JP3750148B2 - 高炉の原料装入方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高炉における原料装入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉は軸対称形をなしており、操業の安定には炉内における還元・溶解反応を軸対称にする必要がある。
近年作られた高炉では、上記の条件を満たす装入装置としてベルレス式装入装置が採用され、例えば実公昭59−5725号公報では炉中心軸上に排出口を有するホッパを2個垂直に配置した装入装置を開示している。また特公昭61−30993号公報ではカットゲートを設けて鉛直シュート内の流れを絞って炉中心軸上に原料が落下するようにしている。また、特開平2−166209号公報のように旋回シュート内に補助シュートを取付け、旋回シュート上の原料落下位置を一定に保つようにした装入装置も知られている。
【0003】
これらのいずれの技術においても、その流量調整ゲートは図4(a)、(b)に示すように、スライドゲート51,52が形成する開口53の中心が高炉中心軸(X,Y軸54,55の交点のZ方向軸)に一致するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高炉の炉内の原料消費は円周方向偏差がないこと、すなわち完全軸対称であることが望ましく、そのため原料の装入も円周方向偏差をなくす必要があるとの考えから、先に示したようなベルレス装入装置が開発された。
しかし現実の高炉において原料が円周方向で均一に消費されることはまれであり、原料の降下速度には円周方向に偏差が生じている。落下速度の円周方向偏差の要因はいくつか挙げられるが、
a.炉壁に生成される付着物
b.炉壁損耗
c.送風量の不均一
等が主な原因であると考えられている。
【0005】
高炉の原料装入は円周方向のある位置の原料表面高さが一定値まで下がった時点で行われる。このとき、図5に示すように炉内容物9の炉内降下が不均一であると、旋回シュートから落下する原料7,8の落下位置の半径方向の距離101、102は炉内容物9の降下速度の速い方向では炉壁側になり、降下速度の遅い方向では炉中心側になる。
【0006】
このため、装入原料の軸対称性が益々不良となり炉内の還元・溶解反応の円周方向偏差はさらに助長され、最終的には高炉の安定操業を害するという重大な問題が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の技術手段は、旋回シュートを備えたベルレス高炉の原料装入方法において、旋回シュート直上に原料を貯留し、高炉内の内容物の炉内降下に対応して貯留した原料の旋回シュートへの供給位置を高炉中心に対して偏心させることを特徴とする高炉の原料装入方法である。この場合、前記旋回シュートへの供給位置は、炉内容物の炉内降下が均等になる位置を追跡し、追跡したデータを記憶させ、このデータにより位置決めするとともに、前記記憶データを学習により修正することとすれば好適である。
【0008】
上記本発明方法を好適に実施するための本発明の高炉の原料装入装置は、旋回シュートを備えたベルレス高炉の炉頂装入装置において、旋回シュート上方に原料一時貯留室を設け、この貯留室底に任意方向、任意位置に偏心可能な排出口を設け、この排出口の位置を炉内観測に基づいて変更制御する制御装置を設けたことを特徴とする高炉の原料装入装置である。前記排出口はX、Y方向にそれぞれ独立に移動可能な4枚のカットゲートにより周囲を形成した開口とすればよく、前記X方向又はY方向の何れか一方の一対のカットゲートが円弧に沿って摺動する円弧状板カットゲートで他方の一対のカットゲートが円弧状板カットゲートに内接して円弧軸方向に摺動するカットゲートとすると好ましい。
【0009】
【作用】
