JP2001178333A - 釣り用リールのためのブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 ブレーキ位置を識別しかつ再位置決めを容易
にすることが出来るようにする。 【解決手段】 側方カバー２０と、該側方カバーへ回転
自在に位置付けられているブレーキダイアル２４であっ
て外部から接近可能でかつ該側方カバーの外側から作動
可能となっており、複数の所定位置を有しているブレー
キダイアルと、前記ブレーキダイアル又は前記側方カバ
ーの一方に設けられている少なくとも１つのカム突出部
と、該カム突出部と相互作用するため前記ブレーキダイ
アル又は前記側方カバーの他方へ作動可能に取り付けら
れているＶ字形ばね２１４であって、該Ｖ字形ばねが前
記カム突出部の一部へ対して位置付けられかつ前記ブレ
ーキダイアルが前記所定位置の１つへ位置付けられない
ときに、該Ｖ字形ばねが該所定位置の１つへブレーキダ
イアルを回転するように強制するため前記カム突出部の
当該部分へ作用するであろうＶ字形ばねと、を有してい
るブレーキ装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本件発明は概略的には釣り用
リールのためブレーキ装置に関する。より詳細には、本
件発明はベイトキャストフィッシングリールのための調
整可能なブレーキ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ベイトキャストフィッシングリール（ｂ
ａｉｔｃａｓｔ ｆｉｓｈｉｎｇ ｒｅｅｌｓ）は公知
である。ベイトキャステイングリールは、通常、一対の
対向する側板を有しているスプリットフレームと、リー
ルを釣竿へ取り付けるためフレームから伸びている脚部
と、釣糸を巻上げかつ保持するためフレーム側板間に回
転可能に位置付けられている釣糸スプールと、スプール
が固着されておりフレーム側板を介して伸びている端部
を有しているスプール軸と、スプール軸へ設けられてい
るピニオンギア（通常はヘリカルギア）と、手動で回転
可能なクランクハンドルと、クランクハンドルをスプー
ル軸ピニオンギアへ機械的に連結する歯車列及びクラン
クシャフト組立体と、釣糸がスプールの長さ方向に沿っ
て適切に巻かれるようにするため巻き取りの間中スプー
ルを横断する水平巻取り（レベルワインド）機構と、ク
ランクハンドルの反対方向回転を防止するクラッチ機構
と、キャステイングの間中スプールが自由に回転するこ
とを可能とするようにスプール軸からピニオンギアを非
係合状態とする外部アクチュエーター（通常は親指レバ
ー）と、スプールドラッグ又はスプール制動機構と、を
有している。

【０００３】ほとんどの場合、左右の側方カバーはリー
ルの種々の作動機構を収容するためフレーム側板へ取り
外し可能に取り付けられている。右利き用のベイトキャ
ステイングリール（即ち、右手使用者用に設計されたリ
ール）は、通常、スプールドラッグ即ちスプールブレー
キ機構が左側方カバー下方に収容され、クランクハンド
ルが右側方カバーの外側に回転可能に搭載され、クラン
ク軸、歯車、ピニオンギア、クラッチ及び非反転機構が
右側方カバー下方に収容されるように構成されている。
当業者に理解されるように、一般的なあるベイトキャス
テイングリールの左利き版は単にリール要素の配置及び
構造を逆にすることによって製造されることが出来、こ
れにより左利き用リールは右利き用のリールの鏡像を成
しているのである。

【０００４】スプールドラッグ即ちスプール制動装置
は、通常、釣糸のバックラッシング（又は“釣糸の絡
み”という）問題を解消するためにベイトキャステイン
グリールに使用されている。キャステイング即ち釣糸の
投げ込みの間中回転している側方へ方向付けられたスプ
ールを使用しているので、ベイトキャステイングリール
はスピニングリール及びスピンキャステイングリールよ
りもバックラッシングの問題を一層起こしがちである。
このような問題はキャステイングの間中スプールによっ
てもたらされる回転モーメントから基本的には発生して
いる。ベイトキャステイングリールに使用されている最
も一般的なドラッグ／制動機構のタイプは磁気ドラッグ
ブレーキ及び遠心（摩擦）制動装置である。

【０００５】個人的な好みと同様に、多くの周辺要素が
所定のキャストのために適切であろう制動力即ちブレー
キ力の量に影響している。このことがベイトキャステイ
ングリールのための調整可能なブレーキ装置の開発をも
たらした。例えば、米国特許第５１０８０４２号はリー
ルスプールの端部へ磁気的なドラッグ力即ち牽引力を及
ぼす調整可能な磁気ドラッグ機構を開示している。この
磁気力はキャステイングの間中スプールの回転を遅らせ
ている。この米国特許第５１０８０４２号の機構は、複
数の磁石を有している磁石キャリアリングと、この磁石
キャリアリングが固着されている軸線方向に移動可能な
カムデイスクと、左側カバーの凹みを介して突出してい
る調整可能なダイアルと、を有している。このダイアル
はスプールへ付与される磁気ドラッグ力の量を調整する
ためスプールの端部の方へ及び該端部からキャリアリン
グを選択的に移動するためのカムデイスクと協働作用す
るようになっている複数のカムを有している。

