JP2001173203A - 外壁材の取付構造および外壁材付壁パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 釘の使用本数を極力減らすかもしくは釘を使
用することなく、外壁材を胴縁に確実に取付けることが
できる外壁材の取付構造およびこの取付構造を備えた外
壁材付壁パネルを提供すること。 【解決手段】 壁体の表面側の合板５１２に胴縁３０が
設けられ、該胴縁３０を介して壁体に外壁材１２が取付
けられている。前記胴縁３０の表面には弾性系接着剤１
４が塗布されており、この弾性系接着剤１４によって前
記胴縁３０に前記外壁材１２が接着されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建物にお
ける外壁材の取付構造および外壁材付壁パネルに関する
ものである。

【０００２】

【背景の技術】近年、住宅の構築についてはその工業化
が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工
場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを
組み立てることにより、住宅を構築するといったパネル
工法が一部に採用されている。このようなパネル工法に
用いられるパネルとして、例えば壁パネルとしては、框
材を矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内部
に補強芯材を縦横に組み付けることで枠体を構成し、こ
の枠体の表裏両面に合板等の面材を取付けたものが一般
的である。

【０００３】このような木質の壁パネルを用いて外壁を
形成するには、例えば特開平７−１５８１８１号公報に
示すように、該壁パネルの外面側にタイベック等の透湿
防水シートを貼着し、さらにこの上に複数の長尺な胴縁
を横方向に向け、かつ上下に所定間隔で平行に、釘打ち
によって取り付け、これら胴縁の上に軽量気泡コンクリ
ートなどからなる外壁材（サイディング）を釘打ちによ
って取り付け固定している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、外壁材を胴
縁に釘打ちによって取付ける場合、打ち込まれた釘の釘
頭が外壁材の表面に露出してしまい外壁としての外観意
匠性が低下してしまうので、釘打ち後、釘頭に塗料を塗
布することによって、釘頭を外壁材の色彩に合わせてい
るが、一枚の外壁材を釘打ちによって胴縁に取り付ける
のにも多数の釘を使用しているので、建物全体に多数の
外壁材を取り付ける場合には、非常に多数の釘を使用す
ることになるので、これら釘の釘頭の塗装作業に非常に
手間がかかっていた。そこで、外壁材を胴縁に接着剤に
よって取り付けることが考えられるが、この場合、建物
に取付けられた外壁材が天候等による影響を受けて、該
外壁材に若干の反り等の変形が生じた場合に、外壁時の
一部が胴縁から剥がれてしまう恐れがあり、その場合、
外壁材の補修を行う必要があった。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、釘の使用本数を極力減らすかもしくは釘を使用す
ることなく、外壁材を胴縁に確実に取付けることができ
る外壁材の取付構造およびこの取付構造を備えた外壁材
付壁パネルを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１記載の外壁材１２の取付構造は、
例えば図１〜４に示すように、壁体１５の表面に胴縁１
１が設けられ、該胴縁１１を介して壁体１５に外壁材１
２が取付けられてなる外壁材１２の取付構造において、
前記胴縁１１の表面には弾性系接着剤１４が塗布されて
おり、この弾性系接着剤１４によって前記胴縁１１に前
記外壁材１２が接着されていることを特徴とするもので
ある。

【０００７】前記壁体１５は、框材３を矩形枠状に組み
立てるとともに、この矩形枠の内枠に補強用の桟材４を
縦横に組み付して枠体２を形成し、この枠体２の表裏両
面に合板や壁材などの面材５を設けてなる、パネル工法
に用いる壁パネル１や、この壁パネルを複数連結してな
る大型連結壁パネルでもよいし、軸組み工法における
壁、ツーバイフォー工法における壁でもよい。

【０００８】前記胴縁１１は、水平方向に延在する角木
材であって、前記壁体１５に釘等の止着材２０にて固定
されている。また前記胴縁１１は、横方向に向けかつ、
上下に所定間隔で平行して壁体１５に取り付けるが、こ
れに限らず縦方向に向け、左右に所定間隔で平行にして
壁体１５に取り付けてもよい。

