JP2001179176A - 漆黒複層塗膜の形成方法および漆黒塗装物 - Google Patents

漆黒複層塗膜の形成方法および漆黒塗装物

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JP2001179176A
JP2001179176A JP36863199A JP36863199A JP2001179176A JP 2001179176 A JP2001179176 A JP 2001179176A JP 36863199 A JP36863199 A JP 36863199A JP 36863199 A JP36863199 A JP 36863199A JP 2001179176 A JP2001179176 A JP 2001179176A
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Shinichi Masuko
伸一 益子
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ソリッドベース塗膜とカラークリヤー塗膜とを
組み合わせた複合効果によって、深み感のある漆黒複合
塗膜を形成する方法および、この方法によって得られる
漆黒塗装物を提供する。 【解決手段】基材上にベース塗料を用いてソリッドベー
ス塗膜を形成し、その上にクリヤー塗料を用いてカラー
クリヤー塗膜を形成する複層塗膜の形成方法において、
上記ベース塗料およびクリヤー塗料にカーボンブラック
を含有させ、上記ベース塗料におけるカーボンブラック
のPWCが8〜20質量%であり、かつ、上記クリヤー
塗料におけるカーボンブラックのPWCが、上記ベース
塗料におけるカーボンブラックのPWCの0.01〜
0.2倍となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車外板塗膜等
に使用して高級感を演出する漆黒複層塗膜の形成方法お
よび漆黒塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】黒色塗膜を形成するための塗料組成物と
して、従来からカーボンブラックやその他の黒色顔料を
含有させた黒色塗料が用いられている。例えば特開平1
0−204341号公報には、全酸性基量が3μequ
/m2以上であるカーボンブラックを塗料ワニスに配合
した、光沢、黒度等、特性の優れた塗料組成物が開示さ
れている。また、特許公報第2573368号にはエポ
キシ樹脂と、カーボンブラックと、このカーボンブラッ
ク1重量部に対して1.0〜5.0重量部の範囲でかつ
上記のエポキシ樹脂固形分100重量部に対して5重量
部以下のグラファイト粉末とを含有する黒色塗料組成物
が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの塗料
組成物を使用して塗膜を形成した場合、塗料そのものの
黒を発現することはできるが深みのある黒色感(以下、
漆黒という)は十分に得ることができない。また、複数
の塗膜を組み合わせることによって、従来にない深み感
のある漆黒調の複層塗膜を得ようとする試みはこれまで
なかった。
【0004】本発明の目的は、ソリッドベース塗膜とカ
ラークリヤー塗膜とを組み合わせることによって、深み
感のある漆黒複合塗膜を形成する方法および、この方法
によって得られる漆黒塗装物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の漆黒複層塗膜の
形成方法は、基材上にベース塗料を用いてソリッドベー
ス塗膜を形成し、その上にクリヤー塗料を用いてカラー
クリヤー塗膜を形成する複層塗膜の形成方法において、
ベース塗料およびクリヤー塗料がカーボンブラックを含
有しており、このベース塗料におけるカーボンブラック
のPWCが8〜20質量%であり、かつ、クリヤー塗料
におけるカーボンブラックのPWCが、先のベース塗料
におけるカーボンブラックのPWCの0.01〜0.2
倍であることを特徴としている。
【0006】ここで上記ベース塗料が、ポリエステル樹
脂および/またはアクリル樹脂を含むものであり、か
つ、前記クリヤー塗料が、アクリル樹脂を含むものであ
ることが好ましい。また、上記ベース塗料中は、さらに
光輝性顔料を含んでいてもよい。
【0007】本発明の漆黒複層塗膜の形成方法は、基材
上に上記ソリッドベース塗膜を形成した後、このソリッ
ドベース塗膜を加熱硬化させることなく上記カラークリ
ヤー塗膜を形成し、その後両塗膜を同時に加熱硬化させ
る方法(ウェットオンウェット法)、および、基材上に
上記ソリッドベース塗膜を形成した後、このソリッドベ
ース塗膜を加熱硬化させ、次に上記カラークリヤー塗膜
を形成し、加熱硬化させる方法(ウェットオンドライ
法)のどちらも適用可能である。
【0008】また本発明の漆黒塗装物は、上記各形成方
法のうちのいずれかを使用して製造したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について詳述
する。
【0010】本発明の漆黒複層塗膜の形成方法では、基
材上にベース塗料を用いてソリッドベース塗膜を形成
し、その上にクリヤー塗料を用いてカラークリヤー塗膜
を形成する。
【0011】上記ソリッドベース塗膜を形成するための
ベース塗料およびカラークリヤー塗膜を形成するための
クリヤー塗料は、顔料としてカーボンブラックを含んで
いる。このカーボンブラック顔料は、顔料用として市販
されているものであればどのようなものでも使用でき
