JP2001172706A - ベル式高炉における原料装入方法 - Google Patents

ベル式高炉における原料装入方法

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JP2001172706A
JP2001172706A JP35388599A JP35388599A JP2001172706A JP 2001172706 A JP2001172706 A JP 2001172706A JP 35388599 A JP35388599 A JP 35388599A JP 35388599 A JP35388599 A JP 35388599A JP 2001172706 A JP2001172706 A JP 2001172706A
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coke
furnace
bell
charging
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Kimitoshi Mori
侯寿 森
Akio Shimomura
昭夫 下村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベル式高炉で鉱石とコークスとの同時装入
で、炉壁部にコークスのみを歩留まらせつつ、炉口半径
方向での炉壁部以外の部位の装入原料層厚を調整する。 【解決手段】ベル上2にコークス7を層状に堆積させ、
次いで層状コークス7の上に鉱石6を層状に堆積させ、
得られた原料をベル2から排出して、炉内にコークスと
鉱石との同時装入を行ない、炉壁側に、同時装入される
原料の内コークス9を優先的に堆積させる。その方法と
して、高炉炉頂部にムーバブルアーマー4を設け、ムー
バブルアーマー4に対してベル2から排出された原料を
衝突させて、原料の落下軌跡を修正する。軌跡の修正
を、ムーバブルアーマー2の初期設定位置、初期設定位
置から移動開始する時期、移動速度、最終停止位置を制
御することにより行なう。更に、同時装入される原料バ
ッチの直前の原料バッチが、炉壁部にテラスを形成する
ようにムーアブルアーマー2の位置を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ベル式高炉にお
ける装入物分布の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉の操業において、装入物の分布制御
は最も重要な操作因子である。その理由は、装入物分布
により高炉内のガス流分布が支配され、それによってガ
ス−装入物間の熱交換、鉱石の還元及び還元粉化、軟化
溶融帯レベル及び形状、コークスのソリューションロス
反応等が規定されるため、燃料消費量、出銑量、溶銑成
分及び炉況等操業成績に重要な影響を及ぼすからであ
る。現在行われている装入物分布制御は、炉内半径方向
について装入原料の層厚や粒径を調整することにより行
われており、ベル式高炉では、主に補助分配装置(以
下、「ムーバブルアーマー」という)を使用して、炉内
半径方向の層厚分布の調整を行なっている。具体的に
は、ムーバブルアーマーを原料装入前に所定の位置に移
動させ、その位置でムーバブルアーマーを停止させた状
態でベルからの落下原料を当該ムーバブルアーマーに衝
突させ、原料装入の落下位置を目標位置に変更するとい
う方法である。
【0003】一方、最近の高炉操業では、羽口部から微
粉炭を吹き込む操業形態が主流となてきており、微粉炭
の吹込み量は年々増加する傾向にある。このように、微
粉炭を燃料として吹き込むことにより、装入すべきコー
クスの量を低減することができ、溶銑コストの低減を図
ることができる。しかしながら、コークスは鉱石に比べ
て粒径が大きく設計されており、燃料としてだけでな
く、炉内の空間を保つスペーサーとしての役目も持って
いる。従って、コークスの一部代替として微粉炭を吹き
込むと、装入すべきコークス量を減らすことにり、上記
