JP2001176511A - リチウム二次電池とリチウム二次電池用正極活物質 - Google Patents

リチウム二次電池とリチウム二次電池用正極活物質

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Abstract

(57)【要約】 【課題】高電圧領域で充放電が可能な高出力のリチウム
二次電池の提供にある。 【解決手段】負極、正極、および、リチウム塩を含む非
水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次電
池において、前記正極活物質が、その電位曲線における
Li基準電位4.0〜4.2Vの領域にステップ状の変曲
点を含むことを特徴とするリチウム二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チウム二次電池と
それに用いる正極活物質に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、リチウム二次電池はパーソナルコ
ンピュータや携帯電話などの電源、あるいは、電気自動
車や電力貯蔵用の電源として、なくてはならない重要な
構成要素の一つとなっている。
【0003】携帯型コンピュータ(ペンコンピュータと
呼ばれるものも含む)や携帯情報端末(Personal Dig
ital Assistant、または、Personal Intelligent C
ommunicator、あるいは、ハンドヘルド・コミュニケー
タ)と云った移動体通信(モービル・コンピューティン
グ)に要求される点は、小型化,軽量化が挙げられる。
【0004】しかし、液晶表示パネルのバックライトや
描画制御によって消費される電力が高いことや、二次電
池の容量が現状ではまだ十分でないなどの点から、シス
テムのコンパクト化,軽量化が難しい状況にある。特
に、パーソナルコンピュータにおいては、DVD搭載な
どによる多機能化が進み、消費電力が増加する傾向にあ
る。そのため、電力容量、特に、単電池の電圧が3.3
V以上における定電力放電容量の増大が急務となってい
る。
【0005】さらに、地球環境問題の高まりと共に、排
ガスや騒音を出さない電気自動車が関心を集めている。
最近ではブレーキ時の回生エネルギーを電池に蓄えて有
効利用したり、あるいは、スタート時に電池に蓄えた電
気エネルギーを使用して効率を上げるなどのシステムを
採用した、パラレルハイブリッド電気自動車に人気が集
まっている。
【0006】しかし、現状の電池では電力容量が低いた
めに、電池の本数を多くして電圧を稼がなければなら
ず、車内のスペースが狭い、車体の安定性が悪いなどの
問題が生じている。
【0007】二次電池の中でも、特に、非水電解液を用
いたリチウム二次電池は、電圧が高く、かつ、軽量で高
いエネルギー密度が期待されることから注目されてい
る。
【0008】特に、特開昭55−136131号公報に
開示されているLixCoO2等の二次電池正極は、Li
金属を負極として用いた場合、4V以上の起電力を有す
ることから高エネルギー密度が期待できる。
【0009】さらに、サイクル特性を改善するものとし
て、式LixMO2(MはCo,Ni,Fe,Mnから選
択される1種以上)で示されるリチウム含有複合酸化物
(特開平2−306022号)、式LixCo1-yy2
(MはW,Mn,Ta,Ti,Nbから選択される1種
以上、0.85≦x≦1.3,0.05≦y≦0.35)で
示されるリチウム含有複合酸化物(特開平3−2013
68号公報)、または、式LixyGezp(MはC
o,Ni,Mnから選ばれる1種以上の遷移金属元素、
0.9≦x≦1.3,0.8≦y≦2.0,0.01≦z≦
0.2,2.0≦p≦4.5)で示される複合酸化物(特
開平7−29603号公報)、あるいは、Lix1-y
y2(Mは遷移金属であり、Aは遷移金属Mよりも小さ
いイオン半径を有し、かつ、そのカチオンが6配位する
金属、x≦1.0,0.1≦y≦0.4)で表される複合
酸化物(特開平5−283075号公報)がある。
【0010】また、容量、サイクル特性を改善するもの
として、LiaNib1 c2 d2(M1はCo、M2はS
i,P,Ga,Ge,Sb,Tl,Pb,Biから選ば
れる1種以上の元素)で示される層状構造を有する複合
酸化物(特開平8−78005号公報)、LiaNib
1 c2 d2(M1はMn,Ti,Cr,Fe,V,Cu、
2はAl,In,Snから選ばれる1種以上の元素)
で示される層状構造を有する複合酸化物(特開平8−7
8007号公報)、LiaNib1 c2 d2(M1はT
i,V,Cr,Cuであり、M2はB,Si,P,G
a,Ge,Sb,Tl,Pb,Biから選ばれる1種以
上の元素)で示される層状構造を有する複合酸化物(特
開平8−78008号公報)、LiabNicCode
(MはAl,Mn,Sn,In,Fe,V,Cu,M
g,Ti,Zn,Moから選ばれる1種以上の金属、0
<a<1.3,0.02≦b≦0.5,0.02≦d/c+
d≦0.9,1.8<e<2.2,b+c+d=1)で示
される複合酸化物(特開平5−242891号公報)な
どが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】二次電池は、これまで
以上に高電力容量化が求められており、特開昭55−1
