JP2001176662A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

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JP2001176662A
JP2001176662A JP36243199A JP36243199A JP2001176662A JP 2001176662 A JP2001176662 A JP 2001176662A JP 36243199 A JP36243199 A JP 36243199A JP 36243199 A JP36243199 A JP 36243199A JP 2001176662 A JP2001176662 A JP 2001176662A
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JP36243199A
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Inventor
Satoshi Hisamitsu
聡史 久光
Hideaki Ueda
秀昭 植田
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二つの電極の間に少なくとも有機発光層を含
む有機発光膜が挟持された有機EL素子の製造方法であ
って、製造過程における有機発光膜中の有機物層の劣化
を抑制でき、それだけ高輝度、高効率の発光を行うこと
ができ、長寿命な有機EL素子を容易に作製できる有機
EL素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 第1基板11上に、電極21及び有機発
光層32より第1基板側に配置される有機発光膜部分
(正孔注入輸送層31)を形成する。第2基板12上
に、電極22及び有機発光層32より第2基板側に配置
される有機発光膜部分(電子注入輸送層33)を形成す
る。第1基板上にスペーサを散布する。有機発光材料及
び樹脂を含む混合物を樹脂の軟化温度にまで加熱して流
動性を持たせ、第1基板上に供給する。第1基板に向け
て可撓性第2基板を加圧ローラRで押圧し、供給した流
動体6を押し広げつつ、両基板を重ね合わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機エレクトロルミネッセンス素子(有
機EL素子)は、例えば、基板、陽極、有機発光膜、陰
極、基板がこの順に積層された積層構造のものである。
有機発光膜は少なくとも有機発光層を有しており、この
有機発光膜を挟持する二つの電極(陽極及び陰極)間に
所定電圧を印加することで、有機エレクトロルミネッセ
ンス素子は発光する。発光効率を高めるなどのために、
有機発光膜の有機発光層より陽極側には、正孔注入層、
正孔輸送層、正孔注入輸送層のうちの1又は2以上が設
けられることもある。また、発光効率を高めるなどのた
めに、有機発光膜の有機発光層より陰極側には、電子注
入層、電子輸送層、電子注入輸送層のうちの1又は2以
上が設けられることもある。
【0003】このような有機エレクトロルミネッセンス
素子は、例えば、一方の基板上に電極、有機発光膜、電
極を順に形成し、他方の基板を最後に重ね合わせること
で作製される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
電極、有機発光膜、電極を順に積層して、有機エレクト
ロルミネッセンス素子を作製する手法には次のような問
題がある。一方の電極(後から形成する方の電極)につ
いては、有機発光膜上に形成する必要がある。有機発光
膜上に形成する電極は、通常は、真空蒸着法やスパッタ
リング法によって形成される。
【0005】そのため、有機発光膜上に電極を形成する
ときに、有機発光膜中の有機物層(例えば、有機発光
層)がイオンビームに曝されたり、基板の温度上昇が起
こり、基板上に既に形成されている有機物層が少なから
ずダメージを受けてしまう。このダメージによる有機物
層の劣化によって、発光輝度の低下、発光効率の低下、
寿命の低下等の不具合が生じる。また、蒸着法又はスパ
ッタリング法による電極形成は、操作が複雑で、作製に
時間がかかる。
【0006】そこで本発明は、二つの電極の間に少なく
とも有機発光層を含む有機発光膜が挟持された有機エレ
クトロルミネッセンス素子の製造方法であって、製造過
程における有機発光膜中の有機物層の劣化を抑制でき、
それだけ高輝度、高効率の発光を行うことができ、長寿
命な有機エレクトロルミネッセンス素子を容易に作製で
きる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提
供することを課題とする。
【0007】また、本発明は、二つの電極の間に少なく
とも有機発光層を含む有機発光膜が挟持された有機エレ
クトロルミネッセンス素子であって、高輝度、高効率の
発光を行うことができ、長寿命な有機エレクトロルミネ
ッセンス素子を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1) 前記課題を解決
するために本発明は、次の第1及び第2の二つのタイプ
の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供
する。 (1−1)第1タイプの有機エレクトロルミネッセンス
素子製造方法 第1タイプの有機エレクトロルミネッセンス素子の製造
方法は、二つの電極の間に少なくとも有機発光層を含む
有機発光膜が挟持された有機エレクトロルミネッセンス
素子の製造方法であって、少なくとも一方が可撓性の第
1及び第2の二つの基板を採用して、第1基板上に少な
くとも電極を形成するとともに、可撓性の第2基板上に
少なくとも電極を形成する形成工程と、前記第1基板上
に、有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料を含む
流動体を供給する供給工程と、前記流動体が供給された
第1基板に向けて可撓性の第2基板を加圧部材で押圧
し、該流動体を両基板の間で押し広げつつ、両基板を該
流動体を介して重ね合わせる重ね工程とを含む有機エレ
クトロルミネッセンス素子の製造方法である。 (1−2)第2タイプの有機エレクトロルミネッセンス
素子製造方法 また、第2タイプの有機エレクトロルミネッセンス素子
の製造方法は、二つの電極の間に少なくとも有機発光層
を含む有機発光膜が挟持された有機エレクトロルミネッ
センス素子の製造方法であって、少なくとも一方が可撓
性の第1及び第2の二つの基板を採用して、第1基板上
に少なくとも電極を形成するとともに、可撓性の第2基
板上に少なくとも電極を形成する形成工程と、前記第1
基板上に、高分子有機発光材料の前駆体又は(及び)高
分子有機電荷移動材料の前駆体を含む流動体を供給する
供給工程と、前記流動体が供給された第1基板に向けて
可撓性の第2基板を加圧部材で押圧し、該流動体を両基
板の間で押し広げつつ、両基板を該流動体を介して重ね
合わせる重ね工程とを含む有機エレクトロルミネッセン
ス素子の製造方法である。 (2) 本発明に係る第1及び第2のいずれのタイプの
有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において
も、作製する有機エレクトロルミネッセンス素子の構造
は同じである。
【0009】そこで、まず、本発明の有機エレクトロル
ミネッセンス素子の製造方法で作製する有機エレクトロ
ルミネッセンス素子の構造(特に、その層構造)等につ
いて説明する。その後に、第1及び第2タイプそれぞれ
の製造方法について説明する。本発明の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子の製造方法においては、二つの電極
の間に有機発光膜が挟持された有機エレクトロルミネッ
センス素子を作製する。さらに言うと、これら二つの電
極がそれぞれ基板上に形成されている有機エレクトロル
ミネッセンス素子を作製する。これら二つの電極のうち
一方の電極は陽極として、他方の電極は陰極として利用
する。
【0010】電極間に挟持する有機発光膜には少なくと
も有機発光層が含まれている。有機発光膜は次に述べる
ように、有機発光層だけの単層構造であってもよく、有
機発光層を含む二以上の層が積層された積層構造であっ
てもよい。有機発光膜は、順次積層された複数の有機発
光層を含んでいてもよい。有機発光膜としては、次の
(a1)〜(a3)に示すものを例示できる。 (a1)陽極側から陰極側へ、正孔移動関連層及び有機
発光層が積層されたもの。 (a2)陽極側から陰極側へ、正孔移動関連層、有機発
光層及び電子移動関連層が積層されたもの。 (a3)陽極側から陰極側へ、有機発光層及び電子移動
関連層が積層されたもの。
【0011】有機エレクトロルミネッセンス素子におけ
る発光は、一方の電極(陰極)から電子が注入され、他
方の電極(陽極)から正孔が注入されることにより、有
機発光層中で電子と正孔が結合し、有機発光層を構成す
る有機発光材料(有機発光体)がより高いエネルギー準
位に励起され、励起された有機発光材料が元の基底状態
に戻る際に、その余分なエネルギーを光として放出する
現象である。
【0012】そのため、有機発光膜中に電荷(正孔又は
電子)の移動効率を高めるなどのための正孔移動関連層
又は(及び)電子移動関連層を設けておけば、発光効率
を高めることができる。正孔移動関連層又は(及び)電
子移動関連層を設けておけば、電極から有機発光膜への
電荷の注入効率を高め、発光効率を高めることができ
る。有機エレクトロルミネッセンス素子に設けられた正
孔移動関連層又は(及び)電子移動関連層のことを以降
の説明では、電荷移動関連層と呼ぶことがある。電荷移
動関連層は、電荷移動材料を含む材料により形成でき
る。電荷移動関連層は、電極の特性や有機発光層の特性
にあわせて必要に応じて設ければよい。
【0013】正孔移動関連層は、例えば、次の(b1)
〜(b4)に示すものとすればよい。正孔移動関連層
は、例えば、(b1)正孔注入層、(b2)正孔輸送
層、(b3)正孔注入層及び正孔輸送層、又は(b4)
正孔注入輸送層とすればよい。
【0014】正孔移動関連層には、電極の特性や有機発
光層の特性に応じて適当なものを選択すればよい。正孔
輸送層や正孔注入輸送層は電子を輸送しないので、これ
らのうちいずれかを設けることで有機発光層に電子を閉
じこめることができ、発光効率を高めることができる。
電子移動関連層は、例えば、次の(c1)〜(c4)に
示すものとすればよい。電子移動関連層は、例えば、
(c1)電子注入層、(c2)電子輸送層、(c3)電
子注入層及び電子輸送層、又は(c4)電子注入輸送層
とすればよい。
【0015】電子移動関連層には、電極の特性や有機発
光層の特性に応じて適当なものを選択すればよい。電子
輸送層や電子注入輸送層は正孔を輸送しないので、これ
らのうちいずれかを設けることで有機発光層に正孔を閉
じこめることができ、発光効率を高めることができる。
有機発光膜は、例えば、次の(d1)〜(d8)に示す
層構造とすればよい。なお、次の(d2)〜(d8)に
示す積層構造の有機発光膜は、いずれも陰極側から陽極
側への積層順を示してある。有機発光膜は、例えば、
(d1)有機発光層だけの単層からなるもの、(d2)
有機発光層と正孔注入輸送層がこの順に積層されたも
の、(d3)電子注入輸送層と有機発光層がこの順に積
層されたもの、(d4)有機発光層と正孔輸送層と正孔
注入層がこの順に積層されたもの、(d5)電子注入輸
送層と有機発光層と正孔注入輸送層がこの順に積層され
たもの、(d6)電子注入層と電子輸送層と有機発光層
がこの順に積層されたもの、(d7)電子注入輸送層と
有機発光層と正孔輸送層と正孔注入層がこの順に積層さ
れたもの、又は(d8)電子注入層と電子輸送層と有機
発光層と正孔注入輸送層がこの順に積層されたものとす
ればよい。なお、勿論、有機発光膜の層構造は上記示し
たものに限定されるわけではない。例えば前述のように
有機発光膜中に複数の有機発光層を順次積層して設けて
もよい。
【0016】有機発光層は、有機発光材料を含む材料に
より形成できる。電子輸送層は、電子輸送材料を含む材
料により形成できる。電子注入層は、電子注入材料を含
む材料により形成できる。電子注入輸送層は、電子注入
輸送材料(電子注入材料及び電子輸送材料を含む材料、
或いは、電子注入性と電子輸送性の両者の性質を合わせ
もつ材料)により形成できる。正孔輸送層は、正孔輸送
材料を含む材料により形成できる。正孔注入層は、正孔
注入材料を含む材料により形成できる。正孔注入輸送層
は、正孔注入輸送材料(正孔注入材料及び正孔輸送材料