る。
【0012】上記ベース塗料におけるカーボンブラック
の含有量は、PWCで8〜20質量%、好ましくは8〜
15質量%である。この含有量が8質量%未満では漆黒
調を呈することができず、20質量%を超えると塗膜外
観および塗料安定性が低下する。
【0013】一方、上記クリヤー塗料におけるカーボン
ブラックの含有量は、先のベース塗料におけるカーボン
ブラックのPWCの0.01〜0.2倍である。この数
値が0.01倍未満ではカラークリヤー塗膜の透過率が
高くなりすぎて、ベース塗膜上に通常のクリヤー塗膜を
形成した場合と変わらなくなり、また、0.2倍を超え
た場合は、カラークリヤー塗膜の透過率が低すぎて単層
の黒色塗膜を形成した場合と変わらなくなって、いずれ
も深み感のある漆黒複合塗膜を得ることができない。な
お、上記クリヤー塗料中のカーボンブラックの好ましい
含有量は、ベース塗料中のカーボンブラックPWC値の
0.02〜0.1倍である。
【0014】上記ベース塗料およびカラークリヤー塗料
に含まれる塗膜形成用樹脂としては、例えば、アクリル
樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹
脂が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。これらの樹脂のうち、耐候性の点から
ベース塗料にはアクリル樹脂および/またはポリエステ
ル樹脂を、またカラークリヤー塗料にはアクリル樹脂が
含まれていることが好ましい。さらに耐酸性雨対策の観
点から、特公平8−19315号公報に記載されたカル
ボシキル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを
含有するクリヤー塗料が、好ましく用いられる。なお、
ソリッドベース塗膜とカラークリヤー塗膜とを、後述す
るウェットオンウェット法で硬化させる場合には、ベー
ス塗料およびカラークリヤー塗料のどちらにもアクリル
樹脂が含まれていることが好ましい。
【0015】また、樹脂には硬化性を有するタイプとラ
ッカータイプとがあるが、通常は硬化性を有するタイプ
のものが使用される。硬化性を有するタイプの場合に
は、メラミン樹脂等のアミノ樹脂や(ブロック)ポリイ
ソシアネート化合物、アミン系、ポリアミド系、多価カ
ルボン酸等の架橋剤と混合して使用され、加熱または常
温で硬化反応を進行させることができる。また、硬化性
を有しないタイプの塗膜形成用樹脂と硬化性を有するタ
イプと併用することも可能である。
【0016】上記アクリル樹脂としては、アクリル系モ
ノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体を
挙げることができる。上記共重合に使用し得るアクリル
系モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸の
メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、
t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニ
ル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ
プロピル等のエステル化物類、アクリル酸またはメタク
リル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付
加物類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−メチ
ロールアクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アク
リル酸エステルなどがある。これらと共重合可能な上記
他のエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α
−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニ
ルなどがある。
【0017】上記ポリエステル樹脂としては、飽和ポリ
エステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂があり、これら
は例えば、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して得
られる。多塩基酸には、飽和多塩基酸および不飽和多塩
基酸があり、飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタ
ル酸、テレフタル酸、コハク酸が挙げられ、不飽和多塩
基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、
フマル酸が挙げられる。また多価アルコールとしては、
二価アルコールおよび三価アルコールが使用でき、二価
アルコールとしては例としては、エチレングリコール、
ジエチレングリコールられ、三価アルコールの例として
は、グリセリン、トリメチロールプロパンが挙げられ
る。
【0018】上記アルキッド樹脂としては、上記多塩基
酸と多価アルコールにさらに油脂・油脂脂肪酸(大豆
油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂
(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られた
アルキッド樹脂を用いることができる。