【０００６】米国特許第５９５０９４９号は遠心ブレー
キ装置について開示している。ここでは当該装置によっ
てもたらされるブレーキ力が選択的に調整され得るよう
になっている。米国特許第５１０８０４２号の磁気装置
と同様に、この米国特許第５９５０９４９号の遠心ブレ
ーキ装置は複数の円滑なカム斜板を有している外部より
調整可能なブレーキダイアルを有している。この米国特
許第５９５０９４９号に示す遠心ブレーキ装置において
は、ブレーキダイアルに設けられたカム斜板がダイアル
の回転運動をブレーキリングの軸線方向運動に変更し
て、ブレーキリングへ接触可能な多くのブレーキ片を選
択的に調整している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】米国特許第５１０８０
４２号及び同第５９５０９４９号の円滑なダイアルカム
装置の各々はダイアルの利用可能な回転範囲内における
ほとんど無数の可能なブレーキ位置を提供している。こ
うして、このような装置は高度な調整可能性を提供する
ことが可能となっている。しかしながら、これらの装置
においては、好ましいブレーキ位置を識別しかつ所望の
調整を行うときにそのような位置を再位置決めしようと
するためにはかなりの経験を必要とする。加えて、米国
特許第５９５０９４９号に開示されているタイプの遠心
ブレーキ装置が使用される場合、その装置では、ブレー
キ要素がブレーキリングの先端縁部へ対する擦り及び／
又は拘束を防止されるようにブレーキ面が常に適切に位
置付けられていることが保証されていないのである。

【０００８】よって、本件発明の目的はほとんどの操作
環境に適応するように適当な数の別個のブレーキ位置を
提供する自己位置付け調整機構を含むベイトキャステイ
ングフィッシングリール用の調整可能なブレーキ装置を
提供することである。

【０００９】本件発明の別の目的は釣人が前のブレーキ
位置へ容易に戻ることが出来るような調整可能なブレー
キ装置を提供することである。本件発明の更なる目的は
個別のブレーキ位置間において円滑な流体運動を提供す
ることである。

【００１０】更に本件発明の目的は、遠心ブレーキ装置
に使用されるときに、ブレーキ面が常に所望のブレーキ
位置へ適切に位置付けられ、ブレーキ要素がブレーキ面
の先端縁部へ対して擦り及び／又は拘束をもたらさない
ようにすることである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本件発明は上述の必要性
を満足しかつ上述の課題を緩和する釣り用リールブレー
キ装置を提供する。この発明は好ましくは、側方カバー
と、該側方カバーへ回転自在に位置付けられているブレ
ーキダイアルであって側方カバーの外部から接近可能で
かつ該側方カバーの外側より作動可能となっており、複
数の所定位置を有しているブレーキダイアルと、前記ブ
レーキダイアル又は前記側方カバーの一方に設けられて
いる少なくとも１つのカム突出部と、該カム突出部と相
互作用するため前記ブレーキダイアル又は前記側方カバ
ーの他方へ作動可能に取り付けられているＶ字形ばねで
あって、該Ｖ字形ばねが前記カム突出部の一部へ対して
位置付けられかつ前記ブレーキダイアルが前記所定位置
の１つへ位置付けられていないときに、該Ｖ字形ばねが
該所定位置の１つへ前記ブレーキダイアルを回転するよ
うに強制するため前記カム突出部の当該部分へ作用する
であろうＶ字形ばねと、を有している。

【００１２】本件発明の更なる目的、特徴及び利点は好
ましい実施例を図示した添付の図面を検討しかつ好まし
い実施例に関する下記記述を読むことにより当業者によ
って明白となろう。

【００１３】

【発明の実施の形態】本件発明の調整可能なブレーキ装
置即ち制動装置１（ベイトキャステイングリール２と協
働している）の実施例が図１―１６に示されている。ベ
イトキャステイングリール２は、右側方板６と左側方板
８とを有しているスプリットフレーム４と、側方板６、
８間においてフレーム４へ回転可能に載置されている釣
糸スプール１０と、スプール１０を介して伸びているス
プール軸１１と、側方板６上へ固着されている右側方カ
バー１４と、スプール１０を回転するため右側方カバー
１４から作動可能に伸びているクランクハンドル１６
と、リール２を釣竿へ取り付けるためフレーム４の底部
へ設けられているリール脚部１８と、左側方板８上へ固
着されている左側方カバー２０と、を有している。リー
ル２が組み立てられるとき、本件発明のブレーキ装置１
のブレーキダイアル２４は左側方カバー２０へ形成され
た円形開口２６を介して突き出す。