36131号公報で開示されているLixCoO2では限
界に達してきている。特に、正極ではLixCoO2より
も高い起電力を有する材料が求められている。
【0012】LixCoO2の単電池の充電終止電圧は、
従来では4.2V以下である。この充電条件では、Lix
CoO2の理論容量の約6割の充電量に留まっている。
それゆえ、単電池の充電終止電圧を4.2Vよりも大と
することにより、電力容量の増加を図ることは可能であ
るが、充電量の増加に伴い、LixCoO2の結晶構造が
崩壊して寿命が短い。
【0013】また、このように充電量を増加させた場合
には、結晶構造が不安定化するために熱的安定性が低下
するなどの問題点が発生する。
【0014】このように、高電力容量化の要求に答える
ためには、従来よりも高い電圧領域で安全に、かつ、可
逆性良く充放電をし得る電池と、それに耐え得る結晶構
造の安定な材料が必要である。
【0015】さらに、LixCoO2の単電池の放電終止
電圧は従来では3.2V以下である。これまで以上に二
次電池の高電力容量化が求められている昨今、放電終止
電圧もできるだけ高いことが必要であり、特に、放電末
期における電位低下が少なく、従来よりも高い電圧で放
電を止めても、サイクル可逆性の良好な材料が必要であ
る。
【0016】単電池の放電終止電圧を3.2Vよりも高
くすると、LixCoO2の場合、放電末期における電位
低下が大きいために完全に放電することができず、充電
に対する放電の電気量効率が著しく低下する。また、完
全放電ができないためにLixCoO2の結晶構造が崩壊
し易くなり、寿命が短い。
【0017】上記の充電条件では、正極活物質の結晶構
造が崩壊すること以外に、正極活物質の活性点の存在に
より、電解液が酸化分解して電極表面に被膜を形成し、
内部抵抗が増加して寿命となる場合がある。
【0018】式LixMO2(MはCo,Ni,Fe,M
nの1種以上の元素)で示されるリチウム含有複合酸化
物(特開平2−306022号公報)は、従来の作動電
圧、即ち、単電池で4.2V以下の充電電圧および3.2
V以下の放電電圧領域において、サイクル寿命の改善に
効果が見られる。
【0019】しかし、単電池で4.2Vよりも高い電圧
まで充電したり、単電池で3.2Vよりも高い電圧で放
電を終了したりする場合には、正極活物質の結晶構造が
崩壊することや、電解液が分解して正極表面に被膜が形
成され、内部抵抗が増加したり、電気量効率が低下する
などの支障が生じ、電池寿命が短い。
【0020】式LixCo1-yy2(MはW,Mn,T
a,Ti,Nbの1種以上、0.85≦x≦1.3,0.
05≦y≦0.35)で示されるリチウム含有複合酸化
物(特開平3−201368号公報)、あるいは、Li
x1-yy2(Mは遷移金属であり、Aは遷移金属Mよ
りも小さいイオン半径を有し、かつ、そのカチオンが6
配位する金属、x≦1.0,0.1≦y≦0.4)で表さ
れる複合酸化物(特開平5−283075号公報)、L
aNib1 c2 d2(M1はCo,M2はSi,P,G
a,Ge,Sb,Tl,Pb,Biの1種以上)で示さ
れる層状構造を有する複合酸化物(特開平8−7800
5号公報)、LiaNib1 c2 d2(M1はMn,T
i,Cr,Fe,V,Cu、M2はAl,In,Snの
1種以上)で示される層状構造を有する複合酸化物(特
開平8−78007号公報)、LiaNib1 c2 d2
(M1はTi,V,Cr,Cuであり、M2はB,Si,
P,Ga,Ge,Sb,Tl,Pb,Biの1種以上)
で示される層状構造を有する複合酸化物(特開平8−7
8008号公報)、LiabNicCodOe(MはA
l,Mn,Sn,In,Fe,V,Cu,Mg,Ti,
Zn,Moの1種以上の金属、0<a<1.3,0.02
≦b≦0.5,0.02≦d/c+d≦0.9,1.8<e
<2.2,b+c+d=1)で示される複合酸化物(特
開平5−242891号公報)についても同様である。
【0021】一方、式LixyGezp(MはCo,N
i,Mnから選ばれる1種以上の遷移金属元素、0.9
≦x≦1.3,0.8≦y≦2.0,0.01≦z≦0.
2,2.0≦p≦4.5)で示される複合酸化物(特開平
7−29603号公報)では、上限電圧が4.5Vの条
件下で、充放電を行なった時のサイクル特性の改善を図
っており、50サイクル後の容量維持率が70〜75%
まで向上している。
【0022】しかし、実際の電池では500サイクル後
でも80%以上の容量維持率が必要であり、サイクル寿
命の面でまだ不十分である。
【0023】このように、従来よりも高い電圧領域で結
晶構造の安定な正極活物質と高電圧でも可逆的な充放電
が可能な電池は、これまで見出されていない。
【0024】本発明の目的は、高電圧に耐え、電圧が高
く容量が大で、長寿命のリチウム二次電池を提供するこ
とにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の要旨は、負極、正極、および、リチウム塩を含む非
水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次電
池において、正極活物質が、その電位曲線におけるLi
基準電位4.0〜4.2Vの領域にステップ状の変曲点を
有するリチウム二次電池にある。
【0026】また、電位曲線におけるLi基準電位4.
