JP2001193309A - 耐震性スリット部材 - Google Patents

耐震性スリット部材

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JP2001193309A
JP2001193309A JP2000316779A JP2000316779A JP2001193309A JP 2001193309 A JP2001193309 A JP 2001193309A JP 2000316779 A JP2000316779 A JP 2000316779A JP 2000316779 A JP2000316779 A JP 2000316779A JP 2001193309 A JP2001193309 A JP 2001193309A
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earthquake
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JP2000316779A
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Hitomi Muraoka
仁美 村岡
Bunji Yamaguchi
文治 山口
Masaki Tono
正樹 戸野
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便に製造可能であって、優れた耐火性を有
する耐震スリット部材を提供する。 【解決手段】 耐震スリット部材が、振動を吸収可能な
柔軟材A、加熱膨張性を有し、600℃で10分間加熱
した後にかさ密度0.5g/cm3 以下の耐火断熱層を
形成する熱膨張性材料層B及び補強板Cが積層された積
層体からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構築
物の壁部などに形成される耐震性スリット構造部に使用
される耐震性スリット部材に関し、さらに詳しくは耐火
性が付与された耐震性スリット部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特にコンクリート構築物の耐震性
を向上させるために、構築物の壁部と柱部との縁切り部
材として、大面積の壁部に適宜の場所にスリット構造部
を設ける工法が導入されている。コンクリート構築物の
壁部にスリット構造部を設けるために、種々の方法、手
段が提案されているが、スリットを入れるだけでなく、
それに付随して生じる耐火性や止水性の付与も解決不可
欠の問題である。
【0003】耐震性スリット部材としては、様々な形態
のものがあるが、例えば、(株)東京パイロン販売か
ら、ポリエチレン発泡体を柔軟材として使用し、両面粘
着テープにより硬質塩化ビニル補強板に貼合わせた耐震
スリットが上市されている。しかしながら、スラブの上
に止水材として液状のコーキング材を塗布し、コーキン
グ材が壁の動きによって切れを生じた場合を想定して、
さらに再生ブチルゴムでシールを行う必要があるため施
工が煩雑であった。
【0004】さらに、柔軟材の一部をロックウールに代
替することにより、耐火性は向上するが、取扱い性に難
があったり、部材数が多くなる上に各部材の貼合わせに
両面粘着テープを使用するため、工程数が多く煩雑にな
るため、製造効率が低下するという問題点があった。
【0005】実公平6−22050号公報には、図8
(イ)の斜視図に示すように、柔軟材aに係合溝b1
びb2 を有する補強板bが積層されたスリット目地材が
開示されている。このスリット目地材を使用してコンク
リート打設を行う手順を、図8(ロ)の模式断面図に基
づいて説明する。壁Wの柱際に縁切り状の耐震スリット
構造を形成する場合は、まず、柱型枠p 1 の際部におい
て、壁型枠p2 所定位置に断面台形の目地棒dを仮止め
し、さらに柔軟材aを目地棒dに沿って設置すると共
に、支持体eを本体となる柔軟材aに添設した補強板b
の係合溝b1 及びb2 に係合し、所定の高さに摺動させ
てセパレーターsを支持体eに設けた孔(図示しない)
に挿通して壁型枠p2 に取り付ける。
【0006】上記柔軟材aの反対側端面に沿って反対側
の壁型枠p3 に目地棒dを仮止めした状態で、セパレー
ターsの他端を壁型枠p3 に取り付け組み立てる。コン
クリートの打設は柱型枠p1 側から始め、次いで壁型枠
側へと移動することによって、柱Pと壁Wを形成するこ
とができる。型枠解体後は目地棒dを除去し、その後に
コーキング材(図示しない)を充填する。このような耐
震スリットを設ける工程は煩雑であるため、工程を増や
さず、同時に耐火性を付与することの可能な耐震スリッ
トが望まれていた。
【0007】また、耐震性スリット部材に耐火性を付与
するための方法として、図9に示すような、コンクリー
ト建築物の耐震用スリット材が提案されている。この耐
震用スリット材10は、板状の合成樹脂発泡体11と、
この合成樹脂発泡体11を両側で支持する断面略コ字状
の支持体12,12とからなるもので、支持体12に
は、その延出方向に断面略コ字状の凹部12aが形成さ
れている。しかしながら、この耐震用スリット材10
は、合成樹脂発泡体11の選択によっては、コンクリー
トの圧力で飛ばされる虞があった。
【0008】また、耐震性スリット部材に耐火性を付与
するための方法として、特開平11−22059号公報
には、目地を形成する柔軟材部分に薄肉鋼板製の耐火板
を設ける方法が開示されている。しかしながら、柔軟材
を2分割して貼合わせ部に接着剤を塗布する必要がある
ため、工程数が多く煩雑になり、製造効率が低下すると
いう問題点があった。
【0009】さらに、例えば実公平2−34365号公
報には、図10に示すような、コンクリート建築物のス
ペーサー構造材が提案されている。図中、1はコンクリ
ート建築物における柱部分、2は腰壁部分を示し、現場
