JPH11181085A - 重合体の製造方法 - Google Patents

重合体の製造方法

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JPH11181085A
JPH11181085A JP9358180A JP35818097A JPH11181085A JP H11181085 A JPH11181085 A JP H11181085A JP 9358180 A JP9358180 A JP 9358180A JP 35818097 A JP35818097 A JP 35818097A JP H11181085 A JPH11181085 A JP H11181085A
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JP
Japan
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group
acid
water
reaction
polymer
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Application number
JP9358180A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Irisato
義広 入里
Makoto Sukegawa
誠 助川
Toshio Kato
敏雄 加藤
Hiroaki Tamaya
玉谷  弘明
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、塩含有の水溶液に対して優
れた吸水能を有する高吸水性樹脂を供給する。 【解決手段】 架橋酸性アミノ酸系樹脂として、水酸基
を少なくとも1個以上含むペンダント基を導入すること
により、生分解性を有し、塩溶液に対しても吸水量の変
化が少なく、広いpH範囲で使用できる吸水性樹脂を見
いだした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な分解性を有す
る重合体及びその製造方法に関する。詳しくは、生分解
性を有し、高吸水性を有する架橋酸性ポリアミノ酸系重
合体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、紙オ
ムツ用、農・園芸用等に使用される吸水体として、使用
後、もしくは廃棄後に生分解することで地球環境に優し
い、吸水能に優れた重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂
は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であ
り、生理用品、紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等
の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダ
ーパット、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携
帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使
い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェ
ル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水
材、切り花の延命剤、フローラルフォーム(切り花の固
定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テ
ープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸
用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シー
ト等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シー
ト等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用
のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリ
ート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資
材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブ
ル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連
資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去
剤等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等
の幅広い分野に使用されている。また、その薬品徐放性
を利用して、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の
用途にも期待されている。さらにその親水性を利用して
湿度調整材、電荷保持性を利用して帯電防止剤等への使
用も期待される。
【0003】[吸水性樹脂に関する先行技術]このよう
な用途に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、
架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−8430
4号、米国特許4625001号)、澱粉−アクリロニ
トリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−439
95号)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特開昭
51−125468号)、酢酸ビニル−アクリル酸エス
テル共重合体の加水分解物(特開昭52−14689
号)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許00681
89号)、カチオン性モノマーの架橋体(米国特許49
06717号)、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共
重合体(米国特許4389513号)などが知られてい
る。ところがこれらの吸水性樹脂組成物は分解性を有し
ないため、使用後の廃棄が問題である。現状としては、
これらの吸水性樹脂は、廃棄時には焼却処理する方法と
埋め立てする方法が行われているが、焼却炉で処理する
方法では、焼却時に発生する熱による炉材の損傷のほか
に、地球の温暖化や酸性雨の原因となることが指摘され
ている。また、埋め立て処理する方法では、プラスチッ
クは容積がかさばる、腐らないため地盤が安定しない等
の問題があるうえ、埋め立てに適した場所がなくなって
きたことが大きな問題となっている。
【0004】すなわち、これらの樹脂は分解性に乏し
く、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物
処理における環境保全を考えると非常に重大な問題であ
る。例えば紙おむつ、生理用品等の衛生材料に代表され
る使い捨て用途の樹脂の場合、それをリサイクルすれば
多大な費用がかかり、焼却するにも大量であるため地球
環境への負荷が大きい。また農・園芸用保水材として架
橋ポリアクリル酸樹脂を使用した場合、土壌中でCa2+
等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層
を形成すると報告されている(松本ら、高分子、42
巻、8月号、1993年)。しかし、このような層はそ
のもの自体の毒性は低いと言われているが、自然界には
全くないものであり、長期に渡るそれら樹脂の土中への
蓄積による生態系への影響は不明であり、十分に調べる
必要があり、その使用には慎重な態度が望まれる。同様
に非イオン性の樹脂の場合、コンプレックスは形成しな
いが、非分解性のため土壌中へ蓄積する恐れがあり、そ
の自然界への影響は疑わしい。さらにこれらの重合系の
樹脂は、人間の肌等に対して毒性の強いモノマーを使用
しており、重合後の製品からこれを除去するために多く
の検討がなされているが、完全に除くことは困難であ
る。特に工業的規模での製造ではより困難となることが
予想される。
【0005】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解
性ポリマーが注目されており、これを吸水性樹脂として
使用することも提案されている。このような用途に使用
されている生分解性を有する吸水性樹脂としては、例え
ばポリエチレンオキシド架橋体(特開平6−15779
5号等)、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメ
チルセルロース架橋体(米国特許4650716号)、
アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体な
どが知られている。この中でポリエチレンオキシド架橋
体、ポリビニルアルコール架橋体は、特殊な菌のみし
か、生分解することができないので、一般的な条件では
生分解性は遅かったり、もしくは全く分解しなかったり
する。さらに分子量が大きくなると極端に分解性が低下
したり、非分解性となる。。また、カルボキシメチルセ
ルロース架橋体、アルギン酸架橋体、デンプン架橋体等
の糖類架橋体は、その分子内に強固な水素結合を多く含
むために、分子間、ポリマー間の相互作用が強く、その
ため分子鎖が広く開くことができず、吸収能は高くな
い。
【0006】[ポリアミノ酸径系吸水性樹脂の技術的背
景]一方、ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生分
解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内に
吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体
内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが
明らかにされているので、人に対してもやさしい素材で
ある。このような樹脂の記載例として、ポリ−γ−グル
タミン酸にγ線を照射して高吸水能を有する樹脂を製造
する方法が記載されている(国岡ら、高分子論文集、5
0巻10号、755頁(1993年))。しかし、工業
的な観点からは、この技術に用いる60Co照射設備は、
放射能の遮断を行うためには大がかりな設備が必要であ
り、その管理にも十分な配慮が必要であるため現実的で
はない。また出発物質であるポリグルタミン酸が高価で
あることも問題点である。また、架橋アミノ酸樹脂を吸
水性ポリマーに用いる報告がされている(Sikesら、特
表平6−506244号;米国特許第5247068及
び同第5284936号、鈴木ら、特開平7−3099
43号)。しかしいずれの報告の場合も、これらの樹脂
は吸水性が十分でなく、実用的ではなかった。そこで当
発明者らは特開平7−224163号にて塩水吸水能の
高い吸水性樹脂を発明した。また、特願平9−1699
1号にて、多価イオンを含めた塩溶液に対しても優れた
吸水能を有し、ゲルの経時安定性に優れた吸水性樹脂を
発明した。しかし、これらの樹脂は全てカルボン酸もし
くはその塩を官能基としているおり、吸水の原理とし
て、分子内と分子外の浸透圧の差を利用して吸水するの
で、塩水に対しては吸水量低下が起こる。また、増粘剤
等に使用した場合、天然成分等を含んだ低いpHで使用
すると、吸水量の低下が著しかった。また、酸性アミノ
酸を架橋させてハイドロゲルを得る方法が報告されてい
る(Akamatsuら、米国特許第3948863号;特公昭
52−41309号、岩月ら、特開平5−279416
号)。しかし、この方法では、使用する反応における、
ポリマーと架橋剤、ポリマーとペンダント基となりうる
前駆体との反応性が低く、過酷な条件下にて反応しなけ
ればならず、反応の制御がほとんど不可能である。得ら
れた樹脂は、性能が十分とは言えなかった。すなわち、
生分解性を有し、塩溶液に対しても吸水量の変化が少な
く、広いpH範囲で使用できる吸水性樹脂に対する要望
は高く、さらなる高性能の樹脂が要望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上記のような従来の問題点を解決し、生分解性を有
し、塩溶液に対しても吸水量の変化が少なく、広いpH
範囲で使用できる重合体の製造方法及び、製造された重
合体に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。即ち本発明は、以下の[1]〜[6]に記載した事
項により特定される。 [1] 架橋ポリコハク酸イミドに、少なくとも1個
の水酸基を有する、アミン、アルコール、チオールから
なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、反応さ
せることを特徴とする、分子内に式(1)[化2]で表
される繰り返し単位を有する架橋重合体の製造方法。
【0009】
【化2】 (ここで、R1、−X1−、R1’及びn1は、以下の通り
である。R1は、少なくとも1個の水酸基を有するペン
ダント基である。−X1−は、−NH−、−NR’−、
−O−、又は、−S−である。R1’は、アルキル基、
アラルキル基、アリール基である。n1は、1又は2で
ある。) [2] nが、1である、[1]に記載した重合体の製
造方法。 [3] −X−が、−NH−である、[1]又は[2]に
記載した重合体の製造方法。 [4] ペンダント基を含む単量体が、繰り返し単位で
5〜99.8モル%である、[1]乃至[3]の何れかに
記載した重合体の製造方法。 [5] ペンダント基を含む単量体が、繰り返し単位で
500〜99.8モル%である、[1]乃至[4]の何れ
かに記載した重合体の製造方法。 [6] [1]乃至[5]の何れかに記載の方法によって
製造された重合体。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細について説
明する。 (1)重合体の製造方法 本発明の重合体の製造方法は、特に限定されないが、こ
こでは吸水性樹脂として、より有用なポリアスパラギン
酸系重合体を中心に説明する。なお、本発明のポリアス
パラギン酸系重合体の製造は、ポリコハク酸イミド、ポ
リアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸エステルもしく
はそれらの共重合体を用いることを特徴とする。
【0011】(1−1)ポリコハク酸イミドの製造方法 ポリアスパラギン酸系重合体の製造方法は特に限定され
ないが、ポリコハク酸イミドを用いるか、もしくはこれ
を加水分解したポリアスパラギン酸を用いた製造方法が
工業的な生産を行う場合に適しているこれらの方法につ
いて説明する。ポリコハク酸イミドの製造方法は特に限
定されないが、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカ
ル・ソサエティー(J.Amer.Chem.So
c.),80巻,3361頁〜(1958年)等に記載
の方法にて容易に製造することができる。使用するポリ
コハク酸イミドの分子量は、特に限定されないが、分子
量が高い方が保水材としての能力が高くなる。一般的
に、3万以上、好ましくは6万以上、より好ましくは9
万以上である。本発明のポリコハク酸イミドの製造時
に、アスパラギン酸以外の他のアミノ酸を添加して共重
合体を製造することもできる。アスパラギン酸以外のア
ミノ酸成分の具体例としては、例えば、20種類の必須
アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−
アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ
酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩
基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニ
ルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及び
アミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン
酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性
体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよ
い。また、重合体はアミノ酸以外の単量体成分を添加し
て共重合体を製造することもできる。共重合体製造時に
添加する単量体成分の例としては、アミノカルボン酸、
アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカル
ボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン
酸、メルカプトホスホン酸等が挙げられる。また、多価
アミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン
酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン
化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド
化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合
物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナー
ト化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化
合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合
物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等が挙げら
れる。こうして得られたポリコハク酸イミドまたはそれ
を加水分解して得られるポリアスパラギン酸、誘導体で
あるポリアスパラギン酸エステルを用いて、架橋重合体
を製造する。
【0012】(2)架橋重合体の製造方法 本発明の重合体の製造における反応は、基本的にポリコ
ハク酸イミドの架橋反応を行い、続いてペンダント基導
入反応を行なう。この方法に加え、これ以外の反応を用
いても構わない。本発明の架橋重合体の製造方法は、以
下の方法に限定される。 (A)ポリコハク酸イミドを架橋してから、もしくは同
時に、水酸基を含むペンダント基を導入する方法 (B)ポリコハク酸イミドを架橋してから、もしくは同
時に、水酸基の前駆体となりうるペンダント基を導入
し、さらに水酸基へ置換する方法 上記の方法では、吸水性樹脂に必要な吸水量、ゲルの調
整が容易であり、望まれる性能を有する樹脂も得ること
は容易である。また、穏和な条件の下で反応が行うこと
ができるので、好ましい。一方、従来知られている酸性
ポリアミノ酸を架橋し、水酸基を含むペンダント基を導
入する方法では、吸水性樹脂に必要な吸水量、ゲルの調
整が難しく、望まれる性能を有する樹脂も得ることは困
難である。すなわち、本発明の重合体を吸水性樹脂とし
て使用する場合、架橋反応の程度(以下,架橋度と呼
ぶ)、ペンダント基導入の程度により製造される樹脂の
吸水特性が変わるので、目的の吸水特性を持つ樹脂を得
るためには、厳密に架橋反応、ペンダント基導入反応を
制御できる製造法が好ましい。なお、架橋反応を先に行
った場合は、架橋により不溶化するので、後の反応は不
均一系になる場合が多い。不均一系の反応の場合、均一
系の反応より、反応速度が遅くなる等の場合があるが、
撹拌効率を上げるとか、相間移動触媒等を用いる等の、
既存の不均一系に用いる手法を用いても構わない。ま
た、ゲルの状態で反応を行うと、溶液状態の反応よりは
反応は遅いが、通常の液−固相系の二相系の反応に対し
ては、ゲル中の物質の出入りが可能であるため、反応は
速くなる。この場合、反応初期が液−固相系の二相系で
あっても、反応途中からゲルとなっても構わない。説明
は(3)架橋反応(4)ペンダント基導入反応の2つに
分けて行なう。
【0013】(3)架橋反応 本発明の重合体の架橋反応は、特に限定されないが、以
下の3通りが挙げられる。 (3−1)ポリコハク酸イミドを架橋する方法 (3−2)酸性ポリアミノ酸を架橋する方法 (3−3)酸性ポリアミノ酸エステルを架橋する方法 これらの中で、工程数が少なくて、温和な条件にて効率
よく反応できる方法が好ましく、ポリコハク酸イミドと
多価アミン等の架橋剤を反応させる方法が特に好まし
い。また、反応性の異なる反応基を有する架橋剤を用い
て、段階的に反応させて架橋しても構わない。
【0014】本発明の架橋反応に使用される架橋剤とし
ては、多価アミン、多価チオール、多価アルコール等が
ある。ポリコハク酸イミドと架橋剤との反応では、ポリ
コハク酸イミドのイミド環と反応する多官能性化合物で
あれば特に限定されないが、ポリアミン、ポリチオール
等がある。
【0015】一般にヒドラジン、エチレンジアミン、プ
ロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ペンタメ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチ
レンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレン
ジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジ
アミン、ドデカメチレンジアミン、テトラデカメチレン
ジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、1−アミノ−
2,2−ビス(アミノメチル)ブタン、テトラアミノメ
タン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン
等の脂肪族ポリアミン、ノルボルネンジアミン、1,4
−ジアミノシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノシ
クロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミ
ン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレ
ンジアミン等の芳香族ポリアミン、リジン、オルニチン
に代表されるような塩基性アミノ酸もしくはそれらのエ
ステル類、シスタミン等のモノアミノ化合物がジスルフ
ィド結合により結合したもの及びその誘導体等のポリア
ミン、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジ
チオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサ
ンジチオール、ペンタエリスリチオール等の脂肪族ポリ
チオール、シクロヘキサンジチオール等の脂環式ポリチ
オール、キシリレンジチオール、ベンゼンジチオール、
トルエンジチオール等の芳香族ポリチオール、トリメチ
ロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチ
ロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネー
ト)ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレー
ト)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプ
トプロピオネート)ポリチオール等のエステル類が挙げ
られる。この中で好ましいのは、臭気が小さく、ポリコ
ハク酸イミドのイミド環との反応性が高いエチレンジア
ミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、
ヘプタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、リ
ジン、オルニチン、シスタミンが好ましい。
【0016】使用する架橋剤の量は、架橋剤の官能数、
分子量によって決まる架橋度によるが、使用する用途の
種類によっても変わってくる。ここでは、便宜的に、架
橋度とは架橋間の距離もしくは構成単量体の数、もしく
はポリマー主鎖に対する架橋部分の割合の度合いを表す
ものと定義する。その使用量は特に限定されないが、架
橋度が大きすぎると、樹脂の吸水量が低下し、反対に架
橋度が小さすぎると水溶性となり、吸水性を示さなくな
るので、適当な架橋度に調整する必要がある。ポリコハ
ク酸イミドの繰り返し単位に対して0.1〜30モル%
が好ましく、特に1〜20モル%が好ましい。また、架
橋反応後の反応生成物は、系外に取り出しても、必要に
より、そのまま連続的にペンダント基導入反応反応もし
くはカチオン化反応を行ってもよい。ここで、系外に反
応生成物を取り出す場合は、場合によっては反応生成物
を乾燥して用いても構わない。
【0017】(3−1)ポリコハク酸イミドを架橋する
方法 ポリコハク酸イミドを架橋する方法としては、特に限定
されないが、有機溶媒中で架橋剤とポリコハク酸イミド
を反応させる方法が一般的である。ポリコハク酸イミド
を架橋する場合は、ポリコハク酸イミドを溶解できるも
の、もしくは架橋剤、ペンダント基となりうる反応試剤
を溶解できるものであればよく、化学反応に用いられる
一般的な溶媒はいずれも使用できる。ポリアスパラギン
酸、ポリアスパラギン酸エステルの場合も同様に、ポリ
マーもしくは架橋剤を溶解できるものが好ましい。この
中で、ポリコハク酸イミドを架橋する場合は、ポリコハ
ク酸イミドもしくはポリコハク酸イミド誘導体を溶解で
きるものが好ましく、例えばN,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチ
ルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。この中で
ポリコハク酸イミドの溶解性が高いN,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ま
しい。これらの溶媒は、単独でも、2種以上を混合して
用いても構わない。
【0018】また、架橋反応を遅くする目的とか、原料
もしくは生成物を分散させる等を目的として、必要によ
り、ポリコハク酸イミドを溶解しない、もしくはわずか
しか溶解しない貧溶媒等を加えても構わない。貧溶媒
は、特に限定されず、化学反応一般に使用される溶媒