原料の落下を炉中心部から偏心させる機構の一例を図3に示す。原料貯留室2の下端に円弧板状の一対のカットゲート31,32を設け、円弧状に摺動方向35,36方向に移動可能となっている。この一対のカットゲート31,32の内側の円弧に沿って一対の平板状カットゲート33,34がそれぞれシュートを形成するように設けられており、それぞれ円弧の軸方向37,38方向に摺動可能である。これらのカットゲート31,32,33,34がそれぞれ独立に移動することによって、これらのカットゲート31,32,33,34の中央に形成される開口39は任意の方向に任意の量だけ中心が移動し、また開口の大きさ形状を自由に変更することができる。すなわち本発明の流量調整ゲートは図3のように東西南北のゲートを独立に制御することにより、原料流を炉中心から偏心させることと流量(開口面積)を調整することが同時に可能である。このゲートを用いて図1(a)、図1(b)に示すように原料落下位置を炉中心軸に合致させたり偏心させたりする。すなわち、旋回シュートが右向きのときは原料は旋回シュート先端側に落ち、旋回シュートが左向きのときは根本側に落下するようにする。結果として、シュートを滑る距離5,6が長い左方向の方が原料のシュート先端での速度が速くなる。
【0010】
図2は本発明方法の実施例を示すフローチャートである。原料装入前の高炉内の内容物の炉内降下を観測し、次の原料の供給位置を決定する。このとき、シミュレーションデータ、過去の実績データの記憶から決定し、この決定に従ってゲート位置を変更する。そして原料を装入し、装入後の炉内堆積物を観測し、均等降下が得られているか否かを観測する。もし不均等であればデータ修正信号を出して記憶データを修正する。高炉はいつまでも同じ状態にある訳ではないので、本発明では上記データ修正による学習によって試行錯誤的な学習制御を行うことにより、常に実情に合致した制御を行うことができる。
【0011】
高炉の1/10の冷間模型による装入実験を行った。図6はその説明図であってホッパ1から原料貯留室2、旋回シュート4を経て原料8を流下させ、その下方に配設したサンプリングボックス91内に堆積させた。模型に使用した炉中心部の流量調整ゲートはX方向とY方向の2組が2段重ねになっており、原料落下位置を垂直シュートの開口の範囲内で自由に移動させることができ、高炉中心から偏心させることができるようにしてある。この実験装置の垂直シュートの下部開口は直径120mmである。
【0012】
図7に示すように原料の落下位置93、94それぞれ垂直シュート2の中心及び中心から50mm偏った位置に変化させ、サンプリングボックス91で落下位置を計測した。垂直シュートの中心から旋回シュートに供給したとき、及び垂直シュートの中心から50mm偏位させて旋回シュートに供給したとき、旋回シュートの傾斜角がそれぞれ39°、43°、52°の場合の各方位での落下位置を図8及び図9に示す。垂直シュート内から旋回シュートへの供給位置の変更により炉内での落下位置に強く影響を与えることが分かる。
【0013】
実験ではコークスを均一に充填した後に原料を不均一に抜き出して降下させ、その後鉱石を垂直シュートの内のいろいろな位置に落下させて炉内に装入した。図10、図11はその状況を示すもので高炉内溶物9の左右の高さの差は100mm、旋回シュートの傾動角θ(図7参照)は40°、旋回速度は32rpm(実機における8rpmに相当する)とした。鉱石装入前後の堆積形状を計測し、その計測値の差が鉱石層厚であるとした。
【0014】
垂直シュート内の高炉中心軸位置に原料を落下させた場合は、高炉内容物の降下速度が大きい側での装入物表面位置が低く、原料が炉壁側に落下するため、図10(a)に示すように鉱石層厚分布は炉断面の左右で大きな差が生じた。図10(b)はこれを示すもので高炉内容物の左右の高さの差が100mmのとき、装入物の頂面のプロフィール103は左右の高さの差104が40mmであった。一方、図11に示すように、高炉炉内容物の降下速度の速い右側の落下位置が炉中心側になるように、垂直シュートから旋回シュートへの原料落下位置を調整すると鉱石層厚の堆積プロフィール103は図11(b)に示すように、左右の差104が17mmと大幅に改善されたことが観察された。最適な垂直シュート内の落下位置は傾動角や旋回速度により変化するが、本実験では高炉内容物の左右の偏差が最も大きい方向から中心角で30°旋回上流側にずらした位置に垂直シュート下の開口を位置させたときに最適であった。この場合、鉱石層厚の偏差は上記のように半分以下に縮小した。
【0015】
【実施例】
図1に本発明の実施例の説明図を示した。炉頂ホッパ1から原料を排出し、原料貯留室2に一時滞留させる。原料貯留室2の下部に開口位置、大きさ調整可能な排出ゲート3を設け、高炉内内容物の炉内降下を観測し、炉内降下が均一になるように排出ゲートの開口位置及び開口面積を調整する。この調整シミュレーション及び過去の実績データを蓄積し学習制御を行う。図2はそのフローチャートを示している。
