JP2001164046A - 写真感光材料用射出成形品 - Google Patents

写真感光材料用射出成形品

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JP2001164046A
JP2001164046A JP35038799A JP35038799A JP2001164046A JP 2001164046 A JP2001164046 A JP 2001164046A JP 35038799 A JP35038799 A JP 35038799A JP 35038799 A JP35038799 A JP 35038799A JP 2001164046 A JP2001164046 A JP 2001164046A
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photographic
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dye
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JP35038799A
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Mutsuo Akao
睦男 赤尾
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒色染顔料を含有させた黒色ポリスチレ
ン系樹脂組成物からなり、写真性、帯電防止性および射
出成形性が優れ、かつ、寸法精度、物理強度、摺動性、
遮光性等の写真感光材料用射出成形品に必須の各種特性
も優れている写真感光材料用射出成形品を提供する。 【解決方法】 ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量
部に対して、黒色染顔料を0.1〜10質量部、エチレ
ン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のケン化物
のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキサイ
ドおよびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの
共重合体の少なくとも1種以上を1〜40質量部、有機
スルホン酸金属塩を0.1〜10質量部および滑剤を0.
01〜10質量部含有させた黒色ポリスチレン系樹脂組
成物で成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真フィルムパト
ローネ、写真フィルム用スプール、レンズ付フィルムユ
ニット等の写真感光材料用射出成形品に関し、さらに詳
しくは、黒色染顔料を含有し、写真性、射出成形性、帯
電防止性、遮光性、外観、リサイクル適性、焼却適性等
の優れた写真感光材料用射出成形品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】写真フィルムパトローネ、写真フィルム
用スプール、感光性帯材容器、レンズ付きフィルムユニ
ット、インスタントフィルムユニット等に用いられる写
真感光材料用射出成形品としては種種のものが提案され
ている。特開平1−187547号公報には、帯状に裁
断され、ロール状に巻かれた感光性帯材、例えば、マイ
クロフィルム、コンピューターアウトプット用マイクロ
フィルム、電算写植用フィルム等、明室で露光装置に組
み込む形態の感光性帯材容器(1kg以上の重量製品の
もの)が提案されている。
【0003】特開平2−64533号公報には光密性カ
ートリッジを装填室に装填して装填蓋を閉じることによ
って、光密性カートリッジの開閉蓋を開け、また装填蓋
に設けたロック手段の係止解除操作を行うことによって
開閉蓋を光密に閉じる開閉操作手段を設けるとともに、
フィルム出入り口の形成に連動して光密性カートリッジ
内のフィルムを外部へ引き出す手段とを設けた光密性カ
ートリッジを使用するカメラが提案されている。
【0004】特開平6−67348号公報には、パトロ
ーネ本体を構成する樹脂成形部品を超音波溶着適性に優
れた樹脂材料で作り、パトローネ本体と写真フィルムと
が直接接触しない状態を維持したままで樹脂成形部品を
互いに超音波溶着して組み立てられた写真フィルムパト
ローネが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
1−187547号公報で提案されている感光性帯材容
器は、落下強度や遮光性および寸法精度確保のためニト
リル基を含有するABS樹脂組成物で形成されることが
多く、ニトリル基を含有するABS樹脂組成物で形成さ
れると、シアン化水素ガス等の写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼす有害ガスの発生により写真性が悪化する
ものであり、特に、透湿度が10g/m2・24時間以
下の防湿性包装材料で密封包装された包装体ではさらに
悪化するものであった。
【0006】特開平2−64533号公報で提案された
光密性カートリッジを使用するカメラは、長期間、かつ
世界中で使用されるので、耐摩耗性、耐寒性、耐熱性、
落下強度および寸法精度を確保できるように、ニトリル
基を含有するABS樹脂組成物で形成されており、この
ABS樹脂組成物を用いると上述したようにシアン化水
素ガス等により写真性が悪化するものであり、特に、化
学増感および/または色素増感されたハロゲン化銀を含
有する写真感光材料が密封包装された包装体では、写真
性がさらに悪化することが判明した。シアン化水素ガス
により写真性が最も悪化する写真感光材料は、金増感さ
れたハロゲン化銀を含有するものであることも最近判明
した。また、3ヶ月以上写真フィルム入パトローネをカ
メラ内に装填したままにすると、写真性がさらに悪化す
ることが判明した。これは、上記ABS樹脂組成物中の
シアン化水素ガスの他に、建材中のホルムアルデヒドガ
スや化石燃料を燃焼させた時に発生する硫黄酸化物や窒
素酸化物が写真感光材料の写真性を悪化させるからであ
った。
【0007】特開平6−67348号公報で提案された
写真フィルムパトローネは、シアン化合物含有量が10
ppm/カーボン重量以下のファーネスカーボンブラッ
クを0.01〜10重量%含む樹脂組成物で形成された
場合でも、写真性が悪化することがあった。
【0008】また、高光沢な外観であるゴム含有ポリス
チレン系樹脂が使用されることがあるが、このゴム含有
ポリスチレン系樹脂は、他の熱可塑性樹脂と同様に静電
気が発生しやすく、写真感光材料との摩擦により写真感
光材料の乳剤面にスタチックマークを発生させたり、射
出成形品の表面に塵が付着して外観を損なったり、塵が
写真感光材料の乳剤面に転移して斑点状の現像阻害故障
を発生させたりするという問題があった。
【0009】さらに、ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、
ABS樹脂に比較して、射出成形品の光沢および外観が
劣るとともに、剛性と耐衝撃強度のバランスも劣ってい
た。そこで、高価であり、写真性に悪影響を及ぼすニト
リル基を有するが、各種特性が優れているABS樹脂と
同等の各種特性を有し、かつ写真性が良好で安価なゴム
含有ポリスチレン樹脂が写真感光材料の射出成形品用途
に長い間要望されてきた。
【0010】また、写真感光材料用射出成形品として
は、完全遮光性を確保することが必須であるため、黒色
染顔料を含有することが必須であるが、黒色染顔料を含
有させた樹脂組成物は溶融粘度が大きく、樹脂組成物の
流動性が低下するものであった。その結果、ショートシ
ョット故障やウェルドラインやヒケマークが発生しやす
くなり、カメラ適性や遮光性や物理強度および寸法精度
確保が困難になったり、外観が悪化し商品価値を低下さ
せる問題があった。
【0011】本発明は、以上の問題点を解決し、黒色染
顔料を含有させた黒色ポリスチレン系樹脂組成物からな
り、写真性、帯電防止性および射出成形性が優れ、か
つ、寸法精度、物理強度、摺動性、遮光性等の写真感光
材料用射出成形品に必須の各種特性も優れている写真感
光材料用射出成形品を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による写真感光材
料用射出成形品は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂100
質量部に対して、黒色染顔料を0.1〜10質量部、エ
チレン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のケン
化物のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキ
サイドおよびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイ
ドの共重合体の少なくとも1種以上を1〜40質量部、
有機スルホン酸金属塩を0.1〜10質量部および滑剤
を0.01〜10質量部含有させた黒色ポリスチレン系
樹脂組成物で成形されたことを特徴として構成されてい
る。
【0013】本発明の写真感光材料用射出成形品におい
ては、ゴム含有ポリスチレン系樹脂が、写真性に悪影響
を与える物質を発生させることなく、上品な外観を呈す
るとともに十分な物理強度を保持しており、黒色染顔料
が遮光性を確保するとともに、帯電防止性を付与してい
る。エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体
のケン化物のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレ
ンオキサイドおよびエチレンオキサイドとプロピレンオ
キサイドの共重合体の少なくとも1種以上が、帯電防止
性を付与するとともに、ゴム含有ポリスチレン系樹脂の
熱溶融流動性も向上させている。また、有機スルホン酸
金属塩が、黒色染顔料の分散性を良好にし、遮光性、外
観を向上させている。さらに、樹脂組成物中のハロゲン
化合物等を中和して不活性化し、写真感光材料の写真性
に悪影響を及ぼすのを防止している。さらにまた成形機
の防錆作用もあり、写真性に悪影響を及ぼす鉄やステン
レス等の金属の発錆を防止している。滑剤が、樹脂の流
動性を向上させ、成形性を良好にし、成形サイクルを短
縮させ、成形故障を減少させるとともに、射出成形品の
滑性を向上させている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による写真感光材料用射出
成形品を成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物にはゴ
ム含有ポリスチレン系樹脂が含有されており、このゴム
含有ポリスチレン系樹脂は、ゴムとスチレンとのグラフ
ト重合体、ゴムとポリスチレン系樹脂とが単に混練され
た状態の混合体、ゴムとスチレンとのグラフト重合体と
ポリスチレン系樹脂との混合体の3つの態様がある。
【0015】ゴム含有ポリスチレン系樹脂には、ゴムが
1〜40質量%、好ましくは1.5〜35質量%、より
好ましくは2〜30質量%、最も好ましくは2.5〜2
5質量%含有されている。ゴムの含有量が1質量%未満
であると、耐摩耗性が劣り、物理強度が小さく、特に、
0℃以下の条件下で使用される機会の多い写真フィルム
用スプール、写真フィルム用パトローネ(例えば、AP
Sフィルム用パトローネ)、インスタントフィルムユニ
ット、カメラ本体、写真フィルム用カートリッジ、写真
フィルム用マガジン、レンズ付き写真フィルムユニット
においては、落下した時の強度不足、耐摩耗性不足の点
で実用化困難である。また、含有量が40質量%を超え
ると、写真感光材料(写真フィルム)をパトローネに入
れた状態で3ヵ月以上の間室内で放置すると(例えば、
カメラに写真フィルム入パトローネを装填したままの状
態で)、カブリが0.03以上増加したり、部分的に感
度が20%以上上昇したり、写真プリントに濃度ムラや
色ムラが発生し実用化困難である。さらに、曲げ弾性率
が小さくなって変形しやすくなり、カメラ適性が失われ
たり遮光性不良になる。
【0016】ゴムとしては、エチレン・プロピレン系共
重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元
共重合体ゴム、ポリイソプレンゴム、イソプレン共重合
体ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−イソプレン
共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−スチ
レン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体ゴム等であり、ポリブタジエンゴムとしてはシス含
有量の高いハイシスポリブタジエンゴム(好ましくはシ
ス1,3または1,4結合が70モル%以上、好ましく
は90モル%以上)とシス含有量の低いローシスポリブ
タジエンゴムがともに用いられる。
【0017】これらのゴムの中で、ポリブタジエンゴ
ム、ブタジエン−スチレンランダム共重合体ゴムおよび
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムから選ばれ
た1種または2種以上の混合物を用いることが好まし
い。これらのゴムを用いることにより、写真感光材料の
写真性に悪影響を及ぼすことが少なく、物理強度を大幅
に向上させることができる。さらに、射出成形品の表面
反射光沢度を小さくすることができる。
【0018】ゴムの平均粒子径は、0.1〜10μmが
好ましく、より好ましくは0.2〜7μm、特に好まし
くは0.5〜5μm、最も好ましくは0.7〜3.5μ
mである。平均粒子径が0.1μm未満であると、表面
反射光沢度が大きくなり、高価になり、衝撃強度が低下
し、擦り傷が多くなり本発明の写真感光材料用射出成形
品として実用化困難である。また、平均粒子径が10μ
mを超えると、表面の凹凸が大きく、引張強度等が低下
し実用化困難である。ゴムの平均粒子径は、重合時の攪
拌条件、ゴムの溶液粘度等により調節できる。
【0019】ゴムの平均粒子径は、ミクロトームにより
超薄片を切り取り透過型電子顕微鏡写真で撮影し、写真
中のゴム600個の粒子径を測定して次式により算出し
たものである。 平均粒子径=ΣnD2/ΣnD {式中、nは粒子径、Dはゴムの粒子の個数である}
【0020】以上のようなゴムの中で、平均粒子径が
0.1〜10μmのポリブタジエンゴム、ブタジエン−
スチレンランダム共重合体ゴムおよびアクリロニトリル
−ブタジエン共重合体ゴムから選ばれた1種または2種
以上のゴムを1〜40質量%含有させることが好まし
い。
【0021】ゴム含有ポリスチレン系樹脂におけるポリ
スチレン系樹脂としては、スチレンおよびo−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメ
チルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン等の核アルキル置換スチレンと2,4,6−トリ
ブロモスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン等の核
ハロゲン化スチレンとα−メチルスチレン、α−メチル
−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン等
が用いられる。その他、ポリスチレン系モノマーと共重
合可能なメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、
アクリロニトリル、無水マレイン酸も含む。これらの中
で、スチレンとα−メチルスチレンが好ましい。
【0022】ゴム含有ポリスチレン系樹脂が、ゴムとス
チレンとの重合体(ほとんどがグラフト重合)である場
合、その重合は下記に記載した重合方法を用いることが
できる。
【0023】[ラジカル重合法] (1) バッチ塊状重合方法 利点…簡単に製造できる。 欠点…大規模になると熱の分散困難。分子量分布が広
く、成形性が優れる。 (2) 連続塊状重合方法 利点…製品の品質が均一である。製造コストが低い。 欠点…高粘度反応液の輸送。反応塔内でのチャンネリン
グ現像。 (3) 連続溶液重合方法 利点…重合熱制御がしやすい。 欠点…脱溶媒が必要。攪拌方法が難しい。 (4) 懸濁重合方法 利点…重合熱除去可能。粒状ポリマーが得られる。残存
モノマーが少ない。 欠点…水や安定剤による汚れが発生。脱揮発分が必要。
乾燥、ペレタイジングが必要。 (5) 乳化重合方法 利点…反応速度大。重合熱除去可能。連続重合も可能。
ラテックス状ポリマーが得られる。 欠点…水や乳化剤による汚れが発生。乾燥やペレタイジ
ングが必要。
【0024】[イオン重合方法] (1) イオン重合方法 利点…反応速度大。重合熱制御可能。 欠点…溶剤と触媒粉末の除去が必要。冷凍が必要。
【0025】これらの重合方法の中で、経済性の観点で
は、ゴムの存在下でスチレンモノマーをラジカル反応で
重合させる塊状重合法および塊状−懸濁二段重合方法が
好ましく、特に連続塊状重合法が、安価で写真感光材料
に悪影響を及ぼす物質の混入が少ないので好ましい。ま
た、残存モノマーが少なく耐熱性が優れ、かつ、小回り
がきく点では、懸濁重合(バッチ式)が好ましい。本発
明では、写真性、経済性、品質安定性の点から連続塊状
重合法で重合したものが特に好ましい。
【0026】最も好ましいゴム含有ポリスチレン系樹脂
は、少なくとも有機リチウム化合物とポリビニル芳香族
化合物(ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベン
ゼン等であり、特にジビニルベンゼンが好ましい)とを
含む反応生成物からなる有機リチウム系触媒でブタジエ
ンゴムを重合したゴム含有ポリポリスチレン系樹脂であ
る。
【0027】ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、メルトフ
ローレート(ASTM D 1238のG条件)が2〜4
0g/10分が好ましく、2.5〜35g/10分がよ
り好ましく、3〜30g/10分が特に好ましく、3.
5〜25g/10分が最も好ましい。メルトフローレー
トが2g/10分未満であると、樹脂の流動性が悪く、
ショートショットやウェルドラインの発生が多く、成形
サイクルが長くなり実用化困難である。また、40g/
10分を超えると、物理強度が小さく、バリの発生が多
く、熱劣化しやすく実用化困難である。
【0028】ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、曲げ弾性
率が(JIS K 7203)が176,400N/cm
2(18,000kg/cm2)以上であり、186,2
00N/cm2(19,000kg/cm2)以上が好ま
しく、196,000N/cm2(20,000kg/c
2)以上がより好ましく、205,800N/cm2(2
1,000kg/cm2)以上が最も好ましい。曲げ弾性
率が176,400N/cm2(18,000kg/c
2)未満であると、十分な剛性や物理強度を確保する
ことができないので、外力が加わると変形しやすく寸法
精度や完全遮光性を確保できなくなる。特に、カメラに
装填使用される写真フィルム用スプール、樹脂製の写真
フィルム用パトローネ、写真フィルム用カートリッジ
(K16フィルム,K35フィルム等)等においては、
変形するとカメラに装填困難になり撮影ができなくな
る。
【0029】ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、アイゾッ
ド衝撃強度(JIS K 6871)が19.6N・cm/
cm(2.0kg・cm/cm)以上、24.5N・cm
/cm(2.5kg・cm/cm)以上が好ましく、29.
4N・cm/cm(3.0kg・cm/cm)がより好ま
しく、34.3N・cm/cm(3.5kg・cm/cm)
以上が特に好ましく、39.2N・cm/cm(4kg・
cm/cm)が最も好ましい。アイゾッド衝撃強度が1
9.6N・cm/cm(2.0kg・cm/cm)未満で
は、物理強度が小さく、特に、0℃以下の条件下で使用
される機会の多い写真フィルム用スプール、樹脂製の写
真フィルム用パトローネ、インスタントフィルムユニッ
ト、カメラ本体、レンズ付き写真フィルムユニット、シ
ート写真フィルム用ホルダー、写真フィルム用カートリ
ッジ等においては、落下した時の強度不足の点で実用化
困難である。
【0030】ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、ゲルパー
ミエイションクロマトグラフィー(以後、GPCと表
示)で測定した質量平均分子量が1〜150万が好まし
く、5〜100万がより好ましく、10〜80万が特に
好ましく、15〜50万が最も好ましい。質量平均分子
量が1万未満であると、物理強度が小さく耐熱性に欠
け、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす熱劣化物質
の発生が多くなり実用化困難である。また、150万を
超えると、樹脂の流動性が悪く成形故障の発生が多くな
り、高価でもあり実用化困難である。
【0031】ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、GPCで
測定した質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比
Mw/Mnが1.1〜7が適当で、1.2〜5が好まし
く、1.3〜4.5がより好ましく、1.4〜4.0が特に
好ましく、1.5〜3.5が最も好ましい。Mw/Mnが
1.1未満であると、樹脂の流動性が悪く成形故障の発
生が多く、重合製造適性が悪く、高価で実用化困難であ
る。また、7を超えると、寸法精度が悪化するととも
に、物理強度が低下し実用化困難になる恐れがある。
【0032】ゴム含有ポリスチレン系樹脂は、写真感光
材料用射出成形品中に、20質量%以上含有されること
が好ましく、より好ましくは40質量%以上、特に好ま
しくは60質量%以上、最も好ましくは80質量%以上
である。ゴム含有ポリスチレン系樹脂の含有量が20%
未満であると、寸法精度、物理強度、射出成形性、耐傷
性、摺動性、遮光性等を十分に発揮することができな
い。
【0033】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、黒色染顔
料が含有されている。このような黒色染顔料を含有させ
ることにより、写真感光材料用射出成形品に遮光性を付
与でき、また、帯電防止性および物理強度を大きくする
ことができる。
【0034】黒色染顔料としては、黒色無機顔料、黒色
有機顔料および黒色染料があり、これらの1種または2
種以上を含有する。また、黒色以外の着色無機顔料、着
色有機顔料、染料の1種または2種以上を併用してもよ
い。
【0035】黒色無機顔料としては、酸化物系の鉄黒、
炭素系のカーボンブラック、松煙、ボーンブラック、グ
ラファイト、炭素繊維、炭素中空球等がある。
【0036】なお、併用できる無機顔料(黒色無機顔料
も含まれている)の分類を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】以上のような黒色無機顔料の中で、写真性
に悪影響を及ぼすことが少なく、かえって写真性に悪影
響を及ぼす物質を吸着無害化し、遮光能力、耐熱性(1
50℃以上でも熱に安定)、耐光性が優れ、かつ、入手
が容易であり、安価で容器・包装リサイクル法もクリア
できるので、カーボンブラックが好ましい。
【0039】カーボンブラックは、炭化水素を高温で炭
素と水素に分解することによって作られる。使用する原
料、熱分解の方法により、製造法が分類されており、大
きく分けて熱分解法と不完全燃焼法がある。代表的な製
造法を以下に示す。 熱分解法 :アセチレン法、サーマル法 不完全燃焼法:ファーネス法、コンタクト法(チャンネ
ル法、ローラー法)ランプブラック法、油煙、松煙
【0040】アセチレン法は耐火レンで作られた反応炉
内に原料としてアセチレンを導入、発熱分解を連続的に
起こさせてカーボンブラックを作る。アセチレンを原料
として作るので製品の純度が高く、収率も高い。
【0041】コンタクト法は天然ガスの火炎を金属に接
触、または衝突させて金属表面にカーボンブラックを生
成させる方法の総称で、チャンネル鋼を用いる場合をチ
ャンネル法、金属ローラーを用いる場合をローラー法と
いう。歴史的には非常に古く、顔料用カーボンブラック
として長年にわたり幅広く使われてきたが、公害、経済
性の問題から日本、米国などの主要生産国では生産を停
止しており、現在では一部の国で少量生産されているに
すぎない。不純物が多く、写真性に悪影響を及ぼすので
本発明用としては好ましくない。
【0042】ファーネス法は耐火レンがで内張りされた
反応炉で、燃料と空気の燃焼で得られる高温熱ガス中に
原料重質炭化水素油(クレオソート油、エチレンボトム
油等)を連続的に供給、熱分解して作る方法である。反
応終了後、水をスプレーして温度を下げた後、サイクロ
ン、バッグフィルターなどによりカーボンブラックを廃
ガスから分離、捕集し、粉末状のカーボンブラックを得
る。さらに、取り扱いをよくするために用途に応じて造
粒(乾式法と湿式法がある)し、ペレット状のカーボン
ブラックを得る。その他、ファーネスカーボンブラック
には二次処理された特殊ファーネスカーボンブラックも
ある。ファーネスカーボンブラックは、大量生産が可能
で、しかも、種々の特性を持つカーボンブラックを幅広
く、経済的に生産することができるため、安価で写真性
も良好なので着色顔料用(樹脂の着色カラー用カーボン
ブラック)として好ましい。
【0043】カーボンブラックの原料による分類例をあ
げるとガスブラック、ファーネスブラック、チャンネル
ブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラッ
ク、ケッチェンカーボンブラック、サーマルブラック、
ランプブラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジ
タブルブラック等がある。
【0044】好ましいカーボンブラックの市販品の代表
例としては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#2
0(B),#30(B),#33(B),#40(B),#41
(B),#44(B),#45(B),#50,#55,#1
00,#600,#950,#1000,#2200
(B),#2400(B),MA8,MA11,MA100
等が挙げられる。
【0045】海外の製品としては、例えばキャボット社
のBlack Pearls 2,46,70,71,7
4,80,81,607等、Regal 300,330,4
00,660,991,SRF−S等、Vulcan 3,
6等、Sterling 10,SO,V,S,FT−F
F,MT−FF等が挙げられる。
【0046】さらにアシュランドケミカル社のUnit
ed R,BB,15,102,3001,3004,30
06,3007,3008,3009,3011,3012,
XC−3016,XC−3017,3020等が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
【0047】これら各種のカーボンブラック中で、天然
ガスまたはガス状ないし蒸気状の炭化水素のガス炎を不
完全燃焼させながらチャンネル鋼の背面に接触させ、カ
ーボンブラックを析出させることにより製造するチャン
ネルブラックは、着色力は大きいが写真性が悪く、製造
中大気を汚染するので写真性および環境問題の点で本発
明では好ましくない。
【0048】本発明で好ましいカーボンブラックは、ア
セチレンブラックと、天然ガス、炭化水素油またはこれ
らの混合物を原料として1200℃〜1700℃の炉内
で連続的に部分燃焼(不完全燃焼)させるか、または加
熱分解することにより製造するファーネスブラックであ
る。
【0049】本発明による写真感光材料用射出成形品に
適用する場合は、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼ
さないようにするために、クレオソート油およびエチレ
ンボトム油の1以上を原料油として、1200℃〜17
00℃の炉内で連続的に部分燃焼させるか、または加熱
分解することにより製造したファーネスカーボンブラッ
クが好ましい。このようなファーネスカーボンブラック
を使用することにより、硫黄成分が少ないので、写真感
光材料に悪影響を与えることをより小さくすることがで
きる。特に、遊離硫黄含有量が100ppm以下のファ
ーネスカーボンブラックが好ましい。
【0050】射出成形品中のASTM D 1619−6
0の測定方法による硫黄成分は、0.9%以下、好まし
くは0.7%以下、特に好ましくは0.5%以下、最も好
ましくは0.1%以下である。この範囲に限定しないと
カブリ増加や感度異常、発色異常等の写真感光材料の写
真性に悪影響を及ぼす。特に、直接写真感光材料の写真
性に大きく悪影響を及ぼす遊離硫黄成分{各試料を液体
窒素で冷却固化後粉砕し、この粉砕した試料100gを
ソックスレー抽出器に入れクロロホルムで60℃8時間
抽出冷却後、全容を100mlとする。この溶液10m
lを高速液体クロマトグラフに注入し、硫黄を定量す
る。高速液体クロマトグラフ分離条件はカラム;ODS
シリカカラム(4.6φ×150mm)、分離液;メタノ
ール95と水5(酢酸とトリエチルアミンをそれぞれ0.
