JP2001192508A

JP2001192508A - ポリオレフィン組成物およびそれを用いた電線・ケーブル

Info

Publication number: JP2001192508A
Application number: JP2000001035A
Authority: JP
Inventors: Shigeo Nagaya; 重夫長屋; Fumio Aida; 二三夫会田; Susumu Hirai; 進平井; Hiroaki Morita; 広昭森田
Original assignee: Chubu Electric Power Co Inc; Showa Electric Wire and Cable Co
Current assignee: Chubu Electric Power Co Inc; SWCC Corp
Priority date: 2000-01-06
Filing date: 2000-01-06
Publication date: 2001-07-17

Abstract

(57)【要約】【課題】亜臨界水でも効率よく分解できるポリオレフ
ィン組成物およびこのような組成物を用いたケーブルを
提供する。【解決手段】ポリオレフィン100重量部あたり、遷移
金属化合物を0.01〜10重量部含有するポリオレフィン組
成物である。また、このようなポリオレフィン組成物の
架橋体からなる被覆を有する電線・ケーブルである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン組
成物、およびそのような組成物を用いた電線・ケーブル
に関する。

【０００２】

【従来の技術】架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレン
などの架橋ポリオレフィンは、その優れた電気特性か
ら、電線・ケーブルの絶縁被覆材料などとして大量に使
用されているが、これらは自然界で容易に分解されない
ため、その廃棄後の処理が大きな社会問題になってい
る。

【０００３】このような中で、近時、プラスチックを超
臨界状態または亜臨界状態の水を反応溶媒として加水分
解および／または熱分解する方法が考案され、大量のプ
ラスチック廃棄物を高速で処理して再利用可能な低乃至
中分子化合物を回収しうることから、上記のような大量
に廃棄される架橋ポリオレフィンへの適用が期待されて
いる。

【０００４】このため、実用化に向けて様々な研究が行
われているが、未だ十分な処理技術を確立するまでには
至っていないのが実状である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
廃棄物処理技術の実用化にあたっては、設備や安全面、
さらにはエネルギーコストなどの点から、できるだけ緩
和な条件で処理できることが望ましい。しかしながら、
従来の架橋ポリオレフィンは、温度が374.2℃以上で、
圧力が22.12Mpa以上という超臨界状態の水では分解され
るものの、これより緩和な条件の亜臨界水による処理で
は、ほとんど分解されないという問題があった。そこ
で、亜臨界水でも効率よく分解できるポリオレフィン組
成物およびこのような組成物を用いた電線・ケーブルの
開発が望まれている。

【０００６】本発明はこのような要望に応えるべくなさ
れたもので、亜臨界水でも効率よく分解できるポリオレ
フィン組成物およびこのような組成物を用いた電線・ケ
ーブルを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のポリオレフィン
組成物は、請求項１に記載したように、ポリオレフィン
100重量部あたり、遷移金属化合物を0.01〜10重量部含
有することを特徴としている。

【０００８】このようなポリオレフィン組成物において
は、遷移金属化合物を配合したことにより、その架橋物
は超臨界水はもとより亜臨界水によっても効率よく分解
することが可能となる。これは、遷移金属が超臨界水あ
るいは亜臨界水による分解反応の活性化エネルギーを増
大させる触媒として作用するからと考えられる。

【０００９】なお、遷移金属化合物としては、請求項２
に記載したように、銅、銀、チタン、バナジウム、クロ
ム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンお
よびタングステンよりなる群から選ばれた少なくとも1
種の金属の化合物が例示される。本発明においては、な
かでも、請求項３に記載したように、酸化バナジウム、
酸化クロム、酸化鉄、硫化鉄、酸化コバルト、硫化コバ
ルト、酸化ニッケル、硫化ニッケル、酸化モリブデン、
硫化モリブデン、硫化タングステン、酸化コバルトモリ
ブデン、酸化ニッケル鉄、酸化コバルト鉄およびこれら
の複合化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種で
あることが好ましく、酸化コバルトモリブデンまたは酸
化コバルトと酸化モリブデンの複合化合物であるとさら
に好ましい。

【００１０】また、ポリオレフィンとしては、請求項５
に記載したように、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リイソブチレン、エチレン・酢酸エチル共重合体、エチ
レン・酢酸メチル共重合体およびエチレン・酢酸ビニル
共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種が例示
される。

【００１１】本発明の電線・ケーブルは、請求項６に記
載したように、上記した本発明のポリオレフィン組成物
の架橋体からなる被覆を有することを特徴としている。

【００１２】本発明の電線・ケーブルにおいては、ポリ
オレフィン組成物の架橋体からなる被覆中に遷移金属化
合物を含有しており、前述したような遷移金属の触媒作
用により、超臨界水あるいは亜臨界水による分解反応が
促進される。このため、亜臨界水によっても効率よくポ
リオレフィン組成物の架橋体からなる被覆を分解して再
利用に供することが可能となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。