【0016】
実施例として、内容責4500Nm3 のベルレス式炉頂装入装置を持つ高炉における改善効果を示す。垂直シュート下端に設置したカットゲートの開口中心位置を制御し、模型実験と同じように高炉内容物の降下速度の速い方位の原料落下位置が炉中心側になるように原料を垂直シュートから偏流させて旋回シュートに供給した。
【0017】
図8に溶銑Si濃度偏差、高炉上部の円周方向の均一性を表す8個のスキンフロー温度計8点の偏差、溶銑温度偏差、溶銑温度、溶銑中Si濃度、ΔP/V(風量当りの圧力損失)、減風頻度の推移を示した。装入物の円周方向バランスが均一になったことにより、溶銑中のSi濃度の偏差、スキンフロー温度計偏差、溶銑温度偏差がいずれも小さくなり、溶銑温度を低下させることができ、溶銑中Si濃を小さくすることができた。これにより、下流工程における精錬コストを大幅に低減することができ、大きなメリットが得られた。また、炉況が安定し減風頻度も低下し、溶銑コスト低減に結びついた。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、溶銑温度を低下させることができ、溶銑中Si濃度を小さくすることができ、炉況が安定し減風頻度も低下し、溶銑コストが低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の実施例の説明図である。
【図2】実施例のフローチャートである。
【図3】実施例の原料流量調整ゲートの説明図である。
【図4】従来の原料流量調整ゲート例を示す平面図である。
【図5】炉内降下速度偏差と原料落下位置の関係を示す説明図である。
【図6】冷間模型実験の斜視図である。
【図7】旋回シュートの(a)側面図、(b)平面図である。
【図8】落下位置を示すグラフである。
【図9】落下位置を示すグラフである。
【図10】炉内降下速度偏差と原料落下位置の関係を示す説明図である。
【図11】実施例の説明図である。
【図12】実施例の効果を示すチャートである。
【符号の説明】
1 ホッパ 2 原料貯留室
3 排出口ゲート 4 旋回シュート
5,6 距離 7,8 原料流れ
9 炉内容物 10 炉壁
31,32,33,34 カットゲ−ト
35,36 摺動方向 39 開口
51,52 ゲート 53 開口
54,55 軸 91 サンプリングボックス
93 落下位置 94 落下位置
10,102 半径方向距離 103 堆積プロフィール
104 堆積高さ
【産業上の利用分野】
本発明は、高炉における原料装入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉は軸対称形をなしており、操業の安定には炉内における還元・溶解反応を軸対称にする必要がある。
近年作られた高炉では、上記の条件を満たす装入装置としてベルレス式装入装置が採用され、例えば実公昭59−5725号公報では炉中心軸上に排出口を有するホッパを2個垂直に配置した装入装置を開示している。また特公昭61−30993号公報ではカットゲートを設けて鉛直シュート内の流れを絞って炉中心軸上に原料が落下するようにしている。また、特開平2−166209号公報のように旋回シュート内に補助シュートを取付け、旋回シュート上の原料落下位置を一定に保つようにした装入装置も知られている。
【0003】
これらのいずれの技術においても、その流量調整ゲートは図4(a)、(b)に示すように、スライドゲート51,52が形成する開口53の中心が高炉中心軸(X,Y軸54,55の交点のZ方向軸)に一致するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高炉の炉内の原料消費は円周方向偏差がないこと、すなわち完全軸対称であることが望ましく、そのため原料の装入も円周方向偏差をなくす必要があるとの考えから、先に示したようなベルレス装入装置が開発された。
しかし現実の高炉において原料が円周方向で均一に消費されることはまれであり、原料の降下速度には円周方向に偏差が生じている。落下速度の円周方向偏差の要因はいくつか挙げられるが、
a.炉壁に生成される付着物
b.炉壁損耗
c.送風量の不均一
等が主な原因であると考えられている。
