JP2001162742A - 積層複合膜 - Google Patents

積層複合膜

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JP2001162742A JP35115499A JP35115499A JP2001162742A JP 2001162742 A JP2001162742 A JP 2001162742A JP 35115499 A JP35115499 A JP 35115499A JP 35115499 A JP35115499 A JP 35115499A JP 2001162742 A JP2001162742 A JP 2001162742A
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Hidehiko Funaoka
英彦 船岡
Norimitsu Kaimai
教充 開米
Koichi Kono
公一 河野
Kotaro Takita
耕太郎 滝田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メルトダウン温度が高く、電池特性、安全
性、生産性を向上させることのできる電池セパレータに
相応しい積層複合膜の提供。 【解決手段】 重量平均分子量100万以上の超高分子
量ポリオレフィン又は重量平均分子量100万以上の超
高分子量ポリオレフィンと重量平均分子量1万以上10
0万未満のポリオレフィンとを必須成分とするポリオレ
フィン組成物からなる平均貫通孔径0.01〜0.10
μm、バブルポイント≧980KPaである二軸延伸ポ
リオレフィン微多孔膜と、外層がポリエチレンで、内芯
層が外層の該ポリエチレンより融点が20℃以上高い樹
脂である複合繊維からなる不織布との積層体からなるこ
とを特徴とする積層複合膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン微
多孔膜の積層複合膜に関し、特に電池用セパレータ等に
使用できる、薄膜で高透過性、かつ過充電時や加熱保持
試験時の熱暴走を抑える溶融破断温度の優れた機能を有
する積層複合膜に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン微多孔膜は、各種の分離
膜や、電池用セパレータ、電解コンデンサー用セパレー
タ等に使用されている。特にリチウム電池においては、
有機溶媒に不溶で電解質や電極活物質に安定なセパレー
タとして多用されつつある。ポリオレフィン微多孔膜と
しては、超高分子量のポリオレフィンを用いた高強度お
よび高弾性の微多孔膜が用いられ、例えば、超高分子量
ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解した溶液からゲル状
シートを成形し、前記ゲル状シート中の溶媒量を脱溶媒
処理により調整し、次いで加熱延伸した後、残留溶媒を
除去することによる微多孔膜(特開昭60−24203
5号公報他)、分子量分布が特定の値の超高分子量ポリ
オレフィンを含有するポリオレフィン組成物の高濃度溶
液からの微多孔膜(特開平3−64334号公報)等が
提案されている。
【0003】ところで、最近のリチウムイオン電池用セ
パレータとしては、高容量化、電池特性、安全性、生産
性を向上させることが求められてきている。すなわち、
高容量化、電池特性の向上としては微多孔膜の透気
度、電解液注液性、保液性を向上させ、容量増加、低温
レート特性やサイクル特性を良好にすること、安全性
の向上としては電極が短絡して電池内部の温度が上昇し
た時に、発火等の事故が生じるのを防止するために、リ
チウムの発火以前に溶融してその孔を目詰りさせ電流を
シャットダウンさせる機能、及びシャットダウン後に温
度がさらに上昇した時にセパレータ自身が溶融破断(メ
ルトダウン)して電池の発火、爆発を抑える機能を有
し、過充電や加熱保存試験時の熱暴走を抑えること等が
求められている。しかし、ポリオレフィン微多孔膜単体
では、電池セパレータとして用いた場合に、シャットダ
ウン特性、メルトダウン特性ともに良好な、安全性に優
れた電池セパレータは、必ずしも得られていない。
【0004】これらの問題を解決する方法として、ポリ
オレフィン微多孔膜にポリオレフィン不織布を積層した
積層複合膜が、特開平7−22014号公報、特開平9
−326250号公報、特開平10−50288号公
報、特開平10−44348号公報等に開示されている
が、ポリオレフィン微多孔膜と不織布との間の剥離強度
が不足しており、かかる問題点を解決し、かつ電池の高
容量化に対応した高透過性であり、高強度化と高いメル
トダウン温度とが達成されている複合膜は、未だ得られ
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決するメルトダウン温度が高く、電池特性、安
全性、生産性を向上させることのできる電池セパレータ
に相応しい積層複合膜を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、超高分子量ポリオレフ
ィンからの特定の微多孔膜に特定の芯鞘複合繊維からな
る不織布を積層させることにより、電池特性、安全性、
生産性を向上させることのできる電池セパレータに相応
しい積層複合膜が得られることを見出し本発明に想到し
た。
【0007】すなわち、本発明は、重量平均分子量10
0万以上の超高分子量ポリオレフィン又は重量平均分子
量100万以上の超高分子量ポリオレフィンと重量平均
分子量1万以上100万未満のポリオレフィンとを必須
成分とするポリオレフィン組成物からなる平均貫通孔径
0.01〜0.10μm、バブルポイント≧980KP
aである二軸延伸ポリオレフィン微多孔膜と、外層がポ
リエチレンで、内芯層が外層の該ポリエチレンより融点
が20℃以上高い樹脂である複合繊維からなる不織布と
の積層体からなることを特徴とする積層複合膜である。
【0008】また、本発明は、重量平均分子量100万
以上の超高分子量ポリオレフィン又は重量平均分子量1
00万以上の超高分子量ポリオレフィンと重量平均分子
量1万以上100万未満のポリオレフィンとを必須成分
とするポリオレフィン組成物からなる平均貫通孔径0.