スペーサー機能が低下するので、微粉炭吹込み量を多く
するほど、高炉内の通気性が悪くなる。
【0004】このようにして悪化する炉内通気性を改善
するための方法として主に用いられる方法が、前述した
装入物分布制御方法である。これまでの操業経験や理論
計算から、微粉炭を多量に吹き込む高炉操業(以下、高
微粉炭吹込み高炉操業という)下において、上記原因に
より発生する炉内圧力損失を低減するためには、炉内の
軸心部と炉壁部の高さ方向に、通気性の良い状態を作る
ことが効果的であり、そのような状態を実現する方法と
して、コークス層を形成することが有効であることが判
明した。
【0005】このための従来方法の例を、図8で説明す
る。即ち、先ず軸心部にコークス層8を形成させる方法
としては、ベル式高炉の炉頂部に専用の投入シュート3
を設け、この投入シュート3により高炉軸心部にコーク
ス8を装入して、当該軸心部の通気性を高め、安定した
中心ガス流を得ることにより、高炉下部の不活性状態を
改善し、高炉の安定操業を達成する操業技術が実用化さ
れている。なお、このようなコークスの装入方法を、中
心コークス装入といい、装入されるコークスを中心コー
クスといって、ベル2から装入される装入原料とは区別
されている。
【0006】これに対して、炉壁部にコークス層を形成
させる方法としては、図9に例示するように、ムーバブ
ルアーマー4の設定位置の調整により炉壁部へコークス
7、9を装入する方法が公知の技術として用いられてき
た。
【0007】更に、軸心部及び炉壁部の通気性を同時に
改善する方法として、特開平8−277405号公報に
は、炉体冷却水の給排水温度差が一定の管理値以下にな
った時に、コークスの単独装入と、鉱石及びコークスの
同時装入(混合装入)とを繰り返して行なう。この際、
鉱石及びコークスの同時装入の直前にコークスの単独装
入を、その落下位置が炉壁側から無次元半径0.11以
上の距離になるように装入し、同時装入においては、大
ベル上でコークスを鉱石の下に配置する技術が開示され
ている(以下、「先行技術1」という)。先行技術1に
より、軸心部を流れるガス流速を高位に保った上で、炉
壁側を流れるガス流速をも高位に保つことが可能とな
る。
【0008】しかしながら、先行技術1には、次の問題
がある。図10を参照して説明する。即ち、先行技術1
の方法によると、鉱石6とコークス7との同時装入(同
図、(b))の直前に行なうコークス7の単独装入(同
図、(a))を、ムーバブルアーマー4により炉壁部に
装入してテラス状の装入物9aを形成させ、そのテラス
9aの上に装入される鉱石6及びコークス7の同時装入
では(同図、(b))、コークスがその始めに落下して
くるので、テラス9a上にコークス9を歩留まらせるこ
とを狙っている(同図、(b))。しかしながら、鉱石
とコークスとの同時装入においてムーバブルアーマー4
の位置とテラス9aの形成長さとの関係いかんによって
は、狙った通りにコークス9’がテラス9aの上に歩留
まらずに(同図、(c))、軸心部へ流れ込んでしまう
(同図、(c)の点線矢印)。そのためにムーバブルア
ーマー4の設定位置範囲が狭く制約されたり、また、炉
口半径方向における他の部位の装入原料層厚を変更した
い場合にムーバブルアーマー4の上記設定位置範囲に対
する制約のために、その変更・調整が不可能となったり
する、という問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、鉱石とコークスとの同時装入方法により、炉壁部に
コークス層を形成させる原料装入方法において、上記鉱
石とコークスとの同時装入中におけるムーバブルアーマ
ーの位置を適切に移動させることにより、炉壁部にコー
クスのみを歩留まらせつつ、しかも炉口半径方向におけ
る他の部位の装入原料層厚を調整することができるよう
な、ベル式高炉における原料装入方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果
下記知見を得た。即ち、高炉炉内の原料装入物層の上表
面形状が、炉壁部でテラスを形成している場合、ムーバ