【0005】
高炉の原料装入は円周方向のある位置の原料表面高さが一定値まで下がった時点で行われる。このとき、図5に示すように炉内容物9の炉内降下が不均一であると、旋回シュートから落下する原料7,8の落下位置の半径方向の距離101、102は炉内容物9の降下速度の速い方向では炉壁側になり、降下速度の遅い方向では炉中心側になる。
【0006】
このため、装入原料の軸対称性が益々不良となり炉内の還元・溶解反応の円周方向偏差はさらに助長され、最終的には高炉の安定操業を害するという重大な問題が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の技術手段は、旋回シュートを備えたベルレス高炉の原料装入方法において、旋回シュート直上に原料を貯留し、高炉内の内容物の炉内降下に対応して貯留した原料の旋回シュートへの供給位置を高炉中心に対して偏心させることを特徴とする高炉の原料装入方法である。この場合、前記旋回シュートへの供給位置は、炉内容物の炉内降下が均等になる位置を追跡し、追跡したデータを記憶させ、このデータにより位置決めするとともに、前記記憶データを学習により修正することとすれば好適である。
【0008】
上記本発明方法を好適に実施するための本発明の高炉の原料装入装置は、旋回シュートを備えたベルレス高炉の炉頂装入装置において、旋回シュート上方に原料一時貯留室を設け、この貯留室底に任意方向、任意位置に偏心可能な排出口を設け、この排出口の位置を炉内観測に基づいて変更制御する制御装置を設けたことを特徴とする高炉の原料装入装置である。前記排出口はX、Y方向にそれぞれ独立に移動可能な4枚のカットゲートにより周囲を形成した開口とすればよく、前記X方向又はY方向の何れか一方の一対のカットゲートが円弧に沿って摺動する円弧状板カットゲートで他方の一対のカットゲートが円弧状板カットゲートに内接して円弧軸方向に摺動するカットゲートとすると好ましい。
【0009】
【作用】
原料の落下を炉中心部から偏心させる機構の一例を図3に示す。原料貯留室2の下端に円弧板状の一対のカットゲート31,32を設け、円弧状に摺動方向35,36方向に移動可能となっている。この一対のカットゲート31,32の内側の円弧に沿って一対の平板状カットゲート33,34がそれぞれシュートを形成するように設けられており、それぞれ円弧の軸方向37,38方向に摺動可能である。これらのカットゲート31,32,33,34がそれぞれ独立に移動することによって、これらのカットゲート31,32,33,34の中央に形成される開口39は任意の方向に任意の量だけ中心が移動し、また開口の大きさ形状を自由に変更することができる。すなわち本発明の流量調整ゲートは図3のように東西南北のゲートを独立に制御することにより、原料流を炉中心から偏心させることと流量(開口面積)を調整することが同時に可能である。このゲートを用いて図1(a)、図1(b)に示すように原料落下位置を炉中心軸に合致させたり偏心させたりする。すなわち、旋回シュートが右向きのときは原料は旋回シュート先端側に落ち、旋回シュートが左向きのときは根本側に落下するようにする。結果として、シュートを滑る距離5,6が長い左方向の方が原料のシュート先端での速度が速くなる。
【0010】
図2は本発明方法の実施例を示すフローチャートである。原料装入前の高炉内の内容物の炉内降下を観測し、次の原料の供給位置を決定する。このとき、シミュレーションデータ、過去の実績データの記憶から決定し、この決定に従ってゲート位置を変更する。そして原料を装入し、装入後の炉内堆積物を観測し、均等降下が得られているか否かを観測する。もし不均等であればデータ修正信号を出して記憶データを修正する。高炉はいつまでも同じ状態にある訳ではないので、本発明では上記データ修正による学習によって試行錯誤的な学習制御を行うことにより、常に実情に合致した制御を行うことができる。
【0011】
高炉の1/10の冷間模型による装入実験を行った。図6はその説明図であってホッパ1から原料貯留室2、旋回シュート4を経て原料8を流下させ、その下方に配設したサンプリングボックス91内に堆積させた。模型に使用した炉中心部の流量調整ゲートはX方向とY方向の2組が2段重ねになっており、原料落下位置を垂直シュートの開口の範囲内で自由に移動させることができ、高炉中心から偏心させることができるようにしてある。この実験装置の垂直シュートの下部開口は直径120mmである。
