JP5458279B2 - 可溶化羊膜組成物及びその用途 - Google Patents

可溶化羊膜組成物及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、可溶化羊膜組成物及びその細胞培養用基材の原料としての用途に関する。
細胞を基体上で培養する細胞培養において、細胞の増殖速度を大きくするために、プラスチック製やガラス製の基体にコラーゲンやフィブロネクチンをコーティングして培養基材とし、この培養基材上で細胞を培養することが知られている。そして、培養基材に用いるコラーゲンとして、羊膜から採取したコラーゲンを用いることも公知である(非特許文献1)。また、細胞を除去した羊膜自体を培養基材に用いることも知られている(非特許文献2及び3)。
T. R. KUMAR, et al., J. Biomater. Sci. Polymer Edn, Vol. 14, No. 7, pp. 689-706 (2003) Morio Ueno et al., PNAS, vol.103, no.25, 9554-9559, June 20, 2006
羊膜自体を培養基材として用いる場合、取扱い性や保存性に問題がある。すなわち、細胞の培養は、培養ディッシュやマイクロプレートのウェル中等で行なわれることが多いが、その場合には、培養ディッシュやウェルの形状に合うように羊膜を裁断しなければならず、また、羊膜が基体からめくれ上がる恐れもある。特に、細胞を長期間培養する場合には、細胞が培養ディッシュ底面に接着した状態のまま培養液を交換する必要があり、この培養液の交換に伴う液体の流動が物理的な衝撃となり、羊膜自体が基体からめくれあがり、培養実験が中止される問題がある。
フィブロネクチンやコラーゲンなどの他のコーティング材は、その組成物の調製工程において種々の酵素によって処理されており、これらの酵素もヒト以外の生物に由来するもの、又はヒトの遺伝情報に基づいたアミノ酸配列を有する酵素であっても大腸菌を用いた組換えタンパク質が多いため、これら酵素等の物質がコーティング材に残留することは、該コーティング材を用いて培養された細胞を細胞移植治療に用いる場合や、他の移植治療に用いる細胞と共培養する場合などに深刻な問題を残す。
また、フィブロネクチンやコラーゲンなどの他のコーティング材は、その生成物の調製過程で酵素処理を行うが、一般に酵素は精製が困難であり、また市販品を入手できても高価である場合が多く、調製工程の前段階として酵素の準備が容易でないという問題がある。
従って、本発明の目的は、羊膜自体よりも取扱い性に優れ、細胞の培養に適した安全で安価な材料を提供することである。
本願発明者らは、もし、羊膜を可溶化することができれば、その可溶化物を基体上にコーティングし、乾燥させたものが培養基材として利用可能かもしれないことに想到した。この場合には、可溶化物を基体上に塗布し、乾燥させることにより培養基材とすることができるので、取扱い性は良好である。しかしながら、羊膜の可溶化物は知られていない。本願発明者らは、鋭意研究の結果、羊膜の可溶化物の調製方法を見出し、かつ、この羊膜可溶化物を基体上にコーティングし、乾燥させたものを培養基材として利用可能であり、さらに、以下において詳細に説明するように、細胞の培養に適し、該培養基材が安価に調製できる基材であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、加熱下での酸処理により可溶化した羊膜の可溶化物を媒体中に含む可溶化羊膜組成物であって、酸処理が酢酸水溶液又は塩化水素水溶液を用いた処理であり、酸処理後にアンモニア水で中和して中性のpHを有する組成物を提供する。また、本発明は、上記本発明の可溶化羊膜組成物を基体上にコーティングし、乾燥して成る可溶化羊膜コーティング材を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の可溶化羊膜コーティング材から成る細胞培養用基材を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の可溶化羊膜コーティング材上で細胞を培養することを含む細胞培養方法を提供する。