打ちにより構築されるものである。柱部分1と腰壁部分
2との間又は少なくとも腰壁部分2の柱部分1に近接す
る部分に、縦にスペーサー構造Sが形成される。上記ス
ペーサー構造Sは地震等による柱部分1と腰壁部分2の
振動に対してこれを吸収できる構造とするために、通
常、構成樹脂で成形された断面略H字型又はM字型等の
目地部材3,3を対向的に配置し、その間に仕切り体と
して柔軟材8を差し渡して構成されている。
【0010】このタイプの耐震性スリット部材は、コン
クリート打設時に柔軟材がコンクリートの圧力に耐えう
るだけの強度が必要不可欠である上に、柔軟材として撥
水処理を施したガラス繊維をシート状に形成すると共に
板状に積層成形したものを使用しているため、強度はあ
る程度確保できるが、火災時にガラス繊維が溶融する
と、耐火性が低下するという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、簡便に製造可能であって、優れた耐火性
を有する耐震スリット部材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、第1発明という)の耐震性スリット部材は、柔軟材
層A、加熱膨張性を有し、600℃で10分間加熱した
後にかさ密度0.5g/cm3 以下の耐火断熱層を形成
する熱膨張性材料層B、及び、補強板Cが積層されてな
ることを特徴とする。
【0013】請求項2記載の発明(以下、第2発明とい
う)の耐震性スリット部材は、柔軟材層Aと、加熱膨張
性を有し、600℃で10分間加熱した後にかさ密度
0.5g/cm3 以下の耐火断熱層を形成する熱膨張性
材料層Bとを積層した構成体を、係止保持可能な支持体
Fと組み合わせることを特徴とする
【0014】請求項3記載の発明(以下、第3発明とい
う)の耐震性スリット部材は、上記熱膨張性材料層Bを
亜鉛鉄板に貼付け1時間経過後に300mm/分の速度
で90度剥離する際の剥離力(JIS Z 0237に
準拠して測定される)が、5〜60N/25mm幅であ
ることを特徴とする。
【0015】請求項4記載の発明(以下、第4発明とい
う)の耐震性スリット部材は、上記熱膨張性材料層B
が、ゴム35〜50重量%、重量平均分子量(ASTM
D2503に準拠して測定される)800〜1600
のポリブテン40〜60重量%、及び、軟化点(JIS
K 2207に準拠して測定される)100〜150
℃の粘着付与剤5〜25重量%を含有する樹脂バインダ
ー100重量部、並びに、無機充填剤250〜400重
量部からなり、無機充填剤のうち加熱時に膨張する層状
無機物が50〜350重量部であることを特徴とする。
【0016】請求項5記載の発明(以下、第5発明とい
う)の耐震性スリット部材は、上記柔軟材層Aを厚み方
向に圧力を加えて初期厚みの60%まで圧縮し圧力を解
放する工程を連続して5回繰り返した後の形状回復率
が、90%以上であることを特徴とする。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。第1発明
の耐震性スリット部材は、柔軟材層A、熱膨張性材料層
B及び補強板Cが積層された積層体より形成される。本
発明は、耐震性スリット部材に、耐火性、あるいは止水
性も同時に付与する技術に関するものであり、耐震性ス
リット部材の形状や使用方法、補強板Cの形状や係合形
状、柔軟材層Aや補強板Cを構成する材料に関しては、
特に限定されるものではない。
【0018】第2発明の耐震性スリット部材は、柔軟材
層Aと熱膨張性材料層Bとが積層された構成体を、係止
保持可能な支持体Fと組み合わせたものからなる。本発
明は、耐震性スリット部材に、耐火性あるいは止水性も
同時に付与する技術に関するものであり、耐震性スリッ
ト部材の形状や使用方法、支持体Fの形状や係合形状、
柔軟材層Aや支持体Fを構成する材料に関しては、特に
限定されるものではない。
【0019】上記柔軟材層Aは、地震時に発生した振動
による応力を緩和可能な材料であって、地震発生時に壁
が歪んだ場合でも回復力があり、さらに緩衝能力、剛
性、断熱性のあるものが好ましい。剛性が小さくなる
と、コンクリート打設時に変形が起こるため、好ましく
ない。
【0020】上記柔軟材層Aの圧縮強度はコンクリート
打設時にかかる圧力を想定して、JIS K 6767
に準拠して10mm/分の速度で初期厚みの25%まで
圧縮した際に、その間の最大荷重で表される圧縮強度が
0.5×104 〜15×10 2 N/m2 であるものが好
ましく、より好ましくは2×104 〜6.5×104
/m2 である。圧縮強度が、0.5×104 N/m2
満になるとコンクリート打設時に柔軟材層Aが変形する
ため、耐震スリット部材の厚みが不均一になって壁全体
としての断熱性、耐水性が低下し、15×104 N/m
2 を超えると振動により発生する応力の緩和能力が低下
するため、耐震性が低下する。
【0021】上記柔軟材層Aとしては、例えば、かさ密
度0.02〜0.2g/cm3 のオレフィン樹脂系の独
立気泡発泡体、かさ密度1〜3.2g/cm3 のガラス
ウールマット等が好適に用いられる。特に、オレフィン
樹脂系の独立気泡発泡体は、水や空気を透過し難く、か
つ安価で軽量であるため、取扱い性の点からも好まし
い。
【0022】特に、第2発明のような形態の耐震性スリ
ット部材の場合は、柔軟材層Aの圧縮時の性能がより重
要であるため、柔軟材層Aを厚み方向に圧力を加えて初
期厚みの60%まで圧縮し圧力を解放する工程を連続し
て5回繰り返した後の形状回復率が、90%以上である
ことが好ましく、より好ましくは95%以上である。形
状回復率が、90%未満になると地震発生後に形状が回
復しないため、地震後に十分な耐水性や耐火性能が得ら
れない。
【0023】さらに、柔軟材層Aをコンクリート圧縮強
度相当の21N/mm2 の力で圧縮した場合の厚み(残
存幅)とコンクリート施工時の一般的な側圧程度の0.
