JP3437072B2 - 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法 - Google Patents

架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法

Info

Publication number
JP3437072B2
JP3437072B2 JP34685597A JP34685597A JP3437072B2 JP 3437072 B2 JP3437072 B2 JP 3437072B2 JP 34685597 A JP34685597 A JP 34685597A JP 34685597 A JP34685597 A JP 34685597A JP 3437072 B2 JP3437072 B2 JP 3437072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polysuccinimide
water
cross
acid
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP34685597A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11171991A (ja
Inventor
昭憲 長友
勝 和田
誠 助川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP34685597A priority Critical patent/JP3437072B2/ja
Publication of JPH11171991A publication Critical patent/JPH11171991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3437072B2 publication Critical patent/JP3437072B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyamides (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋ポリアスパラ
ギン酸系樹脂の製造方法に関する。より詳細には、分解
性及び/又は生分解性に優れ、且つ、高吸水性を有する
架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を優れた生産性で提供す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂
は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であ
り、生理用品、紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等
の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダ
ーパット、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携
帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使
い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェ
ル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水
材、切り花の延命材、フローラルフォーム(切り花の固
定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テ
ープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸
用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シー
ト等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シー
ト等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用
のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリ
ート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資
材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブ
ル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連
資材、汚泥凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤
等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等の
幅広い分野に使用されている。また、その薬品徐放性を
利用して、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の用
途にも期待されている。さらに、その親水性を利用して
湿度調整材、電荷保持性を利用して帯電防止剤等への利
用も期待される
【0003】この様な用途に使用されている吸水性樹脂
の具体例としては、例えば、架橋ポリアクリル酸部分中
和物(特開昭55−84304号、米国特許4,62
5,001号)、澱粉−アクリロニトリル共重合体の部
分加水分解物(特開昭46−43995号)、澱粉−ア
クリル酸グラフト共重合体(特開昭51−125468
号)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の加水
分解物(特開昭52−14689号)、2ーアクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の共
重合架橋物(欧州特許0068189号)、カチオン性
モノマーの架橋体(米国特許4,906,717号)、
架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(米国特許
4,389,513号)等を挙げることが出来る。しか
しながら、これらの先行技術により製造された吸水性樹
脂組成物は分解性を有しないため、使用後の廃棄物処理
が重大な問題となる。
【0004】我が国では現在、吸水性樹脂の廃棄は、主
に焼却処理と埋立処理により行われている。例えば使用
後の使い捨て衛生材料(紙おむつ、生理用品等)や、開
梱後に不要になった包装材等の廃棄が挙げられる。焼却
処理の問題点として、吸水性樹脂廃棄物を焼却する際に
発生する熱による焼却炉の炉材の損傷のみならず、発生
する炭酸ガスや含硫化合物、含窒素化合物が、地球温暖
化や酸性雨の原因となったり、炉内の焼却温度の上昇を
阻害することによりダイオキシンの生成を惹起する事な
どが指摘されており、地球環境に及ぼす負荷が大きい。
また、埋立処理の問題点としては、これら吸水性樹脂廃
棄物は嵩高く、腐りにくい埋設物のため、埋立地の地盤
が安定しないのみならず、埋立に適した用地の確保が困
難となってきた事、更にはバイオハザード(例えば、一
旦感染してしまうと治療に困難を極める疾病の病原体
(HIV、MRSA、O−157、B型/C型肝炎ウィ
ルス、エボラ出血熱、クロイツフェルト−ヤコブ病や狂
牛病を発病させるプリオン等))が混入し得る糞便、体
液、血液等を吸収させた使い捨て衛生材料(紙おむつ、
生理用品等)を滅菌処理することなくそのまま埋立るこ
との危険性が指摘されている。また、使用済みの使い捨
て衛生材料(紙おむつ、生理用品等)から樹脂を回収し
て再生、リサイクルしようとすれば膨大な費用を要す
る。この様に、上記先行技術により製造された吸水性樹
脂組成物は、分解性又は生分解性を有さず、水中や土壌
中では半永久的に存在するので、廃棄物処理や環境保全
を考慮すると重大な問題を内在している。
【0005】農・園芸用保水材として架橋ポリアクリル
酸系樹脂を使用した場合、土壌中でCaイオン等の多価
イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層を形成す
るとの報告がある(松本ら、高分子、42巻、8月号、
1993年)。しかしながらこの様な層は、それ自体の
毒性は低いと言われてはいるが、自然界には本来存在し
ないものであり、この様な樹脂が土壌中に蓄積する事に
よる、生態系への影響は不明であり、十分に精査する必
要があると考えられる。同様に非イオン生の樹脂の場合
にはコンプレックスは形成しないが、分解性がないため
土壌に蓄積する可能性があり、やはり生態系への影響が
不明であり、十分に精査する必要がある。また、これら
の樹脂は、原料として生物に対して毒性のある単量体を
使用しているので、重合生成物中には未反応の単量体や
オリゴマーが残存している。従って、樹脂製品の用途に
よっては、樹脂製品から未反応の単量体やオリゴマーを
除去する必要があるが、この精製操作は、高いコストを
要し、場合によっては困難を極める。
【0006】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]近年、「地球にやさしい素材」として生分解性ポリ
マーが注目を集めてきた。特に、生分解性と吸水性を併
せ持つポリマーは、上記した吸水性樹脂の廃棄物に関す
る問題を解決する切り札として注目されたが、以下に述
べるように、必ずしも期待に応えるものではなかった。
具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド架橋体
(特開平6−157795号)、ポリビニルアルコール
架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体(米国特許