01〜0.10μm、バブルポイント≧980KPaで
ある二軸延伸ポリオレフィン微多孔膜と、親水化された
外層がポリエチレンで、内芯層が外層の該ポリエチレン
より融点が20℃以上高い樹脂である複合繊維からなる
不織布との積層体からなることを特徴とする積層複合膜
である。
【0009】さらに、本発明は、上記の積層複合膜を用
いた電池セパレータ、電池、フィルターである。
【0010】本発明の好ましい態様を以下に示す。 (イ)重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオ
レフィンがポリエチレン又はポリプロピレンである前記
積層複合膜。 (ロ)超高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量が1
00万〜500万である前記積層複合膜。 (ハ)重量平均分子量1万以上100万未満のポリオレ
フィンがポリエチレン又はポリプロピレンである前記積
層複合膜。 (ニ)重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオ
レフィンと重量平均分子量1万以上100万未満のポリ
オレフィンとを必須成分とするポリオレフィン組成物
が、重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチ
レンと重量平均分子量1万以上100万未満の高密度ポ
リエチレンとを必須成分である前記積層複合膜。 (ホ)重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリオ
レフィン又は重量平均分子量100万以上の超高分子量
ポリオレフィンと重量平均分子量1万以上100万未満
のポリオレフィンとを必須成分とするポリオレフィン組
成物が超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンと
シャットダウン機能を付与するポリマーからなり、当該
シャットダウン機能を付与するポリマーが低密度ポリエ
チレン、重量平均分子量1000〜4000の低分子量
ポリエチレン、シングルサイト触媒を用いて重合したエ
チレン−α−オレフィン共重合体のうち、少なくとも一
種を含むことを特徴とする前記積層複合膜。 (ヘ)微多孔膜の突刺強度が1980mN/25μm以
上である前記積層複合膜。 (ト)微多孔膜の透気度50〜900sec/100c
cである前記積層複合膜。 (チ)微多孔膜が界面活性剤により親水化されているこ
とを特徴とする前記積層複合膜。 (リ)複合繊維からなる不織布の内芯層がポリプロピレ
ンである前記積層複合膜。 (ヌ)複合繊維からなる不織布が洗浄処理されたもので
ある前記積層複合膜。 (ル)複合繊維からなる不織布が界面活性剤により親水
化されたものである前記積層複合膜。 (ヲ)複合繊維からなる不織布の目付が5〜50g/m
である前記積層複合膜。 (ワ)積層複合膜の突刺強度が4410mN/25μm
以下である前記積層複合膜。 (カ)積層複合膜の透気度が900sec/100cc
以下である前記積層複合膜。 (ヨ)積層複合膜のシャットダウン温度が90〜135
℃である前記積層複合膜。 (タ)積層複合膜のメルトダウン温度が170℃以上で
ある前記積層複合膜。 (レ)積層複合膜のメルトダウン温度とシャットダウン
温度との差が50〜80℃である前記積層複合膜。 (ソ)積層複合膜のポリオレフィン微多孔膜と複合繊維
不織布との剥離強度が50mN以上であることを特徴と
する前記積層複合膜。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の積層複合膜を、構成微多
孔膜、不織布、積層法について、以下に詳細に説明す
る。 1.ポリオレフィン微多孔膜 (1)超高分子量ポリオレフィン成分 本発明で用いるポリオレフィン微多孔膜は、重量平均分
子量100万以上、好ましくは重量平均分子量100万
〜500万の超高分子量ポリオレフィン又は重量平均分
子量100万以上、好ましくは重量平均分子量100万
〜500万の超高分子量ポリオレフィンと重量平均分子
量1万以上100万未満のポリオレフィン、好ましくは
重量平均分子量1万以上50万未満のポリオレフィンと
からなる組成物から得られる。超高分子量ポリオレフィ
ンの重量平均分子量が100万未満では、膜強度の低下
が起こるので好ましくない。一方、上限は特に限定的で
はないが500万を超えるものは、微多孔膜の製造時の
ゲル状成形物の形成において成形性に劣る。重量平均分
子量100万以上の超高分子量ポリオレフィンは、組成
物として用いた場合は、20重量%以上、好ましくは3
0重量%以上含有されているのが好ましい。超高分子量
ポリオレフィンの含有率が20重量%未満では、高強度
の微多孔膜を得ることができない。ポリオレフィンの重
量平均分子量が1万未満であると、得られる微多孔膜の
破断が起こりやすく、目的の微多孔膜が得られない。
【0012】なお、上記の超高分子量ポリオレフィン又
は超高分子ポリオレフィンと重量平均分子量1万以上1
00万未満のポリオレフィン組成物の分子量分布(重量
平均分子量/数平均分子量)は300以下が好ましく、
特に5〜50であるのが好ましい。分子量分布が300
を超えると、低分子量成分による破断が起こり膜全体の
強度が低下するため好ましくない。ポリオレフィン組成
物を用いる場合は、重量平均分子量が100万以上の超
高分子量ポリオレフィンと、重量平均分子量が1万以上