【0019】上記フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデ
ン樹脂、四フッ化エチレン樹脂のいずれかまたはこれら
の混合体、フルオロオレフィンとヒドロキシ基含有の重
合性化合物およびその他の共重合可能なビニル系化合物
からなるモノマーを共重合させて得られる各種フッ素系
共重合体からなる樹脂を使用することができる。
【0020】上記エポキシ樹脂の例としては、ビスフェ
ノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹
脂等を挙げることができる。ビスフェノール類の例とし
ては、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられ
る。このようなビスフェノール型エポキシ樹脂として
は、例えば、エピコート828、エピコート1001、
エピコート1004、エピコート1007、エピコート
1009(いずれも、シェルケミカル社製)が挙げら
れ、これらを適当な鎖延長剤を用いて鎖延長したものも
用いることができる。
【0021】上記ポリウレタン樹脂としては、アクリ
ル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等
の各種ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とに
よって得られるウレタン結合を有する樹脂を挙げること
ができる。上記ポリイソシアネート化合物としては、
2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TD
I)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−T
DI)、およびその混合物(TDI)、ジフェニルメタ
ン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MD
I)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート
(2,4’−MDI)、およびその混合物(MDI)、
ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、
3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジ
シクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HD
I)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキ
サメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリ
レンジイソシアネート(HXDI)等を挙げることがで
きる。
【0022】上記ポリエーテル樹脂は、エーテル結合を
有する重合体または共重合体であり、ポリオキシエチレ
ン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテ
ル、もしくはポリオキシブチレン系ポリエーテル、また
はビスフェノールAもしくはビスフェノールFなどの芳
香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル
等の1分子当たりに少なくとも2個の水酸基を有するポ
リエーテル樹脂等を挙げることができる。また上記ポリ
エーテル樹脂とコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸
等の多価カルボン酸類、あるいは、これらの酸無水物等
の反応性誘導体とを反応させて得られるカルボキシル基
含有ポリエーテル樹脂も使用することができる。
【0023】上記各塗料が架橋剤を含む場合、先の塗膜
形成用樹脂と架橋剤との割合としては、固形分換算で塗
膜形成用樹脂が90〜50質量%、架橋剤が10〜50
質量%であり、好ましくは塗膜形成用樹脂が85〜60
質量%、架橋剤が15〜40質量%である。架橋剤が1
0質量%未満では(塗膜形成用樹脂が90質量%を超え
ると)、塗膜中の架橋が十分でないことがある。一方、
架橋剤が50質量%を超えると(塗膜形成用樹脂が50
質量%未満では)、塗料組成物の貯蔵安定性が低下する
とともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くな
ることがある。
【0024】上記ベース塗料は、光輝性顔料を含むこと
ができる。このような光輝性顔料が含まれていると、銀
黒色のキラキラした意匠を構成することができる。この
ような光輝性顔料の例としては、アルミニウムフレーク
顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、干渉マイカ顔
料、着色マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク
顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属めっき
ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔
料、金属チタンフレーク顔料、グラファイト顔料、ステ
ンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、フタロシアニン
フレーク顔料およびホログラム顔料を挙げることができ