0〜4.2Vの領域にステップ状の変曲点を有するリチ
ウム二次電池用正極活物質にある。
【0027】なお、上記ステップ状の変曲点とは、図3
において、Iで示すLi基準電位での放電電位変化よる
4.0〜4.2Vの範囲でのステップ状の電位の変曲点
(図3の円内)のことを指す。
【0028】ステップ状の変曲点が存在する理由は明ら
かではないが、電圧の高い新しい相が形成されることに
起因すると考えられる。この新しい相の生成により、高
い電圧まで充電することが可能となる。
【0029】また、前記正極活物質が、LiCoO2
基本骨格とし、これにGe,Ti,Zr,Si,In,
Yの少なくとも1種が固溶されており、Li基準電位で
4.4V以上に充電した場合に7サイクル目,0.2C放
電で放電深度(DOD)75〜95%の平均作動電圧が
Li基準電位で3.8V以上であり、電位の傾きが−0.
02V/10%DOD以上であるリチウム二次電池にあ
る。
【0030】即ち、DOD75〜95%の範囲における
電位カーブを直線で近似し、そのときの電位低下の傾き
をxV/10%DODで表すと、xが−0.02と等し
いか、もしくは、−0.02よりも大きい値をとること
を意味する。
【0031】さらにまた、LiCoO2を基本骨格と
し、これにGe,Ti,Zr,Si,In,Yの少なく
とも1種が固溶されており、Li基準電位で4.4V以
上に充電した場合に7サイクル目,0.2C放電で放電
深度(DOD)75〜95%の平均作動電圧がLi基準
電位で3.8V以上であり、電位の傾きが−0.02V/
10%DOD以上であるリチウム二次電池用正極活物質
にある。
【0032】上記において、7サイクル目,0.2C放
電で放電深度(DOD)75〜95%の平均作動電圧
が、Li基準電位で3.8V未満の場合には、放電末期
における電位低下が大きい。そのために完全放電ができ
ず、充電に対する放電の電気量効果が低下したり、結晶
構造が崩壊し易いなどの支障を生ずるので好ましくな
い。
【0033】電位の傾きが−0.02V/10%DOD
未満の場合にも同様な理由により好ましくない。
【0034】また、前記放電深度(DOD)とは、放電
容量がLi基準電位で3.5Vまで放電した時の放電容
量(Ah)を100%とて計算した放電割合で表す。
【0035】本発明のリチウム二次電池が用いる正極活
物質は、式〔1〕
【0036】
【化9】 LiwGexCo(1-x)y2 …〔1〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
一種以上で、w,xはそれぞれ0<w≦1.2,0.00
01≦x<0.2,0≦y≦0.3の範囲)で示される複
合酸化物である。
【0037】Li量を表わすwの値は充電,放電により
変動する。即ち、充電によりLiイオンのディインター
カレーションが起こりwの値は小さくなる。また、放電
によりLiイオンのインターカレーションが起こりwの
値は大きくなる。
【0038】Li量が1.2よりも多いと焼成の過程で
生成する炭酸リチウム,酸化リチウム,水酸化リチウム
などの副生成物量が多くなり過ぎるため、これらの物質
が電極を作製する際に使用する結着剤と反応して、うま
く電極が作製できない。
【0039】電極をうまく作製するためには、副生成物
量が少ないほどよく、wの値が1.2以下である。
【0040】また、Ge量を表わすxの値は充電,放電
によっては変動しないが0.0001≦x<0.2の範囲
である。xの値が0.0001未満の場合、Geの効果
が充分発揮されないため平均電圧の低下が著しく、高い
電圧で充電したときのサイクル性も悪い。
【0041】また、xの値が0.2以上の場合には、L
2GeO3が急激に生成し易くなる。Li2GeO3は1
50〜170℃付近で発熱分解するため、これが原因と
なって熱安定性が低下するので好ましくない。
【0042】なお、xの値としては0.0005≦x<
0.01の範囲がより好ましい。
【0043】また、式〔1〕でAとして示すAl,F
e,Y,Zr,Tiの1種以上でCoを置換することが
望ましい。A量を表わすyの値は充電,放電により変動
しないが、0≦y≦0.3の範囲、より好ましくは0.0
01≦y≦0.3の範囲である。yの値が0.001未満
の場合、Aの効果が充分発揮されず、過充電での150
℃の高温放置において安定性が低下する恐れがある。ま
た、0.3を超える場合には副生成物量が多く、特に反
応しきれないAが酸化物として残ってしまったり、Li
2GeO3が生成し易くなるために、容量の低下が起こっ
て好ましくない。
【0044】また、本発明における他の正極活物質は、
式〔2〕
【0045】
【化10】 LiwGexyCo(1-x-y)2 …〔2〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
一種以上で、w,x,yはそれぞれ0<w≦1.2,0.