100万未満のポリオレフィンとを分子量分布が上記範
囲となるように、適量混合することによって得ることが
でき、このポリオレフィン組成物は、上記重量平均分子
量及び分子量分布を有していれば、多段重合によるもの
であっても、2種以上のポリエチレンよる組成物であっ
ても、いずれでもよい。
【0013】このようなポリオレフィンとしては、エチ
レン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−ペンテン
−1、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合
体、2段重合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物
等が挙げられる。これらのうちではポリプロピレン、ポ
リエチレン及びこれらの組成物等が好ましく、特に、重
量平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチレン
と、重量平均分子量1万以上100万未満の高密度ポリ
エチレンとからなる組成物が好ましい。
【0014】また、本発明で用いるポリオレフィン微多
孔膜では、上記ポリオレフィンの他に、リチウム電池等
のセパレータとして用いた場合に低温でのシャットダウ
ン機能を付与できるポリマーを配合することができる。
シャットダウン機能を付与できるポリマーとしては、低
密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、メタロセン
触媒により得られるポリエチレン系共重合体等が挙げら
れる。
【0015】本発明において使用され得る低密度ポリエ
チレンとしては、高圧法による分岐状ポリエチレン(L
DPE)及び低圧法による直鎖状の低密度ポリエチレン
(LLDPE)である。LDPEの場合、その密度は、
通常0.91〜0.93g/cm程度であり、またそ
のメルトインデックス(MI、190℃、2.16kg
荷重)は、0.1〜20g/10分であり、好ましく
は、0.5〜10g/10分である。LLDPEの場
合、その密度は、通常0.91〜0.93g/cm
度であり、またそのメルトインデックス(MI、190
℃、2.16kg荷重)は、0.1〜25g/10分で
あり、好ましくは、0.5〜10g/10分である。低
密度ポリエチレンの配合割合は、重量平均分子量が50
万以上の超高分子量ポリオレフィンまたは組成物の5〜
30重量%であるのが好ましい。
【0016】本発明において使用され得る低分子量ポリ
エチレンとしては、分子量が1000〜4000、融点
が80〜130℃のエチレン低重合体であり、密度が
0.92〜0.97g/cmのポリエチレンワックス
が好ましい。低分子量ポリエチレンの配合割合は、重量
平均分子量が50万以上の超高分子量ポリオレフィン又
はポリオレフィン組成物の5〜30重量%であるのが好
ましい。
【0017】また、本発明において使用され得る低温で
のシャットダウン機能を付与できるメタロセン触媒によ
り得られるポリエチレン系共重合体としては、メタロセ
ン触媒のようなシングルサイト触媒を用いて重合された
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、例えば、エ
チレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1
共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等を挙げる
ことができる。該エチレン−α−オレフィン共重合体の
融点(DSCピーク温度)は、95〜125℃、好まし
くは100℃〜120℃である。95℃未満では高温条
件での電池特性を著しく悪化させてしまい、125℃を
超えると好ましい温度でシャットダウン機能を発揮しな
くなるため、好ましくない。該エチレン・α−オレフィ
ン共重合体の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの
比Mw/Mn(Q値)は、1.5〜3.0、好ましくは
1.5〜2.5であることが望ましい。このエチレン−
α−オレフィン共重合体をポリエチレンまたはそのポリ
エチレン組成物に加えることにより、ポリエチレン微多
孔膜をリチウム電池等のセパレータとして用い、電極が
短絡して電池内部の温度が上昇した時、低温でシャット
ダウンする機能を付与される。さらに、シャットダウン
時の膜抵抗の温度依存性が飛躍的に改善される、さらに
シャットダウン温度を自由にコントロールできる。エチ
レン−α−オレフィン共重合体の配合割合は、超高分子
量ポリオレフィンまたは組成物の5〜30重量%である
のが好ましい。
【0018】なお、上述したようなポリオレフィン又は
ポリオレフィン組成物には、必要に応じて、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染
料、無機充填材などの各種添加剤を本発明の目的を損な
わない範囲で添加することができる。
【0019】(2)ポリオレフィン微多孔膜の製造 本発明で用いるポリオレフィン微多孔膜は、上記超高分
子量ポリオレフィン又はその組成物に有機液状体または
固体を混合し、溶融混練後押出成形し、抽出、延伸を施
すことにより得られる。また、樹脂成分および有機液状
体または固体の混合物に無機微粉体を添加しても何等差
し支えない。本発明のポリオレフィン微多孔膜を得る好