ブルアーマーの位置を炉壁側から炉内側へ移動させなが
ら原料装入を行なった場合、ムーバブルアーマーの、初
期設定位置、移動開始時期、移動速度、及び最終停止位
置を適切に設定することにより、ベルから装入される装
入初期原料については、炉壁側のテラス上に堆積させる
ことができ、しかも、その装入後期原料については、炉
内側の全領域において、炉口半径方向全範囲に対してそ
の層厚を調整することができ、従って当該装入後期原料
の分布形状を任意に制御することができることを知見し
た。
【0011】この発明に係るベル式高炉における原料装
入方法は、上記知見に基づきなされたものであり、その
要旨は次の通りである。
【0012】請求項1に係る発明のベル式高炉における
原料装入方法は、当該原料装入に際し、ベル上にコーク
スを層状に堆積させ、次いで当該層状コークスの上に鉱
石を層状に堆積させる。こうして得られた原料を前記ベ
ルから排出して、炉内にコークスと鉱石との同時装入を
行ない、炉壁側に、同時装入される原料の内コークスを
優先的に堆積させることに特徴を有するものである。
【0013】請求項2に係る発明のベル式高炉における
原料装入方法は、請求項1に係る発明において、前記炉
壁側に、前記同時装入される原料の内コークスを優先的
に堆積させる方法として、前記高炉炉頂部にムーバブル
アーマーを設け、当該ムーバブルアーマーに対して前記
ベルから排出された前記原料を衝突させて、当該原料の
落下軌跡を修正し、しかも当該原料の落下軌跡の修正
を、当該ムーバブルアーマーの初期設定位置、及び当該
ムーバブルアーマーを当該初期設定位置から移動を開始
する時期を制御することにより行なうことに特徴を有す
るものである。
【0014】請求項3に係る発明のベル式高炉における
原料装入方法は、請求項1に係る発明に加えて更に、前
記高炉炉頂部にムーバブルアーマーを設け、当該ムーバ
ブルアーマーに対して前記ベルから排出された前記原料
を衝突させて、当該原料の落下軌跡を修正し、しかも当
該原料の落下軌跡の修正を、当該ムーバブルアーマーの
移動速度及び最終停止位置を制御することを付加するこ
とにより、前記炉壁側に、前記コークスを優先的に堆積
させると共に、前記同時装入される原料の内鉱石の炉内
堆積分布を制御することに特徴を有するものである。
【0015】請求項4に係る発明のベル式高炉における
原料装入方法は、請求項2に係る発明に加えて更に、前
記ムーバブルアーマーの移動速度及び最終停止位置を制
御することを付加することにより、前記炉壁側に、前記
コークスを優先的に堆積させると共に、前記同時装入さ
れる原料の内鉱石の炉内堆積分布を制御することに特徴
を有するものである。
【0016】請求項5に係る発明のベル式高炉における
原料装入方法は、請求項1から請求項4のいずれかに係
る発明に加えて更に、前記同時装入される原料バッチの
直前の原料バッチが、炉壁部にテラスを形成するように
ムーアブルアーマーの位置を制御することを付加するこ
とに特徴を有するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。図1は、本発明方法によるベル式高炉
における原料装入方法の一実施態様を示す概略説明図で
あり、ベル2上にコークス7を下層に鉱石6を上層に配
置し、これらを所謂同時装入して、炉壁部にコークス層
9を形成させ、引き続き目標とする形状の鉱石堆積層1
0を形成させる状況を模式的に説明するものである。以
下、その詳細を説明する。
【0018】図1において、1は高炉のシャフト部鉄
皮、2は装入装置のベル、3は原料の専用投入シュー
ト、4はムーバブルアーマー、5は炉内に既に投入済み
の原料装入物層の上表面、6はベル上の鉱石、7はベル
上のコークス、9はコークス堆積層、そして10は鉱石
堆積層を示す。予め、ベル2から炉内へ装入される原料
の「落下軌跡」、当該原料がムーバブルアーマー4に衝
突した後の原料の「落下軌跡」、及び、それぞれの落下
軌跡に対する炉内装入物上表面への「落下位置」を試験
把握しておき、それぞれの原料の「堆積形状」を把握し