本発明により、羊膜を可溶化した組成物が初めて提供された。本発明の組成物を基体上にコーティングし、乾燥したものは細胞の培養基材として利用可能であり、該羊膜の可溶化組成物は液体であるので、基体表面上にコーティングし、乾燥するだけで培養基材とすることができ、取扱い性に優れる。
また、本発明に係るコーティング材は、安価に製造可能であり、調製工程で使用した物質の残留がないため、該コーティング材上で培養した細胞は、そのまま移植治療に用いることができ、再生医療に適している。本発明に係る可溶化羊膜コーティング材は、羊膜成分の調製工程において酢酸水溶液又は塩化水素水溶液を用いた酸処理を行い、アンモニア水を用いた処理により中和を行なう工程を経るが、これらの工程で使用する酸又は塩基揮発性であり、加熱により完全に羊膜組成物から除去することが可能である。従って、残留物質を含まない本発明のコーティング材上で培養した細胞は、そのまま細胞移植に使用することが可能である。特に再生医療の分野では、細胞移植に用いる細胞は非常に巧妙にデザインされた細胞分化誘導法に従って目的の組織細胞へと分化させる場合が多く、また、移植するタイミングも治療の成否に大きく影響するので、移植する細胞に移植直前に何らかの処理を施すことは好ましくない。従って、培養した細胞をそのまま移植することを可能とする本発明に係るコーティング材は、再生医学・再生医療の分野において大きく貢献するものと期待される。
さらに本発明は安価な酸、又は塩基を使用するだけで組成物の調製が可能であるため、他のコーティング材に比べて、簡便に、安価に調製することができるというメリットを有する。
本発明の実施例で行った、各種培養基材上で羊膜間葉細胞を培養した際の細胞数の評価結果を示す図である。 本発明の実施例で行なった、異なる濃度のヒト可溶化羊膜組成物でコーティングした培養基材上でヒト骨髄由来間葉系幹細胞を培養した際の細胞数の評価結果を示す図である。 本発明の実施例で行なった、ヒト可溶化羊膜組成物でコーティングした培養基材上でヒト骨髄由来間葉系幹細胞を培養した際の細胞数の評価結果を示す図である。 本発明の実施例で行った、各種培養基材上でヒト骨髄由来間葉系幹細胞を培養した際の細胞数の評価結果を示す図である。 本発明の実施例で行なった、各種培養基材上でヒト骨髄由来間葉系幹細胞を培養し、酵素処理による培養細胞回収の回収率を比較検討した結果を示す図である。
上記の通り、本発明の可溶化羊膜組成物は、羊膜を加熱下において酢酸水溶液又は塩化水素水溶液を用いて酸処理し、アンモニア水で中和することにより得られたものであり、液体の媒体中に羊膜の溶解物が含まれたものである。
羊膜が由来する動物種は、哺乳動物であれば特に限定されないが、ヒト細胞又はヒトに移植若しくは投与する細胞を培養する場合には、培養細胞の増殖性及び/又は安全性の観点からヒト羊膜を原料とすることが好ましい。羊膜は、出産後に胎盤と共に排出され、ヒト羊膜でも医療廃棄物として廃棄されている。従って、ヒト羊膜でも入手が容易で倫理上の問題もないので好ましい。
酸処理に先立ち、羊膜に付着している細胞を除去し、除去しきれない細胞については死滅させることが好ましい。細胞の除去は、羊膜を緩衝液中で強く振盪することを繰り返すことにより行なうことができる。また、除去し切れなかった細胞を死滅させる処理としては、強アルカリ又はEDTA溶液による処理を挙げることができる。強アルカリとしては、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物が好ましい。水酸化ナトリウムの場合、好ましい濃度は、特に限定されないが、通常、25mM〜400mM、好ましくは50mM〜200mM程度である。また、EDTA溶液中のEDTAの濃度は、通常、5mM〜80mM、好ましくは10mM〜40mM程度である。強アルカリ又はEDTAによる処理は、強アルカリ又はEDTAで羊膜を繰返し洗浄したり、又は羊膜を強アルカリ又はEDTA溶液中で強く振盪することを繰り返すことにより行なうことができる。このような処理を行なった場合には、酸処理を行なう前に羊膜を水でよく洗浄して強アルカリやEDTAを洗浄除去することが好ましい。
