JP2001180983A - 親水膜被覆ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

親水膜被覆ガラスおよびその製造方法

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JP2001180983A
JP2001180983A JP36598799A JP36598799A JP2001180983A JP 2001180983 A JP2001180983 A JP 2001180983A JP 36598799 A JP36598799 A JP 36598799A JP 36598799 A JP36598799 A JP 36598799A JP 2001180983 A JP2001180983 A JP 2001180983A
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glass
film
tio
sio
hydrophilic film
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Hideki Yamamoto
秀樹 山本
Seiji Yamazaki
誠司 山崎
Keiji Honjo
啓司 本城
Yoshihiro Nishida
佳弘 西田
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
    • C03C17/3417Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials all coatings being oxide coatings

Abstract

(57)【要約】 【課題】車両用窓ガラス或いは建築用窓ガラス等の、特
に曲げ成形および/または強化処理された窓ガラスに好
適な、親水性による防汚性と雨天時等の視認性に優れた
親水膜被覆ガラスを得ること。 【解決手段】 ガラス表面に、SiO2のみ、またはA
23、TiO2、ZrO 2、SnO2、Ta25の何れ
か1つ以上とSiO2からなる下層膜と、TiO2とSi
2からなり、且つTiO2とSiO2との重量比がTi
2:SiO2=1:1〜4:1からなる上層膜が積層さ
れた親水膜を被覆すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビル用窓や車両用
窓などの窓ガラス、特に曲げ成形や強化処理された窓ガ
ラスにおいて用いられる親水性による防汚性と雨天時等
における視認性向上機能を有する親水膜被覆ガラスに関
する。
【0002】
【従来の技術】車両用窓ガラスなどに防汚性付与や雨天
時の視認性向上のための方法として、水を弾くようにす
る撥水処理と水とのなじみをよくする親水処理が知られ
ている。そのうち、親水処理としては、例えば、自動車
のドアミラー用として界面活性剤を主成分とする親水処
理スプレーがカー用品店で発売されている。また最近、
光触媒効果を利用した親水処理が注目されており、例え
ば、特開平5−253544号公報に記載のアナターゼ
型チタニアを主体とする光触媒微粉末をその一部がバイ
ンダ層表面から露出するようにした板状部材をはじめ多
数の特許が知られている。光触媒材料としても石原テク
ノのST−K01やST−K03、多木化学のタイノッ
クCA−62などのコーティング剤が発売されており、
これらを基材に塗布し常温もしくは低温での熱処理によ
り優れた光触媒効果による防汚効果を発現することが知
られている。
【0003】さらに、東陶機器のハイドロテクトウィン
ドウフィルムのように樹脂基材上に光触媒機能を有する
親水膜を形成したフィルムをガラスに貼り付けることで
視認性と防汚性を確保する商品が既に市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、界面活