1%含む)、流速;1ml/分、検出波長;254n
m、定量は絶対検量線法によって行う。}は、0.1%
以下、好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.
01%以下である。高価であるが、硫黄成分の含有量が
0.1%以下のアセチレンブラックおよび/またはファ
ーネスカーボンブラックがISO感度100以上の高感
度写真感光材料用としては写真性を良好に維持するのに
好適である。
【0051】写真性を良好に維持するためには、カーボ
ンブラックの原料の選択が重要であり、例えば、カーボ
ンブラック便覧(平成7年4月15日,カーボンブラッ
ク協会発行),418頁,2・1にカーボンブラック中
の硫黄として、硫黄の大部分が原料油から来ており、
2.5質量%程度も含有すると明記されている。従って
写真性を良好に維持するための上記硫黄成分含有量につ
いて説明すると下記のようになる。 原 料 油 名 原料油中の硫黄成分含有量 クレオソート油{石炭系原料} 0.3〜0.6% エチレンボトム油{ナフサ原料(石油系原料)} 0.05〜0.1% エチレンボトム油{軽油原料(石油系原料)} 0.2〜1.5% 流動接触分解残渣油{石油系原料} 0.2〜4.0%
【0052】したがって、カーボンブラックの原料油と
してはクレオソート油と石油を原料とするエチレンボト
ム油が好ましく、硫黄成分含有量が0.05〜0.1%
であるナフサを原料とするエチレンボトム油を原料とし
て製造したカーボンブラックは、カーボンブラック中の
硫黄成分含有量を0.1%以下にすることができるので
最も好ましい。
【0053】製造方法としては、上記原料を用いて12
00℃〜1700℃、好ましくは1250℃〜1600
℃の炉内で製造したファーネスカーボンブラックが好ま
しい。
【0054】特に、写真感光材料の写真性に直接悪影響
を与えることが判明した遊離硫黄成分(free sul
phur)含有量(定量は、JIS K 6350に準ず
る)が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、
特に好ましくは20ppm以下、最も好ましくは10p
pm以下のカーボンブラックを使用する。この遊離硫黄
含有量が少ない点からも、本発明ではナフサを原料とす
るエチレンボトム油を用いて1250℃〜1600℃の
炉内で連続的に部分燃焼させるか、または加熱分解する
ことにより、製造したファーネスカーボンブラックが最
も好ましい。
【0055】カーボンブラックとして特に好ましいもの
は、カーボンブラックの分散性、導電性、遮光能力に関
係するヨウ素吸着量(JIS K 6221で測定)が20
mg/g以上、好ましくは30mg/g以上、特に好ま
しくは50mg/g以上、最も好ましくは80mg/g
以上で、かつジブチルフタレート(DBP)吸油量(J
IS K 6221で測定)が50ml/100g以上、
好ましくは60mg/100g以上、特に好ましくは7
0ml/100g以上、最も好ましくは100ml/1
00g以上のファーネスカーボンブラックである。
【0056】本発明者は、カーボンブラックのpHと揮
発分量および射出成形故障発生量との関係を研究し、図
15に示す結果を得た。なお、図15において、○は実
用化可能なことを、●は実用化不可能なことを示す。図
15に示す結果より、カーボンブラックのpHと揮発分
量は逆比例関係にあることが判明し、pHが5.5〜1
1で揮発分量が2%以下のカーボンブラックが好ましい
ことが判明した。すなわち、この範囲を外れるカーボン
ブラックは、写真性に悪影響を及ぼすだけでなく、フロ
ーマークやシルバーやモールドデポジットおよびショー
トショット等の射出成形故障が多発し、実用化困難なも
のであった。
【0057】また、写真感光材料において最も重要かつ
必須である写真性が良好な、すなわちコストのかかる写
真性先発試験なしに安心して使用可能なカーボンブラッ
クとしては、pHが9±2、揮発分量が1%以下のファ
ーネスカーボンブラックとアセチレンブラックである。
【0058】本発明では遮光性、コスト、物理特性向上
の目的ではファーネスカーボンブラックが好ましく、高
価であるが帯電防止効果を有する遮光性物質としては各
社の各種導電性カーボンブラックとアセチレンカーボン
ブラック、変性副生カーボンブラックであるケッチェン
カーボンブラックが好ましい。特に高感度(ISO感度
400以上)写真感光材料用としては硫黄含有量が0.
1%以下のアセチレンブラックと、ナフサを原料とする
エチレンボトム油を1250℃〜1600℃の炉内で連
続的に部分燃焼させるか、または加熱分解することによ
り製造したファーネスカーボンブラックが好ましい。
【0059】帯電防止効果を有する導電性カーボンブラ
ックとしては、平均粒子径が12〜50nm、DBP吸
油量が100ml/100g以上の各種導電性カーボン
ブラックがあり、例えば、アセチレンブラック、コンダ
クティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダ
クティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコ
ンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダク
ティブチャンネルブラック(CC)および1500℃程
度の高温で熱処理されたファーネスブラックまたはチャ
ンネルブラック等を挙げることができる。アセチレンブ
ラックの具体例としてはデンカアセチレンブラック(電
気化学株式会社製)、シャウニガンアセチレンブラック
(シャウニガンケミカル株式会社製)等が、コンダクテ
ィブファーネスブラックの具体例としては、コンチネッ
クスCF(コンチネンタルカーボン株式会社製)、バル
カンC(キャボット株式会社製)等が、スーパーコンダ
クティブファーネスブラックの具体例としては、コンチ
ネックスSCF(コンチネンタルカーボン株式会社
製)、バルカンSC(キャボット株式会社製)等が、エ
クストラコンダクティブファーネスブラックの具体例と
しては、旭HS−500(旭カーボン株式会社製)、バル
カンXC−72(キャボット株式会社製)等が、コンダ
クティブチャンネルブラックの具体例としては、コウラ
ックスL(デグッサ株式会社製)等があり、また、ファ
ーネスブラックの一種であるケッチェンブラックECお
よびケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェン
ブラックインターナショナル株式会社製)を用いること
もできる。
【0060】なお、これらの中では、特にアセチレンブ
ラックが、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす硫黄
成分やシアン化水素等の不純物含有量が少ない上、発達
した二次ストラクチャー構造を有することから写真性、
分散性、導電性に優れているので、好適に用いられる。
さらに、卓越した比表面積を有することから低充填量で
も優れた導電性を示すケッチェンブラックECやケッチ
ェンブラックEC−600JD等も好ましく使用でき
る。
【0061】この導電性カーボンブラックは、少量の添
加量で組成物に必要な導電性を付与できるものが望まし
いことから、アセチレンブラックとオイルファーネスブ
ラック、特にオイルファーネスブラックが不純物が少な
く、また、導電性が優れているので好ましいが、その中
で、特にXCF(Extra ConductiveF
urnace Black)、 SCF (Super C
onductiveFurnace Black)、C
F(Conductive FurnaceBlac
k)および SAF (Super Abrasion F
urnaceBlack)がより好ましい。中でもN2
吸着によるBET式比表面積が850m2/g以上、特
に900m2/g以上のものが好ましい。XCFとして
はケッチェンブラックインターナショナル社の「ケッチ
ェンブラックEC」(商標名)、キャボット社の「バル
カンXC−72」(商標名)等であり、SCFとしては
キャボット社の「バルカンSC」(商標名)、「バルカ
ンP」(商標名)やデグッサ社の「コーラックスL」
(商標名)等があり、CFとしてはキャボット社の「バル
カンC」(商標名)、コロンビア社の「コンダクテック
スSC」(商標名)等があり、また、SAFとしては旭
カーボン社の「旭#9」(商標名)、三菱化成工業社の
「ダイヤブラックA」(商標名)、キャボット社の「バ
ルカン9」(商標名)等がある。これらは併用してもよ
い。
【0062】一般市販の熱可塑性樹脂と高密度ポリエチ
レン樹脂をブレンドしたときには相溶性の不足からデラ
ミネーション(層状剥離現象)が起こるが、高導電性の
オイルファーネスカーボンブラックは、表面層がグラフ
ァイト構造に富んでおり、この特殊なカーボンブラック
表面のグラファイト構造が高密度ポリエチレンの結晶構
造と特異的な親和性を発揮して極めて良好に相溶しあ
い、デラミネーションを起こさず、かつ高導電性を示す
特異な相溶構造のものとなって本発明の効果をさらに著
しく奏せしめるので高密度ポリエチレン樹脂をブレンド
することが本発明では特に好ましい。
【0063】カーボンブラックの粒子表面積が大きくな
ると、本発明のゴム含有ポリスチレン系樹脂への分散性
は悪化するが、黒色度が高くなるとともに導電性が大き
くなるので本発明では好ましい。
【0064】黒色有機顔料は、以下の表2に記載する有
機顔料の中から、写真性に悪影響を及ぼさないものを任
意に選択して使用する。
【0065】
【表2】
【0066】黒色有機顔料および黒色無機顔料の代表例
と市販品の代表例を以下に示す。 (1) C.I.Pigment Black(C.I.50440) (Diamond Black=Aniline Black) <商品名> <メーカー名> Diamond Black 大同・久住 Diamond Black conc 300 野間 Diamond Black B 小西 Diamond Black S 大東化成 Sanyo Diamond Black 山陽 Super Black 東京色材 Monolite Fast Black BX ICI Pigment Black A BASF Pigment Deep Black A BASF (2) ナフトールブルーブラック(ジスアゾ系顔料) (3) カーボンブラック アセチレンブラック チャンネルブラック ファーネスブラック ランプブラック ボーンブラック (4) 鉄黒(黒色酸化鉄) (5) チタンブラック〔TiNxOy(0≦X<1.5,0.1<y<2.0)〕 (6) Ceramic Black (7) 黒色フェライト (8) カーボンファイバー(炭素繊維) (9) グラファイト(黒鉛) (10) 黒色酸化チタン(チタンブラック) (11) シアニンブラック (12) 黒色酸化銅 (13) 窒化チタン (14) ミネラルブラック
【0067】前記黒色染料について説明する。染料の分
類には、染色性によるものと、化学構造によるものとが
あり、染色性による分類としては、直接染料、酸性染
料、塩基性染料、酸性媒染染料、金属錯塩染料、硫化染
料、バット染料、可溶性バット染料、アゾイック染料
(ナフトール染料)、分散染料、反応染料、酸化染料、
油溶染料等がある。いずれに分類される染料であって
も、黒色染料が含まれていればよく、青色染料、緑色染
料、紫色染料、赤色染料、黄色染料等と黒色染料を組み
合わせて用いることもできる。黒色染料の分光吸収が特
定の場合には赤色染料と組み合わせて用いると、青色染
料と組み合わせて用いた場合より大きくなり写真感光材
料の光カブリを防止できる場合もある。かかる場合には
黒色染料と赤色染料との組み合わせであってもよい。特
に、写真感光材料が化学増感および/または色素増感さ
れている場合は、黒色染料と他の着色染料を写真感光材
料の感光波長域の光を吸収する着色染料と組み合わせて
用いることが好ましい。ただし、上述したものは例示に
過ぎず、本発明に使用できる染料はこれらに限定されな
い。例えば黒色染料と赤色染料との組み合わせ、黒色染
料と黄色染料との組み合わせでもよく、あるいは黒色染
料と2種以上または3種以上の染料の組み合わせであっ
てもよい。また、特に好ましい代表例の黒色染料と青色
染料等との組み合わせの場合の使用質量比は50〜9
8:50〜2、好ましくは60〜95:40〜5、特に
好ましくは80〜90:20〜10の任意の比である。
【0068】着色染料の組み合わせの目安となる可視光
線380〜780nmの感光波長域を下記に示す。 赤色光 780〜627(nm) 橙色光 627〜589 黄色光 589〜566 緑色光 566〜495 青色光 495〜436 紫色光 436〜380
【0069】黒色染料の代表例をカラーインデックスナ
ンバーで以下に示す。 (1) 直接染料 C.I.Direct Blackのみをカラーインデッ
クスナンバーで以下に示す。1,9,17,19,2
2,32,38,51,56,62,71,74,75,7
7,94,105,106,107,108,112,
113,117,118,132,133,146,15
5,164,170,179,180,189,19
1,199,207,209,210,218,21
3,215,217,218,220,221,22
2,224,225,226,227,228等が挙げ
られるが本発明はこれらに限定されるものではない。 (2) 酸性染料 C.I.Acid Blackのみをカラーインデックス
ナンバーで以下に示す。1,2,5,7,9,11,1
4,19,22,24,26,29,31,36,38,4
4,48,49,50,51,52,56,58,6
0,61,62,63,64,67,71,72,7
4,76,77,80,91,94,101,103,1
07,108,109,110,112,115,11
7,118,119,121,122,123,13
1,132,139,140,146,150,15
5,156,157,158,159,160,16
1,165,169,170,171,175,17
7,179,180,191,194等が挙げられる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 (3) 塩基性染料 C.I.Bacic Blackのみをカラーインデック
スナンバーで以下に示す。8等が挙げられるが、本発明
はこれらに限定されるものではない。 (4) 媒染染料 C.I.Mondant Blackのみをカラーインデ
ックスナンバーで以下に示す。1,3,7,9,11,
13,17,26,32,38,43,44,51,5
4,65,75,77,84,85,86,87等が挙
げられるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 (5) アゾイック染料 C.I.Azoic Blackのみをカラーインデック
スナンバーで以下に示す。1,5,16等が挙げられる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 (6) 硫化染料 C.I.Sulphur Blackのみをカラーインデ
ックスナンバーで以下に示す。1,2,5,6,10,
15等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。 (7) 建染染料 C.I.Vat Blackのみをカラーインデックスナ
ンバーで以下に示す。1,8,9,11,13,14,
20,25,27,28,29,35,36,56,5
7,59,60等が挙げられるが、本発明はこれらに限
定されるものではない。 (8) 分散染料 C.I.Disperse Blackのみをカラーイン
デックスナンバーで以下に示す。1,2,10,26,
27,28,29,30,31等が挙げられるが、本発
明はこれらに限定されるものではない。 (9) 油溶染料 C.I.Salvent Blackのみをカラーインデ
ックスナンバーで以下に示す。3,5,7,22,23
等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 (10) 反応染料 C.I.Reactive Blackのみをカラーイン
デックスナンバーで以下に示す。1,3,4,5,6,
8,9,10,12,13,14,18等が挙げられる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】黒色染料としては、特に好ましい商品名の
代表例を示すと、例えば、Celliton Fast
Black B TNA(水溶性分散染料)、Acetam
ine Diazo Black RB(アゾイック染
料)、Dispersol Diazo Black B,
285(アゾイック染料)、Artisil Diaz
oBlack B(アゾイック染料、Setacyl D
iazo Black B,S(アゾイック染料)、Lat
yl Diazo Black B(アゾイック染料)、
C.I.Sulphur Black 4,38(硫化染
料)、C.I.DirectBlack 28(直接染
料)、C.I.アシッドブラック21(スルホンシアニン
ブラック8B)(酸性染料)、Acetamine Di
azo Black 3B(アゾイック染料)、アニリンブ
ラック(酸化染料)、Mitsui NylonBlac
k GL(酸性染料)、Acid Nylon Blac
k GL(酸性染料)、Kayarus Black G
conc(直接染料)等がある。
【0071】上記黒色染料と組み合わせて用いることが
好ましい青色染料と紫色染料の代表例を以下に示す。青
色染料の代表例としては例えば、Celliton B
lue GA Extra CF.(分散染料)、Cell
iton Fast Blue FFRN Extra c
onc.(分散染料)、Celliton Fast Bl
ue LAFR.(分散染料)、Latyl Blue F
L.(分散染料)、Latyl Brilliant Bl
ue 2G.(分散染料)、Latyl Blue 4R,
RL,RB.(分散染料)、Duranol Blue
G.(分散染料)、PerlitonBlue B,3
G.(分散染料)、C.I.Vat Blue 4,43.
(バット染料)、Perliton Navy Blue
Br.(分散染料)等がある。
【0072】紫色染料の代表例としては例えば、Cel
liton Fast VioletBA−CF(分散染
料)、Latyl Violet BN,2R(分散染
料)、C.I.Direct Violet 11,12
(直接染料)、C.I.VatViolet 1,2,
4(バット染料)がある。
【0073】緑色染料の代表例としては、C.I.Dir
ect Green 1,6,8(直接染料)、C.I.V
at Green 1(バット染料)等がある。
【0074】なお、黒色染顔料は、写真感光材料の写真
性に悪影響を及ぼさないものが好ましいが、写真感光材
料の写真性に悪影響を及ぼすものであっても、写真性へ
の悪影響を無害化する物質との併用により写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼさないようにできるものであれ
ば使用することができる。
【0075】また、黒色先顔料の1種以上を含めば、黒
色以外の染顔料を併用して使用することができる。黒色
以外の染顔料を併用することにより、分散性、遮光能
力、物性、着色外観、ブツの発生減少等を向上させる場
合がある。
【0076】黒色染顔料は、ゴム含有ポリスチレン系樹
脂100質量部に対して、黒色染顔料を0.1〜10質
量部含有することが好ましく、0.15〜8質量部含有
することがより好ましく、0.2〜6質量部含有するこ
とが特に好ましく、0.25〜4質量部含有することが
最も好ましい。
【0077】黒色染顔料の含有量が0.1質量部未満で
あると、添加効果が小さく肉厚を大きくしないと遮光性
を十分確保できない場合がある。含有量が10質量部を
超えると、樹脂の流動性が悪化したり、添加しただけの
効果が得られずコストが高くなるだけであり、また、ウ
ェルドラインやシルバーやショートショットおよびブツ
が発生する恐れがある。
【0078】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には黒色染顔料
の分散剤を含有させることができる。分散剤を含有させ
ることにより、黒色染顔料の分散性を向上させることが
できるので、遮光性を向上させるとともに物理強度も向
上させることができる。
【0079】黒色染顔料の分散剤としては、脂肪酸金属
塩、脂肪酸アミド、ポリオレフィンワックス、25℃の
粘度が5,000〜50,000センチストークスのジ
メチルポリシロキサン、25℃の粘度が5,000〜5
0,000センチストークスのジメチルポリシロキサン
変性物、カップリング剤等があり、これらを単独または
2種以上を混合して用いることができる。
【0080】分散剤の含有量(2種以上用いた場合はそ
れらの合計量)は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂100
質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.
