JP2001181392A - 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法 - Google Patents

架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法

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JP2001181392A
JP2001181392A JP37431499A JP37431499A JP2001181392A JP 2001181392 A JP2001181392 A JP 2001181392A JP 37431499 A JP37431499 A JP 37431499A JP 37431499 A JP37431499 A JP 37431499A JP 2001181392 A JP2001181392 A JP 2001181392A
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Yoshihiro Irisato
義広 入里
Chojiro Higuchi
長二郎 樋口
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い吸水性を有する生分解性吸水性樹脂を、
高い生産性で、安価に製造することができる。 【解決手段】 ポリアスパラギン酸(塩)と多価エポキ
シ化合物を反応させる架橋ポリアスパラギン酸(塩)の
製造方法において、ポリアスパラギン酸(塩)水溶液中
において、無機塩、及び/又は、ポリアスパラギン酸
(塩)以外の有機塩の存在下で、架橋反応させることを
特徴とする、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方
法。 【効果】 高い吸水量を有する生分解性吸水性樹脂を高
い生産性で、安価に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有する
吸水性樹脂、及び、それを使用した使い捨て衛生用品に
関する。
【0002】
【従来の技術】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂
は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であ
り、生理用品、紙おむつ等の衛生用品、その他、各種分
野に使用されている。
【0003】[吸水性樹脂に関する先行技術]このよう
な用途に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、
架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−8430
4号、米国特許4,625,001号)、澱粉−アクリ
ロニトリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−4
3995号)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特
開昭51−125468号)、酢酸ビニル−アクリル酸
エステル共重合体の加水分解物(特開昭52−1468
9号)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許0068
189号)、カチオン性モノマーの架橋重合体(米国特
許4,906,717号)、架橋イソブチレン−無水マ
レイン酸共重合体の加水分解物(米国特許4,389,
513号)等が知られている。
【0004】しかしながら、これらの吸水性樹脂は、実
質的に分解性を有しないため、使用後の廃棄が問題であ
る。現状では、これらの吸水性樹脂は、廃棄時には、焼
却処理する方法と埋め立てする方法が行われているが、
焼却炉で処理する方法では、焼却時に発生する熱による
炉材の損傷のほかに、地球の温暖化や酸性雨の原因とな
ることが指摘されている。また、埋め立て処理する方法
では、プラスチックは、容積が嵩張り腐らないため、埋
め立て後の地盤が安定しない等の問題がある上、埋め立
てに適した用地の確保が困難となってきたことが大きな
問題となっている。すなわち、これらの樹脂は分解性に
乏しく、水中や土壌中では、実質的に半永久的に存在す
るので、廃棄物処理における環境保全を考えると、非常
に厄介で重大な問題である。
【0005】例えば、紙おむつ、生理用品等の衛生材料
用途に代表される使い捨て用途で使用する樹脂の場合
は、それをリサイクルすれば多大な費用がかかり、焼却
するにも大量であるため地球環境への負荷が大きい。ま
た、農・園芸用保水材として架橋ポリアクリル酸樹脂を
使用した場合、土壌中でCa2+等の多価イオンとコンプ
レックスを形成し、不溶性の層を形成することが報告さ
れている(松本ら、高分子、42巻、8月号、1993
年)。このような層は、そのもの自体の毒性は低いとは
いわれているが、自然界には本来的に全く存在してこな
かったものであり、それら樹脂の土中への蓄積による生
態系への長期間に亘る影響は不明であり、今後、安全性
を慎重にかつ充分に確認した後に使用することが望まれ
る。
【0006】非イオン性の樹脂の場合には、コンプレッ
クスは形成しないが、非分解性であるので、土壌中へ蓄
積する虞があり、同様に、樹脂の土中への蓄積による生
態系への長期間に亘る影響は不明であり、今後、安全性
を慎重にかつ充分に確認した後に使用することが望まれ
る。
【0007】さらに、これらの重合系の樹脂は、単量体
原料として、哺乳類動物の肌や粘膜に対して毒性の高い
ものを使用しており、重合後の製品からこれらを除去す
るために、多くの検討がなされてきた。通常、重合後の
製品から、未反応重合体を除去することは、困難であ
り、特に、工業的規模の製造においては、より困難とな
ることが予想される。
【0008】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]近年、「地球にやさしい素材」として生分解性ポリ
マーが注目されており、これを吸水性樹脂として使用す
ることも提案されている。このような用途に使用されて
いる生分解性を有する吸水性樹脂としては、例えば、ポ
リエチレンオキシド架橋体(特開平6−157795号
等)、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメチル
セルロース架橋体(米国特許4,650,716号)、
アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体等
が知られている。これらの中で、ポリエチレンオキシド
架橋体、ポリビニルアルコール架橋体は、吸水量が小さ
く、通常、生理用品、紙おむつ、使い捨て雑巾、ペーパ
ータオル等の高い吸水能が要求される製品の素材として
使用する場合には適切でない。また、これらの化合物
は、特殊な菌によらなければ生分解することができない
ので、一般的な条件では、生分解は極端に遅かったり、
又は、全く分解しなかったりする。これら化合物は、分
子量が大きくなると、さらに極端に分解性が低下する。
また、カルボキシメチルセルロース架橋体、アルギン酸
架橋体、デンプン架橋体等の糖類架橋体は、その分子内
に強固な水素結合を多く含むために、分子間、ポリマー
間の相互作用が強く、そのため分子鎖が広く開くことが
できず、その結果、吸水能は高くない。
【0009】[ポリアミノ酸系吸水性樹脂の技術的背
景]ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は、生分解性
を有するために地球環境にやさしく、また生体内に吸収
されても生体内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性
がないことが明らかにされてきているので、哺乳類動物
に対してもやさしい素材である。
【0010】このような樹脂の製造方法の具体例として
は、例えば、ポリ−γ−グルタミン酸にγ線を照射して
高吸水能を有する樹脂を製造する方法が挙げられる(国
岡ら、高分子論文集、50巻10号、755頁(199
3年))。しかしながら、工業的な観点からは、この技
術に用いる60Co照射設備は、放射能の遮断を行うため
には大がかりな設備が必要であり、その管理にも充分な
配慮が必要であるため現実的ではない。また、出発物質
であるポリグルタミン酸が高価であることも問題点であ
る。
【0011】このような樹脂の製造方法の他の具体例と
しては、例えば、酸性アミノ酸を架橋させてハイドロゲ
ルを得る方法が挙げられる[Akamatsuら、米国
特許第3,948,863号(特公昭52−41309
号)、岩月ら、特開平5−279416号]等を挙げる
ことができる。
【0012】このような樹脂の製造方法のさらに他の具
体例としては、例えば、架橋アミノ酸樹脂を吸水性ポリ
マーに用いる方法が挙げられる(Sikesら、特表平
6−506244号;米国特許第5,247,068及
び同第5,284,936号、鈴木ら、特開平7−30
9943号、原田ら、特開平8−59820号)。しか
しながら、これらのポリマーは、吸水性ポリマーとして
十分な性能を有するものではなかった。
【0013】一方、これらの架橋ポリアミノ酸を、ポリ
アスパラギン酸やアスパラギン酸を、架橋剤と、熱によ
り反応させて製造する方法が、特表平6−506244
号及び特表平8−504219号に開示されている。
【0014】また、酸性ポリアミノ酸と塩基性ポリアミ
ノ酸を混合し、加熱して架橋することにより吸水性ポリ
マーを得る方法が、特開平8−59820号に開示され
ている。
【0015】しかしながら、これらの方法は、固体状態
で架橋反応を行なうことを特徴とするので、架橋反応が
均一となりにくいため吸水能等の物性が充分でなかった
り、また、架橋反応の反応温度が高温を必要とするた
め、分解が著しく、色相が黄変したり褐色化したりする
という問題があった。
【0016】一方、特開平7−224163号におい
て、ポリコハク酸イミドをジアミンにより架橋し、残り
のイミド環をアルカリで加水分解して塩水吸水能の高い
吸水性樹脂を得る方法について開示した。同様に、無水
ポリ酸性アミノ酸のポリアミンによる部分架橋物をアル
カリ金属化合物で加水分解する方法を、特開平7−30
9943号に開示されている。
【0017】これらの方法は、ポリコハク酸イミドを均
一に、効率よく架橋し、かつ架橋度の制御が容易である
ため、高い収率で高い吸水能を有する吸水性ポリマーを
得ることができ、工業的に適した製造方法である点で極
めて有意義である。しかしながら、ポリコハク酸イミド
をジアミンで架橋するには、ポリコハク酸イミドを非プ
ロトン性極性溶媒に溶解するため、有機溶媒を取り扱う
設備や、有機溶媒の回収が必要であり、さらなる改良が
望まれていた。
【0018】また、本発明者らは、特開平11−060
729号及び特願平11−242011号に、ポリアミ
ノ酸とポリエポキシ化合物、ポリオール、ポリチオー
ル、ポリイソシアナート、ポリアジリジン、多価金属等
の架橋剤を反応させる架橋ポリアミノ酸の製造方法につ
いて開示した。これらの方法は、ポリコハク酸イミドを
溶解させるための非プロトン性極性溶媒を必要とせず、
かつ均一な架橋を行なうことができるという特徴があ
る。
【0019】特開平10−298282号には、2〜4
0重量%の濃度の水溶性ポリアミノ酸水溶液中で、ポリ
グリシジル化合物又はエピハロヒドリン変性アミノ化合
物で架橋するポリアミノ酸系吸水性樹脂の製造方法が開
示されている。
【0020】しかしながら、この公報に記載された製造
方法では、反応サイトの数が少なく、かつ、高濃度の反
応ができないため架橋反応速度が遅く、反応に長時間を
要するため副反応のポリマー主鎖の切断、架橋剤のエポ
キシ基の開裂が起るため、収率が低く、得られたポリマ
ーの性能(吸水能)が非常に低かった。また副反応以外
にも、この公報にも記載されているように、ポリマーの
極性が高いため、ポリマー濃度が高くなるとポリマー同
士の絡まりが多く存在したり、ポリマー鎖の収縮が起こ
るため、架橋反応がうまく進行しないことが理由として
挙げられる。すなわち、この製造方法では、架橋反応が
効率的に進まないため、反応に要する時間が長く、ポリ
アスパラギン酸が加水分解を受け、主鎖が切断したりし
て、得られる吸水性樹脂の物性が充分でなかったり、水