性剤を使った親水処理スプレーなどは吹き付け直後は良
好な視界が確保されるが、短期間に界面活性剤が雨で流
れ落ちるため、効果を享受できる期間が非常に短いとい
う問題があった。
【0005】光触媒効果を用いた親水処理は、上述の界
面活性剤系親水処理と異なり、流れ落ちることが少な
く、また光触媒効果により汚れを分解する効果によって
長期に親水性を発現できる。しかしながら、上述の特開
平5−253544号公報記載の被膜や市販されている
光触媒コーティング剤をガラスに塗布し、光触媒機能を
有する被膜を形成する場合には大きな問題があった。ビ
ルや車両の窓に使われているガラスはNa2OとCaO
とSiO2を主成分とするソーダライムシリケートガラ
スと呼ばれるガラスであり、前述の被膜をこのガラスに
成膜した後、車両用などに用いられているガラスのよう
に曲げ成形或いは強化処理のための熱処理を行うと、熱
処理の際に主にナトリウムがガラスから被膜中に溶出
し、光触媒効果を発現する半導体(例えばアナターゼ型
チタニア)の光触媒効果を著しく減少・消失させてしま
う問題があった。このため基材がガラスの場合には、著
しく被膜の膜厚を増やすか或いは基材の表面に接合され
た透明で光触媒性半導体材料を含む層を備えた乗り物用
前後方窓ガラスについて記載された特開平9−2271
59号公報のように、曲げ成形或いは強化処理のための
熱処理を行った後に光触媒膜を低温で処理するかしかな
く、膜強度などの耐久性面で十分満足できるものが得ら
れず、長期に効果を享受できない問題があった。また、
光触媒機能を有する親水膜が付いたフィルムをガラスに
貼り付ける場合についても、強度の問題や、基材のフィ
ルム自体の劣化などの問題があり、長期に効果を享受で
きなかった。
【0006】これらの問題に加え、任意のガラスサイズ
で形状を作ることや、成膜の容易さや品質管理のし易さ
などから、車両へのガラス装着前に、既にガラス表面に
親水膜が形成されており、しかも光触媒効果による親水
性と耐久性があるガラスが望まれている。特に、平板状
のガラスに親水膜を成膜したのち、曲げ成形や強化処理
などの熱処理を行っても光触媒効果による親水性能が十
分に発揮される光触媒作用を有する親水膜被覆ガラスが
求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑みてなしたものであり、ガラス表面に、SiO2
み、またはAl23、TiO2、ZrO2、SnO2、T
25の何れか1つ以上とSiO2からなる下層膜と、
その上にZrO2とTiO2とSiO2からなる上層膜を
積層し、特に上層膜の成分比を限定した親水膜を被覆す
ることにより、該ガラスは曲げ成形および/または強化
処理などの高温での熱処理を行っても、長期に亘って優
れた親水機能を発現するのに必要な光触媒効果と耐摩耗
性などの耐久性を十分に発現できることを見出した。
【0008】すなわち、本発明の親水膜被覆ガラスは、
ガラス表面にSiO2のみ、またはAl23、TiO2
ZrO2、SnO2、Ta25の何れか1つ以上とSiO
2からなる下層膜と、TiO2とSiO2からなり、且つ
TiO2とSiO2との重量比がTiO2:SiO2=1:
1〜4:1からなる上層膜が積層されてなることを特徴
とする。
【0009】また、本発明の親水膜被覆ガラスは、上層
膜の重量に対して、30重量%以下のZrO2をさらに
含有することを特徴とする。
【0010】さらに、本発明の親水膜被覆ガラスは、下
層膜、上層膜の膜厚は、何れも50nm〜200nmで
あることを特徴とする。
【0011】さらに、本発明の親水膜被覆ガラスは、下
層膜がその膜中にAl23が含まれない場合には、下層
膜の全酸化物に対するSiO2含有量は50重量%以上
であり、Al23が含まれる場合には、下層膜の全酸化
物に対して、SiO2とAl23の合計の含有量が40
重量%以上であることを特徴とする。
【0012】さらにまた、本発明の親水膜被覆ガラス