酸処理に用いる酸は、乾燥時に蒸発することにより、可溶化羊膜組成物を基体上にコーティング、乾燥して得られるコーティング材中に残留しない酸であり、酢酸や塩化水素の水溶液である。酢酸水溶液の場合、酢酸濃度は特に限定されないが、通常、50mM〜1M程度、好ましくは100mM〜500mM程度である。
酸処理に用いる酸の量(酸溶液の場合には酸溶液の量)は、羊膜を可溶化できる量であれば特に限定されないが、羊膜の湿重量1g当り通常5mL〜100mL、好ましくは10mL〜50mLである。
酸処理は、加熱下に行なわれる。酸処理時の温度は、特に限定されないが、通常、80℃〜100℃であり、好ましくは85℃〜95℃である。また、酸処理の時間は、羊膜が完全に溶けるまででよく、通常、60分間〜90分間程度である。
酸処理後は、アンモニア水で処理することにより、組成物を中和する。アンモニア水は、可溶化羊膜組成物を基体上にコーティング、乾燥して得られるコーティング材中に残留しない。アンモニア水の濃度は、特に限定されないが、通常、25mM〜400mM、好ましくは50mM〜200mM程度である。中和後のpHは、中性、すなわち、pH6.5〜7.5程度である
上記のようにして、可溶化された羊膜が媒体中に含まれる本発明の可溶化羊膜組成物が得られる。媒体は水が好ましく、上記の酸処理において、酸の水溶液を用いることにより、媒体が水である本発明の組成物を容易に得ることができる。あるいは、中和処理に、アンモニア水を用いることにより、媒体が水である本発明の組成物を容易に得ることができる。
本発明の可溶化羊膜組成物は、酢酸溶液の状態または凍結状態で保存することができる。
本発明の可溶化羊膜組成物を基体上にコーティングし、乾燥することにより本発明の可溶化羊膜コーティング材を得ることができる。コーティングは、塗布、浸漬、スプレー等の周知の方法により行なうことができる。また、基体としては、通常の細胞培養に用いられている基体でよく、培養ディッシュやシャーレの底面やマイクロタイタープレートのウェルの底面でよい。基体の材質は、限定されるものではなく、通常、ガラスやポリスチレン等のプラスチックである。
本発明の可溶化羊膜コーティング材は、細胞培養用基材として用いることができる。培養される細胞として何ら限定がないが、組成物が、ヒト由来の羊膜を可溶化した組成物から得られる場合には、ヒト細胞又はヒトに投与する細胞であることが細胞の増殖効率及び安全性の面から好ましい。本発明の細胞培養用基材上で培養される細胞は本実験では羊膜間葉細胞を用いたが、これに限定されるものではない。細胞の培養自体は、それぞれの細胞(幹細胞など)について知られている常法通りに行なうことができる。
本発明にかかるコーティング材は、可溶化した羊膜の水溶液を基体に添加してコーティングを行なうので、羊膜成分を均一に塗布することが可能となり、従って、羊膜自体を用いた場合よりも基材がめくれ上がりにくいため長期の培養実験に適し、また、培養細胞が接着する培養ディッシュ上の位置による培養条件の影響を受けにくいという利点を有する。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
ヒト可溶化羊膜組成物の調製(その1)
次の方法により、ヒト羊膜の可溶化物を水中に含む組成物を調製した。
1) 分離羊膜 1.8 g (湿重量)を50 mlチューブに入れる。
2) 45 ml PBS (-) を加え、室温で5分間強く震盪。
3) 同上をさらに2回繰り返す。上清を捨てる。
4) 0.1 N NaOH 45 mlを加え、室温で強く震盪5分間。上清捨てる。
5) 0.1 N NaOH 45 mlを加え、室温で強く震盪5分間。上清捨てる。
6) 0.1 N NaOH 45 mlを加え、室温で強く一夜震盪。上清捨てる。