可溶分が多量に発生したり、収率が低いという、多くの
問題点を含んでいた。特に、吸水能が低いために、紙お
むつ等の衛生用品等には使用が困難であった。
【0021】また、この製造方法では、架橋反応をうま
く進行するためには、高分子量のポリアスパラギン酸を
必要とする。そのため、その前駆体であるポリコハク酸
イミドをジシクロヘキシルカルボジイミド等により処理
することが必要となる等、工程数も増加し、取り扱いの
操作も煩雑であった。
【0022】また、特開平10−330478号では、
ポリアミノ酸の水性溶液と、ジグリシジル化合物又はジ
アジリジン化合物を接触させ、凍結乾燥等により水を除
き、熱処理する架橋ポリアミノ酸の製造方法が開示され
ている。しかしながら、凍結乾燥には、莫大なエネルギ
ーを要したり、特殊な設備を必要としたり、設備上、工
業的に不経済であるという問題があった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題の一つは、上記のような従来の技術の問題点に
鑑み、生産性が高く、生分解性を有する架橋ポリアスパ
ラギン酸(塩)を安価に製造することができる製造方法
を提供することにある。
【0024】本発明が解決しようとする課題の一つは、
本発明者らが既に開示した発明である架橋ポリアスパラ
ギン酸の製造方法をさらに改善することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアスパラギン酸
(塩)を特定の条件下、多価エポキシ化合物で架橋する
ことにより、高い吸水量を示す架橋ポリアスパラギン酸
が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0026】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、無機塩、及び/又は、ポリアス
パラギン酸(塩)以外の有機塩が存在する水溶液中にお
いて架橋することにより、ポリマー分子同士の絡まりが
なく、分子が広がったまま架橋できるので効率的に架橋
反応を進行することが可能となる。
【0027】 本発明により、高濃度での架橋反応が
可能となり、架橋反応が速く進行することが可能とな
り、そのため、ポリアスパラギン酸の主鎖が切断しにく
く、高い吸水量を有する吸水性樹脂を高収率で得ること
が可能となる。
【0028】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、非プロトン性極性溶媒を用いる
ことなく架橋ポリアスパラギン酸を製造することができ
るため、非プロトン性極性溶媒の回収等が不要であり、
設備、運転コストを安くすることが可能となる。
【0029】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、非プロトン性極性溶媒の取り扱
いを必要としないため、生産設備を簡素にすることが可
能となる。
【0030】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、ポリアスパラギン酸(塩)の水
溶液を得るまでに加水分解がほとんどなく、効率よく架
橋反応を進行することができるため、高い吸水能を有す
る吸水性樹脂を収率よく製造することが可能となる。
【0031】本発明は、以下の[1]〜[13]に記載
した事項により特定される。
【0032】[1] ポリアスパラギン酸(塩)と多価
エポキシ化合物を反応させる架橋ポリアスパラギン酸
(塩)の製造方法において、ポリアスパラギン酸(塩)
水溶液中において、無機塩、及び/又は、ポリアスパラ
ギン酸(塩)以外の有機塩の存在下で、架橋反応させる
ことを特徴とする、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製
造方法。
【0033】[2] ポリアスパラギン酸(塩)が、一
部にカルボン酸基を有するポリアスパラギン酸アルカリ
金属塩、及び/又は、ポリアスパラギン酸アンモニウム
塩である、[1]に記載した、架橋ポリアスパラギン酸
(塩)の製造方法。
【0034】[3] 無機塩がアルカリ金属ハロゲン化
物であることを特徴とする、[1]に記載した、架橋ポ
リアスパラギン酸(塩)の製造方法。
【0035】[4] ポリアスパラギン酸(塩)水溶液
中のポリアスパラギン酸(塩)の濃度が、41〜70重
量%である、[1]乃至[3]の何れかに記載した、架
橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
【0036】[5] 無機塩、及び/又は、ポリアスパ
ラギン酸(塩)以外の有機塩の濃度が、0.01〜20
重量%である、[1]乃至[4]の何れかに記載した、
架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
【0037】[6] ポリアスパラギン酸(塩)水溶液
のpHが、3〜7である、[1]乃至[5]の何れかに
記載した、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
【0038】[7] ポリアスパラギン酸(塩)水溶液
の温度が、10〜100℃である、[1]乃至[6]の
何れかに記載した、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製
造方法。
【0039】[8] 無機塩、及び/又は、ポリアスパ
ラギン酸(塩)以外の有機塩が、ポリアスパラギン酸
(塩)水溶液中に、ポリアスパラギン酸(塩)の5〜5
0モル%に相当する酸を添加した結果生成したものであ
ることを特徴とする、[1]乃至[7]の何れかに記載
した、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
【0040】[9] ポリアスパラギン酸(塩)水溶液
が、ポリコハク酸イミドを加水分解して得られた水溶液
であることを特徴とする、[1]乃至[8]の何れかに
記載した、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
【0041】[10] 製造された架橋ポリアスパラギ
ン酸(塩)中の水可溶成分が、ポリアスパラギン酸
(塩)に対して0〜18重量%であることを特徴とす
る、[1]乃至[9]の何れかに記載した、架橋ポリア
スパラギン酸(塩)の製造方法。
【0042】[11] [1]乃至[10]の何れかに
記載した製造方法により得られた架橋ポリアスパラギン
酸(塩)。
【0043】[12] ティーバッグ法により測定した
生理食塩水に対する1時間後の吸水量が、乾燥架橋ポリ
アスパラギン酸(塩)重量の30〜100倍である、
[11]に記載した架橋ポリアスパラギン酸(塩)。
【0044】[13] ティーバッグ法により測定した
蒸留水に対する1時間後の吸水量が、乾燥架橋ポリアス
パラギン酸(塩)重量の200〜1500倍である、
[11]又は[12]に記載した架橋ポリアスパラギン
酸(塩)。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の架橋ポリアスパラギン酸
(塩)の製造方法は、ポリアスパラギン酸(塩)を水中
にて多価エポキシ化合物により架橋することにより特定
される。さらに、本発明の目的の一つは、架橋ポリアス
パラギン酸(塩)を効率よく製造するために、原料であ
るポリアスパラギン酸(塩)の製造方法までも言及する
ものである。本発明の製造法に使用されるポリアスパラ
ギン酸(塩)は、その製造方法は特に限定されないが、
工業的生産に適したポリコハク酸イミドを加水分解した
ものを用いることが好ましいので、ポリアスパラギン酸
(塩)、ポリコハク酸イミドについても説明する。以下
に、 (1) ポリコハク酸イミドの製造方法 (2) ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法 (3) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法に分けて
記述する。
【0046】(1) ポリコハク酸イミドの製造方法 ポリコハク酸イミドの製造方法は、公知の方法を用いる
ことができる。例えば、J.Amer.Chem.So
c,80,3361(1958年)に、アスパラギン酸
を原料として200℃で数時間加熱縮合させる方法が開
示されている。特公昭48−20638号には、85%
燐酸を触媒としてロータリーエバポレーターを用いて薄
膜状で反応を行うことにより、高分子量のポリこはく酸
イミドを得る方法が開示されている。
【0047】米国特許第5,057,597号には、工
業的にポリこはく酸イミドを得る方法として、流動床に
よりポリアスパラギン酸を加熱縮合させる方法が開示さ
れている。その他、P.Neriらの方法(Journ
al of MedicinalChemistry、
1973年16巻8号)、米国特許5,142,062
号、特開平7−216084号、特開平8−23171
0号、米国特許4,363,797号、特公昭52−8
873号、特開平7−1966796号、特開平8−1
76297号、特開平9−143265号等に記載され
ている方法を採用することができる。さらに高分子量の
ポリコハク酸イミドを必要する場合には、上記の方法の
ようにして得られたポリコハク酸イミドを、ジシクロヘ
キシルカルボジイミド等の縮合剤で処理することもでき
る。
【0048】ポリコハク酸イミド製造の原料としてはア
スパラギン酸の他に、アスパラギン、アスパラギン酸エ
ステル、アスパラギン酸ジエステル、マレアミド、マレ
イミド、マレイン酸とアンモニア、マレイン酸アンモニ
ウム塩、フマル酸アミド、フマル酸とアンモニア、フマ
ル酸アンモニウム塩等を使用することができる。これら
の原料は、単独で、又は、二種類以上の混合物で使用す
ることができる。
【0049】本発明において使用することができるポリ
コハク酸イミドは、アミノ酸等の共重合可能な2官能以
上の単量体由来の繰り返し単位を主鎖に有する重合体を
含む。アミノ酸の具体例としては、例えば、以下の〜
に示す20種類のアミノ酸を挙げることができる。
【0050】 非極性すなわち疎水性のR基をもつア
ミノ酸;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロ
リン。
【0051】 極性だが電荷のないアミノ酸;グリシ
ン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アス
パラギン、グルタミン。
【0052】 正電荷をもつR基を有するアミノ酸;
リジン、ヒスチジン、アルギニン。
【0053】 負電荷をもつR基を有するアミノ酸;
アスパラギン酸、グルタミン酸。アミノ酸の他の具体例
としては、例えば、L−オルニチン、一連のα−アミノ
酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、酸性アミノ酸のω
−エステル、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン
酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等
のアミノ酸及びアミノ酸誘導体、L−システイン酸等の
アミノスルホン酸等。
【0054】α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D
体)であっても、ラセミ体であってもよい。また、ポリ
アミノ酸は他の単量体成分を含む共重合体であってもよ
い。その他の共重合可能な2官能以上のモノマーの例と
しては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノ
ホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボ
ン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等
が挙げられる。また、多価アミン、多価アルコール、多
価チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホ
スホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化
合物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド
化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合
物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化
合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合
物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化
合物、多価金属等が挙げられる。共重合体である場合
は、ブロック・コポリマーであっても、ランダム・コポ
リマーであっても構わない。また、グラフト共重合体で
あっても構わない。
【0055】(2) ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法 本発明に用いるポリアスパラギン酸(塩)の製造方法
は、特に限定されない。例えば、(1)に記載したポリ
コハク酸イミドを加水分解したもの、発酵法あるいは酵
素法により製造したもの、アスパラギン酸−4−エステ
ルのN−カルボキシ−α−アミノ酸無水物(NCA)を
重合し、エステル基を除去したもの等が挙げられる。こ
れらの中で、ポリコハク酸イミドを加水分解したものが
工業的には好ましい。本発明において使用するポリコハ
ク酸イミドの重量平均分子量(Mw)は、所望する特性
を有する生成物が実質的に得られれば特に制限されない
が、一般的には20000〜1000000、より好ま
しくは50000〜500000、より実用的には、7
0000〜250000がさらに好ましい。上記のよう
にして得られたポリコハク酸イミドは、通常、主鎖の一
部あるいは全部が、イミド環である。このイミド環をア
ルカリや求核剤と反応させて開環させることによりポリ
アスパラギン酸(塩)を得ることができる。イミド環に
作用し開環する試剤としては、アルカリあるいはアミン
が用いられる。アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアル
カリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、
シュウ酸ナトリウム等の有機カルボン酸アルカリ金属
塩、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級
アミン等が挙げられる。これらの中では、一般的には、
安価な水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
アミンの具体例としては、例えば、リジン等のアミノ
酸、炭素原子数1から18の分岐していてもよいアルキ
ルアミン、炭素原子数3から8のシクロアルキルアミ
ン、アラルキルアミン、置換していてもよいフェニルア
ミン、置換していてもよいナフチルアミン、アンモニア
等が挙げられる。これらのアルカリや求核剤は水溶液、
水混和性有機溶媒の溶液、又は、固体状のいずれにおい
ても使用することができる。
【0056】ポリコハク酸イミドのイミド環のアルカリ
開環反応の反応温度は、5〜100℃が好ましく、20
〜80℃がより好ましく、さらに40〜60℃が好まし
い。
【0057】イミド環のアルカリ開環反応は、pH7〜
13で行うのが好ましく、9〜12がより好ましい。p
Hが高すぎると主鎖のアミド結合を切断し、得られる吸
水性樹脂の吸水能や収率を低下させ、pHが低すぎる
と、反応が遅くなり実用的でない。ポリコハク酸イミド
のイミド環をアルカリ加水分解反応させて得られるポリ
アスパラギン酸(塩)の後処理については、特に制限さ
れない。必要に応じて、その塩を他の種類の塩に交換す
ることもできる。
【0058】ポリアスパラギン酸(塩)のカルボキシル
基は、アルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩を形成し
ており、反応液はアルカリ性であるが、必要に応じて、
塩酸、硫酸等の鉱酸、酢酸等のカルボン酸、メタンスル
ホン酸等のスルホン酸を加えることにより、pHを調節
することができる。
【0059】また、イオン交換樹脂を用いてポリアスパ
ラギン酸(塩)として単離することもできる。但し、ポ
リアスパラギン酸(塩)は、酸性側において、加水分解
しやすいので単離する場合はアルカリ性側において行う
方が好ましい。
【0060】本発明は、架橋ポリアスパラギン酸(塩)
の製造方法に関するものであるが、架橋反応のみなら
ず、前段の反応であるポリコハク酸イミドを加水分解し
ポリアスパラギン酸(塩)を製造する工程についても架
橋反応を効率よく行うための方法を提供するものであ
る。その方法の態様を以下に記述する。
【0061】その一つとして、単離したポリアスパラギ
ン酸ではなく、単離したポリアスパラギン酸塩を用いて
次の架橋反応に進むことである。すなわち、加水分解性
の高いポリアスパラギン酸ではなく、水中において安定
なポリアスパラギン酸塩を用いることで主鎖の切断、分
子量の低下を防ぎ、架橋反応を有利に行うことである。
このようにして得られたポリアスパラギン酸(塩)は、
単離して次の架橋反応に進んでも構わない。その単離方
法は特に制限されない。例えば、メタノール等の貧溶媒
に排出したり、水等の反応溶媒を留去することにより単
離することができる。
【0062】また、効率的に架橋反応を行うためには、
本発明の特徴の一つである、加水分解したポリアスパラ
ギン酸(塩)を単離せず水溶液のまま次の架橋反応に進
む方法を挙げる。この方法は、ポリアスパラギン酸
(塩)の単離のための工程を省略でき、工業的に適した
方法である。次の架橋反応はポリアスパラギン酸(塩)
が高濃度である場合、濃縮等を行っても構わない。但
し、濃縮を行うとエネルギー効率が悪く、ポリマー主鎖
の切断等が起こりやすいので、加水分解時に高濃度に調
整しておく方が好ましい。
【0063】加水分解時に高濃度に調整するには、ポリ
コハク酸イミドを一度に水に分散させると攪拌が困難と
なるので、ポリコハク酸イミドの加水分解を行うときポ
リコハク酸イミドを少量ずつ加水分解しながら加える方
法を挙げる。すなわち、少量ずつ加水分解することで攪
拌を十分に行いながら反応することができる。
【0064】(3) ポリアスパラギン酸(塩)の架橋方法 本発明の特徴の一つは、ポリアスパラギン酸(塩)を多
価エポキシ化合物を用いて架橋する際に、無機塩、及び
/又は、ポリアスパラギン酸(塩)以外の有機塩が存在
する水溶液中において架橋反応をおこなうことである。
すなわち、本発明の方法は、無機塩、及び/又は、ポリ
アスパラギン酸(塩)以外の有機塩が存在する水溶液中
において架橋することで、ポリマー分子同士の絡まりが
なく、分子が広がったまま架橋できるので効率的に架橋
が進行ができるところに特徴がある。このことは、ポリ
アスパラギン酸の構造と大きく関連し、ポリアスパラギ
ン酸はポリアクリル酸とは異なり、主鎖のアミド結合、
カルボキシル基等、極性基を多く有するために、分子
間、及び、分子内の官能基同士の相互作用が著しく大き
い。上記、塩を添加すると分子間、及び、分子内の官能
基同士の相互作用が緩和されるためポリマー分子鎖が広
がるものと推測される。本発明に用いるポリアスパラギ
ン酸(塩)は、特に限定されず、各種の製造方法にて製
造したものを用いることができる。例えば、(1)に記
載したポリコハク酸イミドを加水分解したもの、発酵法
あるいは酵素法により製造したもの、アスパラギン酸−
4−エステルのN−カルボキシ−α−アミノ酸無水物
(NCA)を重合し、エステル基を除去したもの等が挙
げられる。これらの中で、ポリコハク酸イミドを加水分
解したものが工業的には好ましい。本発明において使用
するポリアスパラギン酸(塩)の重量平均分子量(M
w)は、所望する特性を有する生成物が実質的に得られ
れば特に制限されないが、一般的には20000〜10
00000、より好ましくは50000〜50000
0、より実用的には、70000〜250000がさら
に好ましい。本発明の架橋ポリアスパラギン酸(塩)の
製造方法における、無機塩、及び/又は、ポリアスパラ
ギン酸(塩)以外の有機塩としては、ポリアスパラギン
酸(塩)の溶解度を損なうことなく、水中でのポリアス
パラギン酸の鎖を広げる効果があるものが好ましい。ま
た、水溶液の液性を大きく変えない、又は、液性調整可
能な程度のマイルドなものが好ましい。さらに、処理工
程中、塩が容易に除去が可能であるか、あるいは、ポリ
マー中に残存した場合でも安全性に優れたものが好まし
い。
【0065】すなわち、上記作用が発現できるものであ
れば、使用する無機塩及び有機塩は特に限定されず、中
性塩、塩基性塩、酸性塩等の一般的な塩を広く使用でき
る。尚、多価金属塩を用いる場合は、この多価金属塩が
イミド環の加水分解で生成したカルボキシル基をイオン
的に架橋させ、その架橋度が高くなるので、添加後の架
橋度変化を考慮して添加した方がいい。
【0066】無機塩及び有機塩は、反応液中に固体状の
まま添加してもよく、塩を水に加えて溶解させた溶液を
添加してもよいし、水中で中和により塩を生成させても
よい。特にポリコハク酸イミドを加水分解した後のポリ
アスパラギン酸塩を用いる場合は中和により塩を生成す
る方法は好ましい。
【0067】使用する塩の具体例としては、例えば、塩
酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、
亜硫酸、二亜硫酸、アミド硫酸、チオ硫酸、硝酸、亜硝
酸、リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、メタリン酸、次
リン酸、ピロリン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、炭
酸、過炭酸、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、塩素
酸、過塩素酸、次亜塩素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜臭
素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、ケイ酸、
オルトケイ酸、メタケイ酸、アルミン酸、テルル酸、イ
ソシアン酸、チオシアン酸、マンガン酸、過マンガン
酸、過ヨウ素酸、クロム酸、ニクロム酸、メタ亜アンチ
モン酸、メタバナジン酸、モリブデン酸等の無機鉱酸、
有機ホスホン酸、有機スルホン酸、有機カルボン酸、シ
ュウ酸、有機フェノール等の有機酸の金属塩、有機塩基
塩、又は、酸化物等が挙げられる。
【0068】これらの中では、安全性に優れ、酸化還元
性が無く、低コストであり、水への溶解性が高いものが
好ましい。例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、
フッ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、
オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ホスフィン
酸、ホスホン酸、炭酸、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホ
ウ酸、ケイ酸、オルトケイ酸、メタケイ酸、シュウ酸、
有機ホスホン酸、有機スルホン酸、有機カルボン酸の金
属塩又は有機塩基塩が好ましい。
【0069】特に、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、
ホウ酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸、有機カルボ
ン酸等の各酸の金属塩もしくは有機塩基塩が好ましい。
【0070】金属塩を構成する金属としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウ
ム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタ
ン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲリウム、ルビジウム、
ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオビ
ウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、銀、カドミウム、インジウム、錫、テルリウム、セ