【０００９】前記外壁材１２は、窯業系材料を使用して
製造されたもので、難燃性、断熱性等の機能を備え、表
面には多種多様な模様、色などが施されたもので、外壁
の仕上げ材として使用されている。また、前記各々の外
壁材１２の一端部には上実２３が形成されており、他端
部には下実２２が形成されている。

【００１０】前記弾性系接着剤１４としては、例えば、
弾性ポリエチレン系接着剤のものや、弾性シリコン系接
着剤のものが使用される。これら弾性系接着剤を前記胴
縁の表面に塗布する場合、その塗布厚言い換えれば接着
層が１．０〜１．５ｍｍ程度になるようにすればよい。

【００１１】請求項１記載の外壁材１２の取付構造にお
いては、壁体１５の表面に設けられた胴縁１１の表面に
弾性系接着剤１４が塗布されており、この弾性系接着剤
１４によって前記胴縁１１に前記外壁材１２が接着され
ているので、釘等の止着材１３の使用本数を極力減らす
か、もしくは釘等の止着材１３を使用することなく、外
壁材１２を胴縁１１に確実に固定することができる。ま
た、外壁材１２が胴縁１１に弾性系接着剤１４で接着さ
れているので、該外壁材１２が天候等による影響を受け
て、該外壁材１２に若干の反り等の変形が生じた場合で
も、この変形に弾性系接着剤１４がその弾性によって追
従するので、外壁材１２の一部が胴縁１１から剥がれる
のを防止することができる。さらに、地震等の外力が壁
体１５に作用した場合においても、前記弾性系接着剤１
４の弾性によって、前記外力が外壁材１２に作用するの
を軽減することができる。

【００１２】請求項２記載の外壁材１２の取付構造は、
例えば、図７〜９に示すように、請求項１記載の外壁材
１２の取付構造において、前記胴縁１１の表面には凹部
３１が形成されており、この凹部３１に弾性系接着剤１
４が充填されていることを特徴とするものである。

【００１３】前記胴縁１１は、請求項３のように、鋼製
の胴縁であってもよいし、木製の胴縁であってもよい。
また、前記凹部３１は胴縁３０の長手方向に延在し、該
胴縁３０の長さとほぼ同じ長さの一つの凹溝であっても
よいし、胴縁３０の長手方向に所定間隔で形成した複数
の凹溝であってもよい。さらに、前記凹部３１は胴縁３
０の幅方向中央部に形成するのが望ましいが、これに限
らず、幅方向の上端部と下端部とにそれぞれ形成しても
よい。また、該凹部３１の側壁面は、底部から胴縁３０
の表面に向けて斜めに立上がる形状とするのが望ましい
が、これに限ることはない。また、前記凹部３１に弾性
系接着剤１４を充填する場合、該凹部３１から若干盛り
上がるようにして充填するのが望ましい。

【００１４】請求項２記載の外壁材１２の取付構造にお
いては、胴縁３０の表面に形成された凹部３１に弾性系
接着剤１４が充填されているので、胴縁３０の表面によ
り強固に弾性系接着剤１４が固着し、これによって、該
弾性系接着剤１４による外壁材１２の胴縁３０への固定
強度を高めることができる。

【００１５】請求項３記載の外壁材１２の取付構造は、
例えば、図７〜９に示すように、請求項１または２記載
の外壁材１２の取付構造において、前記胴縁３０が、内
部が中空の鋼製胴縁３０であることを特徴とするもので
ある。

【００１６】前記鋼製胴縁３０は、例えば図７，８に示
すように、帯板状の薄鋼鈑を断面が略矩形状になるよう
に折曲することによって形成され、壁体側を向く面に
は、開口部３０ｃが形成されている。また、鋼製胴縁３
０の表面には、上述したような凹部３１を形成してもよ
く、この場合、該凹部３１に弾性系接着剤１４を充填す
る。