05N/mm2 の力で圧縮した場合の圧縮分の厚み(圧
縮幅)との合計が、10mm以内であることがさらに好
ましい。残存幅と圧縮幅との合計が10mmを超える
と、耐震スリット部材の柔軟材層Aの幅をより厚くする
必要が出てくるため好ましくない。
【0024】上記柔軟材層Aの厚みは、構成材料、スリ
ット部材の幅(目地幅)によって異なるが、一般に耐震
スリット部材の幅としては、スリット部材の長さの1/
100(変形幅)程度であれば、耐震性能面で安全が確
保できるといわれている。従って、好ましい柔軟材層A
の厚みとしては、上述の変形幅+残存幅+圧縮幅を合計
した程度の厚みであり、後述の熱膨張性材料層Bの厚み
を差し引いたものであることが好ましい。
【0025】上記熱膨張性材料層Bとしては、加熱膨張
性を有し、600℃で10分間加熱した後にかさ密度
0.5g/cm3 以下の耐火断熱層を形成するものであ
れば、特に限定されない。600℃で10分間加熱した
後の耐火断熱層のかさ密度が、0.5g/cm3を超え
ると断熱性が不十分となり、目地部に十分な耐火断熱性
能を付与することができなくなる。
【0026】上記熱膨張性材料層B単独で負荷をかけず
に600℃で10分間自由膨張させた後の厚み方向の膨
張倍率 (d/d0)は、1.2倍以上が好ましく、より好
ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上であ
る。ここで、dは自由膨張後の厚み、d0 は初期厚み
(目地部の厚み)をそれぞれ示し、膨張倍率 (d/d0)
が1.2倍以上であれば、加熱時の膨張力によって完全
に目地を充填することができる。
【0027】上記熱膨張性材料層Bの初期厚みとして
は、耐震スリット部材を設置する目地間隔の25%以下
が好ましい。目地間隔の25%を超えると、柔軟材層A
と積層した積層体の断熱性、剛性、回復力等の物性が低
下し、より好ましくは15%以下である。
【0028】上記熱膨張性材料層Bを作製する方法とし
ては、例えば、塗料を吹き付けて硬化させる方法;パテ
状物をはけ等で塗布する方法;カレンダー成形、押出成
形等でシート状に成形する方法などが挙げられる。特
に、熱膨張性材料層Bのシート状物は、施工性が著しく
向上するので好ましい。
【0029】上記熱膨張性材料層Bを亜鉛鉄板に貼付け
て1時間経過後に90度剥離する際の剥離力(90度剥
離力)は、5〜60N/25mm幅が好ましい。90度
剥離力が、5N/25mm幅未満になると熱膨張性材料
層Bの粘着力が不十分で、柔軟材層A及び補強板Cとの
積層を熱膨張性材料層Bの粘着力のみで簡易に行うこと
が難しくなり、60N/25mm幅を超えると柔軟材層
A及び補強板Cとの積層時に誤って貼合わせた場合に変
更や修正がし難くなるため、製造効率が低下する。
【0030】上記90度剥離力を5〜60N/25mm
幅の範囲に設定することによって、接着剤や両面テープ
を使用することなく、熱膨張性材料層B自体の粘着力に
よって、柔軟材層A及び補強板Cと積層することができ
る。尚、上記90度剥離力は、JIS Z 0237に
準拠して、300mm/分の速度で測定される値であ
る。
【0031】上記熱膨張性材料層Bは、ゴム、ポリブテ
ン及び粘着付与剤からなる樹脂バインダー、並びに、無
機充填剤を含有する樹脂組成物から形成されるものが好
ましい。
【0032】上記ゴムとしては、水密性が高い、ブチル
ゴム、イソプレンゴムが好ましく、ブチルゴムの部分架
橋品も使用可能である。特に、ブチルゴムを使用した場
合は、自己粘着性と水密性のため、止水効果を併せて付
与することが可能となり、別途止水材を貼り合わせる必
要がなくなるので、より容易に耐震スリット部材を成形
する成形することが可能となる。
【0033】上記ブチルゴムのASTM D1646に
準拠して測定されるムーニー粘度ML(1+8)@12
5℃は、25〜60が好ましい。ムーニー粘度が、25
未満では凝集力が不足するため成形体の強度が不足し、
60を超えると混練時に混練装置にかかる負荷が大きく
なるため、成形性が低下する。
【0034】上記ブチルゴムの市販品としては、例え
ば、エクソン化学社製「ブチル065」(ムーニー粘
度:29〜35)、「ブチル268」(ムーニー粘度:
46〜56)、「ブチル365」(ムーニー粘度:30
〜36)等が挙げられる。
【0035】上記ポリブテンのASTM D2503に
準拠して測定される重量平均分子量は、800〜160
0が好ましい。重量平均分子量が、800未満になると
粘度が低くなるため、成形体表面にブリードアウトする
可能性があり、1600を超えると粘度が高くなるた
め、成形時の可塑化効果が不十分となり、後述する無機
充填剤の均一混合が困難になる。
【0036】上記ポリブテンの市販品としては、例え
ば、出光石油化学社製「100R」(重量平均分子量:
940)、「300R」(重量平均分子量:145
0)、「HV−100」(重量平均分子量:970);
AMOCO社製「H−100」(重量平均分子量:94
0)等が挙げられる。
【0037】上記粘着付与剤のJIS K 2207に
準拠して測定される軟化点は、100〜150℃である
ものが好ましい。軟化点が、100℃未満になると夏場