ましい方法としては、ポリオレフィン組成物にポリオレ
フィンの良溶媒を供給しポリオレフィン組成物の溶液を
調製して、この溶液を押出機のダイよりシート状に押し
出した後、冷却してゲル状組成物を形成して、このゲル
状組成物を延伸と残存溶媒の除去を行うことによりポリ
オレフィン微多孔膜を製造する。
【0020】本発明において、原料となるポリオレフィ
ン組成物の溶液は、上述のポリオレフィン組成物を、溶
媒に加熱溶解することにより調製する。この溶媒として
は、ポリオレフィンを十分に溶解できるものであれば特
に限定されない。例えば、ノナン、デカン、ウンデカ
ン、ドデカン、流動パラフィンなどの脂肪族または環式
の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分
などがあげられるが、溶媒含有量が安定なゲル状成形物
を得るためには流動パラフィンのような不揮発性の溶媒
が好ましい。加熱溶解は、ポリオレフィン組成物が完全
に溶解する温度で攪拌または押出機中で均一混合して溶
解する方法で行う。その温度は、押出機中で溶媒中で攪
拌しながら溶解する場合は使用する重合体及び溶媒によ
り異なるが、例えば140〜250℃の範囲が好まし
い。ポリオレフィン組成物の高濃度溶液から微多孔膜を
製造する場合は、押出機中で溶解するのが好ましい。
【0021】押出機中で溶解する場合は、まず押出機に
上述したポリオレフィン組成物を供給し、溶融する。溶
融温度は、使用するポリオレフィンの種類によって異な
るが、ポリオレフィンの融点+20〜100℃が好まし
い。ここで、融点とは、JIS K7121に基づき、
DSCにより測定した値である(以下同じ)。例えば、
ポリエチレンの場合は160〜230℃、特に170〜
200℃であるのが好ましく、ポリプロピレンの場合は
190〜270℃、特に190〜250℃であるのが好
ましい。次に、この溶融状態のポリオレフィン組成物に
対して、液状の溶媒を押出機の途中から供給する。
【0022】ポリオレフィン組成物と溶媒との配合割合
は、ポリオレフィン組成物と溶媒の合計を100重量%
として、ポリオレフィン組成物が10〜50重量%、好
ましくは10〜40重量%であり、溶媒が90〜50重
量%、好ましくは90〜60重量%である。ポリオレフ
ィン組成物が10重量%未満では(溶媒が90重量%を
超えると)、シート状に成形する際に、ダイス出口で、
スウエルやネックインが大きくシートの成形性、自己支
持性が困難となる。一方、ポリオレフィン組成物が50
重量%を超えると(溶媒が50重量%未満では)、厚み
方向の収縮が大きくなり、成形加工性も低下する。この
範囲において濃度を変えることにより、膜の透過性をコ
ントロールすることができる。なお、加熱溶解にあたっ
てはポリオレフィンの酸化を防止するために酸化防止剤
を添加するのが好ましい。
【0023】次に、このようにして溶融混練したポリオ
レフィン組成物の加熱溶液を直接に、あるいはさらに別
の押出機を介して、ダイス等から最終製品の膜厚が5〜
100μmになるように押し出して成形する。ダイス
は、通常長方形の口金形状をしたシートダイスが用いら
れるが、2重円筒状のインフレーションダイスなども用
いることができる。シートダイスを用いた場合のダイス
ギャップは通常0.1〜5mmであり、押し出し成形温
度は140〜250℃である。この際押し出し速度は、
通常20〜30cm/分ないし10m/分である。
【0024】このようにしてダイスから押し出された溶
液は、冷却することによりゲル状組成物に成形される。
冷却は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上
の速度で行うのが好ましい。一般に冷却速度が遅いと、
得られるゲル状組成物の高次構造が粗くなり、それを形
成する疑似細胞単位も大きなものとなるが、冷却速度が
速いと、密な細胞単位となる。冷却速度が50℃/分未
満では、結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状組成物
となりにくい。冷却方法としては、冷風、冷却水、その
他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロ
ールに接触させる方法などを用いることができる。な
お、ダイスから押し出された溶液は、冷却前あるいは冷
却中に好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の引
き取り比で引取ってもよい。引き取り比が10以上にな
るとネックインが大きくなり、また延伸時に破断を起こ
しやすくなり好ましくない。
【0025】次に、このゲル状成形物を、延伸する。延
伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロー
ル法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方
法の組み合わせによって所定の倍率で行う。延伸は二軸
延伸でなければならない。未延伸、一軸延伸では、平均
貫通孔径を小さくできず、バブルポイント値を高くでき
ないし、高強度化を達成出来ない。また、二軸延伸は、
縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよい。延伸温
度はポリオレフィン組成物の融点+10℃以下である。
また延伸倍率は、原反の厚さによって異なるが、面倍率
