JP3565172B2 - 高炉用原料の炉内装入方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベル式高炉における原料の炉内装入方法に関し、特に炉内装入原料層内における小塊コークスの偏析改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉操業において、炉内装入物分布の制御は最も重要な技術の一つである。それは、高炉炉内におけるガス流れ分布が、炉内の装入物分布によって支配されて、ガス−装入物間の熱交換、鉱石の還元及び還元粉化、軟化溶融体のレベル及び形状、並びに、コークスソリューションロス反応等が規定されるからである。従って、炉内の装入物分布は、高炉における燃料消費量、出銑量、銑鉄成分あるいは炉況等の操業成績に重要な影響を及ぼす。更に、装入物分布により、炉体への熱負荷が左右され、炉体寿命にも重要な影響を及ぼす。高炉操業における炉内の装入物分布としては、炉内の半径方向及び円周方向、並びに装入物層厚方向の、各原燃料の性状と分布を適切に調整することにより、上述した高炉操業成績の向上や高炉の炉体寿命の延長を図ることができる。
【0003】
従来、高炉への原料装入方法は、鉄原料である鉱石類と、燃料源であるコークスとを交互に装入し、両者を炉内で交互に層状に形成させる。即ち、高炉操業における原料装入は、鉱石類層とコークス層とを交互に装入して1チャージとし、装入チャージを繰り返し継続して行なう。その際、鉱石類装入量とコークス装入量とをそれぞれ2分割して2層ずつにして装入する方法が多くの場合に行なわれている。この場合の装入モードは、下記▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の順番で装入することになる。即ち、▲1▼2分割されたコークスの1バッチ目のコークス(以下、「1C」で表わす)を装入し、▲2▼上記2分割されたコークスの残部で成る2バッチ目のコークス(以下、「2C」で表わす)を装入し、▲3▼2分割された鉱石(鉱石類)の1バッチ目の鉱石(以下、「1O」で表わす)を装入し、次いで▲4▼上記2分割された鉱石の残部で成る2バッチ目の鉱石(以下、「2O」で表わす)を装入する。なお、この装入モードを以下、「1C、2C、1O、2O」と表記する。このような原料装入において、装入物層の厚さ、形状、その他装入物分布特性を適正に制御する。特にコークスには、炉内装入物層内のガス通路としての重要な機能を持たせている。
【0004】
ここで、通常、コークス炉で製造されたコークスは、破砕機で破砕され、高炉で使用し易い粒度分布である、例えば35〜100mm程度に調製された塊コークスが高炉に装入されてコークス層を形成し、上記装入物層内のガス通路の役割を果たす。ところが、上記粒度構成の塊コークスを調製する過程で発生する粒度35mmアンダー(−35mm)の多量の小塊コークスは、装入物層の通気性確保の効果が小さいので、その内の粉粒コークスは粉鉱石の焼結等に用いられる。しかし、残部の小塊コークスは、高炉装入に使用する工夫がなされている。例えば装入モード1C、2C、1O、2Oで高炉に原料を装入する場合、小塊コークスを効果的に燃焼させ、鉱石の還元反応を効率的に行なわせるために、その小塊コークスを鉱石バッチに混合して装入する方法が行なわれている。この方法は、ベル式高炉あるいはベルレス式高炉を問わずになされている。
【0005】
ベル式高炉における原料の装入装置としては、通常、炉頂部にベル式装入装置が設けられ、炉口部に装入物分配装置としてのムーバブルアーマーが設けられた、ベル・ムーバブルアーマー装入装置が装備されている。図4は、ベル・ムーバブルアーマー装入装置による高炉原料の装入方法を模式的に説明する図である。同図において、1は炉壁、2は大ベルホッパーであり、3は大ベル、4は大ベルカップ、5はムーバブルアーマーであり、6はムーバブルアーマーの衝突板、7はその衝突板を前後進移動させるための油圧シリンダーであって、油圧装置(図示省略)により駆動し、8はウェアリングプレートであって装入原料の衝突に対する摩耗防止板、そして、9は炉内半径中心である。大ベルホッパー2内部には原料10が堆積準備されており、大ベル3を下降させて大ベルホッパー2の排出口を開口させると、大ベルホッパー2から原料10が排出される。排出された原料10は落下してムーバブルアーマー5の衝突板6に衝突し、同図に示したような落下軌跡を描いて炉内半径方向の中心側へ向かって装入され、炉内の既形成原料下層11の上面に堆積する。