は、いずれであっても使用できる。例えば、水、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノー
ル、オクタノール、2−メトキシエタノール、2−エト
キシエタノール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグ
リコール類、メチルグリコソルブ、エチルグリコソルブ
等のグリコソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等の環状エーテル、石油エーテル、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、
デカリン、ジフェニルエーテル、アニソール、クレゾー
ル等がある。
【0019】架橋反応におけるポリコハク酸イミドの濃
度は、特に限定されないが、0.1〜50重量%が好ま
しく、特に1〜40重量%が好ましい。
【0020】(2−2)酸性ポリアミノ酸を架橋する方
法 酸性ポリアミノ酸を架橋する方法としては、上記架橋剤
と酸性ポリアミノ酸を脱水縮合する方法が一般的であ
る。脱水縮合は、生成する水を溶媒との共沸によって除
く方法、脱水剤としてモレキュラシーブを加えておく方
法、脱水縮合剤を用いて反応させる方法、酵素を用いる
方法のいずれでも構わない。また、アスパラギン酸と架
橋剤を均一に混合し、溶剤を除去した、固相状態にて反
応することもできる。縮合剤の例としては、ジシクロヘ
キシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミ
ド、1−アシルイミダゾリド、2−エトキシ−1−エト
キシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、トリフェ
ニルホスフィン/四塩化炭素、トリフェニルホスフィン
/ブロモトリクロロメタン、フェニルホスホン酸ビス
(2−ニトロフェニルエステル)、シアノホスホン酸ジ
エチル、ジフェニルホスホロアジド等の含リン化合物、
2−フルオロ−1−エチルピリジウム・テトラフルオロ
ボレート、トリフェニルホスフィン/ビス(ベンゾチア
ゾール)ジスルフィド、トリブチルホスフィン/ビス
(ベンゾチアゾール)ジスルフィド等の酸化還元縮合剤
等が挙げられる。酵素の例としては、ペニシリンアシラ
ーゼ、イーストリパーゼ等のリパーゼ等が挙げられる。
脱水縮合時の反応温度は、20〜250℃が好ましく、
100〜180℃が特に好ましい。
【0021】また、酸性ポリアミノ酸からエステル化、
アミド化、チオエステル化する方法を用いても構わな
い。この場合、有機化学的に用いられる通常の反応条件
を用いることができる。その方法としては、酸性ポリア
ミノ酸を酸性アミノ酸残基としておき、そのカルボキシ
ル基と反応させてもよい。また、誘導体として反応性を
高めてから導入しても良い。例えば、酸性アミノ酸残基
のカルボキシル基とアルコール、アミン、チオールと脱
水縮合反応する方法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル
基を酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アジド等にして活性
化してアルコール、アミン、チオールと反応させる方
法、酸性アミノ酸残基のカルボキシル基と、活性化した
アルコール、例えば、ハロゲン化物、エステル、スルホ
ン酸エステル、硫酸エステルとして、アミンは、ケイ素
誘導体として反応させる方法、酸性アミノ酸残基のカル
ボキシル基とエポキシ化合物、イソシアナート化合物、
アジリジン化合物、アルキル金属等と反応させる方法、
酸性アミノ酸残基のカルボキシル基を塩として、ハロゲ
ン化物等と反応させる方法、酸性アミノ酸残基のカルボ
キシル基を活性なエステルとして、エステル交換、アミ
ド交換によって反応させる方法等がある。
【0022】(3−3)酸性ポリアミノ酸エステルを架
橋する方法 酸性ポリアミノ酸エステルを架橋する方法としては、特
に限定されないが、有機溶媒中で架橋剤と酸性ポリアミ
ノ酸エステルを反応させる方法が一般的である。用いる
エステルは、メチル、エチル等の小さいアルコール成
分、クロロメチル、ジクロロメチル等の電子吸引基を含
むアルコール成分、N−ヒドロキシコハク酸イミド等の
アルコールが挙げられる。場合によっては酸触媒、塩基
触媒等の触媒を用いても構わない。また、反応系が不均
一になる場合、もしくは用いる原料が不溶性の場合、相
間移動触媒を用いても構わない。
【0023】(4)ペンダント基導入反応 架橋重合体のペンダント基導入反応の方法は、ポリコハ
ク酸イミドと、水酸基を含むアミン等を反応させる方法
に特定される。なお、架橋重合体のペンダント基導入反
応に使用される溶媒は、架橋反応時に使用する溶媒と、
共通であっても異なっていても構わない。なお、架橋反
応を先に行った場合、架橋により不溶化するので、後の
反応は不均一系になる場合が多い。不均一系の反応の場
合、均一系の反応より、反応速度が遅くなる等の場合が
あるが、撹拌効率を上げるとか、相間移動触媒等を用い
る等の、既存の不均一系に用いる手法を用いても構わな
い。また、ゲルの状態で反応を行うと、溶液状態の反応
よりは反応は遅いが、通常の液−固相系の二相系の反応
に対しては、ゲル中の物質の出入りが可能であるため、
反応は速くなる。この場合、反応初期が液−固相系の二
相系であっても、反応途中からゲルとなっても構わな
い。
【0024】ペンダント基導入反応に使用される反応試
剤は、水酸基を含んでいても、水酸基となりうる前駆体
を含んだものであっても構わない。ペンダント基導入反
応に使用される、水酸基を含む反応試剤としては、少な
くとも1個の水酸基を持つアミン、チオール、アルコー
ルであるが、その例を以下に挙げる。
【0025】
【化3】 これらは単独でも、2つ以上を混合して用いても構わな
い。
【0026】使用するペンダント基の量は、特に限定さ
れないが、ポリコハク酸イミドに対して1〜99.8モ
ル%が好ましく、特に10〜99.8モル%が好まし
い。また、ペンダント基導入反応後の反応生成物は、系
外に取り出しても、必要により、そのまま連続的に架橋
反応もしくは水酸基へ置換反応を行ってもよい。ここ
で、系外に反応生成物を取り出す場合は、場合によって
は反応生成物を乾燥して用いても構わない。ペンダント
基導入反応後の反応生成物は、場合によっては、イミド
環の一部を加水分解しても構わない。ポリコハク酸イミ
ドへのペンダント基導入反応に使用する溶媒としては、
特に限定されず、ポリコハク酸イミドもしくはポリコハ
ク酸イミド誘導体を溶解できるもの、もしくはペンダン
ト基となりうる反応試剤を溶解できるものであればよ
く、化学反応に用いられる一般的な溶媒はいずれも使用
できる。この中で、架橋と同時にペンダント基を導入す
る場合、及び、架橋より前にペンダント基を導入する場
合は、ポリコハク酸イミドを溶解できるものが好まし
く、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’
−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、
スルホラン等が好ましい。この中でポリコハク酸イミド
の溶解性が高い、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0027】また、ペンダント基となりうる反応試剤
を、溶解できるものとしては、水、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノ
ール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノー
ル等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、メ
チルグリコソルブ、エチルグリコソルブ等のグリコソル
ブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等の環状エーテル、石油エーテル、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、デカリン、ジフ
ェニルエーテル、アニソール、クレゾール等がある。こ
れらは、ペンダント基となりうる反応試剤の構造、極性
等によって変わってくる。架橋反応を先に行なった場合
は、架橋体そのものはほとんど全ての溶媒に対して不溶
性となっているので、ペンダント基となりうる反応試剤
を溶解できるものが好ましい。この反応溶媒として上記
の溶媒が使用できるが、特に水酸基を含む反応試薬は極
性が高いために、極性溶媒が好ましい。この中で、水、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、アセトン等が好ましく、特に水が好ましい。しか
し、水を用いた場合、ペンダント基導入反応が進行する
につれて、ゲルとなり、均一撹拌ができなくなる。この
場合に、貧溶媒であるメタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、アセトン等を水と混合して用いると、ゲル