【００１７】請求項３記載の外壁材１２の取付構造にお
いては、前記胴縁３０が、内部が中空の鋼製胴縁３０で
あるので、胴縁３０を木材で形成する場合に比して、胴
縁３０の材料を安定供給でき、また、胴縁３０を軽量に
してその取り扱いを容易なものとすることができる。ま
た、胴縁３０が鋼製であるため、建物の解体時や壁の補
修のときは、該胴縁を回収して再利用することができ環
境保全に努めることができる。

【００１８】請求項４記載の外壁材１２の取付構造は、
例えば、図４に示すように、請求項１〜３のいずれかに
記載の外壁材１２の取付構造において、互いに隣接する
外壁材１２どうしは実矧ぎ２４によって接合されてお
り、この実矧ぎ２４部分において下実２２に係合してい
る上実２３の近傍から前記胴縁１１に止着材１３が打ち
込まれていることを特徴とするものである。

【００１９】請求項４記載の外壁材１２の取付構造にお
いては、互いに隣接する外壁材１２どうしの接合部であ
る実矧ぎ２４部分において、下実２２に係合している上
実２３の近傍から前記胴縁１１に止着材１３が打ち込ま
れているので、この止着材１３によって、一方の外壁材
１２の下実２２が他方の外壁材１２の上実２３によって
上から強く押さえられる。したがって、胴縁１１には弾
性系接着剤１４によって外壁材１２が接着固定されると
ともに、外壁材１２の左右両端部が前記止着材１３によ
っても固定されるので、外壁材１２をより強固に胴縁１
１に固定することができる。

【００２０】請求項５記載の外壁材付壁パネル１０は、
例えば、図６に示すように、壁パネル１に胴縁１１を介
して外壁材１２が取付けられてなる外壁材付壁パネル１
０であって、請求項１〜４のいずれかに記載の外壁材１
２の取付構造を有し、この外壁材１２の取付構造におけ
る壁体１５が、前記壁パネル１で構成されていることを
特徴としている。

【００２１】前記壁パネル１は、框材３を矩形枠状に組
み立てるとともに、この矩形枠の内枠に補強用の桟材４
を縦横に組み付して枠体２を形成し、この枠体２の表裏
両面に合板などの面材５を設けることで構成されてい
る。そして、前記壁パネル１に外壁材１２を取付ける場
合には、該壁パネル１２を複数連結して大型連結壁パネ
ル(壁体)１５を形成し、この大型連結壁パネル(壁体)１
５に、胴縁１１を取付け、この胴縁１１の表面に弾性系
接着剤１４を塗布することによって外壁材１２を接着し
て、取付けるのが望ましい。

【００２２】前記外壁材付壁パネル１０は、前記大型連
結壁パネル(壁体)１５の表面側に透湿防水シート１６を
設けるとともに、この透湿防水シート１６上に設けられ
た胴縁１１を介して外壁材１２が工場等にて予め取付け
られて構成されている。

【００２３】請求項５記載の外壁材付壁パネル１０にお
いては、前記外壁材１２を工場等にて予め前記壁パネル
１に取付けることができるので、現場での胴縁１１取付
け作業、接着剤１４の塗布作業、外壁材１２の取付けな
どを省略することができるので現場での作業効率の向上
を図ることができる。また、弾性系接着剤１４を工場等
で塗布することができるので、塗布厚等の品質の均一性
を容易に図ることができる。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明にお
ける実施の形態について説明する。 <第一実施形態例>図１〜図６は本発明の第一実施形態例
を示すものであり、図１は壁体に胴縁を設置した正面
図、図２は壁体に胴縁を介して外壁材を取付けた状態を
示す正面図、図３は壁体に胴縁を介して外壁材を取付け
た状態を示す縦断面図、図４は壁体に胴縁を介して外壁
材を取付けた状態を示す平断面図、図５は壁体を構成す
る壁パネル斜視図、図６は外壁材付大型連結壁パネルの
正面図である。本発明にかかる外壁材の取付構造は以下
のように構成されている。すなわち、壁パネル1が連結
されてなる大型連結壁パネル(壁体)１５の表面には、透
湿防水シート１６が敷設されており、該透湿防水シート
１６上には、水平方向に延在し、上下方向に等間隔で配
置された複数の胴縁１１が取付けられている。これら胴
縁１１の表面には弾性系接着剤１４が塗布されており、
この弾性系接着剤１４によって前記胴縁１１に外壁材１
２が接着されている。