ムーバブルアーマー5は高炉円周方向に、例えば15〜20箇所にわたって設けられており、炉内円周方向の原料装入物分布は主にこれにより決まる。一方、ムーバブルアーマー5のアーム12の炉内半径中心方向への前進ストロークあるいはこれからの後退ストロークにより原料衝突板6の位置を決め、これにより炉内半径方向に対する原料10の装入物分布を制御する。しかしながら、通常のベル・ムーバブルアーマー装入装置を用いた原料装入においては、炉壁付近から半径方向中間部までの落下位置までしか制御することができない。即ち、炉内半径方向の中心部ないしその周辺近傍へ原料を直接落下堆積させて装入することはできない。従って、中心部への原料装入は、中間部を目がけて原料を装入し、その一部が中心部へ流れ込むようにして行なうのが普通である。
【0006】
ベル・ムーバブルアーマー式高炉においては、上述したように原料の装入が行なわれるので、上述した小塊コークスが予め混合された鉱石バッチの装入物は、大ベルホッパー2から排出されて落下し、炉内に既に堆積して形成されている原料下層11の上面に装入された後、その斜面に沿って降下する間に、鉱石と小塊コークスとが両者の比重差等により分離する。そして、比重の小さい小塊コークスが鉱石バッチの堆積層上表面近傍に偏在すると共に、小塊コークスが炉半径方向の中心部により多く流れ込んで偏在するに至る。このために、装入前に鉱石中に均一に混合されていた小塊コークス(以下、「混合小塊コークス」という)による鉱石の還元反応の効率化が妨げられる。
【0007】
特開昭59−211509号公報には、ベル・ムーバブルアーマー式高炉において、次の装入方法が提案されている。即ち、塊コークス層と鉱石層とを交互に層状に高炉に装入する操業において、塊コークス層を2バッチで装入し、また鉱石層部分を2つ以上のバッチに分割して、2つ以上の層に形成させる(ここでは、分割数を2とし、装入モードを「1C、2C、1O、2O」とする)。分割された初期側装入分の鉱石層(1Oの層)に対しては小塊コークスを混合し、既形成されている下層のコークス層(2Cの層)の上に装入し、一方、分割された最終装入分の鉱石層(2Oの層)には小塊コークスを混合せずに装入するというものである。こうすることにより、下層のコークス層(1C、2Cの層)を上昇通過してくる通気力により小塊コークスを浮き上がらせて、鉱石層(1Oの層)の上表面側に小塊コークスの層(「小塊コークス(1O)」と表記する)を新たに分離・形成させる。次いで2O装入をする。2Oには小塊コークスが混合されていないので、形成される装入層は、下から順に、1C、2C、1O、小塊コークス(1O)、2O、以降、繰り返しで1C、2C‥‥の層となる。こうして、小塊コークスを塊コークス層である1Cの層へ侵入させないようにすることにより、塊コークス層(1C、2Cの層)の通気性を良好に保持する。上記装入方法により、鉱石の炉内還元効率を向上させようとするものである(以下、「先行技術1」という)。但し、小塊コークスの粒度上限を、高炉下部に至るまでに燃え尽き、粒度下限を炉頂ダストとして排出されない条件とする。
【0008】
特公平4−42443号公報には、先行技術1において得ようとする装入物分布である下から順に1C、2C、1O、小塊コークス(1O)、2Oの層において、小塊コークス(1O)に相当する層を得る方法として、装入モード「1C、2C、1O、2O」の装入バッチ2O分を大ベルホッパーへ装入する際に、大ベルホッパー内の下部に小塊コークスを堆積させ、その上に鉱石を堆積させ、こうして形成させた下部の小塊コークスと上部の鉱石とを同時に高炉内に装入することにより、上記小塊コークス(1O)相当層を得る方法が記載されている(以下、「先行技術2」という)。
【0009】
しかしながら、この先行技術2においても、1O、小塊コークス(1O)層の形成後に2Oバッチを装入するので、この2Oバッチの装入により下層の小塊コークス(1O)層が炉半径方向の中心側に流されて、2Oバッチとの混合による混合層が、炉内中心部側に形成されて、小塊コークスの均一混合性が低下する。また、先行技術2の方法で小塊コークスを装入した場合であっても、先に落下装入される小塊コークスは、後で引き続き落下装入されてくる鉱石により下層傾斜面を炉内中心部側へ押し流されて、小塊コークスは偏在するに至る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近の高炉における高微粉炭吹込み操業への移行につれて、炉頂から装入される鉱石量とコークス量との比(O/C比)が増加し、特に微粉炭吹込み比が180kg/t−溶銑(以下、同じ)程度以上になると、炉内通気、通液性が劣化する傾向を示す。このような技術動向下において、混合小塊コークスが鉱石と分離して、鉱石との混合状態が悪化すると、混合小塊コークスに期待される本来の作用である鉱石の還元反応の促進が妨害される。