【００１４】本発明のポリオレフィン組成物は、ポリオ
レフィンに、遷移金属化合物を配合したものである。

【００１５】ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチ
レン（ＬＤＰＥ）、中密度ポリエチレンポリエチレン
（ＭＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、超低
密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ）、鎖状低密度ポリエチ
レン（ＬＬＤＰＥ）、ポリプロピレン、エチレン・プロ
ピレン共重合体（ＥＰ）、エチレン・プロピレン・ジエ
ン三元共重合体（ＥＰＤＭ）、ポリイソブチレン、エチ
レン・アクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）、エチレン
・アクリル酸メチル共重合体（ＥＭＡ）、エチレン・メ
タクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重
合体（ＥＶＡ）などが挙げられる。また、メタロセン触
媒によりエチレンにプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘ
キセン、オクテンなどのα−オレフィンや環状オレフィ
ンなどを共重合させたものなども使用することができ
る。これらは単独または混合して使用される。

【００１６】また、遷移金属化合物としては、銅、銀、
チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、モリブデン、タングステンなどの酸化物
や硫化物などが挙げられる。これらは1種を単独で使用
してもよく、また2種以上を併用してもよい。本発明に
おいては、なかでも、酸化バナジウム、酸化クロム、酸
化鉄、硫化鉄、酸化コバルト、硫化コバルト、酸化ニッ
ケル、硫化ニッケル、酸化モリブデン、硫化モリブデ
ン、硫化タングステン、酸化コバルトモリブデン、酸化
ニッケル鉄、酸化コバルト鉄およびこれらの複合化合物
をそれぞれ単独または混合して使用することが好まし
く、酸化コバルトモリブデンまたは酸化コバルトと酸化
モリブデンの複合化合物の使用がさらに好ましい。

【００１７】本発明においては、このような遷移金属化
合物を、ポリオレフィン100重量部あたり0.01〜10重量
部配合する。配合量が0.01重量部未満では、亜臨界水に
よる分解反応を十分に促進することができず、亜臨界水
による分解効率を高めることができない。また、配合量
が10重量部を超えると、ポリオレフィンの電気特性など
の低下を招くおそれがある。より好ましい配合量は、ポ
リオレフィン100重量部あたり0.01〜5重量部の範囲であ
り、0.01〜3重量部の範囲であるとさらに好ましい。

【００１８】本発明の組成物には、以上の成分の他、本
発明による効果を阻害しない範囲で、ポリオレフィンに
通常配合される老化防止剤、架橋剤、架橋促進剤、充填
剤、導電性付与剤、可塑剤、軟化剤、着色剤、滑剤、安
定剤、その他の添加剤を必要に応じて配合することがで
きる。

【００１９】本発明の組成物は、ポリオレフィンに対し
所定量の遷移金属化合物が配合されているので、その架
橋物は亜臨界水によっても効率よく分解することがで
き、分解処理にあたって超臨界水を用いる必要のあった
従来のポリオレフィン組成物に比べ、廃棄物処理に要す
る設備費用や稼動コストの削減、設備の長寿命化、安全
性の向上などを図ることができる。

【００２０】次に、本発明の電線・ケーブルの実施の形
態を図面を用いて説明する。

【００２１】図1は、本発明を22kV級ＣＶケーブルに適
用した例を示す断面図である。

【００２２】同図に示すように、このケーブルは、導体
１上に、半導電性架橋ポリエチレンからなる内部半導電
層２、絶縁性架橋ポリエチレンからなる絶縁体層３、半
導電性架橋ポリエチレンからなる外部半導電層４、遮蔽
銅テープからなる遮蔽層５、および軟質塩化ビニル樹脂
からなるシース６を順に被覆した構造を有する。内部半
導電層２、絶縁層３、外部半導電層４を構成する架橋ポ
リエチレンは、いずれも上記した本発明のポリエチレン
組成物を架橋させたものである。

【００２３】このようなＣＶケーブルにおいては、廃棄
物として処理する際、内部半導電層２、絶縁層３、外部
半導電層４を構成する架橋ポリエチレンを亜臨界水によ
っても効率よく分解し、再利用に供することができる。
亜臨界水により処理できるため、前述したような廃棄物
処理に要するコストの低減や設備の長寿命化などを図る
ことができる。

【００２４】なお、本発明の電線・ケーブルは、上記の
例に限定されるものではなく、架橋ポリオレフィンから
なる被覆を有する各種電線・ケーブルに広く適用し、同
様の効果を得ることができる。