を含む材料、或いは、正孔注入性と正孔輸送性の両者の
性質を合わせもつ材料)により形成できる。
【0017】有機発光材料、電子輸送材料(有機材
料)、電子注入材料(有機又は無機材料)、電子注入輸
送材料(有機材料)、正孔輸送材料(有機材料)、正孔
注入材料(有機材料)、正孔注入輸送材料(有機材料)
の具体例については後述する。電荷移動関連層(電子移
動関連層又は正孔移動関連層。すなわち、電子輸送層、
電子注入層、電子注入輸送層、正孔輸送層、正孔注入層
又は正孔注入輸送層)を形成するための材料(電子輸送
材料、電子注入材料、電子注入輸送材料、正孔輸送材
料、正孔注入材料又は正孔注入輸送材料)を電荷移動材
料と呼ぶ。
【0018】有機発光材料及び電荷移動材料を含む材料
により、有機発光層と電荷移動関連層の双方を兼ねる層
を形成することもできる。有機発光材料と電荷移動材料
を共に含む以外に、有機発光材料一種だけからなる層が
有機発光層と電荷移動関連層の双方を兼ねることもあ
る。有機発光膜は、このような有機発光層と電荷移動関
連層の双方を兼ねる層を含むものであってもよい。例え
ば、有機発光材料、電子注入材料及び電子輸送材料を含
む材料により層を形成すれば、有機発光層及び電子注入
輸送層の双方を兼ねる層が形成できる。 (3) 以上述べたように本発明の有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の製造方法においては、基板、電極、有
機発光膜、電極、基板がこの順に積層されたものを作製
する。電極間に挟まれた有機発光膜は、第1層、第2
層、第3層、・・・、第n層(nは、1以上の整数)が
この順に積層されたものである(図1(A)参照)。な
お、このような構造の有機エレクトロルミネッセンス素
子のことを、以降の説明では、n層の有機発光膜を有す
る有機エレクトロルミネッセンス素子と呼ぶことがあ
る。
【0019】上記述べたように第1層〜第n層のなかの
少なくとも一つが有機発光層として機能する層である。
なお、n=1のときには、第1層は有機発光層、或い
は、有機発光層と電荷移動関連層の双方を兼ねる層であ
る。以下、本発明に係る第1及び第2タイプの有機エレ
クトロルミネッセンス素子の製造方法の概略について述
べる。
【0020】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子の製造方法においては、まず、有機発光膜中の第m層
(1≦m≦n)より一方の基板側に配置される素子部分
(第1素子部分)と、第m層より他方の基板側に配置さ
れる素子部分(第2素子部分)をそれぞれ形成する。さ
らに詳しく言うと、基板上に電極、第1層、第2層、・
・・、第(m−1)層が順に積層された第1素子部分
と、基板上に電極、第n層、第(n−1)層、・・・、
第(m+1)層が順に積層された第2素子部分を形成す
る(図1(B)及び(C)参照)。
【0021】次いで、一方の素子部分(第1又は第2素
子部分)の上に、第m層に持たせる機能を達成するため
の材料を含む材料に流動性を持たせて供給し、その供給
した流動体を介して第1及び第2素子部分を重ね合わせ
る。なお、第m層を例えば有機発光層とするときには、
第m層に持たせる機能を達成するための材料は例えば有
機発光材料である。
【0022】その後、所定の方法で流動体を硬化するこ
とで、前記n層の有機発光膜を有する有機エレクトロル
ミネッセンス素子が作製される。 (4) 本発明に係る第1及び第2のいずれのタイプの
有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法も、前記
第1及び第2素子部分をそれぞれ形成する形成工程と、
前記流動体を供給する供給工程と、第1基板と第2基板
(第1素子部分と第2素子部分)を流動体を介して重ね
合わせる重ね工程とを含んでいる。
【0023】詳しくは後述するように、第1タイプの製
造方法と第2タイプの製造方法では、供給工程で供給す
る流動体に含まれている材料が異なる。第1タイプの製
造方法においては、有機発光材料又は(及び)有機電荷
移動材料を含む流動体を供給する。これに対して、第2
タイプの製造方法においては、高分子有機発光材料の前
駆体又は(及び)高分子有機電荷移動材料の前駆体を含
む流動体を供給する。供給工程で供給する流動体に含ま
れている材料が異なることを除けば、第1及び第2タイ
プのいずれの製造方法においても、ほぼ同様にして有機
エレクトロルミネッセンス素子は作製される。
【0024】以下、本発明に係る有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の製造方法の各工程(形成工程、供給工
程、重ね工程)について順に説明する。特にことわりの
ない限り、以下に述べることは第1及び第2のいずれの
タイプの製造方法についても当てはまることである。 (4−1)形成工程 形成工程においては、第1及び第2の二つの基板上にそ
れぞれ少なくとも電極を形成する。
【0025】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子の製造方法においては、二つの基板のうち少なくとも
一方の基板としては、可撓性を有する基板を採用する。
第1及び第2基板のうち、可撓性を有する基板を第2基
板とする。第1基板は、可撓性を有する基板でもよく、
可撓性のない基板でもよい。この形成工程では、第1基
板上に少なくとも電極を形成する。また、可撓性の第2
基板上にも少なくとも電極を形成する。
【0026】形成工程においては、最終的に形成する有
機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光膜中の流動
体を用いて形成される層(前記第m層)を除く部分及び
電極を所定の順序で第1及び第2基板上に形成する。さ
らに詳しく言うと、形成工程においては、流動体を用い
て形成される層より第1基板側に配置される有機発光膜
部分及び電極を第1基板上に形成し、流動体を用いて形
成される層より第2基板側に配置される有機発光膜部分
及び電極を第2基板上に形成する。流動体を用いて形成
される層より第1基板側に配置される有機発光膜部分が
ないとき(n=1、m=1又はm=nのとき)には、第
1基板上には電極だけを形成する。流動体を用いて形成
される層より第2基板側に配置される有機発光膜部分が
ないときには、第2基板上には電極だけを形成する。
【0027】すなわち、前述のように第1基板上には少
なくとも電極を形成する。また、可撓性の第2基板上に
も少なくとも電極を形成する。第1基板上に形成する電
極は陽極でも陰極でもよい。また、可撓性の第2基板上
に形成する電極も同様に陽極でも陰極でもよい。第1基
板上に陰極(陽極)を形成したときには、第2基板上に
は陽極(陰極)を形成すればよい。
【0028】第1基板上には、有機発光膜中の前記第1
層〜第(m−1)層を形成してもよく、第n層〜第(m
+1)層を形成してもよい。第1基板上に第1層〜第
(m−1)層を形成するときには、可撓性第2基板上に
は第n層〜第(m+1)層を形成すればよい。また、第
1基板上に第n層〜第(m+1)層を形成するときに
は、可撓性第2基板上には第1層〜第(m−1)層を形
成すればよい。
【0029】要するに、形成工程においては、前記n層
の有機発光膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素
子における前記第1素子部分と第2素子部分をそれぞれ
形成する。n=1のときには、第1及び第2基板上には
それぞれ電極だけを形成する。n≠1であって、m=1
又はm=nのときには、第1又は第2基板上には電極だ
けを形成する。
【0030】従来より知られた手法にて、基板上に電極
を形成することができる。各基板に形成する電極は、互
いに所定間隔をあけて平行に並ぶ複数の帯状電極部から
なるものとしてもよい。例えば、基板上に一様に形成さ
れた導電性膜を、フォトリソグラフィー法やエッチング
法などの手法を用いてエッチングすることで、このよう
な複数の帯状電極部からなる電極を形成できる。このよ
うな帯状電極部からなる電極を第1及び第2基板にそれ
ぞれ形成しておけば、後述する重ね工程で第1基板上の
帯状電極部と第2基板上の帯状電極部が互いに交差する
ようにこれら基板を重ね合わせることで、単純マトリク
ス駆動を行える有機エレクトロルミネッセンス素子を作
製することができる。
【0031】流動体を用いて形成される層より基板側に
配置される有機発光膜部分も、従来より知られた手法に
て形成することができる。この有機発光膜部分が複数の
層からなるときには、電極上に各層をその積層順に順次
形成すればよい。形成工程においては、市販されている
電極付き基板を採用してもよい。要するに、この形成工
程においては、形成工程の後に行われる供給工程及び重
ね工程において必要な、少なくとも電極が形成された第
1基板と、少なくとも電極が形成された第2基板とが準
備できればよい。 (4−2)供給工程 (4−2−1) 第1タイプの製造方法における供給工
程 第1タイプの製造方法における供給工程においては、有
機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料を含む材料に
流動性を持たせて、第1基板上に供給する。
【0032】第1基板上に供給する流動体(有機発光材
料又は(及び)有機電荷移動材料を含む材料であって、
流動性を持つ材料)は、第1基板に既に形成されている
電極又は有機発光膜部分の上に供給する。有機発光材料
又は(及び)有機電荷移動材料を含む材料に流動性を持
たせる手法については後述する。
【0033】この流動体を用いて形成する層(前記第m
層)が、有機発光層であるときには第1基板上には有機
発光材料を含む流動体を供給する。この流動体で電荷移
動関連層を形成するときには、第1基板上には有機電荷
移動材料を含む流動体を供給する。この流動体で有機発
光層及び電荷移動関連層の双方を兼ねる層を形成すると
きには、第1基板上には有機発光材料及び有機電荷移動
材料を含む流動体を供給する。 (4−2−2) 第2タイプの製造方法における供給工
程 第2タイプの製造方法における供給工程においては、高
分子有機発光材料の前駆体又は(及び)高分子有機電荷
移動材料の前駆体を含む材料に流動性を持たせて、第1
基板上に供給する。
【0034】第1基板上に供給する流動体(高分子有機
発光材料の前駆体又は(及び)高分子有機電荷移動材料
の前駆体を含む材料であって、流動性を持つ材料)は、
第1基板に既に形成されている電極又は有機発光膜部分
の上に供給する。高分子有機発光材料の前駆体又は(及
び)高分子有機電荷移動材料の前駆体を含む材料に流動
性を持たせる手法については後述する。
【0035】この流動体を用いて形成する層(前記第m
層)が、有機発光層であるときには第1基板上には高分
子有機発光材料の前駆体を含む流動体を供給する。この
流動体で電荷移動関連層を形成するときには、第1基板
上には高分子有機電荷移動材料の前駆体を含む流動体を
供給する。この流動体で有機発光層及び電荷移動関連層
の双方を兼ねる層を形成するときには、第1基板上には
高分子有機発光材料の前駆体及び高分子有機電荷移動材
料の前駆体を含む流動体を供給する。 (4−3)重ね工程 重ね工程においては、供給工程において第1基板上に供
給した流動体を介して、第1基板と可撓性第2基板を重
ね合わせる。第1基板と第2基板は、これら基板上にそ
れぞれ形成されている電極(及び有機発光膜部分)が、
所定の順序で並ぶように重ね合わせる。
【0036】重ね工程においては、第1基板に向けて可
撓性第2基板を加圧部材で押圧し、第1基板上の流動体
を両基板の間で押し広げながら、流動体を介して両基板
を重ね合わせる。加圧部材は、例えば、ローラ形状のも
のとすればよい。さらに詳しく言うと、第1基板と可撓
性第2基板は、例えば、次のように重ね合わせればよ
い。まず、可撓性第2基板の一方の端部(第1端部)が
流動体を介して第1基板に重なるように、且つ、可撓性
第2基板の第1端部とは反対側の端部(第2端部)が該
流動体と接触しないように該可撓性第2基板を配置す
る。例えば、可撓性第2基板を撓ませることで、このよ
うに第2基板を配置することができる。なお、供給工程
においては、可撓性第2基板の第1端部を流動体を介し
て重ね合わせる第1基板端部の上だけに流動体を供給し
ておいてもよい。供給工程においては、第1基板のほぼ
全面に流動体を供給してもよい。
【0037】このように第2基板を配置した後、可撓性
第2基板の第1端部側から第2端部側へ、加圧部材で可
撓性第2基板を第1基板に向けて順に押圧しながら、両
基板を重ね合わせればよい。加圧部材は、例えば、可撓
性第2基板の第1端部側から第2端部側へほぼ一定の押