02〜9質量部がより好ましく、0.06〜8質量部が
特に好ましく、0.04〜7質量部が最も好ましい。含
有量が0.01質量部未満であると、含有させる効果が
小さく、混練費がかかるだけであり、10質量部を超え
ると、含有させた以上の効果がなく材料費がかかるだけ
である。
【0081】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、エチレン
−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のケン化物の
アルキレンオキサイド付加物(以下、「アルキレンオキ
サイド付加物」という)、ポリエチレンオキサイドおよ
びエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重
合体の1種以上が含有されている。このような物質を含
有させることにより、帯電防止性を良好にすることがで
きる。
【0082】このようなアルキレンオキサイド付加物、
ポリエチレンオキサイドおよびエチレンオキサイドとプ
ロピレンオキサイドとの共重合体の1種以上の含有量
は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量部に対し
て、1〜40質量部であることが好ましく、2〜35質
量部であることがより好ましく、3〜30質量部が特に
好ましく、4〜25質量部であることが最も好ましい。
含有量が1質量部未満であると、帯電防止効果を有効に
発揮することができず、混練費用がかかるだけであり、
40質量部を超えると、帯電防止性の向上効果が小さ
く、材料費増となるだけである。
【0083】前記アルキレンオキサイド付加物は、エチ
レンと飽和カルボン酸ビニルエステルからなる共重合体
のケン化物に対してアルキレンオキサイドを付加して得
られるものである。具体的に説明すると、飽和カルボン
酸ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどがあげられ、中でも酢
酸ビニルが好ましい。なお、飽和カルボン酸ビニルエス
テルとしては、これらの二種以上を混合して用いてもよ
い。
【0084】アルキレンオキサイドとしては、例えば、
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイドなどがあげられ、中でもエチレンオキサイド
が好ましい。なお、アルキレンオキサイドとしては、こ
れらの二種以上を混合して用いてもよい。エチレン−飽
和カルボン酸ビニルエステル共重合体のエチレン含有量
および数平均分子量については、特に制限はないが、例
えば、該エチレン含有量として1〜90質量%、好まし
くは20〜80質量%、該数平均分子量として1,00
0〜20,000、好ましくは1,000〜10,00
0をあげることができる。
【0085】エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル
共重合体は公知の方法、たとえば高圧ラジカル重合で製
造できる。なお、共重合に際して、少量の不飽和カルボ
ン酸のアルキルエステル、例えば、アクリル酸メチル、
メタクリル酸メチルなどを共存させて多元共重合しても
よい。エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合
体のケン化物のケン化率についても、特に制限はない
が、通常30〜100%、好ましくは40〜100%の
範囲である。エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル
共重合体のケン化物に対するアルキレンオキサイドの付
加量としては、特に制限はないが、該ケン化物100質
量部に対して20〜1,000質量部が好ましい。特に
30〜800質量部が好ましい。
【0086】アルキレンオキサイド付加物の好ましい例
は、酢酸ビニル単位含有量10〜50質量%、ケン化率
30〜100%、エチレンオキサイド付加量がエチレン
−酢酸ビニル共重合体のケン化物100質量部に対して
50〜1,000質量部のものである。
【0087】このアルキレンオキサイド付加物の製造方
法としては、例えばエチレン−飽和カルボン酸ビニルエ
ステル共重合体をケン化して一部または全てをビニルア
ルコール構造に変化させたものに、アルキレンオキサイ
ドをグラフトして製造したり、エチレン−飽和カルボン
酸ビニルエステル共重合体を、例えばメチルアルコール
等の溶媒中でアルカリ触媒の存在下で加熱することによ
り、エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体
のケン化物を得、次にこのケン化物とアルキレンオキサ
イドをアルカリの存在下で加熱・反応させることによ
り、目的のエチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル共
重合体のケン化物のアルキレンオキサイド付加物を得る
方法である。主鎖がポリエチレン単位、側鎖がポリオキ
シアルキレン単位を有した構造である。
【0088】以上のようなアルキレンオキサイド付加物
は、写真性に悪影響を及ぼすことがなく、帯電防止性が
極めて優れており、かつ帯電防止性が射出成形品の表面
を布や他の物質で拭いても水洗しても失われることがな
く、さらに、黒色ポリスチレン系樹脂組成物の溶融流動
性(MFR)が向上し、成形加工性が改良されるので、
ポリエチレンオキサイドおよびエチレンオキサイドとプ
ロピレンオキサイドの共重合体より好ましいものであ
る。
【0089】アルキレンオキサイド付加物の含有量は、
ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、
0.1〜40質量部であることが好ましく、0.3〜3
0質量部であることがより好ましく、0.5〜20質量
部であることが特に好ましく、1〜10部であることが
最も好ましい。含有量が0.1質量部未満では、帯電防
止性が得られず、混練経費増となるだけである。40質
量部を超えると、帯電防止性の向上効果が小さく、材料
費増となるだけである。
【0090】前記ポリエチレンオキサイドは、GPC法
で測定した数平均分子量が3〜90万、好ましくは5〜
85万、特に好ましくは7〜80万、最も好ましくは1
0〜75万である。数平均分子量が3万未満では、ゴム
含有ポリスチレン系樹脂との相溶性は良好であるが、帯
電防止効果が小さい。90万を超えると、ゴム含有ポリ
スチレン系樹脂との相溶性が不良となり、射出成形品に
層状剥離が発生し、物理強度が低下する。ポリエチレン
オキサイドの製造方法は公知の方法でよく、上記特性範
囲の市販のポリエチレンオキサイドが使用可能である。
【0091】なお、他のポリアルキレンオキサイド(例
えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラ
ウレート等)を使用しても帯電防止効果が小さく、所望
の効果を得ることができない。
【0092】ポリエチレンオキサイドの含有量は、ゴム
含有ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.1
〜40質量部が好ましく、0.5〜35質量部がより好
ましく、1〜30質量部が特に最も好ましく、2〜25
質量部が最も好ましい。含有量が0.1質量部未満で
は、帯電防止性が得られず、混練経費増となるだけであ
る。40質量部を超えると、帯電防止性の向上効果が小
さく、材料費増となるだけである。
【0093】前記エチレンオキサイドとプロピレンオキ
サイド共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合
体、ランダム共重合体または交互共重合体のいずれでも
よいが、ランダム共重合体が帯電防止性の面より好まし
い。
【0094】エチレンオキサイドとプロピレンオキサイ
ドのモル比(エチレンオキサイド:プロピレンオキサイ
ド)は、99:1〜55:45が好ましく、97:3〜
70:30がより好ましい。エチレンオキサイドが55
モル未満では、フローマークが目立ち、99モルを超え
ると帯電防止性が不十分になる傾向にある。
【0095】エチレンオキサイドとプロピレンオキサイ
ド共重合体の含有量は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂1
00質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、
0.2〜35質量部がより好ましく、0.3〜30質量部
が特に好ましく、0.4〜25質量部が最も好ましい。
含有量が0.1質量部未満では、帯電防止性が得られ
ず、混練経費増となるだけである。40質量部を超える
と、帯電防止性の向上効果が小さく、材料費増となるだ
けである。
【0096】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、有機スル
ホン酸金属塩が含有されている。有機スルホン酸金属塩
を含有させることにより、黒色染顔料のポリスチレン系
樹脂への分散性を良化するとともに、写真感光材料の写
真性に悪影響を及ぼすハロゲン化合物を中和無害化させ
たり、金型や成形機の防錆効果も発揮する。
【0097】有機スルホン酸金属塩は、核置換または非
核置換ベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸
金属塩等の1種または2種以上を用いることができ、好
ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸のLi、K、N
aの塩のような核置換ベンゼンスルホン酸のアルカリ金
属塩を用いる。
【0098】有機スルホン酸金属塩の含有量は、ゴム含
有ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.1〜
10質量部であることが好ましく、0.15〜9質量部
であることがより好ましく、0.2〜8質量部であるこ
とが特に好ましく、0.2〜7質量部であることが最も
好ましい。含有量が0.1質量部未満であると、添加効
果がなく混練費がかかるだけであり、また、含有量が1
0質量部を超えても増量効果が少なく、コストアップに
なるだけである。
【0099】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、滑剤が含
有されている。滑剤を含有させることにより、樹脂の流
動性が向上し、成形性を良好にするとともに、成形品の
滑性を向上させることができる。
【0100】滑剤としては、ベヘニン酸アミド、ステア
リン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド
等の飽和脂肪酸アミド系滑剤、エルカ酸アミド、オレイ
ン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド系滑剤、メチレンビ
スベヘニン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミ
ド、メチレンビオオレイン酸アミド、エチレンビスステ
アリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミ
ド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪
酸アミド系滑剤、シリコーン樹脂、非イオン界面活性剤
系滑剤、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワ
ックス、合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリ
プロピレンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボ
ン等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸(C12以上が好ま
しい)等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸の低級アルコールエス
テル、脂肪酸のポリグリコールエステル等のエステル系
滑剤、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロ
ール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ステアリン
酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸等の高級脂
肪酸とLi、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、A
l、Sn、Pb等の金属との化合物等の脂肪酸金属塩が
ある。これらの滑剤は単独で用いてもよいし、必要によ
っては2種以上を併用しても良い。
【0101】以上のような滑剤の中で、低分子量ポリオ
レフィンワックス、シリコーン樹脂、シリコーンオイ
ル、アルキレンジ脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪酸金属塩
およびビス脂肪酸アミドが好ましい。
【0102】滑剤の含有量は最大ゴム含有ポリスチレン
系樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であ
るが、種類によって異なり、脂肪酸金属塩等のように写
真感光材料の写真性能維持(ハロゲン化合物の中和無害
化)や、黒色染顔料の分散性向上を主目的とした滑性効
果が小さい滑剤やシリコーンオイルのようにゴム含有ポ
リスチレン系樹脂を白濁させて遮光性を向上させたり、
物理強度を向上させる滑剤の場合は、ゴム含有ポリスチ
レン系樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部
が好ましく、0.03〜3質量部がより好ましく、0.
05〜1.5質量部が特に好ましく、0.07〜1質量
部が最も好ましい。含有量が0.01質量部未満である
と、添加効果がなく、混練費用増となるだけである。含
有量が5質量部を超えると、発泡や白煙やウェルドライ
ンやシルバーが発生しやすくなったり、溶融樹脂と押出
し機のスクリューとのスリップが発生しやすくなり、樹
脂の射出量が不安定になる。また、成形後の経時により
ベトツキやブリードアウトが発生しやすくなり写真感光
材料に悪影響を及ぼすようになる。
【0103】また、飽和および不飽和脂肪酸アミド系滑
剤、ビス脂肪酸アミド系滑剤等のように滑性効果は大き
いが、ブリードアウトしやすく、写真感光材料に悪影響
を与える滑剤の場合はゴム含有ポリスチレン系樹脂10
0質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましく、
0.03〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.3
質量部が最も好ましい。含有量が0.01質量部未満で
あると、添加効果がなく、混練費用増となるだけであ
る。含有量が1質量部を超えると、溶融樹脂と押出し機
のスクリューとのスリップが発生しやすくなり、樹脂の
吐出量が不安定になる。また、フィルム成形後の経時に
よりベトツキやブリードアウトが発生しやすくなる。さ
らにまたブリードアウトした滑剤が写真感光層に転写し
て現像阻害を発生させ現像ムラや発色ムラ等の品質故障
が発生する。
【0104】また、特開平6−317881号公報の5
頁[0032]〜6頁[0044]等に記載の各種の滑
剤の中から写真性が良好であり、使用目的に合わせ1種
以上の滑剤を使用目的に合致した量に選択して用いるこ
とが出来る。
【0105】前記シリコーン樹脂の中で、シリコーンオ
イルが以下に記載する効果を有するので好ましい。 (1) 繊維状充填材、非繊維状遮光性物質、顔料と併用
するだけでこれらの表面を被覆して分散性を向上させ
る。 (2) 樹脂の分散性を向上し、スクリューのモーター負
荷を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。 (3) ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミドを
添加しなくとも滑性を十分確保できる。 (4) 加熱状態での成形材料の摩擦係数を小さくする。 (5) 遮光性物質と併用すると、熱可塑性樹脂を白濁さ
せ、ヘイズを大きくする結果、着色力を向上させ遮光能
力を向上でき、物性を低下させる遮光性物質の含有量を
減量しても遮光性を確保できる。 (6) ゴム含有ポリスチレン系樹脂の物理強度、耐摩耗
性を向上させる。
【0106】シリコーンオイルは、25℃での粘度が
5,000〜50,000センチストークスの範囲のも
のが好ましく、7,000〜40,000センチストー
クスの範囲のものがより好ましく、9,000〜35,
000センチストークスの範囲のものが特に好ましく、
10,000〜30,000センチストークスの範囲の
ものが最も好ましい。シリコーンオイルの粘度が5,0
00センチストークス未満であると、未反応の低分子量
の物質が多く、写真性を悪化(被り増加等)させる場合
がある。また、50,000センチストークスを超える
と、粘性が大きく取扱い性が悪く、容器へ付着して取り
出せなくなったり、樹脂の流動性を低下させて成形故障
を発生させることがある。
【0107】シリコーンオイルとしては、ポリメチルフ
ェニルシロキサン、オレフィン変性シリコーン、アミド
変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アミノ変性
シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、αメチルス
チレン変性シリコーン、ポリエチレングリコールやポリ
プロピレングリコールで変性したポリエーテル変性シリ
コーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコーン、エ
ポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルコ
ール変性シリコーン等変性されたシロキサン結合を含有
したシリコーンオイルである。
【0108】これらのシリコーンオイル中で、写真感光
材料に悪影響を与えることが少なく、滑性効果が大き
く、包装材料に適用した場合に好ましいものは、オレフ
ィン変性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポリジメ
チルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、オレフ
ィン/ポリエーテル変性シリコーンである。
【0109】シリコーンオイルの含有量は、ゴム含有ポ
リスチレン系樹脂100質量部に対して、0.01〜1
0質量部であり、好ましくは0.2〜8質量部し、より
好ましくは0.4〜6質量部し、特に好ましくは0.5
〜5質量部、最も好ましくは0.6〜4質量部である。
シリコーンオイルを含有させることにより、ゴム含有ポ
リスチレン系樹脂の流動性を向上させるとともに、予想
外の効果として、本発明の写真感光材料用射出成形品に
好ましい物理強度を向上させ、表面反射光沢度を低下さ
せる。さらに、滑性を向上させることができる。また、
遮光性物質と併用すると遮光性物質の分散性を向上させ
るとともに、ゴム含有ポリスチレン系樹脂を白濁させヘ
イズ(ASTM D−1003) を大きくさせる結果、着
色力を向上させるとともに、遮光性を向上させることが
できる。
【0110】シリコーンオイルの含有量が0.01質量
部未満であると、上述した効果を有効に発揮することが
できない。また、10質量部を超えると、材料費増とな
るだけで増量効果が発揮されないだけでなく、ブリード
アウトが多くなり商品価値を低下させる。最も問題なの
は、射出成形時にスクリューとのスリップ発生が多くな
り、一定量を射出することが困難になり、ショートショ
ットが多発し、寸法精度が低下して実用化困難である。
【0111】以上のようなゴム含有ポリスチレン系樹脂
とシリコーンオイルとを含有する写真感光材料用射出成
形品は、スプールやフランジ等のように遮光性カートリ
ッジ内で使用される射出成形品の場合は、その表面反射
光沢度(JIS Z 8741に準ずる入射角60度、受
光角60度で測定)が45%以下であり、好ましくは4
0%以下、より好ましくは35%以下、特に好ましくは
30%以下、最も好ましくは25%以下である。表面反
射光沢度が45%を超えると、反射光による光カブリが
発生する恐れがある。
【0112】しかし、本発明ではカメラ本体やレンズ付
きフィルムユニット等のように、展示によりユーザーに
好印象の外観提示によりセールスポイントとする場合
は、高光沢(表面反射光沢度を45%以上にする)にす
ることも好ましく、用途により自由に光沢度を調節する
ことが可能である。
【0113】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、酸化防止
剤を含有させることができる。酸化防止剤を含有させる
ことにより、樹脂や添加剤の熱劣化防止、熱分解防止効
果を大きくして物理強度低下を防止し、また、写真性に
悪影響を及ぼす物質(アルデヒド化合物、シアン化合物
等)の発生を防止できる。
【0114】酸化防止剤としては、酸化防止剤ハンドブ
ック(KK大成社昭和51年10月25日発行)やプラ
スチックデータハンドブック(KK工業調査会1984
年4月5日発行)の794〜799ページに開示された
各種酸化防止剤や、プラスチック添加剤データー集(K
K化学工業社発行)の327〜329ページに開示され
た各種酸化防止剤や、PLASTICS AGE ENC
YCLOPEDIA進歩編,1986(KKプラスチッ
ク・エージ発行)の211〜212ページに開示された
各種酸化防止剤がある。
【0115】各種酸化防止剤の中で、ヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤が好ましく、このヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の代表例を以下に示す。1,3,5−トリ
メチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メ
チレン−3−(3'・5'−ジ−tert−ブチル−4’
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オク
タデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−ヒドロシンナメート、2,2',2'−トリス〔(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ〕エチルイソシアヌレート、1,3,
5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−
2,6−ジ−メチルベンジル〕イソシアヌレート、テト
ラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4'
−ビフェニレンジ亜リン酸エステル、4,4'−チオビス
−(6−tert−ブチル−O−クレゾール)、2,2'
−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェ
ノール)、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,2'−メチレ
ン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ
ール)、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジ−ter
t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−
(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4
−ヒドロキシ・メチル−2,6−ジ−tert−ブチル
フェノール、2,6−ジ−tert−4−n−ブチルフ
ェノール、2,6−ビス(2'−ハイドロキシ−3'−te
rt−ブチル−5'−メチルペンジル)−4−メチルフェ
ノール、4,4'−メチレン−ビス−(6−tert−ブ
チル−O−クレゾール)、4,4'−ブチリデン−ビス
(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3,9−
ビス{1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオ
キシ〕エチル}2,4・8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカンなどがあげられる。
【0116】これらのヒンダードフェノール系酸化防止
剤の中で、融点が100℃以上のものが好ましく、12
0℃以上のものがより好ましい。融点が100℃未満で
あると、熱分解しやすく、発煙が多く、添加効果が低下
するだけでなく、フィルム成形室内の環境悪化や写真感
光材料の写真性悪化を引き起こす。
【0117】また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
の中で、平均分子量が400以上のものが好ましく、5
00以上のものがより好ましく、600以上のものが最
も好ましい。分子量が400未満であると、熱分解しや
すく、発煙が多くなる。また、添加効果が低下するだけ
でなく、フィルム成形室内の環境悪化や写真感光材料の
写真性悪化を引き起こす。
【0118】各種酸化防止剤の中で燐酸系酸化防止剤も
好ましい。燐酸系酸化防止剤としては、アルキル化アリ
ルホスファイト、トリス(モノおよび/またはジノニル
フェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテ
トライルビス(2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルフォスフ
ァイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト亜リン
酸ソーダ、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、
2・2−メチレンビス(4・6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)オクチルホスファイト、トリス(2・4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルフォスフ
ァイト等を用いることができる。
【0119】また、酸化防止剤としてビタミンEも好ま
しく、このビタミンE(α,β,γ、δ等のトコフェロー
ル、5,7−ジメチルトコール、7−メチルトコール、
5−メチルトコール、トコール)、トコフェロール類二
量体は、優れた酸化防止作用の他に、射出成形品を黄色
に着色させて遮光性が発生するので、カーボンブラック
等の無機顔料と併用すると遮光能力をカーボンブラック
等の無機顔料単独添加の場合より10%以上向上させ、
かつ、分散性も向上させるので無機顔料の含有量を10
%以上減少させても同等の遮光性を有することができ
る。この結果写真性の悪化防止、物理強度向上、外観向
上、材料費減少等各種の効果が発揮され、かつ人体に対
しても安全であるので本発明の写真感光材料用成形品の
酸化防止剤として最も好ましい。
【0120】ヒンダードフェノール系酸化防止剤に燐酸