0001≦x<0.2,0.001≦y≦0.3の範囲)
で示される複合酸化物である。
【0046】Li量を表わすwの値は、前記式〔1〕の
場合と同様の理由から1.2以下がよい。
【0047】また、Ge量を表わすxの値も充電,放電
により変動しないが、0.0001≦x<0.2、より好
ましくは0.0005≦x<0.01の範囲である。その
値が0.001未満の場合、Geの効果が充分発揮され
ないため平均電圧が低下する傾向にあり、0.0001
未満の場合平均電圧が著しく低下し、高い電圧で充電し
たときのサイクル性も悪い。また、0.2以上の場合に
はLi2GeO3やLi2CO3が生成し易くなる。
【0048】さらにまた、放電電力量を考慮した場合、
x<0.01が好ましく、サイクル寿命を考慮するとx
≧0.0005が好ましい。
【0049】Li2GeO3は150〜170℃付近で発
熱分解するため、これが原因となって熱安定性が低下す
るので好ましくない。Li2CO3は電解液と反応して電
池内でガス発生を引き起こすために好ましくない。
【0050】また、式〔2〕でAとして示すAl,F
e,Y,Zr,Tiの1種以上でCoを置換することが
望ましい。Aを表わすyの値は充電,放電により変動し
ないが、0.001≦y≦0.3、より好ましくは0.0
01≦y≦0.03の範囲である。yの値が0.001未
満の場合、Aの効果が充分発揮されず、過充電での15
0℃の高温放置において安定性が低下する恐れがある。
また、0.03を超える場合には副生成物量が多少生ず
る傾向にあり、0.3を超えるとさらに多くなり、特に
反応しきれない上記Aが酸化物として残ってしまった
り、Li2GeO3が生成し易くなるために、容量の低下
が起こって好ましくない。
【0051】また、本発明における他の正極活物質は、
式〔3〕
【0052】
【化11】 LiwGexNiyCo(1-x-y)2 …〔3〕 (w,x,yはそれぞれ0<w≦1.2,0.0001≦
x<0.2,0.28≦x/(x+y)≦0.35の範囲)
で示される複合酸化物を含むことを特徴とする。
【0053】Li量を表わすwの値は、前記式〔1〕の
場合と同様の理由から1.2以下がよい。
【0054】また、Ge量を表わすxの値も充電,放電
により変動しないが、0.0001≦x<0.2の範囲で
ある。その値が0.0001未満の場合、Geの効果が
充分発揮されないため、平均電圧の低下が著しく、高い
電圧で充電したときのサイクル性も悪い。また、0.2
以上の場合にはNiが固溶しにくくなるため、LiOH
やLi2CO3、NiOが異相として生成し易くなる。
【0055】さらにまた、放電電力量を考慮した場合、
x<0.01が好ましく、サイクル寿命を考慮するとx
≧0.0005が好ましい。
【0056】LiOHやLi2CO3は110〜120℃
付近で発熱分解する。また、NiOは130〜150℃
付近で発熱分解する。Li2GeO3は150〜170℃
付近で発熱分解する。これらが原因となって熱安定性が
低下するので好ましくない。
【0057】Ni量を表わすyの値は充電,放電により
変動しないが、Ge量を表わすxの値に大きく依存し、
xとyの関係において最適値が存在し、0.28≦x/
(x+y)≦0.35の範囲にある。
【0058】また、本発明における他の正極活物質は、
式〔4〕
【0059】
【化12】 LiwGexNiyzCo(1-x-y-z)2 …〔4〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
一種以上で、w,x,y,zはそれぞれ0<w≦1.
2,0.0001≦x<0.2,0.28≦x/(x+y)
≦0.35,0.001≦z≦0.3の範囲)で示される
複合酸化物である。
【0060】Li量を表わすwの値は、前記式〔1〕の
場合と同様の理由から1.2以下がよい。
【0061】また、Ge量を表わすxの値も充電,放電
により変動しないが、0.0001≦x<0.2の範囲で
ある。xの値が0.0001未満の場合、Geの効果が
充分発揮されないため、平均電圧の低下が著しく、高い
電圧で充電したときのサイクル性も悪い。また、0.2
以上の場合にはNiが固溶しにくくなるため、LiO
H,Li2CO3,NiOが異相として生成し易くなる。
【0062】さらにまた、放電電力量を考慮した場合、
x<0.01が好ましく、サイクル寿命を考慮するとx
≧0.0005が好ましい。
【0063】LiOHやLi2CO3は110〜120℃
付近で発熱分解する。また、NiOは130〜150℃
付近で発熱分解する。Li2GeO3は150〜170℃
付近で発熱分解する。これらが原因となって熱安定性が
低下するので好ましくない。
【0064】Ni量を表わすyの値は充電,放電により
変動しないが、Ge量を表わすxの値に大きく依存し、
xとyの関係において最適値が存在し、0.28≦x/
(x+y)≦0.35の範囲にある。
【0065】式〔4〕において、Aで示すAl,Fe,
Y,Zr,Tiの1種以上でCoを置換することが望ま
しい。Aを表わすzの値は充電,放電により変動しない
が、0.001≦z≦0.3の範囲である。zの値が0.