は、親水膜を有した状態でガラスが曲げ成形および/ま
たは強化処理されていることを特徴とする。
【0013】さらに、本発明の親水膜被覆ガラスは、反
射刺激純度が10%以下であることを特徴とする。
【0014】さらに、本発明の親水膜被覆ガラスは、親
水膜が車両用窓ガラスの車外側となるように装着されて
なることを特徴とする。
【0015】また、本発明の親水膜被覆ガラスの製造方
法は、下記工程からなることを特徴とする。 ガラス表面に、SiO2用原料を含む下層膜用原料か
らなる塗布液を塗布する工程、 SiO2用およびTiO2用の各原料を含む上層膜用塗
布液を塗布する工程、 560℃〜700℃の温度で熱処理することにより、
親水膜を形成する工程。
【0016】さらに、本発明の親水膜被覆ガラスの製造
方法は、親水膜を形成した後にガラスを熱処理すること
により曲げ成形および/または強化処理することを特徴
とする。
【0017】さらに、本発明の親水膜被覆ガラスの製造
方法は、上層膜用のTiO2の出発原料として、一次粒
子の平均粒径が30nm以下の結晶性微粒子(Tp)お
よび/またはそのゾル(Tps)と非結晶性原料(T
a)を用いて、これらの割合をTiO2換算で、Ta/
(Tp+Tps+Ta)=0〜0.5とすることを特徴
とする。
【0018】またさらに、本発明の親水膜被覆ガラスの
製造方法は、熱処理を行う前に300℃〜620℃の温
度でガラスの予備加熱処理を行うことを特徴とする
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、ガラス表面にSiO2
のみ、またはAl23、TiO2、ZrO2、SnO2
Ta25の何れか1つ以上とSiO2からなる下層膜
と、その上にZrO2とTiO2とSiO2からなる上層
膜を積層し、高温で熱処理することにより光触媒機能を
有する親水膜被覆ガラスを作製することができる。
【0020】基材に用いるガラスは、特に特殊なガラス
である必要はなく、通常の車両用窓ガラスならびに建築
用窓ガラスなどに用いられているNa2OやCaOなど
のアルカリ成分やアルカリ土類成分を含むシリケートガ
ラスを用いることができる。また無着色のクリアをはじ
めグリーン、ブロンズなどの色に着色したガラスも用い
ることができる。
【0021】ガラス表面に形成される下層膜の成分のS
iO2は、熱処理時のガラスから溶出物の上層膜への侵
入を抑制する。さらに、SiO2以外の含有量の調整に
より化学的耐久性向上や、上層膜とガラスとの密着性向
上や、親水膜付きガラスの反射光の刺激純度を抑えるこ
とができる。特に、耐酸性、耐アルカリ性、耐水性など
の化学的耐久性を向上させるためには、各酸化物の電荷
が零になるpH(Poin-t of Zero Ch
arge)を参考に各酸化物の含有量比を選択する。
【0022】また反射光の刺激純度を抑えるには、下層
膜中のそれぞれの屈折率の異なる酸化物の含有比と膜厚
を、上層膜の屈折率と膜厚に合わせて制御する。本発明
で用いられる上層膜の屈折率はガラスよりも高く、下層
膜の屈折率制御を行わない場合、紫色などのガラス本来
の反射色と大きく異なる色になる場合があり、用途によ
っては商品性を大きく損なうことがある。この際には組
成と膜厚調整により一般に無光彩と言われる刺激純度を
10%以下に制御することができる。これらのことか
ら、下層膜にAl23が含まれない場合は、下層膜の全
酸化物に対するSiO2含有量は50重量%以上が好ま
しい。また下層膜にAl23が含まれる場合は、下層膜
の全酸化物に対して、SiO2とAl23の合計の含有
量が40重量%以上が好ましい。なお、下層膜の最終膜
厚は、ガラスからの溶出物抑制と耐摩耗性などの耐久性
から50nm〜200nmにすることが好ましい。ま
た、下層膜に用いられるSiO2、Al23、TiO2
ZrO2、SnO2、Ta25の原料としては、例えば各
種金属アルコキシド、硝酸塩、塩化物や、熱処理後に各
種酸化物となる市販の薬液を用いることできる。