【００１４】便宜上、本件発明の装置はここでは右利き
用のベイトキャステイングリールと協働するように図示
しかつ記述しているが、本件発明は左利き用リールにお
いて使用され得るようにも適用され得るのである。当業
者に明らかなように、一般に多くのベイトキャステイン
グリールの左利き用版は、単にリールの構成要素の配置
及び構造を逆にすることにより製造されることが出来、
左利き用リールはリールの右利き用版の鏡像関係にある
のである。

【００１５】本件発明のブレーキ装置１は、好ましく
は、新規なブレーキダイアル２４と、ブレーキ要素組立
体２８と、ブレーキリング組立体３０と、を有してい
る。ブレーキ要素組立体２８は、好ましくは、複数のブ
レーキ要素３４と、ブレーキ要素ハウジング３６と、ハ
ウジングカバー３８と、を有している。各ブレーキ要素
３４は、好ましくは、図９―図１２に示すようなＴ字形
状の構造体をなしている。ブレーキ要素ハウジング３６
は、好ましくは、長手方向回転軸５４と、長手方向前方
端部５６と、長手方向後方端部５８と、円筒形外壁６０
と、ブレーキ要素３４を滑動可能に保持するための複数
の半径方向溝６８ａ、６８ｂ、６８ｃ、６８ｄ、６８
ｅ、６８ｆと、を有している実質的に円筒形の部材であ
る。

【００１６】各溝６８ａ−ｆは半径方向前方肩部６６か
ら溝の底面８０までの距離によって画定される深さを有
している。溝６８ａ−ｆは、好ましくは、ハウジング３
６の周りに均一に間隔付けられており、かつ好ましくは
（ａ）溝６８ａが溝６８ｂと直径方向に対向しておりか
つ該溝６８ｂと等しい深さを有しており、（ｂ）溝６８
ｃが溝６８ｄと直径方向に対向しておりかつ該溝６８ｄ
と等しい深さを有しており、（ｃ）溝６８ｅが溝６８ｆ
と直径方向に対向しておりかつ該溝６８ｆと等しい深さ
を有しており、（ｄ）溝６８ｃと溝６８ｄとの深さが溝
６８ａと溝６８ｂとの深さより深く、（ｅ）溝６８ｅと
溝６８ｆとの深さが溝６８ｃと溝６８ｄとの深さより深
くなるように、形成されている。以下に説明するよう
に、溝６８ａ−ｆの異なる深さは、望ましくは、特定の
ブレーキ設定の広い範囲を可能としている。

【００１７】ハウジングカバー３８は、好ましくは、第
１の対の直径方向に対向している後方に伸びている同様
なボス１０２と、第２の対の直径方向に対向している後
方に伸びている同様なボス１０４と、を有している。第
１のボス１０２は、好ましくは、ハウジング溝６８ｃ及
び６８ｄの前方凹み９２の寸法及び形状に対応するよう
な寸法及び形状を有している。第２のボス１０４は、好
ましくは、ハウジング溝６８ｅ及び６８ｆの前方凹み９
２に対応するような寸法及び形状を有している。こうし
て、ハウジングカバー３８はハウジング溝６８ａ―ｆの
Ｔ字形状部分７８におけるブレーキ要素３４を作動可能
に保持している。

【００１８】ここで使用する、“前方”及び“前方に面
して”の用語は釣糸スプール１０の端部５５に面してい
る特徴及び／又は該端部５５から離れて位置付けてある
特徴を意図している。

【００１９】ブレーキ要素組立体２８は、該組立体２８
がスプール１０と一緒に回転するようにリール２へ固着
されている。ハウジング３６を介して設けられているス
プライン付き通路６４がスプール軸１１の外部スプライ
ン付き部分１０９へ受入れられている。こうして固着さ
れたとき、ブレーキ要素組立体２８の回転軸５４はスプ
ール１０の回転軸と同一線状にある。

【００２０】ブレーキ要素組立体２８がスプール軸１１
と共に回転するとき、発生する遠心力が要素３４を軸５
４から離すように溝６８内にて半径方向外方へ滑動する
ように強制する。ブレーキ要素３４は、少なくとも要素
３４が最も半径方向外方の位置にて滑動するとき、ブレ
ーキ要素３４のブレーキパッド４８が外壁６０へ形成さ
れた溝開口７６を介してハウジング３６から突出するよ
うな寸法となっている。

【００２１】ブレーキリング組立体３０は、円筒形のブ
レーキ内面１２２を有しているブレーキリング１２０
と、ブレーキリング１２０を保持しかつ担持するカラー
１２４と、を含んでいる。当業者に明らかなように、ブ
レーキリング組立体３０は、例えば、円筒形のブレーキ
面がカラー１２４へ一体的に形成されている一体的構造
体と代替出来るであろう。

