JP2001161353A - 移植用細胞片及びその作成方法 - Google Patents
移植用細胞片及びその作成方法Info
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Abstract
成方法を提供する。 【解決手段】 本移植用細胞片10は、羊膜12と、こ
の羊膜12上に付着させた上皮幹細胞組織14と、この
幹細胞組織から羊膜表面を覆うように増殖した上皮細胞
16とから構成される。また、この移植用細胞片10の
作成は、羊膜12をディッシュプレートに固定し、羊膜
12上に上皮幹細胞組織14を接着させ、その状態で培
養を行う。この培養により、幹細胞組織14から上皮細
胞16が増殖し、羊膜12の表面は、上皮細胞16によ
り覆われる。これにより、羊膜12の表面に上皮幹細胞
組織14が付着し、さらにその表面が増殖した上皮細胞
16で覆われた移植用細胞片10が作出される。
Description
その作成方法に関し、特に、上皮細胞、より具体的に
は、角結膜上皮細胞を羊膜上に培養増殖させた移植用細
胞片及びその作成方法に関する。
層にあり、透明な血管のない組織であって、涙液と共に
平滑な表面を形成することにより良好な視力を得ること
に貢献している。また、角結膜上皮細胞は常に外界と接
し、外界の微生物などの異物、紫外線などの光線などか
ら眼球を守る防御作用を持っている。すなわち、角結膜
上皮細胞は、角膜の透明性と眼球全体を防御し恒常性を
維持するために極めて重要な役割を果たしている。
穿孔等の病態により濁り、透明性が失われてしまう場合
がある。このような角膜の濁りによる永続的な視力の低
下に対しては、角膜移植による治療が行われている。こ
の角膜の移植は、患者の透明性が失われた角膜を取り除
き、ここに透明な角膜を移植する。この移植により透明
性が回復し、再び視力を取り戻すことができる。
できない病気がある。例えば、スティーブンス・ジョン
ソン症候群、眼類天疱瘡、化学外傷、熱傷などである。
通常、角結膜上皮細胞は、毎日分裂を繰り返し、古くな
った細胞は、はがれ落ち、幹細胞組織から新たな細胞が
再生されるが、これらの病態では、この角膜を再生させ
る幹細胞組織に障害があることがわかってきている。
「角膜輪部組織」と呼ばれ、ちょうど黒目と白目の境界
部分に限局し、外界に露出された特殊な環境にある。そ
のため、上述した病態では、この幹細胞組織自体がなん
らかの障害を受けて根絶してしまうと考えられている。
そして、この幹細胞組織の根絶により、その欠損部分は
周りに存在する結膜上皮で覆われ、透明性に欠け、視力
の極端な低下がもたらされる。
いるため、単に角膜を移植するだけでは移植された角膜
を長期に維持できない。そのため、恒久的な眼表面再建
を図るためには、角膜輪部をも移植する必要がある。こ
の角膜輪部を移植する方法の一つとして、羊膜を用いた
移植法が開発されている(メディカル朝日1999年9
月号:p62〜65、N Engl J Med340:
1697〜1703、1999) 。
した妊婦等の胎盤から得ることができる。また、この羊
膜は、厚い基底膜をもつことから、角結膜上皮細胞が増
殖、分化するための基質として作用する。さらに、羊膜
は免疫原性がほとんどなく、抗炎症、瘢痕形成抑制など
の作用を併せ持つことから、羊膜上に移植される角結膜
上皮やこれらの幹細胞組織は移植受容者(レシピエン
ト)の拒絶反応等から保護されることになる。
法では、図3に示す通り、先ず、結膜化等した角膜組織
を切除し、角膜実質及び強膜が露出される。露出された
角膜実質及び強膜に、眼表面再建のため羊膜1が張り付
けられる。提供された角膜組織からは、中央部角膜(上
皮・実皮・内皮を含む)2が切り出され、角膜輪部組織
3の周囲が整えられて、露出された羊膜および角膜実質
上に移植、逢着される。このように移植された角膜輪部
3は、免疫原性のない羊膜1に保護された状態で、この
羊膜1を基質として分化、増殖し、羊膜1上で角膜上皮
が再生される。そのため、この方法によれば、角膜上皮
の長期的な維持、再生が可能となる。
用いた移植法では、術後、移植された角膜輪部から適切
に上皮化が行われず、視力改善が得られない症例も多数
存在する。また、スティーブンス・ジョンソン症候群や
角膜化学傷などの患者における輪部移植の長期の追跡調