001未満の場合、Aの効果が充分発揮されず、過充電
での150℃の高温放置における安定性が不十分であ
る。
【0066】zの値が0.03を超える場合には副生成
物量が多少生ずる傾向にあり、0.3を超えるとさらに
多くなり、特に反応しきれない上記Aが酸化物として残
ってしまったり、Li2GeO3が生成し易くなるため
に、容量の低下が起こって好ましくない。
【0067】以上の正極活物質を用いた本発明の二次電
池では、Li基準電位4.4〜4.6Vの領域で充電す
る。
【0068】
【発明の実施の形態】本発明における正極材料を得るた
めには、特定の混合条件と焼成温度、焼成雰囲気、焼成
時間、出発原料の選択が必要である。
【0069】望ましい混合条件はエタノール、または、
水を原料粉に加えて、遊星ボールミルで0.5時間以上
混合する。最も望ましい混合条件は、エタノールと水と
の50:50(容積比)のものを原料粉に加え、遊星ボ
ールミルで20時間以上混合することが望ましい。この
混合過程において、原料粉は十分に粉砕,混合され、均
一な分散液ができる。
【0070】これをスプレードライヤなどを用い、均一
性を保ったままで乾燥させる。望ましい焼成温度は75
0〜1,050℃、さらに好ましくは850〜950℃
である。
【0071】また、焼成雰囲気は空気中で、望ましくは
酸素中である。その際の焼成時間は10〜60時間、好
ましくは20〜40時間である。
【0072】出発原料としては、Li原料ではLi2
3であり、Al,Fe,Y,Zr,Si,In,T
i,Ni原料では硝酸塩または水酸化物、または、1μ
m以下の粒径の酸化物であり、Ge原料としてはGeO
2が挙げられる。また、CoとAl,Fe,Y,Zr,
Si,In,Ti,Ni,Geとの水酸化物の共沈体を
使用してもよい。
【0073】本発明における正極活物質では、LiCo
2を基本骨格とし、これにGe,Ti,Zr,Si,I
n,Yを固溶させることによって、始めて高い電圧の材
料が得られる。特に、限定された量添加することによっ
て従来とは異なる電子構造を持つ材料を得ることができ
る。
【0074】即ち、LiwGexCo(1-x)y2、およ
び、LiwGexyCo(1-x-y)2(但し、AはAl,
Fe,Y,Zr,Tiの一種以上)の組成では0.00
01≦x<0.2の範囲、LiwGexNiyCo(1-x-y)
2、および、LiwGexNiyzCo(1-x-y-z)
2(但しAはAl、Fe、Y、Zr、Tiの一種以上)
の組成では0.0001≦x<0.2の範囲においての
み、特異な電子構造をとることができる。
【0075】この特異な電子構造とは、Geが3価のC
oに対し4価で置換することによって初めて得られる。
また、Ge置換による効果は、その特異な電子構造にあ
るため、極めて少量の置換であっても、十分な効果が発
揮できる。
【0076】反対に、Ge置換量がこの範囲よりも多い
場合には、Geが格子内に4価で安定化しようとするた
めに、電気化学的に活性の低いLi2GeO3で析出し易
くなり、電気化学的特性の低下を招く。
【0077】LiwGexNiyCo(1-x-y)2、およ
び、LiwGexNiyzCo(1-x-y-z)2(但し、Aは
Al,Fe,Y,Zr,Tiの一種以上)の組成ではN
iとGeの添加量の和に対するGeの添加量の割合(x
/(x+y))が、0.28≦x/(x+y)≦0.35の範
囲において、その特異な電子構造をとり得るのである。
【0078】この特異な電子構造とは、Geが3価のC
oに対して4価で置換することでリチウムのサイトに正
の空孔が導入され、それによって始めて形成される。こ
の正の空孔の存在により、結晶構造が安定化されるた
め、高電圧での充放電においても結晶構造の崩壊がな
く、熱安定性も高く、さらに従来にない高い平均電圧を
実現したのである。
【0079】〔実施例 1〕本発明における正極材料
は、原料としてLi2CO3とCo34をおよそ3対2
(モル比)で混合し、GeO2をCoに対して0.005
原子比置換させる量だけ加え、さらにアルコールと水の
混合物(50:50)を加えてボールミル中で室温,1
5時間混合した。
【0080】これを酸素雰囲気中で200℃,1時間、
さらに、600℃で5時間保持した後、850℃で20
時間焼成した。
【0081】得られた正極活物質の組成はLiCo
0.995Ge0.0052であり、X線回折より六方晶の回折
像を確認した。また、副生成物であるLi2GeO3は存
在しなかった。
【0082】これに、導電剤としての黒鉛と結着剤とし
てポリフッ化ビニリデンとを、アルコールと水の混合物
とを重量比で88:7:5となるように秤量し、らいか
い機で30分間混煉後、該混合物スラリーを厚さ10μ
mのアルミ箔の両面に塗布した。
【0083】但し、Li量を表すwの値は充放電によっ
て変化し、その範囲は0〜1.2の範囲であることを確
認した。また、1.2を超えた場合には、結着剤を添加
した段階でスラリーがゲル状に変化し、アルミ箔状への
塗布が困難であった。特に、wの値が1.05以下の場
合には、塗布時の湿度が70%以上の高湿度化において
も全くゲル化しなかった。
【0084】負極材料としては人造黒鉛を93重量%、
結着剤としてポリフッ化ビニリデンを7重量%配合した
合剤を用い、厚さ10μmの銅箔の両面に塗布した。
【0085】上記の正負両極はプレス機で圧延成型し、
端子をスポット溶接した後、150℃で5時間真空乾燥
した。図1に本発明の電池構造の一例を示す。
【0086】微多孔性ポリプロピレン製のセパレータ1
を介して正極2と負極3を積層し、これを渦巻状に捲回
し、SUS製の電池缶4に挿入した。負極端子5は電池
缶4に、正極端子6は電池蓋7にそれぞれ溶接した。
【0087】電解液の非水溶媒としては、エチレンカー
ボネートとエチルメチルカーボネートを混合し、これに
1molのLiPF6を溶解し電池缶4内に注液した。
電池蓋7を電池缶4に取り付け、直径18mm×高さ6
5mmの円筒型電池を作製した。
【0088】上記電池は、0.2Cで4.4〜4.6Vの
定電流で充電後、該電圧で3時間定電圧充電し、0.2
Cで3.3Vまで放電する定電流放電を行なうサイクル
寿命試験と体積エネルギー密度(電力容量:Wh)を評
価した。
【0089】図2において、Aは4.4V充電、Bは4.