【００２２】カラー１２４は、実質的に円筒形の後方部
分１2５と内方にテーパーした長手方向前方端部１２７
とを有している本体１２６と、後方部分１２５へ形成さ
れておりブレーキリング１２０が圧力嵌め又はその他の
方法で保持されている円筒形孔１２８と、内方へ伸びて
いる平坦な前方端部壁１３０と、該端部壁１３０を介し
てかつその周りに均等に間隔を置いて伸びている複数
（好ましくは３個）の円筒形孔１３２と、端部壁１３０
を介して伸びている大きい中心孔１３４と、本体１２６
の長手方向前方端部に設けられている複数（好ましくは
３個）の交差構造体１３６と、を有している。

【００２３】交差構造体１３６は中心孔１３４内に半径
方向に突出しかつその周りに均一に間隔を置いて配置さ
れている。各交差構造体１３６は好ましくは、前方端部
壁１３０から中心孔１３４内へ半径方向に伸びているア
ーム１３８と、側方アーム１３８の末端部から前方に伸
びている円形のボス１４０と、を有している。

【００２４】ベイトキャステイングリールの場合におい
て一般的なように、リール２は内部スプールカバー１４
４を含んでいる。ここで、該内部スプールカバー１４４
は、スプール軸ベアリングまたはブッシング１４８を保
持する円筒形の内部凹み１４６と、複数（好ましくは２
個）の半径方向に伸びている耳部１５０と、該半径方向
耳部１５０を介して設けられている孔１５２と、外端部
に半円形の切り込み１５３が形成されている半径方向に
突出している一部耳状構造体１５１と、を有している。
孔１５２と切り込み１５３とは、側方カバー２０の内部
へ設けられた内ねじ付きボス１５６を受け入れるような
寸法を有しかつそのような位置へ位置付けられている。
これによりスプールカバー１４４はボルトまたはねじ１
５４によって側方カバー２０へ固着されることが出来
る。

【００２５】本件発明の装置においては、スプールカバ
ー１４４は、好ましくは、スプールカバー１４４の前面
に設けられた円筒形の凹み１５８と、該円筒形の凹み１
５８に設けられた実質的に円筒形の内壁１６０と、円筒
形の凹み１５８の内端に設けられた半径方向壁１６２
と、円筒形の凹み１５８の中心から前方に突出している
円筒形の案内柱１６８と、内端壁１６２を介して設けて
ありかつ凹み１５８の円筒形壁１６０内へ長手方向に伸
びている複数の溝１７０と、を含むように改良されてい
る。スプールカバー１４４に設けられた長手方向溝１７
０の数はブレーキカラー１２４の前方端に設けられた交
差構造体１３６の数と等しい。長手方向溝１７０は、交
差構造体１３６がスプールカバー１４４に関して前方及
び後方へ往復運動するように溝１７０へ受入れられるよ
うな寸法及び形状を有している。

【００２６】スプールカバー１４４は、更に、複数の後
方へ突出している内ねじ付きのボス１７２を有してい
る。このボス１７２は、カラー１２４がボス１７２上で
前後方向に滑動出来るように、ブレーキカラー１２４の
前方ボス１３２を介してうけいれるような寸法及び形状
を有している。ボス１３２が孔１３２を介して受入れら
れると共に、ばね１７４がボス１７２の周りに位置付け
られかつボルト又はねじ１７６によって所定位置へ保持
される。ばね１７４はブレーキカラー１２４の前方端部
壁１３０へ抗して連続した偏倚力を及ぼし、かつこうし
てスプールカバー１４４内で前方へカラー１２４を連続
的に強制するように作用する。

【００２７】図１、図３、図４及び図１６により良く示
すように、ブレーキダイアル２４は、好ましくは、円形
ダイアル板１８０と、該円形ダイアル板１８０の前方面
に設けられた把持構造体１８２と、ブレーキダイアル２
４の円筒形の前方半径方向肩部１９４と、側方カバー２
０の内方半径方向肩部２１６と、を有している。ダイア
ル板１８０の後方面はスプールカバー１４４の外方面２
１８へ滑動可能に衝接している。

【００２８】本件発明のブレーキ装置１は、更に、側方
カバー２０へ形成された溝24６内へ保持されたＶ形ばね
（即ち、実質的にＶ形状、Ｕ形状、又はこれらと同様の
形状のばね）２１４を有している。この溝２４６は、Ｖ
形ばね２１４の外方へ曲げられた端部２１５が溝２４６
内に保持されるが外方へは自由に移動し又は曲げられる
ような形状（好ましくは、図４に示すようなＴ形状）を
有している。こうして、ばね２１４の曲げられた部分２
１９は、ダイアル突出部１９６、１９８及び２００によ
って接触されかつ押された（変形させられた）ときに、
内方（即ち、矢印２２３によって表示された方向）へ曲
げられ得るようになっている。