4,650,716号)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋
体、ポリアミノ酸架橋体等を挙げることができる。しか
しながら、ポリエチレンオキシド架橋体やポリビニルア
ルコール架橋体は吸水能が低い。また、カルボキシメチ
ルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体等
の糖類架橋体は、その分子内に強固な水素結合を多く含
むため、分子間、ポリマー間の相互作用が強く、そのた
め分子鎖が広く開くことができず、吸水能が低い。これ
らのポリマーは吸水能が低いので、特に、高吸水能が要
求される製品(例えば生鮮食品の鮮度保持材、紙おむ
つ、生理用品、使い捨て雑巾、ペーパータオル等)の素
材としては適当ではないという問題がある。また、これ
らのポリマーの多くは、ポリマーを生分解する微生物
が、特殊な菌株に限定されているので、埋立地等の一般
的な条件の生育環境(温度、pH、嫌気性/好気性、光
の強度、光の波長等)においては生分解の速度が非常に
遅く、また、ポリマーの分子量が大きいと生分解の速度
がさらに遅くなるという問題がある。
【0007】ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生
分解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内
に吸収されても酵素により消化吸収され、しかも生体内
で抗原性を示さず、分解生成物も毒性が低いか又は無い
事が明らかにされており、人に対してもやさしい素材で
ある。具体的な例としては、例えば、ポリ−γ−グルタ
ミン酸にγ線を照射して高吸水能を有する樹脂を製造す
る方法(国岡ら;高分子論文集・50巻・10号・75
5頁〜(1993年))が挙げられる。しかしながら、
工業的観点からは、この技術に用いる60Coの照射設備
は、放射線の遮蔽を行うには大がかりな設備が必要であ
り、その管理にも充分な配慮が必要であるため現実的で
はない。また、出発物質であるポリグルタミン酸が高価
である事も問題である。ポリアミノ酸を架橋して得られ
る吸水性樹脂のその他の例としては、酸性アミノ酸を架
橋させてハイドロゲルを得る方法(Akamatsu
ら;米国特許第3,948,863号・特公昭52−4
1309号、岩月ら;特開平5−279416号)、架
橋アミノ酸樹脂を吸水性樹脂とする方法(Sikes
ら;特表平6−506244号・米国特許第5,24
7,068号・同第5,284,936号、鈴木ら;特
開平7−309943号等)が挙げられる。しかしなが
ら、これらの吸水性樹脂は吸水能が必ずしも十分なもの
ではなく、実用的ではなかった。
【0008】本発明者らは、既に、特開平7−2241
63号において、ポリコハク酸イミドを架橋剤と反応さ
せ、その反応液がゲル化する前に反応を終了する事によ
り、塩水吸水能の高い架橋ポリアスパラギン酸系吸水性
樹脂を製造する技術について開示した。また、本発明者
らは、特開平9−169840号において、ポリコハク
酸イミドを部分的に架橋した後、架橋ポリマーを単離す
ることなく、該反応液にアルカリ水溶液を添加して残り
のイミド環を加水分解することにより、塩水吸水能の高
い架橋ポリアスパラギン酸系吸水性樹脂を製造する技術
について開示した。本発明者らが開示したこれらの発明
は、新規性、進歩性、及び産業上利用可能性の観点から
極めて有意義なものである。
【0009】しかしながら、特願平7−224163
号、特開平9−169840号に開示した方法において
は、工程を充分に管理しないと架橋が充分に進行せず、
高い吸水能を有する吸水性樹脂が得られないことがあっ
た。また、工程を充分に管理しないと架橋反応時に反応
液全体が固化し攪拌が困難となることがあった。この様
に架橋ポリアスパラギン酸系吸水性樹脂は非常に有用で
はあるが、その中間体である架橋ポリコハク酸イミドの
製造工程管理上、改善の余地があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明におい
ては、上記のような従来技術の問題点に鑑み、本発明者
らが既に開示している発明の技術的な思想を発展させる
ことにより、優れた吸水能および吸水速度を有する架橋
ポリアスパラギン酸系吸水性樹脂を、簡便な操作により
高い生産性で製造する方法を提供することを課題とし
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリコハク酸イミドを
良溶媒に溶解した溶液に、内部架橋剤を添加して架橋さ
せた後、分散剤を装入して反応系を分散状態にした後ま
たは分散剤装入と同時に、さらに表面架橋剤を添加して
架橋を行い、その後、残りのイミド環を加水分解する事
により、優れた吸水速度と高吸水能を有する架橋ポリア
スパラギン酸系吸水性樹脂を高い生産性で製造できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は、ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶液に
内部架橋剤を添加して架橋を行った後、分散剤を装入し
て反応系を分散状態にした後または分散剤装入と同時
に、さらに表面架橋剤を添加して架橋反応を行い、その
後、残りのイミド環を加水分解する事を特徴とする、優
れた吸水速度と高吸水能を有する架橋ポリアスパラギン
酸系吸水性樹脂の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるポリコハク酸イミドの製造方
法は、特に限定されない。ポリコハク酸イミドの製造方
法の具体例としては、例えば、ジャーナル・オブ・アメ
リカン・ケミカル・ソサエティー(J.Amer.Ch
em.Soc.)80巻、3361頁〜(1958年)
に記載されている製造方法を挙げることが出来る。即
ち、アスパラギン酸をリン酸の存在下で150℃〜20
0℃に加熱し、脱水縮合する事により製造できる。
【0013】本発明において用いられるポリコハク酸イ
ミドの分子量(重量平均分子量)は特に限定されない
が、一般的には高い方が好ましい。選択する架橋剤にも
よるが、高い重量平均分子量のポリコハク酸イミドを使
用した方が、高い吸水能を有した架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂が得られ、通常、重量平均分子量1万以上のも
のが用いられる。
【0014】本発明において用いられるポリコハク酸イ
ミドは、線状構造を有するものであっても、分岐状構造
を有するものであっても構わない。また、部分的にアミ
ド結合を含んでいてもよい。更に、基本骨格に、アスパ
ラギン酸以外のアミノ酸誘導体との結合を含んでいても
よい(即ち、コポリマーであってもよい)。アスパラギ
ン酸以外のアミノ酸誘導体としては、グリシン、アラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオ
ニン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、リジ
ン、オルニチン、システイン、シスチン、メチオニン、
プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン等の脂肪族
α−アミノ酸、チロシン、フェニルアラニン、トリプト
ファン、ヒスチジン等の芳香族α−アミノ酸、これらα
−アミノ酸の側鎖官能基が置換されたもの、β−アラニ
ン、γ−アミノ酪酸等のアミノカルボン酸、グリシル−
グリシン、アスパルチル−フェニルアラニン等のジペプ
チド(二量体)、グルタチオン等のトリペプチド(三量
体)が挙げられる。これらのアミノ酸誘導体は光学活性
体(L体、D体)でも、ラセミ体でもよい。また、これ
らの結合は、ランダムに存在して(ランダムコポリマ
ー)も、ブロック的に存在して(ブロックコポリマー)
もよい。
【0015】本発明において用いられる良溶媒は、ポリ
コハク酸イミドを実質的に完全に溶解できる有機溶媒を
意味する。具体例としては、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン等のアミ
ド系有機溶媒、ジメチルスルホキサイド、スルホラン等
の含硫有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で用
いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。良溶
媒の使用量は特に限定されず、溶媒の種類によって異な
るが、通常ポリコハク酸イミドに対して2重量倍〜10
0重量倍が使用される。
【0016】本発明において用いられる分散剤は特に限
定されないが、ポリコハク酸イミドの貧溶媒を用いるこ
とが好ましい。本発明において用いられる貧溶媒とは、
ポリコハク酸イミドを実質的に完全には溶解できない有
機溶媒および水を包含する。具体例としては、水、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタ
ノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノ
ール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレング
リコール等のグリコール類およびそのエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブ
チルエーテル、 ジフェニルエーテル等のエーテル類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、
石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベン
ゼン、キシレン、メシチレン、クメン、シメン、デカリ
ン等の炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエ
タン、ジブロモエタン、クロロホルム、モノクロロベン
ゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジ
クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、その他アニソ
ール、クレゾール等が挙げられる。これらは単独で用い
ても2種以上を混合して用いても良い。これらの貧溶媒
の使用量は特に限定されないが、通常、ポリコハク酸イ
ミドを溶解するのに用いた良溶媒に対して0.5重量倍
〜10重量倍が使用される。貧溶媒が少なすぎた場合に
は、ポリコハク酸イミドが分散状態とならず、架橋反応
中にゲル化する可能性がある。
【0017】本発明において使用される内部架橋剤およ
び/または表面架橋剤は、イミド環と反応し得る多官能
化合物であれば、特に限定されない。具体例としては、
例えばポリアミン、ポリチオールを挙げることができ
る。より詳細なポリアミンの具体例としては、ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−
ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレ
ンジアミン、ノナメチレンジアアミン、デカメチレンジ
アミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジ
アミン、テトラデカメチレンジアミン、テトラアミノメ
タン、1−アミノ−2,2−ビス(アミノメチル)ブタ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン等
の脂肪族ポリアミン、ノルボルネンジアミン、1,4−
ジアミノシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノシク
ロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミ
ン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレ
ンジアミン等の芳香族ポリアミン、リジン、シスチン、
オルニチン等のタンパク質構成アミノ酸、Nδ−(2−
アミノ−2−カルボキシエチル)オルニチン、Nδ−
(2−アミノ−2−カルボキシエチル)リジン、o−
(2−アミノ−3−ヒドロキシプロピル)ホモセリン、
キヌレニン、α,β−ジアミノコハク酸、α,ε−ジア
ミノピメリン酸、2,6−ジアミノ−7−ヒドロキシア
ゼライン酸、イソリジン、3,5−ジアミノヘキサン
酸、α,γ−ジアミノ酪酸、ジェンコール酸、シスタチ
オニン、シスチンジスルホキシド、α,ε−ジアミノ−
β−ヒドロキシピメリン酸、ハイプシン、γ−ヒドロキ
シオルニチン、α−ヒドロキシリジン、ランチオニン、
リジノノルロイシン、リゾビトキシン、ロゼアニン等の
タンパク質構成アミノ酸以外のアミノ酸、リジントリア
ミン等のアミノ酸誘導体、シスタミン等のアミノ基含有
化合物がジスルフィド結合により結合して生成するポリ
アミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。これらのポ
リアミンは塩酸塩、硫酸塩、臭化水素塩等の鉱酸塩、p
−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩
等の有機酸の塩でもよい。また、アミノ酸類については
メチルエステル、エチルエステル等のアルキルエステ
ル、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエチルアミン塩、
トリエタノールアミン塩等のカルボン酸塩でもよい。
【0018】一方、ポリチオールの具体例としては、
1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオー
ル、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチ
オール、ペンタエリスリチオール等の脂肪族ポリチオー
ル、シクロヘキサンジチオール等の脂環式ポリチオー
ル、キシリレンジチオール、ベンゼンジチオール、トル
エンジチオール等の芳香族ポリチオール、トリメチロー
ルプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロー
ルプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)ペ
ンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等
が挙げられる。これらの中では、臭気が少なく、ポリコ
ハク酸イミドのイミド環との反応性が高いポリアミンが
好ましい。更に、リジン、オルニチン、シスチン等のア
ミノ酸またはそのエステル、塩等の誘導体を用いた場合
には、得られる架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の分解お
よび/または生分解性が良好であり、特に好ましい。こ
れらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用い
てもよい。
【0019】本発明に用いられる架橋剤の内、その分子
内に1個以上のカルボキシル基を有するポリアミン、例
えば(ポリアミノ)カルボン酸類、具体例として例えば
リジン、オルニチン等のアミノ酸の場合、二つのアミノ
基の内の一方はカルボキシル基と水素結合しており、形
式上は一官能のアミンであり架橋剤としては機能しない
が、ポリコハク酸イミドと反応させることで、ペンダン
ト基としてポリマーに導入することができる。ペンダン
ト基が導入されたポリコハク酸イミドに対して塩基を添
加すると、もう一つのアミノ基と水素結合を形成してい
たカルボン酸が中和されてアミノ基がフリーとなり、イ
ミド環と反応する事で架橋反応が進行する。一方、これ
らの(ポリアミノ)カルボン酸類を予め塩基で中和した
後にポリコハク酸イミドと反応させれば、通常のポリア
ミンとして作用する。そこで、[1]予め塩基で中和さ
れ、少なくとも2個以上のアミノ基がフリーである(ポ
リアミノ)ポリカルボン酸類および/または通常のポリ
アミン、ポリチオールを内部架橋剤とする場合、[2]
1個のアミノ基のみがフリーである(ポリアミノ)ポリ
カルボン酸を、内部架橋剤とする場合に分けて本発明の
架橋反応に係る部分を説明する。
【0020】本発明において内部架橋剤とは、分散剤装
入前の均一系でポリコハク酸イミドに対して反応させる
架橋剤を意味する。また、表面架橋剤とは、分散剤装入
後の分散状態でポリコハク酸イミドと反応させる架橋剤
を意味する。
【0021】[1]予め塩基で中和され、少なくとも2
個以上のアミノ基がフリーである(ポリアミノ)ポリカ
ルボン酸類(分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ
ル基を有するポリアミン)および/または、通常のポリ
アミン、ポリチオールを内部架橋剤とする場合、 反応マスのゲル化が生じない程度の内部架橋剤をポリ
コハク酸イミドと反応させる。 分散剤を装入して、反応系を分散状態にする。 さらに表面架橋剤を添加して架橋反応を行う。 の3段階で架橋を行う。また、とは同時でも構わな
い。即ち、表面架橋剤を分散剤と同時に反応系内に装入
するか、または、表面架橋剤を分散剤に溶解して装入す
るという操作を行っても構わない。この場合の表面架橋
剤としては、前述した、ポリアミン、ポリチオール等の
イミド環と反応しうる多官能化合物が用いられる。
【0022】この場合、使用される架橋剤の量(内部架
橋剤および/または表面架橋剤の合計使用量)は特に限
定されず、目的とする架橋度により適宜選択することが
できる。ここで、架橋度とは、ポリマー主鎖に対する架
橋部分の割合を意味する。また、架橋剤の種類(官能基
の数、官能基間の長さ)、ポリコハク酸イミドの分子
量、目的とする用途によって異なるが、一般的には架橋
剤の使用量が多すぎると架橋度が高くなり、例えば吸水
性樹脂とした場合の吸水能が低下する。一方、架橋剤の
使用量が少なすぎると架橋度が低くなり、吸水性樹脂と
した場合、水溶性となり吸水性を示さなくなる。そこで
本発明においては、架橋剤の使用量(内部架橋剤および
/または表面架橋剤の合計使用量)は、通常、ポリコハ
ク酸イミド主鎖の単量体単位に対して0.1〜30モル
%程度になるように調整される。ここで、上述のにお
ける、反応マスのゲル化が生じない程度の内部架橋剤の
量とは、架橋剤の種類、反応の濃度、ポリコハク酸イミ
ドの分子量によっても異なるが、通常、ポリコハク酸イ
ミド主鎖の単量体単位に対して0.01〜3モル%が用
いられる。即ち、均一系で0.01〜3モル%程度の架
橋反応を行い、分散剤により反応系を分散状態にした
後、または、分散させると同時に、内部架橋剤との合計
で0.1〜30モル%になるように表面架橋剤を添加し
て、更に架橋反応を行う。
【0023】[1]の場合おいて、架橋反応時の反応温
度は特に限定されず、通常、−10℃〜200℃、好ま
しくは10〜80℃で行われる。
【0024】[2]1個のアミノ基のみがフリーである
(ポリアミノ)ポリカルボン酸を、内部架橋剤とする場
合、 内部架橋剤をペンダント基として導入する。 架橋反応が進行しても反応系がゲル化する恐れのない
よう反応系を分散状態にする。 塩基を添加してペンダント基として導入された内部架
橋剤を活性化して架橋反応を行う。 さらに表面架橋剤を添加して表面的な架橋を行う。 の4段階で架橋を行う。表面架橋剤は、上述した、ポリ
アミン、ポリチオール等のイミド環と反応し得る多官能
化合物が用いられる。
【0025】ここで、本発明における「ペンダント基」
とは、ポリコハク酸イミドのイミド環と反応し得る官能
基を有した化合物がイミド環を開環し、ポリコハク酸イ
ミド主鎖に対して「ぶら下がった」状態にあるものを意
味する。
【0026】この場合も使用される架橋剤の量は特に限
定されないが、[1]と同様の理由により、通常、ペン
ダント基として導入する内部架橋剤および分散後に添加