で9倍以上が好ましく、より好ましくは16〜400倍
である。面倍率が9倍未満では延伸が不十分で高弾性、
高強度の微多孔膜が得られない。一方、面倍率が400
倍を超えると、延伸操作などで制約が生じる。
【0026】次に、延伸された成形物を溶剤で洗浄し残
留する溶媒を除去してポリオレフィン微多孔膜を得る
が、残存溶媒の除去は、上記延伸工程の前、上記延伸工
程の間、上記延伸工程の後のいずれであってもよいが、
延伸工程の後に行うのが好ましい。洗浄溶剤としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メ
チレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エ
タンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキ
サンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いるこ
とができる。これらの溶剤はポリオレフィン組成物の溶
解に用いた溶媒に応じて適宜選択し、単独もしくは混合
して用いる。洗浄方法は、溶剤に浸漬し抽出する方法、
溶剤をシャワーする方法、またはこれらの組合せによる
方法などにより行うことができる。
【0027】上述のような洗浄は、延伸成形物中の残留
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾など
の方法で行うことができる。乾燥した延伸成形物は、さ
らに熱固定することが望ましい。
【0028】熱固定は、必要に応じて、比較的高温で、
生じる収縮を少なくとも一方向で防止するような応力下
で行う。熱固定温度は、前記ポリオレフィン組成物の結
晶融点+30℃以下の範囲にセットする。例えば、超高
分子量ポリエチレンを含有する組成物では、100〜1
40℃で、より好ましくは110〜130℃である。結
晶融点+30℃を超えると、微多孔膜の強度が極端に低
下したり、微多孔膜の溶解が起こるので形状の保持が困
難となる。熱固定の時間は、特に制限がないが、0.1
秒以上100時間以下であることが好ましい。0.1秒
未満では、熱固定の効果がほとんどなく、透気度はあま
り向上しない。100時間を超えると生産性が低下する
だけでなく、樹脂の劣化も激しくなるので好ましくな
い。
【0029】(3)ポリオレフィン微多孔膜の物性 上記の方法で得られたポリオレフィン微多孔膜は、次の
物性を有しているのが好ましい。 平均貫通孔径 ポリオレフィン微多孔膜の平均貫通孔径は、好ましくは
0.01〜0.10μmである。平均貫通孔径が0.0
1μm未満では、透過性が低下しすぎるし、0.10μ
mを超えると電池セパレータとして用いた場合に、デン
ドライト成長による短絡が起こりやすくなり、電圧降下
等の不良を起こしやすくなる。
【0030】 空孔率 ポリオレフィン微多孔膜の空孔率は、30〜95%、好
ましくは40〜80%である。空孔率が30%未満で
は、ポリオレフィン微多孔膜を電池セパレータとして用
いた場合には、イオン導電性が悪く、特に低温での電池
容量、サイクル特性といった電池特性が悪くなる。一
方、95%を超えると、膜の強度自身が低くなりすぎと
なり、それぞれ好ましくない。
【0031】 透気度 ポリオレフィン微多孔膜の透気度は、50〜900se
c/100cc、好ましくは50〜700sec/10
0ccである。透気度を900sec/100cc以下
にすることにより、ポリオレフィン微多孔膜を電池セパ
レータとして用いた場合には、イオン透過能力が向上す
るので、低温レート特性、高容量を達成できる。
【0032】 突刺強度 ポリオレフィン微多孔膜の突刺強度は、1980mN/
25μm以上が好ましく、より好ましくは3960mN
/25μm以上である。突刺強度が1980mN/25
μm未満では、ポリオレフィン微多孔膜を電池セパレー
タとして用いた場合には、微少短絡による不良が起こり
やすい。
【0033】 バブルポイント ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントは、980K
Pa以上、好ましくは1470KPa以上、最も好まし
くは14700KPa以上である。バブルポイントが9
80KPa未満では、ポリオレフィン微多孔膜を電池セ
パレータとして用いた場合には、孔が大きくなりすぎて
デンドライト成長によって電圧降下や自己放電等の不良
が発生するので好ましくない。
【0034】 膜厚 ポリオレフィン微多孔膜の膜厚は、5〜70μmであ
る。膜厚が5μm未満では、強度が低下するので破膜の
おそれがあり、70μmを超えると、透過性が十分でな
くなる。
【0035】さらに、上記で得られたポリオレフィン微
多孔膜は、必要に応じて、ノニオン系界面活性剤等で処
理して親水化などの表面修飾を施すことが好ましく、中
でもポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドを
用いて親水化できる。親水処理を施した微多孔膜は、電
解液との親和性が高くなるため好ましい。
【0036】2.複合繊維不織布 積層体に用いる複合繊維不織布としては、外層がポリエ
チレンからなり、内芯層が外層ポリエチレンより20℃
以上、好ましくは30℃以上高い融点を有する樹脂より
なる複合繊維からなる複合繊維不織布である。なお、メ
ルトダウン温度向上のためにポリプロピレン不織布を用