シウム、バリウム、セリウム、金、水銀、タリウム、鉛
等が挙げられる。これらの中で、安全性に優れ、低コス
トであり、水への溶解性が高いリチウム、ナトリウム、
カリウムが好ましい。
【0071】さらに、有機塩としては、アンモニウム、
テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウ
ム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモ
ニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシル
アンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメ
チルプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニ
ウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリ
メチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモ
ニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチル
プロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウ
ム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキ
シルアンモニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニ
ウム、ベンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウ
ム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、
トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリプロ
パノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノ
ールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミ
ン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミ
ン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘ
キシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミ
ン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチ
ルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペ
ンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のア
ミン塩等が挙げられる。
【0072】これらの中で、水への溶解性、臭気、安全
性、コストを考慮すると、テトラメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウ
ム、テトラブチルアンモニウム、エチルトリメチルアン
モニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジル
トリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ト
リブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩等
が特に好ましい。
【0073】さらに、具体的な塩の例としては、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化アンモニ
ウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ベリリ
ウム、塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化バナジウ
ム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバル
ト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化ストロンチ
ウム、塩化イットリウム、塩化ジルコニウム、塩化モリ
ブデン、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化パラジウ
ム、塩化銀、塩化カドミウム、塩化錫、塩化テルリウ
ム、塩化セシウム、塩化バリウム、塩化セリウム、塩化
鉛、テトラメチルアンモニウム・クロリド、テトラエチ
ルアンモニウム・クロリド、テトラブチルアンモニウム
・クロリド、トリエタノールアミン塩酸塩等の塩化物
塩、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭
化アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・ブロミ
ド、テトラエチルアンモニウム・ブロミド、テトラブチ
ルアンモニウム・ブロミド、トリエタノールアミン・臭
化水素酸塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ
化リチウム、ヨウ化アンモニウム、テトラメチルアンモ
ニウム・ヨード、テトラエチルアンモニウム・ヨード、
テトラブチルアンモニウム・ヨード、トリエタノールア
ミン・ヨウ化水素酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウ
ム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・硫酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸
塩、テトラブチルアンモニウム・硫酸塩、トリエタノー
ルアミン・硫酸塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝
酸リチウム、硝酸アンモニウム、テトラメチルアンモニ
ウム・硝酸塩、テトラエチルアンモニウム・硝酸塩、テ
トラブチルアンモニウム・硝酸塩、トリエタノールアミ
ン・硝酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン
酸リチウム、リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、テトラ
メチルアンモニウム・炭酸塩、テトラエチルアンモニウ
ム・炭酸塩、テトラブチルアンモニウム・炭酸塩、トリ
エタノールアミン・炭酸塩、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸
カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸アンモニウム、ベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウ
ム、ベンゼンスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸
アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・ベンゼンス
ルホン酸塩、テトラエチルアンモニウム・ベンゼンスル
ホン酸塩、テトラブチルアンモニウム・ベンゼンスルホ
ン酸塩、トリエタノールアミン・ベンゼンスルホン酸
塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエン
スルホン酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウ
ム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、テトラメチ
ルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、テトラエ
チルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、テトラ
ブチルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、トリ
エタノールアミン・p−トルエンスルホン酸塩、安息香
酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、
安息香酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・安
息香酸塩、テトラエチルアンモニウム・安息香酸塩、テ
トラブチルアンモニウム・安息香酸塩、トリエタノール
アミン・安息香酸塩、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カ
リウム、シュウ酸リチウム、シュウ酸アンモニウム、テ
トラメチルアンモニウム・シュウ酸塩、テトラエチルア
ンモニウム・シュウ酸塩、テトラブチルアンモニウム・
シュウ酸塩、トリエタノールアミン・シュウ酸塩、酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモ
ニウム、テトラメチルアンモニウム・酢酸塩、テトラエ
チルアンモニウム・酢酸塩、テトラブチルアンモニウム
・酢酸塩、トリエタノールアミン・酢酸塩、プロピオン
酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸リ
チウム、プロピオン酸アンモニウム、テトラメチルアン
モニウム・プロピオン酸塩、テトラエチルアンモニウム
・プロピオン酸塩、テトラブチルアンモニウム・プロピ
オン酸塩、トリエタノールアミン・プロピオン酸塩等が
挙げられる。
【0074】これらの中で、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、テトラメチル
アンモニウム・クロリド、テトラエチルアンモニウム・
クロリド、テトラブチルアンモニウム・クロリド、トリ
エタノールアミン塩酸塩、臭化ナトリウム、臭化カリウ
ム、臭化リチウム、臭化アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・ブロミド、テトラエチルアンモニウム・ブ
ロミド、テトラブチルアンモニウム・ブロミド、トリエ
タノールアミン・臭化水素酸塩、ヨウ化ナトリウム、ヨ
ウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、テトラメチルアン
モニウム・ヨード、テトラエチルアンモニウム・ヨー
ド、テトラブチルアンモニウム・ヨード、トリエタノー
ルアミン・ヨウ化水素酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリ
ウム、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・
硫酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸塩、テトラブ
チルアンモニウム・硫酸塩、トリエタノールアミン・硫
酸塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウ
ム、テトラメチルアンモニウム・硝酸塩、テトラエチル
アンモニウム・硝酸塩、テトラブチルアンモニウム・硝
酸塩、トリエタノールアミン・硝酸塩、リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウ
ム、テトラメチルアンモニウム・炭酸塩、テトラエチル
アンモニウム・炭酸塩、テトラブチルアンモニウム・炭
酸塩、トリエタノールアミン・炭酸塩、ホウ酸ナトリウ
ム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベ
ンゼンスルホン酸アンモニウム、テトラメチルアンモニ
ウム・ベンゼンスルホン酸塩、テトラエチルアンモニウ