する表面架橋剤の合計がポリコハク酸イミド主鎖の単量
体単位に対して0.1〜30モル%程度になるように調
整される。ペンダント基として導入する内部架橋剤と分
散後に添加する表面架橋剤のモル比は特に限定されない
が、分散後に添加する表面架橋剤の量が多いほど、換言
すれば、表面架橋の割合が大きいほど、最終的に得られ
る吸水性樹脂の吸水速度が向上し、逆に吸水量は低下す
る傾向にあるため、用途に応じて適宜選択すればよい。
【0027】[2]の場合において、ペンダント基とし
て導入された内部架橋剤を活性化するのに用いられる塩
基は、アミノ基とカルボキシル基の水素結合を解離させ
る事ができれば特に限定されず、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金
属水酸化物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカ
リ金属酢酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、
トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチル
アミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、
トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリ
ペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、N−メ
チルモルホリン、ピリジン、キノリン、ピコリン等の3
級アミンを挙げることができる。
【0028】また、ペンダント基として導入された内部
架橋剤を活性化するのに用いられる塩基の使用量は、実
質的にはペンダント基として導入された内部架橋剤中の
カルボキシル基と等モル必要であるが、その使用量を調
整する事で架橋度の調整が可能である。即ち、ペンダン
ト基として導入された内部架橋剤のカルボキシル基より
少ない量の塩基を作用させた場合、用いた内部架橋剤の
量から算出される架橋度よりも低い架橋度となり、内部
架橋剤の一部はそのままペンダント基として作用するこ
とになる。
【0029】[2]の場合において、内部架橋剤をペン
ダント基として導入する反応、塩基を添加して架橋する
反応、および表面架橋剤を添加して表面架橋する反応時
の反応温度は特に限定されない。架橋剤の反応性、触媒
の有無、ポリコハク酸イミドの分子量等によっても異な
るが、通常、−10℃〜200℃で行われ、10〜80
℃が好ましい。
【0030】本発明の架橋反応においては、架橋剤その
もの、あるいは適当な有機溶媒または水に溶解した溶液
を、ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶液に対し
て添加する。ここで適当な有機溶媒とは、実質的に架橋
剤を完全に溶解できるものであれば特に限定されない
【0031】架橋反応後は、得られた反応液のまま次の
加水分解行程に進んでもよいし、固液分離操作により溶
媒を分離して、架橋ポリコハク酸イミドとして取り出し
た後、次の加水分解行程へ進んでもよい。架橋ポリコハ
ク酸イミドと溶媒の固液分離操作としては、化学一般に
用いられる方法を用いることができる。例えば、濾過、
デカンテーション、遠心分離等が挙げられる。得られる
架橋ポリコハク酸イミドは溶媒が付着したウェット・ケ
ーキのまま加水分解に用いてもよいし、乾燥して溶媒を
除いた状態で次の加水分解に用いてもよい。
【0032】本発明において架橋ポリコハク酸イミドの
残りのイミド環を加水分解して架橋ポリアスパラギン酸
系樹脂を得る方法は、実質的に生産性の高いものであれ
ば特に限定されない。架橋ポリコハク酸イミドの残りの
イミド環を加水分解する方法の好ましい具体例として
は、例えば、水と水混和性有機溶媒との混合溶媒中、無
機または有機塩の水溶液中、または、40〜100℃の
温水中にて加水分解を行う方法が挙げられ、これらの複
数を組み合わせて使用しても構わない。これらの方法
は、 .水と水混和性有機溶媒との混合溶媒中で処理を行う
ことにより、また、40℃〜100℃の温水中で処理す
ることにより、吸水ゲル膨潤の程度を制御できること、 .塩水溶液中で処理を行うことにより、浸透圧を調整
し、吸水ゲルの膨潤の程度を制御できること、等の特徴
があるので、架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
の加水分解において、例えば .水中でのゲル化が著しくなるため水を追加すること
による容積効率の低下を招いたり、 .水中でのゲル化で攪拌が困難となったり、 .有機溶媒中での沈殿物凝集により攪拌困難となった
り、 .加水分解の反応速度が著しく遅く、不十分となり、
その結果、生成樹脂の吸水量が低下する、 等の問題点を回避する事ができる。
【0033】本発明において、架橋ポリコハク酸イミド
の残りのイミド環の加水分解の際、使用する水の量は、
特に限定されない。原料ポリコハク酸イミドの分子量、
架橋剤の種類、架橋度の違いによる生成架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂の吸水能によっても異なるが、通常、生
成する架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の乾燥重量に対し
て1〜10重量倍が用いられる。
【0034】本発明において、架橋ポリコハク酸イミド
の残りのイミド環の加水分解の際に水と有機溶媒との混
合溶媒を用いる場合、水の使用量は、通常、混合溶媒重
量の5〜100重量%が用いられ、20〜80重量%が
好ましい。ここで、用いる有機溶媒は特に限定されな
い。具体例としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシ
エタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール
類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、
スルホラン等を挙げることができる。これらの中では、
加水分解反応後の生成物である架橋ポリアスパラギン酸
系樹脂を乾燥する操作において、乾燥しやすく、生成物
中へ残存しにくい、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケト
ン等の比較的低沸点の溶媒が好ましい。
【0035】本発明において、架橋ポリコハク酸イミド
の残りのイミド環を加水分解する際に、塩水溶液を用い
る場合の塩の種類は、無機塩であっても有機塩であって
も、また、それらの混合物でもよく、特に限定されな
い。無機塩の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化リ
チウム等の塩酸の金属塩、臭化ナトリウム、臭化リチウ
ム等の臭化水素酸の金属塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化
カリウム等のヨウ化水素酸の金属塩、硫酸ナトリウム、
硫酸カリウム等の硫酸金属塩、硝酸ナトリウム、硝酸カ
リウム等の硝酸金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸と金
属の塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸
金属塩が挙げられる。また、有機塩の具体例としては、
酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、ト
リエチルアミン・酢酸塩、トリエタノールアミン・酢酸
塩、テトラエチルアンモニウム・酢酸塩等の酢酸塩、塩
化アンモニウム、トリエチルアミン・塩酸塩、トリエタ
ノールアミン・塩酸塩、テトラエチルアンモニウム・ク
ロライド等の塩酸と有機塩基の塩、臭化アンモニウム、
トリエチルアミン・臭化水素酸塩、トリエタノールアミ
ン・臭化水素酸塩、テトラエチルアンモニウム・ブロミ
ド等の臭化水素酸と有機塩基の塩、硫酸アンモニウム、
トリエチルアミン・硫酸塩、トリエタノールアミン・硫
酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸塩等の硫酸と有
機塩基の塩、硝酸アンモニウム、トリエチルアミン・硝
酸塩、トリエタノールアミン塩・硝酸塩、テトラエチル
アンモニウム・硝酸塩等の硝酸と有機塩基の塩、炭酸ア
ンモニウム、トリエチルアミン・炭酸塩、トリエタノー
ルアミン・炭酸塩、テトラエチルアンモニウム・炭酸塩
等の炭酸と有機塩基の塩、リン酸アンモニウム、トリエ
チルアミン・リン酸塩、トリエタノールアミン・リン酸
塩、テトラエチルアンモニウム・リン酸塩等のリン酸と
有機塩基の塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p
−トルエンスルホン酸カリウム等のp−トルエンスルホ
ン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、ト
リエチルアミン・p−トルエンスルホン酸塩、トリエタ
ノールアミン・p−トルエンスルホン酸塩、テトラエチ
ルアンモニウム・硫酸塩等のp−トルエンスルホン酸と
有機塩基の塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼ
ンスルホン酸カリウム等のベンゼンスルホン酸金属塩、
ベンゼンスルホン酸アンモニウム、トリエチルアミン・
ベンゼンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・ベンゼ
ンスルホン酸塩、テトラエチルアンモニウム・ベンゼン
スルホン酸塩等のベンゼンスルホン酸と有機塩基の塩、
メタンスルホン酸ナトリウム、メタンスルホン酸カリウ
ム等のメタンスルホン酸金属塩、メタンスルホン酸アン
モニウム、トリエチルアミン・メタンスルホン酸塩、ト