【００２９】Ｖ形ばね２１４は望ましくはカム突出部１
９６、１９８、２００と相互に作用し、ダイアル２４が
いずれかの方向に移動されるときには、ばね２１４は必
要ならカム突出部１９６、１９８，２００へ作用してダ
イアル２４を多少回転し、ばね２１４の先端部が常にカ
ム突出部１９６、１９８、２００の間／又はそれらの側
部に形成される谷部２２０の１つへ位置付けられるよう
になるであろう。換言すれば、もし使用者がダイアル２
１４を、カム突出部１９６、１９８、２００の１つがＶ
形ばね２１４と接触状態に放置される部分間に回転する
と、該ばね２１４はカム突出部の円形端部を押圧しかつ
滑動して最も近接した谷部２２０の方向へ回転力を発生
するであろう。カム突出部１９６、１９８，２００と協
働して作動するＶ形ばね２１４の形状のため、ばね２１
４がカム突出部へ対して厳密に垂直に押し付けこれによ
り回転力を発生させない単に非常に小さな最外方点が各
突出部に存している。しかしながら、これらの点におい
て、ブレーキ組立体ばね１７４の偏倚力が相互作用構造
体１３６を介してダイアル２４のカム傾斜部１８６へ作
用してダイアル２４を時計方向に回転させるのである。

【００３０】突出部１９６、１９８、２００の間に設け
られている谷部２２０はブレーキ組立体の予め定めたブ
レーキ位置を特定するように対応している。図１６にお
いてより良く分かるように、ダイアルカム１８６の第２
カム平面２０６は第１カム平面２０２から後方へ離され
ており、第３カム平面２１０は第２カム平面２０６から
後方へ離されており、かつ第４カム平面２２２は第３カ
ム平面２１０から後方へ離されており、これによりカム
傾斜部１８６は、好ましくは、ダイアル２４の４つの谷
部に対応する４つの明確なブレーキ位置を提供する。し
かしながら、カム突出部１９６、１９８、２００及びば
ね２１４は、例え、カム１８６がたとえば平坦部を有し
ていない連続した傾斜部であっても、特定の予め決定さ
れたブレーキ位置を確定するために使用され得るであろ
う。ばね２１４がカム突出部１９６、１９８、２００上
を通るとき、聞き取り可能な音声及び触知可能な感触が
発生され、こうしてダイアルの適切な位置を表示するの
である。

【００３１】本件発明の装置が組み立てられるとき、ば
ね１７４はブレーキカラー１２４を前方へ押し込み、カ
ラー１２４の相互作用構造体１３６がダイアルカム１８
６と作動可能な接触状態に維持される。相互作用構造体
１３６の円形ボス１４０が第１カム平面２０２上に位置
付けられるとき、ブレーキリング組立体３０は好ましく
は完全に前方の非ブレーキ位置へ保持され、この位置で
はブレーキ要素３４はブレーキリング１２０へ接触出来
ない。使用者がブレーキダイアル２４を反時計方向へ回
転すると、カム１８６の第１の傾斜したセグメント２０
４が相互作用構造体１３６へ作用して、相互作用構造体
１３６及びブレーキリング組立体３０を後方へ押す。相
互作用構造体がダイアルカム１８６の第１傾斜セグメン
ト２０４を横断すると、ばね２１４は同時に第１カム突
出部２００を横断する。相互作用構造体１３６がダイア
ルカム１８６の第２平面２０６と衝接すると、ばね２１
４はカム突出部２００と１９８との間の谷部２２０へ位
置付けられ、こうして、ダイアル２４とブレーキリング
組立体３０とを初期ブレーキ位置２２８へ保持する。使
用者がダイアル２４を反時計方向へ回転し続けると、カ
ム１８６の第２の傾斜したセグメント２０８が相互作用
構造体１３６を更に後方へ押し込み、それによって、円
形ボス１４０は、次いで、カム突出部１９８と１９６と
の間の谷部２２０へ位置付けられたＶ形ばね２１４とカ
ム平面２１０上に位置付けられ、こうして、ダイアル２
４とブレーキリング組立体３０とを中間ブレーキ位置へ
保持する。最後に、使用者がダイアル２４を反時計方向
へ回転し続けると、カム１８６の第３の傾斜したセグメ
ント２１２が相互作用構造体１３６を更に後方へ押し込
み、それによって、円形ボス１４０は、次いで、カム突
出部１９６とダイアル２４に設けられたタブ２３４との
間の谷部２２０へ位置付けられたＶ形ばね２１４とカム
平面２２２上に位置付けられ、こうして、ダイアル２４
とブレーキリング組立体３０とを完全ブレーキ位置へ保
持する。

