JP2001183523A - 近赤外線吸収フィルター - Google Patents

近赤外線吸収フィルター

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JP2001183523A
JP2001183523A JP37055999A JP37055999A JP2001183523A JP 2001183523 A JP2001183523 A JP 2001183523A JP 37055999 A JP37055999 A JP 37055999A JP 37055999 A JP37055999 A JP 37055999A JP 2001183523 A JP2001183523 A JP 2001183523A
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acid
infrared
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wavelength
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Tetsuo Shimomura
哲生 下村
Shinya Onomichi
晋哉 尾道
Seiichiro Yokoyama
誠一郎 横山
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外線領域に広く吸収があり、かつ可視領
域の透過率が高く、さらにブルーグレーの色調を有する
近赤外線吸収フィルターを提供する。 【解決手段】 波長900〜1100nmの近赤外線領
域の透過率が10%以下であり、波長440〜500n
m及び640〜700nmの可視領域での最小透過率が
60%以上で、かつ波長550〜600nmの可視領域
での最大透過率が60%以下であることを特徴とする近
赤外線吸収フィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルターに
関し、特に可視光線領域に透過率が高く、近赤外線を遮
断する近赤外線吸収フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱線吸収フィルターや、ビデオカ
メラ視感度補正用フィルターなどの近赤外線吸収フィル
ターには、次に示されるようなフィルターが広く使われ
てきた。 燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有した
フィルター(特開昭60−235740号公報、特開昭
62−153144号公報など) 基板上に屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉さ
せることで特定の波長を透過させる干渉フィルター(特
開昭55−21091号公報、特開昭59−18474
5号公報など) 共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィル
ター(特開平6−324213号公報) バインダー樹脂に色素を分散した構成のフィルター
(特開昭57−21458号公報、特開昭57−198
413号公報、特開昭60−43605号公報など)
【0003】しかしながら、上記の従来使用されてきた
近赤外線吸収フィルターには、それぞれ以下に示すよう
な問題点があった。
【0004】前記の方式の場合、近赤外線領域に急峻
な吸収が有り、近赤外線遮断率は非常に良好であるが、
可視領域の赤色の一部も大きく吸収してしまい、透過色
は青色に見える。ディスプレー用途では色バランスを重
視され、このような用途に使用するのは不適切である。
また、ガラスであるために加工性にも問題がある。
【0005】前記の方式の場合、光学特性は自由に設
計でき、ほぼ設計と同等のフィルターを製造することが
可能であるが、その為には、屈折率差のある層の積層枚
数を非常に多くする必要があり、製造コストが高くなる
などの欠点がある。また、大面積を必要とする場合、全
面積にわたって高い精度の膜厚均一性が要求されるた
め、製造が困難である。
【0006】前記の方式の場合、前記の方式の欠点
であった加工性は改善される。しかし、前記の方式と
同様に、光学特性の設計の自由度が低い。また、可視領
域の赤色部分にも吸収が有り、フィルターが青く見えて
しまうという前記の方式の問題点は変わらない。さら
に、銅イオンの吸収が小さく、アクリル樹脂に含有でき
る銅イオン量も限られているため、アクリル樹脂を厚く
しなければならないという問題点もある。
【0007】前記の方式の場合、赤外線吸収色素とし
て、フタロシアニン系、ニッケル錯体系、ジイモニウム
塩系、アゾ化合物、ポリメチン系、ジフェニルメタン
系、トリフェニルメタン系、キノン系、など多くの色素
が用いられている。しかし、それぞれ単独では、吸収が
不十分であったり、可視領域で特定の波長の吸収が有る
などの問題点を有している。さらに、前記近赤外線吸収
フィルターを高温下や加湿下に長時間放置すると、色素
の分解や酸化により色素が変成してしまい、可視領域で
吸収が発生したり、赤外線領域での吸収が無くなってし
まうなどの問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明の目
的は、近赤外線領域に広く吸収があり、かつ可視領域の
透過率が高く、さらにブルーグレーの色調を有する近赤
外線吸収フィルターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた近赤外線吸収フィルタ−とは、以下のと