リエタノールアミン・メタンスルホン酸塩、テトラエチ
ルアンモニウム・メタンスルホン酸塩等のメタンスルホ
ン酸と有機塩基の塩、トリフルオロメタンスルホン酸ナ
トリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム等の
トリフルオロメタンスルホン酸金属塩、トリフルオロメ
タンスルホン酸アンモニウム、トリエチルアミン・トリ
フルオロメタンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・
トリフルオロメタンスルホン酸塩、テトラエチルアンモ
ニウム・トリフルオロメタンスルホン酸塩等のトリフル
オロメタンスルホン酸と有機塩基の塩、安息香酸ナトリ
ウム、安息香酸カリウムなどの安息香酸金属塩、安息香
酸アンモニウム、トリエチルアミン・安息香酸塩、トリ
エタノールアミン・安息香酸塩、テトラエチルアンモニ
ウム・安息香酸塩等の安息香酸と有機塩基の塩等が挙げ
られる。
【0036】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
の加水分解反応に用いる塩の濃度は、特に限定はされ
ず、通常、0.01〜20重量%の範囲で使用される
が、濃度が高い場合には製品中に過剰の塩が混入する可
能性があり、0.1〜5重量%の範囲で使用するのが好
ましい。
【0037】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
のアルカリ加水分解に使用するアルカリの種類は特に限
定されないが、具体例としては水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化
物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の
アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ
リウム、炭酸水素リチウム等のアルカリ金属炭酸水素
塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢
酸塩、シュウ酸ナトリウム等のアルカリ金属シュウ酸
塩、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メ
チルモルホリン、ピリジン、ピコリン等の有機塩基等が
挙げられる。これらの中では、経済的な観点から、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムを使用するのが好まし
い。アルカリ水溶液の濃度は特に限定されない。
【0038】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
をアルカリ加水分解する際の反応液のpHは、使用する
アルカリ水溶液の濃度、アルカリ水溶液の添加速度、加
水分解速度(アルカリ消費速度)によって決まるが、一
般的には、7.5〜13、好ましくは9〜12がよい。
反応液のpHが高すぎると、イミド環のみならずポリマ
ー主鎖のアミド結合まで加水分解されることがある。ま
た、pHが低すぎると、加水分解反応速度が著しく遅く
なり、完結しない場合がある。
【0039】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
を加水分解する際の反応温度は特に限定されないが、通
常、0〜100℃、好ましくは10〜60℃で行われ
る。
【0040】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
を加水分解して得られる架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
の後処理については特に限定されない。架橋ポリコハク
酸イミドの残りのイミド環を加水分解し架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂が生成した後は、反応系はアルカリ性と
なっており、通常、必要に応じて中和、塩交換等の操作
をした後に取り出しの操作を行う。得られた架橋ポリア
スパラギン酸系樹脂を吸水性樹脂として使用する場合、
その用途にもよるが、例えば紙おむつ、生理用ナプキン
等に用いる場合には人体への安全性等を鑑み、中性付近
のpHを示すように中和、または塩交換が行われる。
【0041】中和の方法は特に限定されないが、通常、
加水分解反応後に酸を添加してpHを調整する。pH調
整に用いられる酸は特に限定されないが、具体例として
は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、亜
硫酸、亜硝酸、炭酸、リン酸、酢酸、蟻酸、アスコルビ
ン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、シュウ酸、安息香
酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メ
タンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙
げられる。
【0042】塩交換に用いられる対イオンとしては、ア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ
る。具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等の
アルカリ金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペン
チルアミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミ
ン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、
トリペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、ピ
リジン、N−メチルモルホリン、ピコリン、キノリン等
の3級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、テトラエ
チルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テト
ラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、
テトラヘキシルアンモニウム、エチルトリメチルアンモ
ニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ブチルトリ
メチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウ
ム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシル
トリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニ
ウム、ベンジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウ
ム塩が挙げられる。これらの中では、一般的には、対イ
オンの分子量が大きくなると相対的に単量体単位あたり
の分子量が大きくなり、単位重量当たりの吸水量が小さ
くなるので、対イオンの分子量は小さい方が好ましい。
また、人の肌等に直接触れる可能性がある場合には、毒
性が低い方が好ましく、無機塩またはアンモニウム塩が
好ましい。したがって、一般的には、ナトリウム塩、カ
リウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、トリエタノー
ルアミン塩等が特に好ましい。
【0043】本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂の乾燥方法は特に限定されず、例えば、熱風乾燥、特
定蒸気での乾燥、減圧乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムド
ライヤー乾燥等、公知の方法を挙げることができる。乾
燥温度も特に限定されず、通常、20〜200℃で行わ
れ、50〜150℃が好ましい。乾燥処理を施した架橋
ポリアスパラギン酸系樹脂は、さらに、精製処理、造粒
処理、表面処理等を施してもよい。
【0044】本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂の形状は、特に限定されない。例えば、不定形破砕
状、球状、粒状、顆粒状、リン片状、塊状、パール状、
微粉末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等が挙
げられ、用途により好ましい形状を採用すればよい。ま
た、本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の形状
は、繊維状基材、多孔質状、発砲体、造粒物であっても
よい。
【0045】本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂の粒度(平均粒子径)は特に限定されない。例えば、
紙おむつ用途の場合には、一般的には、速い吸水速度と
ゲルブロッキングを起こさない事が望まれるので、10
0〜1000μmが好ましい。また、止水剤用途等の様
に他の樹脂への練り混みに用いる場合は、一般的には、
1〜10μmが好ましく、農園芸用の保水剤等に使用す
る場合は、一般的には、土との分散性を考慮して100
μm〜5mmが好ましい。
【0046】本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂の使用態様は特に限定されず、単独でも、他の素材と
の組み合わせによっても使用する事ができる。例えば、
熱可塑性樹脂と混練りして射出成形等にて成型する方法
等が挙げられる。また、成型品とすることもできる。成
型品としては、例えば、固形物、シート、フィルム、繊