【００３２】もし、ダイアル２４の作動において、Ｖ形
ばね２１４の最外側が谷部２２０内に正確に位置付けら
れておらずむしろばね２１４をカム突出部１９６、１９
８又は２００の部分と接触した状態にしたままのよう
に、使用者がブレーキダイアル２４を正確に位置付けな
い場合には、Ｖ形ばね２１４の偏倚はカム突出部１９
６、１９８又は２００の曲がった外縁へ対して作用し、
Ｖ形ばね２１４が最も近い谷部２２０へ位置付けられる
までダイアル２４を十分な力で自動的に回転するであろ
う。

【００３３】ダイアル板１８０の外縁へ設けられたタブ
２３４，２４４はブレーキダイアル２４の回転を、
（ａ）ブレーキダイアル２４を反時計方向へ回転すると
き、カム１８６の平面２２２が相互作用構造体１３６を
介して回転されることが出来ないように、かつ（ｂ）ブ
レーキダイアル２４を時計方向へ回転するとき、平面２
０２が相互作用構造体１３６を介して回転されることが
出来ないように、ブレーキダイアル２４の回転を制限す
るように作動する。ブレーキダイアル２４の回転運動は
時計方向においてはカバー肩部２３６を有するタブ２３
４の衝接によって制限され、反時計方向においてはカバ
ー肩部２３８を有するタブ２４４の衝接によって制限さ
れる。肩部２３６及び２３８は側方カバー２０の内部に
設けられている。しかして、本件発明のブレーキ装置は
上述の“完全ブレーキ位置”若しくは上述の“非ブレー
キ位置”の一方を通り回転させることは出来ない。本件
発明装置のブレーキ位置は好ましくはブレーキダイアル
２４の外部に設けられた割り出しマーク２４０によって
表示される。マーク２４０は好ましくは側方カバー２０
の外部へ設けられた位置矢印２４２又はその他の特徴と
整合し、本件発明のブレーキ装置の作動位置を表示す
る。

【００３４】本件発明のブレーキ装置１の実施例におい
ては、４個の位置矢印が設けられており、各々は上述の
ブレーキ位置の独立した１つに対応している。ハウジン
グ３６内のブレーキ要素３4のオフセット位置付けは、
この装置が１つのブレーキ位置から他のブレーキ位置ま
で動かされるときに異なる量のブレーキ力が提供される
ようにブレーキリング１２０の軸線方向運動と共に作動
する。溝６８ａ及び６８ｂに包含されているブレーキ要
素３４の長手方向軸４０はハウジング軸５４に垂直な第
１面内に存在している。溝６８ｃ及び６８ｄに包含され
ているブレーキ要素３４の長手方向軸４０は回転軸５４
に垂直な第２面内に存在している。溝６８ｅ及び６８ｆ
に包含されているブレーキ要素３４の長手方向軸４０は
回転軸５４に垂直な第３面内に存在している。溝６８ａ
−ｆが異なる深さを有しているため、第２面は第１面か
ら後方に離されており、第３面は順番に第２面から後方
に離されている。ブレーキリング１２０が上述の“非ブ
レーキ位置”へ配置されているとき、ブレーキ要素３４
はブレーキ面１２２へ接触することが出来ない。他方、
上述の“初期ブレーキ位置”は、ブレーキリング１２０
がハウジング溝６８ａ及び６８ｂ内に含まれているブレ
ーキ要素３４のみを取り囲んでいる最小ブレーキセッテ
イングを構成する。上述の“中間ブレーキ位置”は、ブ
レーキリング１２０がハウジング溝６８ａ、６８ｂ、６
８ｃ及び６８ｄ内に含まれているブレーキ要素３４を取
り囲んでいる中間ブレーキセッテイングを提供する。最
後に、上述の“完全ブレーキ位置”に配置されたときに
は、ブレーキリング１２０は全てのブレーキ要素３４を
取り囲みかつ全てのブレーキ要素３４によって接触され
ることが出来るのである。

【００３５】本件発明の装置は、ブレーキリング１２０
が常に選択された首尾一貫した所定のブレーキ位置へ維
持されることを確実にしている。こうしてブレーキ要素
３４はブレーキリング１２０の後方縁１２１へ抗して拘
束せず、ブレーキ面１２２へ関して（接触している又は
接触していない）適切な位置へ常に維持されるであろ
う。更に、使用者は常に装置のこの位置が何であるかを
知りかつ付与されるブレーキ力の相対的な度合いを知る
であろう。

【００３６】当業者によって理解されるように、本件発
明装置の実施例１は３個のカム１８６と３個の対応する
相互作用する構造体１３６とを使用しているが、この発
明の装置は、選択によって、１個、２個、３個、又はそ
れ以上のカム１８６を使用することが可能である。更
に、この実施例１のカム１８６は谷部２２０によって提
供される個別のブレーキ位置に対応する平坦部分を提供
しているが、一定スロープのカム又は変化するスロープ
のカムも同様に使用され得る。更に、この実施例１は４
個の特定のブレーキセッテイングを提供しているが、一
般には何れの数のセッテイングでも使用可能である。本
件発明の装置は好ましくは少なくとも２つのブレーキ位
置を提供するであろう。