圧力で、第2基板を第1基板に向けて押圧すればよい。
加圧部材で可撓性第2基板を第1端部側から第2端部側
へ順に押圧してゆくとき、例えば、可撓性第2基板の押
圧されていない部分が流動体に接触しない状態を保ちな
がら可撓性第2基板を加圧部材で押圧してもよい。この
ような状態は、可撓性第2基板を撓ませておくことで保
つことができる。最終的には、可撓性第2基板が撓んで
いない平板状になるように、第1基板と第2基板は重ね
合わせればよい。
【0038】このようにして第1基板と第2基板を重ね
合わせることで、第1基板と第2基板間に挟まれた流動
体に気泡が残留することや、流動体に気泡が混入するこ
となどを抑制できる。ひいては、流動体を用いて形成す
る層に気泡が混入してしまうことを抑制できる。加圧部
材で可撓性第2基板を第1端部側から第2端部側へ押圧
することで、流動体中の気泡を押し出しつつ、第1基板
と第2基板を重ね合わせることができる。第2基板が可
撓性基板であるため、加圧部材で第2基板を押圧すると
きの第2基板の損傷を抑制できる。また、加圧部材で可
撓性第2基板を第1端部側から第2端部側へ順に押圧し
てゆくとき、可撓性第2基板の押圧されていない部分が
流動体に接触しない状態を保つことで、気泡の逃げ道が
でき、流動体中の気泡が逃げやすくなる。第2基板が可
撓性基板であるため、上記状態を保ちつつ、第1基板と
第2基板を重ね合わせることができる。
【0039】なお、可撓性第2基板の押圧されていない
全ての部分が、流動体に接触していない状態を保ちなが
ら、押圧部材で第2基板の第1端部側から第2端部側へ
押圧することは難しいので、可撓性第2基板の押圧され
ていない大部分が流動体に接触していない状態を保ちな
がら押圧部材で第2基板を押圧すればよい。また、最終
的には可撓性第2基板が撓んでいない平板状になるよう
に、第1基板と第2基板を重ね合わせるので、押圧部材
で第2基板の第2端部近くを押圧するときには、第2基
板の押圧されていない部分が流動体に接触していない状
態を保つことが難しくなる。したがって、第2基板の第
2端部近くを押圧するときには、第2基板の押圧されて
いない全ての部分又は第2基板の押圧されていない大部
分が、流動体と接触していてもよい。要するに、可撓性
第2基板を第1端部側から第2端部側へ順に押圧してゆ
くときの少なくとも一部(例えば、第1端部を押圧する
ときから、第2端部の近くを押圧するときまで)におい
て、第2基板の押圧されていない部分が流動体に接触し
ていない状態を保っておけばよい。
【0040】重ね工程は、大気圧より小さい気圧下(減
圧下)において行ってもよい。重ね工程を減圧下におい
て行うと、流動体を用いて形成する層に気泡が混入して
しまうことをさらに抑制できる。重ね工程は、不活性ガ
スの雰囲気下におこなってもよい。重ね工程を不活性ガ
スの雰囲気下において行えば、流動体を用いて形成する
層などの有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化を抑
制できる。重ね工程は、不活性ガス雰囲気下の減圧下で
行ってもよい。不活性ガスとしては、例えば、窒素(N
2 )ガス、アルゴン(Ar)ガス又はこれらの混合ガス
を挙げることができる。窒素ガスやアルゴンガスは、安
価で入手しやすい。 (4−4) 次のようにして第1及び第2基板間にスペ
ーサを配置すれば、重ね工程において第1及び第2基板
間に挟まれた流動体によりできる層の層厚を全体的に均
一にすることができる。さらに言うと、この流動体を用
いて形成される層の層厚を全体的に均一にすることがで
きる。
【0041】例えば、重ね工程の前に第1基板上にスペ
ーサを散布しておけばよい。このスペーサは、供給工程
で流動体を供給する第1基板に既に形成されている電極
又は有機発光膜部分の上に散布する。このスペーサ散布
工程は、例えば、形成工程の後に行えばよい。第1基板
上に散布するスペーサとしては、従来より知られたもの
を採用できる。スペーサは、加熱や加圧によって変形し
ない硬質材料からなるものが好ましい。このようなスペ
ーサとしては、例えば、ガラスファイバーを微細化した
もの、ボール状の珪酸ガラス、アルミナ粉末などを挙げ
ることができる。スペーサの散布手法としては、従来よ
り知られた手法が採用できる。例えば、湿式の散布法又
は乾式の散布法でスペーサを散布すればよい。
【0042】このように重ね工程の前にスペーサを第1
基板上に散布しておくことに代えて、供給工程で第1基
板上に供給する流動体にスペーサを含ませておいてもよ
い。供給工程で供給した流動体にスペーサが含まれてい
れば、重ね工程でこの流動体を押し広げつつ、第1基板
と第2基板を重ね合わせるときに、スペーサが第1基板
と第2基板の間のほぼ全領域に広がり、流動体を用いて
形成される層の層厚を均一にすることができる。流動体
にスペーサを含ませる工程は、供給工程の前に行えばよ
い。流動体に含ませるスペーサの材料としても、第1基
板上に散布するスペーサ材料として上記示したものを挙
げることができる。(4−5) 次のようにシール壁を
形成するためのシール樹脂を第1又は(及び)第2基板
上に所定形状に配設しておけば、重ね工程において流動
体を押し広げるときに、流動体が広がりすぎることを抑
制できる。また、重ね工程の後、第1基板と第2基板の
間から流動体が漏れ出ることも抑制できる。
【0043】シール樹脂は、第1又は(及び)第2基板
上において流動体で形成される層を形成すべき領域(例
えば、発光領域)の周縁部に配設すればよい。シール樹
脂は、第1又は(及び)第2基板上に、例えば、枠状に
設ければよい。シール樹脂は、第1及び第2基板上の少
なくとも一方に設けておけばよい。このシール樹脂は、
第1基板と第2基板の接着にも利用できる。
【0044】このようなシール樹脂を設けるシール樹脂
配設工程は、重ね工程の前に行えばよい。シール樹脂配
設工程は、例えば、形成工程の後であって、供給工程の
前に行えばよい。 (5) 供給工程で供給する流動体 以下、供給工程で供給する流動体について説明する。ま
た、重ね工程の後、その流動体を硬化させる手法につい
ても合わせて説明する。 (5−1)第1タイプの製造方法における流動体 第1タイプの製造方法において供給工程で供給する流動
体は、前述のように有機発光材料又は(及び)有機電荷
移動材料を含む流動体である。この流動体は、例えば次
の(e1)〜(e6)に示すものとすればよい。 (e1) 流動体は、例えば、軟化温度にまで加熱した
有機発光材料又は(及び)軟化温度にまで加熱した有機
電荷移動材料とすればよい。有機発光材料や有機電荷移
動材料をその軟化温度にまで加熱することで、これら材
料に流動体を持たせることができる。また、このような
流動体を介して第1基板と第2基板を重ね合わせること
で、第1基板と第2基板の密着性を向上させることがで
きる。さらに詳しく言うと、形成工程で形成した第1基
板上の電極(又は有機発光膜部分)と流動体を用いて形
成される層の密着性を向上させることができるととも
に、形成工程で形成した第2基板上の電極(又は有機発
光膜部分)と流動体を用いて形成される層の密着性を向
上させることができる。
【0045】形成工程で形成した第1基板上の有機物層
(有機物で形成された層)や、第2基板上の有機物層な
どが溶媒に対して侵されやすいときには、このような流
動体を採用することが好ましい。後述する(e3)、
(e4)、(f1)で述べる手法を採用すると、形成工
程で第1及び第2基板上に形成した有機物層が溶媒によ
り損傷を受けるときには、このような流動体を採用する
ことが好ましい。
【0046】供給工程で供給する流動体中の有機発光材
料又は(及び)有機電荷移動材料としては、その又はそ
れらの軟化温度が、形成工程で第1及び第2基板上に形
成した有機物層の軟化温度よりも低いものを採用すれば
よい。供給工程において軟化温度にまで加熱した有機発
光材料又は(及び)軟化温度にまで加熱した有機電荷移
動材料を第1基板上に供給するときには、重ね工程は第
1基板を加熱しながら行ってもよい。第1基板を加熱し
ながら行うことで、供給工程で供給された有機発光材料
又は(及び)有機電荷移動材料の流動性を保つことがで
き、流動体を第1基板と第2基板の間で押し広げやすく
なる。
【0047】供給工程において軟化温度にまで加熱した
有機発光材料又は(及び)軟化温度にまで加熱した有機
電荷移動材料を第1基板上に供給するときには、重ね工
程は加熱されている加圧部材を用いて行ってもよい。例
えば、加圧部材を加熱しながら重ね工程を行ってもよ
い。また、予熱された加圧部材を用いて重ね工程を行っ
てもよい。勿論、第1基板を加熱しながら、加熱されて
いる加圧部材を用いて重ね工程を行ってもよい。加熱さ
れた加圧部材を用いることで、供給工程で供給された有
機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料の流動性を保
つことができ、流動体を第1基板と第2基板の間で押し
広げやすくなる。
【0048】重ね工程の後、供給工程で供給した有機発
光材料又は(及び)有機電荷移動材料を冷却すること
で、供給したものを硬化させることができる。 (e2) 流動体は、有機発光材料又は(及び)有機電
荷移動材料がバインダ樹脂に分散された混合物としても
よい。この混合物をバインダ樹脂の軟化温度にまで加熱
することで、この混合物に流動性を持たせることができ
る。また、第1基板と第2基板の密着性を向上させるこ
とができる。
【0049】前記(e1)で述べたのと同様に、形成工
程で形成した第1基板上の有機物層や、第2基板上の有
機物層などが溶媒に対して侵されやすいときには、この
ような流動体を採用することが好ましい。バインダ樹脂
としては、従来より知られたものが採用できる。バイン
ダ樹脂としては、例えば、飽和ポリエステル樹脂、ポリ
アミド樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマ
ー)、スチレン−ブダジエンブロック共重合体、ポリア
リレート、ポリカーボネート、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、セルロースエステル、ポリイミド、スチロー
ル樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノキシ樹脂等の熱可
塑性樹脂が採用できる。また、バインダ樹脂としては、
ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリビニルピレン、ポ
リビニルアントラセン等の光導電性樹脂を採用すること
もできる。バインダ樹脂として、これら樹脂を2以上組
み合わせて用いてもよい。バインダ樹脂は、それには限
定されないが、混合物中に例えば50wt%以下混入す
ればよい。
【0050】バインダ樹脂としては、その軟化温度が、
形成工程で第1及び第2基板上に形成した有機物層の軟
化温度よりも低いものを採用すればよい。このような混
合物を供給するときにも、前記(e1)で述べたのと同
様に、重ね工程は第1基板を加熱しながら行ってもよ
い。また、重ね工程は、加熱されている加圧部材を用い
て行ってもよい。このようにして重ね工程を行えば、混
合物の流動性を保つことができ、流動体を第1基板と第
2基板の間で押し広げやすくなる。
【0051】重ね工程の後、供給工程で供給した混合物
を冷却することで、バインダ樹脂を硬化させることがで
きる。このような冷却工程を行うことで、供給工程で供
給した混合物を硬化させることができる。 (e3) 流動体は、有機発光材料又は(及び)有機電
荷移動材料が溶媒に溶解された溶液としてもよい。この
溶液は、有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料が
溶質として溶解している。
【0052】溶媒は、これに溶解させる有機発光材料又
は(及び)有機電荷移動材料に応じたものを採用すれば
よい。溶媒としては、従来より知られたものを採用でき
る。溶媒としては、形成工程で第1及び第2基板上に形
成した有機物層を侵さないものを採用すればよい。形成
工程で第1及び第2基板上に形成した有機物層が熱に弱
いときには、このような流動体を採用することが好まし
い。有機発光材料の軟化温度又は(及び)有機電荷移動
材料の軟化温度が高く、前記(e1)で述べた手法を採
用すると、形成工程で第1及び第2基板上に形成した有
機物層が熱による損傷を受けるときには、このような流
動体を採用することが好ましい。また、バインダ樹脂の
軟化温度が高く、前記(e2)で述べた手法を採用する
と、形成工程で第1及び第2基板上に形成した有機物層
が熱による損傷を受けるときには、このような流動体を
採用することが好ましい。
【0053】流動体として、このような溶液を採用する