維、不織布、発泡体、ゴム等を挙げることができる。ま
た、成型方法も特に限定されない。他の素材との組み合
わせによる使用の具体例としては、特に限定はされない
が、例えば、パルプ、不織布等にはさみサンドイッチ構
造にする方法、樹脂シート、フィルムを支持体として多
層構造とする方法、樹脂シートにキャストし、二重構造
とする方法等を挙げることができる。本発明の架橋ポリ
アスパラギン酸系樹脂をシート状に加工すれば吸水性シ
ート(吸水性フィルムを包含する)とすることができ
る。
【0047】本発明に係る架橋ポリアスパラアギン酸系
樹脂は、1種類以上の他の吸水性樹脂と混合して用いて
も良い。また、食塩、コロイダルシリカ、ホワイトカー
ボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン粉末等の無機化合
物、キレート剤等の有機化合物を添加してもよい。さら
に、酸化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、抗菌
剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香料、消臭剤、顔料等を
添加してもよい。
【0048】本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂は、使用目的に応じ、ゲル状でも固形状でも使用でき
る。例えば、農園芸用保水剤、切り花延命剤、ゲル芳香
剤、ゲル消臭剤等に使用する場合はゲルとして用い、紙
おむつ、生理用品用吸収体に使用する場合には固形状と
して用いる。
【0049】本発明に係るポリアスパラギン酸系樹脂の
用途は特に限定されず、従来の吸水性樹脂が使用できる
用途のいずれにも使用することができる。具体的には、
紙おむつ、生理用品、母乳パット、使い捨て雑巾等の衛
生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダーパ
ット、ハップ剤等の医療用品、ペット用シート、携帯用
トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使い捨
てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェル
剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農園芸用保水剤、切
り花延命剤、フローラルフォーム(切り花の固定化
材)、育苗用苗床、植生シート、種子テープ、結露防止
用農業用シート等の農園芸用品、食品用トレー用鮮度保
持材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、
生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止
用建築用材料、土木・建築用のシーリング材、シールド
工法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・
パッキング等土木建築資材、光ファイバー等の電子機器
のシール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット記
録紙等の電気機器関連資材、汚泥凝固剤、ガソリン、油
類の脱水剤、水分除去剤等の水処理剤、捺印用のり、水
膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性
薬剤、湿度調整材、帯電防止剤などを挙げる事ができ
る。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
本発明において、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、以下のティーバック法にて測定した。
【0051】[ティーバッグ法] ティーバッグの調製 不織布性のティーバック(80mm×50mm)に、予
め乾燥状態重量(Wd)を秤量した乾燥状態の吸水性樹
脂を充填する。 浸漬 で調製した試料、および、吸水性樹脂を充填していな
いティーバック(ブランク)を、25℃に維持した大過
剰の蒸留水または生理食塩水に1時間浸漬した。尚、生
理食塩水(0.9wt%塩化ナトリウム水溶液)は、蒸
留水と塩化ナトリウムにより調製した。 秤量 浸漬終了後、浸漬により膨潤した試料、およびブランク
を引き上げ、1分間水切りを行い、それぞれ浸漬後試料
重量(Ww)と浸漬後ブランク重量(Wb)を秤量し
た。 吸水量の評価 次式[式1]により、吸水量(蒸留水または生理食塩水
[g]/乾燥樹脂[1g])を評価した。
【0052】
【数1】[吸水量]=(Ww−Wd−Wb)/ Wd
【0053】また、吸水速度を比較する指標として、上
記同様の操作で蒸留水に対する10分後の吸水量(W1
0)を測定し、その1時間後の吸水量(W60)に対す
る割合を算出した。尚、樹脂の粒径により吸水速度にバ
ラツキがあるため、ふるい分けにより100〜500μ
mの粒径の樹脂だけを測定に用いた。
【0054】実施例1 1.85g(0.01mol)のリジン・モノ塩酸塩
(以下Lys・HCl)を1.0gの蒸留水に溶解し、
24.5wt%NaOH水溶液1.64g(0.01m
ol)を添加し塩酸を中和した。該溶液を、重量平均分
子量9.6万のポリコハク酸イミド(以下PSI)9.
71g(0.10mol)を38.8gのN,N−ジメ
チルホルムアミド(以下DMF)に溶解した溶液に0.
5hrかけて滴下装入し、1hr反応させた。その後、
38.8gのメタノールを装入して反応系を分散状態に
した後、24.5wt%NaOH1.64g(0.01
mol)を添加して25℃で3hr架橋反応させた。一
方、0.93gのLys・HClを水1.0gに溶解
し、24.5wt%NaOH1.64g(0.01mo
l)で中和した。該溶液を架橋反応液に0.5hrかけ
て滴下装入し、その後25℃で20hr熟成した。得ら
れた反応マスを濾過、洗浄して架橋ポリマーの湿体を得
た。該湿体を83.1gの水及び116.5gのメタノ
ールに懸濁させ、24.5wt%NaOH水溶液を滴下
装入し、25〜35℃、pH9〜11.5で加水分解を
行った。24.5wt%NaOHの消費量は13.8g
(0.085mol)であり、反応完結まで3hrを要
した。該加水分解マスに塩酸を添加してpH7〜7.5
に調整し、得られた沈澱をデカンテーションにより取り
出した。得られた沈澱に水20gを添加してスラリーと
し、該スラリーをメタノール200gに排出して再沈澱
を行った。得られた沈澱を濾過、洗浄、乾燥して架橋ポ
リアスパラギン酸系樹脂12.5gを得た。得られた吸
水性樹脂の吸水量は蒸留水に対して520倍、生理食塩
水に対して65倍であった。また、W10/W60×1
00=70.1%であった。
【0055】実施例2 1.85g(0.01mol)のLys・HClを1.
0gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水溶液
1.64g(0.01mol)を添加し塩酸を中和し
た。該溶液を、重量平均分子量9.6万のPSI9.7
1g(0.10mol)を38.8gのDMFに溶解し
た溶液に0.5hrかけて滴下装入し、1hr反応させ
た。その後、38.8gのメタノールを装入して反応系
を分散状態にした後、24.5wt%NaOH0.82
g(0.005mol)を添加して25℃で3hr架橋
反応させた。一方、0.93g(0.005mol)の
Lys・HClを水1.0gに溶解し、24.5wt%
NaOH1.64g(0.01mol)で中和した。該
溶液を架橋反応液に0.5hrかけて滴下装入し、その
後25℃で20hr熟成した。得られた反応マスを濾
過、洗浄して架橋ポリマーの湿体を得た。該湿体を8
3.1gの水及び116.5gのメタノールに懸濁さ
せ、13.5g(0.083mol)の24.5wt%
NaOH水溶液を3hrかけて滴下装入し、25〜35
℃、pH9〜11.5で加水分解を行い、1hr熟成を
行った。該加水分解マスに塩酸を添加してpH7〜7.
5に調整し、得られた沈澱をデカンテーションにより取
り出した。得られた沈澱に水20gを添加してスラリー
とし、該スラリーをメタノール200gに排出して再沈
澱を行った。得られた沈澱を濾過、洗浄、乾燥して架橋
ポリアスパラギン酸系樹脂11.3gを得た。得られた
吸水性樹脂の吸水量は蒸留水に対して537倍、生理食
塩水に対して69倍であった。また、W10/W60×
100=71.7%であった。
【0056】実施例3 0.56g(0.003mol)のLys・HClを
1.0gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液0.98g(0.006mol)を添加し中和し
た。該溶液を、重量平均分子量9.6万のPSI9.7
1g(0.10mol)を38.8gのDMFに溶解し
た溶液に0.5hrかけて滴下装入し、30分間反応さ
せた。その後、38.8gのメタノールを装入して反応
系を分散状態にした。一方、2.24g(0.012m
ol)のLys・HClを水1.0gに溶解し、24.
5wt%NaOH3.92g(0.024mol)で中
和した。該溶液を架橋反応液に0.5hrかけて滴下装
入し、その後25℃で20hr熟成した。得られた反応
マスを濾過、洗浄して架橋ポリマーの湿体を得た。該湿
体を83.1gの水及び116.5gのメタノールに懸
濁させ、13.5g(0.083mol)の24.5w
t%NaOH水溶液を3hrかけて滴下装入し、25〜
35℃、pH9〜11.5で加水分解を行い、1hr熟
成を行った。該加水分解マスに塩酸を添加してpH=7
〜7.5に調整し、得られた沈澱をデカンテーションに
より取り出した。得られた沈澱に水20gを添加してス
ラリーとし、該スラリーをメタノール200gに排出し
て再沈澱を行った。得られた沈澱を濾過、洗浄、乾燥し
て架橋ポリアスパラギン酸系樹脂12.8gを得た。得
られた吸水性樹脂の吸水量は蒸留水に対して452倍、