【0023】下層膜上に形成される上層膜は、親水性と
耐久性を向上する成分のSiO2と主に光触媒効果を発
現する成分のTiO2からなり、光触媒効果と耐久性、
特に耐摩耗性から、上層膜中のTiO2とSiO2の比を
重量比でTiO2:SiO2=1:1〜4:1にする必要
がある。その最終膜厚は光触媒効果と親水性、耐久性か
ら50nm〜200nmにすることが好ましい。ZrO
2は、SiO2と併用して耐アルカリ性をはじめとする化
学的耐久性と光触媒活性を向上する効果があるが、上層
膜の全酸化物量に対する含有量が30重量%を超えると
上層膜が白濁してガラスとしての外観が損なわれるた
め、含有量を0〜30重量%にする必要がある。
【0024】上層膜を構成するZrO2の原料として
は、最終熱処理後に酸化ジルコニウムを生成するもので
あればよく、ジルコニウムプロポキシドやジルコニウム
ブトキシドなどの金属アルコキシドや、塩化ジルコニウ
ムやオキシ塩化ジルコニウム(8水和物)などの塩化
物、オキシ硝酸ジルコニウム(2水和物)などの硝酸
塩、Zr(OCm2m+1xCly(m,x,y:整数、
x+y=4)で表される塩素含有ジルコニウムアルコキ
シドなどが使用できる。
【0025】上層膜を構成するSiO2の原料として
は、最終熱処理後に酸化ケイ素を生成するものであれば
よく、例えば、テトラメトキシシランやテトラエトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシランなどのアルコキシシランや、それらの加水分解
物や重縮合物およびアセチルアセトンなどの安定化剤で
安定化したもの、また粒子径40nm以下の微粒子シリ
カや、さらに市販のシリカ薬液、例えばコルコートP
(コルコート製)、MSH2(三菱化学製)、CSG−
DI−0600(チッソ製)、IPA−ST(日産化学
工業)などを用いることが出来る。
【0026】上層膜を構成するTiO2の原料として
は、ガラスの透明性を保つため一次粒子の平均粒径が3
0nmの結晶性微粒子(Tp)および/またはそれを溶
媒に分散したゾルを用いることができ、例えば、粉体状
の光触媒用TiO2微粒子(Tp)としては、例えば、
ST−01、ST−21(石原テクノ製)、SSP−2
5、SSP−20(堺化学工業製)、PC−101(チ
タン工業製)、スーパータイタニアF−6、スーパータ
イタニアF−5(昭和タイタニウム製)、DN−22A
(古河機械金属製)などを用いることが可能である。ま
た、結晶性微粒子分散ゾル薬液(Tps)としては、例
えば、STS−01、STS−02(石原テクノ製)、
A−6、M−6(多木化学製)などを用いることも可能
であり、さらに、光触媒用TiO2微粒子とシリカ原料
との混合物であるST−K01、ST−K03(石原テ
クノ製)なども用いることができる。さらに下層膜との
密着性向上や耐摩耗性などの耐久性を向上させるために
TiO2の原料に結晶性微粒子(Tp)や結晶性微粒子
分散ゾル(Tps)に、チタンイソプロポキシドやチタ
ンブトキシドなどのTiアルコキシドやTiCl4のよ
うな塩化物、Ti(OCm2m+1xCly(m,x,
y:整数、x+y=4)で表される塩素含有ジルコニウ
ムアルコキシドなど、およびそれらをアセチルアセトン
などの安定化剤で安定化したものなどの非結晶性原料
(Ta)を混合することもできる。なお、粉体状の光触
媒用TiO2微粒子は、粉体を液体に分散するのに一般
的に用いられる混合操作、例えばボールミルなどで容易
に被膜薬液に分散することができ、その際ZrO2源や
SiO2源、非結晶性TiO2原料(Ta)と一緒に混合
・分散しても問題ない。この際、一次粒子の平均粒径が
30nm以下の結晶性微粒子(Tp)および/またはそ
のゾル(Tps)と非結晶性原料(Ta)の割合がTi
2換算で、Ta/(Tp+Tps+Ta)が0.5を
超えると上層膜が白濁してガラスとしての透明性が損な
われるため、Ta/(Tp+Tps+Ta)は0〜0.