系酸化防止剤を併用することが好ましく、これらを併用
することにより、写真性を悪化させずに樹脂や添加剤の
熱劣化防止効果を高めることができる。また、燐酸系酸
化防止剤を含有させる場合は、ハイドロタルサイト類化
合物を併用することが好ましい。ハイドロタルサイト類
化合物を含有させることにより、熱分解によって発生す
る写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす亜リン酸を中
和させることができる。
【0121】酸化防止剤の合計含有量は、ゴム含有ポリ
スチレン系樹脂100質量部に対して、0.001〜5
質量部、0.005〜4質量部が好ましく、0.01〜
3質量部がより好ましく、0.02〜2質量部が特に好
ましく、0.03〜1質量部が最も好ましい。
【0122】酸化防止剤の含有量が0.001質量部未
満であると、十分な酸化防止効果を得ることができず、
混練経費増となるだけである。また、5質量部を超える
と、増量効果が発揮されず、材料費増となるだけであ
る。さらに、射出成形時の白煙や悪臭の発生が多く、写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすようになる。
【0123】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、ハイドロ
タルサイト類化合物を含有させることができる。ハイド
ロタルサイト類化合物を含有させることにより、写真感
光材料の写真性に悪影響を及ぼす触媒残渣を中和した
り、塩酸等のハロゲン化合物を吸収して写真性に悪影響
を及ぼす物質を無害化したり、金型の発錆を防止した
り、樹脂焼け故障等を防止したりできる。特に、フェノ
ール系酸化防止剤および燐系酸化防止剤の1種以上と併
用すると、熱可塑性樹脂、1,2−ポリブタジエン系熱
可塑性エラストマーおよび添加剤の熱劣化や熱分解防止
効果が大きくなり好ましい。樹脂の劣化を防止すること
ができる。
【0124】燐系酸化防止剤の少なくとも1種を含む場
合、熱分解によって発生する亜リン酸が写真感光材料の
写真性に悪影響を大きく及ぼし、カブリを発生させるの
で亜リン酸を中和させるハイドロタルサイト類化合物を
0.01〜5.0質量%、特に0.05〜3.0質量%
併用することが好ましい。
【0125】ハイドロタルサイト類化合物は、一般式が Mxy(OH)2x+2y-2z(A)z・aH2O {MはMg、CaまたはZn、RはAlまたはCrまた
はFe、AはCO3またはHPO4、x、y、z、aは正
数}で示される複塩である。
【0126】具体例の代表例を示すと、Mg6A12(O
H)16CO3・4H2O、Mg8Al2(OH)20CO3・5
2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg10
Al2(OH)22(CO32・4H2O、Mg6Al2(O
H)16HPO4・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3
4H2O、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg
4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等がある。
【0127】または一般式が M(1-x)・Alx・(OH)2・Xx/n・mH2O {ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示
す。Xはn価のアニオンを示す。
【0128】そして、xおよびm,nは下記式の条件を
満足する。 0<x<0.5 0≦m≦ 2 }
【0129】n=1〜4の整数で表わされる屈折率(L
arsenの油浸法で測定)が1.40〜1.60、好
ましくは1.45〜1.55の範囲であるハイドロタル
サイト類化合物である。
【0130】上記式においてXで表わされるn価のアニ
オンの例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、Cl
4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 2-、HB
3 2-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)4 4-
CH3COC-、C64(OH)COO-、である。
【0131】好ましい具体例を以下に示す。 Mg0.7Al0.3(OH)2(CO30.15・0.54H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO30.165・0.5H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO30.165・0.2H2
O Mg0.6Al0.4(OH)2(CO30.2・0.42H2O Mg0.75Al0.25(OH)2(CO30.125・0.63
2O Mg0.83Al0.17(OH)2(CO30.085・0.4H2
O 等
【0132】これらのハイドロタルサイト類化合物は、
天然物であっても、合成品であってもよい。これらのハ
イドロタルサイト類化合物は、マグネシウム、アルミニ
ウム等を主成分としており、写真感光材料の写真性に悪
影響を及ぼしたり、成形機に用いられている金属の発錆
の原因と考えられる塩素イオン等のハロゲン化イオンを
吸着中和して無害化する能力に優れている。さらに熱可
塑性樹脂中のモノマーや各種添加剤中の揮発性物質等写
真性に悪影響を及ぼす物質を吸着固定するものと推定さ
れる。
【0133】さらに熱可塑性樹脂や添加剤の熱劣化や熱
分解を防止するのに添加する燐系酸化防止剤が熱分解し
た時に発生する写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす
亜リン酸を中和して写真性を良化(カブリを減少)する
予想外の効果を発揮する。ハイドロタルサイト類化合物
の具体的な合成方法としては、特公昭46−2280号
公報および特公昭50−30039号公報等に開示され
ている公知の方法も使用できる。
【0134】ハイドロタルサイト類化合物の天然品とし
ては、ハイドロタルク石、スチヒタイト、パイロオーラ
イト等がある。これらのハイドロタルサイト類化合物は
単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
特に、各種酸化防止剤や各種脂肪酸金属塩と併用するこ
とが好ましい。加工性、分散性、物性等を特に向上させ
るためには平均2次粒子径が20μm以下、好ましくは
10μm以下、特に好ましくは5μm以下、BET比表
面積が50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、
特に30m2/g以下が好ましい。
【0135】ハイドロタルサイト類化合物の含有量は、
ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、
0.01〜30質量部が好ましく、0.02〜20質量
部がより好ましく、0.05〜10質量部が特に好まし
く、0.1〜5質量部が最も好ましい。
【0136】ハイドロタルサイト類化合物の含有量が
0.01質量部未満であると、添加効果が発揮されず混
錬経費増となるだけであり、また、30質量部を超える
と、増量添加効果がなく、物理強度や射出成形性の低下
およびブツの発生やコストアップとなるだけである。
【0137】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、ゼオライ
トを含有させることができる。ゼオライトを含有させる
ことにより、アルデヒドガスやシアン化水素ガスおよび
硫黄化合物等の写真性に悪影響を及ぼす物質を吸着して
無害化することができる。
【0138】ゼオライトは、三次元骨格構造を有するア
ルミノシリケートであり、一般式として XM2/nO・Al22・YSiO2・ZH2O で表される。(Mはイオン交換可能なイオンで一般には
1〜2価の金属イオンである。nは金属イオンの原子価
である。XおよびYは各々の金属酸化物、シリカの係
数。Zは結晶水の数である。)
【0139】ゼオライトの具体例としては、A型ゼオラ
イト、B型ゼオライト、D型ゼオライト、L型ゼオライ
ト、N−A型ゼオライト、PC型ゼオライト、R型ゼオ
ライト、T型ゼオライト、W型ゼオライト、X型ゼオラ
イト、Y型ゼオライト、ZK−5型ゼオライト、高シリ
カゼオライト、ヒドロキシカンクリナイト、アナルサイ
ム、チャバサイト、ホウジャサイト、モルデナイト、ソ
ーダーライト、ヒドロキシソーダライト、エリオナイ
ト、クリノブチロライト等がある。これらの中で安価で
かつ写真性に悪影響を及ぼす有害ガス(遊離硫黄ガス、
シアン化水素ガス、ホルムアルデヒドガス、塩素ガス、
亜硫酸ガス等)吸着無害化能力の大きいA型ゼオライト
が好ましい。
【0140】また、ゼオライトには、天然ゼオライト
(analcime,chabazite,heula
ndite,erionite,ferrierit
e,laumontite,mordenite等を成
分とするゼオライト)、合成ゼオライト(A,N−A,
X,Y,hyadroxy sodalite,ZK−
5,B,R,D,T,L,hydroxy,cancrini
te,W,Zeolaon等の各種の型のゼオライト)が
ある。
【0141】本発明に用いるゼオライトとしては、天然
ゼオライトおよび合成ゼオライトのいずれでもよいが、
安価で、かつ感光材料の写真性に悪影響を及ぼす不純物
含有量が少なく、分散性が良好である、電子顕微鏡法に
よる一次平均粒子径が20μm以下であることが必須で
あり、0.1〜10μmの合成ゼオライトが好適であ
り、好ましくは0.2〜8μm、より好ましくは0.3
〜6μm、特に好ましくは0.4〜5μm、最も好まし
くは0.5〜4μmの合成ゼオライトである。電子顕微
鏡法による二次平均粒子径は50μm以下であることが
必須である。
【0142】ゼオライトに金属イオンを含有させた金属
イオン含有ゼオライトが好ましい。金属イオン含有ゼオ
ライトとは、ゼオライト中のイオン交換可能なイオン、
例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の一部ま
たは全部を銀イオン、マンガンイオン、ニッケルイオ
ン、銅イオン等の金属イオンの中の1種以上のイオンで
置換したものである。
【0143】金属イオン含有ゼオレイトを用いることに
より、抗菌剤としての作用を発揮させることができ、特
に、ゼラチン、ポリビニルアルコール等のような吸水性
で接着故障や生分解しやすい親水性生分解性高分子を主
成分とする写真乳剤層、保護層およびバック層を用いて
いる写真感光材料の品質を長期間良好に維持することが
できる。
【0144】上記金属イオン含有ゼオライトの中で、銀
イオン含有ゼオライト(以下、銀ゼオライトという)が
好ましい。銀イオンは、写真性改良(硫黄化合物の無害
化)と抗菌性の点から、ゼオライト中に0.01〜30
質量%、好ましくは0.05〜25質量%、より好まし
くは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜15質
量%、最も好ましくは1〜10質量%含有される。銀イ
オンの含有量が0.01質量%未満では、含有効果がな
く、製造経費増となるだけである。含有量が30質量%
を越えても増量効果はなく、材料費増および製造経費増
となるだけである。
【0145】また、銀イオンと、マンガン、ニッケルお
よび銅からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イ
オンとの合計2種以上の金属イオンを含有するゼオライ
トが特に好ましい。このような2種以上の金属イオンを
含有するゼオライトを用いることにより、大気中に含ま
れている種々の写真性有害化合物(例えば、ホルムアル
デヒド、塩素、塩化水素、硫化水素、亜硫酸、シアン化
水素等のガス化した化合物)の無害化を促進し、超精密
化学製品である感光材料を品質が良好な状態で長期間
(2年以上)維持することができる。マンガン、ニッケ
ルおよび銅からなる群から選ばれる少なくとも1種の金
属イオンの含有量は、0.01〜15質量%、好ましく
は0.05〜13質量%、より好ましくは0.1〜11
質量%、特に好ましくは0.5〜9質量%、最も好まし
くは1〜7質量%である。
【0146】したがって、銀イオン、マンガンイオン、
ニッケルイオンおよび銅イオン中の1種以上の金属イオ
ンと交換可能なイオン交換容量のミリイクイバレント
(以下、meqと表示)が大きなゼオライトが好まし
い。特に、イオン交換容量が2meq/g以上のA型ゼ
オライト結晶のアルミノ珪酸塩が好ましい。2meq以
上のゼオライトのイオン交換容量(meq=ミリイクイ
バレント)を例示すると、リーダライトは11.5me
q/g、A型ゼオライトは、7meq/g、T型ゼオラ
イトは3.5meq/g、X型ゼオライトは6.5me
q/g、Y型ゼオライトは5meq/g、アナルサイム
5meq/g、チャバサイト5meq/g、エリオナイ
トは4meq/g、モルデナイト2.5meq/g、ク
リノブチルライトは2.5meq/gである。
【0147】これらの中で最も好ましいゼオライトは、
イオン交換容量が5meq/g以上のリーダライト、A
型ゼオライト、T型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型
ゼオライト、アナルサイム、チャバサイトである。
【0148】最も好ましいゼオライトは、安価で製造性
が良好で入手しやすく、写真性に悪影響を及ぼす硫黄化
合物ガスや遊離硫黄ガス、ホルムアルデヒドガス等のア
ルデヒド化合物ガス、シアン化合物ガス等の有害ガスの
吸着無害化能力が大きい、金属イオン交換容量の大きい
(7meq/g)A型ゼオライトである。
【0149】本発明で用いる銀イオン含有ゼオライトの
製造は、予め調製した銀イオンおよび必要によりマンガ
ンイオン、ニッケルイオン、銅イオン等の金属イオンを
含む混合水溶液にゼオライトを接触させて、ゼオライト
中のナトリウムイオン、カリウムイオン等のイオン交換
可能なイオンと上記金属イオンとを置換させる。接触
は、10〜100℃、好ましくは20〜90℃、より好
ましくは30〜80℃、特に好ましくは35〜70℃、
最も好ましくは40〜60℃の温度下で、1〜28時
間、好ましくは2〜26時間、より好ましくは4〜24
時間、最も好ましくは6〜22時間、バッチ式または連
続式によって行う。
【0150】なお、上記混合水溶液のpHは3〜10、
好ましくは4〜9、特に好ましくは5〜8に調製する。
このようにpHを調整することにより、銀の酸化物等の
ゼオライト表面または細孔内への析出を防止できる。混
合水溶液中の各金属イオンは、塩として供給される。例
えば、銀イオンは硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀
等として供給され、マンガンイオンは硝酸マンガン、硫
酸マンガン、酢酸マンガン等として供給され、ニッケル
イオンは硝酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、酢酸ニッケ
ル等として供給され、銅イオンは硝酸銅、酢酸銅、硫酸
銅、過塩素酸銅等として供給される。イオン交換が終了
したゼオライトは十分水洗した後、含水率が15%以下
となるように例えば常圧で120〜500℃、または減
圧(1〜50torr)下で100〜300℃で乾燥さ
せる。
【0151】上記、ゼオライトおよび/または金属イオ
ン含有ゼオライトの含水率は15%以下、好ましくは1
3%以下、より好ましくは11%以下、特に好ましくは
9%以下、最も好ましくは7%以下である。15%を超
えると、成形故障が多発する。この金属イオン含有ゼオ
ライトおよび/またはゼオライトの射出成形品中の含有
量は0.1〜40質量%、好ましくは0.2〜35質量
%、より好ましくは0.4〜30質量%、特に好ましく
は0.8〜25質量%、最も好ましくは1.5〜20質
量%である。含有量が0.1質量%未満であると、添加
効果が小さく混練費増となり、40質量%を超えても増
量効果がなく、材料費増となる。
【0152】ゼオライトの含有量は、ゴム含有ポリスチ
レン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質
量部が好ましく、0.002〜8質量部がより好まし
く、0.005〜5質量部が最も好ましい。含有量が
0.001質量部未満であると、添加効果がなく、材料
費が係るだけであり、含有量が10質量部を超えても増
量効果がなく、材料費増および製造経費増となるだけで
ある。樹脂組成内容によっては物理強度低下、外観不
良、射出成形性不良等の問題が発生する。
【0153】本発明においてハイドロタルサイト類化合
物やゼオライトは表面被覆物質で処理して利用するのが
好ましい。表面被覆する事により、樹脂に対する分散性
ないし親和性が一層向上し、射出成形性、物理強度等も
向上する。
【0154】このような表面被覆物質の例として、特に
好ましいのは、例えば、ラウリル酸ソーダ、ラウリル酸
カリウム、オレイン酸ソーダ、オレイン酸カリウム、オ
レイン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸ソーダ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリ
ウム、パルミチン酸ソーダ、パルミチン酸カリウム、カ
プリン酸ソーダ、カプリン酸カリウム、ミリスチン酸ソ
ーダ、ミリスチン酸カリウム、リノール酸ソーダ、リノ
ール酸カリウムなどのような高級脂肪酸の金属塩類;ラ
ウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、
カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸などの如き高級
脂肪酸類;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の有機スルホン
酸金属塩類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネ
ート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェ
ート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチ
ルホスファイト)チタネート、ビニルトリエトキシシラ
ン、ガンマメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ガンマグリシドオキシプロピルトリメトキシシラン
などのようなカップリング剤類、高級脂肪酸アミド類、
高級脂肪酸エステル類、シリコーン類、ワックス類の各
種滑剤などを例示することができる。
【0155】これら表面被覆物質による表面被覆は、た
とえば、温水にハイドロタルサイト類化合物やゼオライ
トを懸濁した状態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸の
アルカリ金属塩の水溶液を加える事により、或いは、ハ
イドロタルサイト類化合物粉末やゼオライト粉末をヘン
シェルミキサー等の混合機により攪拌下、高級脂肪酸の
融液とか、カップリング剤の希釈液を滴下することによ
り行うことができる。これら表面被覆物質の量は適宜に
選択変更できるが、ハイドロタルサイト類化合物100
質量部に対して、約0.01〜50質量部、好ましくは
0.05〜35質量部、特に好ましくは0.1〜20質
量部、最も好ましくは0.5〜10質量部である。
【0156】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、シアン化
水素ガススキャベンジャーを含有させることができる。
すなわち、写真性を悪化させるシアン化合物(特にシア
ン化水素ガス)含有量(4−ピリジンカルボン酸・ピラ
ゾロン吸光分析法にて定量したシアン化水素量を遮光性
物質の質量に対するppm単位に換算した値)が20p
pm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは
5ppm以下、最も好ましくは1ppm以下であり、金
増感やセレン増感および色素増感等の化学増感、特に金
増感した写真感光材料の場合は、シアン化水素ガス等に
より写真性に悪影響を受けやすいのでシアン化水素ガス
スキャベンジャーを含有させることが好ましい。
【0157】シアン化水素ガススキャベンジャーは、シ
アン化水素ガスを、吸着または写真的に不活性な物質に
変換する化合物である。シアン化水素ガススキャベンジ
ャーは、シアン化水素ガスを捕獲した結果として、ハロ
ゲン化銀感光材料に悪影響を与える物質を放出すべきで
はない。適切なシアン化水素ガススキャベンジャーは貴
金属の無機または有機化合物から選択することができ
る。特に好ましいものはパラジウム(IIまたはIV;酸化
状態を示す。以下同様)、白金(IIまたはIV)化合物で
ある。金(IまたはIII)の化合物も好ましい。ロジウム
(III)、イリジウム(IIIまたはIV)およびオスミウム(I
I、IIIまたはIV)の化合物もまた効果的であるが、同等
の効果を得るのに、より多量が必要である。有用な無機
または有機貴金属化合物の具体例としては、例えばグメ
リンハンドブック(GmelinHandbook)に
詳細に記述されており、市販品、合成品およびinsi
tu合成品を写真感光材料に悪影響を与えることがない
程度の純度で使用することができる。
【0158】好ましいパラジウム化合物としては、塩化
パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、水酸化パラ
ジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、チオシアン酸パラジ
ウム(II)、テトラクロロパラジウム(II)酸塩(ナトリウ
ム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、ヘキサクロロパ
ラジウム(IV)酸塩、テトラブロモパラジウム(II)酸
塩、ヘキサプロモパラジム(IV)酸塩、ビス(サリチラ
ト)パラジムム(II)酸塩、ビス(ジチオオキサラト−
S,S')パラジウム(II)酸塩、trans−ジクロロビ
ス(チオエーテル)パラジウム(II)、テトラアンミンパ
ラジウム(II)塩、ジクロロジアンミンパラジウム(II)、
ジブロモジアンミンパラジウム(II)、オキサラトジアン
ミンパラジウム(II)、ジニトロジアンミンパラジウム(I
I)、ビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)塩、ジク
ロロエチレンジアミンパラジウム(II)、ビス(2,2'−
ピピリジン)パラジウム(II)塩、ビス(1,10−フェナ
ントロリン)パラジウム(II)塩、テトラニトロパラジウ
ム(II)酸塩、ビス(グリシナト)パラジウム(II)、テト
ラキス(チオシアナト)パラジウム(II)酸塩、ジクロロ
ビス(ホスフィン)パラジウム(II)酸塩、ジクロロビス
(ホスフィン)パラジウム(II)、ジ−μ−クロロ−ビス
[クロロ(ホスフィン)パラジウム(II)]、ジ−μ−ク
ロロ−ビス[クロロ(アルシン)パラジウム(II)]およ
びジニトロビス(アルシン)パラジウム(II)等が挙げら
れる。
【0159】好ましい白金化合物としては、塩化白金(I
I)酸塩、塩化白金(IV)、ヘキサフルオロ白金(IV)酸塩、
テトラクロロ白金(II)酸塩、ヘキサクロロ白金(IV)酸
塩、トリクロロトリフルオロ白金(IV)酸塩、テトラブロ
モ白金(II)酸塩、ヘキサブロモ白金(IV)酸塩、ジブロモ
ジクロロ白金(II)酸塩、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸
塩、ビス(オキサラト)白金(II)酸塩、ジクロロビス(オ
キサラト白金(IV)酸塩、ビス(チオオキサラト)白金(II)
酸塩、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、ビス(1,
1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジ
オナト)白金(II)、ビス(1,1,1−トリフルオロ−2,
4−ペンタンジオナト)白金(II)、テトラキス(チオシ
アナト)白金(II)酸塩、ヘキサキス(チオシアナト)白
金(IV)酸塩、ビス{(Z)−1,2−ジシアノエチレン−
1,2−ジチオラト}白金(II)酸塩、ジクロロビス(ジ
エチルスルフィド)白金(II)、テトラクロロビス(ジエ
チルスルフィド)白金(IV)、ビス(グリシナト)白金(I
I)、ジクロログリシナト白金(II)酸塩、ジクロロビス
(トリエチルホスフィン)白金(II)、クロロヒドリドビ
ス(トリエチルホスフィン)白金(II)、テトラアンミン
白金(II)塩、テトラクロロ白金(II)酸塩、ジクロロジア
ンミン白金(II)、トリクロロアンミン白金(II)塩、ヘキ
サアンミン白金(IV)塩、クロロペンタアンミン白金(IV)
塩、テトラクロロジアンミン白金(IV)、ジニトロジアン
ミン白金(II)、ジクロロテトラキス(メチルアミン)白
金(IV)塩、ジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)、ビ
ス(エチレンジアミン)白金(II)塩、トリス(エチレン
ジアミン)白金(IV)塩、ジクロロビス(エチレンジアミ
ン)白金(IV)塩、ジクロロジヒドロキソ(エチレンジア
ミン)白金(IV)、テトラキス(ピリミジン)白金(II)塩、
ジクロロビス(ピリジン)白金(II)、ビス(2,2'−ピピ
リジン)白金(II)塩、テトラニトロ白金(II)酸塩、クロ
ロトリニトロ白金(II)酸塩、ジクロロジニトロ白金(II)
酸塩、ジブロモジニトロ白金(II)酸塩、ヘキサニトロ白
金(IV)酸塩、クロロペンタニトロ白金(IV)酸塩、ジクロ
ロテトラニトロ白金(IV)酸塩、トリクロロトリニトロ白
金(IV)酸塩、テトラクロロジニトロ白金(IV)酸塩、ジブ
ロモジクロロジニトロ白金(IV)酸塩、トリクロロ(エチ
レン)白金(II)酸塩、ジ−μ−クロロ−ビス(クロロ
(エチレン)白金(II)、trans−ジクロロ(エチレ
ン)(ピリジン)白金(II)、ビス[ビス(β−メルカプト
エチルアミン)ニッケル(II)−S,S"−白金(II)塩およ
びジクロロジカルボニル白金(II)等が挙げられる。
【0160】金(IまたはIII)、ロジウム(III)、イリ
ジウム(IIIまたはIV)およびオスミウム(II、IIIまたは
IV)の化合物も同様に用いることができるが、そのよう
な例として例えば、カリウムテトラクロロオーレート(I
II)、ロジウム(III)クロライド、カリウムヘキサクロ
ロイリデート(IV)、カリウムテトラクロロイリテート
(III)およびカリウムヘキサクロロオスメート(IV)等
が挙げられる。本発明の効果が得られる限りにおいて貴
金属の無機または有機化合物は上述の具体例のみに制限
されるものではない。
【0161】シアン化水素ガススキャベンジャーの含有
量は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量部に対し
て0.01〜10質量部であることが好ましく、より好
ましくは0.02〜8質量部、特に好ましくは0.03
〜6質量部、最も好ましくは0.04〜5質量部であ
る。シアン化水素ガススキャベンジャーの含有量が0.