にブロッキングを起こし易くなり、150℃を超えると
後述の熱膨張性層状無機物が膨張する恐れがあり、粘着
付与剤を均一に混練するのが困難になる。
【0038】上記粘着付与剤としては、例えば、天然樹
脂、変性ロジン、ロジン及び変性ロジンの誘導体、ポリ
テルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹
脂、シクロペタジエン樹脂、芳香族石油樹脂、フェノー
ル樹脂、アルキルフェノール−アセチレン系樹脂、スチ
レン系樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、ビ
ニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等が挙げら
れる。
【0039】上記樹脂バインダー中、ゴムの含有量は3
5〜50重量%、ポリブテンの含有量は40〜60重量
%、粘着付与剤の含有量は5〜25重量%が好ましい。
【0040】上記ゴムの含有量が、35重量%未満にな
ると凝集力が不足するため成形体の強度が不足し、50
重量%を超えると無機充填剤の配合時に均一混練が困難
となるため、成形体の柔軟性が低下し施工性も悪くな
る。上記ポリブテンの含有量が、40重量%未満になる
と可塑化効果が不十分となるため、無機充填剤の均一混
合が困難になり、60重量%を超えると他の樹脂成分の
比率が少なくなるため、成形体の強度が不十分となる。
上記粘着付与剤の含有量が、5重量%未満になると十分
な粘着性が得られず、25重量%を超えると他の樹脂成
分の比率が少なくなるため、成形体の強度が不十分とな
る。
【0041】上記樹脂組成物に用いられる無機充填剤と
しては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等の
リン化合物、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、
塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイ
ドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏
繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モ
ンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライ
ト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビ
ーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ
素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭
素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸
カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チ
タン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリ
ブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各
種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュなどが挙げられ
る。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用
されてもよい。
【0042】上記リン化合物は、周期律II族もしくはII
I 族に属する金属の金属塩又は酸化物と組み合わせて使
用することによって、燃焼残渣の形状をより強固なもの
とすることが可能となるため好ましい。具体的には、リ
ン化合物としては、ポリリン酸アンモニウム、赤リン;
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム等が挙げられる。
【0043】また、上記無機充填剤として含水無機物を
使用すると、加熱時に脱水し、吸熱効果を発現するた
め、耐熱性を高める点から好ましい。含水無機物として
は、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0044】上記樹脂組成物における無機充填剤の配合
量は、上記樹脂バインダー100重量部に対して250
〜400重量部が好ましい。無機充填剤の配合量が25
0重量部未満になると、上記熱膨張性材料層Bの燃焼後
の残渣量が減少するため十分な耐火性能が得られず、可
燃物の配合比率が増加するため難燃性が低下する。ま
た、無機充填剤の配合量が400重量部を超えると、樹
脂バインダーの配合比率が減少するため粘着力が不足
し、施工性が低下する。
【0045】上記無機充填剤中、加熱時に膨張する熱膨
張性層状無機物が50〜350重量部含有されることが
好ましい。熱膨張性層状無機物の量が、50重量部未満
では膨張倍率が不足するため、十分な耐火、防火性能が