5、好ましくは0.03〜0.45、にすることが望ま
しい。
【0027】ガラス表面に下層膜と上層膜を成膜した後
は、例えば、車両用ガラスに対しては、必要な形に切断
された後、さらに曲げ成形、場合によってはドアガラス
やバックウインドウガラスのように曲げ成形および/ま
たは強化処理するためにガラス温度で560℃〜700
℃、より好ましくは600℃〜700℃の高温で熱処理
を行う。このことにより、ガラスが曲げ成形および/ま
たは強化処理されると共に、下層膜と上層膜が強固にガ
ラスに焼き付き、十分な耐久性を得ることができる。さ
らに上層膜のTiO2の結晶性が一部向上する効果もあ
る。なお、自動車用窓ガラス以外のガラスについては、
高温での熱処理の際の曲げ成形、強化処理を行わないこ
ともできる。
【0028】なお、ガラス上に下層膜と上層膜を成膜し
た後に上記高温での熱処理を行う前に、ガラスを切断す
る際や一時保管などの工程を経る場合の傷や湿度などに
よる膜の変質を防ぐなどの生産上の目的から、下層膜と
上層膜をガラス上に積層した後、560〜700℃で熱
処理する前にガラス温度で300℃〜620℃、より好
ましくは450℃〜620℃で予備加熱し、被膜にある
程度の強度を持たせることを必要に応じて行うこともで
きる。なお、これらの予備加熱については、曲げ成形や
強化処理を行う車両用ガラス以外にも、例えばビルの強
化窓や半強化窓などの高温で熱処理を行う場合に対して
も同様である。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、本発明の親水膜被覆ガラスの評価方
法を以下に示す。
【0030】〔評価方法〕得られたサンプルについて、
車両用の車外側に親水膜を用いた親水膜付きバックウイ
ンドガラスとして下記の評価を行った。評価結果を表1
に示した。
【0031】初期ヘーズ ガラスに必要な透視性を評価するためにヘーズ値(曇
価)を測定した。ヘーズ値H0が1%以下を合格(○)
とし、H0が1%より大きいものは不合格(×)とし
た。
【0032】耐摩耗性 実使用において膜が容易に剥離せず、また使用中に著し
く傷つき白濁することがないことを確認するために、摩
耗ホイールCS−10F、荷重500gfでテーバー式
摩耗試験でヘーズ値を評価した。判定は、初期ヘーズ値
0と1000回転中の最大ヘーズ値HMaxとのヘーズ変
化量△H(△H=HMax−H0)が△H≦2%であり、か
つ1000回転後に親水膜が残っている場合を合格
(○)とし、△H>2%または1000回転後に親水膜
が剥離しているものを不合格(×)とした。
【0033】光触媒活性 表面に付いた汚れを分解する能力の光触媒活性をステア
リン酸の分解度で評価した。評価方法は、Parago
n 1000(Perkin−Elmer Co.,
Ltd.製FT−IR分光装置)を用いて、2910c
-1から2920cm-1に現れるステアリン酸のC−H
伸縮振動に起因するピーク強度(吸光度A)を、ステア
リン酸塗布前Abとステアリン酸塗布時A0および紫外線
を1時間照射した後A1についてそれぞれ求め、ピーク
強度の変化量:{(A0−Ab)−(A1−Ab)}×10
00を算出しステアリン酸の分解度とした。(ステアリ
ン酸分解度が大きいほど光触媒活性は高くなる)。な
お、ステアリン酸のサンプルへの塗布は3wt%ステア
リン酸−エタノール溶液にサンプルを浸漬し、8mm/
secで引き上げることで行った。紫外線源にはブラッ
クライトFL15BLB(東芝電気製)を用いて、サン
プル表面の紫外線強度を4mW/cm2(365nm)
とした。判定は、前記ピーク強度の変化量が5以上の場
合を合格(○)とし、5未満を不合格(×)とした。
【0034】親水維持性 防汚性と雨天時の視認性を向上させるためには光触媒活
性以外に一度親水化された表面の親水性がある期間維持
されることが重要である。親水維持性は、サンプル作製
後、7日間紫外線強度1μW/cm2(365nm)以
下の環境下の実験室に放置した後の水に対する接触角で
評価した。判定は、7日後の接触角θがθ≦20゜を合
格(○)とし、θ>20゜を不合格(×)で示した。
【0035】