おりである。
【0010】即ち、本発明の第1の発明は、波長900
〜1100nmの近赤外線領域の透過率が10%以下で
あり、波長440〜500nm及び640〜700nm
の可視領域での最小透過率が60%以上で、かつ波長5
50〜600nmの可視領域での最大透過率が60%以
下であることを特徴とする近赤外線吸収フィルターであ
る。第2の発明は、波長550nmでの透過率が50%
以上であることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸
収フィルターである。
【0011】第3の発明は、近赤外線吸収色素を分散し
た高分子樹脂をコーティング法により透明基材上に積層
することを特徴とする第1または第2の発明に記載の近
赤外線吸収フィルターである。第4の発明は、第3の発
明に記載の高分子樹脂のガラス転移温度が、前記近赤外
線吸収フィルターを使用する機器の使用保証温度以上で
あることを特徴とする近赤外線吸収フィルターである。
【0012】第5の発明は、前記高分子樹脂がポリエス
テル樹脂であることを特徴とする第3または第4の発明
に記載の近赤外線吸収フィルターである。第6の発明
は、前記透明基材がポリエステルフィルムであることを
特徴とする第3〜第5の発明に記載の近赤外線吸収フィ
ルターである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の近赤外線吸収フィルター
は、近赤外線吸収色素と高分子樹脂とを主たる構成成分
とする近赤外線吸収層を有している。近赤外線吸収フィ
ルターは、近赤外線吸収層を単独で使用したものでも良
いし、透明基材に近赤外線吸収層を共押出し法またはコ
ーティング法により積層させたものでも良い。なかで
も、近赤外線吸収色素を高分子樹脂及び溶剤中に分散さ
せ、この塗布液を透明な基板上にコーティングし乾燥さ
せるコーティング法が好ましい。コーティング法を用い
て、近赤外線吸収層を透明基材上に積層させることによ
って、近赤外線吸収フィルターの製造が簡単になり、小
ロットの生産にも対応可能となる。
【0014】透明基材としては、特に限定される物では
ないが、ポリエステル系、アクリル系、セルロース系、
ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィン
系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート、フェノール
系、ウレタン系樹脂などから形成された透明フィルムが
挙げられるが、分散安定性及び環境負荷などの観点か
ら、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフ
ィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重
合体から形成された二軸配向ポリエステルフィルムが好
ましく、中でもポリエチレンテレフタレートから形成さ
れた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムが特
に好ましい。
【0015】上記ポリエステル系樹脂には、本発明の効
果を損なわない範囲で必要に応じて、各種の添加剤を含
有させても良い。添加剤として、例えば、帯電防止剤、
UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。また、上記ポリエ
ステルフィルム中には、透明性の点から、フィルムのハ
ンドリング性(易滑性、巻き性、耐ブロッキング性な
ど)を目的とした不活性粒子を実質上含有させないこと
が好ましい。
【0016】また、基材フィルムと赤外線吸収層との密
着性を良くするために、前記基材フィルムの少なくとも
片面に易接着層を積層しておくことが好ましい。なかで
も、未延伸または一軸延伸後のポリエステルフィルムの
少なくとも片面に易接着層を設け、その後少なくとも一
軸方向に延伸・熱固定処理するインラインコート法によ
り積層することが特に好ましい。インラインコート法に
より積層された易接着層に、適切な粒径の微粒子を含有
させ、フィルム表面に微細な凹凸を形成させることによ
り、滑り性、巻き取り性、耐スクラッチ性を付与するこ
とができる。このため、基材フィルム中に微粒子を含有
させる必要がなく、全光線透過率が89%以上の高透明
性を保持することができる。
【0017】前記易接着層の樹脂としては、共重合ポリ
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹
脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂、スチレン/マ
レイン酸グラフトポリエステル樹脂などが挙げられ、少
なくとも1種以上を使用することが好ましい。
【0018】本発明の近赤外線吸収フィルターの近赤外
線吸収層において、近赤外線吸収色素を分散する高分子
樹脂のガラス転移温度が、前記フィルターを使用する機
器の使用保証温度以上であることが色素の安定性の点か
ら好ましい。前記高分子樹脂のガラス転移温度の具体的
範囲としては、好ましくは85〜150℃、特に好まし
くは90〜140℃である。
【0019】また、近赤外線吸収層を設ける方法とし
て、近赤外線吸収色素を分散させた高分子樹脂を基材に
コーティングする場合、高分子樹脂の種類は特に限定さ
れないが、ポリエステル系、アクリル系、セルロース