01質量部未満であると、効果的にシアン化水素ガスを
吸着無害化することができない。また、10質量部を超
えると、増量した効果が発揮されず、高価になるだけで
ある。さらに、樹脂の流動性が悪化し、ウェルドライン
(ウェルドマークともいう)が強く発生し、衝撃強度が
低下する。
【0162】本発明による写真感光材用射出成形品を成
形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、帯電防止剤
を含有させることができる。帯電防止剤を含有させるこ
とにより、スタチックマーク故障等を防止することがで
きる。
【0163】本発明に用いることが好ましい帯電防止剤
の代表例を以下に示す。 (1) 非イオン界面活性剤系帯電防止剤の代表例 ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レン脂肪族アミン、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、グ
リセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ベンタエリスリット、
脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸の
エチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミノまたは脂肪酸
アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノー
ルのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールの
エチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂
肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシ
エチレンアルキルアマイド、アルキルアミン誘導体、そ
の他特公昭63−26697号公報120頁記載の各種
非イオン帯電防止剤等。 (2) アニオン界面活性剤系帯電防止剤の代表例 リシノレイン酸硫酸エステルソーダ塩、各種脂肪酸金属
塩、シリノレイン酸エステル硫酸エステルソーダ塩、硫
酸化オレイン酸エチルアニリン、オレフィンの硫酸エス
テル塩類、オレイルアルコール硫酸エステルソーダ塩、
アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルフォン酸
塩、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、ア
ルキルホスフェート、アルキルスルフォン酸塩、アルキ
ルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフ
ォン酸塩、コハク酸エステルスルフォン酸塩、リン酸エ
ステル塩等。 (3) 陽イオン界面活性剤系帯電防止剤の代表例 第1級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム
塩(第4級アンモニウムナイトレート、第4級アンモニ
ウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート
等)、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、ピリジン
誘導体等。 (4) 両性界面活性剤の代表例としては、アルキルペタ
イン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型
等。 (5) 導電性樹脂の代表例としては、ポリビニルベンジ
ル型カチオン、ポリアクリル酸型カチオン等がある。
【0164】以上の界面活性剤系帯電防止剤の中で写真
性および人身に与える悪影響が小さく、スタチックマー
ク防止効果が大きいので、非イオン(ノニオン)系界面
活性剤を帯電防止剤として用いることが特に好ましい。
【0165】最も好ましいのは、液状の非イオン系界面
活性剤(例えば、グリセロールモノスチアレートである
花王製の「エキセルF95」)と粉末状の非イオン系界
面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン
である花王製,「エレクトロストリッパーEA」)を併
用すると、樹脂との均一分散性が良好で帯電防止効果も
相剰的に向上する。特に、マスターバッチ化して溶融混
練履歴を1回多くしてマトリック樹脂で希釈して目的含
有量にするマスターバッチ法を採用すると、予想外の帯
電防止向上効果が得られる。
【0166】帯電防止剤の含有量は、ゴム含有ポリスチ
レン系樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量
部が好ましく、0.02〜5質量部がより好ましく、
0.03〜3質量部が最も好ましい。合計含有量が0.
01質量部未満であると、添加効果がなく、混練経費造
となるだけである。また、合計含有量が10質量部を越
えると、増量効果がなく、コストアップとなるだけであ
る。さらに、経時するとブリードアウト量が多くなり、
外観を悪化させたり、射出成形品の表面がベトつく。
【0167】本発明による写真感光材料射出成形品に
は、ホルムアルデヒドスキャベンジャーを含有させるこ
とが好ましい。ホルムアルデヒドスキャベンジャーは、
ホルムアルデヒドと反応してホルムアルデヒドを吸収
(捕捉)できる化合物であり、ホルムアルデヒドによる
悪影響(刺激臭が大きい。人体に有害である。写真性を
悪化させる)を防止することができる。特に、アルデヒ
ドガス吸着・無害化させるゼオライトと併用すると効果
が大きく、市販のアルデヒドを含む安価な樹脂材料やリ
サイクル樹脂を使用しても写真性に悪影響を与えること
がなく、ユーザーに悪臭や刺激臭を与えて不快感を与え
ることがなくなるので好ましい。また、最近の新建材や
家具等から発生するホルムアルデヒドガス中で使用させ
るカメラボディーや樹脂製パトローネへの適用効果は大
きい。
【0168】ホルムアルデヒドスキャベンジャーとして
は、ポリアミド樹脂、アミド化合物、ウレタン化合物、
エチレン・ビニルアルコール共重合体、ピリジン誘導
体、ピロリドン誘導体、尿素誘導体、トリアジン誘導
体、ヒドラジン誘導体、有機アミノ化合物、イミド化合
物、アミジン化合物が挙げられる。具体例として、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジフェニルホルムアミド、N,N−ジフ
ェニルアセトアミド、N,N−ジフェニルベンズアミ
ド、 N,N,N',N'−テトラメチルアジバミド、シュウ
酸ジアニリド、アジピン酸ジアニリド、N−フェニルア
セトアニリド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6
6/6二元共重合体、ナイロン6/10二元共重合体、
ナイロン66/10二元共重合体、ナイロン6/66二
元共重合体、ナイロン6/12二元共重合体、ナイロン
6/66/10三元共重合体、ナイロン6/66/10
/12四元共重合体、ナイロン66/66/10三元共
重合体、ナイロン11、ナイロン12などのラクタム類
の単独重合体ないしは共重合体、アジピン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、ダイマ酸のようなジカルボン
酸とエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンのような
ジアミンから誘導されるポリアミドの単独重合体ないし
は共重合体、ラクタム類とジカルボン酸およびジアミン
から誘導されるポリアミド共重合体、ポリアクリルアミ
ド、ポリメタクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメ
チル)スベルアミド、ポリ(γ−メチルグルタメー
ト)、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリ(N−ビ
ニルラクタム)、ポリ(N−ビニルピロリドン)などの
アミド化合物、トルエンジイソシアネート、ジフェニル
メタンジイソシアネートなどのジイソシアネートと1,
4−ブタンジオールなどのグリコールおよびポリ(テト
ラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレンアジペ
ート、ポリカプロラクトンなどの高分子グリコールから
誘導されるポリウレタン、メラミン、ベンゾグアナミ
ン、アセトグアナミン、N−ブチルメラミン、N−フェ
ニルメラミン、N,N'−ジフェニルメラミン、N,N',
N"−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミ
ン、N,N'−ジメチロールメラミン、N,N',N"−トリ
メチロールメラミン、2,4−ジアミノ−6−ベンジル
オキシトリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシト
リアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシルトリ
アジン、メレム、メラムなどのトリアジン誘導体、N−
フェニル尿素、N,N'−ジフェニル尿素、チオ尿素、1
−ヒドロキシ尿素、1−メチル尿素、1−エチル尿素、
1−アセチル−3−メチル尿素、1,1−ジフェニル尿
素、1−(4−エトキシフェニル)尿素、メチル尿素、
エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、エチレン尿
素、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、アセチルウレ
ア、プロピレン尿素、5−ヒドロキシプロピレン尿素、
5−メトキシプロピレン尿素、5−メチルプロピレン尿
素、4,5−ジメトキシエチレン尿素、N−フェニルチ
オ尿素、N,N'−ジフェニルチオ尿素、ノナメチレンポ
リ尿素などの尿素誘導体、フェニルヒドラジン、ジフェ
ニルヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジ
ン、n−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、
エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,2
−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ベ
ンズアルデヒドのヒドラジン、ベンズアルデヒドのセミ
カルバゾン、ベンズアルデヒドの1−メチル−1−フェ
ニルヒドラジン、チオセミカルバゾン、4−(ジアルキ
ルアミノ)ベンズアルデヒドのヒドラジンなどのヒドラ
ジン誘導体、スクシンイミド、フタルイミド、コハク酸
イミド、ヒダントイン、1−メチロール−5,5−ジメ
チルヒダントイン、イソシアヌル酸等のイミド化合物、
ジシアンジアミド、ピロリジン、ピペリジン、モルホリ
ン、グアナミン、グアンチジン、グアニジン、アミノグ
アニジン、グアニン、グアナクリン、グアノクロール、
グアノキサン、グアノシン、アミロリド、N−アミジノ
−3−アミノ−6−クロロピラジンカルボキシアミドな
どのアミジン化合物、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポ
リ(2−メチル−5−ビニルピリジン)、ポリ(2−エ
チル−5−ビニルピリジン)、2−ビニルピリジン−2
−メチル−5−ビニルピリジン共重合体、2−ビニルピ
リジン−スチレン共重合体などのピリジン誘導体などで
ある。中でも、ナイロン6/66/610の三元共重合
体、ナイロン6/66/610/12の四元共重合体な
どのポリアミドやダイマー酸系ポリアミド、メラミン、
グアナミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、N
−メチロールメラミン、N,N'−ジメチロールメラミ
ン、N,N',N"−トリメチロールメラミン、N−メチロ
ールベンゾグアナミン、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ジ
シアンジアミド、グアニジン、ポリ(N−ビニルピロリ
ドン)、ポリ(2−ビニルピリジン)、N,N'−ジフェ
ニル尿素、ポリ尿素、メレム、メラムが好ましい。
【0169】ホルムアルデヒドスキャベンジャーの含有
量は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量部に対し
て、0.001〜40質量部であり、0.005〜30
質量部が好ましく、0.01〜20質量部がより好まし
く、0.05〜10質量部が特に好ましく、0.1〜5
質量部が最も好ましい。含有量が0.001質量部未満
であると、添加効果がほとんど無く、また、40質量部
を超えても増量効果が少なく、コストアップになるだけ
である。
【0170】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、脂肪酸金
属塩を含有させることができる。脂肪酸金属塩を含有さ
せることにより、カーボンブラック等の分散性を向上さ
せるとともに写真性を良化させることができる。
【0171】脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸、ステ
アリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル
酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール
酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸
等の高級脂肪酸とLi、Na、Mg、Ca、Sr、B
a、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cd、等の金属と
の化合物が挙げられ、好ましいものはステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリル酸カルシウム、ステアリン酸ナト
リウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン
酸マグネシウム等がある。
【0172】市販されている代表的な脂肪酸金属塩の名
称と分子式と状態と融点を表3に示す。
【0173】
【表3】
【0174】脂肪酸金属塩の含有量は、ゴム含有ポリス
チレン系樹脂100質量部に対して0.01〜10質量
部であり、0.02〜8質量部であることが好ましく、
より好ましくは0.04〜6質量部、特に好ましくは
0.06〜5質量部、最も好ましくは0.08〜4質量
部である。脂肪酸金属塩の含有量が0.01質量部未満
であると、添加効果がなく、混練費がかかるだけであ
り、10質量部を超えると、発泡や白煙やウェルドライ
ンやシルバーが発生しやすくなったり、溶融樹脂と押出
し機のスクリューとのスリップが発生しやすくなり、樹
脂の射出量が不安定になる。また、射出成形後の経時に
よりベトツキやブリードアウトが発生しやすくなり、写
真感光材料に悪影響を及ぼすようになる。
【0175】本発明による写真感光材料用射出成形品に
用いる黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、1,2−ポ
リブタジエン系熱可塑性エラストマーを含有させること
が好ましい。1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラス
トマーを含有させることにより、ゴム含有ポリスチレン
系樹脂を含む複数の異なる種類の熱可塑性樹脂の相溶化
を図ることができる。また、黒色染顔料の分散性を良化
させ、外観や物理強度を良化することができる。
【0176】1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラス
トマーの含有量は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂100
質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、
0.1〜80質量部がより好ましく、0.2〜60質量部
が特に好ましく、0.5〜40質量部が最も好ましい。
【0177】1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラス
トマーの含有量が0.05質量部未満であると、配合効
果がなく経費増となるだけである。また、100質量部
を超えると、増量効果がなく材料費が増加するだけであ
る。さらに、剛性不足等の問題も発生する。
【0178】本発明による写真感光材料用射出成形品に
は、老化防止剤を含有させることが好ましい。老化防止
剤を含有させることにより、ゴム含有ポリスチレン系樹
脂等の使用されている熱可塑性樹脂の老化を防止するこ
とができる。
【0179】老化防止剤としては、フェニル−β−ナフ
チルアミンなどのナフチルアミン系、N,N'−ジフェニ
ルエチレンジアミン、ジアルキルジフェニルアミン、
N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フ
ェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン
などのジフェニルアミン系、N,N'−ジフェニル−p−
フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン系、
6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒド
ロキナリン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジ
ヒドロキノリン、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−
2,2,4−トリメチルキノリンなどのヒドロキノン誘導
体、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールな
どモノフェノール系、2,2'−メチレン−ビス−(4−
エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレ
ン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、4,4'−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−
3−メチルフェノール)などのポリフェノール系、4,
4'−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノ
ール)などのチオビスフェノール系、2−メルカプトベ
ンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール
の亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンズイミダゾールな
どがあり、これらはそれぞれの特性に応じて任意に配合
される。
【0180】また、酸化防止剤ハンドブック(KK大成
社昭和51年10月25日発行)やプラスチックデータ
ハンドブック(KK工業調査会1984年4月5日発
行)の794〜799ページに開示された各種酸化防止
剤や、プラスチック添加剤データー集(KK化学工業社
発行)の327〜329ページに開示された各種酸化防
止剤や、PLASTICS AGE ENCYCLOPE
DIA進歩編,1986(KKプラスチック・エージ発
行)の211〜212ページに開示された各種酸化防止
剤を老化防止剤と一緒に用いると、熱劣化防止、熱分解
防止効果を大きくして物理強度低下を防止し、また、写
真性に悪影響を及ぼす物質の発生を防止できるので好ま
しい。特に、ヒンダーフェノール系酸化防止剤と一緒に
用いることが好ましい。
【0181】老化防止剤の含有量は、ゴム含有ポリスチ
レン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質
量部が適当で、0.005〜8質量部が好ましく、0.
01〜6質量部がより好ましく、0.02〜4質量部が
特に好ましく、0.03〜2質量部が最も好ましい。
【0182】老化防止剤の含有量が0.001質量部未
満であると、充分な老化防止効果を与えず、また、10
質量部を超えると、組成物に加硫障害や著しいブリード
アウトが発生する。
【0183】本発明による写真感光材料用射出成形品を
成形する黒色ポリスチレン系樹脂組成物には、上述した
物質の他、キレート剤、脂肪酸金属塩、難燃剤、難燃助
剤、防滴剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染顔料、離型
剤、加工助剤、発泡剤、補強剤、脱臭剤、防菌剤、抗菌
剤、無機アルカリ金属塩(Cと併用が好ましい。塩化マ
グネシウムや燐酸ナトリウム等)等を添加することがで
きる。
【0184】また、本発明による写真感光材料用射出成
形品を成形するには、バンバリーミキサー、オープンロ
ール、ニーダー、一軸押出機、二軸押出機、スタチック
ミキサー(静止混合器)等の一般的な混合機や混練機を用
いて、例えば150〜300℃、好ましくは180〜2
50℃の混度範囲で混合混練しペレット化し、このペレ
ット(一部添加剤を射出成形品濃度の5倍以上の濃度で
混合・混練したマスターバッチペレットと希釈用のマト
リックスペレットを射出成形品濃度になるよう定量混合
して使用するマスターバッチ法で用いてもよい)を用い
て、射出成形方法により目的の写真感光材料用射出成形
品とする。
【0185】本発明の写真感光材料用射出成形品に適応
できる成形品を以下に記載する。 1)写真ディスクフィルム用カートリッジ; 実開昭60−21743号公報等 2)レンズ付フィルムユニット; 特開昭63−226643号公報、特開平3−1293
41号公報、特開平6−11798号公報、特開平7−
295150号公報、特開平10−62910号公報、
実公平5−2919号公報、特公平2−32615号公
報、米国特許第5,773,205号明細書等 3)写真フィルム用スプール; 実開昭54−120931号公報、実開昭58−178
139〜178145号公報、実開昭63−73742
号公報、特開昭57−196218号公報、特開昭58
−82236号公報、特開昭58−82237号公報、
特開昭58−203436号公報、特開昭59−150
49号公報、特開昭62−240957号公報、特開平
3−129341号公報、特開平4−335638号公
報、特開平7−295150号公報、特開平9−319
034号公報、特開平10−83044号公報、実公昭
44−16777号公報、実公昭55−31541号公
報、米国特許第1930144号明細書、英国特許第2
199805A号明細書等 4)樹脂製写真フィルム用パトローネ; 実開昭55−97738号公報、特開昭50−3383
1号公報、特開昭54−111822号公報、特開昭5
6−87039号公報、特開昭57−190948号公
報、特開平1−251030号公報、特開平1−312
538号公報、特開平2−181141号公報、特開平
2−221956号公報、特開平3−116136号公
報、特開平3−129341号公報、特開平4−378
44号公報、特開平4−115251号公報、特開平4
−273240号公報、特開平4−320258号公
報、特開平4−335344号公報、特開平4−335
639号公報、特開平4−343353号公報、特開平
4−349454号公報、特開平7−295150号公
報、特開平9−319037号公報、特開平9−329
869号公報、特開平10−62908号公報、特開平
10−62910号公報、特開平10−83042号公
報、特開平10−123668号公報、特開平10−1
23669号公報、特公昭45−6991号公報、特公
昭55−21089号公報、米国特許第4, 846, 4
18号明細書、米国特許第4, 848,693号明細
書、米国特許第4, 887, 776号明細書 5)写真フィルムパトローネ用容器; 実開昭60−163451号公報、実開平1−8894
0号公報、実開平1−113235号公報、実開平1−
152337号公報、特開昭61−73947号公報、
特開昭61−250639号公報、特開昭62−291
639号公報、特開昭63−121047号公報、特開
平2−214855号公報、特開平2−247640号
公報、特開平3−91741号公報、特開平3−129
341号公報、特開平6−19054号公報、特開平1
0−62912号公報、実公平2−33236号公報、
実公平3−48581号公報、特公平2−38939号
公報、米国特許第4,801,011号明細書、米国特
許第4, 639, 386号明細書、米国特許第4,97
9,351号明細書、欧州特許第0237062A2号
明細書、欧州特許第0280065A1号明細書、欧州
特許第0298375A2号明細書等 6)巻芯、リール; 実開昭60−107848号公報、米国特許第4, 80
9, 923号明細書、英国特許第2033873号明細
書 7)シート写真フィルム用マガジン; 特開昭56−5141号公報等 8)写真フィルム用カートリッジ; 実開平2−24846号公報、実開平2−29041号
公報、特開平1−312537号公報、実公昭56−1
6610号公報、実公昭60−120448号公報等 9)写真フィルム用ケース; 実開昭54−100617号公報、実開昭64−323
43号公報、実開平1−94258号公報、実開平2−
56139号公報、特公平2−54934号公報、米国
特許第4, 779, 756号明細書、欧州特許第024
2905A1号明細書等 10)インスタントフィルム用パック; 実開昭61−41248号公報、特開昭62−2409
61号公報等 11)シート写真フィルム用パックおよびホルダー; 特開平4−238331号公報、特開平4−24744
0号公報、特開平4−335334号公報、特開平4−
349449号公報、特開平4−350634号公報、
特開平5−341378号公報、特開平5−34137
9号公報、特開平5−341380号公報、特開平5−
341381号公報、特開平6−75291号公報、特
開平6−75292号公報、特開平6−75293号公
報、特開平8−110568号公報、特開平8−110
569号公報、特開平8−110570号公報、特開平
8−201982号公報、特開平8−201983号公
報、特開平8−201984号公報、特開平8−262
557号公報、特開平8−262558号公報、特開平
9−179248号公報、特開平10−104737号
公報、特開平10−104801号公報、特表平4−5
04014号公報、米国特許第4,725,865号明細
書、米国特許第4,821,055号明細書等 12)樹脂製写真フィルムパトローネ; 特開昭50−33831号公報、特開昭57−1909
48号公報、特開平1−312538号公報、特公昭4
5−6991号公報、特公昭55−21089号公報、
実開昭55−97738号公報、米国特許第4,83
4,306号明細書、米国特許第4,846,418号
明細書、米国特許第4,887,776号明細書等 13)カメラ; 例えば、特開平1−191836号公報、特開平2−6
4533号公報等に記載の光密性カートリッジを使用す
るカメラ、特開平6−8886号、特開平6−9990
8号等の各公報に記載の簡易装填式のカメラ、特開平6
−57398号、特開平6−101135号等の各公報
記載の自動巻き上げ式のカメラ、特開平6−20569
0号公報等に記載の撮影途中でフィルムの種類を取り出
し交換できるカメラ、特開平5−293138号、特開
平5−283382号等の各公報記載の撮影時の情報、
例えば、パノラマ撮影、ハイヴィジョン撮影、通常撮影
(プリントアスペクト比選択の出来る磁気記録可能)を
フィルムに磁気記録できるカメラ、特開平6−1011
94号公報記載の二重露光防止機能を有するカメラ、特
開平5−150577号公報に記載の写真フィルム等の
使用状態表示機能の付いたカメラ、特開平10−550
12号公報等に記載のカメラのスプール室等 14)自現機; 特開平6−222514号公報、特開平6−22254
5号公報等
【0186】本発明による写真感光材料用射出成形品が
適用可能な写真感光材料を以下に示す。 (1) ハロゲン化銀写真感光材料(印刷用フィルム、カ
ラーまたは白黒印画紙、カラーまたは白黒ネガフィル
ム、印刷用マスター紙、DTR(拡散転写)感光材料、
電算写植フィルムおよびペーパー、カラーまたは白黒ポ
ジフィルム、カラーリバーサルフィルム、マイクロフィ
ルム、サーベランスフィルム、映画用フィルム、自己現
像型写真感光材料、直接ポジ型フィルムおよびペーパー
等)(特開平4−136838号公報、特開平4−17
2339号公報、特開平5−113623号公報、特開
平9−325450号公報、特開平10−62901号
公報、特開平10−62903号公報、特開平10−6
2904号公報、特開平10−62905号公報、特開
平10−62906号公報、特開平10−62921号
公報、特開平10−142731号公報等) (2) 熱現像感光材料(熱現像カラー感光材料、熱現像
白黒感光材料(例えば特公昭43−4921号公報、同
43−4924号公報、「写真工学の基礎」銀塩写真編
(1879年コロナ社刊行)の553頁〜555頁および
リサーチ・ティスクロージャー誌 1978年6月号9
頁〜15頁(RD−17029)等に記載されているも
の。さらに、特開昭59−12431号公報、同60−
2950号公報、同61−52343号公報、特開平7
−13295号公報、同10−52509号公報、同1
0−62898号公報、同10−62899号公報、同
10−186567号公報、同10−268465号公
報、同10−339934号公報等や米国特許第3,4
57,075号明細書、米国特許第3,574,627号
明細書、米国特許第4,042,394号明細書、米国特
許第4,584,267号明細書に記載されている転写方
式の熱現像カラー写真感光材料等)) (3) 感光・感熱性記録材料(特開平3−72358号
公報等に記載されているフォトサーモグラフィー(感光
・感熱画像形成方法)を用いた記録材料) (4) ジアゾニウム写真感光材料(4−モルフォリノベ
ンゼンジアゾニウムマイクロフィルム、マイクロフィル
ム、複写用フィルム、印刷用版材等) (5) アジド、ジアジド系写真感光材料(パラアジドベ
ンゾエード、4,4'ジアジドスチルベン等を含む感光材
料、例えば複写用フィルム、印刷用版材等) (6) キノンジアジド系写真感光材料(オルソーキノン
ジアジド、オルソーナフトキノンジアジド系化合物、例
えばベンゾキノン(1,2)−ジアジド−(2)−4−スル
フォン酸フェニルエーテル等を含む写真感光材料、例え
ば印刷用版材、複写用フィルム、密着用フィルム等) (7) フォトポリマー(ビニル系モノマー等を含む写真
感光材料、印刷用版材、密着用フィルム等) (8) ポリビニル桂皮酸エステル系感光材料(例えば印
刷用フィルム、IC用レジスト等) (9) 乾式画像形成材料(支持体上に、内部に少なくと
も光硬化性化合物、光開始剤および色素前駆体を有する
層を有し、該マイクロカプセルを含有する層または隣接
する層に顕色剤を有する特開平11−2884号公報等
に記載されている記録材料)
【0187】本発明による写真感光材料用射出成形品
は、色素増感および/または化学増感されている写真感
光材料を収納する成形品として特に有意義である。
【0188】写真感光材料を構成するハロゲン化銀乳剤
は、必要により他の乳剤とともに支持体上に一層もしく
は二層以上設けることができる。また、支持体の片側に
限らず両面に設けることができる。また、異なる感色性
の乳剤として重層することもできる。本発明におけるハ
ロゲン化銀乳剤は、黒白ハロゲン化銀写真感光材料(例
えば、Xレイ感材、リス型感材、白黒映画用フィルム、
黒白印画紙、電算写植フィルム、電算写植印画紙、マイ
クロフィルム、黒白撮影用ネガフィルムなど)やカラー
写真感光材料(例えば、カラーポジフィルム、カラーネ
ガフィルム、カラー印画紙、カラー反転フィルム等)に
用いることができる。さらに、拡散転写用感光材料(例
えば、カラー拡散転写要素、銀塩拡散転写要素)、熱現
像写真感光材料(黒白、カラー)等にも用いることがで
きる。
【0189】本発明におけるハロゲン化銀写真感光材料
の乳剤層のその他の構成については特に制限はなく、必
要に応じて種々の添加剤を用いることができる。添加す
ることのできる代表的な添加剤としては、化学増感剤、
分光増感剤(色素増感剤)、かぶり防止剤、金属イオンド
ープ剤、ハロゲン化銀溶剤、安定剤、染料、カラーカプ
ラー、DIRカプラー、バインダー、硬膜剤、塗布助
剤、増粘剤、乳剤、沈降剤、可塑剤、寸度安定改良剤、
帯電防止剤、蛍光増白剤、滑剤、界面活性剤、紫外線吸
収剤、散乱または吸収材料、硬化剤、接着防止、写真特
性改良剤(例えば現像促進剤、硬調化剤など)、現像剤
等写真的に有利なフラグメント(現像抑制剤または促進
剤、漂白促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、トナー、
硬膜剤、カブリ防止剤、競争カプラー、化学または分光
増感剤および減感剤)を放出するカプラー、像色素安定
剤、自己抑制現像剤、およびその使用法、また、分光増
感における超増感、分光増感色素のハロゲン受容体効果
や電子受容体効果、かぶり防止剤、安定剤、現像促進剤
または抑制剤の作用、その他、本発明における乳剤の製
造に用いる製造装置、反応装置、攪拌装置、塗布、乾燥
法、露光法(光源、露光雰囲気、露光方法)、そして写
真支持体、微孔性支持体、下塗り層、表面保護層、マッ
ト剤、中間層、ハレーション防止層、AgX乳剤の層構
成および写真処理剤、写真処理方法についてはリサーチ
・デスクロージャー誌,176巻,1978年,12月
号(アイテム17643)、同184巻,1979年,8月
号(アイテム18431)、同134巻,1975年,6
月号(アイテム13452)、プロダクト・ライセンシン
グインデックス誌,92巻,107〜110(1971
年12月)、特開昭58−113926〜113928
号、同62−3134号、同62−6251号、日化協
月報,1984年,12月号,P18〜27、特開昭6
2−219982号、T.H.James,The The
ory of ThePhotographic Pro
cess,Fourth Edission,Macmi
llan,New York,1977年、V.L.Ze
likmanet al.著,Making and Co
ating PhotographicEmulsio
n(The Focal Press刊,1964年)等
の記載を参考にすることができる。
【0190】ハロゲン化銀乳剤の主要構成成分である感
光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては、塩化銀、臭
化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭化銀お
よびヨウ塩臭化銀乳剤を含んでなることができる。
【0191】感光性ハロゲン化銀は、何れのサイズおよ
び形状の粒子も含有することができる。したがって、感
光性ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、立方八面
体、平板状、球状、棒状等の任意形態を取ることができ
る。本発明用としては、平板状粒子若しくは立方体状粒
子が好ましい。
【0192】ハロゲン化銀乳剤は化学増感されていなく
ても良いが、化学増感されていることが好ましい。ハロ
ゲン化乳剤の化学増感の方法として、硫黄増感、セレン
増感、テルル増感、還元増感および貴金属増感の何れを
も単独で用いても、また併用して化学増感してもよい。
【0193】貴金属増感のうち金増感法はその代表的な
もので金化合物、主として金錯塩を用いる。金以外の貴
金属、例えば白金、パラジウム、プラチナ、イリジウ
ム、ロジウム等の錯塩を用いることができる。その具体
