JP2001179388A - 歯車及び歯車の製造方法 - Google Patents

歯車及び歯車の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度で、寸法精度が高い歯車を提供する。 【解決手段】 切断材1を無酸化雰囲気内で加熱した
後、熱間鍛造にて、潰された素材から、歯形を含み完成
寸前の形状をした成形品4を一気に形成し、その成形品
に歯研を実行して完成品7とする。前記成形品4には、
歯面の歯筋方向に対する角部に予め湾曲面を付与してお
く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車や産
業機械等、高トルク伝達用の変速機に好適利用できる精
度の高い歯車及び歯車の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】変速機等に使用される歯車は、これまで
図7に示すように、切断材1を潰し、鍛造手段を利用し
て形成された歯形のない母体8の周面に切削(ホブ切
り)加工して歯形付きの成形品4とし、その成型品4に
歯研を行って完成品7とするのが一般的であったが、そ
のようにして形成された切削歯車は切削によりフローラ
インが切断されてしまうので、歯形部の強度低下を招
き、材質を厳選したりショットピーニング処理を施すな
どの対策が必要となる。そこで、鍛造手段を利用して母
体と同時に歯形を成形する、いわゆる歯形付きの成形品
を得ようとする試みがなされ、実用化も進んでいる。鍛
造手段は大きく分けて熱間鍛造と冷間鍛造とがあるが、
熱間鍛造品は材料やダイの温度変化が大きく、ダイの摩
耗による寸法変化を起こしやすいし、冷間鍛造品は、加
圧時におけるダイや材料の応力変動の影響を受けやすい
ため、母体の成型と同時に形成された歯形はばらつきが
多く、精度も低い。そこでそのような歯形は、切削加工
により精度アップしなくてはならず、又その中でも特に
高い精度が要求される製品には、歯研を追加して表面仕
上げを行っている。従って高い精度が要求される歯車
は、鍛造工程に加え、切削工程や歯研(研磨工程)な
ど、その他の工程が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、盛んに合理化が
叫ばれるようになり、前記歯車の製造分野においては、
従来、少なくとも鍛造工程、切削工程、歯研工程等で製
造を可能としたものに、更なる工程の削減が望まれてい
る。しかし、そのために切削工程を省略すると、歯研工
程にてその省略した切削工程に相当する分を補わなくて
はならなくなって、工程が省略される反面、加工時間が
大幅に増加して作業性が損なわれてしまうし、一回当た
りの切り込み深さを大きくして加工時間を短縮しようと
すると、砥石の破損を招きやすくなるといった問題が生
じてしまう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、工程の削減
と、歯研における一回当たりの切り込み深さの増加を図
り、歯車製造の合理化を目的とした技術であって、その
構成は、鍛造手段にて成型された歯形付きの成形品に、
切削加工することなく歯研工程を実行して形成された歯
車と、歯面の歯筋方向に対する角部が湾曲面に形成され
た歯形付きの成形品を形成する鍛造工程と、その成形品
の歯形部に研磨を施す歯研工程とを含む歯車の製造方法
とにあり、前記歯車は、鍛造手段にて歯面の歯筋方向に
対する角部が湾曲面に形成された歯形付きの成形品に、
切削加工することなく歯研工程を実行することによって
形成することが望ましい。又、前記歯車は、鍛造手段に
熱間鍛造を利用することができると共に、前記歯車の製
造方法にあっては、鍛造工程を熱間鍛造とすることがで
きる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に係る鍛造歯車の製造方法
を、その他の工程を付加することにより精度を極限にま
で高めた好ましい実例について図面に基づき説明する。
図1は製造工程を例示したもので、第1工程では完成品
とほぼ同等のボリュームを持つ円柱形の切断材1を出発
材料として、これを無酸化雰囲気内で加熱し、熱間鍛造
にて前記切断材を適当なボリューム配分にすべく、据え
込みによる潰し工程と、その潰された素材2を完成品に
近い形状(歯形を含む)に加圧圧縮する荒形成工程と、
完成品に近い形状となった荒形成品3の素材各部の精度
を向上させて完成寸前の形状(歯形を含む)をした成形
品4に成形する仕上げ成形工程とを実行する。
【0006】前記熱間鍛造では、同時に歯形も形成され
るので、母体の周囲に形成された歯形のフローラインは
連続し、機械加工に比べて歯形部の強度が高いものとな
って、材質にこだわったりショットピーニング処理など
を施す必要もなくなって、生産性に優れ、歩留りも向上
する。又前記成形品には、図2に例示するように、歯形
5には、歯面の歯筋方向に対する角部に、曲率半径が
0.2mm程度の湾曲面Rが付与されている。
【0007】前記熱間鍛造にて得られた完成寸前の形状
をした成形品を熱処理する場合は、無酸化焼準の技術を
採用する。そして熱処理した素材は、表面処理として、
ショットブラストによる素材表面に発生したスケールの
除去と、歯形形成部を除く端面や孔の内周面などを所定
の寸法にするための切削加工とを施す。前記ショットブ
ラスト処理では、前記熱間鍛造時における材料加熱と焼
準工程のいずれもを無酸化雰囲気内で行うと、表面の脱
炭現象とスケールの発生が抑制され、スケールの除去厚
みは少なくなる。そのためショット粒には(例えば0.