【0012】
図7に示すように原料の落下位置93、94それぞれ垂直シュート2の中心及び中心から50mm偏った位置に変化させ、サンプリングボックス91で落下位置を計測した。垂直シュートの中心から旋回シュートに供給したとき、及び垂直シュートの中心から50mm偏位させて旋回シュートに供給したとき、旋回シュートの傾斜角がそれぞれ39°、43°、52°の場合の各方位での落下位置を図8及び図9に示す。垂直シュート内から旋回シュートへの供給位置の変更により炉内での落下位置に強く影響を与えることが分かる。
【0013】
実験ではコークスを均一に充填した後に原料を不均一に抜き出して降下させ、その後鉱石を垂直シュートの内のいろいろな位置に落下させて炉内に装入した。図10、図11はその状況を示すもので高炉内溶物9の左右の高さの差は100mm、旋回シュートの傾動角θ(図7参照)は40°、旋回速度は32rpm(実機における8rpmに相当する)とした。鉱石装入前後の堆積形状を計測し、その計測値の差が鉱石層厚であるとした。
【0014】
垂直シュート内の高炉中心軸位置に原料を落下させた場合は、高炉内容物の降下速度が大きい側での装入物表面位置が低く、原料が炉壁側に落下するため、図10(a)に示すように鉱石層厚分布は炉断面の左右で大きな差が生じた。図10(b)はこれを示すもので高炉内容物の左右の高さの差が100mmのとき、装入物の頂面のプロフィール103は左右の高さの差104が40mmであった。一方、図11に示すように、高炉炉内容物の降下速度の速い右側の落下位置が炉中心側になるように、垂直シュートから旋回シュートへの原料落下位置を調整すると鉱石層厚の堆積プロフィール103は図11(b)に示すように、左右の差104が17mmと大幅に改善されたことが観察された。最適な垂直シュート内の落下位置は傾動角や旋回速度により変化するが、本実験では高炉内容物の左右の偏差が最も大きい方向から中心角で30°旋回上流側にずらした位置に垂直シュート下の開口を位置させたときに最適であった。この場合、鉱石層厚の偏差は上記のように半分以下に縮小した。
【0015】
【実施例】
図1に本発明の実施例の説明図を示した。炉頂ホッパ1から原料を排出し、原料貯留室2に一時滞留させる。原料貯留室2の下部に開口位置、大きさ調整可能な排出ゲート3を設け、高炉内内容物の炉内降下を観測し、炉内降下が均一になるように排出ゲートの開口位置及び開口面積を調整する。この調整シミュレーション及び過去の実績データを蓄積し学習制御を行う。図2はそのフローチャートを示している。
【0016】
実施例として、内容責4500Nm3 のベルレス式炉頂装入装置を持つ高炉における改善効果を示す。垂直シュート下端に設置したカットゲートの開口中心位置を制御し、模型実験と同じように高炉内容物の降下速度の速い方位の原料落下位置が炉中心側になるように原料を垂直シュートから偏流させて旋回シュートに供給した。
【0017】
図8に溶銑Si濃度偏差、高炉上部の円周方向の均一性を表す8個のスキンフロー温度計8点の偏差、溶銑温度偏差、溶銑温度、溶銑中Si濃度、ΔP/V(風量当りの圧力損失)、減風頻度の推移を示した。装入物の円周方向バランスが均一になったことにより、溶銑中のSi濃度の偏差、スキンフロー温度計偏差、溶銑温度偏差がいずれも小さくなり、溶銑温度を低下させることができ、溶銑中Si濃を小さくすることができた。これにより、下流工程における精錬コストを大幅に低減することができ、大きなメリットが得られた。また、炉況が安定し減風頻度も低下し、溶銑コスト低減に結びついた。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、溶銑温度を低下させることができ、溶銑中Si濃度を小さくすることができ、炉況が安定し減風頻度も低下し、溶銑コストが低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の実施例の説明図である。
【図2】実施例のフローチャートである。
【図3】実施例の原料流量調整ゲートの説明図である。
【図4】従来の原料流量調整ゲート例を示す平面図である。
【図5】炉内降下速度偏差と原料落下位置の関係を示す説明図である。
【図6】冷間模型実験の斜視図である。