ておく。そして、装入初期にベル2から排出されるコー
クス7を炉壁部に精度よく落下・堆積させることができ
るように、ムーバブルアーマー4の初期設定位置を決定
する。また、ベル2開度の変化に伴う原料排出速度の変
化を調査しておき、同時装入時のコークス7が装入完了
となる時期や、同時装入が完了となる時期、及びその時
のムーバブルアーマー4の位置により形成される分布形
状を、装入原料の物理性状、装入設備条件、装入条件等
の変化に応じて事前に把握しておく。これにより、同時
装入時の鉱石10が目標とする層厚分布を形成するよう
に、ムーバブルアーマー4の初期設定位置、移動開始時
期、最終停止位置、及び移動速度からなるムーバブルア
ーマー4の「操作設定条件」を決定する。
【0019】図1(a)に示すように、先ずベル2上に
コークス7と鉱石6とをそれぞれ層状に配置する。この
際、コークス7を下層に、鉱石6を上層に配置する。ま
た、この時のムーバブルアーマー4の位置は、装入され
る原料が炉壁部へ落下・堆積するように設定しておく。
更に、この時の炉内原料上表面の形状(装入原料の分布
形状)は、炉壁部にテラスを有する「M字型」の分布形
状となっている。この状態で装入を開始すると、図1
(b)に示すように、装入前期は炉壁部へコークス堆積
層9が形成される。更に、装入が進んだ場合、図1
(c)に示すように、ある時期以降、ベル2からは鉱石
6が排出される。この時期に対応して、ムーバブルアー
マー4の初期設定位置から、これを炉内側へ移動させ
る。このムーバブルアーマー4の移動に際しては、上述
した装入原料の「落下軌跡」及びその「落下位置」の把
握から得られた「堆積形状」に基づき予測された情報に
従って決定された移動条件、即ち、その移動開始時期、
移動速度、及び最終停止位置が設定されているので、鉱
石6は炉内側へ落下し(6’)、軸心部へ流れ込む形状
となる。
【0020】図2は、上記コークスと鉱石との同時装入
による原料装入条件において、原料装入開始時を基点と
した、原料装入速度を決めるベル2の開度の経時変化、
ベル2からの原料排出速度及びその累計排出量の経時変
化、並びに、ムーバブルアーマー4の位置(炉壁からの
距離)の経時変化を模式的に示すグラフであり、これら
要因間の相互関係を説明するものである。同図(d)中
ので示す曲線は、原料装入物の分布を、図1に示した
ような形状に制御した場合のムーバブルアーマー4の経
時変化に対応している。
【0021】図3は、図1と同様、本発明方法の他の実
施態様を示す概略説明図であり、コークス7と鉱石6と
の同時装入を完了した時点における、装入原料の分布形
状を示す。図3の実施態様例と図1に示した実施態様例
との相違点は、図3の場合の方が、ムーバブルアーマー
4の「操作設定条件」の内、移動開始から最終停止位置
に至るまでの移動速度を速くし、且つ最終停止位置を炉
のより内側にもってきたことにある。こうすることによ
り、装入原料の分布形状は、図3と図1とを比較すると
明らかなように、炉壁部のコークス堆積層9の形状は変
化させることなく、図3において「M字型」のテラス部
分の上面がより高くしかも上に凸に盛り上がり、その分
だけ中心部が凹んだ形状に変化している。
【0022】図2(d)中ので示す曲線は、原料装入
物の分布を、図3に示したような形状に制御した場合の
ムーバブルアーマー4の経時変化に対応している。この
ように、ムーバブルアーマー4の「操作設定条件」、即
ち、初期設定位置、移動開始時期、最終停止位置、及び
移動速度を適切に設定することにより、炉壁部のコーク
ス堆積層9の形状を変更することなく、鉱石堆積層10
の形状のみを変更することができる。
【0023】図4に、小型模型高炉を用いて、本発明の
原料装入方法(同図(a))及び先行技術1(同図
(b))に記載された原料装入方法により得られた装入
物分布形状を示す。同図から明らかなように、先行技術
1の方法によった場合は、炉壁部のコークス堆積層9の
形状は、そのときのムーバブルアーマーの位置と下層の
テラス長さとで一義的に決まる堆積形状しか形成させる