5mm程度の)細かいものを使用することができ、その結
果仕上げ面の粗度が細かくなって、続く研削加工での研
削代が少なくて済み、素材の無駄が殆どなく歩留まりが
よい。
【0008】その後浸炭処理を行い、最後に歯研を実行
し、完成品7とする。前記鍛造工程で形成された完成寸
前の形状をした成形品は、表面処理を終えた段階では、
歯面の歯筋方向に対する角部に少なくともに曲率半径が
0.2mm程度の湾曲面が付与されている。このような
成形品に歯研を行うと、図3(a)〜(c)に示すよう
に、歯形5の湾曲面Rに対する砥石6接触部が徐々に広
がって、急激なショックを受けることがないので、少な
い切り込み深さで何度も繰り返えさず、一気に深く切り
込んでも砥石が破損することがなくなり、切り込み深さ
が0.2mm程度であれば、数回の往復により滑らかな
表面に仕上げることができ、且つ硬度確保に必要な浸炭
深さも満足する。一方では、鍛造装置におけるキャビテ
ィやパンチには、成形品における歯面の歯筋方向に対す
る角部に対応する部分が鋭角部になっていないので、加
圧時の摩擦による局部的な温度上昇が抑えられるばかり
か、摩耗が減少し、応力集中による型の破損も防止され
る。
【0009】尚、前記鍛造手段により形成される歯形
は、平歯ばかりでなくヘリカル歯も含むものであり、ヘ
リカル歯の場合も、図4で示すように、歯形5における
歯面の歯筋方向に対する角部に湾曲面Rを形成する。
又、製品として納入する歯車には、歯面の歯筋方向に対
する角部に面取りが要求されるものが多く、わざわざ面
取り部を切削加工しているが、そのような歯車では、図
5の(a)〜(c)に示すように、鍛造工程で予め面取
り部分Hを湾曲面Rに連続して形成しておけば、前記実
施例と同様に、砥石6による歯研において、研磨代を大
きく取ることができるし、面取り部Hは歯研後も残るの
で、面取り用の切削工程が不要となる。そしてヘリカル
歯を形成するには、例えば特許第2832325号公報
に記載のように、少なくともダイ或いはエジェクタを回
転自在とし、回転させつつ取出し可能とした装置が好適
利用される。又、成形する歯車は、少なくとも片側面に
ボス部を設けたり、そのボス部にドッグ歯を一体形成し
たものなど、各種形態に適用される。
【0010】前記実施例では、素材表面に発生したスケ
ールを除去するためのショットブラストや、歯形形成部
を除く端面や孔の内周面などを所定の寸法にするための
切削加工といったその他の工程を付加したものを説明し
たが、その他の工程は省略される場合もあるし、鍛造手
段は、熱間鍛造のみ、冷間鍛造のみ、或いは熱間鍛造と
冷間鍛造とを併用することも可能である。そこで最もシ
ンプルな例を、図6に基づいて説明する。尚、符号は前
記第1実施例で使用したものを利用した。先ず、完成品
とほぼ同等のボリュームを持つ円柱形の切断材1を出発
材料として、これを無酸化雰囲気内で加熱して潰し、熱
間鍛造工程にて一気に完成寸前の形状(歯形を含む)を
した成形品4を成形する。その成形品4に歯部以外の切
削及び浸炭処理を施した後、第二工程である歯研を実行
し、完成品とする。
【0011】このようにして、わずか二工程のみで高精
度の歯車を完成させることも実現可能である。而もこの
実施例では、鍛造工程として熱間鍛造工程を採用するこ
とにより、安価にて製造できるばかりでなく、モジュー
ルの大きい大型の製品を製造することも可能となる。い
ずれの実施例においても、製造された歯車は鍛造により
形成されているので、フローラインが連続した高強度の
歯形を有しており、而もそれらの歯形は、歯研が行われ
ているので表面精度が極めて高い。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、少ない工程で高精度の
歯車量産が可能となる。特に、角部が湾曲面に形成され
た歯形付きの成形品に歯研を実行した場合、砥石は歯面
に対して湾曲面の接点から徐々に接触面を拡大しながら
研削を始めるので、切削代を大きくとっても研磨開始の
ショックはほとんどなく、砥石が破損することがない。
又、熱間鍛造を利用することで、安価にて製造できるば
かりでなく、モジュールの大きい大型の製品を製造する
ことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歯車の製造方法をフローチャー
トにて示した説明図である。
【図2】 (a)は歯形部分の拡大図、(b)はA−A
線切断端面図である。
【図3】 歯研時の説明図である。
【図4】 ヘリカル歯における歯形部分の説明図であ
る。
【図5】 歯形部分の変更例を示した拡大説明図、
(a)はB−B線切断端面図である。
【図6】 最もシンプルな製造方法をフローチャートに
て示した説明図である。
【図7】 従来の歯車製造方法をフローチャートにて示
した説明図である。
【符号の説明】
1・・切断材、2・・潰された素材、3・・荒成形品、
4・・完成寸前の形状(歯形を含む)をした成形品、5
・・歯形部、6・・砥石、7・・完成品、8・・歯のな
い母体、R・・湾曲面、H・・面取り部。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍛造手段にて成型された歯形付きの成形
    品に、切削加工することなく歯研工程を実行して形成さ
    れた歯車。
  2. 【請求項2】 鍛造手段にて歯面の歯筋方向に対する角
    部が湾曲面に形成された歯形付きの成形品に、切削加工
    することなく歯研を実行することによって形成された歯
    車。
  3. 【請求項3】 鍛造手段が熱間鍛造である請求項1又は
    2に記載の歯車。
  4. 【請求項4】 歯面の歯筋方向に対する角部が湾曲面に
    形成された歯形付きの成形品を形成する鍛造工程と、そ
    の成形品の歯形部に研磨を施す歯研工程とを含む歯車の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 鍛造工程が熱間鍛造である請求項4に記
    載した歯車の製造方法
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