例は、特開平7−128768号公報、米国特許第2,
448,060号、英国特許第618,016号などに
記載されている。硫黄増感剤としては、ゼラチン中に含
まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチ
オ硫黄ナトリウム等のチオ硫酸塩、アリルチオ尿素等の
チオ尿素類、チアゾール類、アリルイソチオシアネー
ト、ローダニン類等を用いることができる。還元増感剤
としては、例えばポリアミン類、第1スズ塩等を用いる
ことができる。
【0194】色素増感作用を有する増感色素は、物理熟
成の防止剤、あるいは高pAgでの立方体形成を可能と
する晶癖制御剤として粒子形成工程において使用可能で
あるが、本来は、ハロゲン化銀乳剤の感光可能な放射線
の波長を固有域よりも長波な領域に広げるという目的の
ために使用するものである。増感色素による分光増感を
行わない場合には、立方体の完全率を向上しても写真感
光材料の写真性の改良効果は小さいが、増感色素により
分光増感を行ったとき初めて実質的に完全な立方体を使
用する効果が非常に大きなものとなる。
【0195】ハロゲン化銀乳剤に用いることができる増
感色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シ
アニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシア
ニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミ
オキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シ
アニン色素、メロシアニン色素および複合シアニン色
素、複合メロシアニン色素、ヘミシアニン色素、オキソ
ノール色素等の増感色素である。これらの増感色素に
は、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用さ
れる核のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン
核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキ
サゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾ
ール核、テトラゾール核、ピリジン核、これらの核に脂
環式炭化水素環が融合した核、およびこれらの核に芳香
族炭化水素環が融合した核、すなわち、インドレニン
核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキ
サドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール
核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベン
ズイミダゾール核、キノリン核などが適用できる。これ
らの核は炭素原子上に置換されていてもよい。
【0196】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリ
ン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサ
ゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリン−2,4−ジオ
ン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5〜
6員異節環核を適用することができる。
【0197】これらの色素増感作用を有する増感色素は
単独に用いてもよいが、それらの組み合わせを用いても
よく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしば
しば用いられている。その代表例は、米国特許第2,6
88,545号、同2,977,229号、同3,39
7,060号、同3,522,052号、同3,52
7,641号、同3,617,293号、同3,62
8,964号、同3,666,480号、同3,67
2,898号、同3,679,428号、同3,70
3,377号、同3,769,301号、同3,81
4,609号、同3,837,862号、同4,02
6,707号、英国特許第1,344,281号、同
1,507,803号、特公昭43−4936号、同5
3−12375号、特開昭52−110618号、同5
2−109925号に記載されている。
【0198】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよ
い。添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり、4×10-6
〜8×10-3モルで用いることができる。
【0199】ハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セレン増
感、金増感、パラジウム増感または貴金属増感、還元増
感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程の任
意の工程で施すことができる。2種以上の増感法を組み
合わせることは好ましい。どの工程で化学増感するかに
よって種々のタイプの乳剤を調製することができる。感
光性ハロゲン化銀粒子の内部に化学増感核をうめ込むタ
イプ、感光性ハロゲン化銀粒子表面から浅い位置にうめ
込むタイプがある。ハロゲン化銀乳剤は目的に応じて化
学増感核の場所を選ぶことができるが、一般に好ましい
のは表面近傍に少なくとも一種の化学増感核を作った場
合である。
【0200】好ましく実施しうる化学増感の一つはカル
コゲン増感と貴金属増感の単独または組合せであり、ジ
ェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィッ
ク・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、
(T.H.James、TheTheory of the
Photographic Process,4the
d,Macmillan,1977)67〜76頁に記
載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができる
し、また、リサーチ・ディスクロージャー、120巻、
1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロー
ジャー、34巻、1975年6月、13452、米国特
許第2,642,361号、同同3,297,446
号、同3,772,031号、同3,857,711
号、同3,901,714号、同4,266,018
号、および同3,904,415号、並びに英国特許第
1,315,755号に記載されるようにpAg5〜1
0、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、
セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムま
たはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。
貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジ
ウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に金増
感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。金増
感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、
カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド
等の公知の化合物を用いることができる。パラジウム化
合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好
ましいパラジウム化合物は、R2PdX5またはR2Pd
4で表される。ここでRは水素原子、アルカリ金属原
子またはアンモニウム基を表す。Xはハロゲン原子を表
し塩素、臭素またはヨウ素原子を表す。
【0201】具体的には、K2PdCl4、(NH4)2Pd
Cl5、Na2PdCl4、(NH4)2PdCl4、Li2
PdCl4、Na2PdCl5またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。
【0202】硫黄増感剤として、ハイボ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,7
11号、同4,266,018号および同4,054,4
57号に記載されている硫黄含有化合物を用いることが
できる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感する
こともできる。有用な化学増感助剤には、アザインデ
ン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増
感の過程でカブリを抑制し、かつ感度を増大するものと
して知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤
の例は、米国特許第2,131,038号、同3,41
1,914号、同3,554,757号、特開昭58−1
26526号および前述ダフィン著,「写真乳剤化
学」,138〜143頁に記載されている。
【0203】金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀
1モル当たり1×10-4〜1×10 -7モルであり、さら
に好ましいのは1×10-5〜5×10-7モルである。パ
ラジウム化合物の好ましい範囲は1×10-3から5×1
-7である。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化
合物の好ましい範囲は5×10-2から1×10-5であ
る。
【0204】ハロゲン化銀粒子に対して使用する好まし
い硫黄増感剤量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10
-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのは1×1
-5〜5×10-7モルである。
【0205】ハロゲン化銀乳剤に対して好ましい増感法
としてセレン増感がある。セレン増感においては、公知
の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状
金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメ
チルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素等)、セ
レノケトン類、セレノアミド類、等のセレン化合物を用
いることができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金
属増感あるいはその両方と組み合わせて用いた方が好ま
しい場合がある。
【0206】ハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、粒子形成
後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、あるいは化学
増感後に還元増感することは好ましい。
【0207】ここで還元増感とはハロゲン化銀乳剤に還
元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜
7の低pAgの雰囲気で成長させるあるいは、熟成させ
る方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの
雰囲気で成長させるあるいは熟成させる方法のいずれを
も選ぶことができる。また2つ以上の方法を併用するこ
ともできる。還元増感剤を添加する方法は還元増感のレ
ベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
【0208】還元増感剤として第一錫塩、アスコルビン
酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒド
ラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化
合物、ボラン化合物などが公知である。還元増感にはこ
れら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また
2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤
として塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボ
ラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合
物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存す
るので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル
当たり10-7〜10-3モルの範囲が適当である。
【0209】還元増感剤は水あるいはアルコール類、グ
リコール類、ケトン類、エステル類、アミド類などの溶
媒に溶かし粒子成長中に添加される。あらかじめ反応容
器に添加するのもよいが、粒子成長の適当な時期に添加
する方法が好ましい。また水溶性銀塩あるいは水溶性ア
ルカリライドの水溶性にあらかじめ還元増感剤を添加し
ておき、これらの水溶液を用いて感光性ハロゲン化銀粒
子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に伴って還元増
感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間
添加するのも好ましい方法である。
【0210】写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存
中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真
性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させる
ことができる。すなわちチアゾール類、例えばベンゾチ
アゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンゾイ
ミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベ
ンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカ
プトベンゾチアゾール類、メルカプトベンゾイミダゾー
ル類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾー
ル類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾー
ル類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−
5−メルカプトテトラゾール)など;メルカプトピリミ
ジン類;メルカプトトリアジン類;たとえばオキサドリ
ンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例
えばトリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に
4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)チトラアザイ
ンデン類)、ペンタアザイデン類などのようなカブリ防
止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加え
ることができる。たとえば米国特許第3,954,47
4号、同3,982,947号、特公昭52−2866
0号に記載されたものを用いることができる。好ましい
化合物の一つに特開昭63−20842号に記載された
化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成
前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散
時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のい
ろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳
剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果
を発現する以外に、粒子の晶癖を制御する、粒子サイズ
を小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を
制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いるこ
とができる。
【0211】本発明に使用できる各種公知の写真用添加
剤も下記の3つのリサーチ・ディスクロージャーに記載
されており、下記の表4に関連する記載箇所を示す。
【0212】
【表4】
【0213】本発明の写真感光材料用射出成形品を用い
るのに好ましい写真感光材料の写真層について記載す
る。ハロゲン化銀乳剤層としては黒白用カラー用何れで
もよい。最初にカラーハロゲン化銀写真感光材料につい
て説明する。写真感光材料は、支持体上に青感色性層、
緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層の少なく
とも1層が設けられていればよく、ハロゲン化銀乳剤層
および非感光性層の層数および層順に特に制限はない。
典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同
じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層か
らなる感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写
真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光、およ
び赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であ
り、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、
一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色
性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しか
し、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一
感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順を
もとりえる。
【0214】前記ハロゲン化銀感光性層の間および最上
層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設けても
よい。該中間層には、特開昭61−43748号、同5
9−113438号、同59−113440号、同61
−20037号、同61−20038号明細書に記載さ
れているようなカプラー、DIR化合物等が含まれてい
てもよく、通常用いられるように混色防止剤を含んでい
てもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化
銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号あるいは
英国特許第923,045号、特開昭57−11275
1号、同62−200350号、同62−206541
号、同62−206543号、同56−25738号、
同62−63936号、同59−202464号、特公
昭55−34932号、同49−15495号明細書に
記載されている。ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面
体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球
状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面
などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形
でもよい。
【0215】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャーN
o.17643および同No.18716に記載されてお
り、その該当箇所を表5にまとめた。また、使用できる
公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・ディスク
ロージャーに記載されており、下記の表5に関連する記
載箇所を示した。
【0216】
【表5】
【0217】写真感光材料は、前述のRD.No.176
43の28〜29頁、および同No.18716の61
5左欄〜右欄に記載された通常の方法によって現像処理
することができる。ハロゲン化銀カラー感光材料には処
理の簡略化および迅速化の目的で発色現像主薬を内蔵し
ても良い。内蔵するためには、発色現像主薬の各種ブレ
カーサーを用いるのが好ましい。
【0218】本発明の写真感光材料用射出成形品は熱現
像写真感光材料にも用いることができる。この熱現像写
真感光材料は、最近実用化されたものであり、湿度や酸
素ガスの影響を受けやすい高精密の写真感光材料であ
り、概要を以下に示す。
【0219】本発明において熱現像写真感光材料の画像
形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテック
スの具体例としては以下のようなものがある。メチルメ
タクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポ
リマーのラテックス、メチルメタクリレート/2エチル
ヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コ
ポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニ
ルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メ
チルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート
/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテッ
クスなど。また、このようなポリマーは市販もされてい
て、以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリ
ル樹脂の例として、セビアンA−4635,4658
3,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nip
olLx811,814,821,820,857(以
上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650,611,675,850
(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、Wm
S(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン
樹脂としてはHYDRAN AP10,20,30,40
(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂とし
てはLACSTAR7310K,3307B,4700
H,7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Ni
pol Lx416,410,438C,2507(以上日
本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG35
1,G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリ
デン樹脂としてはL502,L513(以上旭化成工業
(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS−
120,SA100(以上三井石油化学(株)製)などを
挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いて
もよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても
良い。
【0220】本発明において有機銀塩含有液体もしくは
熱画像形成層塗布液は全バインダーの50wt%以上が
上記ポリマーラテックスであることが好ましく、70w
t%以上が上記ポリマーラテックスであることがさらに
好ましい。
【0221】本発明において有機銀塩含有液体もしくは
熱画像形成層塗布液には必要に応じて全バインダーの5
0wt%未満の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良
い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全
バインダーの30wt%以下が好ましい。
【0222】本発明において有機銀塩含有液体もしくは
熱画像形成層塗布液は水系であることが好ましい。ただ
し、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の
30wt%以上が水であることをいう。塗布液の水以外
の成分はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソル
ブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性
の有機溶媒を用いることができる。具体的な溶媒組成の
例としては以下のようなものがある。水/メタノール=
90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノ
ール=90/10、水/イソプロパノール=90/1
0、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノ
ール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メ
タノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5(ただ
し数字はwt%を表す。)。
【0223】本発明において画像形成層における全バイ
ンダー量は、0.2〜30g/m2が好ましく、より好
ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。画像形成
層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活
性剤などを添加してもよい。
【0224】本発明における感光性ハロゲン化銀の形成
方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチ
ディスクロージャー1978年6月の第17029号、
および米国特許第3,700,458号に記載されている
方法を用いることができる。本発明で用いることのでき
る具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロ
ゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一
部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンある
いは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロゲ
ン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀
粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることがで
きる。本発明において好ましくは後者の方法を用いるこ
とができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは
0.01μm以上0.15μm以下、さらに好ましくは
0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう
粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八
面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子
の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒
子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換
算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、た
とえば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀
粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0225】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:
1がよい。さらに、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸ま
った粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲ
ン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については
特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光
増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが
好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、6
5%以上がより好ましく、80%以上がさらに好まし
い。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着に
おける{111}面と{100}面との吸着依存性を利
用したT.Tani;J.Imaging Sci.,2
9,165(1985年)に記載の方法により求めること
ができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては
特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化
銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良い
が、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好
ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀
であり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%
以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がよ
り好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一
であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化した
ものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい
が、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高い
ヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好まし
くはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用い
ることができる。構造としては好ましくは2〜5重構
造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を
用いることができる。
【0226】本発明において感光性ハロゲン化銀粒子
は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イ
リジウム、コバルト、水銀または鉄から選ばれる金属の
錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら
金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属
の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀
1モルに対し1nモルから10mモルの範囲が好まし
く、10nモルから100μモルの範囲がより好まし
い。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225
449号等に記載された構造の金属錯体を用いることが
できる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属
錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、
フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサ
シアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の
含有相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよ
く、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に
制限はない。
【0227】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが、本発明においては脱
塩してもしなくてもよい。
【0228】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は
化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感
法としては当業界でよく知られているように硫黄増感
法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができ
る。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合
物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができ
る。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好まし
く用いられる化合物としては公知の化合物を用いること
ができるが、特開平7−128768号等に記載の化合