【００２５】前記壁パネル1は、図５に示すように、工
場等において予め、縦横の框材３を矩形枠状に組み立て
るとともに、この矩形枠の内枠に補強用桟材４を縦横に
組み付けて枠体２を形成し、この枠体２の表裏両面に、
合板からなる面材５，５を張りつけることで構成されて
いる。

【００２６】前記大型連結壁パネル(壁体)１５は、図１
に示すように、前記壁パネル１を複数(例えば４枚)連結
して構成されている。この大型連結壁パネル１５の表面
に敷設された透湿防水シート１６は、該大型連結パネル
１５の表面全体を覆っており、該透湿防水シート１６の
下端部は大型連結壁パネル１５の下端より下方に突出し
ている。また大型連結パネル１５の左側部には、縦長の
透湿防水シート１６ａがその側端部を大型連結壁パネル
１５の左側端より左側に突出されて敷設されている。

【００２７】前記胴縁１１は、図１および図３に示すよ
うに、断面矩形状の角木材から形成されており、前記大
型連結壁パネル１５表面に敷設されている前記透湿防水
シート１６上から壁パネル１に釘などの止着材２０によ
って取付けられている。

【００２８】前記弾性系接着剤１４は、図３および図４
に示すように前記胴縁１１の表面全体に均一に塗布され
ており、この弾性系接着剤１４の接着層の厚さは１．０
〜１．５ｍｍに設定されている。そして、該弾性系接着
剤１４による接着層の保持力により外壁材１２が該胴縁
１１に取付けられるようになっている。この弾性系接着
剤は、弾性ポリエチレン系のものか、または、弾性シリ
コン系のものを使用している。

【００２９】前記外壁材１２は、図２に示すように、例
えば窯業系材料によって形成された長方形板状のもので
あり、難燃性、断熱性などの機能を備え、その表面には
各種の模様、色などが施されている。また、図４に示す
ように、前記各々の外壁材１２の一端部には上実２３が
形成されており、他端部には下実２２が形成されてい
る。また、下実２２の長さは、上実２２より長く設定さ
れている。そして、互いに左右に隣接する外壁材１２,
１２どうしは、下実２２に上実２３を係合させてなる実
矧ぎによって接合されており、この実矧ぎ部分２４には
目地２５が形成されている。

【００３０】また、前記実矧ぎ部分２４において、下実
２２に係合している上実２３の近傍から前記胴縁１１に
釘等の止着材１３が打ち込まれており、この止着材１３
によって、一方の外壁材１２の下実２２が他方の外壁材
１２の上実２３によって上からから強く押さえられてい
る。前記止着材１３は、図２に示すように、前記実矧ぎ
部分２４において、外壁材１２の上段、中段、下段の３
箇所に打ち込まれている。

【００３１】外壁材付大型連結壁パネル１０は、前記大
型連結壁パネル１５に上述したような外壁材の取付構造
を備えることで構成されるが、以下に外壁材付大型連結
パネル１０の製造方法について説明する。なお、該外壁
材付大型連結壁パネル１０は、工場等において製造さ
れ、現場に搬送され該現場で、基礎上に組み立てられる
ことで、住宅等建物を構築するものである。

【００３２】まず、図１に示すように、４枚の壁パネル
１を横方向に接合して大型連結壁パネル１５を形成し、
この大型連結壁パネル１５の表面に、透湿防水シート１
６,１６ａを敷設する。次に、前記透湿防水シート１６
上から、複数の胴縁１１を横方向に向け、かつ上下に所
定間隔で平行に配置して、釘等の止着材２０を胴縁１１
から大型連結壁パネル１５に打ち込むことで、胴縁１１
を所定の位置に固定する。次に、胴縁１１が取付けられ
た大型連結壁パネル１５を水平に寝かした状態で、該胴
縁１１の表面に弾性系接着剤１４を均一に塗布する。