ことで、第1基板と第2基板の密着性を向上させること
もできる。重ね工程の後、供給工程で供給した溶液中の
溶媒を揮発させることで、流動体を硬化させることがで
きる。溶媒を揮発させたとき、第1基板と第2基板の間
に挟まれたものの体積変化を小さくするために、供給工
程で供給する溶液中の溶媒には有機発光材料又は(及
び)有機電荷移動材料をできるだけ高濃度に溶解させて
おくことが好ましい。有機発光材料又は(及び)有機電
荷移動材料は、溶質の溶解度等によっても異なるため、
それには限定されないが、例えば、少なくとも1wt%
以上溶解させればよい。有機発光材料又は(及び)有機
電荷移動材料が、溶媒に高濃度に溶解されていないと、
この流動体を用いて形成する層の層厚を制御することが
難しく、また、第1基板と第2基板の密着性にも不具合
が生じやすくなる。これらの点を考慮しても、有機発光
材料又は(及び)有機電荷移動材料は溶媒にできるだけ
高濃度に溶解させておくことが好ましい。 (e4) 流動体は、有機発光材料又は(及び)有機電
荷移動材料と、バインダ樹脂とが溶媒に溶解された溶液
としてもよい。
【0054】この溶液は、溶質として、有機発光材料又
は(及び)有機電荷移動材料の他に、バインダ樹脂が溶
解している。この溶液は、例えば、有機発光材料又は
(及び)有機電荷移動材料と、バインダ樹脂とを溶媒に
溶解させることで作製することができる。有機発光材
料、有機電荷移動材料及びバインダ樹脂は、どのような
順序で溶媒に溶解してもよい。この溶液は、有機発光材
料又は(及び)有機電荷移動材料がバインダ樹脂に分散
された混合物を形成した後、この混合物を溶媒に溶解す
ることでも形成することができる。
【0055】ここで採用するバインダ樹脂としても、前
記(e2)で例示したものが採用できる。前記(e3)
で述べたのと同様に、溶媒は、これに溶解させる有機発
光材料又は(及び)有機電荷移動材料と、バインダ樹脂
とに応じたものを採用すればよい。溶媒としては、従来
より知られたものを採用できる。溶媒としては、形成工
程で第1及び第2基板上に形成した有機物層を侵さない
ものを採用すればよい。
【0056】流動体として、このような溶液を採用する
ことで、第1基板と第2基板の密着性を向上させること
もできる。前記(e3)で述べたのと同様に、形成工程
で第1及び第2基板上に形成した有機物層が熱に弱いと
きには、このような流動体を採用することが好ましい。
重ね工程の後、供給工程で供給した溶液中の溶媒を揮発
させることで、流動体を硬化させることができる。前記
(e3)で述べたのと同様の理由で、有機発光材料又は
(及び)有機電荷移動材料と、バインダ樹脂は、溶媒に
高濃度に溶解しておくことが好ましい。 (e5) 流動体は、有機発光材料又は(及び)有機電
荷移動材料が紫外線硬化樹脂に分散された混合物として
もよい。例えば、室温にて流動性のある紫外線硬化樹脂
を採用することで、この混合物に流動性を持たせること
ができる。
【0057】重ね工程の後、紫外線を照射することで、
混合物中の紫外線硬化樹脂を硬化させることができ、ひ
いてはこの混合物を硬化させることができる。この混合
物は、紫外線を照射するだけの簡単な手法で硬化させる
ことができる。 (e6) 流動体は、有機発光材料又は(及び)有機電
荷移動材料が熱硬化樹脂に分散された混合物としてもよ
い。例えば、室温にて流動性のある熱硬化樹脂を採用す
ることで、この混合物に流動性を持たせることができ
る。
【0058】重ね工程の後、加熱することで、混合物中
の熱硬化樹脂を硬化させることができ、ひいてはこの混
合物を硬化させることができる。この混合物は、加熱す
るだけの簡単な手法で硬化させることができる。 (5−2)第2タイプの製造方法における流動体 第2タイプの製造方法において供給工程で供給する流動
体は、前述のように高分子有機発光材料の前駆体又は
(及び)高分子有機電荷移動材料の前駆体を含む流動体
である。第m層の機能を達成するための有機発光材料又
は(及び)有機電荷移動材料として、例えば、溶媒に溶
解せず、しかも、高温に加熱しないと軟化しない材料を
採用したいときなどには、このように高分子有機発光材
料の前駆体又は(及び)高分子有機電荷移動材料の前駆
体を含む流動体を採用すればよい。この流動体は、例え
ば次の(f1)に示すものとすればよい。(f1)流動
体は、例えば、高分子有機発光材料の前駆体又は(及
び)高分子有機電荷移動材料の前駆体を溶媒に溶解した
溶液とすればよい。
【0059】この溶液は、溶質として、高分子有機発光
材料の前駆体又は(及び)高分子有機電荷移動材料の前
駆体が溶解している。前記(e3)で述べたのと同様
に、溶媒は、これに溶解させる高分子有機発光材料の前
駆体又は(及び)高分子有機電荷移動材料の前駆体に応
じたものを採用すればよい。溶媒としては、従来より知
られたものを採用できる。溶媒としては、形成工程で第
1及び第2基板上に形成した有機物層を侵さないものを
採用すればよい。
【0060】流動体として、このような溶液を採用する
ことで、第1基板と第2基板の密着性を向上させること
もできる。前記(e3)で述べたのと同様に、形成工程
で第1及び第2基板上に形成した有機物層が熱に弱いと
きには、このような流動体を採用することが好ましい。
重ね工程の後、溶液中の前駆体を高分子有機発光材料又
は(及び)高分子有機電荷移動材料に変化させるととも
に、溶液中の溶媒を揮発させることで、前記第m層とし
て、高分子有機発光材料又は(及び)高分子電荷移動材
料を含む材料からなる層を形成することができる。ま
た、この第m層を硬化させることができる。
【0061】前駆体を高分子有機発光材料又は(及び)
高分子有機電荷移動材料に変化させる手法としては、前
駆体に応じた従来より知られた手法が採用できる。高分
子有機発光材料の前駆体は、高分子有機発光材料の単量
体には限定されない。同様に、高分子有機電荷移動材料
の前駆体は、高分子有機電荷移動材料の単量体には限定
されない。前駆体は、例えば、加熱や、光照射などで、
高分子有機発光材料又は(及び)高分子有機電荷移動材
料に変化させることができる。なお、勿論、流動体に高
分子有機発光材料の前駆体が含まれているときには、こ
の前駆体は高分子有機発光材料に変化させる。また、流
動体に高分子有機電荷移動材料の前駆体が含まれている
ときには、この前駆体は高分子有機電荷移動材料に変化
させる。また、流動体に高分子有機発光材料の前駆体及
び高分子有機電荷移動材料の前駆体が含まれているとき
には、これら前駆体は高分子有機発光材料及び高分子有
機電荷移動材料に変化させる。
【0062】代表的には、前駆体を変化させる変化工程
の後に、溶媒を揮発させる揮発工程を行えばよい。前記
(e3)で述べたのと同様の理由で、高分子有機発光材
料の前駆体又は(及び)高分子有機電荷移動材料の前駆
体は、溶媒に高濃度に溶解しておくことが好ましい。 (6) 以上説明した本発明の製造方法によると、二つ
の電極(陽極及び陰極)いずれについても基板上に直接
形成することができる。すなわち、いずれの電極につい
ても有機発光膜上に形成する必要はない。したがって、
電極、有機発光膜、電極を順に積層して形成する従来手
法のように、有機発光膜中の有機物層(有機材料により
形成される層)上に電極を形成する必要がない。それだ
け有機エレクトロルミネッセンス素子の製造途中におけ
る有機物層のダメージを抑制できる。したがって、本発
明の製造方法によると、高輝度、高効率の発光を長期に
わたり行うことができる有機エレクトロルミネッセンス
素子を作製することができる。
【0063】また、上記従来手法では、市販の電極付き
の基板を一つしか採用できないが、本発明の製造方法で
は電極付きの基板を二つ採用できる。また、本発明の製
造方法では、一様な導電性膜をパターニングして前述の
ように複数の帯状電極部を形成し、電極をマトリクス構
造にするときには、基板上に形成された導電性膜をパタ
ーニングすればよいので、さらに言うと、従来のように
有機発光膜上の導電性膜をパターニングする必要がない
ので、それだけ容易に所定パターンの電極を形成するこ
とができる。陽極及び陰極の両電極とも、容易に所定パ
ターンにすることができる。したがって、本発明の製造
方法によると、それだけ容易に効率よく、有機エレクト
ロルミネッセンス素子を作製することができる。 (7) 本発明は、上記述べた本発明の製造方法で作製
された有機エレクトロルミネッセンス素子も提供する。
【0064】前述のように本発明の製造方法によると、
容易に効率よく有機エレクトロルミネッセンス素子を作
製できるので、本発明の有機エレクトロルミネッセンス
素子はそれだけ安価になる。また、前述のように製造過
程における有機発光膜中の有機物層のダメージを抑制で
きるので、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
は、長期にわたり高輝度、高効率に発光できる。
【0065】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子においては、電極間に挟まれた有機発光膜の膜厚は、
20nm以上500nm以下であることが好ましい。こ
れは、有機エレクトロルミネッセンス素子のブレイクダ
ウンを防止しつつ、透光性を保ち、駆動電圧を低くする
ためである。有機発光膜の膜厚は、前記形成工程におい
て電極の上に形成する有機発光膜部分の厚みや、重ね工
程において流動体により層形成するときのその層の厚み
などを調整することで制御できる。なお、重ね工程にお
いて流動体により形成される層の厚みは、前述のように
スペーサにより調整できる。
【0066】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子においては、表示領域の透過率が70%以上であるこ
とが好ましい。これは、透過像と重ねて表示することが
可能になり、透光性を要求される用途で使用でき、また
その透過像が暗くならないからである。本発明の有機エ
レクトロルミネッセンス素子においては、有機発光層に
蛍光色素をドープしてもよい。有機発光層に蛍光色素が
ドープされていると、発光波長の選択、発光効率、寿命
の点で有利になる。形成工程において蛍光色素がドープ
された有機発光層を形成するときには、従来より知られ
た手法でこの有機発光層を形成できる。また、流動体を
用いて有機発光層を形成するときには、その流動体に蛍
光色素を含ませておけば、蛍光色素がドープされた有機
発光層を形成することができる。
【0067】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子においては、各基板上に形成された電極が単純マトリ
クス駆動できる構造にしてもよい。電極を単純マトリク
ス駆動できる構造とすると、有機エレクトロルミネッセ
ンス素子に任意の文字、図形等を表示させることができ
るだけでなく、有機エレクトロルミネッセンス素子の透
過率を向上させることもできる。
【0068】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子においては、例えば、いずれの電極も透明導電性化合
物からなるものとすればよい。このようにすると、有機
エレクトロルミネッセンス素子の透過率を向上させるこ
とができる。また、陽極にする電極は透明導電性化合物
からなるものとし、陰極にする電極は仕事関数が4eV
以下の金属を含有する材料からなる透光性の金属薄膜と
してもよい。このようにすると、透過像と重ねて表示を
行うことが可能となり、発光効率の低下を抑制できる。 (8) 以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス
素子の製造方法において採用できる基板材料、電極材
料、有機発光材料、電荷移動材料のいくつかの例を示
す。また、電極の形成手法、前記形成工程において有機
発光層を形成するときの形成手法、前記形成工程におい
て電荷移動関連層を形成するときの形成手法についても
以下に述べる。 (8−1)基板(第1基板、可撓性第2基板) 有機発光層からの発光を観察するために、第1基板及び
可撓性第2基板のうち少なくとも一方の基板は透光性
(好ましくは、透明)の基板を採用すればよい。
【0069】基板としては、例えば、適度の強度を有
し、有機エレクトロルミネッセンス素子作製時に膜蒸着
時等における熱に悪影響を受けない透明なものを採用す
ればよい。透明基板としては、例えば、ガラス基板、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、
ポリエーテルエーテルケトン等の透明な樹脂からなる基
板を挙げることができる。
【0070】可撓性を有する第2基板としては、例えば
上記示した樹脂からなる基板を採用すればよい。例えば