ことができなかった。これに対して、本発明の方法によ
った場合には、原料装入中にムーバブルアーマーを適切
に移動させることにより、炉壁部のコークス堆積層9の
分布形状を適切な形状のまま変えることなく、鉱石堆積
層10の形状のみを適宜変えること可能である。
【0024】
【実施例】この発明を実施例により更に詳しく説明す
る。炉内容積4500m3のベル式実用高炉において次
の試験を行なった。表1に、通常の高炉操業における原
料装入を、5バッチでベルから装入した場合の代表的な
装入原料の量、及びムーバブルアーマーの設定条件を示
す。この内、本発明の方法による原料装入方法は、第3
バッチにおいて実施した。原料装入試験は第3バッチに
おける本発明方法の試験因子の一つであるムーバブルア
ーマー4の最終停止位置を5水準設けたのに伴い、5回
の原料装入試験を行なった。
【0025】
【表1】
【0026】第1及び第2バッチでは、いずれの原料装
入試験においてもコークスのみをそれぞれ18.5t装
入し、第3バッチにおいて、図1に示した本発明方法で
ある、コークスと鉱石との同時装入による原料装入方法
の一実施態様に準じ、下層にコークス7を10t、上層
に鉱石6を70t配置し、ベル2から排出され落下する
これらの原料を、炉壁側から炉軸心方向にムーバブルア
ーマー4を各種条件で移動させ、これに衝突させた。即
ち、ベル2を開口し、その3秒後にムーバブルアーマー
4を炉軸心の方向に向けて移動を開始した。ムーバブル
アーマー4は移動速度0.1m/秒で移動させ、その最
終位置を変えた試験を行なった。ムーバブルアーマー4
の最終停止位置を5水準定めた。即ち、ムーバブルアー
マー4の最終停止位置は、炉壁から炉軸心方向に600
mm、700mm、800mm、900mm、及び10
00mmの各距離だけ離れた位置の5水準とした。但
し、本発明の5回にわたる原料装入試験のいずれにおい
ても、ムーバブルアーマー4に関する他の設定条件は、
表1に示した通り同一とした。次いで、第4及び第5バ
ッチでは、いずれの原料装入試験においても、鉱石のみ
をそれぞれ70t及び15t装入した。なお、上記試験
において、第1、第2、第4及び第5バッチの原料装入
時におけるムーバブルアーマー4の位置は移動させず一
定であり、その位置は炉壁から炉軸心方向に向かって、
表1に示した距離だけ離れた位置(初期位置)である。
【0027】上記本発明の範囲内の原料装入方法である
実施例に対して、本発明の範囲外の原料装入方法である
比較例として、表2に概要を示す試験を行なった。
【0028】
【表2】
【0029】即ち、表1に示した通常の高炉操業におけ
る原料装入と同じく、5バッチでベルから装入した。但
し、第3バッチにおけるコークスと鉱石との同時装入時
において、原料装入中ムーバブルアーマー4を移動させ
ない、従来の原料装入方法を行なった。なお、ムーバブ
ルアーマー4の設定位置を7水準設けた。従って、比較
例として7回の原料装入試験を行なった。ムーバブルア
ーマー4の設定位置は、炉壁から炉軸心の方向に、40
0mmから1000mmまでの100mmピッチの位置
とした。
【0030】上記実施例及び比較例において、各原料装
入方法を行なった場合の炉内通気性を把握するために、
高炉シャフト上部に設置されている水平ゾンデ11(図
5参照)により、炉内のガス利用率分布を測定した。図
5に、ガス利用率の炉内測定位置を示す。1pは軸心部
側、7pは炉壁部側を示している。
【0031】図6に実施例、図7に比較例の試験で得ら
れたガス利用率の測定結果を示す。ここで、ガス利用率
は、以下の式であらわされる値であり、 ガス利用率(%)=[(ガス中CO2濃度(%))/
{(ガス中CO2濃度(%))+(ガス中CO濃度
(%))}]×100 その測定方法は、水平ゾンデが炉内所定位置にて一定時
間静止している最中に、水平ゾンデ先端部に設置されて
いるガス吸い込み口を介して炉内ガスが炉外へ吸引さ
れ、炉外に設置されているガス分析装置(例えば、ガス
クロマトグラフ)によりその炉内ガスのガス組成が分析
される方法で行なった。ガス利用率が小さいほど、その