【実施例1】〔サンプル作製〕下層膜の被膜薬液のTi
2原料にチタンイソプロポキシドをアセチルアセトン
で安定化したものを、SiO2原料にCSG−DI−0
600(チッソ製)を用いて、溶媒にエタノール(キシ
ダ化学製)を用いて、下層膜の成分比が酸化物重量換算
で27TiO2・73SiO2になるよう調合した。上層
膜の被膜薬液のSiO2原料にCSG−DI−0600
(チッソ製)、結晶性TiO2微粒子原料とSiO2原料
にST−K01(TiO2:SiO2=8:2[酸化物重
量換算]、石原テクノ製)を用いて、溶媒にエタノール
(キシダ化学製)と1−メトキシ−2−プロパノール
(キシダ化学製)を用いて、被膜成分比が酸化物重量換
算で40SiO2・60TiO2(結晶性TiO2微粒子
原料からのTiO2)になるよう調合した。
【0036】次に水と洗剤とセリアでよく洗浄したグリ
ーン色のフロートガラス板(ソーダライムシリケートガ
ラス、ガラスサイズ:1000mm×1800mm、ガ
ラス厚み:3.5mm)に、ディップコート法で下層膜
被膜薬液を用いてコートし、200℃で乾燥し、ガラス
温度を室温に下げた後、さらに上層膜被膜薬液を用いて
コートし、200℃で乾燥した後、ガラス温度で600
℃で熱処理を行い、所定の形状に切断、シーミング、黒
枠と熱線のプリントの前処理を行い、ガラス温度で最高
650℃で曲げ焼成を行うことにより、膜厚が80nm
で屈折率が1.60の27TiO2・73SiO2の下層
膜と膜厚が80nmで屈折率が1.69の40SiO2
・60TiO2(結晶性TiO2微粒子原料からのTiO
2)の上層膜で被膜されたバックウインドウガラスを得
た。
【0037】〔評価結果〕得られた親水膜被覆ガラスを
前記に示す方法で評価した結果、表1に示すように、サ
ンプルは光触媒活性を持ちつつ、車両用の窓ガラス(膜
側が車外側)に使用しても充分な耐摩耗性と親水性を有
していた。さらに”JIS Z 8701記載の刺激純
度の求め方”でサンプルの可視光反射の刺激純度を求め
たところ、6.5%と低い値が得られ、見た目にも親水
膜を設けたことによる大きな反射色の変色はなく、商品
性を大きく損なうことはなかった。
【0038】なお、通常のバックウインドウガラスをリ
ファレンスとして実際に屋外曝露して汚れの付き具合を
評価したところ、被膜の付いていないガラスに比べて格
段に汚れが少ないことが確認できた。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例2】上層膜の被膜薬液のZrO2原料にZrO
Cl2(キシダ化学製)、SiO2原料にCSG−DI−
0600(チッソ製)、SiO2原料と結晶性TiO2
粒子原料にMSH2(三菱化学製)とPC−101(チ
タン工業製)とをエタノール(キシダ化学製)にボール
ミルで分散した薬液を用いて、さらに非結晶性TiO 2
原料にチタンイソプロポキシド(キシダ化学製)をアセ
チルアセトン(キシダ化学製)で安定化した薬液を用い
て、溶媒にエタノールと1−メトキシ−2−プロパノー
ル(キシダ化学製)を用いて、被膜成分比が酸化物重量
換算で10ZrO2・30SiO2・40TiO2(結晶
性TiO2微粒子原料からのTiO2)・20TiO
2(非結晶性TiO2原料からのTiO2)になるよう調
合し、曲げ焼成後に膜厚が85nmで屈折率が1.77
の10ZrO2・30SiO2・40TiO2(結晶性T
iO2微粒子原料からのTiO2)・20TiO2(非結
晶性TiO2原料からのTiO2)の上層膜になるように
した以外は実施例1と同様に行った。
【0041】表1に示すように、サンプルは光触媒活性
を持ちつつ、車両用の窓ガラス(膜側が車外側)に使用
しても充分な耐摩耗性と親水性を有していた。また可視
光反射の刺激純度は0.3%と非常に低い値が得られ、
見た目にも親水膜を設けたことによる反射色の変色がな
く基板としたガラスと比べて全く違和感がなかった。さ
らにサンプルの耐酸性と耐アルカリ性を調べるため、2
3℃±2℃に保った1規定の塩酸に24時間浸漬後の外
観評価と、23℃±2℃に保った1規定の水酸化ナトリ
ウムに8時間浸漬後の外観評価を行ったが、全く変化が