【００３３】次に、図２に示すように、前記胴縁１１の
表面に、外壁材１２を載置し、その自重で前記弾性系接
着材１４を延ばして、弾性系接着剤１４の厚み(接着層)
を１．０〜１．５ｍｍにする。また、胴縁１１の表面に
外壁材１２を載置する際には、図４に示すように、互い
に隣接する外壁材１２,１２どうしを実矧ぎによって接
合し、実矧ぎ部分２４において、下実２２に係合してい
る上実２３の近傍から前記胴縁１１に釘等の止着材１３
を打ち込み、これによって、一方の外壁材１２の下実２
２を他方の外壁材１２の上実２３によって上から強く押
さえる。そして、この止着材１３の打ち込み後、大型連
結壁パネル１５をほぼ鉛直に起こし、弾性系接着材１４
が硬化するまで養生することによって、外壁材付大型連
結壁パネルの製造を終了する。

【００３４】このような外壁材付大型連結壁パネルは、
工場等において、外壁材１２が予め取付けられているの
で、現場での外壁材の取付け作業を省略することができ
作業効率の向上を図ることができる。また、胴縁１１の
表面に塗布された弾性系接着剤１４によって外壁材１２
を胴縁１１に接着しているので、釘等の止着材１３の使
用本数を従来に比して極力減らすことができる。つま
り、従来では、釘のみで外壁材１２を固定していたが、
本例では、弾性系接着材１４によって外壁材１２を胴縁
１１に接着しているので、その分だけ釘の使用本数を減
らすことができ、また、その分だけ釘頭の塗装作業を軽
減することができる。また、外壁材１２が胴縁１１に弾
性系接着剤１４で接着さているので、該外壁材１２が天
候等による影響を受けて、該外壁材１２に若干の反り等
の変形が生じた場合でも、この変形に弾性系接着剤１４
がその弾性によって追従するので、外壁材１２の一部が
胴縁１１から剥がれるのを防止することができる。さら
に、地震等の外力が壁体１５に作用した場合において
も、前記弾性系接着剤１４の弾性によって、前記外力が
外壁材１２に作用するのを軽減することができる。ま
た、互いに隣接する外壁材１２どうしの接合部である実
矧ぎ２４部分において、下実２２に係合している上実２
３の近傍から前記胴縁１１に止着材１３が打ち込まれて
いるので、この止着材１３によって、一方の外壁材１２
の下実２２を他方の外壁材１２の上実２３によって上か
ら強く押さえることができる。したがって、胴縁１１に
は弾性系接着剤１４によって外壁材１２が接着固定され
るとともに、外壁材１２の左右両端部が前記止着材１３
によっても固定されるので、外壁材１２をより強固に胴
縁１１に固定することができる。

【００３５】なお、本例では、木製の胴縁１１を使用し
たが、これに限ることなく、後述するような鋼製や強化
プラスチック製の胴縁を使用してもよく、さらに、後述
するように、胴縁１１の表面に、弾性系接着材１４を充
填するための凹部を形成してもよい。

【００３６】<第二実施形態例>図７〜９は本発明につい
ての第二実施形態例を示すものであり、図７は、鋼製胴
縁の断面図、図８は壁体に鋼製胴縁を取付けた状態を示
す縦断面図、図９は、鋼製胴縁に外壁材を取付けた状態
を示す平断面図である。これらの図において、前記第一
実施形態例で示した外壁材の取付構造と異なる点は、胴
縁が中空構造の鋼製であり、この鋼製胴縁の略中央部に
凹部が設けられている点であるので、以下ではこの鋼製
胴縁について詳細に説明し、他の共通構成部分には同一
符号を付して説明を省略する。

【００３７】鋼製胴縁３０は、図９に示すように、壁体
１５に釘などの止着材３２によって固定されて、この鋼
製胴縁３０の表面に形成されている凹部３１に弾性系接
着剤１４が充填され、外壁材１２が取付け固定されてい
る。