系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィ
ン系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート、フェノー
ル系、ウレタン系樹脂などが挙げられるが、特に好まし
くは、分散安定性、環境負荷などの観点から、ポリエス
テル系樹脂が好ましい。
【0020】前記ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸
類と多価アルコ−ル類から合成される。ポリエステル樹
脂の構成成分である多価カルボン酸類としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、
1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5
−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スル
ホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフ
ェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、および
またはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジ
カルボン酸、p−オキシ安息香酸p−(ヒドロキシエト
キシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマ−ル酸、マ
レイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族、および、脂環族ジ
カルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリ
メリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以
上の多価カルボン酸等を例示できる。
【0021】ポリエステル樹脂の他の構成成分である多
価アルコ−ル類としては、脂肪族多価アルコ−ル類、脂
環族多価アルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類等を例
示できる。
【0022】脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレ
ングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパ
ンジオ−ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタン
ジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサ
ンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリ
コ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメ
チル−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ
−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレン
グリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタ
ン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエル
スリト−ル等のトリオ−ルおよびテトラオ−ル類等を例
示できる。
【0023】脂環族多価アルコ−ル類としては、1,4
−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジ
メタノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ル
A、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加
物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカ
ンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ル、トリシク
ロデカンジエタノール、ジメチルトリシクロデカンジプ
ロピロール、トリシクロデカンジブチロール、ジメチル
トリシクロデカンジメタノール、ジエチルトリシクロデ
カンジメタノール、テトラメチルシクロデカンジメタノ
ール、ヘキサメチルトリシクロデカンジメタノール、オ
クタメチルトリシクロデカンジメタノール等を例示でき
る。
【0024】芳香族多価アルコ−ル類としては、9,9
−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)
−フルオレン、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)−3−メチルフェニル)−フルオレン、9,
9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5
−ジメチルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス−
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニ
ル)−フルオレン、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル)−フルオレ
ン、1,1−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−(2
−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロ
ヘキサン、1,1−ビス−(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3
−エチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチル
フェニル)シクロヘキサンパラキシレングリコ−ル、メ
タキシレングリコ−ル、オルトキシレングリコ−ル、
1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレング
リコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ル
A、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およ
びプロピレンオキサイド付加物等を例示できる。
【0025】さらにポリエステルポリオ−ルとしては、
ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得ら
れるラクトン系ポリエステルポリオ−ル類等を例示する
ことができる。これらのほかに、ポリエステル高分子末
端の極性基を封鎖するために、単官能単量体をポリエス
テルに導入してもよい。
【0026】単官能単量体としては、安息香酸、クロロ
安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、
スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モ
ノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息
香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ−シ
ャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチ
ル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサ
リチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、
イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリ
ル酸、およびこれらの低級アルキルエステル、等のモノ
カルボン酸類、あるいは脂肪族アルコ−ル、芳香族アル
コ−ル、脂環族アルコ−ル等のモノアルコ−ルを用いる
ことができる。近赤外線吸収層の構成成分であるポリエ
ステル樹脂は、これらのうち不飽和単量体を必須成分と
し、他の成分はポリエステル樹脂のガラス転移温度、モ
ノマ−との相溶性、等により適宜選択することができ
る。
【0027】本発明の近赤外線吸収フィルターの近赤外
線吸収層の構成成分の一つである近赤外線吸収色素は、
特に限定されるものではないが、例えば、ジイモニウム
塩系化合物、チオニッケル錯体系化合物、含フッ素フタ
ロシアニン系化合物などが好ましく、以下のようなもの
が市販されており入手可能である。
【0028】ジイモニウム塩系化合物としては、日本化
薬社製の Kayasorb IRG−022、IRG−023など、含フッ
素フタロシアニン系化合物としては、日本触媒社製のEx
colorIR1、IR2、IR3、IR4、TX−EX808K、TX−EX810Kな
ど、チオニッケル錯体系化合物としては、三井化学社製
のSIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159などが挙げ
られるが、上記赤外吸収色素は一例であり、特に限定さ
れる物ではない。
【0029】また、少なくともジイモニウム塩系化合
物、含フッ素フタロシアニン系化合物及びチオニッケル
錯体系化合物のうち、いずれか2種類を含有させること
が好ましい。これらの色素の配合比は、ジイモニウム塩
系化合物を1重量部当たり、含フッ素フタロシアニン系
化合物の場合0.5〜0.01重量部、チオニッケル錯
体系化合物の場合1〜0重量部の範囲とすることが好ま
しい。前記近赤外線吸収色素は一例であり、特に限定さ
れない。また、本発明では、可視領域の分光特性を調整
する目的で、可視領域に吸収のある色素を添加しても良
い。
【0030】また、本発明の近赤外線吸収フィルターで
は、耐光性を向上させるために、近赤外線吸収層にUV
吸収剤を添加してもよい。さらに、本発明の近赤外線吸
収フィルターに耐候性、耐溶剤性を付与するために、近
赤外線吸収層に近赤外線吸収色素を分散する高分子樹脂
を、架橋剤を用いて架橋させても良い。
【0031】更に、本発明の近赤外線吸収フィルターで
は、近赤外線吸収層のほかに必要に応じて、電磁波を吸
収する金属メッシュ層や透明導電性薄膜層を積層しても
良い。金属メッシュを積層する場合、可視光線透過率を
低減させないように、メッシュ開口率を60%以上とす
ることが好ましい。また、透明導電性薄膜を用いる場合
は、金属酸化物導電膜/銀または、銀系合金膜/金属酸
化物導電膜からなる積層構成とすることが好ましい。積
層方法としては、近赤外線吸収層の上部またはその反対
側の面に、粘着剤または接着剤で貼り合わせ、導電薄膜