の膨潤率が下がり、撹拌がスムースになるので好まし
い。これらの溶媒は、単独でも、2種以上を混合して用
いても構わない。また、ペンダント基導入反応におい
て、原料もしくは生成物を分散させる等を目的として、
必要により、ポリコハク酸イミドを溶解しない、もしく
はわずかしか溶解しない貧溶媒等を加えても構わない。
貧溶媒は、特に限定されず、化学反応一般に使用される
溶媒は、いずれであっても使用できる。
【0028】例えば、水、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2
−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のア
ルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール等のグリコール類、メチルグリ
コソルブ、エチルグリコソルブ等のグリコソルブ類、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環
状エーテル、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、キシレン、デカリン、ジフェニル
エーテル、アニソール、クレゾール等がある。ここで、
これらの溶媒が、貧溶媒となるか、良溶媒となるかは、
ポリコハク酸イミドに対してのみならず、ペンダント基
が導入されたポリアスパラギン酸誘導体によっても決ま
るので、導入されるペンダント基によっても変わってく
る。
【0029】ポリコハク酸イミド誘導体製造時のポリコ
ハク酸イミドもしくは架橋ポリコハク酸イミドの濃度
は、特に限定されないが、0.1〜50重量%が好まし
く、特に1〜40重量%が好ましい。架橋反応もしくは
ペンダント基導入反応は、必要により触媒を用いてもよ
い。触媒としては、一般的に、塩基触媒が用いられる。
【0030】塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金
属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチ
ウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、シュウ
酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア等の無機
系試剤、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプ
ロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミ
ン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリ
プロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペン
タノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルア
ミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルア
ミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロ
ヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミ
ン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチ
ルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、ピリジン、
ピコリン、キノリン等のアミンが挙げられる。
【0031】(5)重合体の構造 本発明の重合体は、その構造上から、大きく分けると重
合体のポリマー基本骨格、側鎖部分、架橋部分からな
る。以下、これらを3つに分けて説明する。 (5−1)重合体のポリマー基本骨格 本発明の重合体のポリマー基本骨格は、ポリグルタミン
酸、ポリアスパラギン酸等の酸性ポリアミノ酸であるの
で、グルタミン酸又はアスパラギン酸を繰り返し単位と
して主鎖を形成する。これらは、他のアミノ酸を繰り返
し単位として含んでいても構わない。共重合体として
の、グルタミン酸又はアスパラギン酸以外のアミノ酸成
分の具体例としては、例えば、20種類の必須アミノ
酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニ
ン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸
性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性ア
ミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラ
ニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ
酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を
挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L
体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。
【0032】また、重合体は、アミノ酸以外の繰り返し
単位を含む共重合体であってもよい。共重合体の繰り返
し単位の例としては、アミノカルボン酸、アミノスルホ
ン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メル
カプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプト
ホスホン酸等の脱水縮合物が挙げられる。また、多価ア
ミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン
酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン
化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド
化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合
物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナー
ト化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化
合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合
物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等の脱水縮
合物、付加物、置換体が挙げられる。共重合体である場
合は、ブロック・コポリマーであっても、ランダム・コ
ポリマーであっても構わない。また、グラフトであって
も構わない。これらの中で、高い吸水性を有するポリア
スパラギン酸及びポリグルタミン酸を基本骨格とした場
合が好ましく、さらに工業的生産に適したポリアスパラ
ギン酸が特に好ましい。
【0033】本発明の重合体のポリマー基本骨格として
は、ポリアスパラギン酸の場合は、主鎖中のアミド結合
が、α結合である場合と、β結合である場合がある。ポ
リグルタミン酸の場合は、アミド結合が、主鎖中のアミ
ド結合が、α結合である場合と、γ結合である場合があ
る。すなわち、ポリアスパラギン酸及びその共重合体の
場合は、アスパラギン酸もしくは共重合体単量体のアミ
ノ基等と、アスパラギン酸のα位のカルボキシル基と結
合した場合がα結合であり、アスパラギン酸のβ位のカ
ルボキシル基と結合した場合がβ結合である。ポリグル
タミン酸及びその共重合体の場合は、グルタミン酸もし
くは共重合体単量体のアミノ基等と、グルタミン酸のα
位のカルボキシル基と結合した場合がα結合であり、グ
ルタミン酸のγ位のカルボキシル基と結合した場合がγ
結合である。このポリアスパラギン酸の場合のα結合と
β結合、ポリグルタミン酸の場合のα結合とγ結合は、
通常混在して存在する。その結合様式は、特に限定され
ない。本発明の側鎖基及び架橋基は、基本的に酸性ポリ
アミノ酸のカルボキシル基が置換されたカルボン酸誘導
体である。その詳細を以下に説明する。
【0034】(5−2)重合体の側鎖構造 本発明の重合体は、少なくとも1個の水酸基をポリマー
側鎖部分に含むことを特徴とする。本発明における重合
体の側鎖は、ポリマー主鎖である酸性ポリアミノ酸のカ
ルボキシル基が誘導された構造をとる。本発明において
は、ポリマー側鎖部分から、上記のポリマー主鎖との結
合を除いた部分を、ペンダント基と呼ぶ。本発明の重合
体のペンダント基は、ポリマー主鎖のカルボニル基と、
N、O、Sにより結合している。すなわち、アミド、エ