【００３８】前記鋼製胴縁３０は、図７、８に示すよう
に、防錆加工された帯状の薄鉄板を折り曲げ加工した断
面視矩形状のものであり、図７および図８において、紙
面と直交する方向に延在している。この鋼製胴縁３０
の、壁体側に設置される設置面３０ｂ,３０ｂ間には、
胴縁全長にわたり開口部３０ｃが形成されており、内部
は中空となっている。また、前記鋼製胴縁３０の支持面
３０ａの略断面視中央部には、凹部３１が形成されてい
る。この凹部３１は、鋼製胴縁３０の長手方向に延在す
る凹溝であり、底部３１ａと、この底部３１ａの両端部
から斜めに立ち上がり傾斜壁３１ｂ,３１ｂとによって
構成されている。

【００３９】上記構成の鋼製胴縁３０は、図８に示すよ
うに、その設置面３０ｂ,３０ｂを壁体(大型連結壁パネ
ル１５)の面材５に当接したうえで、前記凹部３１の底
部３１ａから釘等の止着材３２を壁体に打ち込むことに
よって固定されている。前記鋼製胴縁３０が固定された
後には、該鋼製胴縁３０凹部３１に、弾性系接着剤１４
が該鋼製胴縁３０の支持面３０ａより高くなるように盛
り上げて充填されている。

【００４０】そして、前記鋼製胴縁３０の支持面３０ａ
には、図９に示すように、外壁材１２が載置されてい
る。外壁材１２を載置するとその自重で、凹部３１から
盛り上っている弾性系接着剤１４が、凹部３１の傾斜壁
３１ｂ,３１ｂかた支持面３０ａに広がって該支持面３
０ａに均一に塗布され、該弾性系接着剤１４の塗布厚が
(接着層)１．０〜１．５ｍｍになるとともに、該弾性系
接着材１４によって、外壁材１２が鋼製胴縁３０に接着
される。

【００４１】このように、本実施形態例によれば、前記
胴縁３０が鋼製であることから、胴縁３０を木材で形成
する場合に比して、胴縁３０の材料を安定供給でき、ま
た、鋼製胴縁３０が中空であるので、鋼製胴縁３０を軽
量にしてその取り扱いを容易なものとすることができ
る。また、胴縁３０が鋼製であるため、建物の解体時や
壁の補修のときは、該胴縁３０を回収して再利用するこ
とができ環境保全に努めることができる。さらに、断面
形状を容易に形成することができ、また、使用後には、
再利用することができる。また、胴縁３０の表面に形成
された凹部３１に弾性系接着剤１４が充填されているの
で、胴縁３０の表面により強固に弾性系接着剤１４が固
着し、これによって、該弾性系接着剤１４による外壁材
１２の胴縁３０への固定強度を高めることができる。ま
た、本例においても、上述した第一実施形態例と同様の
効果を得ることができるのは言うまでもない。

【００４２】なお、本例では、前記凹部３１は胴縁３０
の長手方向に延在し、胴縁３０の長さとほぼ同じ長さの
一つの凹溝であるが、これに限ることなく、胴縁３０の
長手方向に所定間隔で形成した複数の凹溝であってもよ
い。さらに、前記凹部３１は胴縁３０の幅方向中央部に
形成したが、これに限らず、幅方向の上端部と下端部と
にそれぞれ形成してもよい。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
記載の外壁材の取付構造によれば、壁体の表面に設けら
れた胴縁の表面に弾性系接着剤が塗布されており、この
弾性系接着剤によって前記胴縁に前記外壁材が接着され
ているので、釘等の止着材の使用本数を極力減らすか、
もしくは釘等の止着材を使用することなく、外壁材を胴
縁に確実に固定することができる。また、外壁材に天候
等の影響によって、若干の反り等の変形が生じた場合で
も、この変形に弾性系接着剤がその弾性によって追従す
るので、外壁材の剥がれを防止することができる。さら
に、地震等の外力が壁体に作用した場合においても、弾
性系接着剤の弾性によって、前記外力が外壁材に作用す
るのを軽減することができる。

【００４４】請求項２記載の外壁材の取付構造によれ
ば、請求項１と同様の効果を得ることができるのは勿論
のこと、胴縁の表面に形成された凹部に弾性系接着剤が
充填されているので、胴縁の表面により強固に弾性系接
着剤が固着し、これによって、該弾性系接着剤による外
壁材の胴縁への固定強度を高めることができる。