7) 0.1 N NaOH 45 mlを加え、室温で強く一夜震盪。上清捨てる。
8) 蒸留脱イオン水45 mlを加え、室温で強く震盪5分間。上清捨てる。
9) 同上をさらに2回繰り返す。上清を捨てる。
10) 45 mlの250 mM酢酸を加え、90℃湯煎で溶解するまで、時々震盪。
11) 0.1 Mアンモニア水で中和。
12)可溶化羊膜組成物として保存。
ヒト可溶化羊膜組成物の調製(その2)
次の方法により、ヒト羊膜の可溶化物を水中に含む組成物を調製した。
1) 分離羊膜 1.8 g (湿重量)を50 mlチューブに入れる。
2) 45 ml PBS (-) を加え、室温で5分間強く震盪。
3) 45 ml 0.1 NaOH で20 回洗浄。
4) 蒸留脱イオン水45 mlで3回洗浄。
5) 45 mlの250 mM酢酸を加え、90℃湯煎で溶解するまで、時々震盪。
6) 0.1 Mアンモニア水で中和。
7)可溶化羊膜組成物として保存。
ヒト可溶化羊膜組成物の調製(その3)
次の方法により、ヒト羊膜の可溶化物を水中に含む組成物を調製した。
1) 分離羊膜 1.8 g (湿重量)を50 mlチューブに入れる。
2) 45ml 0.02 M EDTAで7回洗浄。
3) 45ml PBSで 3回洗浄。
4) 蒸留脱イオン水45 mlで3回洗浄。
5) 45 mlの250 mM酢酸を加え、90℃湯煎で溶解するまで、時々震盪。
6) 0.1 Mアンモニア水で中和。
7) 蒸留脱イオン水で透析、3,000 RPM、3時間遠心。
8)可溶化羊膜組成物として保存。
培養基材としての利用(その1)
50μlの実施例1で調製したヒト可溶化羊膜組成物(0.128mg/mL)を、培養面積0.32cm2の培養ディッシュに入れ、培養ディッシュの底面を可溶化羊膜組成物でコーティングし、乾燥した。
可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上に、間葉細胞であるヒト羊膜間葉細胞(約1,000個)を播種し、培養液として10% FBS添加したDMEM/F12を100μl入れ、37℃で培養した。比較のため、I型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン又はHEM(human extracellular matrix)をコーティングした市販の培養ディッシュ上でも同一条件下で培養した。さらに対照として、培養ディッシュ上に直接細胞を載せた場合及び培養ディッシュ上に蒸留脱イオン水100μlを入れて乾燥させて培養ディッシュ底面上に細胞を載せた場合についても試験した。培養開始3日目、6日目及び8日目に培養ディッシュの中に試薬(細胞増殖測定用試薬)を直接添加して、その吸光度を測定することにより、細胞数を評価した。
比較に用いた各マトリックスでコーティングした培養ディッシュは以下のように調製した。
(1) I型コラーゲンは、市販I型コラーゲン・コート96ウェル・プレート(4860-010,Iwaki)を用いた。
(2) フィブロネクチンは、市販のフィブロネクチン(Iwaki,02-070-002)を終濃度10μg/mLになるようリン酸緩衝液(PBS)で希釈した溶液を各50μlを各ウェルに分注して96ウェル培養ディッシュ(FALCON)の底面をコーティングし、37℃で一晩乾燥させ、その後PBSで2回洗浄して調製したものを用いた。
(3) ラミニンは、市販のラミニン(Upstate,08-125)を終濃度34μg/mLになるようPBSで希釈した溶液を各50μlを各ウェルに分注して96ウェル培養ディッシュ(FALCON)の底面をコーティングし、37℃で一晩乾燥させ、その後PBSで2回洗浄して調製したものを用いた。
(4) HEMは、市販のHEM(BD Biosciences,354237)を終濃度20μg/mLになるようPBSで希釈した溶液を各50μlを各ウェルに分注して96ウェル培養ディッシュ(FALCON)の底面をコーティングし、37℃で一晩乾燥させ、その後PBSで2回洗浄して調製したものを用いた。