なく優れた耐薬品性を有していた。
【0042】なお、通常のバックウインドウガラスをリ
ファレンスとして実際に屋外曝露して汚れの付き具合を
評価したところ、被膜の付いていないガラスに比べて格
段に汚れが少ないことが確認できた。
【0043】
【実施例3】上層膜の被膜薬液の被膜成分比が酸化物重
量換算で40SiO2・40TiO2(結晶性TiO2
粒子原料からのTiO2)・20TiO2(非結晶性Ti
2原料からのTiO2)になるように調合し、曲げ焼成
後に膜厚が80nmで屈折率が1.67の40SiO2
・40TiO2(結晶性TiO2微粒子原料からのTiO
2)・20TiO2(非結晶性TiO2原料からのTi
2)の上層膜になるようにした以外は実施例2と同様
に行った。
【0044】表1に示すように、サンプルは光触媒活性
を持ちつつ、車両用の窓ガラス(膜側が車外側)に使用
しても充分な耐摩耗性と親水性を有していた。また可視
光反射の刺激純度を求めたところ、8.5%と低い値が
得られ、見た目にも親水膜を設けたことによる大きな反
射色の変色はなく、商品性を大きく損なうことはなかっ
た。なお、通常のバックウインドウガラスをリファレン
スとして実際に屋外曝露して汚れの付き具合を評価した
ところ、被膜の付いていないガラスに比べて格段に汚れ
が少ないことが確認できた。
【0045】
【比較例1】上層膜の被膜薬液の結晶性TiO2微粒子
原料とSiO2原料にST−K01(TiO2:SiO2
=8:2[酸化物重量換算]とエタノール(キシダ化学
製)と1−メトキシ−2−プロパノール(キシダ化学
製)を用いて、下層膜を設けずガラス上に直接ST−K
01の被膜を成膜し、曲げ焼成後に膜厚が300nmに
なるようにした以外は実施例1と同様に行った。表1に
示すように、耐摩耗性がなかった。
【0046】
【比較例2】被膜薬液にST−K03(TiO2:Si
2=5:5重量比、石原テクノ製)とエタノール(キ
シダ化学製)と1−メトキシ−2−プロパノール(キシ
ダ化学製)を用いて、下層膜を設けずガラス上に直接S
T−K03の被膜を成膜し、曲げ焼成後に膜厚が90n
mになるようにした以外は実施例1と同様に行った。表
1に示すように、光触媒活性がなかった。
【0047】
【比較例3】上層膜の被膜薬液の被膜成分比が酸化物重
量換算で60SiO2・40TiO2(結晶性TiO2
粒子原料からのTiO2)になるように調合し、曲げ焼
成後に60SiO2・40TiO2(結晶性TiO2微粒
子原料からのTiO2)の上層膜になるようにした以外
は実施例2と同様に行った。表1に示すように、光触媒
活性がなかった。
【0048】
【比較例4】上層膜の被膜薬液の被膜成分比が酸化物重
量換算で40SiO2・20TiO2(結晶性TiO2
粒子原料からのTiO2)・40TiO2(非結晶性Ti
2原料からのTiO2)になるように調合し、曲げ焼成
後に40SiO2・20TiO 2(結晶性TiO2微粒子
原料からのTiO2)・40TiO2(非結晶性TiO2
原料からのTiO2)の上層膜になるようにした以外は
実施例3と同様に行った。表1に示すように、初期ヘー
ズが不合格で視認性がなかった。
【0049】
【比較例5】上層膜の被膜薬液の被膜成分比が酸化物重
量換算で50ZrO2・10SiO2・40TiO2(結
晶性TiO2微粒子原料からのTiO2)になるよう調合
し、曲げ焼成後に50ZrO2・10SiO2・40Ti
2(結晶性TiO2微粒子原料からのTiO2)の上層
膜になるようにした以外は実施例2と同様に行った。表
1に示すように、初期ヘーズが不合格で視認性がなかっ
た。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明の親水膜被覆ガラ
スによれば、親水性による雨天時の視認性向上や防汚な
どの目的で、車両用の窓ガラスの車外側に親水膜を使う
ような耐久性を要する使用環境でも、曲げ成形及び/ま
たは強化処理のための熱処理前に親水膜を成膜しても十
分な耐久性と光触媒による親水性や防汚性などを持つガ