ム・ベンゼンスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウム
・ベンゼンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・ベン
ゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウ
ム、p−トルエンスルホン酸カリウム、p−トルエンス
ルホン酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・p
−トルエンスルホン酸塩、テトラエチルアンモニウム・
p−トルエンスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウム
・p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・
p−トルエンスルホン酸塩、安息香酸ナトリウム、安息
香酸カリウム、安息香酸アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・安息香酸塩、テトラエチルアンモニウム・
安息香酸塩、テトラブチルアンモニウム・安息香酸塩、
トリエタノールアミン・安息香酸塩、シュウ酸ナトリウ
ム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム、酢酸ナ
トリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、テトラメ
チルアンモニウム・酢酸塩、テトラエチルアンモニウム
・酢酸塩、テトラブチルアンモニウム・酢酸塩、トリエ
タノールアミン・酢酸塩、プロピオン酸ナトリウム、プ
ロピオン酸カリウム等が好ましく、特に、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・クロリド、テトラエチルアンモニウム・ク
ロリド、テトラブチルアンモニウム・クロリド、トリエ
タノールアミン塩酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウ
ム、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・硫
酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸塩、テトラブチ
ルアンモニウム・硫酸塩、トリエタノールアミン・硫酸
塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモ
ニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニ
ウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アン
モニウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンス
ルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、
テトラメチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、テ
トラエチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、テト
ラブチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、トリエ
タノールアミン・ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエン
スルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウ
ム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、テトラメチ
ルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、テトラエ
チルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、テトラ
ブチルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、トリ
エタノールアミン・p−トルエンスルホン酸塩、安息香
酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウ
ム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸
アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ア
ンモニウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カ
リウム等が好ましい。
【0075】以上列挙した各塩は、単独でも二種類以上
を混合して使用しても構わない。また場合によっては、
無機塩と有機塩を組み合わせて使用できる。
【0076】反応液中における塩の濃度は、ポリアスパ
ラギン酸(塩)が析出しない範囲において、0.01〜
20重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好まし
い。その濃度を適度に高くすれば塩の効果が発現し、適
度に低くすれば塩の樹脂中への混入を防止できる。
【0077】ポリアスパラギン酸(塩)の架橋反応にお
ける濃度は特に限定されないが、本発明の目的の一つに
効率的に架橋反応を行うことがあるので、高濃度におい
て反応を行う方が好ましい。例えば、ポリアスパラギン
酸(塩)の濃度が20重量%から80重量%以下が好ま
しく、41重量%以上70重量%以下がより好ましく、
50重量%以上60重量%以下がより好ましい。これ以
上の濃度ではポリアスパラギン酸(塩)が溶解せず、攪
拌が困難なばかりか、均一な架橋反応ができず、結果と
して水可溶成分が多くなり、収率、吸水能ともに低下す
る。一方、これより低い濃度では反応速度が遅いため、
ポリマー主鎖の切断等の副反応が起こり、結果として水
可溶成分が多くなり、収率、吸水能ともに低下する。ポ
リアスパラギン酸の溶解度は、その分子量と対イオン、
中和度に関係し、一般に高分子量のポリマーは溶解度が
小さく、低分子量のポリマーは溶解度が大きい。対イオ
ンは一価のイオンであり、ナトリウム、カリウム、アン
モニウム等の比較的小さいイオンは溶解度が大きい。中
和度はフリーのカルボン酸より、塩を形成した方が溶解
度が大きくなる。本発明では、溶解度より低い濃度で反
応を行う。例えば、分子量6万のポリアスパラギン酸の
ナトリウムの場合、41重量%から60重量%が好まし
い。本発明のポリアスパラギン酸(塩)の濃度は、架橋
反応に用いる全試剤の重量に対するポリアスパラギン酸
(塩)の重量と定義する。
【0078】本発明のポリアスパラギン酸(塩)の製造
方法は反応条件である反応温度、pH、架橋剤の量が重
要である。これらの組み合わせによって好ましい反応条
件が異なる。本発明の架橋反応は酸性側にて行うが、ポ
リアスパラギン酸と架橋剤のエポキシ基との反応は高
温、低いpHで速く、一方、ポリアスパラギン酸の主鎖
の加水分解は、高温、低いpHでその反応が速くなる。
また、架橋剤のエポキシ基の加水分解反応は高温、低い
pHでその反応が速くなる。このように架橋反応と副反
応(ポリマー主鎖の加水分解反応、架橋剤のエポキシ基
の開裂反応)が同じ傾向で促進される。本発明の架橋反
応は、副反応が起こりにくい温和な条件にて行うか、架
橋反応を短時間にて進行させ、副反応を抑えるかのどち
らかの反応条件にて行うのが好ましい。後者の場合、一
般的に架橋剤を多く使用する方が架橋反応に有効であ
る。本発明の架橋反応の反応条件の一つである水溶液の
pHによって、架橋反応に関与するカルボキシル基の量
が決まる。本発明の製造方法において、水溶液のpHは
3〜7が好ましく、4〜6が好ましく、4.5〜5.5
がより好ましい。架橋反応はポリアスパラギン酸中のカ
ルボキシル基と架橋剤の濃度に大きく依存するが、ポリ
アスパラギン酸(塩)が低濃度の場合、pH3〜7の好
ましいpHでは反応に関与するカルボキシル基の数が少
なく、架橋反応時間も長くなり、加水分解反応も進行す
るので架橋反応に不利である。ポリアスパラギン酸
(塩)が高濃度の場合、pH3〜7の好ましいpHでは
反応に関与するカルボキシル基の数が少なくても、濃度
が高いため、架橋反応時間も短くなり、加水分解反応も
進行しないので架橋反応に有利である。本発明の架橋反
応の水溶液のpHが低いと、ポリアスパラギン酸の主鎖
が切断し、架橋剤量が多く必要になり不経済であった
り、得られる吸水性樹脂の吸水量が低くなる。pHが高
いと、ポリアスパラギン酸のカルボキシル基とジグリシ
ジル化合物の反応性が低くなり、架橋反応が実質的に進
行しなくなる。
【0079】ポリアスパラギン酸のカルボキシル基は、
アルカリ金属塩、アンモニウム塩等として中和されてい
る。本発明で用いられるポリアスパラギン酸のカルボキ
シル基の中和度を変えることにより、反応液のpHを変
えることができる。また、架橋反応後に、酸あるいはア
ルカリを加え、使用目的に適したpHに調整することが
できる。例えば、紙おむつ等の衛生用品では、pHが6
〜8であることが好ましい。
【0080】架橋反応を行なう温度は、10〜100℃
が好ましく、30〜80℃がより好ましく、40〜60
℃が特に好ましい。反応温度が高いと主鎖が切断され、
架橋剤が多量に必要であったり、得られる吸水性樹脂の
性能が低い。温度が低いと、ポリアスパラギン酸と架橋
剤の反応が遅くなり、工業的に不経済である。好ましい
温度範囲内の高い反応温度では、架橋剤量が多い場合、
架橋反応時間が短くなり、ポリマー鎖の切断等の副反応
を抑えることができるので好ましい。一方、好ましい温
度範囲の低い温度では、副反応の進行が遅いので架橋剤
が少なくても架橋反応が進行し、架橋剤量を多くするこ
とで架橋反応時間を短くすることができる。どちらかを
選択するかについては、反応装置等を考慮した架橋反応
時間の設定等によって適宜選択すればよい。
【0081】本発明に用いられる架橋剤は、多価エポキ
シ化合物である。多価エポキシ化合物の具体例として
は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン
ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエー
テル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグ
リセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコ
ールジグリシジルエーテルおよびブタンジオールジグリ
シジルエーテル等の(C2−C6)アルカンポリオール
及びポリ(アルキレングリコール)のポリグリシジルエ
ーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタ
エリスリトールポリグリシジルエーテル、エリスリトー
ルポリグリシジルエーテル、トリメチロールエタンポリ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリ
シジルエーテル、1,2,3,4−ジエポキシブタン、
1,2,4,5−ジエポキシペンタン、1,2,5,6
−ジエポキシヘキサン、1,2,7,8−ジエポキシオ
クタン、1,4−及び1,3−ジビニルベンゼンエポキ
シド等の(C4−C8)ジエポキシアルカン及びジエポ
キシアルアルカン、4,4‘−イソプロピリデンジフェ
ノールジグリシジルエーテル(ビスフェノールAジグリ
シジルエーテル)及びヒドロキノンジグリシジルエーテ
ル等の(C6−C15)ポリフェノールポリグリシジル
エーテル等が挙げられる。
【0082】架橋剤の使用量は、ポリアスパラギン酸に
対し、0.1〜30モル%、好ましくは1〜15モル
%、さらに好ましくは3〜8モル%である。架橋剤の使
用量が多いと経済的でなく、架橋度が高くなりすぎて吸
水量が低くなったり、未反応の架橋剤が残存したりする
ので好ましくない。使用量が少なすぎると、十分に架橋
することができず、架橋反応時間が長くなったり、吸水
量が低くなったり、水可溶成分が多くなったり、収率が
低下する。