の場合は直接成膜しても良い。
【0032】また、本発明の近赤外線吸収フィルターで
は、近赤外線吸収層の上部または反対側の面に、ハード
コート層ないしはアンチグレア層を設けても良い。この
ハードコート層としては、ポリエステル系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ
系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの硬化
性樹脂を単体もしくは混合した架橋性樹脂硬化物層が好
ましい。
【0033】(作用)本発明の近赤外線吸収フィルター
は、波長900〜1100nmの近赤外線領域の透過率
が10%以下である。この近赤外線領域の透過率が低い
ことによって、プラズマディスプレー等に用いた場合、
ディスプレーから放射される不要な赤外線を吸収し、赤
外線を使ったリモコンの誤動作を防ぐことが出来る。
【0034】さらに、波長440〜500nm及び64
0〜700nmの可視領域での最小透過率が60%以上
で、かつ波長550〜600nmの可視領域での最大透
過率が60%以下である。近赤外線吸収フィルターの分
光特性が前記範囲内にあると、色調がブルーグレーとな
り、ディスプレー前面においた場合、ディスプレーから
発せられる色とのマッチングが良い。特にプラズマディ
スプレーの場合、青色の発光強度が緑や赤色に比べて弱
いため、それを補正する為にも、波長540〜600n
mの可視領域の透過率を小さくする必要がある。
【0035】また、波長550nmでの透過率が50%
以上であることが好ましい。この波長域での透過率が5
0%以下であると、ディスプレー前面に前記分光特性を
有するフィルターを設置した場合、非常に暗いディスプ
レーとなり好ましくない。
【0036】
【実施例】次に、本発明の近赤外線吸収フィルターの製
造方法について、実施例を用いて詳しく説明するが、当
然これに限定されるものではない。また、本明細書中で
使用した特性値の評価は下記の方法により行った。
【0037】(1)ポリエステル樹脂の固有粘度 1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノ−ル(重
量比:2/3)の混合溶媒中で、30℃での溶液粘度か
ら求めた。
【0038】(2)分光特性 自記分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長1
500〜200nmの範囲で測定した。
【0039】実施例1 近赤外線吸収色素の分散媒となるポリエステル樹脂を以
下の方法で得た。温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−
ブ中に、 テレフタル酸ジメチル 136重量部 イソフタル酸ジメチル 58重量部 エチレングリコール 96重量部 トリシクロデカンジメタノール 137重量部 三酸化アンチモン 0.09重量部 を仕込み170〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで反応系の温度を245℃ま
で昇温し、系の圧力1.33〜13.3hPaとして1
80分間反応を続けた結果、共重合ポリエステル樹脂
(A1)を得た。共重合ポリエステル樹脂(A1)の固
有粘度は0.4、ガラス転移温度は90℃であった。
【0040】また、NMR分析による共重合組成比は 酸成分に対して テレフタル酸 71モル% イソフタル酸 29モル% アルコール成分に対して エチレングリコール 28モル% トリシクロデカンジメタノール 72モル% であった。
【0041】次に、この樹脂を用いて表1に示すような
組成で、赤外線吸収色素と製作した樹脂、溶剤を、フラ
スコにいれ、加熱しながら攪拌し、色素及びバインダー
樹脂を溶解し、塗布液を調整した。次に、この塗布液
を、片面に易接着層を有する高透明性ポリエチレンテレ
フタレート基材(東洋紡績製、コスモシャインA410
0)の易接着面に、ギャップが100μmのアプリケー
ターを用いてコーティングし、乾燥温度90℃で1時間
乾燥させた。乾燥後のコーティング厚さは25μmであ
った。得られた近赤外線吸収フィルムは、目視での色目
はブルーグレーであった。図1にその分光特性を示す。
【0042】得られたフィルムは波長440〜500n
mの透過率の最小値は65.0%、波長640〜700
nmの透過率の最小値は61.5%、波長550〜60
0nmの透過率の最大値は56.9%、波長900〜1
100nmにおける近赤外線領域の透過率の最大値は
7.9%であった。また、得られたフィルムを、近赤外
線吸収フィルターとしてプラズマディスプレー等の前面
に配置したところ、色目の変化はなく、コントラストが
向上しかつ、近赤外線の放射も低減していた。
【0043】
【表1】
【0044】実施例2 実施例1で得た共重合ポリエステル樹脂(A1)、近赤
外線吸収色素、及び溶剤を表2に示すような組成でフラ
スコにいれ、加熱しながら攪拌し、近赤外線吸収色素及
び共重合ポリエステル樹脂(A1)を溶解し、塗布液を
調整した。次に、この塗布液を、片面に易接着を有する
高透明性ポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東
洋紡績製、コスモシャインA4100)の易接着面に、
ギャップが100μmのアプリケーターを用いてコーテ
ィングし、乾燥温度90℃で1時間乾燥させた。乾燥後
のコーティング厚さは25μmであった。得られた近赤
外線吸収フィルムは、目視での色目はブルーグレーであ