得られず、350重量部を超えると凝集力が不足するた
め、十分な強度を有する成形体が得られない。
【0046】上記熱膨張性層状無機物は、層間に酸、水
等が化学的に安定に保持された層状の無機化合物が好ま
しく、加熱により層間に保持された酸、水等が気化し層
間距離が押し広げられることによって、物理的に体積膨
張する無機化合物が用いられる。このよう熱膨張性層状
無機物としては、例えば、バーミキュライト(熱膨張開
始温度:260℃)、中和処理された熱膨張性黒鉛(熱
膨張開始温度:200℃)、カオリン、マイカ等が挙げ
られる。これらの中で、熱膨張開始温度の低い中和処理
された熱膨張性黒鉛が好ましい。
【0047】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従
来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したもので
ある。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱
分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、
濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素
酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸
化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグ
ラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持し
たままの結晶化合物である。
【0048】上述のように酸処理して得られた熱膨張性
黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和すること
により、上記中和処理された熱膨張性黒鉛が得られる。
【0049】上記脂肪族低級アミンとしては特に限定さ
れず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチ
ルアミン等が挙げられる。
【0050】上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては特に限定されず、例えば、カリウ
ム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム
等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩など
が挙げられる。
【0051】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が、200
メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所
定の耐火断熱層が得られず、また、20メッシュより大
きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はある
が、樹脂分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低
下が避けられない。
【0052】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品
としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGRE
P−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFG
UARD#160」、「GRAFGUARD#220」
等が挙げられる。
【0053】上記バーミキュライトの市販品としては、
例えば、キンセイマテック社製「バーミキュライト」が
挙げられる。
【0054】本発明で用いられる補強板Cには、柔軟材
層Aをコンクリート打設時に自立させるという役割や、
係合部を有する場合はコンクリート打設時に型枠に固定
し易くするという役割がある。補強板Cに用いられる材
料としては、特に制限はないが、係合部を一体成形可能
な、高密度ポリエチレン樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、ア
クリル系樹脂等が挙げられる。
【0055】本発明で用いられる支持体Fには係止部が
設けられており、この係止部に柔軟材層Aを挟み込み、
固定させる。支持体Fに用いられる材料としては、特に
制限はないが、補強板Cと同様に、係止部を一体成形可
能な高密度ポリエチレン樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、ア
クリル系樹脂等が挙げられる。
【0056】本発明の耐震性スリット部材を外壁の目地
部に設置し耐火試験を行うと、柔軟材A単独では加熱に
よって溶融して火炎のぬけが生じるが、熱膨張性材料層
Bが熱によって膨張し、かさ密度の低い耐火断熱層を形
成して目地部を完全に充填することにより、耐火断熱性
を付与することが可能となる。