結果を図1に示す。図1より、本発明の可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上で間葉細胞の培養を行った場合、細胞数が最も多く、細胞増殖が最もよく促進されたことがわかる。
培養基材としての利用(その2)
それぞれ10μl、100μlのヒト可溶化羊膜組成物(0.128mg/mL)を蒸留水2mlに添加したヒト可溶化羊膜組成物水溶液を、培養面積9.6cm2の培養ディッシュ(35-1008, FALCON)に入れ、培養ディッシュの底面を可溶化羊膜組成物でコーティングし、乾燥した。
可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上に、組織幹細胞であるヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC:human mesenchymal stem cells)(約50,000個)を載せ、培養液として10% FBS添加したDMEM/F12を100μl入れ、37℃で培養した。比較対照として、培養ディッシュ上に直接細胞を載せた場合(NC:Negative Control)及び培養ディッシュ上に蒸留脱イオン水100μlを入れて乾燥させて培養ディッシュ(DW:Distilled Water)底面上に細胞を載せた場合についても試験した。培養開始から3日目、6日目及び9日目に培養ディッシュの中に試薬(細胞増殖測定用試薬)を直接添加して、その吸光度を測定することにより、細胞数を評価した。また、培養開始から5日目、10日目及び15日目にも、同様の手法により細胞数を評価した。
結果を図2及び3に示す。図2より、本発明の可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上で培養を行った場合、該可溶化羊膜組成物の濃度依存的にhMSC細胞を増殖させることがわかる。
図3より、本発明の可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上で培養を行った場合、hMSC細胞を有意に増殖させる効果が認められる。
培養基材としての利用(その3)
実施例1で調製したヒト可溶化羊膜組成物50μlを、培養面積0.32cm2の培養ディッシュに入れ、96ウェル培養ディッシュ(FALCON)の底面を可溶化羊膜組成物でコーティングし、乾燥した。
可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上に、hMSC(約1,000個)を播種し、培養液として10% FBS添加したDMEM/F12を100μl入れ、37℃で培養した。比較のため、I型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン又はHEM(human extracellular matrix)をコーティングした市販の培養ディッシュ上でも同一条件下で培養した。
比較に用いた各マトリックスでコーティングした培養ディッシュは上記実施例4と同様の方法により調製した。
さらに対照として、培養ディッシュ上に直接細胞を載せた場合及び培養ディッシュ上に蒸留脱イオン水100μlを入れて乾燥させて培養ディッシュ底面上に細胞を載せた場合についても試験した。培養開始2日目、4日目及び8日目に培養ディッシュの中に試薬(細胞増殖測定用試薬)を直接添加して、その吸光度を測定することにより、細胞数を評価した。
結果を図4に示す。図4より、本発明の可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上でhMSCの培養を行った場合、細胞数が最も多く、細胞増殖が最もよく促進されたことがわかる。
間葉系幹細胞の接着率の検討
0.1mlのヒト可溶化羊膜組成物(0.128mg/mL)を、3.0cmペトリディッシュ(FALCON, 3001)に分注して底面を羊膜組成物でコーティングし、乾燥した。