【0083】架橋反応時間は、反応温度、反応濃度、架
橋剤の使用量により異なるが、上記の反応条件である反
応温度、pH、架橋剤使用量によって調整可能である
が、1分〜20時間である。反応の装置にもよるが、5
分〜10時間が好ましく、5分〜5時間がより好まし
く、5分〜1時間がより好ましい。
【0084】(4) 架橋ポリアスパラギン酸の後処理 本発明の架橋ポリアスパラギン酸の反応後の後処理につ
いては、特に限定されない。例えば、中和、塩交換、乾
燥、精製、造粒、表面架橋処理等の処理を、必要に応じ
て行えばよい。以下、特に中和、塩交換、乾燥の処理に
ついて説明する。
【0085】架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の中和処理
は、必要に応じて行えばよい。この中和処理により、架
橋ポリアスパラギン酸系樹脂の分子内に存在するカルボ
キシル基を塩又はフリーのカルボン酸にすることができ
る。すなわち、酸を用いることでポリアスパラギン酸
(塩)中のカルボン酸塩をフリーのカルボン酸に変える
ことができ、逆に、アルカリを用いることでポリアスパ
ラギン酸(塩)中のフリーのカルボン酸をカルボン酸塩
に変えることができる。この中和度は特に限定されない
が、一般的には架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の分子内
の全アスパラギン酸残基の総数を基準として、塩を形成
するカルボキシル基の割合は、0〜50%が好ましく、
0〜30%がより好ましい。
【0086】酸の具体例としては、例えば、塩酸、臭化
水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、
炭酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、
安息香酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエン
スルホン酸等のスルホン酸、ベンゼンホスホン酸等のホ
スホン酸等が挙げられる。アルカリの具体例としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等
のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素
塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢
酸塩、シュウ酸ナトリウム等の有機カルボン酸アルカリ
金属塩、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の
3級アミン等が挙げられる。中和処理により、架橋ポリ
アスパラギン酸系樹脂の分子内に存在するカルボキシル
基を塩とした場合、必要に応じて、その塩を他の種類の
塩に交換することもできる。
【0087】この塩交換に使用される試剤の具体例とし
ては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミ
ン塩等を挙げることができる。より具体的には、ナトリ
ウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、テトラ
メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テト
ラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、
テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニ
ウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロ
ピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペ
ンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルア
ンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、
ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピル
アンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエ
チルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモ
ニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベン
ジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキ
シルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノール
アミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミ
ン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペン
チルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミ
ン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプ
ロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルア
ミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミ
ン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、
ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン塩等を
例示することができる。
【0088】これらの中では、その分子量が大きくなる
と相対的に単量体単位あたりの分子量が大きくなり、単
位重量当たりの吸水量が小さくなるので、その分子量が
小さいものの方が好ましい。また、人の肌等に触れる可
能性がある場合は、皮膚刺激性等が低い方が好ましい。
これらの点から、ナトリウム、カリウム、リチウム、ア
ンモニウム、トリエタノールアミンを用いることが好ま
しく、さらに、ナトリウム、カリウムを用いることが、
コストの面で特に好ましい。
【0089】架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の乾燥処理
の方法は特に制限されない。例えば熱風乾燥、特定蒸気
での乾燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、ドラムドライヤ
ー乾燥、疎水性有機溶剤中での共沸脱水による乾燥等の
公知の手法を挙げることができる。乾燥温度は、一般的
には、20〜200℃が好ましく、50〜120℃がよ
り好ましい。
【0090】この乾燥処理を施した架橋ポリアスパラギ
ン酸系樹脂に対して、さらに精製処理、造粒処理、表面
架橋処理等を施してもよい。
【0091】(5) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の吸水
能 本発明の製造方法により得られた架橋ポリアスパラギン
酸の吸水能は特に限定されるものではないが、紙おむつ
等の衛生用品等に使用する場合、高性能であることが要
求される。例えば、ティーバッグ法により測定した1時
間での生理食塩水に対する吸水量がポリマーの28〜2
00倍であるほうが好ましく、30〜150倍である方
がより好ましく、実質的には40〜100倍である方が
さらに好ましい。また、ティーバッグ法により測定した
1時間での蒸留水に対する吸水量がポリマーの200〜
1500倍であるほうが好ましく、300〜1000倍
であるほうがさらに好ましく、400〜1000倍であ
る方がさらに好ましい。さらに、ポリマー中に水可溶分
が含まれると吸水量の低下や、べたつき等を生じるた
め、水可溶分は含まれない方が好ましい。すなわち、水
可溶分はポリマーの重量に対して0〜18重量%が好ま
しく、0〜5重量%がより好ましく、0〜1重量%が特
に好ましい。
【0092】ここで、吸水量の測定として採用したティ
ーバッグ法について説明する。吸水量の測定は、蒸留水
を対象に評価する場合と、生理食塩水を対象として評価
する場合がある。蒸留水の場合には、乾燥吸水性樹脂約
0.05重量部、生理食塩水の場合には、乾燥吸水性樹
脂約0.1重量部を、不織布製のティーバッグ(80mm
×50mm)に入れ、20℃における過剰量の対応する溶
液(すなわち、蒸留水又は生理食塩水)中に浸漬して、
該樹脂を1時間膨潤させた後、ティーバッグを引き上げ
て1分間水切りを行い、膨潤した樹脂を含むティーバッ
グの重量を測定した。同様な操作をティーバッグのみで
行った場合をブランクとして、膨潤した樹脂を含むティ
ーバッグの重量からブランクの重量と吸水性樹脂の重量
を減じた値を、吸水性樹脂の重量で除した値を吸水量
(g/樹脂1g)とした。尚、生理食塩水は、0.9重
量%塩化ナトリウム水溶液である。
【0093】(6) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の形状 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の形状の具体例として
は、不定形破砕状、球状、粒状、顆粒状、造粒状、リン
片状、塊状、パール状、微粉末状、繊維状、棒状、フィ
ルム状、シート状等種々のものを挙げることができ、用
途に応じて好ましい形状を選択できる。また、繊維状基
材、多孔質体、発泡体、造粒物等であってもよい。
【0094】(7) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の粒度 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の粒度(平均粒子直径)
は、特に限定されず、用途に応じて好ましい粒度を選択
できる。例えば、紙オムツに用いる場合は、速い吸収速
度とゲル・ブロッキングが起こらないことが望まれるの
で、その平均粒子径は100〜1000μmが好まし
く、150〜600μmがより好ましい。また例えば、
止水材等の樹脂への練り混みに用いる場合は、その平均
粒子径は1〜10μmが好ましく、農園芸用の保水材に
用いる場合は、土との分散性を考慮して、100μm〜
5mmが好ましい。
【0095】(8) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の使用
の形態 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の使用の形態は、特に限
定されるものではなく、単独でも、他の素材と組み合わ
せて使用してもよい。
【0096】例えば、他の樹脂と組合せて用いる場合、
熱可塑性樹脂に混練りして射出成形等により成形する方
法、構成樹脂のモノマーと酸性ポリアスパラギン酸
(塩)及び必要により開始剤を混合後、光又は熱等で重
合する方法、樹脂と架橋ポリアスパラギン酸(塩)を溶
剤に分散させ、キャストし、溶剤を除去する方法、プレ
ポリマーと架橋ポリアスパラギン酸(塩)を混合後、架
橋する方法、樹脂と架橋ポリアスパラギン酸(塩)を混
合後、架橋する方法等がある。
【0097】架橋ポリアスパラギン酸(塩)の成型品・
成形品としては、特に限定されるものではなく、固形
物、シート、フィルム、繊維、不織布、発泡体、ゴム等
として使用できる。また、その成型方法や成形方法も特
に限定されるものではない。
【0098】一方、架橋ポリアスパラギン酸(塩)は、
単独でも、他の素材との組み合わせによる複合体でも構
わない。複合体の構造は特に限定されないが、例えば、
パルプ層、不織布等にはさみ、サンドイッチ構造にする
方法、樹脂シート、フィルムを支持体として多層構造と
する方法、樹脂シートにキャストし、二層構造とする方
法等がある。例えば、架橋ポリアスパラギン酸(塩)を
シート状に成形加工すれば、吸水性シート(吸水性フィ
ルムも包含する)が得られる。
【0099】また、架橋ポリアスパラギン酸(塩)は、
必要により、1種以上の他の吸水性樹脂と混合して用い