【0057】本発明の耐震性スリット部材としては、次
の構成が挙げられる。 (イ)柔軟材層Aの片面に熱膨張性材料層Bを設け、さ
らに補強板Cを設けたもの。 (ロ)柔軟材層Aの両面に熱膨張性材料層Bを設け、さ
らに補強板Cを設けたもの。 (ハ)柔軟材層Aと熱膨張性材料層Bとの多層構成体で
目地部とほぼ同幅の部材を構成し、さらに補強板Cを設
けたもの。 (ニ)柔軟材層Aの片面に熱膨張性材料層Bを設け、さ
らに支持体Fに挟み込んだもの。 (ホ)柔軟材層Aの両面に熱膨張性材料層Bを設け、さ
らに支持体Fに挟み込んだもの。 (ヘ)柔軟材層Aと熱膨張性材料層Bとの多層構成体で
目地部とほぼ同幅の部材を構成し、さらに支持体Fに挟
み込んだもの。
【0058】但し、柔軟材層Aの面積に対して、熱膨張
性材料層Bは耐火性能が発現可能な程度の面積であれば
十分であるので、柔軟材層Aに対して部分的に熱膨張性
材料層Bを積層してもよい。特に、耐震性スリット部材
の奥行き方向に関しては、熱膨張性材料層Bの発泡倍
率、残渣保持性状等により、柔軟材層Aに対して部分的
に積層してもよい。
【0059】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0060】・熱膨張性材料層の調製表1に示した配合
量のブチルゴム、ポリブテン、石油樹脂、熱膨張性黒
鉛、ポリリン酸アンモニウム、水酸化ルミニウム及び炭
酸カルシウムを二軸押出機で混練してシート状に押出を
行い、熱膨張性材料層B1 、B2 及びB5 を得た。ま
た、熱膨張性材料層B3 としてケミー・リンツ社製「イ
ンツメックス」(主バインダー:クロロプレン)を使用
し、熱膨張性材料層B4 として日本ペイント社製「タイ
カリット S−200」(アクリルエマルジョン系耐火
塗料)を使用した。
【0061】上記熱膨張性材料層について下記項目の評
価を行い、その結果を表1に示した。 (1)90度剥離強度(粘着性の指標) 熱膨張性材料層を25mm幅×250mm長さに切断し
て試験片とし、オリエンテック社製「テンシロン」を使
用し、JIS Z 1528に準拠して、剥離速度30
0mm/分で90度剥ひきはがし法による常態粘着力を
測定した。
【0062】(2)自由膨張時の膨張倍率 熱膨張性材料層単独で上方から何の負荷をかけずに、6
00℃の電気炉内で10分間自由膨張させ、下式から厚
み方向の膨張倍率を算出した。膨張倍率(倍)=d/d
0 (ここで、dは熱膨張後の厚みを示し、d0 は熱膨張
前の厚みを示す)
【0063】(3)膨張後のかさ密度 熱膨張性材料層を10cm×10cmに切断した試験片
を水平に設置した状態で、コーンカロリーメーター(ア
トラス社製「CONE2A」)を用いて600℃で10
分間加熱した後試験片残渣の重量を測定し、下式からか
さ密度を算出した。かさ密度(g/cm3 )=加熱後の
試験片残渣の重量(g)/10cm×10cm×加熱後
の厚み(cm)
【0064】
【表1】
【0065】(実施例1)23mm厚のポリエチレン発
泡体を柔軟材層A1 とし、この柔軟材層A1 上に、2m
m厚の熱膨張性材料層B1 及び2mm厚の硬質塩化ビニ
ル樹脂製押出成形板を補強板Cとして配置して積層し、
図1に示した構成の積層体からなる耐震スリット部材を
得た。尚、耐震スリット部材は、熱膨張性材料層B1
自己粘着性を利用して積層した。
【0066】上記耐震スリット部材を目地部となる所定
の位置に固定した後普通セメントを打設して硬化させ、
幅2500mm×高さ2350mm×厚さ120mmの
普通コンクリート板に設けた目地部(25mm幅)2ケ
所に、耐震スリット部材が配置された耐火試験用試験体
を作製した。熱膨張性材料層B1 の厚みの目地部幅に対
する比率は8%であった。尚、耐震スリット部材は、目
地部奥行き方向の略中央部に配置し、コンクリートを打
設、硬化後、目地部奥行き方向の外壁側に生じた空所に
シーリング材を充填した。
【0067】(実施例2)4.7mm厚のポリエチレン
発泡体シートを柔軟材A1 とし、この発泡体シート5枚
と0.3mm厚の熱膨張性材料層B1 4枚を交互に配置
して積層した。次いで、この積層体の片側四周部に0.
3mm厚の熱膨張性材料層B2 を積層し、もう一方の側
には2mm厚の硬質塩化ビニル樹脂製押出成形板からな
る補強板Cを、その四周端部を0.3mm厚の熱膨張性
材料層B2 で被覆して配置、積層し、図2に示した構成
の多層積層体からなる耐震スリット部材を得た。尚、耐
震スリット部材は、熱膨張性材料層B1 及びB2 の自己
粘着性を利用して積層した。
【0068】上記耐震スリット部材を使用し実施例1と
同様にして、幅2500mm×高さ2350mm×厚さ
120mmの普通コンクリート板の目地部(25mm
幅)2ケ所に、耐震スリット部材が配置された耐火試験
用試験体を作製した。熱膨張性材料層B1 及びB2 の目
地部幅に対する比率は8.4%であった。尚、耐震スリ
ット部材は、目地部奥行き方向の略中央部に配置し、コ
ンクリートを打設、硬化後、目地部奥行き方向の外壁側
に生じた空所にシーリング材を充填した。
【0069】(実施例3)30mm厚のポリエチレン発
泡体を柔軟材A2 とし、この柔軟材A2 の両側に、1.