【００２５】

【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。

【００２６】実施例１低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）100重量部、四酸化コ
バルトモリブデン（ＣｏＭｏＯ₄）1重量部、ジクミルパ
ーオキサイド1.5重量部、老化防止剤（商品名アンテー
ジクリスタル）0.2重量部を通常の混練機により115℃で
20分間混練し、シート状に押し出した後、170℃、20MPa
で10分間加熱加圧して架橋させ、1mm厚さの架橋ポリエ
チレンシート（ゲル分率80％）を作製した。

【００２７】得られたシートから10mm×10mm×1mmの試
料を切り出し、これを純水20ccとともに耐圧反応容器
（容量50cc）に入れ、密封した。次いで、反応容器を、
内部の温度および圧力がそれぞれ400℃および40Mpaとな
るまで30分間かけて加熱し、そのまま1分間保持した
（反応時間：1分間）その後、2時間かけて冷却して常温
常圧に戻し、反応液から固形分を分離回収した。得られ
た固形分の収率は約100％であった。

【００２８】次いで、得られた固形分について、ゲル分
率および融点を測定した。結果を、試料の構成や超臨界
水などによる反応条件などとともに表1に示す。

【００２９】実施例２、比較例１、２試料および反応条件を表１に示すように変えた以外は、
実施例1と同様にして反応させ、固体、ワックス状、ま
たは液状の反応生成物を得た（収率はいずれも約100
％）。

【００３０】次いで、得られた反応生成物のうち固体の
ものについて、実施例1と同様にしてゲル分率および融
点を測定した。結果を、表1に併せ示す。

【００３１】

【表１】表1からも明らかなように、本発明に係る実施例では、
亜臨界状態の水との接触（実施例２）においても、架橋
ポリエチレンが分解されていることが確認された。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明にポリオレ
フィン組成物によれば、その架橋物を亜臨界水によって
も効率よく分解することが可能になり、廃棄後の再生処
理に要する費用の削減などを図ることができる。

【００３３】また、本発明の電線・ケーブルによれば、
そのようなポリオレフィン組成物の架橋物からなり被覆
を有するので、廃棄後の再生処理に要する費用の削減な
どを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電線・ケーブルの一実施形態を示す断
面図。

【符号の説明】

１………導体２………内部半導電層３………絶縁体層４………外部半導電層５………遮蔽層６………シース

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｃ０８Ｌ 23/08 Ｃ０８Ｌ 23/08 23/12 23/12 23/22 23/22 23/26 23/26 Ｈ０１Ｂ 3/44 Ｈ０１Ｂ 3/44 ＦＧＭＪＺＡＢＺＡＢＰ 7/02 ＺＡＢ 7/02 ＺＡＢＦ 9/00 9/00 Ａ (72)発明者会田二三夫神奈川県川崎市川崎区小田栄２丁目１番１号昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者平井進神奈川県川崎市川崎区小田栄２丁目１番１号昭和電線電纜株式会社内 (72)発明者森田広昭神奈川県川崎市川崎区小田栄２丁目１番１号昭和電線電纜株式会社内Ｆターム(参考） 4J002 BB001 BB031 BB061 BB071 DE096 DE116 DG026 GQ01 5G305 AA02 AB35 BA12 BA13 CA01 CA04 CA08 CA51 CA54 CC02 CC06 CD20 5G309 LA08 LA12 RA05

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリオレフィン100重量部あたり、遷移
金属化合物を0.01〜10重量部含有することを特徴とする
ポリオレフィン組成物。
【請求項２】前記遷移金属化合物は、銅、銀、チタ
ン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、モリブデンおよびタングステンよりなる群から
選ばれた少なくとも1種の金属の化合物であることを特
徴とする請求項１記載のポリオレフィン組成物。
【請求項３】前記遷移金属化合物は、酸化バナジウ
ム、酸化クロム、酸化鉄、硫化鉄、酸化コバルト、硫化
コバルト、酸化ニッケル、硫化ニッケル、酸化モリブデ
ン、硫化モリブデン、硫化タングステン、酸化コバルト
モリブデン、酸化ニッケル鉄、酸化コバルト鉄およびこ
れらの複合化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1
種であることを特徴とする請求項１記載のポリオレフィ
ン組成物。
【請求項４】前記遷移金属化合物は、酸化コバルトモ
リブデンまたは酸化コバルトと酸化モリブデンの複合化
合物であることを特徴とする請求項１記載のポリオレフ
ィン組成物。
【請求項５】前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン・酢酸エ
チル共重合体、エチレン・酢酸メチル共重合体およびエ
チレン・酢酸ビニル共重合体よりなる群から選ばれた少
なくとも1種であることを特徴とする請求項１記載のポ
リオレフィン組成物。
【請求項６】請求項１乃至５のいずれか1項記載のポ
リオレフィン組成物の架橋体からなる被覆を有すること
を特徴とする電線・ケーブル。