物を使用することができる。テルル増感剤としては例え
ばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テル
リド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテ
ルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビ
ス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有す
る化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテ
ルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テル
リド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロス
ルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘ
テロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合
物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金
属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩
化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチ
オシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特
許2,448,060号、英国特許618,061号な
どに記載されている化合物を好ましく用いることができ
る。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン
酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミ
ノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラ
ン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いる
ことができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAg
を8.3以下に保持して熟成することにより還元増感す
ることができる。また、粒子形成中に銀イオンのシング
ルアディション部分を導入することにより還元増感する
ことができる。
【0229】本発明において感光性ハロゲン化銀の使用
量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀
0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02
モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル
以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した
感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条
件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子
と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コ
ロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方
法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミン
グで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀
塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現
れる限りにおいては特に制限はない。
【0230】本発明においてハロゲン化銀調製法として
は、有機銀塩の一部の銀を有機または無機のハロゲン化
物でハロゲン化するいわゆるハライデーション法も好ま
しく用いられる。ここで用いる有機ハロゲン化物として
は有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物で有
ればいかなる物でもよいが、N−ハロゲノイミド(N−
ブロモスクシンイミドなど)、ハロゲン化4級窒素化合
物(臭化テトラブチルアンモニウムなど)、ハロゲン化
4級窒素塩とハロゲン分子の会合体(過臭化臭化ピリジ
ニウム)などが挙げられる。無機ハロゲン化合物として
は有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物で有
ればいかなる物でもよいが、ハロゲン化アルカリ金属ま
たはアンモニウム(塩化ナトリウム、臭化リチウム、沃
化カリウム、臭化アンモニウムなど)、ハロゲン化アル
カリ土類金属(臭化カルシウム、塩化マグネシウムな
ど)、ハロゲン化遷移金属(塩化第2鉄、臭化第2銅な
ど)、ハロゲン配位子を有する金属錯体(臭化イリジウ
ム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸アンモニウムなど)、
ハロゲン分子(臭素、塩素、沃素)などがある。また、
所望の有機無機ハロゲン化物を併用しても良い。
【0231】本発明でハライデーションする際のハロゲ
ン化物の添加量としては有機銀塩1モル当たりハロゲン
原子として1mモル〜500mモルが好ましく、10m
モル〜250mモルがさらに好ましい。
【0232】本発明における感光性ハロゲン化銀は増感
色素で分光増感されてもよい。
【0233】本発明において増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCHDISCL
OSURE Item 17643IV−A項(1978
年12月,p.23)、同Item 1831X項(19
79年8月,p.437)に記載もしくは引用された文
献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、
スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分
光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択
することができる。
【0234】赤色光への分光増感の例としては、He−
Neレーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわ
ゆる赤色光源に対しては、特開昭54−18726号に
記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−753
22号に記載のI−1からI−35の化合物および特開
平7−287338号に記載のI−1からI−34の化
合物、特公昭55−39818号に記載の色素1から2
0、特開昭62−284343号に記載のI−1からI
−37の化合物および特開平7−287338号に記載
のI−1からI−34の化合物などが有利に選択され
る。
【0235】750〜1400nmの波長領域の半導体
レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、ス
チリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノー
ルおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素によ
り、スペクトル的に有利に増感させることができる。有
用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾ
リン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チ
アゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核など
の塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシ
アニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加え
て、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジ
ンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、
チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核
などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニ
ン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有す
るものが特に効果的である。例えば、米国特許3,76
1,279号、同3,719,495号、同3,877,9
43号、英国特許1,466,201号、同1,46
9,117号、同1,422,057号、特公平3−10
391号、同6−52387号、特開平5−34143
2号、同6−194781号、同6−301141号に
記載されたような既知の色素から適当に選択してよい。
【0236】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62−58239号、
同3−138638号、同3−138642号、同4−
255840号、同5−72659号、同5−7266
1号、同6−222491号、同2−230506号、
同6−258757号、同6−317868号、同6−
324425号、特表平7−500926号、米国特許
5,541,054号に記載された色素)、カルボン酸基
を有する色素(例としては特開平3−163440号、
同6−301141号、米国特許5,441,899号
に記載された色素)、メロシアニン色素、多核メロシア
ニン色素や多核シアニン色素(特開昭47−6329
号、同49−105524号、同51−127719
号、同52−80829号、同54−61517号、同
59−214846号、同60−6750号、同63−
159841号、特開平6−35109号、同6−59
381号、同7−146537号、同7−146537
号、特表平55−50111号、英国特許1,467,
638号、米国特許5,281,515号に記載された
色素)が挙げられる。
【0237】また、J−bandを形成する色素として
米国特許5,510,236号、同3,871,887
号の実施例5記載の色素、特開平2−96131号、特
開昭59−48753号が開示されており、本発明に好
ましく用いることができる。
【0238】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure,176巻,
17643(1978年12月発行),第23頁,IV
のJ項、あるいは特公昭49−25500号、同43−
4933号、特開昭59−19032号、同59−19
2242号等に記載されている。
【0239】本発明に用いられる増感色素は2種以上を
併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加
せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよい
し、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、アセトン、メチルセルソルブ、 2,2,3,3−テト
ラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタ
ノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキ
シ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もし
くは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0240】また、米国特許3,469,987号明細
書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤
に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散
し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−
23389号、同44−27555号、同57−220
91号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、
該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させ
て水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許3,8
22,135号、同4,006,025号明細書等に開示
されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるい
はコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、
特開昭53−102733号、同58−105141号
に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接
分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭
51−74624号に開示されているように、レッドシ
フトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤
中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に
超音波を用いることもできる。
【0241】本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳
剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認め
られている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。
例えば米国特許2,735,766号、同3,628,96
0号、同4,183,756号、同4,225,666
号、特開昭58−184142号、同60−19674
9号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀
の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱塩工程
中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時
期、特開昭58−113920号等の明細書に開示され
ているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化
学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならば
いかなる時期、工程において添加されてもよい。また、
米国特許4,225,666号、特開昭58−7629
号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単
独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば
粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後
とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに
分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加
する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添
加してもよい。
【0242】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが
好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0243】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利にな
ることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モ
ルあたりの0.1〜50モル%の量含まれることが好ま
しく、0.5〜20モル%含まれることがさらに好まし
い。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように
誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0244】有機銀塩を利用した熱現像写真感光材料に
おいては広範囲の色調剤が特開昭46−6077号、同
47−10282号、同49−5019号、同49−5
020号、同49−91215号、同49−91215
号、同50−2524号、同50−32927号、同5
0−67132号、同50−67641号、同50−1
14217号、同51−3223号、同51−2792
3号、同52−14788号、同52−99813号、
同53−1020号、同53−76020号、同54−
156524号、同54−156525号、同61−1
83642号、特開平4−56848号、特公昭49−
10727号、同54−20333号、米国特許3,0
80,254号、同3,446,648号、同3,782,
941号、同4,123,282号、同4,510,236
号、英国特許1,380,795号、ベルギー特許84
1,910号などに開示されている。色調剤の例は、フ
タルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシ
ンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノ
ン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フ
ェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリ
ジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例え
ば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバ
ルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロア
セテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾー
ル、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト
−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例
示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリール
ジカルボキシイミド(例えば、(N,N−ジメチルアミ
ノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミ
ノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミ
ド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウ
ム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N−ヘ
キサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチ
ルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)
ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)およ
び2−トリブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチアゾ
ール));ならびに3−エチル−5[(3−エチル−2
−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]
−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジ
ノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−
(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノ
ン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒ
ドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラ
ジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチ
ルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無
水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン
誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタ
ラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフ
タラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導
体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、
4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラ
クロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオ
ン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;
色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成
のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム
錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウ
ム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロ
ジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫
酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化
水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−
メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよ
び6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジ
オンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミ
ジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロ
キシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジ
ンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン
誘導体(例えば、3,6−ジメチルカプト−1,4−ジフ
ェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペ
ンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−
3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−
テトラアザペンタレン)などがある。
【0245】本発明において色調剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0246】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対してさらに
保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定
化することができる。単独または組合せて使用すること
ができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆
体は、米国特許第2,131,038号および同第2,6
94,716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,
886,437号および同第2,444,605号に記載
のアザインデン、米国特許第2,728,663号に記載
の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載のウラ
ゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホ
カテコール、英国特許第623,448号に記載のオキ
シム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,
839,405号に記載の多価金属塩、米国特許第3,
220,839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米
国特許第2,566,263号および同第2,597,91
5号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第
4,108,665号および同第4,442,202号
に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,12
8,557号および同第4,137,079号、第4,
138,365号および同第4,459,350号に記
載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985
号に記載のリン化合物などがある。
【0247】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−11
9624号、同50−120328号、同51−121
332号、同54−58022号、同56−70543
号、同56−99335号、同59−90842号、同
61−129642号、同62−129845号、特開
平6−208191号、同7−5621号、同7−27
81号、同8−15809号、米国特許第5,340,7
12号、同5,369,000号、同5,464,737号
に開示されているような化合物が挙げられる。
【0248】本発明においてカブリ防止剤は、溶液、粉
末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよ
い。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボー
ルミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、
固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0249】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えること
が有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩
は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する
水銀の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ま
しくは1nモル〜1mモル、さらに好ましくは10nモ
ル〜100μmモルの範囲である。
【0250】本発明における熱現像写真感光材料は高感
度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても
良い。本発明において安息香酸類はいかなる安息香酸誘
導体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許
4,784,939号、同4,152,160号、特願平
8−151242号、同8−151241号、同8−9
8051号などに記載の化合物が挙げられる。本発明に
おいて安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加して
も良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添
加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加すること
がさらに好ましい。本発明において安息香酸類の添加時
期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、
有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗
布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後か
ら塗布直前が好ましい。本発明において安息香酸類の添
加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方
法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤な
ど他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本
発明において安息香酸類の添加量としてはいかなる量で
も良いが、銀1モル当たり1μモル以上2モル以下が好
ましく、1mモル以上0.5モル以下がさらに好まし
い。
【0251】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。
【0252】本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−Sm、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ
(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の
炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択され
るものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香化合物
としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メ
ルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチ
アゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾ
ール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2,2'−ジチオビス−(ベンゾチアゾール、3−メ
ルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニ
ル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダ
ゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6
−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、 4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チア
ジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−
トリアゾール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミ
ジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−
2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチ
ルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フ
ェニル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4
−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明は
これらに限定されない。
【0253】これらのメルカプト化合物の添加量として
は乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの
範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり
0.01〜0.3モルの量である。
【0254】本発明における感光性層には、可塑剤およ
び潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第
2,960,404号に記載された種類のグリセリンお
よびジオール)、米国特許第2,588,765号およ
び同第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエス
テル、英国特許第955,061号に記載のシリコーン
樹脂などを用いることができる。
【0255】本発明は、超硬調画像形成のため超硬調化
剤を用いることができる。例えば、米国特許第5,46
4,738号、同5,496,695号、同6,512,4
11号、同5,536,622号、日本特許特願平7−
228627号、同8−215822号、同8−130
842号、同8−148113号、同8−156378
号、同8−148111号、同8−148116号に記
載のヒドラジン誘導体、あるいは、日本特許特願平8−
83566号に記載の四級窒素原子を有する化合物や米
国特許第5,545,515号に記載のアクリロニトリル
化合物を用いることができる。化合物の具体例として
は、前記米国特許第5,464,738号の化合物1〜1
0、同5,496,695号のH−1〜H−28、特願平
8−215822号のI−1〜I−86、同8−130
842号のH−1〜H−62、同8−148113号の
1−1〜1−21、同8−148111号の1〜50、
同8−148116号の1〜40、同8−83566号
のP−1〜P−26、およびT−1〜T−18、米国特
許第5,545,515号のCN−1〜CN−13など
が挙げられる。
【0256】また、本発明は超硬調画像形成のために、
前記の超硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用すること
ができる。例えば、米国特許第5,545,505号に記