【００４５】請求項３記載の外壁材の取付構造によれ
ば、請求項１または２と同様の効果を得ることができる
のは勿論のこと、前記胴縁が、内部が中空の鋼製胴縁で
あるので、胴縁を木材で形成する場合に比して、胴縁の
材料を安定供給でき、また、胴縁を軽量にしてその取り
扱いを容易なものとすることができる。

【００４６】請求項４記載の外壁材の取付構造によれ
ば、請求項１〜３のいずれかと同様の効果を得ることが
できるのは勿論のこと、互いに隣接する外壁材どうしの
実矧ぎ部分において、下実に係合している上実の近傍か
ら前記胴縁に止着材が打ち込まれているので、この止着
材によって、一方の外壁材の下実を他方の外壁材の上実
によって上から強く押さえることができ、しかも胴縁に
は弾性系接着剤によって外壁材が接着固定されているの
で、外壁材をより強固に胴縁に固定することができる。

【００４７】請求項５に記載の外壁材付壁パネルによれ
ば、外壁材を工場等にて予め壁パネルに取付けることが
できるので、現場での胴縁取付け作業、接着剤の塗布作
業、外壁材の取付けなどを省略することができるので現
場での作業効率の向上を図ることができる。また、請求
項１〜４のいずれかに記載の外壁材の取付構造を有して
いるので、上記請求項１〜４のいずれかと同様の効果を
得ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の外壁材の取付構造の一例を示すもの
で、壁体に胴縁を設置した状態を示す正面図である。

【図２】同、壁体に胴縁を介して外壁材を取付けた状態
を示す正面図である。

【図３】同、壁体に胴縁を介して外壁材を取付けた状態
を示す縦断面図である。

【図４】同、壁体に胴縁を介して外壁材を取付けた状態
を示す平断面図である。

【図５】同、外壁材を取付けるべき壁パネルの斜視図で
ある。

【図６】同、外壁材付大型連結壁パネルの正面図であ
る。

【図７】本発明の外壁材の取付構造の他の例において使
用される鋼製胴縁の縦断面図である。

【図８】図７に示す鋼製胴縁を壁体に取付けた状態を示
す縦断面図である。

【図９】本発明の外壁材の取付構造の他の例を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１ 壁パネル １０ 外壁材付壁パネル １１ 胴縁 １２ 外壁材 １３ 止着材 １４ 弾性系接着剤 １５ 壁体（大型連結壁パネル） ２２ 下実 ２３ 上実 ２４ 実矧ぎ部分 ３０ 鋼製胴縁 ３１ 凹部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁体の表面に胴縁が設けられ、該胴縁を
   介して壁体に外壁材が取付けられてなる外壁材の取付構
   造において、 前記胴縁の表面には弾性系接着剤が塗布されており、こ
   の弾性系接着剤によって前記胴縁に前記外壁材が接着さ
   れていることを特徴とする外壁材の取付構造。
2. 【請求項２】 請求項１記載の外壁材の取付構造におい
   て、 前記胴縁の表面には凹部が形成されており、この凹部に
   弾性系接着剤が充填されていることを特徴とする外壁材
   の取付構造。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の外壁材の取付構
   造において、 前記胴縁が、内部が中空の鋼製胴縁であることを特徴と
   する外壁材の取付構造。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかに記載の外壁材
   の取付構造において、 互いに隣接する外壁材どうしは実矧ぎによって接合され
   ており、この実矧ぎ部分において下実に係合している上
   実の近傍から前記胴縁に止着材が打ち込まれていること
   を特徴とする外壁材の取付構造。
5. 【請求項５】 壁パネルに胴縁を介して外壁材が取付け
   られてなる外壁材付壁パネルであって、 請求項１〜４のいずれかに記載の外壁材の取付構造を有
   し、 この外壁材の取付構造における壁体が、前記壁パネルで
   構成されていることを特徴とする外壁材付壁パネル。