った。図2にその分光特性を示す。
【0045】得られたフィルムは波長440〜500n
mにおける透過率の最小値は62.0%、波長640〜
700nmにおける透過率の最小値は62.8%、波長
550〜600nmにおける透過率の最大値は59.2
%、波長900〜1100nmの近赤外線領域における
透過率の最大値は9.9%であった。また、得られたフ
ィルムを、近赤外線吸収フィルターとしてプラズマディ
スプレー等の前面に配置したところ、色目の変化はな
く、コントラストが向上しかつ、近赤外線の放射も低減
していた。
【0046】
【表2】
【0047】比較例1 実施例1で使用した共重合ポリエステル樹脂(A1)の
代わりに、比重が1.26、ガラス転移温度が67℃の
共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績製、バイロンRV2
00)を用い、近赤外線吸収色素、前記共重合ポリエス
テル樹脂(東洋紡績製、バイロンRV200)、及び溶
剤を、表3に示すような組成でフラスコにいれ、加熱し
ながら攪拌し、近赤外線吸収色素及び前記共重合ポリエ
ステル樹脂を溶解し、塗布液を調整した。次に、この塗
布液を、片面に易接着層を有する高透明性ポリエステル
フィルム基材(東洋紡績製 コスモシャインA410
0)に、ギャップが100μmのアプリケーターを用い
てコーティングし、乾燥温度90℃で1時間乾燥させ
た。乾燥後のコーティング厚さは25μmであった。得
られた近赤外線吸収フィルムは、目視での色目は、褐色
に着色していた。図3にその分光特性を示す。
【0048】図3に示されるように、波長400〜65
0nmまでの可視領域において約550nmにピークを
持つような山形の特性になる近赤外線吸収フィルムが得
られた。得られたフィルムは、波長440〜500nm
における透過率の最小値は70.6%、波長640〜7
00nmにおける透過率の最小値は68.3%、波長5
50〜600nmにおける透過率の最大値は82.7
%、波長900〜1100nmにおける近赤外線領域の
透過率の最大値は8.1%であった。また、得られたフ
ィルムを近赤外線吸収フィルターとしてプラズマディス
プレー等の前面に配置したところ、色バランスが崩れ、
緑がかった色調となった。
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】本発明の近赤外線吸収フィルターは、近
赤外線領域に広く吸収を有し、可視領域の透過率が高
く、かつブルーグレーの色調を有するため、プラズマデ
ィスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LC
D)、カーナビゲーションシステムなどのリモコン誤動
作防止用フィルター、ビデオカメラ視感度補正用フィル
ター、熱線吸収フィルターなどに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の近赤外線吸収フィルターの分光特性
を示した説明図である。
【図2】実施例2の赤外線吸収フィルターの分光特性を
示した説明図である。
【図3】比較例1の赤外線吸収フィルターの分光特性を
示した説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA09 CA12 CA19 CA24 CA29 4F006 AA35 AB35 AB62 AB63 CA05 DA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長900〜1100nmの近赤外線領
    域の透過率が10%以下であり、波長440〜500n
    m及び640〜700nmの可視領域での最小透過率が
    60%以上で、かつ波長550〜600nmの可視領域
    での最大透過率が60%以下であることを特徴とする近
    赤外線吸収フィルター。
  2. 【請求項2】 波長550nmでの透過率が50%以上
    であることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収フ
    ィルター。
  3. 【請求項3】 近赤外線吸収色素を分散した高分子樹脂
    をコーティング法により透明基材上に積層することを特
    徴とする請求項1または2記載の近赤外線吸収フィルタ
    ー。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の高分子樹脂のガラス転移
    温度が、前記近赤外線吸収フィルターを使用する機器の
    使用保証温度以上であることを特徴とする近赤外線吸収
    フィルター。
  5. 【請求項5】 前記高分子樹脂がポリエステル樹脂であ
    ることを特徴とする請求項3または4記載の近赤外線吸
    収フィルター。
  6. 【請求項6】 前記透明基材がポリエステルフィルムで
    あることを特徴とする請求項3〜5記載の近赤外線吸収
    フィルター。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007272237A (ja) * 2007-05-01 2007-10-18 Asahi Glass Co Ltd 光学フィルム
JP2012137728A (ja) * 2010-12-10 2012-07-19 Asahi Glass Co Ltd 赤外光透過フィルタ及びこれを用いた撮像装置

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