5mm厚の熱膨張性材料層B1 を部分的に貼合わせた
後、この積層体の長手方向の両端部に断面M字状の支持
体F1 を取り付け、図3に示した形状の耐震スリット部
材を得た。尚、耐震スリット部材は、熱膨張性材料層B
1 の自己粘着性を利用して積層した。
【0070】上記耐震スリット部材を使用し実施例1と
同様にして、幅2500mm×高さ2350mm×厚さ
120mmの普通コンクリート板の目地部(25mm
幅)2ケ所に、耐震スリット部材が配置された耐火試験
用試験体を作製した。熱膨張性材料層B1 の目地部幅に
対する比率は12%であった。尚、耐震スリット部材
は、目地部奥行き方向の略中央部に配置し、コンクリー
トを打設、硬化後、目地部奥行き方向の外壁側に生じた
空所にシーリング材を充填した。
【0071】(実施例4)30mm厚のポリエチレン発
泡体を柔軟材A3 とし、この柔軟材A3 の片側に1.5
mm厚の熱膨張性材料層B5 を、もう一方の側に1mm
厚の熱膨張性材料層B1 をそれぞれ部分的に積層し、さ
らに柔軟材A3 の両側に止水材E(早川ゴム社製「サン
タックシーラー」)を積層した後、この積層体の長手方
向の両端部に断面コ字状の支持体F2 を取り付け、図4
に示した形状の耐震スリット部材を得た。尚、耐震スリ
ット部材は、熱膨張性材料層B1 及びB5 の自己粘着性
を利用して積層した。
【0072】上記耐震スリット部材を使用し実施例1と
同様にして、幅2500mm×高さ2350mm×厚さ
120mmの普通コンクリート板の目地部(25mm
幅)2ケ所に、耐震スリット部材が配置された耐火試験
用試験体を作製した。熱膨張性材料層B1 及びB5 の目
地部幅に対する比率は10%であった。尚、耐震スリッ
ト部材は、目地部奥行き方向の略中央部に配置し、コン
クリートを打設、硬化後、目地部奥行き方向の外壁側に
生じた空所にシーリング材を充填した。
【0073】(実施例5)25mm厚のポリエチレン発
泡体を柔軟材A1 とし、この柔軟材A1 の両側に2.5
mm厚の熱膨張性材料層B3 を両面テープD(積水化学
社製「#570」)を用いて貼合わせた後、その片面に
2mm厚の硬質塩化ビニル樹脂製押出成形板からなる補
強板Cを両面テープD(積水化学社製「#570」)を
用いて貼合わせた。さらに、3mm厚の止水材E(早川
ゴム社製「サンタックシーラー」)を両方の外面に部分
的に配置して、図5に示した構成の多層積層体からなる
耐震スリット部材を得た。
【0074】上記耐震スリット部材を使用し実施例1と
同様にして、幅2500mm×高さ2350mm×厚さ
120mmの普通コンクリート板の目地部(25mm
幅)2ケ所に、耐震スリット部材が配置された耐火試験
用試験体を作製した。熱膨張性材料層B3 の目地部幅に
対する比率は20%であった。尚、耐震スリット部材
は、目地部奥行き方向の略中央部に配置し、コンクリー
トを打設、硬化後、目地部奥行き方向の外壁側に生じた
空所にシーリング材を充填した。
【0075】(実施例6)4.7mm厚のポリエチレン
発泡体シートを柔軟材A1 とし、この発泡体シート5枚
の片側に熱膨張性材料層B4 を0.4mm厚となるよう
に塗布、乾燥して後積層し、発泡体シートの間に膨張性
材料層B4 が設けられた積層体を得た。次いで、この積
層体の片側に0.3mm厚の熱膨張性材料層B2 を積層
し、さらにもう一方の側に両面テープD(積水化学社製
「#570」)を用いて、2mm厚の硬質塩化ビニル樹
脂製押出成形板からなる補強板Cを積層し、図6に示し
た構成の多層積層体からなる耐震スリット部材を得た。
【0076】上記耐震スリット部材を使用し実施例1と
同様にして、幅2500mm×高さ2350mm×厚さ
120mmの普通コンクリート板の目地部(25mm
幅)2ケ所に、耐震スリット部材が配置された耐火試験
用試験体を作製した。熱膨張性材料層B2 及びB4 の目
地部幅に対する比率は7.6%であった。尚、耐震スリ
ット部材は、目地部奥行き方向中央部に配置し、コンク
リートを打設、硬化後、目地部奥行き方向の外壁側に生
じた空所にシーリング材を充填した。
【0077】(比較例)25mm厚のポリエチレン発泡
体を柔軟材A1 とし、この発泡体の片面に、接着剤を介
して2mm厚の硬質塩化ビニル樹脂製押出成形板からな
る補強板Cを積層し、図7に示した構成の積層体からな
る耐震スリット部材を得た。上記耐震スリット部材を使
用し実施例1と同様にして、幅2500mm×高さ23
50mm×厚さ120mmの普通コンクリート板の目地
部(25mm幅)2ケ所に、耐震スリット部材が配置さ
れた耐火試験用試験体を作製した。尚、耐震スリット部
材は、目地部奥行き方向の略中央に位置するように配置
し、コンクリートを打設、硬化後目地部奥行き方向の外
壁側に生じた空所にシーリング材を充填した。
【0078】尚、上記耐火試験用試験体に使用した普通
コンクリート板は、絶乾かさ比重2.2、含水率4.1
%(105℃乾燥)であった。また、柔軟材A1 として
ポリエチレン発泡体(積水化学社製「ソフトロン#10
03」、かさ密度0.10g/cm3 、10倍発泡品)
、柔軟材A2 としてポリエチレン発泡体は(積水化学
社製「ソフトロン#2003」、かさ密度0.05g/
cm3 、20倍発泡品) 、柔軟材A3 としてポリエチレ
ン発泡体(「ソフトロンボード#1500」、かさ密度
0.067g/cm3 、15倍発泡品) をそれぞれ使用
した。上記柔軟材の初期厚みを60%まで圧縮し圧力を
解放する工程を5回繰り返した後の形状回復率は、柔軟