【0011】
この発明の課題は、従来の既設ベル・ムーバブルアーマー装入装置を大きく改造することなく、鉱石に混合された小塊コークスが、大ベルホッパーから炉内に装入され、堆積層を形成したときに、小塊コークスが鉱石から分離して炉内半径方向中心部への偏在が抑制された装入物分布が得られるような、高炉原料の装入方法を創案することにある。こうして、この発明の目的は、微粉炭吹込み比が180kg/t−溶銑程度以上というような高微粉炭吹き込みにおける高炉操業において、小塊コークスによる鉱石還元反応を十分に促進することにより、高炉の燃料比を低減し、溶銑の製造コスト低減に寄与する、安定した高生産性を備えた高炉操業を行ない得る、高炉用原料の炉内装入方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意試験研究を行なった。
【0013】
内容積4600m3級大型高炉の1/10装入物分布試験装置を用いて、大ベルの開度を小さくする試験、及びムーバブルアーマーの炉壁側からのアームストローク設定を変化させる試験を行なった。例えば、大ベルの開度を通常操業時相当の70mmに対して40mmまで絞り、且つ、アームストローク設定に関して、鉱石衝突板の位置を通常操業時相当の80mm位置固定に対して、装入1バッチの装入開始時には炉壁側から1200mm位置に設定し、当該1バッチの装入終了時には炉壁から600mm位置まで後退移動させ、この間一定の排出速度(装入速度)で装入した。このように1バッチの原料排出速度を従来よりも著しく遅くし、即ち炉内への原料装入速度を著しく遅くし、且つ、原料を炉内半径方向に関して炉内中心側から炉壁側に向かって広い範囲内に落下装入した場合の、混合小塊コークスの装入物層内におけるバラツキの指数は、標準偏差で従来法においては0.104であったものが0.035と著しく改善された。
【0014】
本発明者等は更に試験研究を重ね、下記知見を得た。即ち、混合小塊コークスについての前述した装入層内の偏在を改善するためには、鉱石中に予め均一に混合された小塊コークスを含む鉱石バッチを、大ベルホッパーから排出する操作において、大ベルホッパーからの当該鉱石バッチの排出初速度を適切に遅くすること、及び当該鉱石バッチの装入速度を適切に遅くすること(従って、装入速度を適切に遅くすること)、並びに、ムーバブルアーマーの操作において、当該鉱石バッチの炉内既成下層面上への落下位置に関して、炉内半径方向中心側から炉壁側の方向に向けて移動させつつ当該鉱石バッチを装入すること、更にその落下位置の開始点はできるだけ炉内中心に近い方がよく、その落下位置の終了点はできるだけ炉壁に近い方がよいことがわかった。
【0015】
この発明は、上記知見等に基づきなされたものであり、その要旨は次の通りである。請求項1記載の発明に係る高炉用原料の炉内装入方法は、ベル式高炉において炉内へ鉱石類原料のバッチとコークスのバッチとからなる原料を、それぞれ層状に装入して高炉操業を行なうに際し、当該鉱石類原料中に予め小塊コークスを混合しておく高炉用原料の炉内装入方法において、大ベルの開度を当該大ベル全開の30%以下、当該大ベルの開口速度を当該大ベルの最大開口速度の30%以下で当該大ベルを開口させて、大ベルホッパーから当該各原料バッチを排出すると共に、炉内半径方向中心側から炉壁側の方向に向かって、当該原料バッチ内原料の全量が炉内下層原料層上表面へ落下装入されるように、ムーバブルアーマーを操作することに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2記載の発明に係る高炉用原料の炉内装入方法は、請求項1記載の発明において、前記大ベルの開度を当該大ベル全開の30%以下、当該大ベルの開口速度を当該大ベルの最大開口速度の30%以下で当該大ベルを開口させると共に、当該各原料バッチ内の原料が炉内半径方向中心側から炉壁側の方向に向かって落下装入されるように、ムーバブルアーマーを操作するバッチを、上記小塊コークスが上記鉱石類原料中に予め混合されているバッチに限定することに