いると、ポリオレフィン微多孔膜との剥離強度が低く、
積層複合膜の膜厚が50μm以上となったときには、巻
き取り時にしわや浮きが起こるので、電池用セパレータ
として用いることができず、本発明においては使用する
ことができない。
【0037】外層のポリエチレンとしては、超高分子量
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体等のいずれも使用できるが、特に低密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の低融点のポリエ
チレンが好ましい。
【0038】内芯層を構成する樹脂としては、ポリエチ
レンの融点より20℃以上高い融点を有する樹脂で、ポ
リプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリ−
3−メチルブテン−1、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリーレンオ
キシド等の樹脂が挙げられ、特に、好ましくはポリプロ
ピレンである。
【0039】内芯層の太さは、繊維径の1/5〜4/5
程度であることが、外層の接着性と内芯層による形状保
持効果を保つ上で望ましく、内芯層の位置は繊維の中心
であっても偏芯していてもよい。不織布を構成する繊維
は0.5デニール〜15デニール、好ましくは1.5〜
5デニールの太さの繊維が好ましく、得られた不織布の
目付としては、5〜50g/m、好ましくは8〜30
g/mである。
【0040】本発明に用いる複合繊維不織布は、上記の
複合繊維を用い、スパンボンド法、乾式法、湿式法等で
製造したものが使用できるが、短繊維を水中に分散して
すいた、いわゆる湿式法によるものが厚さムラや目付ム
ラがなく好適に用いられる。不織布の製造時に上記多層
の繊維に、ポリエチレン製の合成パルプや他の合成繊維
を混合することができる。混合割合は、多層の繊維との
合計量にして5〜60重量%、好ましくは20〜40重
量%である。上記の多層の繊維、ポリエチレン製の合成
パルプや他の合成繊維は接着性を向上させるため、無水
マレイン酸等の不飽和カルボン酸をグラフトした変性樹
脂を用いても良い。
【0041】また、本発明で用いる複合不織布は、電解
液の注液速度、注液量を増加させるために、積層する前
に予め、親水化処理してもよく、親水化処理としては、
界面活性剤処理、グラフト処理、コロナ処理、発煙硫酸
処理等による処理が挙げられる。
【0042】さらに、不織布に含まれている添加成分が
電池の性能に影響を与える場合には、洗浄処理を行うこ
とが好ましい。洗浄処理は、水洗又は溶剤処理が挙げら
れる。水洗の場合には、含水高圧水流により行うことが
できる。溶剤処理に用いられる溶剤としては、ペンタン
等の脂肪族炭化水素、塩化メチレン等の塩素化炭化水
素、メタノール等のアルコールが用いられ、これらのう
ち少なくとも一種を用いて浸漬する方法、吹き付ける方
法等により不純物を除去することができるが、これらの
溶剤と接触させるのであれば、手法は問わない。洗浄処
理において、圧力は特に制限されないが、高圧水流の場
合には、98〜980KPaの圧力下にて行うことがで
きる。洗浄時間も特に制限されないが、通常5秒〜5分
である。なお、親水化処理と洗浄処理とを併用すること
もできる。この場合には、洗浄処理後、親水化処理を行
うことが好ましい。
【0043】3.積層体の製造方法 積層体は、上記のポリオレフィン微多孔膜と上記の複合
繊維不織布を低温熱融着接着(熱ラミネート)により行
われる。熱溶融接着にあたっては、不織布側を加熱し、
微多孔膜とを押圧することにより行うが、この時不織布
の外層繊維を構成するポリエチレンを溶融させ、融点の
高い繊維の芯層で形状を保ちつつ微多孔膜と積層するこ
とにより、微多孔膜の孔を過剰に潰すことなく、また不
織布の形状を保ちつつ、安定的に積層体が得られる。
【0044】加熱溶融接着は、熱カレンダー、熱、超音
波等によるエンボス加工、点接着等の方法により行われ
るが、熱カレンダー法が好ましく、加熱ロールやエンボ
ス熱ロールを使用することにより行う。熱ロールとして
は、通常、ゴム巻ロールが使用され、加熱方式は、心材
の金属製ロールの内部を直接又は間接加熱する方法によ
る。エンボスロールを用いる場合のロール表面のエンボ
ス形状は特に制限されない。熱ロールの表面温度は、不
織布に使用したポリエチレンの融点から適宜決定される
が、通常120〜150℃、好ましくは130〜145
℃であり、ライン速度は、通常10〜100m/分、好
ましくは40〜60m/分の範囲である。積層は、微多
孔膜/不織布の2層、不織布/微多孔膜/不織布の3層
のように微多孔膜の片側又は両側に不織布を積層しても
よい。
【0045】4.積層複合膜の物性 上記のようにして得られた本発明の積層複合膜は、次の
物性を有している。 (1)シャットダウン温度及びメルトダウン温度 本発明の積層複合膜を電池セパレータとして用いた場合
には、シャットダウン温度は、90〜135℃、好まし
くは90〜120℃である。シャットダウン温度が90
℃未満では、熱的安定性が低くなりすぎ、135℃を超
えると、セパレータとして使用した場合に外部短絡など
で大きな電流が流れた時に電池の温度上昇を抑えること
ができないので好ましくない。また、メルトダウン温度
は、170℃以上、好ましくは175℃以上である。メ
ルトダウン温度が170℃未満では、電池熱暴走時に電