ステル、チオエステル結合である。本発明の重合体の側
鎖基は、ポリマー主鎖のアミド結合に対して、アスパラ
ギン酸残基の場合は、α位に置換されていても、β位に
置換されていても構わず、グルタミン酸残基の場合は、
α位に置換されていても、γ位に置換されていても構わ
ない。
【0035】本発明の特徴の一つは、水酸基を側鎖基に
含むことにある。本発明の重合体のペンダント基は、少
なくとも1個の水酸基を有するが、水酸基以外の部分
は、主に炭素と水素から成るので、本発明では便宜的に
炭化水素基と呼ぶ。
【0036】本発明の炭化水素基としては、特に限定さ
れないが、アルキル、アラルキル、アルキルエーテル、
フェニル、ナフチル基等が挙げられる。これらは直鎖で
あっても分岐構造であっても、環状構造であっても構わ
ない。本発明の炭化水素基はその炭素の一部をO、N、
S、P、B、Si等を含む官能基にて置換されていても
構わない。すなわち、環構造の場合は、炭素原子の一部
をO、N、S、P、B、Si等で置換されていてもよ
く、また、O、N、S、P、B、Si等が誘導された、
エーテル基、エステル基、カルボニル基、ウレア基、チ
オエステル基、チオカルボニル基、スルホン基、スルホ
ニル基、スルホンアミド基、二級アミノ基、三級アミノ
基、アミド基、ホスホン基、ホスホンアミド基等の官能
基として、置換していても構わない。
【0037】また、これらの炭化水素基に対する水酸基
の置換位置も特に限定されない。それらの具体的な例と
して、便宜的に水酸基を水素で置換した状態での炭化水
素基を例示する。例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、
ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデ
シル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシ
ル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ
チル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、ベン
ジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェ
ニルブチル基等のアラルキル基、フェニル基、トリル
基、キシリル基、クロロフェニル基、ビフェニル基等の
フェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等のアリー
ル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキ
シエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル
基、ヘキシルオキシエチル基、ヘプチルオキシエチル
基、オクチルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、
ウンデシルオキシエチル基、ドデシルオキシエチル基、
トリデシルオキシエチル基、テトラデシルオキシエチル
基、ペンタデシルオキシエチル基、ヘキサデシルオキシ
エチル基、ヘプチルデシルオキシエチル基、オクチルデ
シルオキシエチル基等のアルコキシアルキル基、ポリオ
キシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキ
シアルキレン基、フェノキシエチル基等のアリールオキ
シアルキル基、ベンジルオキシエチル基、トリルオキシ
エチル基等のアラルキルオキシアルキル基、メチルチオ
エチル基、エチルチオエチル基、プロピルチオエチル
基、ブチルチオエチル基、ペンチルチオエチル基、ヘキ
シルチオエチル基、ヘプチルチオエチル基、オクチルチ
オエチル基、ノニルチオエチル基、デシルチオエチル
基、ウンデシルチオエチル基、ドデシルチオエチル基、
トリデシルチオエチル基、テトラデシルチオエチル基、
ペンタデシルチオエチル基、ヘキサデシルチオエチル
基、ヘプチルデシルチオエチル基、オクチルデシルチオ
エチル基等のアルキルチオアルキル基、ポリチオエチレ
ン基、ポリチオプロピレン基等のポリチオアルキレン
基、フェニルチオエチル基、トリルチオエチル基等のア
リールチオアルキル基、ベンジルチオエチル基等のアラ
ルキルチオアルキル基、メチルアミノエチル基、エチル
アミノエチル基、プロピルアミノエチル基、ブチルアミ
ノエチル基、ペンチルアミノエチル基、ヘキシルアミノ
エチル基、ヘプチルアミノエチル基、オクチルアミノエ
チル基、ノニルアミノエチル基、デシルアミノエチル
基、ウンデシルアミノエチル基、ドデシルアミノエチル
基、トリデシルアミノエチル基、テトラデシルアミノエ
チル基、ペンタデシルアミノエチル基、ヘキサデシルア
ミノエチル基、ヘプチルデシルアミノエチル基、オクチ
ルデシルアミノエチル基等のアルキルアミノアルキル
基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル
基、ジプロピルアミノエチル基、ジブチルアミノエチル
基、ジペンチルアミノエチル基、ジヘキシルアミノエチ
ル基、ジヘプチルアミノエチル基、ジオクチルアミノエ
チル基、ジノニルアミノエチル基、ジデシルアミノエチ
ル基、ジウンデシルアミノエチル基、ジドデシルアミノ
エチル基、ジトリデシルアミノエチル基、ジテトラデシ
ルアミノエチル基、ジペンタデシルアミノエチル基、ジ
ヘキサデシルアミノエチル基、ジヘプチルデシルアミノ
エチル基、ジオクチルデシルアミノエチル基、エチルメ
チルアミノエチル基、メチルプロピルアミノエチル基等
のジアルキルアミノアルキル基、トリメチルアンモニオ
基、トリエチルアンモニオ基、トリプロピルアンモニオ
基、トリブチルアンモニオ基、トリペンチルアンモニオ
基、ジメチルエチルアンモニオ基、ジメチルベンジルア
ンモニオ基、メチルジベンジルアンモニオ基等のトリア
ルキルアンモニウム基、メチルオキシカルボニルエチル
基、エチルオキシカルボニルエチル基、プロピルオキシ
カルボニルエチル基、ブチルオキシカルボニルエチル
基、ペンチルオキシカルボニルエチル基、ヘキシルオキ
シカルボニルエチル基、ヘプチルオキシカルボニルエチ
ル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、ノニルオキ
シカルボニルエチル基、デシルオキシカルボニルエチル
基、ウンデシルオキシカルボニルエチル基、ドデシルオ
キシカルボニルエチル基、トリデシルオキシカルボニル
エチル基、テトラデシルオキシカルボニルエチル基、ペ
ンタデシルオキシカルボニルエチル基、ヘキサデシルオ
キシカルボニルエチル基、ヘプチルデシルオキシカルボ
ニルエチル基、オクチルデシルオキシカルボニルエチル
基等のアルキルオキシカルボニルアルキル基、メチルカ
ルボニルオキシエチル基、エチルカルボニルオキシエチ
ル基、プロピルカルボニルオキシエチル基、ブチルカル
ボニルオキシエチル基、ペンチルカルボニルオキシエチ
ル基、ヘキシルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルカ
ルボニルオキシエチル基、オクチルカルボニルオキシエ
チル基、ノニルカルボニルオキシエチル基、デシルカル
ボニルオキシエチル基、ウンデシルカルボニルオキシエ
チル基、ドデシルカルボニルオキシエチル基、トリデシ
ルカルボニルオキシエチル基、テトラデシルカルボニル
オキシエチル基、ペンタデシルカルボニルオキシエチル
基、ヘキサデシルカルボニルオキシエチル基、ヘプチル
デシルカルボニルオキシエチル基、オクチルデシルカル
ボニルオキシエチル基等のアルキルカルボニルオキシア
ルキル基等が挙げられる。また、以下の具体例が挙げら
れる。
【0038】
【化4】 実際の構造はこれらの炭化水素基の水素を水酸基で置換
した構造である。
【0039】本発明の重合体のペンダント基を構成する
炭化水素基は無置換でも、置換していても良い。ペンダ
ント基を構成する炭化水素基の置換基としては、炭素数
1から18の分岐していても良いアルキル基、炭素数3
から8のシクロアルキル基、アラルキル基、置換してい
てもよいフェニル基、置換していてもよいナフチル基、
炭素数1から18の分岐していても良いアルコキシ基、
アラルキルオキシ基、フェニルチオ基、炭素数1から1
8の分岐していても良いアルキルチオ基、炭素数1から
18の分岐していても良いアルキルアミノ基、炭素数1
から18の分岐していても良いジアルキルアミノ基、炭
素数1から18の分岐していても良いトリアルキルアン
モニオ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、カチオン
基、スルホン酸基、ホスホン酸基及びこれらの塩、アル
コキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が
挙げられる。
【0040】本発明の重合体は、水酸基を含むペンダン
ト基以外に、他の側鎖基を含んでいても構わない。例え
ば、単純にイミド環を開環した構造でカルボキシル基を