可溶化羊膜組成物の乾燥物がコーティングされた培養ディッシュ上に、hMSC(約2.0x105個)を播種し、培養液としてhMSC培養用の培養液であるMSCBM(正式名称:Mesenchymal Stem Cell Basal Medium)(カタログ番号:CAMBRE,入手先:Takara, PT-3001)を3.0 ml加えて、37℃で培養した。比較のため、I型コラーゲンをコーティングした市販の100mm I型コラーゲン・コート・ディッシュ(Iwaki, 25020 COL1)、及び非コートディッシュ上でも同一条件下で培養した。培養開始から24時間以内に0.1 mlの0.1 %トリプシン・EDTAを添加し、37℃インキュベーター内でゆっくりと振盪させた。トリプシン・EDTA添加からそれぞれ1分、2分後に培地を添加することにより酵素反応を止めた。浮遊している細胞を回収し、細胞数を計測した。各系統について、同様の実験を3回繰り返し、浮遊細胞数の標準偏差を求めた。なお回収率は以下の式により計算した。
回収率(%)=(回収した浮遊細胞数x100)÷(総細胞数)
結果を図5に示す。可溶化羊膜コート・ディッシュ、コラーゲン・コート・ディッシュ、及び非コート・ディッシュで培養したhMSCの細胞回収率は、それぞれ55±6%、49±6%、及び35±8%であった。可溶化羊膜コート・ディッシュは、非コート・ディッシュと比較して、細胞が剥がれやすさに有意な差異が認められた。このことから、可溶化羊膜でコートした培養ディッシュを用いた場合には、短時間のトリプシン処理で高効率な細胞回収が可能となり、従って、トリプシンの酵素活性による細胞へのダメージを軽減できるという優れた技術的効果を奏するといえる。
一方、図5に示す結果から、可溶化羊膜コート・ディッシュとコラーゲン・コート・ディッシュを用いた場合で、細胞回収率に有意な差異は認められない。しかしながら、コラーゲンは、その精製過程において種々の酵素などを使用しており、精製過程で使用した物質の残留が問題となるために、コラーゲン存在下の条件で培養した細胞をそのまま体内に移植することは現段階では危険を伴う。その一方で、可溶化羊膜コート・ディッシュであれば、羊膜を可溶化する際に使用する酢酸及びアンモニアは揮発することで完全に除去することが可能であり、可溶化羊膜コートした培養ディッシュ上で培養した細胞はそのまま細胞移植に用いたとしても精製過程で使用する物質の残留に伴う危険は回避できるという優れた技術的特徴を有する。
可溶化羊膜組成物の組成
実施例1で調製した可溶化羊膜組成物の組成を分析した。その結果、主な成分は次の通りであった。
1. 蛋白質濃度: 60〜300μg/ml
2. 脂質分析:燐脂質、糖脂質、ガングリオシドを含有している
3. コラーゲン:含有を確認
4. ラミニン:可溶化するまえの羊膜に存在を確認(免疫染色)
以上の結果、本発明の羊膜可溶化組成物は、コラーゲンのみではなく、生体内の膜成分に近い組成をもっていることが判明した。

Claims (10)

  1. 加熱下での酸処理により可溶化した羊膜の可溶化物を媒体中に含む可溶化羊膜組成物であって、酸処理が酢酸水溶液又は塩化水素水溶液を用いた処理であり、酸処理後にアンモニア水で中和して中性のpHを有する組成物
  2. 媒体が水である請求項記載の組成物。
  3. 前記羊膜がヒト由来である請求項1又は2記載の組成物。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の可溶化羊膜組成物を基体上にコーティングし、乾燥して成る可溶化羊膜コーティング材。
  5. 請求項記載の可溶化羊膜コーティング材から成る細胞培養用基材。
  6. 前記細胞が間葉細胞である請求項記載の基材。
  7. 前記間葉細胞がヒト羊膜由来である請求項記載の基材。
  8. 前記細胞が間葉系幹細胞である請求項記載の基材。
  9. 前記間葉系幹細胞がヒト骨髄由来である請求項記載の基材。
  10. 請求項記載の可溶化羊膜コーティング材上で細胞を培養することを含む細胞培養方法。
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