【００３７】当業者によって理解されるように、本件発
明の上述の実施例１は遠心ブレーキ組立体２８を含んで
いるが、他のタイプのブレーキ組立体（例えば、磁気ブ
レーキ組立体、又は半径方向に伸びているロッドであっ
てそこへ活動可能に搭載された制動用錘、制動用パッド
及び／又は制動用剛毛を有しているロッドを有している
遠心ブレーキ組立体）も本件発明において使用され得る
のである。

【００３８】更に当業者によって理解されるように、ブ
レーキダイアル２４と同様の作業及び感触がカバー開口
２６の周りに弧状にかつ同心状に側方カバー２０上に又
はその内側へカム突出部１９６、１９８及び２００を形
成することにより得られるであろう。次いでＶ字形ばね
２４１がブレーキダイアル２４上に位置付けられ、Ｖ字
形ばね２４１がダイアル２４と共に回転して固定のカム
突出部１９６、１９８及び２００を相互作用する。

【００３９】更に又、本件発明装置は一般的には何れの
タイプのベイトキャステイングリールにも使用され得る
ことが出来ることを当業者は理解するであろう。このよ
うに、本件発明は目的を実行するために更には上述の目
的及び利点更にはここにおける固有の目的を獲得するた
めによりよく適用されるのである。ここに開示した好ま
しい実施例は開示の目的のために記述したものであるの
で、多くの変更及び改良が当業者によって容易になし得
ることが明らかである。そのような変更及び改良は添付
の請求項によって画定される本件発明の精神に含まれる
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】協働する調整可能な自己位置付けブレーキ装置
を有するベイトキャステイングリール２の斜視図であ
る。

【図２】ベイトキャステイングリール２の左側組立体の
破断図である。

【図３】ベイトキャステイングリール２の左側組立体の
分解斜視図である。

【図４】ベイトキャステイングリール２の左側カバー２
０の内方立面図である。

【図５】本件発明のブレーキ装置１に使用されるブレー
キ要素組立体２８の好ましい実施例の分解斜視図であ
る。

【図６】ブレーキ要素組立体２８の組立て斜視図であ
る。

【図７】ブレーキ要素組立体２８の前方立面図である。

【図８】ブレーキ要素組立体２８の側方立面図である。

【図９】ブレーキ要素組立体２８に使用されているブレ
ーキ要素３４の後方立面図である。

【図１０】ブレーキ要素３４の側方立面図である。

【図１１】ブレーキ要素３４の前方立面図である。

【図１２】ブレーキ要素３４の端部面図である。

【図１３】スプールカバー１４４の内方斜視図である。

【図１４】本件発明のブレーキ装置１に使用されている
ブレーキリング組立体３０の外方斜視図である。

【図１５】ブレーキリング組立体３０の内方斜視図であ
る。

【図１６】本件発明のブレーキ装置１に使用されている
ブレーキダイアル２４の内方斜視図である。

【符号の説明】

１：ブレーキ装置 ２：ベイトキャス
テイングリール ４：スプリットフレーム ６：右側方板 ８：左側方板 １０：釣糸スプー
ル １１：スプール軸 １４：右側方カバ
ー １６：クランクハンドル １８：リール脚部 ２０：左側方カバー ２４：ブレーキダ
イアル ２６：円形開口 ２８：ブレーキ要
素組立体 ３０：ブレーキリング組立体 ３４：ブレーキ要
素 ３６：ブレーキ要素ハウジング ３８：ハウジング
カバー ４０：長手方向軸 ４８：ブレーキパ
ッド ５４：長手方向回転軸 ５６：長手方向前
方端部 ５８：長手方向後方端部 ６０：円筒形外壁 ６４：通路 ６６：半径方向前
方肩部 ６８：半径方向溝 ７６：溝開口 ７８：Ｔ字形状部分 ８０：底面 １０２：第１ボス １０４：第２ボス １０９：スプライン付き部分 １２０：ブレーキ
リング １２１：後方縁 １２２：ブレーキ
内面 １２４：カラー １２５：後方部分 １２６：本体 １２７：前方端部 １２８：円筒形孔 １３０：前方端部
壁 １３２：円筒形孔 １３４：中心孔 １３６：相互作用構造体 １３８：アーム １４０：円形ボス １４４：内部スプ
ールカバー １４６：内部凹み １４８：ブッシン
グ １５０：耳部 １５１：構造体 １５２：孔 １５３：切り込み １５４：ねじ １５６：ボス １５８：凹み １６０：内壁 １６２：半径方向壁 １６８：案内柱 １７０：溝 １７２：ボス １７４：ばね １７６：ねじ １８０：ダイアル板 １８２：把持構造
体 １８６：カム傾斜部 １９４：肩部 １９６、１９８、２００：ダイアル突出部 ２０２：第
１カム平面 ２０４：第１傾斜セグメント ２０６：第２カム
平面 ２１０：第３カム平面 ２１４：Ｖ字形ば
ね ２１５：端部 ２１６：形部 ２１８：外方面 ２１９：曲げ部分 ２２０：谷部 ２２２：第４カム
平面 ２２８：初期ブレーキ位置 ２３４：タブ ２３６、２３８：カバー肩部 ２４０：割り出し
マーク ２４１：Ｖ字形ばね ２４４：タブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヒュンキュ・キム アメリカ合衆国オクラホマ州74012，ブロ ークン・アロー，ポプラー・アベニュー 10055 Ｆターム(参考） 2B108 HE08 HE11 HE15