極が直接接触するため好ましくない。さらに、シャット
ダウン温度とメルトダウン温度との差が50〜80℃で
あることが好ましい。
【0046】(2)突刺強度 本発明の積層複合膜の突刺強度は、4410mN/25
μm以上が好ましく、より好ましくは4900mN/2
5μm以上である。突刺強度が4410mN/25μm
未満では、積層複合膜を電池セパレータとして用いた場
合には、微少短絡による不良が起こりやすい。
【0047】(3)空孔率 本発明の積層複合膜の空孔率は、35%以上が好まし
く、特に好ましくは40%以上である。空孔率が30%
未満では、積層複合膜を電池セパレータとして用いた場
合には、電解液枯れを起こし、サイクル特性といった電
池特性が悪くなる。
【0048】(4)透気度 本発明の積層複合膜の透気度は、900sec/100
cc以下、好ましくは700sec/100cc以下で
ある。透気度を900sec/100cc以下にするこ
とにより、積層複合膜を電池セパレータとして用いた場
合には、イオン透過能力が向上するので、低温レート特
性、高容量を達成できる。
【0049】(5)剥離強度 本発明の積層複合膜の微多孔膜と複合繊維不織布との間
の剥離強度は、50mN以上、好ましくは100mN以
上である。剥離強度を50mN以上とすることにより、
巻き取りが容易になり、しわや浮きが発生しないので、
電池用セパレータとして使用できるようになる。
【0050】本発明の積層複合膜は、上記の物性を有し
ているため、メルトダウン温度が高く、高強度であり、
吸液速度が高いがゆえ、電解液含浸能力に優れるので、
電池用セパレータとして、安全性の高い、かつ生産性の
高い複合膜膜である。また、液体フィルター等としても
好適に用いることができる。
【0051】
【実施例】以下に本発明について実施例を挙げてさらに
詳細に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるも
のではない。なお、実施例における試験方法は次の通り
である。 (1)目付:JIS P8124に準拠して測定した。 (2)膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により測定した。 (3)透気度:JIS P8117に準拠して測定し
た。 (4)突刺強度:25μm厚の微多孔膜を直径1mm
(0.5mmR)の針を2mm/secで突き刺し、破
断したときの荷重を測定した。 (5)空孔率:重量法により測定した。 (6)引張強度:幅10mmの短冊状試験片の破断強度
をASTM D822に準拠して測定した。 (7)バブルポイント:ASTM E−128−61に
準拠してエタノール中にて測定した。なお、「なし」と
は、測定限界値を超え、14700KPa以上を意味す
る。 (8)吸液速度:PC(ポリカーボネート):DME
(1,2−ジメトキシエタン)=1:1溶媒の1mol
過塩素酸リチウム(LiClO)溶液を用い、アルゴ
ン雰囲気下で、幅30mm×長さ60mmの積層膜の吸
液速度を単位時間当たりの長さ(mm/秒)で測定し
た。 (9)シャットダウン温度:所定温度に加熱することに
よって、透気度が10万sec/100cc以上となる
温度として測定した。 (10)メルトダウン温度:所定温度に加熱することに
よって、膜が溶けて破膜する温度として測定した。 (11)剥離強度:JIS L1086に準拠して測定
した。
【0052】実施例1 重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン
(UHMWPE)20重量%、重量平均分子量が35万
の高密度ポリエチレン(HDPE)80重量%からなる
組成物100重量部に酸化防止剤0.375重量部を加
えたポリエチレン組成物(融点135℃)を得た。この
ポリエチレン組成物30重量部を二軸押出機(58mm
φ、L/D=42、強混練タイプ)に投入した。またこ
の二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン7
0重量部を供給し、200rpmで溶融混練して、押出
機中にてポリエチレン溶液を調製した。続いて、この押
出機の先端に設置されたTダイから190℃で押し出
し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形し
た。続いてこのゲル状シートを、115℃で5×5倍に
同時2軸延伸を行い、延伸膜を得た。得られた延伸膜を
塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出
除去した後、乾燥および122℃で熱セットを行い40
μm厚のポリエチレン微多孔膜を得た。このポリエチレ
ン微多孔膜の物性値を表1に示す。次に得られたポリエ
チレン微多孔膜の上に、外層が融点120℃のポリエチ
レン、内芯層が融点160℃のポリプロピレンの複合繊
維からなる乾式法不織布(目付:15g/m、膜厚:
50μm)を重ね、熱カレンダーロール装置により、ロ
ール温度120℃、ロール圧力2MPa、ライン速度1
5m/minにてラミネートを行った。得られた積層体
の物性値及び評価値を表1に示す。
【0053】実施例2 外層が融点120℃のポリエチレン、内芯層が融点16
0℃のポリプロピレンの複合繊維からなる乾式法不織布
(目付:15g/m、膜厚:50μm)を塩化メチレ
ンにより、15℃、1分間浸漬して洗浄した不織布を用
いる以外は、実施例1と同様にして積層複合膜を得た。