持つ基、リジン等のアミノ酸残基、カルボキシル基を有
するペンダント基、スルホン酸基を有するペンダント基
等がある。ここで、カルボキシル基、スルホン酸基の場
合は、塩となっていても構わない。カルボキシル基の対
イオンとしては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、ア
ミン塩等がある。ここで、イオン性の官能基を含む場合
は、塩を含まない水に対する吸水量及び増粘効果は大き
くなるが、塩を含む水溶液に対しては小さくなる。一
方、イオン性の置換基をなくし、完全に非イオン性とし
た場合は塩を含む水溶液に対しては吸水量低下及び増粘
効果の低下は小さくなるが、塩を含まない水に対する吸
水量及び増粘効果は小さい。すなわち、使用する用途が
対象とする水溶液の塩濃度によってイオン性の官能基の
量を選べばいい。逆に言えば、イオン性と非イオン性の
官能基量を調製することにより、様々な塩水溶液に対応
できる。
【0041】以上の理由により、本発明のペンダント基
の量は特に限定されず、使用する用途によって決めれば
いい。一般的に、重合体全体に対する繰り返し単位とし
て、10〜99.8モル%が好ましく、20〜99.8
モル%がより好ましい。また、低いpH、高い塩水等に
使用する場合は、重合体全体に対する繰り返し単位とし
て、30〜99.8モル%が好ましく、50〜99.8
モル%がより好ましい。これらの、ペンダント基に対す
る置換位置は特に限定されない。
【0042】ペンダント基を構成するO、N、Sを含ん
でいてもよい炭化水素基は無置換でも、上記以外の官能
基により置換していても良い。ペンダント基を構成する
O、N、Sを含んでいてもよい炭化水素基の置換基とし
ては、炭素数1から18の分岐していても良いアルキル
基、炭素数3から8のシクロアルキル基、アラルキル
基、置換していてもよいフェニル基、置換していてもよ
いナフチル基、炭素数1から18の分岐していても良い
トリアルキルアンモニオ基、カチオン基、スルホン基、
ホスホン基及びこれらの塩等が挙げられる。具体的な例
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプチルデシル基、オクチルデシル基等の
アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、
シクロオクチル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、
フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチ
ル基等のアラルキル基、フェニル基、トリル基、キシリ
ル基、クロロフェニル基、ビフェニル基等のフェニル
基、ナフチル基、メチルナフチル基等のナフチル基、カ
チオン基、スルホン基、ホスホン基及びこれらの塩、等
が挙げられる。
【0043】ここで、置換基として、イオン性の官能基
を含む場合は、塩を含まない水に対する吸水量及び増粘
効果は大きくなるが、塩を含む水溶液に対しては小さく
なる。一方、イオン性の置換基をなくし、完全に非イオ
ン性とした場合は塩を含む水溶液に対しては吸水量低下
及び増粘効果の低下は小さくなるが、塩を含まない水に
対する吸水量及び増粘効果は小さい。すなわち、使用す
る用途が対象とする水溶液の塩濃度によってイオン性の
官能基の量を選べばいい。逆に言えば、イオン性と非イ
オン性の官能基量を調製することにより、様々な塩水溶
液に対応できる。
【0044】また、この中で架橋基の分子量が大きくな
ると相対的に繰り返し単位あたりの分子量が大きくな
り、単位重量当たりの吸水量が小さくなるので、架橋基
の分子量は小さい方がいい。また製造法が簡単なものが
好ましい。その中でも、無置換、メチル基、エチル基、
メトキシ基、メチルオキシカルボニル基、メチルカルボ
ニルオキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、カル
ボキシル基、スルホン基、ホスホン酸基及びこれらの塩
が好ましい。さらに保水剤としては、極性基の方が好ま
しいので、無置換、水酸基、アミノ基、メルカプト基、
カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基及びこれ
らの塩が特に好ましい。また、低いpH及び高い濃度の
塩水に使用する場合は、無置換、水酸基、アミノ基、メ
ルカプト基等の非イオン性基の方が好ましい。
【0045】ここで架橋部分の量は特に限定されない
が、重合体全体に対する繰り返し単位として、0.1〜
20モル%が好ましく、0.5〜10モル%がより好ま
しい。
【0046】(6)架橋酸性ポリアミノ酸系樹脂の形
状、粒子径 架橋酸性ポリアミノ酸系樹脂の形状は、不定形破砕状、
球状、粒状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール
状、微粉末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等
種々のものが使用でき、用途によって好ましい形状を使
用できる。また、繊維状基材や多孔質状や発泡体あるい
は造粒物であってもよい。これらの架橋ポリアミノ酸系
吸水性樹脂の粒子径は特に限定されないが、使用用途に
よって変わってくる。
【0047】例えば、紙オムツ用の場合は、速い吸収速
度とゲル・ブロッキングが起こらないことが望まれるの
で平均粒子径100〜1000μmが好ましく、150
〜600μmがより好ましい。止水材等の樹脂への練り
混み等に用いる場合は1〜10μmが好ましく、農園芸
用の保水材の場合は土との分散性を考慮すると100μ
m〜5mmが好ましい。いずれも使用用途によって変わ
ってくる。
【0048】(7)架橋酸性ポリアミノ酸系樹脂の使用
の形態 架橋酸性ポリアミノ酸系樹脂の使用の形態は、特に限定
されるものではなく、単独でも、他の素材と組み合わせ
て使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に混練りして
射出成形等にて成形する方法、構成樹脂のモノマーと酸
性ポリアミノ酸系樹脂及び必要により開始剤を混合後、
光もしくは熱等で重合する方法、樹脂と酸性ポリアミノ
酸系樹脂を溶剤に分散させ、キャストし、溶剤を除去す
る方法、プレポリマーと酸性ポリアミノ酸系樹脂を混合
後、架橋する方法、ポリマーと酸性ポリアミノ酸系樹脂
を混合後、架橋する方法等がある。本発明の樹脂組成物
は成型品としては、特に制限されるものではなく、固形
物、シート、フィルム、繊維、不織布、発泡体、ゴム等
として使用できる。またその成型方法としても特に限定
されるものではない。
【0049】一方、本発明で使用されるは酸性ポリアミ
ノ酸系樹脂は、単独でも、他の素材との組み合わせによ
る複合体でも構わない。複合体の構造は特に限定されな
いが、例えば、パルプ、不織布等にはさみ、サンドイッ
チ構造にする方法、樹脂シート、フィルムを支持体とし
て多層構造とする方法、樹脂シートにキャストし、二層
構造とする方法等がある。
【0050】また、本発明に使用される吸水性樹脂は必
要により、2種以上の他の吸水性樹脂と混合して用いて
も良い。また必要により食塩、コロイダルシリカ、ホワ
イトカーボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン粉末等の
無機化合物、キレート剤 等の有機化合物を添加しても
構わない。さらに酸化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線
吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香料、消臭
剤、顔料等を混合しても構わない。本発明の樹脂はゲル
状でも固形物としても使用できる。例えば、農園芸用保
水材、切り花延命剤、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤等に使用
する場合はゲルとして用い、紙おむつ用吸収体等は固形
状として用いる。
【0051】(8)架橋酸性ポリアミノ酸系樹脂の使用
用途 架橋酸性ポリアミノ酸系樹脂の使用用途は特に限定され
ないが、従来の吸水性樹脂が使用できる用途のいずれに
も使用できる。例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パッ
ト、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシン
グ材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用品、
ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭
剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャン
プー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用