載のアミン化合物、具体的にはAm−1〜Am−5、同
5,545,507号に記載のヒドロキサム酸類、具体的
にはHA−1〜HA−11、同5,545,507号に記
載のアクリロニトリル類、具体的にはCN−1〜CN−
13、同5,558,983号に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA−1〜CA−6、日本特許特願平8
−132836号に記載のオニューム塩類、具体的には
A−1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−1
4などを用いることができる。
【0257】これらの超硬調化剤、および硬調化促進剤
の合成方法、添加方法、添加量等は、それぞれの前記引
用特許に記載されているように行うことができる。
【0258】本発明における画像形成材料は画像形成層
の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができ
る。
【0259】本発明において表面保護層のバインダーと
してはいかなるポリマーでもよいが、カルボン酸残基を
有するポリマーを100mg/m2以上5g/m2以下含
むことが好ましい。ここでいうカルボキシル残基を有す
るポリマーとしては天然高分子(ゼラチン、アルギン酸
など)、変成天然高分子(カルボキシメチルセルロー
ス、フタル化ゼラチンなど)、合成高分子(ポリメタク
リレート、ポリアクリレート、ポリアルキルメタクリレ
ート/アクリレート共重合体、ポリスチレン/ポリメタ
クリレート共重合体など)などがあげられる。該ポリマ
ーのカルボキシ残基の含有量としてはポリマー100g
当たり10mmol以上1.4mol以下であることが
好ましい。また、カルボン酸残基はアルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、有機カチオンなどと塩を
形成してもよい。
【0260】本発明において表面保護層としては、いか
なる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例
としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラス
トマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタ
ジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレ
ン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレー
ト、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などが
ある。また、表面保護層には架橋のための架橋剤、塗布
性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0261】本発明における画像形成層もしくは画像形
成層の保護層には、米国特許第3,253,921号、
同第2,274,782号、同第2,527,583号
および同第2,956,879号に記載されているよう
な光吸収物質およびフィルター染料を含む写真要素にお
いて使用することができる。また、例えば米国特許第
3,282,699号に記載のように染料を媒染すること
ができる。フィルター染料の使用量としては露光波長で
の吸光度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に
好ましい。
【0262】本発明による写真感光材料用射出成形品の
実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に
よる写真感光材料用射出成形品としての写真フィルム用
スプール10の正面図で、この写真フィルム用スプール
10全体が本発明で規定した樹脂組成物で形成されてい
る。
【0263】図2は、本発明による写真感光材料用射出
成形品としての帯状感光材料用コア20の反樹脂注入口
(反ゲート)側の斜視図で、この帯状感光材料用コア2
0の全体が本発明の樹脂組成物で形成されている。この
帯状感光材料用コアの外円筒21の内表面には高さ0.
0001〜0.07mmの環状の凸条22が複数本設け
られており帯状感光材料用コアの射出成形性や物理強度
および外観を良化させている。
【0264】図3は、本発明による写真感光材料用射出
成形品としての感光性帯材容器30の分解斜視図で、こ
の感光性帯材容器30は、感光性帯材からなるロール3
1を収容するための開口部とロール31を収容するとき
そのリーダー部32を外に取り出すためのスロット34
とを有する本体35と、ロール31を収容した後に本体
35の開口部を閉じるカバー36と、カバー36に設け
た突起37と連動してスロット34を閉じる閉鎖部材3
8とから構成されている。この感光性帯材容器30の構
成部材の1つまたは2つ以上、必要な場合はすべてが本
発明で規定した樹脂組成物で形成されている。
【0265】図4は、本発明による写真感光材料用射出
成形品としての感光性帯材容器40の分解斜視図で、こ
の感光性帯材容器40は、スロット41を有する本体4
2とカバー43と閉鎖部材44よりなっており、閉鎖部
材44は本体42の内部に嵌合させて設けられている。
本体42の側壁45には凹みリブ46が設けられてい
る。
【0266】図5は、本発明による写真感光材料用射出
成形品としての写真フィルム用カートリッジ50の分解
斜視図で、この写真フィルム用カートリッジ50は、下
部ケース51および上部ケース52と、これらに装填さ
れる写真フィルムと遮光紙54を共巻き状態で巻き取る
スプール53とで構成されており、スプール53と下部
ケース51および上部ケース52が本発明で規定した樹
脂組成物で形成されている。
【0267】図6は、本発明による写真感光材料用射出
成形品としてのレンズ付きフィルムユニット60の分解
斜視図で、このレンズ付きフィルムユニット60は、写
真フィルムを巻きつけたスプール61を光密に収納する
写真フィルム用パトローネ62をさらに光密に収納する
ための下部ケース63と、この下部ケース63を遮光的
に密封する上部ケース64とで構成され、これら下部ケ
ース63および上部ケース64の構成部材の1つまたは
2つ以上、必要な場合はすべてが本発明で規定した樹脂
組成物で形成されているが、従来のものはカーボンブラ
ックを含むポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレ
ート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の遮光性熱可塑性樹
脂組成物で形成されている。
【0268】一方、レンズ65やファインダー66等は
無着色のポリカーボネート樹脂(PCと表示)、ポリス
チレン樹脂(PS樹脂と表示)やポリメチルメタアクリ
レート樹脂(PMMA樹脂と表示)等の透明熱可塑性樹
脂組成物で形成されている。
【0269】図7は、本発明による写真感光材料用射出
成形品としての写真フィルム用パトローネの分解斜視
図、図8は同上側面図、図9は同上断面図、図10は写
真フィルム用パトローネに用いられているディスクの部
分断面図である。
【0270】図7および図8において、パトローネ本体
70は、各々プラスチックで形成された上ケース71、
下ケース72から構成されている。パトローネ本体70
の内部にはスプール73が回動自在に収納され、このス
プール73に写真フィルム74がロール状に巻き付けら
れる。
【0271】上下ケース71、72はそれぞれ略半円筒
形状をしており、その一部にはそれぞれポート部75が
突出して形成されている。上ケース71と下ケース72
とを嵌合させるときに、ポート部75内に遮光蓋76が
回転自在に嵌め込まれる。遮光蓋76には平坦なフィル
ム通路77が形成され、遮光蓋76が開き位置に回動し
たときにはパトローネ本体70内から送り出されてくる
写真フィルム74の通路となる。また、遮光蓋76が閉
じ位置に回動したときには、ポート部75の先端部分に
形成される開口(写真フィルム出入り口)が完全に閉じ
られ、パトローネ本体70内は遮光状態となる。
【0272】下ケース72のポート部75の奥には、突
起78が形成されている。この突起78は、スプール7
3に巻かれた写真フィルム74の先端部をすくい上げて
フィルム通路77に導くためのガイドである。
【0273】ディスク79、80には、それぞれ開口7
9a、80aが形成されており、スプール73を各開口
79a、80aに挿通することによりスプール73の所
定位置に嵌め込まれ、スプール73に対し回転可能に軸
着される。ディスク79、80の外周には、リップがそ
れぞれ向き合うように突出し、スプール73に巻かれた
写真フィルム74の最外周を両端面側から部分的に包み
込むようになっている。
【0274】ディスク80は、使用表示部品83がスプ
ール73に嵌め込まれると、クラッチ爪84とディスク
80の係止穴85とが、スプール73をフィルム送り出
し方向に回転したときに互いに係止して、ディスク80
を強制的に回転できるようになる。また、フィルム巻き
込み方向にスプール73を回転したときには、クラッチ
爪84とディスク80の係止穴85とは係止せずにディ
スク80は自由に回転できる。また、他方のディスク7
9はスプール73に対し回転自在のままである。なお、
使用表示部品83には扇形の表示板83aが一体化さ
れ、その位置をパトローネ本体70に形成された表示窓
を通して確認することによって、この写真フィルムパト
ローネの使用状態が判別できるようになっている。
【0275】上ケース71、下ケース72の側面内壁に
は側面リブ86が設けられ、ディスク79、80が互い
に広がらないように規制している。スプール73には扇
形板87が固定され、その表面にはデータフランジラベ
ル88が貼付される。このラベル88には放射状にバー
コードが記されており、バーコードはスプール73を回
転したときにパトローネ本体70の側面に形成された窓
を通して光電検出される。これにより、パトローネ本体
70内に収納された写真フィルム74の品種情報、撮影
枚数情報などを電気的に検知することができる。なお、
パトローネ本体70に貼付されるラベル90には、フィ
ルム品種表示やパトローネの固有番号などが表示され
る。
【0276】スプールロック部品91は、遮光蓋76が
閉じ位置に回動したときに、スプール73が回転しない
ようにロックする。このロックは、遮光蓋76が開き位
置に移動したときに解除される。なお、符号92は上ケ
ース71に一体に形成されたロックポールを示し、この
ロックポール92によって遮光蓋76は閉じ位置に回動
したときにロックされる。このロックは、写真フィルム
用パトローネをカメラやディスプレイ装置等の装置にセ
ットしたときに、これらの装置に設けられた遮光蓋76
の開放機構によって開示される。なお、遮光蓋76を用
いる代わりに、ポート部75の内壁にフィルム通路を形
成し、このフィルム通路にテレンプを貼付することによ
ってパトローネ本体70内を光密に保つことも可能であ
る。
【0277】図9に示したように、写真フィルム74が
パトローネ本体70内に完全に巻き込まれている状態で
は、写真フィルム74の最外周はディスク79、80の
リップ81、81によって部分的に包み込まれ、スプー
ル73からの巻き緩みが防止されている。これにより、
スプール73が写真フィルム74の送り出し方向に回転
したとき、写真フィルム74はスプール73とともに一
体となって回転するようになる。
【0278】上下ケース71、72の側面内壁に設けら
れた側面リブ86は、ディスク79、80が互いに広が
らないように規制しているが、ポート部75の奥ではそ
の規制が解除されるように、対面し合った側面リブ86
相互間の間隔が広げられている。このため、突起78で
写真フィルム74の先端がすくい上げられた後、フィル
ム通路77に進むときには、ディスク79、80がわず
かに外側に広がり、写真フィルム74はリップ81、8
1の間から樋状カールを作って送り出されるようにな
る。
【0279】なお、側面リブ86は片側だけに設けても
同様の効果が期待できる。また、リップ81のフィルム
巻き緩みを解除する方法としては、一対の分離爪をフィ
ルム幅方向の両側に設け、一対の分離爪の外側面同士で
一対のリップを互いに離れる方向に向けて部分的に常に
変形させるようにしてもよい。
【0280】上記写真フィルム用パトローネをカメラに
装填すると、カメラ側の機構によってロックポール92
による遮光蓋76の係止が解除された後、遮光蓋76が
開き方向に回動される。その後、スプール73が送り出
し方向に駆動され、写真フィルム14の送り出しが開始
される。ディスク79、80の外周に形成したリップ8
1、81が写真フィルム74の巻き緩みを防いでいるた
め、写真フィルム74はスプール73と一体となって回
転する。この回転中に、写真フィルム74の先端が突起
78ですくい上げられ、フィルム通路77に導かれる。
【0281】こうして写真フィルム74の先端がフィル
ム通路77に導かれると、リップ81、81は写真フィ
ルム74により両側に押し広げられるため、フィルム通
路77の奥では写真フィルム74の包み込みが解除され
る。なお、一方のディスク80はクラッチ爪84と係止
穴85との係合により強制的に送り出し方向に回転され
るため、写真フィルム74を送り出す力が強められる。
こうして写真フィルム74がパトローネ本体70外に送
り出されるようになる。
【0282】巻戻し時にはスプール73が逆向きに回転
される。写真フィルム74の後端はスプール73に係止
されているため、写真フィルム74はスプール73の逆
転によりパトローネ本体70内に巻き込まれる。このと
き、フィルム通路77の奥ではディスク79、80が広
げられ、写真フィルム74はディスク79、80間に引
き込まれ、スプール73に巻き付けられる。
【0283】図10に示すように、ディスク79、80
は互いに輪郭形状が同じとされている。開口79a、8
0aは、写真フィルム74の両端を揃える面98よりも
一段凹んだ面99に形成されている。リップ81は、面
98の外周に、それぞれ他方のディスク79、80に向
き合うように突出し、スプール73に巻かれた写真フィ
ルム74の最外周を両端面側から部分的に包み込むよう
になっている。
【0284】リップ81の外周には鍔82が一体に設け
られている。鍔82は、リップ81が広がらないように
するための補強の作用をする。また、フィルム巻き込み
の際に写真フィルム74がリップ81の内部に向けて入
り込みやすいようにガイドする作用をもたせるために、
鍔82は対向する面82aの先端が互いに離れるように
傾斜した断面形状とされている。
【0285】図11は、本発明による写真感光材料用射
出成形品としての光密性カートリッジ(パトローネ等)
105を装填した撮影用カメラ体100の斜視図であ
り、この光密性カートリッジ105は、撮影用カメラ体
100のカメラ本体101の背面に蝶番102を介して
開閉自在に設けられている写真フィルムのピント精度向
上用圧板104を具備した裏蓋103を開閉することに
より、出し入れが行われる。この光密性カートリッジ1
05はAPSフィルムや135フィルム等の写真フィル
ムを装填して利用される。
【0286】撮影用カメラ体100を構成する光密性カ
ートリッジ105、カメラ本体101、裏蓋103およ
び圧板104の1つまたは2つ以上、必要な場合はすべ
てが本発明で規定した樹脂組成物で形成されている。
【0287】図12は、本発明による写真感光材料用射
出成形品としてのパック入りシート写真フィルム用ホル
ダー110の斜視図で、このシート写真フィルム用ホル
ダー110はカメラの背部に装着されてシート写真フィ
ルム用パック111が出し入れされるものである。この
パック入りシート写真フィルム用ホルダー110および
シート写真フィルムパック111の構成部材の1つまた
は2つ以上、必要な場合はすべてが本発明で規定した樹
脂組成物で形成されている。
【0288】図13は、本発明による写真感光材料用射
出成形品としての袋入りシートフィルム用ホルダー12
0の斜視図で、このシートフィルム用ホルダー120は
カメラの背部に装着されて袋入り写真フィルムが出し入
れされるものである。
【0289】図14は、インスタントフィルム用パック
ケースの分解斜視図で、本発明による写真感光材料用成
形品としての圧板が設けられている。このインスタント
フィルム用パックケース130は、背板131、ケース
本体132および圧板133からなるパックケース13
4と、このパックケース134に内臓されている複数枚
のインスタントフィルム135とで構成されている。圧
板133は、弾性のある金属板で形成されており、背板
131に当接する4本の脚部の内2本に、背板131の
ピン135と係合摺る為の取り付け孔36が形成されて
いる。これらの1つまたは2つ以上、必要な場合はすべ
てが本発明で規定された樹脂組成物で形成されている。
【0290】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明は実施例のみに限定されるものではなく、特
許請求の範囲に記載された内容の要旨を変更しない範囲
において全て含むものである。
【0291】[実施例1〜12および比較例1〜12]
実施例および比較例に用いた各構成成分は以下の通りで
ある。
【0292】<ゴム含有ポリスチレン系樹脂A>平均粒
子径が5nm(μm)のブタジエンゴム含有量が5質量
%、スチレン含有量が95質量%の耐衝撃性のブタジエ
ンゴムグラフト重合ポリスチレン樹脂〔メルトフローレ
ート(以下、MFRと表示。ASTM D 1238のG
条件の温度200℃、ピストン荷重5kgで測定)が1
0g/10分、曲げ弾性率(JISK 7203)が2
5,200kg/cm2、GPC測定法の分子量分布が
2.2、ノッチ付アイゾット衝撃強度(JIS K 687
1)が5.8kg・cm/cm、ビカット軟化点が97
℃〕である。
【0293】<ゴム含有ポリスチレン系樹脂B>質量平
均分子量(Mw)が6万のAS樹脂〔MFR(ASTM
D 1238のG条件の温度200℃、ピストン荷重5
kgで測定)が4.0g/10分、曲げ弾性率(JIS
K 7203)が33,500kg/cm2 、GPC測
定法の分子量分布が1.7、ノッチ付アイゾット衝撃強
度(JIS K 7110)が2.4kg・cm/cm、
ビカット軟化点(JIS K 7206)が103℃,35
質量部、平均粒子径が4μmのブタジエンゴム含有量が
25質量%のブタジエンゴムグラフト重合ABS樹脂
〔MFR(ASTM D 1238のG条件の温度200
℃、ピストン荷重5kgで測定)が5.2g/10分、
曲げ弾性率(JIS K7203)が24,500kg/
cm2、GPC法の分子量分布が1.9、ノッチ付アイ
ゾット衝撃強度が25kg・cm/cm、ビカット軟化
点が92℃〕30質量部、質量平均分子量(Mw)が2
7万のAS樹脂〔MFR(ASTM D 1238のG条
件の温度200℃、ピストン荷重5kgで測定)が2.
5g/10分、曲げ弾性率(JIS K 7203)が3
8,500kg/cm2、GPC測定法の分子量分布が
2.1、ノッチ付アイゾット衝撃強度(JIS K 71
10)が2.5kg・cm/cm、ビカット軟化点(J
IS K 7206)が105℃〕35質量部の合計10
0質量部からなる混合樹脂である。
【0294】<黒色染顔料A>ナフサを原料とするエチ
レンボトム油を用いて1250〜1600℃の炉内で製
造したpHが8.0、平均粒子径が20nm(mμ)、
比表面積が130m2/g、着色力が125%、DBP
吸油量が95cc/100g、揮発分が0.6%、硫黄
成分含有量が0.05%のファーネスカーボンブラック
である。
【0295】<黒色染顔料B>チャンネル法で製造した
pHが3.5、平均粒子径が22nm(mμ)、比表面積
が330m2/g、DBP吸油量が120cc/100
g、揮発分が12%、硫黄成分含有量が2.7%のチャ
ンネルカーボンブラックである。
【0296】<ポリエチレンオキサイドA>数平均分子
量(Mn)が200,000のものである。
【0297】<ポリエチレンオキサイドB>数平均分子
量(Mn)が100,000のものである。
【0298】<ポリエチレンオキサイドC>数平均分子
量(Mn)が20,000のものである。
【0299】<エチレンオキサイドとプロピレンオキサ
イドの共重合体A>テトラヒドロフラン中40℃でGP
Cを用いて測定したポリスチレン樹脂換算の平均分子量
(以下、同じ)が700,000のエチレンオキサイド
60モル%とプロピレンオキサイド40モル%の共重合
体である。
【0300】<エチレンオキサイドとプロピレンオキサ
イドの共重合体B>平均分子量が1,000,000の
エチレンオキサイド80モル%とプロピレンオキサイド
20モル%の共重合体である。
【0301】<有機スルホン酸金属塩>ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムである。
【0302】<滑剤A>滑性作用の他に黒色顔料の分散
性向上作用、ハロゲン化合物中和作用も有する脂肪酸金
属塩系滑剤の1種であるステアリン酸亜鉛である。
【0303】<滑剤B>滑性作用のほかに黒色顔料の分
散性向上作用も有する質量平均分子量が6,000の低
分子量ポリエチレン樹脂である炭化水素系滑剤である。
【0304】<滑剤C>滑性作用のほかに、ゴム含有ポ
リスチレン系樹脂を白濁させて遮光能力向上、物理強度
向上、耐摩耗性向上等、写真感光材料用射出成形品に最
も好ましいシリコーン系滑剤の1種である25℃の粘度
が18,000センチストークスのポリジメチルシロキ
サンである。
【0305】以上の各構成成分を異なる配合割合で含有
する黒色ポリスチレン系樹脂組成物を2軸押出し機で溶
融混練、ペレット化した後、図1に示す写真フィルム用
スプールを、トグル式射出成形機(トグル式、型締圧2
00t)と、セミホットランナータイプ32ヶ取り金型
とを用い、成形サイクル8秒で5,000ショット連続
射出成形により製造した。
【0306】実施例および比較例の各組成および特性の
評価結果を表6および表7に示す。
【0307】
【表6】
【0308】
【表7】
【0309】各特性の評価方法を以下に示す。 <写真性>ISO400の35mmカラーネガ写真フィ
ルム(24枚撮り)を写真フィルム用スプールに巻きつけ
たものを、遮光性テレンプを写真フィルム出入口に設け
たJIS K 7519−1982の形状寸法の写真フィ
ルム用パトローネで完全密封遮光包装体とし、高密度ポ
リエチレン樹脂製写真フィルム用容器本体と低密度ポリ
エチレン樹脂製写真フィルム用容器キャップで密封した
状態で20℃,60%RHの恒温・恒湿室に1年間放置
前後の写真性(感度、諧調、カブリ、発色)変化の差に
より評価。
【0310】<帯電防止性>温度20℃、湿度15%R
Hの恒温・恒湿度条件下にISO感度400の36枚撮
影可能なカラーネガフィルムを図11のように樹脂製の
光密性カートリッジ(樹脂製の写真フィルム用パトロー
ネ)に遮光性を確保したAPSフィルムの状態にしたも
のを装填した撮影用カメラ本体100を1日放置後、こ
の条件下で暗室にして写真撮影した後、一般の写真処理
した時のスタチックマーク発生状況を透過光により目視
調査して評価。
【0311】<写真フィルム巻き上げ適性>特開昭62
−286043号公報の第2図記載の装置を用いた写真
フィルム引出時の負荷テンション(写真フィルム巻き上
げトルクともいう)を測定して評価。
【0312】<成形故障発生防止性>成形サイクル8秒
で32ヶ取り、5,000ショット連続射出成形により
製造した時の成形故障の発生量で評価。発生量が少ない
程良好である。
【0313】<8秒サイクル成形適性>射出成形した時
の成形故障の発生度合、離型性、目付け量の変動、射出
圧力、成形サイクル等を総合評価。
【0314】<耐摩耗性>テーバ摩耗試験機を用い、荷
重1kg、回転速度15000mm/分の条件で1時間
摩耗試験を行なった時の摩耗量で評価。
【0315】<物理強度>各種樹脂組成物で測定したノ
ッチ付アイゾット衝撃強度(JIS K 7110)、曲げ
弾性率(JIS K 7203)、ビカット軟化点等物理
強度を総合評価。
【0316】<外観>射出成形した写真フィルム用スプ
ールに発生したミクログリットと色ムラとウェルドライ
ンを目視検査により評価。
【0317】各特性の評価は以下による。 ◎…非常に優れている ○…優れている ●…実用限度内 ▲…欠点あり、改良必要 ×…実用化不可
【0318】以上のように、実施例1〜12において
は、滑剤として、カーボンブラックの分散性と樹脂流動
性、外観、離型性を良化させるステアリン酸亜鉛と低分
子量ポリエチレン樹脂を含有させているので、写真フィ
ルム巻き上げ適性、成形故障発生防止、8秒サイクル成
形適性、耐摩耗性、物理強度を向上させている。また、
写真性の良好な高粘度・高分子量(低粘度・低分子量で
は写真性悪化)のポリジメチルシロキサンを含有させて
いるので、樹脂を白濁させ同一カーボンブラック含有量
でも15%以上遮光性を向上させている。
【0319】[実施例13]実施例8において、融点が
125℃のヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.0
5質量部と燐系酸化防止剤を0.05質量部を含有させ
たものである。
【0320】この実施例13は、樹脂の熱劣化がカーボ
ンブラック併用も相剰効果として発現し、実施例8と比
較して、写真性は○→◎に、物理強度は○→◎に、外観
は○→◎に良化した。
【0321】[実施例14]実施例6および7におい
て、ポリエチレンオキサイドおよびエチレンオキサイド
とプロピレンオキサイドの共重合体の替わりに、エチレ
ン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のケン化物
のアルキレンオキサイド付加物を同一含有量となるよう
に添加した。その他は、実施例6および7と同一樹脂組
成である。
【0322】エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル
共重合体樹脂としては、入手し易く、安価であり、ゴム
含有ポリスチレン系樹脂との相溶性がよいので、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体樹脂のケン化物を用いた。この
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、酢酸ビニル単位
含有量が20質量%、GPC法で測定した数平均分子量
(Mn)が2,000のものを用い、また、ケン化物の
ケン化率は40%であった。このようなエチレン−酢酸
ビニル共重合体樹脂ケン化物へのエチレンオキサイドの
付加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂ケン化物
100質量部に対して200質量部である。
【0323】[実施例15]実施例14のエチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂のケン化物のアルキレンオキサイ
ド付加物において、酢酸ビニル単位含有量を20質量%
から40質量%に、数平均分子量Mnを2,000から
5,000に、ケン化率を40%から70%に、エチレ
ンオキサイドの付加量を200質量部から400質量部
に変更した。その他は、実施例14と同一樹脂組成であ
る。
【0324】上記実施例14および実施例15は、実施
例1〜12と比較して以下の点が優れていた。なお、実
施例15は実施例14より優れていた。 (1) ポリエチレンオキサイドやエチレンオキサイドと
プロピレンオキサイドの共重合体と比較して、エチレン
−飽和カルボン酸共重合体のアルキレンオキサイド付加
物は、ゴム含有ポリスチレン系樹脂との相溶性が良好で
あるので、ウェルドラインの発生を防止できるので、物
理強度および外観を良好にできる。また、写真性も良好
にすることができる。これは、ゴム含有ポリポリスチレ
ン系樹脂の流動性が良化し、樹脂温度を低下させても同
等以上の樹脂流動性となるので、樹脂温度が低い状態で
成形することができ、熱劣化を防止できるためである。 (2) 長期間の帯電防止性が優れていた。 (3) 写真感光材料の写真性への悪影響が少なく写真性
が良好であった。 (4) 射出成形品のベタツキが少なかった。
【0325】
【発明の効果】本発明は、写真性を悪化させることな
く、帯電防止性、射出成形性、物理強度、摺動性、カメ
ラ適性、遮光性および外観の優れた写真感光材料用射出
成形品を安価に、かつ生産性が良好な状態(ハイサイク
ルでかつ多数ヶ取りにもかかわらず寸法変化が小さく、
致命的な成形故障がないので無検査で昼よる連続無人成
形が可能)で提供できる。
【0326】また、2000年4月から実施される「容
器・包装リサイクル法」に適合できるリサイクル適性
(写真性や物性および外観を悪化させることなく適合で
きる)およびリユース適性の優れた写真感光材料用射出
成形品のインプラント射出成形を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である写真フィルム用スプールの断面図である。
【図2】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である帯状感光材料用コアの斜視図である。
【図3】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である感光性帯材容器の分解斜視図である。
【図4】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である感光性帯材容器の分解斜視図である。
【図5】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である写真フィルム用カートリッジの分解斜視図
である。
【図6】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態であるレンズ付きフィルムユニットの分解斜視図
である。
【図7】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である樹脂製の写真フィルム用パトローネの分解
斜視図である。
【図8】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である樹脂製の写真フィルム用パトローネの側面
図である。
【図9】 本発明による写真感光材料用射出成形品の実
施形態である樹脂製の写真フィルム用パトローネの断面
図である。
【図10】 本発明による写真感光材料用射出成形品の
実施形態である樹脂製の写真フィルム用パトローネに用
いられているディスクの部分断面図である。
【図11】 本発明による写真感光材料用射出成形品の
実施形態である写真フィルム入樹脂製カートリッジを使
用するカメラの斜視図である。
【図12】 本発明による写真感光材料用射出成形品の
実施形態であるパック入りシート写真フィルム用ホルダ
ーの斜視図である。
【図13】 本発明による写真感光材料用射出成形品の
実施形態である袋入りシートフィルム用ホルダーの斜視
図である。
【図14】 本発明による写真感光材料用成形品の実施
態様であるインスタントフィルム用パックケースの分解
斜視図である。
【図15】 カーボンブラックのpHと揮発分量および
射出成形故障発生量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
10…写真フィルム用スプール 20…帯状感光材料用コア 30…感光性帯材容器 40…感光性帯材容器 50…写真フィルム用カートリッジ 60…レンズ付きフィルムユニット 70…写真フィルムパトローネ 100…光密性カートリッジ 110…パック入りシート写真フィルム用ホルダー 120…袋入りシートフィルム用ホルダー 130…インスタントフィルム用バックケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 3/00 565 G03C 3/00 565E // B29C 45/00 B29C 45/00 B29K 25:00 B29K 25:00 Fターム(参考) 4F206 AA13 AA23 AB12 JA07 JQ81 4J002 AC032 AC062 AC072 AC082 AE044 AE054 BB152 BB182 BB223 BC021 BC031 BC052 BC081 BC111 BE033 BN093 BN203 CH023 CH033 CP034 DA016 DA036 DE116 EB027 EB067 EE056 EF057 EG017 EH047 EP017 EP027 EQ016 EU026 EV258 FD030 FD070 FD096 FD100 FD174 FD177 GP03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム含有ポリスチレン系樹脂100質量
    部に対して、黒色染顔料を0.1〜10質量部、エチレ
    ン−飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体のケン化物
    のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキサイ
    ドおよびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの
    共重合体の少なくとも1種以上を1〜40質量部、有機
    スルホン酸金属塩を0.1〜10質量部および滑剤を
    0.01〜10質量部含有させた黒色ポリスチレン系樹
    脂組成物で成形された写真感光材料用射出成形品。
  2. 【請求項2】 前記ゴム含有ポリスチレン系樹脂が、平
    均粒子径が0.1〜10μmのポリブタジエンゴム、ブ
    タジエン−スチレンランダム共重合体ゴムおよびアクリ
    ロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムから選ばれた1種
    または2種以上のゴムを1〜40質量%含有する請求項
    1記載の写真感光材料用射出成形品。
  3. 【請求項3】 前記黒色染顔料が、エチレンボトム油を
    原料油とするカーボンブラックである請求項1記載の写
    真感光材料用射出成形品。
  4. 【請求項4】 前記ポリエチレンオキサイドは、数平均
    分子量が3〜90万である請求項1記載の写真感光材料
    用射出成形品。
  5. 【請求項5】 前記エチレンオキサイドとプロピレンオ
    キサイドの共重合体が、エチレンオキサイド55〜99
    モル%とプロピレンオキサイド1〜45モル%からなる
    ランダム共重合体である請求項1記載の写真感光材料用
    射出成形品。
  6. 【請求項6】 前記黒色染顔料の分散剤として、高級脂
    肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド、ポリオレフィンワック
    ス、25℃の粘度が5,000〜50,000センチスト
    ークスのジメチルポリシロキサン、25℃の粘度が5,
    000〜50,000センチストークスのジメチルポリ
    シロキサン変性物およびカップリング剤の2種以上が、
    ゴム含有ポリスチレン樹脂100質量部に対して合計
    0.01〜10質量部含有されている請求項1記載の写
    真感光材料用射出成形品。
  7. 【請求項7】 前記エチレン−飽和カルボン酸ビニルエ
    ステル共重合体のケン化物のアルキレンオキサイド付加
    物が、酢酸ビニル単位含有量10〜50質量%、ケン化
    率30〜100%、エチレンオキサイド付加量がエチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体のケン化物100質量部に対し
    て50〜1,000質量部である請求項1記載の写真感
    光材料用射出成形品。
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