てもよい。また、必要により、食塩、コロイダルシリ
カ、ホワイトカーボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン
粉末等の無機化合物、キレート剤等の有機化合物を添加
しても構わない。さらに酸化剤、酸化防止剤、還元剤、
紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香
料、消臭剤、顔料等を混合しても構わない。
【0100】架橋ポリアスパラギン酸(塩)は、ゲル状
でも固形物としても使用できる。例えば、農園芸用保水
材、切り花延命剤、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤等に使用す
る場合はゲルとして用い、紙おむつ用吸収体等は固形状
として用いる。
【0101】(9)架橋ポリアスパラギン酸(塩)の用途 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の用途は特に限定されな
いが、従来の吸水性樹脂が使用できる用途のいずれにも
使用できる。例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パッ
ト、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシン
グ材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用品、
ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭
剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャン
プー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用
品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラル
フォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽培
植生シート、種子テープ、流体播種用媒体、結露防止用
農業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保
持材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、
生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止
用建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工
法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パ
ッキング等の土木建築資材、電子機器、光ファイバー等
のシール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用
記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリ
ン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用の
り、水膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、
徐放性薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0102】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重
量部」を意味する。「分子量」とは「重量平均分子量」
を意味する。
【0103】 分子量の測定 ポリアスパラギン酸(塩)の重量平均分子量(Mw)
は、ポリエチレンオキサイドを標準とし、GPC(ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー)により測定し
た。 装置 :Shodex GPC SYSTEM−11 検出器:Shodex RI SE−61 カラム:Shodex OHpak SB−804 溶媒 :0.1M−KCl水溶液 濃度 :0.1% 注入量:100μl 流速 :1.0ml/min 吸水量の測定 吸水量の測定は蒸留水、生理食塩水を対象としてティー
バッグ法を用いて行った。すなわち、蒸留水の場合は、
乾燥吸水性樹脂約0.05部、生理食塩水の場合は、乾
燥吸水性樹脂約0.1部を不織布製のティーバッグ(8
0mm×50mm)に入れ、20℃において過剰の対応する
溶液中に浸漬して該樹脂を1時間膨潤させた後、ティー
バッグを引き上げて1分間水切りを行い、膨潤した樹脂
を含むティーバッグの重量を測定した。同様な操作をテ
ィーバッグのみで行った場合をブランクとして、膨潤し
た樹脂を含むティーバッグの重量からブランクの重量と
吸水性樹脂の重量を減じた値を、吸水性樹脂の重量で除
した値を吸水量(g/樹脂1g)とした。尚、生理食塩
水は、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液である。
【0104】 生分解性の測定 生分解性はコンポスト法により測定した。コンポスト法
は、ASTM D−5338.92の応用であるISO
CD 14855に準じて行った。すなわち、まず試
験サンプルに含まれる炭素量を元素分析により測定し
た。次に、15部の試験サンプルを800部のイノキュ
ラムに加え、58℃において、40日間生分解を行い、
生成した二酸化炭素の量を測定して、試験サンプルに含
まれる炭素量を二酸化炭素に換算した量に対する発生二
酸化炭素量を生分解率(%)として表した。ここで、生
分解性しやすいサンプルの中には、イノキュラム中の炭
素分までも、分解促進するものもあり、この場合、10
0%を超える値となるものもある。
【0105】 水可溶分の測定 ポリマー中の水可溶分は、以下の方法により測定した。
すなわち、ポリマー1部に対して200部の蒸留水によ
り膨潤させたゲルを攪拌可能な場合は攪拌し、攪拌不可
の場合は静止したまま20時間おき、20時間後に濾紙
上で濾別し、さらに200部の水で洗浄したときの濾液
を蒸発乾固させたときの重量を測定した。この重量をも
とのポリマーに対する割合(重量%)で示した。
【0106】[製造例1]L−アスパラギン酸150部
と85%リン酸75部を混合し、ロータリーエバポレー
ターを用いて20mmHg、200℃で4時間反応させ
た。反応混合物をDMF1000部に溶解し、水500
0部に排出した。得られた沈殿を濾別し洗液が中性にな
るまで水洗し、60℃で乾燥することにより、重量平均
分子量9.6万のポリコハク酸イミド108部を得た。
得られたポリコハク酸イミド100部を、水230部に
分散させ、20wt%水酸化ナトリウム水溶液206部
をpHを12以下に保ちつつ滴下した。得られたポリア
スパラギン酸水溶液に2N塩酸を用いてpH8.7に調
整し、メタノール4000部に排出後、沈殿物を濾過
し、60℃において乾燥することにより、分子量6.5
万のポリアスパラギン酸ナトリウム152部を得た。
【0107】[製造例2]製造例1においてL−アスパ
ラギン酸を220℃で10時間反応した以外は、製造例
1と同様に反応を行ったところ、重量平均分子量14.
6万のポリコハク酸イミド108部を得た。得られたポ
リコハク酸イミド100部を、水230部に分散させ、
20wt%水酸化ナトリウム水溶液206部をpHを1
2以下に保ちつつ滴下した。得られたポリアスパラギン
酸水溶液に2N塩酸を用いてpH8.7に調整し、メタ
ノール4000部に排出後、沈殿物を濾過し、60℃に
おいて乾燥することにより、分子量10.5万のポリア
スパラギン酸ナトリウム154部を得た。
【0108】[製造例3]製造例1において得られたポ
リコハク酸イミドを20重量%水酸化カリウム水溶液2
88.9部を用いて加水分解した以外は、製造例1と同
様に反応を行ったところ、重量平均分子量7.2万のポ
リアスパラギン酸カリウム170部を得た。
【0109】[製造例4]製造例1において得られたポ
リコハク酸イミドを20重量%水酸化ナトリウム水溶液
を用いて加水分解した後、18%重量%の塩酸水溶液1
7.7部を加えた以外は、製造例1と同様に反応を行っ
たところ、一部がカルボン酸である重量平均分子量6.
2万のポリアスパラギン酸ナトリウム142部を得た。
【0110】[実施例1]製造例1で得られたポリアス
パラギン酸ナトリウム60部を、蒸留水40部に溶解
し、この水溶液に18重量%の塩酸水溶液7.0部を加
えてpHを5に調整した。さらにエチレングリコールジ
グリシジルエーテル2.29部(ポリアスパラギン酸に
対して3モル%)を加えよく混合した。このときのポリ
アスパラギン酸以外の塩の濃度は2.9重量%であり、
ポリアスパラギン酸水溶液のポリマー濃度は54.9重
量%であった。この水溶液を、40℃で9時間反応を行
なったところ、反応液はゲル化した。得られたゲルをミ
キサー中により細断し、60℃において乾燥することに
より架橋ポリアスパラギン酸(ナトリウム)60部が得
られた。得られたポリマーの吸水量を測定したところ、
蒸留水に対して571倍、生理食塩水に対して53倍と
高く、水可溶成分は、0.3重量%と少なかった。また
生分解性は109%であった。
【0111】[実施例2]製造例1で得られたポリアス
パラギン酸ナトリウム50部と蒸留水50部を用い、エ
チレングリコールジグリシジルエーテル3.17部(ポ
リアスパラギン酸に対して5モル%)60℃において1
時間反応した以外は、実施例1と同様に反応を行なった
ところ51.0部のポリマーが得られた。このときのポ
リアスパラギン酸以外の塩の濃度は2.5重量%であ
り、ポリアスパラギン酸水溶液のポリマー濃度は45.
8重量%であった。得られたゲルの吸水量を測定したと
ころ、蒸留水に対して569倍、生理食塩水に対して5
3倍と高く、水可溶成分は、0.2重量%と少なかっ
た。また生分解性は111%であった。
【0112】[実施例3]製造例1で得られたポリアス
パラギン酸ナトリウム60部と蒸留水40部を用い、エ
チレングリコールジグリシジルエーテルをポリアスパラ
ギン酸に対して3.80部(5モル%)使用し、反応時
間を5時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行な
ったところ59部のポリマーが得られた。このときのポ
リアスパラギン酸以外の塩の濃度は2.9重量%であ
り、ポリアスパラギン酸水溶液のポリマー濃度は54.
1重量%であった。得られたゲルの吸水量を測定したと
ころ、蒸留水に対して752倍、生理食塩水に対して5
8倍と高く、水可溶成分は、0.5重量%と少なかっ
た。また生分解性は108%であった。
【0113】[実施例4]製造例2で得られたポリアス
パラギン酸ナトリウム60部を用い、3時間反応した以
外は、実施例1と同様に反応を行ったところ59部のポ
リマーが得られた。このときのポリアスパラギン酸以外
の塩の濃度は2.9重量%であり、ポリアスパラギン酸
水溶液のポリマー濃度は54.9重量%であった。得ら
れたゲルの吸水量を測定したところ、蒸留水に対して1
022倍、生理食塩水に対して71倍と高く、水可溶成
分は、0.2重量%と少なかった。また生分解性は10
8%であった。
【0114】[実施例5]製造例3で得られたポリアス
パラギン酸カリウム60部を用い、10時間反応した以
外は、実施例1と同様に反応を行ったところ57部のポ
リマーが得られた。このときのポリアスパラギン酸以外
の塩の濃度は2.9重量%であり、ポリアスパラギン酸
水溶液のポリマー濃度は55.0重量%であった。得ら
れたポリマーの吸水量を測定したところ、蒸留水に対し
て514倍、生理食塩水に対して51倍と高く、水可溶
成分は、0.3重量%と少なかった。また生分解性は1
08%であった。
【0115】[実施例6]製造例3で得られた一部がカ
ルボン酸であるポリアスパラギン酸ナトリウム60部を
用い、塩化ナトリウム3部を加えた以外は、実施例4と
同様に反応を行ったところ57部のポリマーが得られ
た。このときのポリアスパラギン酸以外の塩の濃度は
2.8重量%であり、ポリアスパラギン酸水溶液のポリ
マー濃度は56.2重量%であった。得られたポリマー
の吸水量を測定したところ、蒸留水に対して508倍、
生理食塩水に対して50倍と高く、水可溶成分は、0.