部位におけるガス流速が大きいことを意味しており、コ
ークスがその部位により多く存在していることを示すも
のである。但し、図6は、実施例において、ベル2から
の排出原料を、炉壁部側から炉軸心方向へ移動しつつあ
るムーバブルアーマー4に衝突させつつ装入し、ムーバ
ブルアーマー4を停止させた最終位置と、ガス利用率と
の関係を、炉壁部近傍位置である6p及び7pと、炉軸
心近傍位置である1p及び2pとに層別して示すもので
ある。図7は、比較例において、ベル2からの排出原料
を、炉壁から炉軸心方向への所定位置に停止しているム
ーバブルアーマー4に衝突させつつ装入した場合の、ム
ーバブルアーマー4の停止位置と、ガス利用率との関係
を、炉壁部近傍位置である6p及び7pと、炉軸心近傍
位置である1p及び2pとに層別して示すものである。
【0032】図7の比較例の結果より、従来の原料装入
方法によれば、軸心部側及び炉壁部側共にそのガス利用
率は、ムーバブルアーマー4の炉壁からの設定位置が、
400mmから1000mmに大きくなるにつれて、大
きくなることがわかる。これは、軸心部については、ム
ーバブルアーマー4の位置が、炉壁側から炉内側へ変化
するにつれて、炉壁部に堆積していた鉱石が、より軸心
部側へ流れ込むためであり、炉壁部については、炉壁部
のテラス上に堆積していたコークスがある時点からテラ
スを乗り越えて軸心部へ流れ込むようになるためである
と推定される。従って、コークスを炉壁部に歩留まらせ
ようとする場合には、ムーバブルアーマー4の位置を、
コークスがテラスを乗り越えない範囲内に設定しなけれ
ばならないことを示している。
【0033】一方、図6の実施例の結果から、本発明の
方法による原料装入を行なった場合には、炉壁部近傍領
域でのガス利用率は、ムーバブルアーマー4の最終停止
位置を変化させても殆ど変らず、一定値を示す。この値
は、図7の比較例において、ムーバブルアーマー4の設
定位置を炉壁から400mmに保持したときのガス利用
率とほぼ同じである。これは、ムーバブルアーマー4の
初期位置及び移動開始時期を適切に設定したために、同
時装入されるコークスが炉壁部に効率よく堆積したこと
を示している。また、ムーバブルアーマー4の最終停止
位置を炉内部側へ設定することにより、炉軸心部1p、
2pのガス利用率は大きくなっており、本発明の技術に
より、炉壁部のコークス堆積層を変化させることなく、
炉口半径方向の中間部及び軸心部での鉱石層厚に調整で
きることを示している。
【0034】
【発明の効果】上述した通り、この発明の方法によれ
ば、ベル式高炉における鉱石とコークスとの同時装入に
より炉壁部にコークス層を形成させる装入において、ム
ーバブルアーマーの、初期設定位置、当該位置からの移
動開始時期、移動速度、及び最終停止位置を適切に設定
して、当該同時装入中にムーバブルアーマーの位置を、
炉壁側から炉軸心方向へ移動させることにより、炉壁部
にコークスのみを歩留まらせつつ、炉口半径方向での他
の部位の鉱石層厚調整も可能とし、炉壁部近傍領域の通
気性改善を図ることができると同時に、装入物分布制御
の精度向上を図ることができる。このようなベル式高炉
における原料装入方法を提供することができ、工業上有
用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によるベル式高炉における原料装
入方法の一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】本発明の方法によるコークスと鉱石との同時装
入条件を模式的に説明する図であって、ベルの開度、原
料排出速度及びその累計排出量、並びにムーバブルアー
マーの炉壁からの位置の各経時変化を示す。
【図3】本発明の方法によるベル式高炉における原料装
入方法の他の実施態様を示す概略説明図である。
【図4】小型模型高炉を用いて、本発明の原料装入方法
と先行技術1に記載された原料装入方法とにより得られ
た装入物分布形状の比較を説明する図である。
【図5】実施例及び比較例におけるガス利用率の炉内測
定位置を説明する図である。