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 釣り用リールのためのブレーキ装置であ
   って、 複数の所定位置を有しておりかつ少なくとも１つのカム
   突出部を含んでいるブレーキダイアルと、 該カム突出部と相互作用するように前記リールへ作動可
   能に位置付けられているＶ字形ばねであって、該Ｖ字形
   ばねが該カム突出部の一部へ抗して位置付けられかつブ
   レーキダイアルが前記所定位置の１つへ位置付けられて
   いないときに、該Ｖ字形ばねが該所定位置の１つへ回転
   するように前記ブレーキダイアルを強制しているカム突
   出部の当該部分へ力を付与するであろうＶ字形ばねと、 を有しているブレーキ装置。
2. 【請求項２】 更に、調整可能な遠心ブレーキ組立体を
   有しており、前記ブレーキダイアルが該遠心ブレーキ組
   立体の調整が可能となっている請求項１に記載のブレー
   キ装置。
3. 【請求項３】 前記遠心ブレーキ組立体が、 ブレーキダイアルと作動可能に連通している可動のブレ
   ーキリングと、 ブレーキ力を発生するため前記ブレーキリングへ接触す
   る複数のブレーキ要素と、 を含んでいる請求項２に記載のブレーキ装置。
4. 【請求項４】 前記複数の所定位置が、 前記ブレーキ要素が前記ブレーキリングへ接触しない非
   接触位置と、 前記ブレーキ要素の少なくとも１つがブレーキリングへ
   接触する少なくとも１つの接触位置と、 を有している請求項３に記載のブレーキ装置。
5. 【請求項５】 前記ブレーキダイアルが更に少なくとも
   １つのカム傾斜部を含んでおり、この傾斜部が前記ブレ
   ーキダイアルの前記所定位置に対応する複数の平坦部を
   そこに有している、請求項１に記載のブレーキ装置。
6. 【請求項６】 前記所定位置を表示する手段を更に有し
   ている請求項１に記載のブレーキ装置。
7. 【請求項７】 釣り用リールのためのブレーキ装置であ
   って、 側方カバーと、 該側方カバーへ回転自在に位置付けられているブレーキ
   ダイアルであって外部から接近可能でかつ該側方カバー
   の外側より作動可能となっており、複数の所定位置を有
   しているブレーキダイアルと、 前記ブレーキダイアル及び前記側方カバーの一方に設け
   られている少なくとも１つのカム突出部と、 該カム突出部と相互作用するため前記ブレーキダイアル
   及び前記側方カバーの他方へ作動可能に取り付けられて
   いるＶ字形ばねであって、該Ｖ字形ばねが前記カム突出
   部の一部へ対して位置付けられかつ前記ブレーキダイア
   ルが前記所定位置の１つへ位置付けられていないとき
   に、該Ｖ字形ばねが該所定位置の１つへ前記ブレーキダ
   イアルを回転するように強制するため前記カム突出部の
   当該部分へ作用するであろうＶ字形ばねと、 を有しているブレーキ装置。
8. 【請求項８】 ブレーキ装置が更に遠心ブレーキ組立体
   を有しており、該遠心ブレーキ装置が、 ブレーキダイアルと作動可能に連通している可動のブレ
   ーキリングと、 ブレーキ力を発生するため前記ブレーキリングへ接触す
   る複数のブレーキ要素と、 を含んでいる請求項７に記載のブレーキ装置。
9. 【請求項９】 前記複数の所定位置が、 前記ブレーキ要素が前記ブレーキリングへ接触しない非
   接触位置と、 前記ブレーキ要素の少なくとも１つがブレーキリングへ
   接触する少なくとも１つの接触位置と、 を有している請求項８に記載のブレーキ装置。
10. 【請求項１０】 前記ブレーキダイアルが少なくとも１
    つのカム傾斜部を含んでおり、この傾斜部が前記ブレー
    キダイアルの前記所定位置に対応する複数の平坦部をそ
    こに有している、請求項７に記載のブレーキ装置。
11. 【請求項１１】 前記所定位置を表示する手段を更に有
    している請求項７に記載のブレーキ装置。