る。
【0025】また、ベース塗料には、カーボンブラック
以外の着色顔料を併用することにより赤味、青味等を帯
びた漆黒調の意匠を構成することができる。このような
着色顔料は、従来から塗料用として常用されているもの
であり、有機顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔
料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン
系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キ
ナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体
顔料等が挙げられ、また、無機顔料としては、例えば、
黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタンが挙げられ
る。光輝性顔料および着色顔料の添加量は、所望の色相
を発現するのに合わせて任意に設定できる。また各種体
質顔料等を併用することもできる。
【0026】ベース塗料が上記光輝性顔料および/また
は着色顔料を含む場合、カーボンブラックを含めた顔料
全体としての総含有量(PWC)は、30質量%未満が好
ましく、20%質量未満がより好ましい。30質量%を
超えると塗膜外観が低下する。
【0027】なお、上記クリヤー塗料は、その透明性を
損なわない範囲であれば、上記の各種顔料を含んでいて
も構わない。
【0028】またベース塗料およびクリヤー塗料には、
上記成分の他に、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリ
アミドワックスや酸化ポリエチレンを主体としたコロイ
ド状分散体であるポリエチレンワックス、硬化触媒、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコンや有
機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡
剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を適宜添
加することができる。これらの添加剤は、通常、上記塗
膜形成用樹脂と架橋剤との合計量100質量部(固形分
基準)に対して15質量部以下の割合で配合することに
より、塗料や塗膜の性能を改善することができる。
【0029】上記ベース塗料およびクリヤー塗料は、上
記構成成分を、通常、溶剤に溶解または分散した態様で
提供される。溶剤としては、樹脂成分を溶解または分散
するものであればよく、有機溶剤および/または水を使
用し得る。有機溶剤としては、塗料分野において通常用
いられるものを挙げることができる。例えば、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソ
ルブアセテート、ブチルセロソルブ等のエステル類、ア
ルコール類を例示できる。環境面の観点から有機溶剤の
使用が規制されている場合には、水を用いることが好ま
しい。この場合、適量の親水性有機溶剤を含有させても
よい。
【0030】本発明の漆黒複層塗膜を形成するための基
材としては、特に限定されるものでなく、鉄、アルミニ
ウム、銅またはこれらの合金等の金属類;ガラス、セメ
ント、コンクリート等の無機材料;ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等のプラスチック材
料;木材、繊維材料(紙、布等)等の天然または合成材
料等が挙げられる。
【0031】本発明の漆黒複層塗膜の形成方法では、上
記基材に対し、直接または下地塗膜を介して塗膜が形成
されるが、塗装物が自動車車体および部品の場合は予め
化成処理、電着塗装等による下塗り塗装、中塗り塗装等
を施しておくのが好ましい。この中塗り塗装は、下地の
隠蔽、耐チッピング性の付与および上塗りとなるカラー
クリヤー塗膜との密着性確保のために塗膜を形成するも
のである。本明細書においては、基材とは上記基材また
はこの基材に上記処理や塗装が施されたものをいう。
【0032】本発明の漆黒複層塗膜形成方法において
は、まず上記基材に上記ベース塗料を用いてソリッドベ
ース塗膜を形成する。上記基材が下塗り、中塗り塗料等
により下地塗装をしたものである場合には、得られた下
地塗膜の上にウェットオンウェット(W/W)法、また
はウェットオンドライ(W/D)法により上記ソリッド
ベース塗膜を形成することができる。上記W/W法とは
下地塗装をした後、風乾等により乾燥し、未硬化状態ま
たは半硬化状態の下地塗膜に塗装する方法であり、これ
に対して、上記W/D法とは焼き付けて硬化させた下地
塗膜に塗装する方法である。
【0033】ソリッドベース塗膜を基材上に形成する方
法は特に限定されないが、スプレー法、ロールコーター
法等が好ましく、また、複数回塗装することも可能であ
る。またソリッドベース塗膜層の乾燥膜厚は、1コート
につき5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより
好ましい。このようにして形成されたソリッドベース塗
膜上に、クリヤー塗料を用いてカラークリヤー塗膜を少
なくとも1層形成する。。このカラークリヤー塗膜の形
成方法は特に限定されないが、スプレー法、ロールコー
ター法等が好ましい。乾燥膜厚は、1コートにつき20
〜50μmが好ましく、25〜40μmがより好まし
い。
【0034】本発明の漆黒複層塗膜の形成方法において