5V充電、Cは4.6V充電、Dは4.7V充電における
サイクル寿命を示す。4.4V〜4.6Vまでの充電にお
いて、いずれもサイクル寿命が長い。
【0090】また、図3において、Iで示すLi基準電
位での放電電位変化より、4.0〜4.2Vの範囲でステ
ップ状の電位の変曲点(図3の円内)が存在した。
【0091】〔比較例 1〕正極材料の原料として、L
2CO3とCo34を3対2(モル比)で混合し、ボー
ルミルを使用して室温で15時間混合した。これを空気
雰囲気中で850℃で5時間焼成した。
【0092】得られた正極活物質の組成はLiCoO2
であり、X線回折により六方晶の単相化を確認した。実
施例1と同様にしてサイクル寿命試験を行なった。
【0093】図4のEは4.4V充電、Fは4.5V充
電、Gは4.6V充電、Hは4.7V充電における本比較
例のサイクル寿命を示す。4.4V〜4.7Vまでの充電
において、いずれもサイクル寿命が短い。
【0094】また、図3において、Jで示すLi基準電
位での放電電位変化より、4.0〜4.2Vの範囲には、
ステップ状の電位の変曲点は観測できなかった。
【0095】〔実施例 2〕本実施例の正極材料の原料
として、Li2CO3とCo34をおよそ3対2(モル
比)で混合し、さらにGeO2、Y(NO3)3・4.7H2
O、ZrO(NO3)2・2H2O、TiO2,SiO2,I
23のいずれか一種を加えて、アルコールと水により
ボールミル中で室温,15時間混合した。これを酸素雰
囲気中で200℃で1時間保持し、さらに600℃,5
時間保持後、850℃で20時間焼成した。
【0096】添加量はX線回折により異相が生成しない
量である。
【0097】参照極および対極をリチウム金属とし、単
極評価のモデルセットを作製した。電解液にはエチレン
カーボネートとエチルメチルカーボネートを混合し、1
molのLiPF6を溶解したものを用いた。
【0098】充放電条件として、0.2C,Li基準電
位で4.5Vまで充電し、0.2C,Li基準電位で3.
5Vまで放電するサイクルを繰り返した。
【0099】7サイクル目の放電電位変化において、全
放電容量(Ah)を100%として放電深度(DOD)
が75〜95%における平均作動電圧をLi基準電位で
表1に示した。また、この範囲における電位の傾きをV
/10%DODとして表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】いずれも平均作動電圧が3.8V以上と高
く、電位の傾きも−0.02V/10%DOD以上であ
り、高い電圧を維持している。
【0102】〔実施例 3〕本実施例の正極材料の原料
として、Li2CO3とCo34を3対2(モル比)で混
合し、GeO2をCoに対して0.0001〜0.19原
子比置換させる量だけ加え、ボールミル中で室温,15
時間混合した。これを空気雰囲気中で850℃で5時間
焼成した。
【0103】なお、X線回折によりGeが0.2原子比
以上ではLi2GeO3の異相が生成していることが分か
ったが、Geが0.2原子比未満では六方晶の単相化を
確認した。
【0104】実施例1と同様にして電池を作製した。こ
の電池のサイクル寿命試験を結果を図5に示す。Geが
0.0005原子比〜0.01原子比未満でサイクル寿命
が長く、かつ、電力容量が高いことが分かった。
【0105】〔実施例 4〕本実施例の正極材料の原料
として、Li2CO3とCo34をおよそ3対2(モル
比)で混合し、GeO2をCoに対して0.005原子比
置換させる量だけ加え、さらに、Al(NO3)3・9H2
O、Fe(NO3)3・9H2O、Y(NO3)3・4.7H
2O、ZrO(NO3)2・2H2O、TiO2を加え、アル
コールと水によりボールミルで室温,15時間混合し
た。
【0106】これを酸素雰囲気中で200℃,1時間保
持し、さらに、600℃,5時間保持した後、850℃
で20時間焼成し各種組成の正極材料を作製した。X線
回折によりGeが0.2原子比以上ではLi2GeO3
異相が生成したが、Geが0.2原子比未満では六方晶
の単相化を確認した。
【0107】Al,Fe,Y,Zr,Tiについては、
その単独の置換量が0.03原子比を超える場合には、
これらの酸化物やLi2GeO3などの異相が僅かに生成
し、0.3原子比を超えると著しく生成した。また、A
l,Fe,Y,Zr,Tiの単独での置換量が0.03
原子比以下では六方晶の単相化を確認した。
【0108】図6にサイクル寿命を、図7に電力容量を
示す。Geが0.0005原子比〜0.01原子比未満で
サイクル寿命が長く、かつ、電力容量が高い。また、1
50%過充電での安定性、高温放置における安定性はA
l,Fe,Y,Zr,Tiの単独での置換量が0.00
1原子比〜0.03原子比で向上している。
【0109】〔実施例 5〕本実施例の正極材料の原料
として、Li2CO3,Co34,GeO2,Ni(NO3)
2・6H2Oを用い、各種組成の正極材料を実施例1と同
様にして合成した。
【0110】図8にLiGexNiyCo(1-x-y)2のG
e置換量xと、X線回折により生成が認められたNiO
のX線回折ピーク強度との関係を示す。
【0111】図9にLiGexNiyCo(1-x-y)2のG
eとNiの置換量の和(原子比)に対するGe置換割
合、即ち、x/(x+y)と、X線回折により生成が認め
られたLi2GeO3のX線回折ピーク強度との関係を示
す。
【0112】NiO、Li2GeO3の異相の生成が抑制
される組成は、xが0.2未満の範囲であり、x/(x+
y)が0.28〜0.35の範囲である。
【0113】〔実施例 6〕本実施例の正極材料の原料
として、Li2CO3,Co34,GeO2,Al(NO3)
3・9H2O,Fe(NO3)3・9H2O,Y(NO3)3・4.