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3記載の発明に係る高炉用原料の炉内装入方法は、請求項1又は2記載の発明において、上記ムーバブルアーマーの操作を、上記各原料バッチ装入の開始時点においては、当該ムーバブルアーマー先端の原料衝突板が炉内半径方向の中心側前進限に位置するように設定し、且つ、上記各原料バッチ装入の終了時点においては、当該原料衝突板が炉壁側後退限に位置するように設定することに特徴を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、内容積4200m3級又は4600m3級のベル式大型高炉を用いた場合の例で説明する。
【0019】
装入モード1C、2C、1O、2O、3Oの5バッチで装入する。1O、2O、3O中に予め小塊コークスを混合しておく。但し、この小塊コークス(「混合小塊コークス」)の使用量(鉱石に対する小塊コークスの使用割合、又は塊コークスに対する小塊コークスの使用割合)の大小に応じて、1O、2O、3Oの全バッチに小塊コークスを混合してもよいし、1O、2O、3Oの3O、又は3O及び2Oにはこれを混合しなくてもよい。また、ここで使用する小塊コークスの粒度範囲について、上限粒度については、当該高炉への装入用として使用する塊コークスの下限粒度以下であって、小塊コークスが高炉内滴下帯上部に到達するまでにソリューション・ロス反応を受けて消費される最大限粒度以下とするのが望ましい。また下限粒度については、焼結鉱の製造に使用する粉粒コークスの上限粒度以上であって、高炉内通気性を阻害しない最大限粒度以下であることが必要である。その結果、例えば、+7〜−30mmあるいは+5〜−25mm等、随時きめることが望ましい。また、小塊コークス粒度の上下限粒度の決定は、コークス需給事情や、総合的コストミニマムの視点等、一義的に決める必要はない。
【0020】
この発明における最も特徴的な技術の第一は、大ベルホッパー内に装入堆積している、小塊コークスが混合されている鉱石の装入バッチを、当該大ベルホッパーから排出し、炉内に装入したときに、下層原料層上表面に到達し、その傾斜面に沿って堆積するまでの過程において、混合小塊コークスが鉱石と分離しないようにすることにある。そのために、大ベルの開度を小さく制限すること、及び大ベルをゆっくり開ける(開口速度を小さくする)ことにより、大ベルホッパーからの原料(鉱石バッチ)の排出初速度を、設備的並びに高炉操業の安定性や生産性等操業上支障のない範囲内で、できるだけ低下させる。こうすることにより、原料装入時の炉内下層原料に対する落下衝撃エネルギーを小さくし、従って、当該装入原料自身がうける衝撃力を抑制し、混合小塊コークスの分離を抑えることができる。上記大ベルホッパーの操作において、実操業を考慮した場合の大ベルには、大ベルの開度は全開の30%以下、大ベルの開口速度は最大開口速度の30%以下で行なうのが、操業上妥当である。但し、大ベルの開度及び開口速度についてのこの上限制約は、操業中高炉の設備特性、溶銑製造の工程計画及び炉修計画等により、適宜変更するのが望ましい。
【0021】
前述したように、ベル・ムーバブルアーマー式高炉における原料装入においては、炉半径方向の中心部に直接、落下装入することは設備上不可能である。従って、原料を炉内に装入後、その原料が下層原料層の傾斜面を滑降して、その一部が炉内中心部に堆積装入される。しかしながら、この装入原料の下層原料層傾斜面の滑降過程において、混合小塊コークスはその比重が鉱石よりも小さいので、滑降距離が長いほど、鉱石から分離して上表面に偏在し易くなる。また同時に、この上部に偏在した小塊コークスは炉内中心部側に集積してその偏在が大きくなる。
【0022】
この発明における最も特徴的な技術の第2は、上述したような滑降現象を起こさせないようにするために、即ち、を炉内に落下装入した後に、下層原料層傾斜面上をできるだけ滑降させないようにするために、その鉱石バッチの炉内落下位置を、できるだけ炉内中心部に近い位置からはじめて、炉壁までの長い距離(炉半径方向の長い部分)にわたって分布させることにある。そのために、ムーバブルアーマー先端の原料衝突板の位置、又は原料衝突板の位置とその傾斜角とにより、原料落下位置を調整する。
【0023】
