ポンプ52の上面に開設さ
れているダウンブロー弁94の吐出口94A(又はアッ
プブロー弁95の吐出口95A)に接続する。
【0042】(2) 循環パイプ101をモータ51の端板
72に液密に通し、鉄ヨーク73の周方向の一側で相隣
る磁石74、74の間を鉄ヨーク73の表面に沿って立
上げ、磁石74の上面に沿うように折曲げ、鉄ヨーク7
3の周方向の他側で再び相隣る磁石74、74の間を鉄
ヨーク73の表面に沿って立下げ、端板72を液密に通
し、結果として、循環パイプ101の他端をタンク53
に開口する。
【0043】尚、循環パイプ101はモータ51の成形
組立時に同時に組込まれ、循環パイプ101が端板72
を貫通する部分にはシール材が設けられる。従って、作
動油給排装置22の組立に際し、循環パイプ101は、
モータ51の端板72から突出している一端をダウンブ
ロー弁94の吐出口94A(又はアップブロー弁95の
吐出口95A)に接続し、他端をポンプ室63(タンク
53)に配置するだけで良い。
【0044】シリンダ装置21のチルトダウン動作時
に、ポンプ52が圧送して循環せしめる作動油の余剰循
環油量をダウンブロー弁94が吐出口94Aから前述の
如くにタンク53に戻そうとするとき、本実施形態で
は、吐出口94Aに接続された循環パイプ101がこの
余剰循環油をモータ51の内部に通し、モータ51の内
部を冷却する。また、循環パイプ101がアップブロー
弁95の吐出口95Aに接続されたときには、シリンダ
装置21のチルトアップ動作の伸び切り時に、ポンプ5
2が圧送して循環せしめる作動油の余剰循環油量をアッ
プブロー弁95が吐出口95Aから前述の如くにタンク
53に戻そうとするとき、吐出口95Aに接続された循
環パイプ101がこの余剰循環油をモータ51の内部に
通し、モータ51の内部を冷却する。
【0045】従って、本実施形態によれば、以下の作用
がある。 ポンプ52が循環する作動油の循環路100(循環パ
イプ101)をモータ51の内部に配置することによ
り、モータ51の耐水気密構造を損なうことなく、チル
ト・トリム装置20の作動時に、モータ51の内部の循
環路100に冷媒としての作動油を流し、モータ51の
内部を冷却する。
【0046】上述により、モータ51のコスト低
減、耐食性を向上可能とする樹脂モータ51において、
内部蓄熱を防止し、モータ51の耐久性と寿命を向上で
きる。この効果は、モータ51の発熱が多くなる大出力
の樹脂モータ51において顕著となる。
【0047】循環路100を形成する循環パイプ10
1を、ポンプ室63の側から、該ポンプ室63を閉塞し
ているモータ51の端板72経由でモータ51の内部に
通すことにより、循環路100の配管をポンプ室63や
モータ51の外部に取り回すことなく、簡易な構成によ
り、モータ51の内部を冷却できる。
【0048】循環路100(循環パイプ101)を作
動油給排装置22のダウンブロー弁94の吐出口94A
又はアップブロー弁95の吐出口95Aに接続すること
により、作動油給排装置22に格別の変更を加えること
なく、簡易な構成により、モータ51の内部を冷却でき
る。
【0049】尚、船舶推進機10の作動油給排装置22
では、ポンプ52とタンク53とチルトシリンダ31、
トリムシリンダ32とをつなぐ切換弁付流路54がシリ
ンダブロック42、タンクハウジング61に配設され、
モータ51はタンクハウジング61の上部に設置されて
いる。従って、流路54を流れる作動油は、海水等に接
し易い下位に位置するアルミ合金製のシリンダブロック
42、タンクハウジング61の内部で良く冷却され、冷
媒として好適となる。他方、モータ51はタンクハウジ
ング61の上部に配置されていて海水等に接しにくい。
【0050】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の
設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、モ
ータの内部における循環路(循環パイプ)の取回し経路
は如何様であっても良く、外装樹脂ケースに穿設、埋設
されていても良い。また、循環路(循環パイプ)はモー
タの内部で一周以上周回され、或いはジグザグに蛇行配
置されても良い。
【0051】また、循環路(循環パイプ)は、作動油給
排装置のダウンブロー弁、アップブロー弁に限らず、他
の油圧発生部に連結されていても良い。
【0052】また、本発明が適用されるチルト・トリム
装置にあっては、作動油給排装置が、シリンダ装置のシ
リンダブロックに一体成形されていても良いが、両者は
必ずしも一体結合されることを要さず互いに分離配置さ
れていても良い。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、船舶推進
機用チルト装置を構成する樹脂モータの内部蓄熱を防止
し、モータの耐久性と寿命を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は船舶推進機を示す模式図である。
【図2】図2はチルト・トリム装置を示す正面図であ
る。
【図3】図3は図2の一部破断側面図である。
【図4】図4は作動油給排装置の要部を示す断面図であ
る。
【図5】図5は図4のV-V 線に沿う端面図である。
【図6】図6はモータを一部破断して示す斜視図であ
る。
【図7】図7はチルト・トリム装置の油圧回路図であ
る。
【符号の説明】
10 船舶推進機 11 船体 21 シリンダ装置 22 作動油給排装置 51 モータ 52 ポンプ 53 タンク 54 切換弁付流路 63 ポンプ室 71 外装ケース 72 端板 94 ダウンブロー弁 94A 吐出口 95 アップブロー弁 95A 吐出口 100 循環路 101 循環パイプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体と、この船体に傾動自在に支持され
    た船舶推進機との間に介装されるシリンダ装置を備える
    とともに、シリンダ装置に作動油を供給もしくは排出制
    御することにより、シリンダ装置を伸縮させて船舶推進
    機をチルト動作させる作動油給排装置を備えてなり、 作動油給排装置がモータとポンプとタンクと切換弁付流
    路にて構成されてなる船舶推進機用チルト装置におい
    て、 モータの外装ケースを樹脂にて形成し、ポンプが循環せ
    しめる作動油の循環路を該モータの内部に配置してなる
    ことを特徴とする船舶推進機用チルト装置。
  2. 【請求項2】 前記ポンプをポンプ室に配置し、該ポン
    プ室の上部開口をモータの端板により閉塞し、前記循環
    路を形成する循環パイプをモータの端板を経てモータの
    内部に通してなる請求項1記載の船舶推進機用チルト装
    置。
  3. 【請求項3】 前記作動油給排装置が、シリンダ装置の
    チルトダウン操作時にポンプが循環せしめる作動油の余
    剰循環油量をタンクに戻すダウンブロー弁と、シリンダ
    装置のチルトアップ操作時にポンプが循環せしめる作動
    油の余剰循環油量をタンクに戻すアップブロー弁とを備
    えてなり、 前記循環路をダウンブロー弁の吐出口又はアップブロー
    弁の吐出口に接続してなる請求項1又は2記載の船舶推
    進機用チルト装置。
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