材A2 で98.7%、柔軟材A3 で97.3%であっ
て。
【0079】上記シーリング材は、1成分系変成シリコ
ーン(積水化学社製「変成シリコーンLM」)を使用し
た。
【0080】上記耐火試験用試験体について、下記項目
の評価を行い、その結果を表2に示した。 (4)耐火試験 上記耐火試験用試験体について、JIS A 1304
に準拠して2時間の耐火試験を行った。加熱は屋外側と
屋内側から別々に行い、目地部の最高温度(℃)と最高
温度に到達するまでの時間(分)をそれぞれ測定した。
【0081】(5)水密性試験 実施例2、3、4及び5の耐火試験用試験体について、
熱膨張性材料層が止水の役割を果しているかどうかを確
認するために本試験を行った。耐火試験用試験体の目地
部全長にわたって、奥行き方向に15mm(100%切
断を想定)の切断を施し、試験体に水を噴射しながら平
均圧力3600N/m 2 まで加圧したときの試験体内側
への漏水状況を目視観察した。
【0082】
【表2】
【0083】上記結果より、全ての実施例において、目
地部が耐火性の弱点部となることがなく、外壁として2
時間の耐火性能を満足した。これに対して、比較例で
は、屋外側加熱、屋内側加熱共に発泡体が燃え抜け、裏
面温度は炉内温度まで上昇した。
【0084】
【発明の効果】本発明の耐震性スリット部材は、上述の
構成であり、比較的簡便に製造可能であって、目地部に
施工され加熱によって耐火断熱層を形成し、優れた耐火
性能を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の耐震性スリット部材を示す模式断面
図である。
【図2】実施例2の耐震性スリット部材を示す模式断面
図である。
【図3】実施例3の耐震性スリット部材を示す模式断面
図である。
【図4】実施例4の耐震性スリット部材を示す模式断面
図である。
【図5】実施例5の耐震性スリット部材を示す模式断面
図である。
【図6】実施例6の耐震性スリット部材を示す模式断面
図である。
【図7】比較例の耐震性スリット部材を示す模式断面図
である。
【図8】図8(イ)は従来の耐震スリット部材を示す斜
視図であり、図6(ロ)は従来の耐震スリット部材の使
用方法を示す模式断面図である。
【図9】従来の耐震スリット部材を示す一部切り欠き斜
視図である。
【図10】従来の耐震スリット部材を示す模式断面図で
ある。
【符号の説明】
A,A1,A2,A3 柔軟材 B,B1,B2,B3,B4,B5 熱膨張性材料層 C 補強板 D 両面テープ E 止水材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 和廣 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 2E001 DA01 DD01 DE01 DG00 EA01 FA03 GA03 GA06 GA07 GA42 GA60 GA85 HA04 HB02 HB07 HD01 HD11 HD13 HE01 JA06 JA11 JA28 JA29 JB01 JB07 JD02 JD08 KA03 LA13 LA16 MA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柔軟材層A、加熱膨張性を有し、600
    ℃で10分間加熱した後にかさ密度0.5g/cm3
    下の耐火断熱層を形成する熱膨張性材料層B、及び、補
    強板Cが積層されてなることを特徴とする耐震性スリッ
    ト部材。
  2. 【請求項2】 柔軟材層Aと、加熱膨張性を有し、60
    0℃で10分間加熱した後にかさ密度0.5g/cm3
    以下の耐火断熱層を形成する熱膨張性材料層Bとを積層
    した構成体を、係止保持可能な支持体Fと組み合わせる
    ことを特徴とする耐震性スリット部材。
  3. 【請求項3】 熱膨張性材料層Bを亜鉛鉄板に貼付け1
    時間経過後に300mm/分の速度で90度剥離する際
    の剥離力(JIS Z 0237に準拠して測定され
    る)が、5〜60N/25mm幅であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の耐震性スリット部材。
  4. 【請求項4】 熱膨張性材料層Bが、ゴム35〜50重
    量%、重量平均分子量(ASTM D2503に準拠し
    て測定される)800〜1600のポリブテン40〜6
    0重量%、及び、軟化点(JIS K 2207に準拠
    して測定される)100〜150℃の粘着付与剤5〜2
    5重量%を含有する樹脂バインダー100重量部、並び
    に、無機充填剤250〜400重量部からなり、無機充
    填剤のうち加熱時に膨張する層状無機物が50〜350
    重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の耐震性スリット部材。
  5. 【請求項5】 柔軟材層Aを厚み方向に圧力を加えて初
    期厚みの60%まで圧縮し圧力を解放する工程を連続し
    て5回繰り返した後の形状回復率が、90%以上である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    耐震性スリット部材。
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