図1〜図3に、混合小塊コークスを含む鉱石バッチ装入時におけるムーバブルアーマー5のアーム12の設定位置及びその後退移動を説明する模式図を示す。図1に示すように、当該鉱石バッチの装入開始時には、アーム12を炉内中心部に向けて前進させ、望ましくは前進限まで伸ばした位置に設定し、当該鉱石バッチの装入中期には、図2に示すように、炉内半径方向の中間位置まで徐々に後退移動させ、そして、当該鉱石バッチの装入終了時には、アーム12を炉壁1の近傍まで後退させ、望ましくは図3に示すように、後退限まで後退させた位置に設定する。そして、その間を、炉内中心部側から炉壁側までアーム12を徐々に後退させつつ、原料衝突板6で原料の落下装入方向を調整する。こうして、アーム12が炉内中心部側から炉壁1の近傍に至るまでの間に、その1つの鉱石バッチの全量を装入する。なお、このとき、原料衝突板6の傾斜角を調整することにより、落下装入方向の調整を一層幅広くとることができる。上記において、アーム12の移動方向を炉内中心部側から炉壁1側に後退させるのは、鉱石バッチの初期装入部分の装入堆積層の存在により、当該鉱石バッチの後続する装入部分が、既形成下層原料層の傾斜面を滑降するのを緩和することができるからである。
【0024】
【実施例】
本発明に係る高炉用原料の炉内装入方法を、実施例により更に説明する。
【0025】
原料装入を装入モード1C、2C、1O、2O、3Oの5バッチで行なう内容積4200m3級のベル式大型高炉において次の試験を行なった。1C及び2Cはコークス粒度+30〜−50mmの塊コークスからなり、いずれのバッチもそれぞれ、大ベルの開度60%(設備上限の60%、以下同様)、開口速度60%(設備上限の60%、以下同様)で大ベルホッパーから排出し、ムーバブルアーマーのアームを定位置に設定して、炉内中間部に近い炉壁部へ落下装入した。なお、ムーバブルアーマーは16基装備されており、全基数を対象とした。次いで、コークス粒度+7〜−30mmの小塊コークスを所定割合混合した鉱石からなる1O、2O及び3Oを、大ベル開度20%、開口速度20%で大ベルホッパーから排出した。このとき、いずれのバッチもそれぞれ、排出開始時にはアームを炉内中心部側の前進限まで伸ばしておき、排出時間の経過につれてアームを炉壁側後退限まで移動させて、最後は落下装入される原料がムーバブルアーマーの原料衝突板に当てることなく、直接炉壁部の下層原料層表面上へ落下装入されるように調整した。以降、上記装入モードを継続して高炉操業を行なった(以上、実施例)。なお、本高炉にはムーバブルアーマーは16基装備されており、全基数を対象として上記操作をした。
【0026】
なお、比較例として本発明の範囲外の条件である、従来実施している原料装入方法による高炉操業、即ち1C、2C、1O、2O、3Oの5バッチのすべてについて、大ベルの開度、開口速度を従来水準とし(開度60%、開口速度60%)、ムーバブルアーマーを定位置に設定して、炉内中間部に近い炉壁部へ落下装入した(以上、比較例1)。その他の比較例として、1C及び2Cを比較例1と同じ方法で装入し、1O、2O及び3Oについて、大ベルの開度及び開口速度は比較例1と同じく従来水準としたが、ムーバブルアーマーの操作方法は実施例1と同じにして、各バッチの原料が炉内中心部側から炉壁部までの広範囲にわたって落下装入されるように調整した(以上、比較例2)。
【0027】
表1に、実施例、比較例1及び2における各バッチの装入重量及び鉱石バッチ中の小塊コークス混合割合、及び上記装入条件に対応する大ベルホッパーからの平均排出速度(平均装入速度)、並びに、高炉送風量及び酸素富化率等、高炉操業条件を示す。
【0028】
【表1】
上記試験における高炉操業成績、及び小塊コークスの偏析改善を直接反映すると考えられる操業成績及び特性評価値を示す。
【0029】
【表2】
表1及び表2より、下記事項がわかる。
【0030】
実施例の原料装入方法によれば、比較例1及び2よりも生産率が優位に維持された上で、高炉燃料比は比較例1よりも著しく低下した((553−534)/553=3.4%だけ減少した)。燃料比の内訳を見ると、微粉炭吹込み比はかなり高水準の189kg/t−溶銑に維持しつつ、コークス比が10kg/tだけ低下した。なお、小塊コークスの使用量(使用可能実績)を比較例1よりも約20%増やすことができた((15.1−12.6)/12.6=20%)。実施例において、このように操業成績が向上したのは、鉱石バッチ1O、2O、3O中に混合された小塊コークスが、各バッチの装入原料層から分離して炉内中心部に流れ込み、偏在するのが抑制された結果、小塊コークスによる鉱石の還元反応効率が改善されたことによると考えられる。実施例におけるこのような小塊コークスによる鉱石の還元反応効率の改善は、実施例におけるガス利用率ηCOやシャフト効率が比較例よりも向上していることからも推定される。上述した実施例における小塊コークスによる鉱石の還元反応効率の改善は、微粉炭吹込み比が約190kg/t−溶銑という高水準操業条件下において達成されたものであり、炉内における通気抵抗指数Kが改善された炉内状態でなされたものであることがわかる。