査では、眼表面再建の達成率が約50%であった。そし
て、半数の非成功例の多くは、上皮化が得られなかっ
た。
能とされていたが、羊膜を用いた移植法では移植成功率
50%までに向上されてはいるが、さらなる治療成績の
向上が望まれている。
膚において真皮、上皮の全層が欠損した損傷部位を移植
するための移植片の開発が進めれられている。例えば、
特開平10−277143号公報には、ヒト皮膚等の全
層欠損創を治療するための移植片及びその製造方法が記
載されている。
に真皮組織由来の線維芽細胞を包埋し、表皮組織をこの
シートの表面に付着して作られる。このような移植片に
よれば、真皮をも欠損している全層欠損創に移植した場
合に優れた生着率が示されている。
たものであり、その目的は、羊膜を用いて角結膜上皮細
胞などの上皮細胞において、より高い治療成果が図られ
る移植用細胞片及びその作成方法を提供することであ
る。
に、本発明は、スポンジ層及び上皮層が除かれた羊膜上
に上皮幹細胞組織を付着させ、この幹細胞組織から該羊
膜表面を覆うように上皮細胞をインビトロで再生させる
ことを特徴とする。
て、予め羊膜上に付着された幹細胞組織から上皮細胞を
羊膜表面を覆うように増殖させておくことにより、従来
の羊膜を用いた移植法に比して上皮の再建率を向上さ
せ、より高い治療成果が図られる。
幹細胞組織が付着されているため、従来のように羊膜、
角膜輪部を個別に眼表面などに移植する場合に比べ、移
植時間を短縮化させることも可能となる。
により、幹細胞組織以外に幹細胞組織周辺の上皮細胞な
どを含むものも含まれる。そのため、羊膜状で幹細胞組
織を培養し、増殖した上皮細胞には、幹細胞組織から増
殖した上皮細胞以外に、提供者からの上皮細胞を存在す
るものも含まれる。
図面を用いて説明する。
移植用細胞片を図1に示す。
片10は、羊膜12と、この羊膜12の上に付着させた
上皮幹細胞組織14と、この幹細胞組織から羊膜表面を
覆うように増殖した上皮細胞16とから構成される。
最内側にあって胚を直接覆う膜であり、厚い基底膜を有
する。また、この羊膜12は、免疫原性がほとんどな
く、抗炎症作用などを有している。このように羊膜12
は免疫原性がほとんどないが、移植後の免疫反応の惹起
をより確実に防止するためには、ヒトへの移植用細胞片
の場合には、同じ動物種であるヒト由来の羊膜を用いる
ことが好ましい。
トへの移植の場合にはヒト由来のものであれば、親、子
供など血縁関係にあるものに限定されず他人のものでも
よい。
妊婦から得ることができる。この羊膜は、一般に下層側
から、スポンジ層、緻密層、基底膜層、上皮層とを有す
るが、この移植用細胞片における「羊膜」では、スポン
ジ層と上皮層とは不必要であるため、これらを除去処理
したものを用いることが好ましい。
組織14は、上皮細胞を再生させる能力がある細胞組織
である。ここで上皮細胞は、たとえば、角膜上皮細胞、
結膜上皮細胞などが含まれる。
皮細胞の幹細胞組織である角膜輪部組織などが挙げられ
る。また、上皮細胞が結膜上皮細胞である場合には、こ
の幹細胞組織14は、結膜円縁部等にある結膜上皮細胞
の幹細胞組織となる。なお、上記角膜輪部細胞は、眼球
の白目と黒目の境に局在し、眼球表面に露出して存在
し、角膜提供者などから得ることができる。
幹細胞組織のみであっても、その周辺の上皮細胞、線維
芽細胞、血管内皮細胞を含んでいるものであってもよ
い。
エント以外のものから提供されたものが用いられるが、
提供者は、レシピエントの親、兄弟など、また、レシピ
エントとは血縁関係のない全く他人であってもよい。
は、免疫による拒絶反応が生じるおそれを回避するため
には、HLAタイプの適合した提供者由来のものが好ま
しい。しかし、HLAタイプが適合した提供者由来の上
皮管細胞組織が得られない場合には、HLAタイプが適
合していない提供者由来のものであってもよい。
に、提供された組織は予め感染などのおそれがないこと
が確認されたものを用いることがよい。
がよく、上皮細胞を増殖し得るものが好ましい。また幹
細胞組織14のサイズは、細胞の状態により異なるが、
例えば、幹細胞組織14の状態がよい場合には、羊膜が
2cm平方のサイズに対して、例えば1mm平方程度で
もよい。
は、一組織片を用いても、複数の組織片を用いてもよ
い。また、これら上皮細胞組織14を、羊膜上に載せる