【図6】実施例で得られたガス利用率の測定結果を示す
グラフである。
【図7】比較例で得られたガス利用率の測定結果を示す
グラフである。
【図8】従来技術によるベル式高炉における軸心部への
コークスの装入方法例を示す概略説明図である。
【図9】従来技術によるベル式高炉における炉壁部にコ
ークス層を形成させる装入方法例を示す概略説明図であ
る。
【図10】従来技術によるベル式高炉における軸心部と
炉壁部とにコークス層を形成させる装入方法例を示す概
略説明図である。
【符号の説明】
1 シャフト部鉄皮 2 ベル 3 専用投入シュート 4 ムーバブルアーマー(補助分配装置) 5 原料下層上表面 6 (ベル装入による)鉱石 7 (ベル装入による)コークス 8 中心コークス 9 (ベル装入による)コークス堆積層 9’ コークス 9a テラス状装入物 10 (ベル装入による)鉱石堆積層 11 水平ゾンデ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベル式高炉における原料装入方法におい
    て、ベル上にコークスを層状に堆積させ、次いで当該層
    状コークスの上に鉱石を層状に堆積させ、こうして得ら
    れた原料を前記ベルから排出して、炉内にコークスと鉱
    石との同時装入を行ない、炉壁側に、同時装入される原
    料の内コークスを優先的に堆積させることを特徴とす
    る、ベル式高炉における原料装入方法。
  2. 【請求項2】 前記炉壁側に、前記同時装入される原料
    の内コークスを優先的に堆積させる方法は、前記高炉炉
    頂部にムーバブルアーマーを設け、当該ムーバブルアー
    マーに対して前記ベルから排出された前記原料を衝突さ
    せて、当該原料の落下軌跡を修正し、しかも当該原料の
    落下軌跡の修正を、当該ムーバブルアーマーの初期設定
    位置、及び当該ムーバブルアーマーを当該初期設定位置
    から移動を開始する時期を制御することにより行なうこ
    とを特徴とする、請求項1記載のベル式高炉における原
    料装入方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の発明に、更に、前記高炉
    炉頂部にムーバブルアーマーを設け、当該ムーバブルア
    ーマーに対して前記ベルから排出された前記原料を衝突
    させて、当該原料の落下軌跡を修正し、しかも当該原料
    の落下軌跡の修正を、当該ムーバブルアーマーの移動速
    度及び最終停止位置を制御することを付加することによ
    り、前記炉壁側に、前記コークスを優先的に堆積させる
    と共に、前記同時装入される原料の内鉱石の炉内堆積分
    布を制御することを特徴とする、ベル式高炉における原
    料装入方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の発明に、更に、前記ムー
    バブルアーマーの移動速度及び最終停止位置を制御する
    ことを付加することにより、前記炉壁側に、前記コーク
    スを優先的に堆積させると共に、前記同時装入される原
    料の内鉱石の炉内堆積分布を制御することを特徴とす
    る、ベル式高炉における原料装入方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の発明に、更に、前記同時装入される原料バッチの直前
    の原料バッチが、炉壁部にテラスを形成するようにムー
    アブルアーマーの位置を制御すること付加する、ベル式
    高炉における原料装入方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100919028B1 (ko) * 2003-03-24 2009-09-28 주식회사 포스코 고로 화입이후 안정적인 초기 풍량확보를 위한 장입물충진방법

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