基板厚みを調整することで、その基板を可撓性にするこ
とができる。 (8−2)陽極 陽極は、導電性材料を含む材料により形成すればよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子においては、有機発
光層を含む有機発光膜からの発光を見るために、少なく
とも陽極及び陰極のうちのいずれか一方の電極は透光性
にする必要がある。いずれの電極を透光性にしてもよい
が、特に陽極を透光性にすると透明性が良好である。さ
らに言えば、陽極は透明にすることが好ましい。陽極
は、例えば、透光性の導電性膜、透明導電性膜とすれば
よい。
【0071】かかる陽極の材料として、4eVよりも大
きい仕事関数を持つ導電性物質を用いることが好まし
い。かかる物質として、炭素、アルミニウム、バナジウ
ム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、タングステ
ン、銀、錫、金等及びそれらの合金のような金属のほ
か、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜
鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物及びそれらの固溶
体(例えばITOとして知られている酸化インジウム・
錫の固溶体)や混合体などの導電性金属化合物を例示で
きる。
【0072】陽極は、例えば基板上に、前記したような
導電性物質を用い、蒸着、スパッタリング等の手法や、
ゾル―ゲル法或いはかかる導電性物質を樹脂等に分散さ
せて塗布する等の手法を用いて形成することができる。
陽極は、所望の透光性と導電性が確保されるように形成
すればよい。上記の膜形成手法で基板上に陽極材料膜を
一様に形成した後、フォトリソグラフィー及びエッチン
グなどの手法で、所定形状にパターン化された陽極を形
成してもよい。
【0073】陽極は、二層以上の積層構造からなるもの
でもよい。陽極は、正孔注入が起こりやすくするため
に、十分洗浄することが好ましい。陽極は、例えば湿式
洗浄法、UV/オゾン洗浄法などにより洗浄すればよ
い。陽極を洗浄するときには、エキシマーランプの照射
やプラズマ処理をしてもよい。これらを組み合わせて陽
極の洗浄をしてもよい。
【0074】透光性を得るには、陽極の厚みは例えば次
のようにすればよい。金属又は合金で陽極を形成すると
きには1nm〜25nm程度、金属酸化物で陽極を形成
するときには1nm〜200nm程度とすればよい。透
明基板及び陽極として、ガラス基板上に透明導電膜が形
成されたもの、例えばガラス基板上にITO(Indium T
in Oxide)からなる透明導電膜を設けたもの、NESA
ガラスと通称されているコーニング社製の、透明導電膜
をガラス基板上に形成したもの等を利用してもよい。該
透明導電膜をエッチングするなどして所定形状の電極を
形成してもよい。 (8−3)陰極 陰極は、例えば、陽極材料と同じ金属酸化物又は複合酸
化物により形成すればよい。
【0075】陰極は、低仕事関数の金属を含有する導電
性材料(例えば金属材料)により形成してもよい。陰極
を金属を含む材料により形成するときには、その材料は
4eV以下の仕事関数の金属を含有するものがよい。こ
のような金属としては、マグネシウム、カルシウム、チ
タニウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、イ
ッテルビウム、ルテニウム、マンガン及びそれらを含有
する合金を例示できる。
【0076】陰極は、酸化錫、酸化インジウム、酸化ア
ンチモン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又はこれらの複
合酸化物などの導電性金属化合物で形成してもよい。陰
極を形成する場合も、かかる導電性物質を用い、蒸着、
スパッタリング等の手法やゾル―ゲル法或いはかかる物
質を樹脂等に分散させて塗布する等の手法を用いて所望
の透光性と導電性が確保されるように形成することがで
きる。
【0077】陰極は、二層以上の積層構造からなるもの
でもよい。陰極の厚みは、1nm〜200nm程度とす
ればよい。金属酸化物を用いて陰極を形成するときに
は、陰極を透光性にするにはその厚みは1nm〜200
nm程度とすればよい。また、金属又は合金を用いて陰
極を形成するときには、陰極を透光性にするにはその厚
みを1nm〜25nm程度にすればよい。 (8−4)正孔移動関連層 正孔輸送層又は正孔注入輸送層の形成のために用いるこ
とができる正孔輸送材料としては、公知のものが使用可
能である。
【0078】正孔輸送材料としては、例えばN,N' ―
ジフェニル―N,N' ―ビス(3―メチルフェニル)―
1,1' ―ジフェニル―4,4' ―ジアミン、N,N'
―ジフェニル―N,N' ―ビス(4―メチルフェニル)
―1,1' ―ジフェニル―4,4' ―ジアミン、N,
N' ―ジフェニル―N,N' ―ビス(1―ナフチル)―
1,1' ―ジフェニル―4,4' ―ジアミン、N,N'
―ジフェニル―N,N'―ビス(2―ナフチル)―1,
1' ―ジフェニル―4,4' ―ジアミン、N,N,
N’,N' ―テトラ(4―メチルフェニル)―1,1'
―ビス(3―メチルフェニル)―4,4' ―ジアミン、
N,N' ―ジフェニル―N,N' ―ビス(3―メチルフ
ェニル)―1,1' ―ビス(3―メチルフェニル)―
4,4' ―ジアミン、N,N' ―ビス(N―カルバゾリ
ル)―1,1' ―ジフェニル―4,4' ―ジアミン、
4,4' ,4”―トリス(N―カルバゾリル)トリフェ
ニルアミン、N,N' ,N" ―トリフェニル―N,N'
,N" ―トリス(3―メチルフェニル)―1,3,5
―トリ(4―アミノフェニル)ベンゼン、4,4' ,
4”―トリス[N,N' ,N" ―トリフェニル―N,
N' ,N" ―トリス(3―メチルフェニル)]トリフェ
ニルアミンなどを挙げることができる。これらのものは
2種以上を混合して使用してもよい。
【0079】正孔輸送層又は正孔注入輸送層は、前記の
ような正孔輸送材料を蒸着して形成してもよいし、正孔
輸送材料を溶解した溶液や正孔輸送材料を適当な樹脂と
ともに溶解した液を用い、ディップコート法やスピンコ
ート法等の塗布法により形成してもよい。蒸着法で形成
する場合、その厚さは1nm〜500nm程度とし、塗
布法で形成する場合は、その厚さは5nm〜1000n
m程度にすればよい。
【0080】正孔輸送層或いは正孔注入輸送層は、その
膜厚が厚いほど発光させるための印加電圧を高くする必
要があり発光効率が悪くなり、有機エレクトロルミネッ
センス素子の劣化を招きやすい。また膜厚が薄くなると
発光効率はよくなるがブレイクダウンしやすくなり有機
エレクトロルミネッセンス素子の寿命が短くなる。した
がって、発光効率及び素子の寿命を考慮して前記の膜厚
の範囲で形成すればよい。
【0081】正孔注入層は、正孔注入材料を蒸着して形
成してもよいし、正孔注入材料を溶解した溶液や正孔注
入材料を適当な樹脂とともに溶解した溶液を用いてディ
ップコート法やスピンコート法等の塗布法により形成し
てもよい。正孔注入層を蒸着法で形成する場合、その厚
さは、1nm〜20nm程度とし、塗布法で形成する場
合、その厚さは1nm〜50nm程度にすればよい。
【0082】正孔注入層を設けることにより、発光効率
が向上するとともに陽極界面での微小部分での漏れ電流
を有効に防止し、ダークスポットの発生を防ぐことがで
き、素子の寿命を延ばすことができる。正孔注入層を形
成するための正孔注入材料としては、銅フタロシアニン
等のポルフォリン環化合物やインダンスレン顔料、カー
ボン膜、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分
子膜、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリ)トリ
アミノトリフェニルアミン、N,N’,N”−トリフェ
ニル−N,N’,N”−トリス(3−メチルフェニル)
−1,3,5−トリ(4−アミノフェニル)ベンゼン、
4,4’,4”−トリス〔N,N’,N”−トリフェニ
ル−N,N’,N”−トリス(3−メチルフェニル)〕
トリアミノトリフェニルアミン等のスターバースト型化
合物等を例示できる。 (8−5)有機発光層 有機発光層を形成するために用いる有機発光材料として
は、公知のものが使用可能である。
【0083】有機発光材料としては、例えば、エピドリ
ジン、2,5―ビス[5,7―ジ―t―ペンチル―2―
ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,2' ―(1,4
―フェニレンジビニレン)ビスベンゾチアゾール、2,
2' ―(4,4' ―ビフェニレン)ビスベンゾチアゾー
ル、5―メチル―2―{2―[4―(5―メチル―2―
ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル}ベンゾオキサ
ゾール、2,5―ビス(5―メチル―2―ベンゾオキサ
ゾリル)チオフェン、アントラセン、ナフタレン、フェ
ナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ペリノン、
1,4―ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジ
エン、クマリン、アクリジン、スチルベン、2―(4―
ビフェニル)―6―フェニルベンゾオキサゾール、アル
ミニウムトリスオキシン、マグネシウムビスオキシン、
ビス(ベンゾ―8―キノリノール)亜鉛、ビス(2―メ
チル―8―キノリノール)アルミニウムオキサイド、イ
ンジウムトリスオキシン、アルミニウムトリス(5―メ
チルオキシン)、リチウムオキシン、ガリウムトリスオ
キシン、カルシウムビス(5―クロロオキシン)、ポリ
亜鉛―ビス(8―ヒドロキシ―5―キノリノリル)メタ
ン、ジリチウムエピンドリジオン、亜鉛ビスオキシン、
1,2―フタロペリノン、1,2―ナフタロペリノン、
ポリフェリレンビニレン化合物などを挙げることができ
る。
【0084】また、有機発光材料としては、一般的な蛍
光染料、例えば蛍光クマリン染料、蛍光ペリレン染料、
蛍光ピラン染料、蛍光チオピラン染料、蛍光ポリメチン
染料、蛍光メシアニン染料、蛍光イミダゾール染料等も
使用できる。このうち特に好ましいものとして、キレー
ト化オキシノイド化合物を挙げることができる。有機発
光層は、前記蛍光物質からなる単層構成としてもよい。
有機発光層は、発光の色、発光の強度等の特性を調整す
るために、蛍光物質からなる層の多層構造としてもよ
い。また、有機発光層は、2種以上の蛍光物質を混合し
て形成してもよい。有機発光層は、発光物質(例えば、
ルブレン、クマリン、キナクリドンやキナクリドン誘導
体などの蛍光色素)を、有機発光材料にドープしたもの
でもよい。
【0085】有機発光層は、前記のような有機発光材料
を蒸着して形成してもよいし、有機発光材料を溶解した
溶液や有機発光材料を適当な樹脂とともに溶解した液を
用い、ディップコート法やスピンコート法等の塗布法に
より形成してもよい。蒸着法で形成する場合、その厚さ
は1nm〜500nm程度とし、塗布法で形成する場合
は、その厚さは5nm〜1000nm程度にすればよ
い。
【0086】有機発光層についても、膜厚が厚いほど発
光させるための印加電圧を高くする必要があり発光効率
が悪くなり、有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化
を招きやすい。また膜厚が薄くなると発光効率はよくな
るがブレイクダウンしやすくなり有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の寿命が短くなる。したがって、発光効率
及び素子の寿命を考慮して前記の膜厚の範囲で形成すれ
ばよい。 (8−6)電子移動関連層 電子輸送層又は電子注入輸送層を形成するための電子輸
送材料としては、公知のものが使用可能である。
【0087】電子輸送材料としては、例えば、2−(4
―ビフェニルイル)−5−(4−tert―ブチルフェ
ニル)―1,3,4―オキサジアゾール、2―(1―ナ
フチル)―5―(4―tert―ブチルフェニル)―
1,3,4―オキサジアゾール、1,4―ビス{2―
[5―(4―tert−ブチルフェニル)―1,3,4
―オキサジアゾリル]}ベンゼン、1,3―ビス{2―
[5―(4―tert―ブチルフェニル)―1,3,4
―オキサジアゾリル]}ベンゼン、4,4' ―ビス{2
―[5―(4―tert―ブチルフェニル)―1,3,
4―オキサジアゾリル]}ビフェニル、2―(4―ビフ
ェニルイル)―5―(4―tert―ブチルフェニル)