場合には、生体内で本来配置しているように形状に整え
て羊膜上に置くことが望ましい。
輪部組織を用いた場合に望ましい配置状態を示してい
る。すなわち、通常、角膜輪部組織は、黒目と白目の境
界部分に局在していることから、この境界部分に相当す
る位置に上皮幹細胞組織14を配置させた場合を示して
いる。
羊膜12の上に付着させた上記幹細胞組織14をインビ
トロ(in vitro)で培養して増殖させたもの、
また、提供された幹細胞組織にその周辺の上皮細胞が結
合している状態のものについては、上記幹細胞組織から
増殖した上皮細胞のほかに提供者の上皮細胞を含むもの
も含まれる。
は、移植の際に状態のよいものであることが望ましく、
例えば、増殖曲線を描いたときに右肩上がりの一次直線
を示すような増殖期にある細胞であることが好ましい。
組織を備え、上皮細胞16で覆われた移植用細胞片10
は、上皮細胞とともにその幹細胞組織までも根絶又は損
傷したような患部に移植される。そして、本移植用細胞
片10では、予め羊膜12の表面を覆うように幹細胞組
織14から上皮細胞16が増殖しているため、従来のよ
うに患部に移植された後に上皮細胞を増殖させる方法に
比較して、上皮組織の再建率を向上させることが可能と
なる。
植用細胞片10の作成方法について説明する。
なる羊膜は、ヒトの場合には帝王切開した妊婦などから
羊膜が採取される(S200)。
(S201)、保存することもできる(S202)。こ
の保存方法としては、上記保存のための処理を行った
後、保存液などに浸して−80℃で保存することもでき
る。
4.2,8.5,15.0%の濃度でDMSO(ジメチ
ルスルホキシド)を含有した生理食塩水を準備し、次い
で、DMSO濃度の低い溶液から順に羊膜を30分程度
浸すことにより行うことができる。
MSO含有生理食塩水などを用いることができる。
羊膜は、羊膜を構成する不必要な上皮層及びスポンジ層
を剥がし易くするために、羊膜が前処理される(S20
3)。この前処理の方法は、特に限定はないが、例え
ば、10%アンモニア水で処理することができる。
て、適切なサイズに切断される(S204)。この適切
なサイズとは、例えば、眼表面再建の場合には、露出し
ている眼表面を十分に覆うことが可能な2cm平方程度
のサイズなど、移植部位の面積に対応して決定すること
ができる。
ディッシュプレート(例えば、35mmφなど)に入れ
られる。このプレート内に入れられた羊膜はスポンジ層
と上皮層とが剥がされ、緻密層と、基底膜とが残される
(S205)。そして、基底膜を上向きにした状態で、
羊膜はプレート底部に固定される(S206)。
大きな損傷を与えない方法であれば特に限定はないが、
例えば、以下のように凍結と乾燥を組み合わせた方法で
実施することができる。
膜を、−80℃で完全に凍結させ、凍結後、室温に再度
戻され、プレート内の水分が吸引除去される。羊膜は、
上皮側が上向きにされて皺が広げられた状態で、無菌的
に羊膜表面を完全に乾燥させることが好ましい。
が、再度−80℃に凍結してもよい。凍結させた場合に
は、使用前に羊膜は室温に戻され、ディッシュプレート
についた水分が除去されて使用可能となる。
せ、上皮細胞を培養増殖させる。
状態がよいものが好ましく、例えば、提供者から提供さ
れた状態のよい幹細胞を提供直後に使用することが好適
である。このような状態のよい幹細胞組織が得られた
ら、上記プレートに固定された羊膜表面に付着させ、幹
細胞組織が浮遊しない程度の培地を注入し、培養を開始
する。但し、幹細胞組織が羊膜に接着した後は、培地の
液量を幹細胞組織や増殖を開始した上皮細胞が十分に培
地に浸る程度まで増やすことが好ましい。
大きめであることが好ましく、例えば、角膜輪部組織の
場合には、2cm平方の羊膜に対して1mm平方程度の
サイズであることが好ましい。しかし、このサイズは、
細胞組織の状態などから大小変更させることは可能であ
る。
られる培地は、幹細胞組織から上皮細胞を適切に増殖さ
せ得る培地であれば、特に限定はない。例えば、幹細胞
組織の培養開始時には、SHEM培地などを用いること
ができる。また、上皮細胞増殖開始後は、上皮細胞培養
用の基礎培地、例えば、Medium165培地などを用いる
ことができる。なお、SHEM培地及びMediumu165
培地の組成については、後に詳述する。