得られた積層複合膜の物性評価の結果を表1に示す。
【0054】実施例3 実施例1記載の微多孔膜を用い、不織布として表1の物
性を有する湿式法の不織布を用いる以外は、実施例1と
同様にして積層複合膜を得た。得られた積層複合膜の物
性評価の結果を表1に示す。
【0055】比較例1 実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜のみの評価を表
1に示す。
【0056】比較例2 ゲル状シート成形時に微多孔膜の厚みが25μmになる
ようにした他は、実施例1と同様にしてポリエチレン微
多孔膜を製造した。このポリエチレン微多孔膜のみの評
価を表1に示す。
【0057】比較例3 熱セット温度を120℃とする以外は、実施例1と同様
にしてポリエチレン微多孔膜を製造した。このポリエチ
レン微多孔膜のみの評価を表1に示す。
【0058】比較例4 比較例1記載のポリエチレン微多孔膜と目付が7g/m
、膜厚が100μmのメルトブローポリプロピレン不
織布を熱カレンダー法により、ロール温度120℃、圧
力2MPa、ライン速度10m/minにて積層し、積
層複合膜を得た。得られた積層複合膜の物性評価の結果
を表1に示す。
【0059】比較例5 ロール温度を115℃とするほかは、比較例4と同様に
して積層複合膜を得た。得られた積層複合膜の物性評価
の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1から明らかな様に、実施例の積層複合
膜は、同じ膜厚で比較した場合、吸液速度に優れ、ポリ
オレフィン微多孔膜と複合繊維不織布との間の剥離強度
が高く、シャットダウン温度とメルトダウン温度との差
が大きい。一方、ポリオレフィン微多孔膜のみでは、吸
液速度が遅く、メルトダウン温度が低く(比較例1〜
3)、複合繊維不織布を用いない積層膜は、吸液速度が
遅く、ポリオレフィン微多孔膜とポリオレフィン不織布
との間の剥離強度が低い(比較例4〜5)。
【0062】
【発明の効果】本発明の積層複合膜は、高強度、メルト
ダウン温度が高く、ポリオレフィン微多孔膜と不織布と
の間の剥離強度に優れた積層複合膜であるので、電池用
セパレータとして用いた場合、電池特性、安全性、生産
性を向上させることができ、特に過充電、加熱保持試験
時の熱暴走を防止または低減する機能を有する。また、
高い膜強度を合わせ持つため、電極充填密度を挙げても
短絡することが少なく、充放電時の圧縮による短絡も発
生し難いため、リチウム電池用セパレータとして用いる
場合は安全性の点でおおいに信頼できる、さらにフィル
ターとしても好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 公一 埼玉県朝霞市三原3−29−10−404 (72)発明者 滝田 耕太郎 神奈川県横浜市磯子区岡村4−16−24 Fターム(参考) 4F100 AK01B AK03A AK04B AK05 AK07 AL05A BA02 DG15B DG20B DJ06A EJ38A GB48 GB56 JA04B JA08A JB05B JG10 JK01 JK06 YY00A YY00B 5H021 BB09 BB15 CC00 CC02 CC04 EE04 EE23 EE34 HH03 HH06 HH07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量100万以上の超高分子
    量ポリオレフィン又は重量平均分子量100万以上の超
    高分子量ポリオレフィンと重量平均分子量1万以上10
    0万未満のポリオレフィンとを必須成分とするポリオレ
    フィン組成物からなる平均貫通孔径0.01〜0.10
    μm、バブルポイント≧980KPaである二軸延伸ポ
    リオレフィン微多孔膜と、外層がポリエチレンで、内芯
    層が外層の該ポリエチレンより融点が20℃以上高い樹
    脂である複合繊維からなる不織布との積層体からなるこ
    とを特徴とする積層複合膜。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量100万以上の超高分子
    量ポリオレフィン又は重量平均分子量100万以上の超
    高分子量ポリオレフィンと重量平均分子量1万以上10
    0万未満のポリオレフィンとを必須成分とするポリオレ
    フィン組成物からなる平均貫通孔径0.01〜0.10
    μm、バブルポイント≧980KPaであるポリオレフ
    ィン二軸延伸微多孔膜と、親水化された外層がポリエチ
    レンで、内芯層が外層の該ポリエチレンより融点が20
    ℃以上高い樹脂である複合繊維からなる不織布との積層
    体からなることを特徴とする積層複合膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の積層複合膜を用
    いた電池セパレータ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の積層複合膜を電
    池セパレータとして用いた電池。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の積層複合膜を用
    いたフィルター。
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