―1,3,4―チアジアゾール、2―(1―ナフチル)
―5―(4―tert―ブチルフェニル)―1,3,4
―チアジアゾール、1,4―ビス{2―[5―(4―t
ert―ブチルフェニル)―1,3,4―チアジアゾリ
ル]}ベンゼン、1,3―ビス{2―[5―(4―te
rt―ブチルフェニル)―1,3,4―チアジアゾリ
ル]}ベンゼン、4,4' ―ビス{2―[5―(4―t
ert―ブチルフェニル)―1,3,4―チアジアゾリ
ル]}ビフェニル、3―(4―ビフェニルイル)―4―
フェニル―5―(4―tert―ブチルフェニル)―
1,2,4―トリアゾール、3―(1―ナフチル)―4
―フェニル―5―(4―tert―ブチルフェニル)―
1,2,4―トリアゾール、1,4―ビス{3―[4―
フェニル―5―(4―tert―ブチルフェニル)―
1,2,4―トリアゾリル]}ベンゼン、1,3―ビス
{2―[1―フェニル―5―(4―tert―ブチルフ
ェニル)―1,3,4―オキサジアゾリル]}ベンゼ
ン、4,4'―ビス{2―[1―フェニル―5―(4―
tert―ブチルフェニル)―1,3,4―オキサジア
ゾリル]}ビフェニル、1,3,5―トリス{2―[5
―(4―tert―ブチルフェニル)―1,3,4―オ
キサジアゾリル]}ベンゼン、1,3―ビス{3―[4
―フェニル―5―(4―tert―ブチルフェニル)―
1,3,4―オキサジアゾリル]}ベンゼン、4,4'
―ビス{2―[4―フェニル―5―(4―tert―ブ
チルフェニル)―1,3,4―オキサジアゾリル]}ビ
フェニル、1,3―ビス{2―[1―フェニル―5―
(4―tert―ブチルフェニル)―1,3,4―トリ
アゾリル]}ベンゼン、4,4' ―ビス{2―[1―フ
ェニル―5―(4―tert―ブチルフェニル)―1,
3,4―トリアゾリル]}ビフェニルなどを挙げること
ができる。これらのものは、2種以上を混合して使用し
てもよい。また、アルミニウムトリスオキシンなど有機
発光材料として用いられる物質のうち比較的電子輸送能
の高いものを用いることもできる。
【0088】電子輸送層或いは電子注入輸送層は、前記
のような電子輸送材料を蒸着して形成してもよいし、電
子輸送材料を溶解した溶液や電子輸送材料を適当な樹脂
とともに溶解した液を用い、ディップコート法やスピン
コート法等の塗布法により形成してもよい。蒸着法で形
成する場合、その厚さは1nm〜500nm程度とし、
塗布法で形成する場合は、5nm〜1000nm程度に
形成すればよい。
【0089】電子輸送層或いは電子注入輸送層について
も、膜厚が厚いほど発光させるための印加電圧を高くす
る必要があり発光効率が悪くなり、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の劣化を招きやすい。また膜厚が薄くな
ると発光効率はよくなるがブレイクダウンしやすくなり
有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命が短くなる。
したがって、発光効率及び素子の寿命を考慮して前記の
膜厚の範囲で形成すればよい。
【0090】電子注入層を形成するための電子注入材料
としては、電子注入層自体の仕事関数が小さくなるもの
がよく、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カ
ルシウム、チタニウム、イットリウム、リチウム、ガド
リニウム、イッテルビウム、ルテニウム、マンガンおよ
びそれらの合金を例示できる。また同様の効果を持つも
のとして、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸
化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲ
ン化物(例えばフッ素化物)、アルカリ金属若しくはア
ルカリ土類金属のシリケート化合物、アルカリ金属若し
くはアルカリ土類金属の有機金属塩、又はアルカリ金属
若しくはアルカリ土類金属の有機金属錯体を挙げること
ができる。
【0091】かかる酸化物、ハロゲン化物、有機金属
塩、有機金属錯体に含有されるアルカリ金属又はアルカ
リ土類金属としては、リチウム、ベリリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウ
ム、バリウム、ストロンチウム、セシウム等が挙げられ
るが、中でもリチウム、マグネシウム、カリウム、カル
シウム、セシウムが電子注入性が良好なため特に好まし
い。これらの金属酸化物、金属フッ化物等や、有機金属
塩や有機金属錯体を用いてもよい。
【0092】有機金属塩または有機金属錯体としては、
上述の金属を含有するアセチルアセトナート錯体、エチ
レンジアミン錯塩、グリシン錯塩、オキシン錯体、アル
ファーニトロソベーターナフトール錯体、サリチル酸
塩、サリチルアルドキシム錯体、クペロン錯体、ベンゾ
インオキシム錯体、ビピリジン錯体、フェナントロリン
錯体、クラウン錯体、プロリン錯体、ベンゾイルアセト
ン錯体、二価カルボン酸塩、脂肪族カルボン酸塩等が挙
げられる。
【0093】これらの中でもアセチルアセトナート錯
体、オキシン錯体、サリチル酸塩、サリチルアルドキシ
ム錯体、二価カルボン酸塩、脂肪族カルボン酸塩が電子
注入性が良好なため特に好ましい。電子注入層は、蒸
着、スパッタリング等の方法で形成できる。蒸着法で形
成する場合、その厚さは例えば0.1nm〜20nm程
度とすればよい。電子注入層はその膜厚が薄いほど電子
注入効率を向上させ得るが、薄すぎると電子注入むらや
ダークスポットの原因となる。また膜厚が厚くなるとか
えって発光効率が悪くなり有機エレクトロルミネッセン
ス素子の寿命が短くなる。したがって、電子注入効率、
発光効率及び素子の寿命等を考慮して前記の膜厚の範囲
で形成すればよい。
【0094】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。 (9) 図2に、本発明に係る製造方法により作製でき
る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成
図を示す。図2に示す有機エレクトロルミネッセンス素
子E1の概略構成を説明した後、この有機エレクトロル
ミネッセンス素子E1についての本発明に係る製造方法
を説明する。
【0095】有機エレクトロルミネッセンス素子E1は
有機発光膜Fを有している。この有機発光膜Fは、陽極
21と陰極22の二つの電極の間に挟持されている。陽
極21は第1基板11上に形成されている。また、陰極
22は可撓性の第2基板12上に形成されている。有機
発光膜Fは、本例では、正孔注入輸送層31、有機発光
層32及び電子注入輸送層33がこの順に陽極側から陰
極側へ積層されたものである。
【0096】有機エレクトロルミネッセンス素子E1に
おいては、第1基板11、陽極21、正孔注入輸送層3
1、有機発光層32、電子注入輸送層33、陰極22、
可撓性第2基板12がこの順に積層されている。有機発
光層32中には、複数の球状スペーサ5が散在してい
る。また、有機発光層32の周縁部には枠状にシール壁
4が設けられている。
【0097】有機エレクトロルミネッセンス素子E1に
おいては、電源PSから所定電圧を陽極21と陰極22
の間に印加することで、有機発光膜F(有機発光層3
2)から発光する。 (10) この有機エレクトロルミネッセンス素子E1
を作製するための、本発明に係る製造方法の一例の工程
図を図3に示す。また、図3に示す各工程により、有機
エレクトロルミネッセンス素子E1が作製されていく様
子を図4(A)〜(G)に示す。 (10−1)形成工程 まず、第1基板11上に陽極21、正孔注入輸送層31
を順に形成する(図4(A)参照)。また、第2基板1
2上に陰極22、電子注入輸送層33を順に形成する
(図4(B)参照)。
【0098】すなわち、形成工程においては、有機発光
層32よりも第1基板11側に配置される電極(本例で
は陽極21)と、有機発光膜部分(本例では正孔注入輸
送層31)を第1基板11上に形成する。また、有機発
光層32よりも第2基板12側に配置される電極(本例
では陰極22)と、有機発光膜部分(本例では電子注入
輸送層33)を第2基板12上に形成する。
【0099】なお、第1基板11上に陽極21等を形成
する工程と、第2基板12上に陰極22等を形成する工
程は、どちらを先に行ってもよく、これらは並行して行
ってもよい。 (10−2)シール樹脂配設工程 次いで、後述する供給工程で流動体が供給される第1基
板11上にシール壁4を形成するためのシール樹脂を配
設する(図5参照)。第1基板上に形成されている正孔
注入輸送層31上に、枠状にシール樹脂を塗布する。こ
のシール樹脂で囲まれた領域が有機エレクトロルミネッ
センス素子E1の発光領域となる。このシール樹脂がシ
ール壁4となる。なお、図4においては、シール壁4は
図示が省略されている。
【0100】シール樹脂は、第2基板12上に配設して
もよく、第1基板11と第2基板の双方に配設してもよ
い。 (10−3)スペーサ散布工程 次いで、後述する供給工程で流動体が供給される第1基
板11上にスペーサ5を散布する(図4(C)参照)。
シール樹脂で囲まれた正孔注入輸送層31上の領域にス
ペーサ5を散布する。
【0101】なお、シール樹脂配設工程と、スペーサ散
布工程は、どちらを先に行ってもよい。 (10−4)供給工程 次いで、有機発光材料がバインダ樹脂に分散された混合
物(分散物)6を第1基板11上に供給する(図4
(D)参照)。混合物をバインダ樹脂の軟化温度にまで
加熱して、該混合物に流動性を持たせて第1基板11上
に供給する。この流動性を持つ混合物(流動体)6は、
正孔注入輸送層31の端部上に供給する。
【0102】第1基板11は図示を省略したホットプレ
ート上に載置し、このホットプレートで第1基板11を
加熱することで、第1基板11上に供給された流動体6
の流動性を保っておく。 (10−5)重ね工程 次いで、第1基板11に向けて可撓性第2基板12を加
圧ローラRで押圧し、流動体6を両基板の間で押し広げ
つつ、両基板を流動体6を介して重ね合わせる(図4
(E)〜(F)参照)。両基板上に形成された電極及び
有機発光膜部分が、所定の順序で並ぶように両基板は重
ね合わせる。
【0103】さらに詳しく言うと、まず、可撓性第2基
板12の一方の端部(第1端部)121が流動体6を介
して第1基板11に重なるように、且つ、可撓性第2基
板12の第1端部121とは反対側の端部(第2端部)
122が流動体6及び第1基板11と接触しないように
可撓性第2基板12を配置する。その後、ヒータRhを
内蔵するシリコンゴム製の加圧ローラRで次のように可
撓性第2基板12を押圧して、流動体6を押し広げつ
つ、両基板を重ね合わせる。ヒータRhで加圧ローラR
を加熱しながら、第2基板12を押圧する。また、第1
基板11が載置されたホットプレート(図示省略)で、
第1基板11を加熱しながら、両基板は重ね合わせる。
【0104】可撓性第2基板12の第1端部121側か
ら第2端部122側へ、加圧ローラRで可撓性第2基板
12を第1基板11に向けて順に押圧しながら、両基板
を重ね合わせる。加圧ローラRで可撓性第2基板12を
第1端部121側から第2端部122側へ順に押圧して
ゆくとき、可撓性第2基板12の押圧されていない大部
分が流動体6及び第1基板11に接触しない状態を保ち
ながら、可撓性第2基板12を押圧する。第2基板12
の加圧ローラRによって押圧された部分については、そ
の部分とこれに対向する第1基板部分の距離が一定にな
る状態を保っておく。このような状態を第2基板12を
撓ませることで保ちながら、第2基板12は第1基板1
1に向けて押圧する。
【0105】加圧ローラR及び第1基板11を加熱しな
がら両基板を重ね合わせるため、流動体6の流動性が保
たれ、流動体6を両基板の間で容易に押し広げることが
できる。このようにして流動体6を押し広げるとき、図
4においては図示が省略されたシール壁4によって、流
動体6が広がりすぎることを防止できる。また、第1基
板11と第2基板12が完全に重なり合った後、両基板
の間から流動体6が漏れ出てくることをシール壁4によ
って防止できる。
【0106】また、可撓性第2基板を加圧ローラRで押
圧することで、流動体6への気泡の混入を抑制できる。
また、スペーサ5によって、第1基板11と第2基板1
2の間のギャップをほぼ全体にわたり均一にできる。さ
らに言うと、正孔注入輸送層31と電子注入輸送層33
の間のギャップを均一にでき、流動体6により形成され
る層の層厚を均一にできる。
【0107】これらにより、層厚が均一な、有機発光材
料及びバインダ樹脂を含む流動体6からなる層が、正孔
注入輸送層31と電子注入輸送層33の間に形成され