添加される。この血清は、ウシ胎児血清(FCS)など
を用いることもできるが、好ましくは、幹細胞組織の提
供者(ドナー)又はレシピエント自身の血清を用いるこ
とがよい。
品を遠心分離し、さらに、フィルターを通したものを用
いることが好ましい。また、ヒト血清を用いる場合に
は、熱処理(例えば、56℃、30分間程度)したもの
や0.22μmフィルター等により白血球などの免疫拒
絶反応を惹起するおそれのある細胞などが除去されたも
のを用いることが好ましい。
始時には、高濃度、例えば15%程度とすることができ
る。一方、上皮細胞増殖開始後は、比較的低濃度でもよ
く、例えば、3%程度とすることができる。なお、これ
ら培地の切り替え時期は、顕微鏡下で上皮細胞の増殖が
確認された段階又は、培地にpHインディケータなどが
添加されている場合には、細胞増殖によりインディケー
タが酸性を呈した段階で行うことができる。
ば、37℃に設定されたCO2インキュベーターなどを
用いて行う。また、培養期間は、短くとも羊膜表面を覆
うために必要な期間とし、最長でも上皮細胞の増殖が盛
んな段階、例えば、細胞の増殖をグラフにプロットした
際に一次直線を描く増殖期の範囲内とすることが好まし
い。
た上皮細胞でちょうど埋まる程度、すなわち、コンフル
エントに達する程度の期間とすることができる。より具
体的には、状態のよい角膜輪部組織(1mm平方)を、
ディッシュプレート(直径3.5cm)に固定された羊
膜(2cm平方)上で培養した場合には、培養期間は、
およそ10〜14日程度とすることができる。
質として、その表面に幹細胞組織が接着され、また、そ
の羊膜表面を覆うように幹細胞組織から増殖した上皮細
胞が広がった移植用細胞片が生成される。ここで生成さ
れた移植用細胞片は、羊膜をディッシュプレートから剥
がすことにより回収される。ここで回収された移植用細
胞片は、回収後速やかにレシピエントの患部に移植され
る。
細胞片作成用キットについて説明する。
より、上記移植用細胞片を作成することができるが、こ
の作成を容易に実施し得るように移植用細胞片を作成す
るために、必要な培養液、試薬等及び作成方法を記載し
た説明書などとともにキットとして提供してもよい。
された羊膜、幹細胞組織を培養するために必要な培地な
どを含めることができる。また、必要に応じて、羊膜な
ども含めてもよい。このように羊膜や培地などがキット
として提供されることにより、幹細胞組織などを準備す
れば、上記作成方法に従って比較的簡便に移植用細胞片
を作成することが可能となる。
に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでは
ない。
た妊婦などから羊膜を採取する。採取した羊膜を保存す
る場合には保存用の処理溶液を調整する。この処理溶液
は、滅菌済みPBS(−)又は滅菌済み生理食塩水に最
終濃度4.2,8.5,15.0%となるようにDMS
Oを添加した、4.2,8.5,15.0%溶液として
調整される。ここで調整された溶液をそれぞれ複数の容
器に入れて準備する。
8.5,15.0%溶液という濃度の低い順でそれぞれ
30分ずつ羊膜を浸すことにより行う。処理後、すぐに
使用する場合は次の羊膜上皮の除去を行う。一方、保存
する場合には、上記15%溶液を含む保存容器に入れ
て、−80℃で保存する。
ば、100mmφ)に上記15%溶液を注ぎ、そこに羊
膜を移す。羊膜は、使用する大きさに切断され、それぞ
れ個別のディッシュプレート(例えば、35mmφ)に
移される。採取された羊膜には、下層から順にスポンジ
層、緻密層、基底膜、上皮を備えるが、このうち最下層
のスポンジ層をピンセットを用いて剥がす。スポンジ層
が剥がされた後、この羊膜を10%アンモニア水に浸
し、室温で30分間静置する。
ーを用いて剥がす。上皮の除去が終了後、10%アンモ
ニア水を吸引し除去する。その後、ディッシュプレート
に滅菌済みPBSを注入し、羊膜を洗浄する。
培養させるために、この羊膜をディッシュプレートの底
に張り付けて、固定する。この張付け固定は、後に培養
液を添加したときに羊膜が浮上しない程度に行う。
は、羊膜を凍結及び乾燥させる。具体的には、2回の凍
結を経る方法では、先ず、上記PBS洗浄後の羊膜を−
80℃に置き、完全に凍結させる。
膜を室温に戻し、プレート内の水分をアスピレータで吸