【0031】
なお、上述した改善効果は、比較例2における原料装入条件によっても、比較例1に比べれば認められる。しかしながら、その改善効果及び操業の安定性において実施例には及ばないものであった。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、鉱石に小塊コークスを混合したバッチを高炉炉内へベル・ムーバブルアーマー式装入装置により装入するときに、大ベルホッパーからの装入原料排出速度を著しく遅くし、且つ、アームを炉内中心部側から炉壁側に向かって後退移動させながら装入操作を行なうようにしたので、混合小塊コークスが鉱石層から分離して炉内中心部へ流れ込み、偏在するのを抑制することができる。そのため、鉱石の還元効率を向上させることが可能となる。以上の結果、本発明は、微粉炭吹込み比が180kg/t−溶銑程度以上というような高微粉炭吹込み比の高炉操業にあっても、小塊コークスによる鉱石還元反応を十分に促進することにより、高炉の燃料比等を低減することができ、溶銑の製造コスト低減に寄与し、安定した高生産性を備えた高炉操業が可能となる高炉用原料の炉内装入方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高炉用原料の炉内装入方法におけける、混合小塊コークスを含む鉱石バッチ装入時におけるムーバブルアーマーのアーム設定位置及びその後退移動を説明する模式図であって、装入バッチ初期の状態を示す図である。
【図2】図1における装入バッチの中期状態を示す図である。
【図3】図1における装入バッチの末期状態を示す図である。
【図4】ベル・ムーバブルアーマー装入装置による高炉原料の装入方法を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
1 炉壁
2 大ベルホッパー
3 大ベル
4 大ベルカップ
5 ムーバブルアーマー
6 衝突板
7 油圧シリンダー
8 摩耗防止板
9 炉内半径中心
10 原料
11 原料下層
12 アーム
Claims (3)
- ベル式高炉において炉内へ鉱石類原料のバッチとコークスのバッチとからなる原料を、それぞれ層状に装入して高炉操業を行なうに際し、当該鉱石類原料中に予め小塊コークスを混合しておく高炉用原料の炉内装入方法において、大ベルの開度を当該大ベル全開の30%以下、当該大ベルの開口速度を当該大ベルの最大開口速度の30%以下で当該大ベルを開口させて、大ベルホッパーから当該各原料バッチを排出すると共に、炉内半径方向中心側から炉壁側の方向に向かって、当該原料バッチ内原料の全量が炉内下層原料層上表面へ落下装入されるように、ムーバブルアーマーを操作することを特徴とする、高炉用原料の炉内装入方法。
- 前記大ベルの開度を当該大ベル全開の30%以下、当該大ベルの開口速度を当該大ベルの最大開口速度の30%以下で当該大ベルを開口させると共に、当該各原料バッチ内の原料が炉内半径方向中心側から炉壁側の方向に向かって落下装入されるように、ムーバブルアーマーを操作するバッチは、前記小塊コークスが前記鉱石類原料中に予め混合されているバッチに限定することを特徴とする、請求項1記載の高炉用原料の炉内装入方法。
- 前記ムーバブルアーマーの操作は、前記各原料バッチ装入の開始時点においては、当該ムーバブルアーマー先端の原料衝突板が炉内半径方向の中心側前進限に位置するように設定し、且つ、前記各原料バッチ装入の終了時点においては、当該原料衝突板が炉壁側後退限に位置するように設定することを特徴とする、請求項1又は2記載の高炉用原料の炉内装入方法。
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---|---|---|---|
JP2001054137A JP3565172B2 (ja) | 2001-02-28 | 2001-02-28 | 高炉用原料の炉内装入方法 |
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