る。 (10−6)冷却工程 このようにして第1基板11と第2基板12を重ね合わ
せた後、これらを冷却することで、流動体6中のバイン
ダ樹脂は硬化する。このバインダ樹脂によって、第1基
板11と第2基板12(さらに詳しく言うと、正孔注入
輸送層31と電子注入輸送層33)は接着される。
【0108】これらにより、正孔注入輸送層31と電子
注入輸送層33の間に、有機発光材料を含む材料からな
る層、すなわち、有機発光層32が形成される。この
後、各電極をニクロム線、金線、銅線、白金線などのリ
ード線を用いて電源に接続すれば、図2に示す構造の有
機エレクトロルミネッセンス素子E1が作製できる。 (10−7) 以上説明した本発明の有機エレクトロル
ミネッセンス素子の製造方法によると、陽極21及び陰
極22のいずれについても基板上に直接形成することが
できる。いずれの電極についても、有機発光膜F上に形
成する必要はない。さらに言うと、積層順に電極、有機
発光膜、電極を順次形成してゆく従来手法のように、有
機発光膜F中の有機物層(例えば、正孔注入輸送層3
1、電子注入輸送層33)上に、蒸着法やスパッタリン
グ法で電極を形成する必要はない。したがって、本発明
の製造方法によると、製造過程における有機物層の劣化
を抑制できる。それだけ、高輝度、高効率の発光を長期
にわたり行うことができる有機エレクトロルミネッセン
ス素子を作製することができる。 (11) なお、スペーサ5を第1基板11上に散布し
た後、有機発光材料を含む流動体を第1基板11上に供
給することに代えて、有機発光材料を含む流動体であっ
て、スペーサ5が分散された流動体7を第1基板11上
に供給してもよい(図6(A)参照)。スペーサ5が分
散された流動体7を第1基板上に供給した後、上記と同
様にこの流動体7を介して第1基板11と第2基板12
を重ね合わせることで、層厚が均一な有機発光層32を
形成することができる(図6(B)及び(C)参照)。
【0109】また、本例では、有機発光層32を前記
(e2)で述べた流動体を採用して形成したが、有機発
光層32は前記(e1)、(e3)〜(e6)又は(f
1)で述べた流動体を用いて形成することができる。ま
た、図2に示す構造の有機エレクトロルミネッセンス素
子E1を作製するときにおいて、流動体を用いて形成す
る層は有機発光層32に代えて、正孔注入輸送層31又
は電子注入輸送層33としてもよい。例えば正孔注入輸
送層31は、正孔注入材料及び正孔輸送材料を含む材料
に前記(e1)〜(e6)で述べた手法を採用して流動
性を持たせることで、有機発光層32を作製するときと
同様にして形成できる。正孔注入輸送層31は、前記
(f1)で述べた手法を採用して形成することもでき
る。
【0110】また、本発明の製造方法により作製できる
有機エレクトロルミネッセンス素子の構造が、図2に示
す構造に限定されないことは、前記(1)等の中で述べ
た通りである。 (12) 以下、実際に本発明に係る製造方法で、有機
エレクトロルミネッセンス素子を作製したいくつかの例
(実施例1〜4)を示す。 (12−1)実施例1 ・形成工程 第1基板及び陽極として、インジウムスズ酸化物で被覆
されたガラス基板を採用した。
【0111】可撓性の第2基板として、PETフィルム
を採用した。蒸着法によって、10:1の原子比のMg
とAgを用いて200nmの厚さの薄膜を第2基板の上
に形成した。これにより、第2基板上に陰極を形成し
た。 ・供給工程 次のようにして、溶媒に有機発光材料及びバインダ樹脂
が溶解された溶液であって、スペーサが分散された溶液
を作製した。
【0112】溶媒としては、テトラヒドロフラン(TH
F)を採用した。この溶媒に、まず、直径0.1μmの
SiO2 からなるスペーサを分散させた。さらにこの溶
媒に、有機発光材料としてアルミニウムトリスオキシン
(Alq3 )と、バインダ樹脂としてポリメチルメタク
リレートとを溶解させた。有機発光材料とバインダ樹脂
は、1:1の重量比で溶媒に溶解させた。
【0113】このようにして作製した溶液(流動体)
を、第1基板の陽極端部上に供給した。 ・重ね工程 前記(10−5)で述べたようにして、室温下において
第1基板と第2基板を流動体を介して重ね合わせた。な
お、本例では、第1基板と第2基板を重ね合わせるとき
には、第1基板及び加圧ローラの加熱は行わなかった。
【0114】次いで、第1基板と第2基板が重ね合わさ
れたものをホットプレート上で50°Cに2時間保ち、
溶媒を揮発させて、その後室温まで冷却した。これらに
より、第1基板、陽極、有機発光層、陰極、第2基板が
この順に積層された有機エレクトロルミネッセンス素子
を得た。作製された有機エレクトロルミネッセンス素子
の電極間にDC10Vを印加すると、輝度55cd/m
2 の発光が観察できた。 (12−2)実施例2 ・形成工程 第1基板及び陽極として、インジウムスズ酸化物で被覆
されたガラス基板を採用した。
【0115】蒸着法によって、N,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−1,1’−ビ
ス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミン化合物
の厚さ60nmの薄膜を陽極上に形成した。これによ
り、陽極上に正孔注入輸送層を形成した。可撓性の第2
基板として、PETフィルムを採用した。
【0116】蒸着法によって、10:1の原子比のMg
とAgを用いて200nmの厚さの薄膜を第2基板の上
に形成した。これにより、第2基板上に陰極を形成し
た。 ・供給工程 次のようにして、有機発光材料がバインダ樹脂に分散さ
れた流動性混合物であって、スペーサが分散された流動
性混合物を作製した。
【0117】アルミニウムトリスオキシン(有機発光材
料)とポリスチレン(バインダ樹脂)を1:1の混合比
で混合し、この混合物に直径0.1μmのSiO2 から
なるスペーサをさらに混合した。この混合物をバインダ
樹脂の軟化温度まで加熱して、軟化させた状態で攪拌
し、バインダ樹脂に有機発光材料を分散させた。また、
スペーサをバインダ樹脂及び有機発光材料に分散させ
た。
【0118】このようにして作製した混合物を軟化した
状態で、90°Cに保ったホットプレート上の第1基板
の正孔注入輸送層端部上に供給した。すなわち、有機発
光材料を含む流動体を第1基板上に供給した。 ・重ね工程 前記(10−5)で述べたようにして、第1基板と第2
基板を流動体を介して重ね合わせた。
【0119】その後、ホットプレートの電源を切り、第
1基板と第2基板が重ね合わされたものを室温まで冷却
し、バインダ樹脂を硬化させた。これらにより、第1基
板、陽極、正孔注入輸送層、有機発光層、陰極、第2基
板がこの順に積層された有機エレクトロルミネッセンス
素子を得た。作製された有機エレクトロルミネッセンス
素子の電極間にDC10Vを印加すると、輝度110c
d/m2 の発光が観察できた。 (12−3)実施例3 ・形成工程 第1基板及び陽極として、インジウムスズ酸化物で被覆
されたガラス基板を採用した。
【0120】蒸着法によって、N,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−1,1’−ビ
ス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミン化合物
の厚さ60nmの薄膜を陽極上に形成した。これによ
り、陽極上に正孔注入輸送層を形成した。可撓性の第2
基板及び陰極として、インジウムスズ酸化物で被覆され
たPETフィルムを採用した。 ・供給工程 次のようにして、有機発光材料がバインダ樹脂に分散さ
れた流動性混合物であって、スペーサが分散された流動
性混合物を作製した。
【0121】アルミニウムトリスオキシン(有機発光材
料)とポリスチレン(バインダ樹脂)を1:1の混合比
で混合し、この混合物に直径0.1μmのSiO2 から
なるスペーサをさらに混合した。この混合物をバインダ
樹脂の軟化温度にまで加熱して、軟化させた状態で攪拌
し、バインダ樹脂に有機発光材料を分散させた。また、
スペーサをバインダ樹脂及び有機発光材料に分散させ
た。
【0122】このようにして作製した混合物を軟化した
状態で、90°Cに保ったホットプレート上の第1基板
の正孔注入輸送層端部上に供給した。すなわち、有機発
光材料を含む流動体を第1基板上に供給した。 ・重ね工程 前記(10−5)で述べたようにして、第1基板と第2
基板を流動体を介して重ね合わせた。
【0123】その後、ホットプレートの電源を切り、第
1基板と第2基板が重ね合わされたものを室温まで冷却
し、バインダ樹脂を硬化させた。これらにより、第1基
板、陽極、正孔注入輸送層、有機発光層、陰極、第2基
板がこの順に積層された有機エレクトロルミネッセンス
素子を得た。作製された有機エレクトロルミネッセンス
素子の電極間にDC10Vを印加すると、輝度75cd
/m2 の発光が観察できた。 (12−4)実施例4 ・形成工程 第1基板及び陽極として、インジウムスズ酸化物で被覆
されたガラス基板を採用した。
【0124】可撓性の第2基板及び陰極として、インジ
ウムスズ酸化物で被覆されたPESフィルムを採用し
た。 ・供給工程 次のようにして、有機発光材料を含む流動体であって、
スペーサが分散された流動体を作製した。
【0125】2,5−n−ヘキシル−1,4−フェニレ
ンビニレンと、2,6−ナフタレンビニレンの1:1共
重合体(有機発光材料)に、直径0.1μmのSiO2
からなるスペーサを混合した。この混合物を有機発光材
料の軟化温度まで加熱して、軟化させた状態で攪拌し、
スペーサを有機発光材料に分散させた。このようにして
作製した混合物を軟化した状態で、160°Cに保った
ホットプレート上の第1基板の陽極端部上に供給した。
すなわち、有機発光材料を含む流動体を第1基板上に供
給した。 ・重ね工程 前記(10−5)で述べたようにして、第1基板と第2
基板を流動体を介して重ね合わせた。
【0126】その後、ホットプレートの電源を切り、第
1基板と第2基板が重ね合わされたものを室温まで冷却
し、有機発光材料を硬化させた。これらにより、第1基
板、陽極、有機発光層、陰極、第2基板がこの順に積層
された有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。作製
された有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間にD
C10Vを印加すると、輝度85cd/m2 の発光が観
察できた。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、二つの
電極の間に少なくとも有機発光層を含む有機発光膜が挟
持された有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
であって、製造過程における有機発光膜中の有機物層の
劣化を抑制でき、それだけ高輝度、高効率の発光を行う
ことができ、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素
子を容易に作製できる有機エレクトロルミネッセンス素
子の製造方法を提供することができる。
【0128】また、本発明は、二つの電極の間に少なく
とも有機発光層を含む有機発光膜が挟持された有機エレ
クトロルミネッセンス素子であって、高輝度、高効率の
発光を行うことができ、長寿命な有機エレクトロルミネ
ッセンス素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る製造方法により形成
できる有機エレクトロルミネッセンス素子の概略構成図
であり、図1(B)及び(C)は形成工程で形成する第
1素子部分及び第2素子部分を示している。
【図2】本発明に係る製造方法により形成される有機エ
レクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成図であ
る。
【図3】本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素
子の製造方法の一例の工程図である。
【図4】図4(A)〜(G)は、図3に示す各工程によ
り、図2に示す有機エレクトロルミネッセンス素子が作
製されていく様子を示している。
【図5】シール樹脂配設工程において、第1基板上にシ
ール壁が形成された様子を示している。
【図6】図6(A)〜(C)は、図2に示す有機エレク
トロルミネッセンス素子が作製されていく様子の他の例
を示している。
【符号の説明】