2重量%と少なかった。また生分解性は110%であっ
た。
【0116】[実施例7]製造例3で得られた一部がカ
ルボン酸であるポリアスパラギン酸ナトリウム60部を
用い、p−トルエンスルホン酸ナトリウム3部を加えた
以外は、実施例4と同様に反応を行ったところ57部の
ポリマーが得られた。このときのポリアスパラギン酸以
外の塩の濃度は2.8重量%であり、ポリアスパラギン
酸水溶液のポリマー濃度は56.2重量%であった。得
られたポリマーの吸水量を測定したところ、蒸留水に対
して508倍、生理食塩水に対して50倍と高く、水可
溶成分は、0.2重量%と少なかった。また生分解性は
110%であった。
【0117】[実施例8]製造例1で得られた重量平均
分子量9.6万のポリコハク酸イミド50部を蒸留水1
00部に分散し、20wt%水酸化ナトリウム水溶液1
03部をpHを12以下に保ちつつ滴下した。得られた
溶液にポリコハク酸イミド30部を分散させ、20wt
%水酸化ナトリウム水溶液62部をpHを12以下に保
ちつつ滴下した。さらにポリコハク酸イミド20部を加
え、20wt%水酸化ナトリウム水溶液41部をpHを
12以下に保ちつつ滴下した。得られたポリアスパラギ
ン酸水溶液に2N塩酸を用いてpH5に調整し、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテルをポリアスパラギン
酸に対して9.0部を加え、40℃において5時間反応
した。このときのポリアスパラギン酸以外の塩の濃度は
2.5重量%であり、ポリアスパラギン酸水溶液のポリ
マー濃度は45.8重量%であった。得られたゲルを実
施例1と同様に処理すると、架橋ポリアスパラギン酸9
7部が得られた。得られたポリマーの吸水量を測定した
ところ、蒸留水に対して489倍、生理食塩水に対して
47倍と高く、水可溶成分は、0.5重量%と少なかっ
た。また生分解性は107%であった。
【0118】[比較例1]製造例1で得られたポリコハ
ク酸イミド30部をDMF120部に溶解し、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド1.5部を加え、0〜5℃にお
いて1時間反応した後、室温(25℃)において24時
間反応した。反応後、500部の水に排出し、200部
の水により3回洗浄し、60℃において乾燥した。得ら
れた重量平均分子量20.4万のポリコハク酸イミドを
製造例1と同様にして加水分解すると、重量平均分子量
18.0万のポリアスパラギン酸ナトリウム40部が得
られた。このポリアスパラギン酸ナトリウム30部を蒸
留水150部に溶解し、イオン交換樹脂を通すことで酸
型に変換した。得られたポリアスパラギン酸30部を蒸
留水80部に溶解し、炭酸ナトリウム10.4部を用い
て中和した。この水溶液にエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル1.72部を加え、40℃において8時間
反応した。このときのポリマー濃度は29.5重量%で
あった。得られたゲルを実施例1と同様に処理すると3
2部のポリマーが得られた。得られたポリマーの吸水量
を測定したところ、蒸留水に対して125倍、生理食塩
水に対して27倍と非常に低かった。また水可溶成分
は、20重量%と非常に多かった。
【0119】[比較例2]製造例2で得られたポリアス
パラギン酸85部を、蒸留水15部に溶解しようとした
が溶解しなかった。懸濁状態のままでエチレングリコー
ル・ジグリシジル・エーテルを加え、実施例1と同様に
処理したが、得られたポリマーは25部と少なく、吸水
量も蒸留水に対して70倍、生理食塩水に対して20倍
と低かった。また水可溶成分は、25重量%と非常に多
かった。
【0120】
【発明の効果】本発明により、高い吸水量を有する生分
解性吸水性樹脂を高い生産性で、安価に製造することが
できる。本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸の製造方
法の効果としては、例えば、少なくとも、以下の〜
に示す事項を挙げることができる。
【0121】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、無機塩、及び/又は、ポリアス
パラギン酸(塩)以外の有機塩が存在する水溶液中にお
いて架橋することにより、ポリマー分子同士の絡まりが
なく、分子が広がったまま架橋できるので効率的に架橋
反応を進行することが可能となる。
【0122】 本発明により、高濃度での架橋反応が
可能となり、架橋反応が速く進行することが可能とな
り、そのため、ポリアスパラギン酸の主鎖が切断しにく
く、高い吸水量を有する吸水性樹脂を高収率で得ること
が可能となる。
【0123】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、非プロトン性極性溶媒を用いる
ことなく架橋ポリアスパラギン酸を製造することができ
るため、非プロトン性極性溶媒の回収等が不要であり、
設備、運転コストを安くすることが可能となる。
【0124】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、非プロトン性極性溶媒の取り扱
いを必要としないため、生産設備を簡素にすることが可
能となる。
【0125】 本発明により、架橋ポリアスパラギン
酸の製造方法において、ポリアスパラギン酸(塩)の水
溶液を得るまでに加水分解がほとんどなく、効率よく架
橋反応を進行することができるため、高い吸水能を有す
る吸水性樹脂を収率よく製造することが可能となる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 DB09 EA36 EE38B FA03 FB01 FC01 GE11 4J036 AB01 AB02 AB03 AB07 AB08 AB09 AB10 AJ01 AJ05 AJ14 AJ15 DC05 DC15 FA02 FA03 FA04 FA06 FA12 GA02 GA21 JA15 4J043 QB06 YA30 ZA04 ZA60

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアスパラギン酸(塩)と多価エポキ
    シ化合物を反応させる架橋ポリアスパラギン酸(塩)の
    製造方法において、ポリアスパラギン酸(塩)水溶液中
    において、無機塩、及び/又は、ポリアスパラギン酸
    (塩)以外の有機塩の存在下で、架橋反応させることを
    特徴とする、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ポリアスパラギン酸(塩)が、一部にカ
    ルボン酸基を有する、ポリアスパラギン酸アルカリ金属
    塩、及び/又は、ポリアスパラギン酸アンモニウム塩で
    ある、請求項1に記載した、架橋ポリアスパラギン酸
    (塩)の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機塩が、アルカリ金属ハロゲン化物で
    あることを特徴とする、請求項1に記載した、架橋ポリ
    アスパラギン酸(塩)の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリアスパラギン酸(塩)水溶液中のポ
    リアスパラギン酸(塩)の濃度が、41〜70重量%で
    ある、請求項1乃至3の何れかに記載した、架橋ポリア
    スパラギン酸(塩)の製造方法。
  5. 【請求項5】 無機塩、及び/又は、ポリアスパラギン
    酸(塩)以外の有機塩の濃度が、0.01〜20重量%
    である、請求項1乃至4の何れかに記載した、架橋ポリ
    アスパラギン酸(塩)の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリアスパラギン酸(塩)水溶液のpH
    が、3〜7である、請求項1乃至5の何れかに記載し
    た、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリアスパラギン酸(塩)水溶液の温度
    が、10〜100℃である、請求項1乃至6の何れかに
    記載した、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
  8. 【請求項8】 無機塩、及び/又は、ポリアスパラギン
    酸(塩)以外の有機塩が、ポリアスパラギン酸(塩)水
    溶液中に、ポリアスパラギン酸(塩)の5〜50モル%
    に相当する酸を添加した結果生成したものであることを
    特徴とする、請求項1乃至7の何れかに記載した、架橋
    ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリアスパラギン酸(塩)水溶液が、ポ
    リコハク酸イミドを加水分解して得られた水溶液である
    ことを特徴とする、請求項1乃至8の何れかに記載し
    た、架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法。
  10. 【請求項10】 製造された架橋ポリアスパラギン酸
    (塩)中の水可溶成分が、ポリアスパラギン酸(塩)に
    対して0〜18重量%であることを特徴とする、請求項
    1乃至9の何れかに記載した、架橋ポリアスパラギン酸
    (塩)の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10の何れかに記載した
    製造方法により得られた架橋ポリアスパラギン酸
    (塩)。
  12. 【請求項12】 ティーバッグ法により測定した生理食
    塩水に対する1時間後の吸水量が、乾燥架橋ポリアスパ
    ラギン酸(塩)重量の30〜100倍である、請求項1
    1に記載した架橋ポリアスパラギン酸(塩)。
  13. 【請求項13】 ティーバッグ法により測定した蒸留水
    に対する1時間後の吸水量が、乾燥架橋ポリアスパラギ
    ン酸(塩)重量の200〜1500倍である、請求項1
    1又は12に記載した架橋ポリアスパラギン酸(塩)。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002179770A (ja) * 2000-12-07 2002-06-26 Mitsui Chemicals Inc 架橋ポリアスパラギン酸(塩)及びその製造方法
JP2006077037A (ja) * 2004-09-03 2006-03-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology pH応答性両性イオン微粒子状ポリマー及びその用途

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