【図7】旋回シュートの(a)側面図、(b)平面図である。
【図8】落下位置を示すグラフである。
【図9】落下位置を示すグラフである。
【図10】炉内降下速度偏差と原料落下位置の関係を示す説明図である。
【図11】実施例の説明図である。
【図12】実施例の効果を示すチャートである。
【符号の説明】
1 ホッパ 2 原料貯留室
3 排出口ゲート 4 旋回シュート
5,6 距離 7,8 原料流れ
9 炉内容物 10 炉壁
31,32,33,34 カットゲ−ト
35,36 摺動方向 39 開口
51,52 ゲート 53 開口
54,55 軸 91 サンプリングボックス
93 落下位置 94 落下位置
10,102 半径方向距離 103 堆積プロフィール
104 堆積高さ
Claims (5)
- 旋回シュートを備えたベルレス高炉の原料装入方法において、旋回シュート直上に原料を貯留し、高炉内の内容物の炉内降下に対応して該貯留した原料の旋回シュートへの供給位置を高炉中心に対して偏心させることを特徴とする高炉の原料装入方法。
- 前記旋回シュートへの供給位置は、炉内容物の炉内降下が均等になる位置を追跡し、追跡したデータを記憶させ、該データにより位置決めするとともに、該記憶データを学習により修正することを特徴とする請求項1記載の高炉の原料装入方法。
- 旋回シュートを備えたベルレス高炉の炉頂装入装置において、旋回シュート上方に原料一時貯留室を設け、該貯留室底に任意方向、任意位置に偏心可能な排出口を設け、該排出口の位置を炉内観測に基づいて変更制御する制御装置を設けたことを特徴とする高炉の原料装入装置。
- 前記排出口はX方向に独立に移動可能な一対のカットゲートと、Y方向に独立に移動可能な一対のカットゲートとの4枚のカットゲートにより周囲を形成した開口であることを特徴とする請求項3記載の高炉の原料装入装置。
- 前記X方向又はY方向の何れか一方の一対のカットゲートが円弧に沿って摺動する円弧状板カットゲートで、他方の一対のカットゲートが該円弧板状カットゲートに内接して円弧軸方向に摺動するカットゲートであることを特徴とする請求項4記載の高炉の原料装入装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04710495A JP3750148B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 高炉の原料装入方法およびその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04710495A JP3750148B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 高炉の原料装入方法およびその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08246011A JPH08246011A (ja) | 1996-09-24 |
JP3750148B2 true JP3750148B2 (ja) | 2006-03-01 |
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ID=12765878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04710495A Expired - Fee Related JP3750148B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 高炉の原料装入方法およびその装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7154101B2 (ja) * | 2018-10-19 | 2022-10-17 | 株式会社Ihiポールワース | 炉頂装置 |
-
1995
- 1995-03-07 JP JP04710495A patent/JP3750148B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08246011A (ja) | 1996-09-24 |
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