E1 有機エレクトロルミネッセンス素子 11 第1基板 12 可撓性第2基板 21 陽極(電極) 22 陰極(電極) F 有機発光膜 31 正孔注入輸送層 32 有機発光層 33 電子注入輸送層 4 シール壁 5 スペーサ PS 電源 6 流動体 7 流動体 R 加圧ローラ(加圧部材) Rh ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB00 AB02 AB03 AB15 BA06 BA07 BB02 CA01 CA05 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二つの電極の間に少なくとも有機発光層を
    含む有機発光膜が挟持された有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子の製造方法であって、 少なくとも一方が可撓性の第1及び第2の二つの基板を
    採用して、第1基板上に少なくとも電極を形成するとと
    もに、可撓性の第2基板上に少なくとも電極を形成する
    形成工程と、 前記第1基板上に、有機発光材料又は(及び)有機電荷
    移動材料を含む流動体を供給する供給工程と、 前記流動体が供給された第1基板に向けて可撓性の第2
    基板を加圧部材で押圧し、該流動体を両基板の間で押し
    広げつつ、両基板を該流動体を介して重ね合わせる重ね
    工程とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記重ね工程においては、前記可撓性第2
    基板の一方の第1端部が前記流動体を介して前記第1基
    板に重なるように、且つ、該可撓性第2基板の該第1端
    部とは反対側の第2端部が該流動体と接触しないように
    該可撓性第2基板を配置した後、該可撓性第2基板の第
    1端部側から第2端部側へ、前記加圧部材で該可撓性第
    2基板を第1基板に向けて順に押圧しながら、両基板を
    重ね合わせ、 前記加圧部材で前記可撓性第2基板を第1端部側から第
    2端部側へ順に押圧してゆくとき、該可撓性第2基板の
    押圧されていない部分が該流動体に接触しない状態を保
    ちながら、該可撓性第2基板を押圧する請求項1記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 【請求項3】前記供給工程において供給する流動体は、
    軟化温度にまで加熱した有機発光材料又は(及び)軟化
    温度にまで加熱した有機電荷移動材料であり、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料を
    冷却して硬化させる冷却工程をさらに含んでいる請求項
    1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記供給工程において供給する流動体は、
    有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料がバインダ
    樹脂に分散された混合物であり、該供給工程においては
    該混合物を該バインダ樹脂の軟化温度にまで加熱して供
    給し、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した混合物を冷却して前記バインダ樹脂を硬化させ
    る冷却工程をさらに含んでいる請求項1又は2記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 【請求項5】前記重ね工程は、前記第1基板を加熱しな
    がら行う請求項3又は4記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子の製造方法。
  6. 【請求項6】前記重ね工程においては、前記加圧部材が
    加熱されている請求項3から5のいずれかに記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記供給工程において供給する流動体は、
    有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料が溶媒に溶
    解された溶液であり、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した溶液中の溶媒を揮発させる揮発工程をさらに含
    んでいる請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子の製造方法。
  8. 【請求項8】前記供給工程において供給する流動体は、
    有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料と、バイン
    ダ樹脂とが溶媒に溶解された溶液であり、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した溶液中の溶媒を揮発させる揮発工程をさらに含
    んでいる請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子の製造方法。
  9. 【請求項9】前記供給工程において供給する流動体は、
    有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料が紫外線硬
    化樹脂に分散された混合物であり、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した混合物中の紫外線硬化樹脂を紫外線を照射する
    ことで硬化させる紫外線照射工程をさらに含んでいる請
    求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
    の製造方法。
  10. 【請求項10】前記供給工程において供給する流動体
    は、有機発光材料又は(及び)有機電荷移動材料が熱硬
    化樹脂に分散された混合物であり、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した混合物中の熱硬化樹脂を加熱することで硬化さ
    せる加熱工程をさらに含んでいる請求項1又は2記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 【請求項11】二つの電極の間に少なくとも有機発光層
    を含む有機発光膜が挟持された有機エレクトロルミネッ
    センス素子の製造方法であって、 少なくとも一方が可撓性の第1及び第2の二つの基板を
    採用して、第1基板上に少なくとも電極を形成するとと
    もに、可撓性の第2基板上に少なくとも電極を形成する
    形成工程と、 前記第1基板上に、高分子有機発光材料の前駆体又は
    (及び)高分子有機電荷移動材料の前駆体を含む流動体
    を供給する供給工程と、 前記流動体が供給された第1基板に向けて可撓性の第2
    基板を加圧部材で押圧し、該流動体を両基板の間で押し
    広げつつ、両基板を該流動体を介して重ね合わせる重ね
    工程とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造
    方法。
  12. 【請求項12】前記重ね工程においては、前記可撓性第
    2基板の一方の第1端部が前記流動体を介して前記第1
    基板に重なるように、且つ、該可撓性第2基板の該第1
    端部とは反対側の第2端部が該流動体と接触しないよう
    に該可撓性第2基板を配置した後、該可撓性第2基板の
    第1端部側から第2端部側へ、前記加圧部材で該可撓性
    第2基板を第1基板に向けて順に押圧しながら、両基板
    を重ね合わせ、 前記加圧部材で前記可撓性第2基板を第1端部側から第
    2端部側へ順に押圧してゆくとき、該可撓性第2基板の
    押圧されていない部分が該流動体に接触しない状態を保
    ちながら、該可撓性第2基板を押圧する請求項11記載
    の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  13. 【請求項13】前記供給工程において供給する流動体
    は、高分子有機発光材料の前駆体又は(及び)高分子有
    機電荷移動材料の前駆体を溶媒に溶解した溶液であり、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した溶液中の前駆体を高分子有機発光材料又は(及
    び)高分子有機電荷移動材料に変化させる変化工程と、 前記重ね工程の後に行う工程であって、前記供給工程で
    供給した溶液中の溶媒を揮発させる揮発工程とをさらに
    含んでいる請求項11又は12記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス素子の製造方法。
  14. 【請求項14】前記重ね工程を大気圧より小さい気圧下
    において行う請求項1から13のいずれかに記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  15. 【請求項15】前記重ね工程を不活性ガスの雰囲気下に
    おいて行う請求項1から14のいずれかに記載の有機エ
    レクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  16. 【請求項16】前記不活性ガスは、窒素ガス、アルゴン
    ガス又はこれらの混合ガスである請求項15記載の有機
    エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  17. 【請求項17】前記重ね工程の前に行う工程であって、
    前記第1基板及び第2基板のうちの少なくとも一方に、
    シール壁を形成するためのシール樹脂を所定形状に配設
    するシール樹脂配設工程をさらに含んでいる請求項1か
    ら16のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセン
    ス素子の製造方法。
  18. 【請求項18】前記重ね工程の前に行う工程であって、
    前記第1基板上にスペーサを散布する散布工程をさらに
    含んでいる請求項1から17のいずれかに記載の有機エ
    レクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  19. 【請求項19】前記供給工程で供給する前記流動体に
    は、スペーサが含まれている請求項1から17のいずれ
    かに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方
    法。
  20. 【請求項20】請求項1から19のいずれかに記載の製
    造方法で作製された有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  21. 【請求項21】前記有機発光膜の厚みが20nm以上5
    00nm以下である請求項20記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス素子。
  22. 【請求項22】前記有機発光層には蛍光色素がドープさ
    れている請求項20又は21記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
  23. 【請求項23】前記各基板上に形成された電極が単純マ
    トリクス駆動できる構造になっている請求項20から2
    2のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  24. 【請求項24】表示領域の透過率が70%以上である請
    求項20から23のいずれかに記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス素子。
  25. 【請求項25】いずれの前記電極も透明導電性化合物か
    らなる請求項20から24のいずれかに記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  26. 【請求項26】陽極にする前記電極は透明導電性化合物
    からなり、陰極にする前記電極は仕事関数が4eV以下
    の金属を含有する材料からなる透光性の金属薄膜である
    請求項20から24のいずれかに記載の有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子。
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