生理食塩水に対して57倍であった。また、W10/W
60×100=83.3%であった。
【0057】実施例4 0.56g(0.003mol)のLys・HClを
1.0gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液0.98g(0.006mol)を添加し中和し
た。該溶液を、重量平均分子量9.6万のPSI9.7
1g(0.10mol)を38.8gのDMFに溶解し
た溶液に0.5hrかけて滴下装入し、30分間反応さ
せた。一方、2.24g(0.012mol)のLys
・HClを水1.0gに溶解し、24.5wt%NaO
H3.92g(0.024mol)で中和した。該溶液
を38.8gのメタノールと混合した後、架橋反応液に
0.5hrかけて滴下装入し、その後25℃で20hr
熟成した。得られた反応マスを濾過、洗浄して架橋ポリ
マーの湿体を得た。該湿体を83.1gの水及び11
6.5gのメタノールに懸濁させ、13.5g(0.0
83mol)の24.5wt%NaOH水溶液を3hr
かけて滴下装入し、25〜35℃、pH9〜11.5で
加水分解を行い、1hr熟成を行った。該加水分解マス
に塩酸を添加してpH7〜7.5に調整し、得られた沈
澱をデカンテーションにより取り出した。得られた沈澱
に水20gを添加してスラリーとし、該スラリーをメタ
ノール200gに排出して再沈澱を行った。得られた沈
澱を濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂14.8gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水量は蒸
留水に対して600倍、生理食塩水に対して71倍であ
った。また、W10/W60×100=91.3%であ
った。
【0058】比較例1 2.78g(0.015mol)のLys・HClを
1.5gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液4.08g(0.025mol)を添加し中和し
た。該溶液を、9.71g(0.1mol)のPSIを
38.8gのDMFに溶解した溶液に対して0.5hr
かけて滴下装入した。装入の途中で粘度が著しく上昇
し、装入後、反応液全体がゲル化し、攪拌不能となった
ため、その後は無攪拌で25℃/30hr熟成した。得
られたゲルに対し100gのメタノールを加え、ゲルを
ほぐそうと試みたが、攪拌が困難であったため、ゲル全
体がほぐれるのに20hr程度を要した。得られた沈澱
を濾過、洗浄して架橋ポリマーの湿体を得た。得られた
湿体を90gの水および120gのメタノールに懸濁
し、24.5wt%NaOH水溶液13.1gを25〜
35℃、pH9〜11の条件で滴下装入し、加水分解を
行った。沈澱の粒子径が大きいため反応が遅く、加水分
解に6hr程度要した。その後、9%塩酸を添加してp
H7.5に調整し、得られた沈澱をデカンテーションに
より取り出し、水20gを加えてスラリーとした。得ら
れたスラリーを200gのメタノールに排出して再沈澱
させ、濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン酸系
樹脂8.8gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水量は蒸
留水に対して400倍、生理食塩水に対して53倍であ
った。また、W10/W60×100=60.7%であ
った。
【0059】比較例2 3.50g(0.015mol)のリジンメチルエステ
ル・2塩酸塩を100gのDMFに懸濁し、等量のトリ
エチルアミンで中和した。該溶液を、重量平均分子量
9.6万のPSI9.71g(0.10mol)を3
8.8gのDMFに溶解した溶液に対して滴下装入し、
1hr攪拌した。その後、3.03g(0.030mo
l)のトリエチルアミンを添加して25℃で40hr架
橋反応させた。反応液をエタノール300gに排出して
再沈澱させ、濾過、洗浄して架橋ポリマーの湿体を得
た。得られた湿体を水2000gに懸濁し、24.5w
t%NaOH水溶液を滴下装入し、pH9〜11に調整
しながら加水分解を行った。得られた反応液(流動性ゲ
ル)をエタノール5000mlに排出して再沈澱させ、
濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン酸系樹脂1
2.8gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水量は蒸留水
に対して110倍、生理食塩水に対して30倍であっ
た。また、W10/W60×100=61.2%であっ
た。
【0060】[実施例と比較例の比較・考察]比較例1
においては、高い吸水量を有する架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂を製造しようとすると、反応液全体がゲル化す
る等、操作性が悪く、生産性が低下した。比較例2にお
いては、高い生産性で架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を
製造しようとすると、吸水量が低下してしまった。対照
的に、実施例1〜4では、いずれの場合でも、高い吸水
量と優れた吸水速度を有する架橋ポリアスパラギン酸系
樹脂を、高い生産性で製造することができた。
【0061】
【発明の効果】本発明に係る架橋ポリアスパラギン酸系
樹脂の製造方法により、高い吸水量を有する吸水性樹脂
を高い生産性で製造することができる。また、本発明に
係る架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法により、
(生)分解性と吸水性を併有する吸水性樹脂を、高い生
産性で提供し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶
    液に、ポリコハク酸イミド主鎖の単量体単位に対して
    0.01〜3モル%の内部架橋剤を添加して架橋させ、
    次いで分散剤を装入して反応系を分散状態にした後、ま
    たは分散剤装入と同時に、さらに内部架橋剤との合計で
    0.1〜30モル%になるように表面架橋剤を添加して
    架橋反応を行い、その後、残りのイミド環を加水分解す
    る事を特徴とする架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造
    方法。
  2. 【請求項2】ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶
    液に、リジン、オルニチン、シスチンおよびそれらのエ
    ステル、塩からなる群から選択される少なくとも1種の
    内部架橋剤を添加してペンダント基として導入し、次い
    で分散剤を装入して反応系を分散状態にし、塩基を添加
    して架橋反応を行った後、さらに、ポリコハク酸イミド
    主鎖の単量体単位に対して架橋剤の量が内部架橋剤との
    合計で0.1〜30モル%になるように表面架橋剤を添
    加して架橋反応を行い、その後、残りのイミド環を加水
    分解する事を特徴とする架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
    の製造方法。
  3. 【請求項3】ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶
    液に、リジン、オルニチン、シスチンおよびそれらのエ
    ステル、塩からなる群から選択される少なくとも1種の
    内部架橋剤を添加してペンダント基として導入し、次い
    で分散剤を装入して反応系を分散状態にした後または分
    散剤装入と同時に、塩基およびポリコハク酸イミド主鎖
    の単量体単位に対して架橋剤の量が内部架橋剤との合計
    で0.1〜30モル%になるような表面架橋剤を同時に
    添加して架橋反応を行い、その後、残りのイミド環を加
    水分解する事を特徴とする架橋ポリアスパラギン酸系樹
    脂の製造方法。
  4. 【請求項4】分散剤が、ポリコハク酸イミドの貧溶媒で
    ある、請求項1〜記載の架橋ポリアスパラギン酸系樹
    脂の製造方法。
  5. 【請求項5】良溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミ
    ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−
    ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
    ン、ジメチルスルホキシド、スルホランからなる群から
    選択される少なくとも1種である請求項1〜記載の架
    橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法。
JP34685597A 1997-12-16 1997-12-16 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法 Expired - Lifetime JP3437072B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34685597A JP3437072B2 (ja) 1997-12-16 1997-12-16 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34685597A JP3437072B2 (ja) 1997-12-16 1997-12-16 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11171991A JPH11171991A (ja) 1999-06-29
JP3437072B2 true JP3437072B2 (ja) 2003-08-18