い取る。水分をアスピレータで除去した後、羊膜を上層
を上向きにして、ピンセットで広げて羊膜の皺を取る。
その状態で、クリーンベンチ内でディッシュプレートの
蓋を開いたまま、ファンをつけて1時間以上風乾させ
る。羊膜の上層面が完全に乾いた事を確認したら、再度
−80℃に凍結させる。使用する1時間位前に室温に戻
し、ディッシュプレートについた水分を取り除いた後、
使用する。
場合、2度目の凍結工程を省略することもできる。
ら提供された角膜輪部組織を用いた移植用細胞片の作成 角膜輪部組織の提供者から採血し、血清を分離する。分
離された血清を、56℃、30分間、熱処理して不活性
化する。この血清をSHEM培地に添加し、15%血清
入りSHEM培地を調整する。ここで調整された培地の
一部を予め容器に入れ、提供者から角膜輪部組織を採取
する。採取した角膜輪部組織を前記培地入りの容器に速
やかに投入する。
固定された羊膜上に載置し、組織が浮かないように上記
血清含有SHEM培地を注入して、37℃でインキュベ
ートする。このインキュベートにより組織が羊膜に接着
したら、さらに培地を追加して培養する。
が観察されたところで、培養液を3%血清含有165培
地に変更する。なお、上皮細胞増殖の観察は、例えば培
地に含まれるpHインディケータが酸性を示しているこ
とにより検知することもできる。
の培地を定期的に交換しながら、培養を継続する。培養
は、およそ10〜14日間で、ディッシュプレートの底
部がコンフルエントになるまで行う。
輪部組織から上皮細胞が増殖して、羊膜を基底膜としこ
の表面を角膜上皮細胞で覆われ、かつ角膜輪部組織を有
する移植用細胞片が作成される。
に示す。
組織を用いた移植用細胞片の作成 移植用細胞片の作成における各工程は、上述の一連の工
程により行われる。ここでは、培養液に添加される血清
をドナー由来ではなく、レシピエント由来の血清を用い
ている。
び3%血清添加165培地において、添加される血清は
レシピエントから採取した血清を用いる。なお、この血
清は、上記と同様に、レシピエントから採取した血液か
ら分離し得られ、この血清分離後、56℃、30分間、
熱処理を行うことにより不活性化されて使用される。
場合であっても、レシピエントの血清により、移植用細
胞片を作成することができる。
実質を露出させる。一方、上記の通り作成された移植用
細胞片は、ピンセットなどでプレートから羊膜を剥がし
て回収する。
質上に羊膜が接触するように移植する。また羊膜上の角
膜輪部組織は、白目と黒目との境界である本来の角膜輪
部の位置に当たるように配置する。配置後、眼表面に移
植された細胞片を生理食塩水などで洗浄し、洗浄後、縫
着する。
に対して実施したところ、早期に上皮細胞の定着が観察
された。
れば、上皮組織の再建率を向上させることができ、より
高い治療効果が期待できる。また、角膜上皮などの上皮
組織の提供が不足している場合でも、幹細胞組織が得ら
れれば、この一部を用いて羊膜上で増殖させることによ
り、複数の角膜上皮などの上皮組織を再生させることも
可能となる。
図である。
る。
である。
16 上皮細胞。
Claims (5)
- 【請求項1】 スポンジ層と上皮層とが取り除かれた羊
膜と、 前記羊膜の表面に付着された上皮幹細胞組織と、 前記幹細胞組織より該羊膜表面を覆うようにインビトロ
で増殖させた上皮細胞と、を含む移植用細胞片。 - 【請求項2】 前記上皮細胞が、角膜上皮細胞又は結膜
上皮細胞であることを特徴とする請求項1に記載の移植
用細胞片。 - 【請求項3】 スポンジ層と上皮層とが除去された羊膜
を調整する工程と、 前記羊膜に上皮幹細胞組織を付着させる工程と、 前記羊膜上に該上皮細胞を増殖させる工程と、を有する
移植用細胞片の作成方法。 - 【請求項4】 前記上皮細胞が、角膜上皮細胞又は結膜
上皮細胞であることを特徴とする請求項3に記載の移植
用細胞片の作成方法。 - 【請求項5】 前記幹細胞組織が、角膜輪部細胞である
ことを特徴とする請求項3に記載の移植用細胞片の作成
方法。
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---|---|---|---|
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