ラスを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本城 啓司 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 (72)発明者 西田 佳弘 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 Fターム(参考) 4G059 AA01 AB06 AB09 AB11 AC21 GA01 GA12

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス表面に、SiO2のみ、またはAl2
    3、TiO2、ZrO2、SnO2、Ta25の何れか1
    つ以上とSiO2からなる下層膜と、TiO2とSiO2
    からなり、且つTiO2とSiO2との重量比がTi
    2:SiO2=1:1〜4:1からなる上層膜が積層さ
    れた親水膜を有することを特徴とする親水膜被覆ガラ
    ス。
  2. 【請求項2】上層膜の重量に対して、30重量%以下の
    ZrO2をさらに含有することを特徴とする請求項1記
    載の親水膜被覆ガラス。
  3. 【請求項3】下層膜、上層膜の膜厚は、何れも50nm
    〜200nmであることを特徴とする請求項1または2
    記載の親水膜被覆ガラス。
  4. 【請求項4】下層膜は、その膜中にAl23が含まれな
    い場合には、下層膜の全酸化物に対するSiO2含有量
    は50重量%以上であり、Al23が含まれる場合に
    は、下層膜の全酸化物に対して、SiO2とAl23
    合計の含有量が40重量%以上であることを特徴とする
    請求項1または3記載の親水膜被覆ガラス。
  5. 【請求項5】ガラスは、親水膜を有した状態で曲げ成形
    および/または強化処理されていることを特徴とする請
    求項1乃至4記載の親水膜被覆ガラス。
  6. 【請求項6】反射刺激純度が10%以下であることを特
    徴とする請求項1乃至5記載の親水膜被覆ガラス。
  7. 【請求項7】親水膜が車両用窓ガラスの車外側となるよ
    うに装着されてなることを特徴とする請求項1乃至6記
    載の親水膜被覆ガラス。
  8. 【請求項8】下記工程からなる請求項1記載の親水膜被
    覆ガラスの製造方法。 ガラス表面に、SiO2用原料を含む下層膜用原料か
    らなる塗布液を塗布する工程、 SiO2用およびTiO2用の各原料を含む上層膜用塗
    布液を塗布する工程、 560℃〜700℃の温度で熱処理することにより、
    親水膜を形成する工程。
  9. 【請求項9】親水膜を形成した後にガラスを熱処理する
    ことにより、曲げ成形および/または強化処理すること
    を特徴とする請求項8記載の親水膜被覆ガラスの製造方
    法。
  10. 【請求項10】上層膜用のTiO2の出発原料として、
    一次粒子の平均粒径が30nm以下の結晶性微粒子(T
    p)および/またはそのゾル(Tps)と非結晶性原料
    (Ta)を用いて、これらの割合をTiO2換算で、T
    a/(Tp+Tps+Ta)=0〜0.5とすることを
    特徴とする請求項8または9記載の親水膜被覆ガラスの
    製造方法。
  11. 【請求項11】熱処理を行う前に300℃〜620℃の
    温度でガラスの予備加熱処理を行うことを特徴とする請
    求項8乃至10記載の親水膜被覆ガラスの製造方法。
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WO2005102954A1 (ja) * 2004-04-26 2005-11-03 Koa Glass Co., Ltd 多発色ガラス容器およびその製造方法

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WO2005102954A1 (ja) * 2004-04-26 2005-11-03 Koa Glass Co., Ltd 多発色ガラス容器およびその製造方法
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