Family

ID=18386266

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34685597A Expired - Lifetime JP3437072B2 (ja) 1997-12-16 1997-12-16 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3437072B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11171991A (ja) 1999-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6072024A (en) Production process of cross-linked polyaspartic acid resin
JP3434689B2 (ja) 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法
JP3434688B2 (ja) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法
JP3434691B2 (ja) 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法
JP3437072B2 (ja) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法
JP3434690B2 (ja) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法
JP3437073B2 (ja) 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法
WO2000039194A1 (fr) Procedes servant a preparer une resine absorbant l'eau
JPH11240949A (ja) 架橋重合体及びその製造方法
JP4669121B2 (ja) 架橋重合体及びその製造方法
JP2000128982A (ja) 架橋重合体の製造方法
JP4669123B2 (ja) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)から得られる多孔質粒子及びその製造方法
JPH11255896A (ja) 重合体及びその製造方法
JP2001064385A (ja) 架橋ポリアミノ酸系樹脂及びその製造方法
JP4651133B2 (ja) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法
JP4171100B2 (ja) 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法及び架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の製造方法
JPH10324750A (ja) 吸水性樹脂の精製方法
JP2001278937A (ja) 架橋ポリアミノ酸及びその製造方法
JP2000239378A (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JPH11181085A (ja) 重合体の製造方法
JP3933359B2 (ja) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法
JP2000191777A (ja) 架橋重合体の製造方法
JP2002179791A (ja) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)及びその製造方法
JP2001181392A (ja) 架橋ポリアスパラギン酸(塩)の製造方法
WO2001048056A1 (fr) Procede de production d'acide (sel) polyaspartique reticule

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080606

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090606

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100606

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100606

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110606

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120606

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120606

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130606

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130606

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term