は、上記ソリッドベース塗膜およびカラークリヤー塗膜
の加熱硬化は以下の2つの方法によって行うことができ
る。すなわち、基材上にソリッドベース塗膜を形成した
後、このソリッドベース塗膜を加熱硬化させることな
く、ウェットオンウェット法でカラークリヤー塗膜を形
成し、その後両塗膜を同時に加熱硬化させる方法と、基
材上にソリッドベース塗膜を形成した後、このソリッド
ベース塗膜を加熱硬化させ、次にウェットオンドライ法
でカラークリヤー塗膜を形成し、加熱硬化させる方法と
がある。
【0035】このようにして形成された漆黒複層塗膜上
に、さらにクリヤートップ塗膜を形成してもよい。クリ
ヤートップ塗膜を基材上に形成する方法は特に限定され
ないが、スプレー法、ロールコーター法等が好ましい。
上記クリヤートップ塗膜層の乾燥膜厚は、1コートにつ
き20〜50μmが好ましく、25〜40μmがより好
ましい。
【0036】上記クリヤートップ塗膜の形成には、クリ
ヤートップ塗料を用いる。上記ソリッドベース塗膜を形
成するためのベース塗料におけるカーボンブラックのP
WCが高い場合、具体的には1質量%を超えている場合
には、クリヤートップ塗料を2層以上塗装すると、表面
の光輝感を向上させることができる。
【0037】このようなクリヤートップ塗料としては、
上塗り用として一般に使用されているものを用いること
ができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フ
ッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエー
テル樹脂およびこれらの変性樹脂から選ばれた少なくと
も1種の熱硬化性樹脂と前述の架橋剤とを混合したもの
を用いることができるが、上記カルボシキル基含有ポリ
マーとエポキシ基含有ポリマーとを含有するクリヤー塗
料が、耐酸性雨対策の観点から好ましく用いられる。ま
た、これらのクリヤー塗料は、必要に応じて、その透明
性を損なわない範囲で、着色顔料、体質顔料、改質剤、
紫外線吸収剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等の添加
剤を含有することが可能である。
【0038】上記クリヤートップ塗膜の形成は、漆黒複
層塗膜の上層であるカラークリヤー塗膜上に対して行わ
れるが、この形成は、上記カラークリヤー塗膜を硬化さ
せる後でも、硬化させる前でもよい。硬化させる前の場
合には、上記カラークリヤー塗膜とクリヤートップ塗膜
を同時に硬化させることとなる。また、クリヤートップ
塗膜を複数回塗装する場合には、最終のクリヤートップ
塗膜層を塗装した後で同時に焼き付けてもよく、また各
層毎に焼き付けてもよい。上記のように形成するクリヤ
ートップ塗膜層は、120〜160℃で所定時間焼き付
けられ、塗膜を得ることができる。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例を挙げて
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
のみ限定されるものではない。なお、配合量は特に断り
のないかぎり質量部を表す。
【0040】実施例1〜9基材の調製 ダル鋼板(長さ300mm、幅100mmおよび厚さ
0.8mm)を燐酸亜鉛処理剤(「サーフダインSD2
000」、日本ペイント社製)を使用して化成処理した
後、カチオン電着塗料(「パワートップU−50」、日
本ペイント社製)を乾燥膜厚が25μmとなるように電
着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付けた
後、中塗塗料(「オルガS−90シーラーグレー」、日
本ペイント社製)を乾燥膜厚が40μmとなるようにエ
アースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて中
塗塗膜を形成し、基材とした。
【0041】アクリル系ベース塗料の調製 アクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/エチ
ルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/
メタクリル酸の共重合体、数平均分子量約20000、
水酸基価45、酸価15、固形分50質量%)と、メラ
ミン樹脂(「ユーバン20SE」、三井化学社製、固形
分60質量%)とを80:20の固形分質量比で配合し
て得たビヒクルに対し、カーボンブラック顔料(、デグ
サ社製)を8、12、または20質量%(PWC)配合
した。次いで、有機溶剤(トルエン/キシレン/酢酸エ
チル/酢酸ブチルの質量比=70/15/10/5)と
ともに攪拌機により塗装適正粘度になるように攪拌混合
し、カーボンブラック量の異なる3種類のソリッドベー
ス塗料組成物を調製した。
【0042】ポリエステル系ベース塗料の調製 アクリル樹脂・メラミン樹脂系をポリエステル・メラミ
ン樹脂系塗料(「オルガG−75」、日本ペイント社
製)に代えた以外は上記アクリル系ベース塗料と同様に
してポリエステル系ベース塗料をカーボンブラックの量
を3種類調整した。
【0043】カーボンブラックを含有するクリヤー塗料
の調製 アクリル・メラミン樹脂クリヤー系塗料(「スーパーラ
ックO−130クリヤー」、日本ペイント社製)に、カ
ーボンブラック顔料(「デグサカーボンFW−200
P」)を表1に示す(ソリッドベース中のカーボンブラ
ックに対する)倍率で配合した。次いで、有機溶剤(ト
ルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチルの質量比=
70/15/10/5)とともに攪拌機により塗装適正
粘度になるように攪拌混合し、カーボンブラックを含有
するクリヤー塗料を調製した。なお実施例9のカーボン
ブラックを含有するクリヤー塗料は、実施例1のアクリ
ル・メラミン樹脂クリヤー系塗料の代わりに、カルボキ
シル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを含有
するクリヤー塗料(「マックフローO−520クリヤ
ー」、日本ペイント社製)を調整した。
【0044】塗膜の形成 基材の被塗面に、上記アクリル系ベース塗料を乾燥膜厚
が15μmになるように塗装した。塗装は静電塗装機
(「Auto REA」、ABBインダストリー社製)
を用い、霧化圧2.8kg/cm2で行った。塗装後3
分間セッティングし、W/Wで先のカーボンブラックを
含有するクリヤー塗料を乾燥膜厚が35μmになるよう
に塗装し、室温で10分間セッティングし、140℃の
温度で30分間焼き付けて漆黒複層塗膜を形成した。
【0045】また、ポリエステル系ベース塗料を使用し
た場合は、乾燥膜厚を30μmとなるように塗装し、上
記セッティングに代えて140℃で30分で焼付けを行
い、その後、W/Dで先のカーボンブラックを含有する
クリヤー塗料を乾燥膜厚が35μmになるように塗装
し、室温で10分間セッティングし、140℃の温度で
30分間焼き付けて漆黒複層塗膜を形成した。得られた
各塗膜の意匠性を下記評価方法で評価した。結果を表1
に示す。
【0046】評価方法 意匠性:漆黒性を目視により外観評価した。 ◎…深みのある漆黒性を発現する。 ○…漆黒性はあるが、深み感がやや乏しい。 ×…深み感も、漆黒性も選られない。また塗膜の平滑性
不良や艶引け等の塗膜外観不良の場合には、評価を×と
する。
【0047】比較例1〜4 カーボンブラックの含有量または倍率を表1に記載のよ
うに代えた以外は実施例と同様にして漆黒複合皮膜を形
成し、意匠性について同様の評価を行った。
【0048】
【表1】
【0049】表1の結果から明らかのように、本実施例
によって形成した漆黒複合塗膜は、塗膜外観がよく高級
感のある深い黒色の塗膜であった。これに対して、各比
較例の複合塗膜は、塗膜外観が悪かったり、深みのある
漆黒の意匠を与えるものではなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明の漆黒複層塗膜の形成方法は、カ
ーボンブラック含有ベース塗料から得られるソリッドベ
ース塗膜と、ベース塗料よりも少ない量のカーボンブラ
ックを含有するクリヤー塗料から得られるカラークリヤ
ー塗膜とを複合させたため、高級感な深味感のある漆黒
複合塗膜を提供することができる。
【0051】したがってこの方法によって形成された本
発明の漆黒塗装物は、ハイグレードの黒塗り乗用車用途
等に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/29 C09D 5/29 133/00 133/00 167/00 167/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上にベース塗料を用いてソリッドベー
    ス塗膜を形成し、その上にクリヤー塗料を用いてカラー
    クリヤー塗膜を形成する複層塗膜の形成方法において、
    前記ベース塗料およびクリヤー塗料がカーボンブラック
    を含有しており、前記ベース塗料におけるカーボンブラ
    ックのPWCが8〜20質量%であり、かつ、前記クリ
    ヤー塗料におけるカーボンブラックのPWCが、前記ベ
    ース塗料におけるカーボンブラックのPWCの0.01
    〜0.2倍であることを特徴とする漆黒複層塗膜の形成
    方法。
  2. 【請求項2】前記ベース塗料が、ポリエステル樹脂およ
    び/またはアクリル樹脂を含むものであり、かつ、前記
    クリヤー塗料が、アクリル樹脂を含むものである請求項
    1に記載の漆黒複層塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】前記ベース塗料中に、さらに光輝性顔料を
    含むものである請求項1または2に記載の漆黒複層塗膜
    の形成方法。
  4. 【請求項4】基材上に前記ソリッドベース塗膜を形成し
    た後、このソリッドベース塗膜を加熱硬化させることな
    く前記カラークリヤー塗膜を形成し、その後両塗膜を同
    時に加熱硬化させることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の漆黒複層塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】基材上に前記ソリッドベース塗膜を形成し
    た後、このソリッドベース塗膜を加熱硬化させ、次に前
    記カラークリヤー塗膜を形成し、加熱硬化させることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の漆黒複層
    塗膜の形成方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項記載の漆黒塗
    膜の形成方法により塗装された漆黒塗装物。
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