7H2O,ZrO(NO3)2・2H2O,TiO2を用い、
各種組成の正極材料を実施例1と同様にして合成した。
【0114】X線回折よりGeが0.2原子比以上では
Li2GeO3の異相が生成したが、Geが0.2原子比
未満では六方晶の単相化を確認した。
【0115】Al,Fe,Y,Zr,Tiについては
0.03原子比を超える場合には、これらの酸化物やL
2GeO3などの異相が僅かに生成し、0.3原子比を
超えると著しく生成した。また、Al,Fe,Y,Z
r,Tiの置換量が0.03原子比以下では六方晶の単
相化を確認した。
【0116】図10にLiGexNi2x0.01Co
0.99-3x2におけるGe置換量xとサイクル寿命との関
係を、また、図11にその電力容量密度との関係を示
す。
【0117】Geが0.0005原子比以上〜0.02原
子比未満でサイクル寿命が長く、かつ、電力容量が高
い。また、150%過充電での安定性、高温放置におけ
る安定性はAl,Fe,Y,Zr,Tiの置換量が0.
001原子比〜0.03原子比で向上している。
【0118】なお、従来の二次電池では4.2Vよりも
高い電圧で充電し、3.2Vよりも高い電圧で放電を行
なうと、正極の結晶構造が崩壊して容量低下を引き起こ
したり、熱安定性が低下するなど、二次電池として使用
する上で問題があった。
【0119】しかし、本発明における前記正極材料を使
用したLi二次電池においては、4.2Vよりも高い電
圧まで充電でき、3.2Vよりも高い電圧で放電を終了
しても、正極の結晶構造が崩壊せずに容量低下もほとん
どなく、高電圧で容量が大きく、安定性の優れたものが
得られる。
【0120】また、従来の正極材料では平均電圧が低い
ため、単電池の充電終止電圧が4.2Vよりも高い条件
下で充放電サイクル試験を繰り返すと、正極が多量のL
iイオンを出し入れする。これは、従来電池を過充電条
件でサイクル試験することと同じである。このような苛
酷な条件では、従来の正極材料を用いると結晶構造を維
持することができず、熱安定性が低下したり、サイクル
寿命が短いなどの不都合が生じていた。これに対し、本
発明における正極材料を用いれば、こうした問題を解消
することができる。
【0121】また、本発明のリチウム二次電池の用途と
しては、例えば、ノートパソコン,ペン入力パソコン,
ポケットパソコン,ノート型ワープロ,ポケットワープ
ロ,電子ブックプレーヤ,携帯電話,コードレスフォン
子機,ページャ,ハンディターミナル、携帯コピー,電
子手帳,電卓、液晶テレビ,電気シェーバ,電動工具,
電子翻訳機,自動車電話,トランシーバ,音声入力機
器,メモリカード,バックアップ電源,テープレコー
ダ,ラジオ,ヘッドホンステレオ,携帯プリンタ,ハン
ディクリーナ,ポータブルCD,ビデオムービ,ナビゲ
ーションシステムなどの機器用の電源や、冷蔵庫,エア
コン,テレビ,ステレオ,温水器,オーブン電子レン
ジ,食器洗い器,洗濯機,乾燥器,ゲーム機器,照明機
器,玩具,ロードコンディショナ,医療機器,自動車,
電気自動車,ゴルフカート,電動カート,電力貯蔵シス
テムなどの電源として使用することができる。また、民
生用の他に宇宙用機器の電源としても用いることができ
る。
【0122】
【発明の効果】本発明によれば、高電力容量でサイクル
特性に優れ、高安定性のリチウム二次電池を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池の構造の一例を示す
模式断面図である。
【図2】本発明のリチウム二次電池の電力容量とサイク
ル寿命との関係を示すグラフである。
【図3】本発明のリチウム二次電池の正極活物質の放電
電位変化(曲線:I)を示すグラフである。
【図4】比較例1の電池の電力容量とサイクル寿命との
関係を示すグラフである。
【図5】実施例3のリチウム二次電池の正極活物質Li
GexCo1-x2におけるGe置換量xと、電力容量お
よびサイクル寿命との関係を示すグラフである。
【図6】実施例4のリチウム二次電池の正極活物質Li
Gex0.01Co0.99-x2におけるGe置換量xとサイ
クル寿命との関係を示すグラフである。
【図7】実施例4のLiGex0.01Co0.99-x2にお
けるGe置換量xと電力容量との関係を示すグラフであ
る。
【図8】実施例5のGe置換量xとNiOのX線回折強
度との関係を示すグラフである。
【図9】実施例5のx/(x+y)とLi2GeO3のX線
回折強度との関係を示すグラフである。
【図10】実施例6のLiGexNi2x0.01Co
0.99-3x2におけるGe置換量xとサイクル寿命との関
係を示すグラフである。
【図11】実施例6のLiGexNi2x0.01Co
0.99-3x2におけるGe置換量xと電力容量密度との関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…電池缶、5
…負極端子、6…正極端子、7…電池蓋。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 明弘 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 安藤 壽 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 喜多 房次 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社電池開発研究所内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB05 AC06 AD06 AE05 5H003 AA02 AA04 BB05 BC01 BD00 BD03 5H014 AA01 AA06 EE10 HH00 HH01 HH04 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 DJ16 HJ00 HJ01 HJ02 HJ19

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次
    電池において、 正極活物質が、その電位曲線におけるLi基準電位4.