品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラル
フォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽
培、植生シート、種子テープ、流体播種、結露防止用農
業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保持
材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、生
鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用
建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法
の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パッ
キング等の土木建築資材、光ファイバー等の電子機器の
シール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用記
録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、
油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水
膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性
薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0052】
【実施例】以下実施例によって本発明をより具体的に説
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重量
部」を意味する。なお、実施例中の吸水量測定、生分解
性は、以下の方法にて測定した。 (1)ティーバッグ法 吸水量の測定は食塩水とpHを変えた水溶液を対象とし
て行った。すなわち、吸水性樹脂約0.1部を不織布製
のティーバッグ(80mm×50mm)に入れ、所定の濃度
もしくはpHを変えた、過剰の溶液中に浸して、該樹脂
を1時間膨潤させた後、ティーバッグを引き上げて1分
間水切りを行い、重量を測定した。同様な操作をティー
バッグのみで行った場合をブランクとして、測定値から
ブランクの重量と吸水性樹脂の重量を減じた値を、吸水
性樹脂の重量で除した値を吸水量(g/樹脂1g)とした。
吸水量変化は、塩水溶液の場合は、蒸留水の吸水量に対
する、1%NaCl水溶液を用いた吸水量の比を表し、
pHを変えた水溶液の場合は、イオン強度を0.01モ
ル/lのリン酸緩衝液を用いて合せた、pH7の水溶液
に対する吸水量に対する、pH2の水溶液の吸水量の比
で表した。 (2)生分解性の測定 また生分解性はコンポスト法にて測定した。コンポスト
法は、ASTM D−5338.92の応用であるIS
O CD 14855に準じて行った。すなわち、まず
試験サンプルに含まれる炭素量を元素分析にて測定し
た。次に、15部の試験サンプルを800部のイノキュ
ラムに加え、58℃にて40日間行い、生成した二酸化
炭素の量を測定して、試験サンプルに含まれる炭素量を
二酸化炭素に換算した量に対する発生二酸化炭素量を生
分解率(%)として表した。ここで、生分解性しやすい
サンプルの中には、イノキュラム中の炭素分までも、分
解促進するものもあり、この場合、100%を超える値
となるものもある。
【0053】実施例1 ヘキサメチレンジアミン3.00部を蒸留水10部に溶
解した水溶液を、窒素気流下、分子量9.6万のポリコ
ハク酸イミド100部を400部のDMFに溶解した溶
液に加え、室温で30分間撹拌後、攪拌を止め、20時
間反応した。反応物を刃付き撹拌翼がついたミキサーに
移送し、蒸留水400部とメタノール400部を加え、
8000rpmにて3分間ゲルを細断し、2−エタノー
ルアミン部を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに2
4時間撹拌した。生成物をメタノール800部へ排出
し、1時間攪拌後、沈殿物吸引濾過して集め、60℃で
乾燥し、吸水性ポリマー部が得られた。吸水量変化は、
NaCl水溶液では、0.457、pH水溶液では、
0.397であり、吸水量変化は小さく、良好であっ
た。
【0054】比較例1 架橋ポリアクリル酸系樹脂(日本触媒(株)製、アクア
リックCAW)を用いて実施例1と同様に吸水量を測定
したところ、吸水量は蒸留水で350倍、生理食塩水で
55倍であった。一方、生分解性試験を行ったところ、
生分解率は2.8%であり、ほとんど生分解性を示さな
かった。また、吸水量変化は、NaCl水溶液では、
0.159 、pH水溶液では、0.082であり、吸
水量変化と大きかった。
【0055】比較例2 窒素気流下、架橋剤リジンメチルエステル・2塩酸塩6
部を200部のDMFに懸濁し、6部のトリエチルアミ
ンで中和した。該溶液に分子量13万のポリコハク酸イ
ミド50部を250部のDMFに溶解した溶液を装入
し、1時間室温で攪拌後、12部のトリエチルアミンを
適下し、室温で40時間反応させた。反応液をエタノー
ルに排出し、乾燥して架橋ポリマー50部を得た。得ら
れたポリマー26部を5000部の水に懸濁し、2Nの
NaOH水溶液を適下し、pHを9〜11に調整しなが
ら、残りのイミド環の加水分解を行った。得られた反応
懸濁液をエタノールに排出し、ろ過、乾燥して吸水性樹
脂28部を得た。この吸水性樹脂を用いて実施例1と同
様に生分解性試験を行ったところ、生分解性率は103
%であり、良好な生分解性を示した。しかし、吸水量変
化は、NaCl水溶液では、0.148、pH水溶液で
は、0.088であり、吸水量変化と大きかった。
【0056】
【発明の効果】農・園芸用等に使用される吸水体とし
て、使用後、もしくは廃棄後に生分解性することで地球
環境に優しく、吸水能に優れた吸水性樹脂が得られるよ
うになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 17/18 C09K 17/18 H C09K 101:00 (72)発明者 玉谷 弘明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋ポリコハク酸イミドに、少なくとも
    1個の水酸基を有する、アミン、アルコール、チオール
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、反
    応させることを特徴とする、分子内に式(1)[化1]
    で表される繰り返し単位を有する架橋重合体の製造方
    法。 【化1】 (ここで、R、−X−、R’及びnは、以下の通りであ
    る。Rは、少なくとも1個の水酸基を有するペンダント
    基である。−X−は、−NH−、−NR’−、−O−、
    又は、−S−である。R’は、アルキル基、アラルキル
    基、アリール基である。nは、1又は2である。)
  2. 【請求項2】 nが、1である、請求項1に記載した重
    合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 −X−が、−NH−である、請求項1又
    は2に記載した重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ペンダント基を含む単量体が、繰り返し
    単位で5〜99.8モル%である、請求項1乃至3の何
    れかに記載した重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ペンダント基を含む単量体が、繰り返し
    単位で50〜99.8モル%である、請求項1乃至4の
    何れかに記載した重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載の方法に
    よって製造された重合体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000039195A1 (fr) * 1998-12-25 2000-07-06 Mitsui Chemicals, Incorporated Procede servant a preparer un polysuccinimide
WO2000039194A1 (fr) * 1998-12-25 2000-07-06 Mitsui Chemicals, Incorporated Procedes servant a preparer une resine absorbant l'eau
JP2005344061A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Mitsui Chemicals Inc 増粘、起泡増泡作用を有するポリアミノ酸誘導体組成物

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