    0〜4.2Vの領域にステップ状の変曲点を有すること
    を特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次
    電池において、 正極活物質が、LiCoO2を基本骨格とし、これにG
    e,Ti,Zr,Si,In,Yの少なくとも1種が固
    溶されており、Li基準電位で4.4V以上に充電した
    場合に7サイクル目,0.2C放電で放電深度(DO
    D)75〜95%の平均作動電圧がLi基準電位で3.
    8V以上であり、電位の傾きが−0.02V/10%D
    OD以上であることを特徴とするリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次
    電池において、 正極活物質が式〔1〕 【化1】 LiwGexCo(1-x)y2 …〔1〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
    一種以上で、w,xはそれぞれ0<w≦1.2,0.00
    01≦x<0.2,0≦y≦0.3の範囲)で示される複
    合酸化物であることを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 【請求項4】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電が可能なリチウム二
    次電池において、正極活物質が式〔2〕 【化2】 LiwGexyCo(1-x-y)2 …〔2〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
    一種以上で、w,x,yはそれぞれ0<w≦1.2,0.
    0001≦x<0.2,0.001≦y≦0.3の範囲)
    で示される複合酸化物であることを特徴とするリチウム
    二次電池。
  5. 【請求項5】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、 可逆的に充放電可能なリチウム二次電池において、正極
    活物質が式〔3〕 【化3】 LiwGexNiyCo(1-x-y)2 …〔3〕 (w,x,yはそれぞれ0<w≦1.2,0.0001≦
    x<0.2,0.28≦x/(x+y)≦0.35の範囲)
    で示される複合酸化物を含むことを特徴とするリチウム
    二次電池。
  6. 【請求項6】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次
    電池において、 正極活物質が式〔4〕 【化4】 LiwGexNiyzCo(1-x-y-z)2 …〔4〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
    一種以上で、w,x,y,zはそれぞれ0<w≦1.
    2,0.0001≦x<0.2,0.28≦x/(x+y)
    ≦0.35,0.001≦z≦0.3の範囲)で示される
    複合酸化物を含むことを特徴とするリチウム二次電池。
  7. 【請求項7】 前記正極活物質が、Li基準電位で4.
    4〜4.6Vの領域まで充電する請求項1〜6のいずれ
    かに記載のリチウム二次電池。
  8. 【請求項8】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次
    電池に用いるリチウム二次電池用正極活物質が、その電
    位曲線におけるLi基準電位4.0〜4.2Vの領域にス
    テップ状の変曲点を有することを特徴とするリチウム二
    次電池用正極活物質。
  9. 【請求項9】 負極、正極、および、リチウム塩を含む
    非水電解液を有し、可逆的に充放電可能なリチウム二次
    電池に用いるリチウム二次電池用正極活物質が、LiC
    oO2を基本骨格とし、これにGe,Ti,Zr,S
    i,In,Yの少なくとも1種が固溶され、Li基準電
    位で4.4V以上に充電した場合に7サイクル目,0.2
    C放電で放電深度(DOD)75〜95%の平均作動電
    圧がLi基準電位で3.8V以上であり、電位の傾きが
    −0.02V/10%DOD以上であることを特徴とす
    るリチウム二次電池用正極活物質。
  10. 【請求項10】 式〔1〕 【化5】 LiwGexCo(1-x)y2 …〔1〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
    一種以上で、w,xはそれぞれ0<w≦1.2,0.00
    01≦x<0.2,0≦y≦0.3の範囲)で示される複
    合酸化物を含むことを特徴とするリチウム二次電池用正
    極活物質。
  11. 【請求項11】 式〔2〕 【化6】 LiwGexyCo(1-x-y)2 …〔2〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
    一種以上で、w,x,yはそれぞれ0<w≦1.2,0.
    0001≦x<0.2,0.001≦y≦0.3の範囲)
    で示される複合酸化物を含むことを特徴とするリチウム
    二次電池用正極活物質。
  12. 【請求項12】 式〔3〕 【化7】 LiwGexNiyCo(1-x-y)2 …〔3〕 (w,x,yはそれぞれ0<w≦1.2,0.0001≦
    x<0.2,0.28≦x/(x+y)≦0.35の範囲)
    で示される複合酸化物を含むことを特徴とするリチウム
    二次電池用正極活物質。
  13. 【請求項13】 式〔4〕 【化8】 LiwGexNiyzCo(1-x-y-z)2 …〔4〕 (但し、AはAl,Fe,Y,Zr,Tiから選ばれた
    一種以上で、w,x,y,zはそれぞれ0<w≦1.
    2,0.0001≦x<0.2,0.28≦x/(x+y)
    ≦0.35,0.001≦z≦0.3の範囲)で示される
    複合酸化物を含むことを特徴とするリチウム二次電池用
    正極活物質。
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